JP2006316062A - 因子viiiの抗原ポリペプチド配列、その断片および/またはエピトープ - Google Patents
因子viiiの抗原ポリペプチド配列、その断片および/またはエピトープ Download PDFInfo
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Abstract
【課題】因子VIII阻害剤ならびに因子VIIIのフォンビルブラント因子(vWf)および/または膜リン脂質(PL)との結合を阻害する阻害剤によって誘導されるものをはじめとする免疫不全の診断および/または治療を改善するための、因子VIIIの抗原ポリペプチド配列、その断片およびエピトープを得ること。
【解決手段】因子VIIIのポリペプチド配列のグルタミン酸1649とアスパラギン2019の間、好適にはアルギニン1652とアルギニン1917の間に含まれる、またはアラニン108とメチオニン355の間、アスパラギン酸403とアスパラギン酸725の間、もしくはリジン2085とリジン2249の間に含まれる、因子VIIIの抗原ポリペプチド配列。
【選択図】図1
【解決手段】因子VIIIのポリペプチド配列のグルタミン酸1649とアスパラギン2019の間、好適にはアルギニン1652とアルギニン1917の間に含まれる、またはアラニン108とメチオニン355の間、アスパラギン酸403とアスパラギン酸725の間、もしくはリジン2085とリジン2249の間に含まれる、因子VIIIの抗原ポリペプチド配列。
【選択図】図1
Description
本発明は因子VIIIの抗原ポリペプチド配列、その断片および/またはエピトープおよびこのエピトープの強い部分、この配列に対する阻害剤、その断片、そのエピトープおよび/またはこのエピトープの強い部分、ならびに前記阻害剤に対する抗阻害剤に関するものである。
本発明はさらに上述の分子を含む医薬品組成物ならびに診断装置にも関するものである。
近年、イオン交換クロマトグラフィーによって、あるいはもっと最近では免疫親和性によって血漿の大きなプールから精製された因子VIIIの調製剤が、血友病患者のために十分な量で提供されている。
遺伝子工学によって得られた因子VIIIの多種多様な調製剤が現在開発または臨床研究段階にある。これらの因子VIIIは完全な分子、または欠失分子である(Bihoreau(1992))。
因子VIIIは血漿凝固のグリコタンパク補助因子であり、因子X(FX)の活性化部位に作用する。因子VIIIとその作用機構の特性化は、血漿中の濃度が低く、サイズが不揃いで、酵素分解感受性が極端に高いので一層困難である。この反応はFXの、活性化した因子X(FXa=Stuart因子)へのタンパク質加水分解を含み、酵素(活性化した因子IXすなわちFIXa)を含む複合体(Tenase複合体)、補助因子(活性化した因子VIIIすなわちFVIIIa)、カルシウムイオンおよびリン脂質を介在させる。
因子VIIIは非常に複雑なタンパク質なので、遺伝子配列は1984年以来判明しているものの(Verhar et al.,Nature 312,pp.317−342(1984))、血漿因子VIIIの完全な構造も(タンパク質の50%近くの配列が決定されただけ)、炭水化物の正確な構造もまだ確立されていない。DNAの配列は因子VIIIの一次配列を決定するものと認められた(バイオテクノロジーに由来する治療物質についてFDAが規定した誘導体に対するまれな例外)。
しかしながら、血漿因子VIIIと組換え因子VIIIの間のわずかな差異が確定された。グリコシル化、注入後の血漿中半減期などである。
因子VIIIは大半が肝細胞内で合成される。それは哺乳類、昆虫および酵母の細胞内でクローニングされた(Webb et al.,1993)。これらの生命工学的方法で産生したグリコタンパク質は天然のタンパク質と比較して糖の構造と組成に差異があることがある。因子VIIIのcDNAはトランスジェニックヒツジにも発現した(Halter et al.,1993)。
cDNAは、小胞体内で切断された19のアミノ酸のシグナルペプチドを含む2351のアミノ酸のポリペプチドをコードする。翻訳後の修飾、つまりセリンおよびトレオニンのグリコシル化ならびに硫酸イオンのチロシン残基への付加は、ゴルジ装置内で起きる。成熟した後、タンパク質は次に、2価イオンによって結合された210kDa(1648残基)と80kDa(1649から2332残基)の2本の鎖の形で血漿内に分泌され、そのもっとも軽いものはN−末端によってフォンビルブラント因子(vWf)に非共有結合で結合する(因子VIII1分子当たりvWf1分子)。血漿内でこの複合体は50倍多いvWfの存在の下で疎水および親水結合によって安定化される。後者は因子VIIIのリン脂質への固定を阻害する。因子VIIIが血小板に結合する事実は立証されたが、血小板の表面に発現した特異的受容体の存在は明確には実証されていない(Nesheim et al.,1993)。膜のリン脂質の上に固定した後、FIXaに対する親和性が高い結合部位を明らかにする(Bardelle et al.,1993)。
因子VIIIはA1:A2:B:A3:C1:C2(図1)に組織された3つの構造ドメインA、B、Cで形成される(Kaufman RJ,1992;Bihoreau et al.,1992)。ドメインAは40%を越える相同性を有し、またセルロプラスミンとも相同である。さらに因子VのドメインAと因子VIIIのドメインAの間にも30%の相同性がある。ドメインCは2回介在し、複合糖質と総電荷が負のリン脂質を結合することができる(Kemball−Cook and Barrowcliffe(1992);Fay,PJ,1993)。それは電荷が負のリン脂質に結合することのできるレクチンとの相同性を有する。この辺りに血小板への固定部位が同定された(ドメインC2)(Foster et al.,(1990))。因子VIIIの質量の40%超をしめるドメインBは特定の活性が全く知られていないが、例えば、トロンビンの作用から保護して因子VIIIの調節に微妙な役割を果たしている可能性がある。他のタンパク質との相同性は知られていない。
それは因子VIIIで確認された25のうち19のグリコシル化部位を有する。ヒトとブタの因子VIIIのアミノ酸の配列の比較から、この領域Bにおける主要な相違が明らかにされた。しかしながら、ブタの因子VIIIは阻害剤を示す血友病患者の治療に効果的に使用された。この所見から、この領域Bのコード部分が欠失し、血友病の治療のための欠失した組換え因子VIIIの産生を可能にする因子VIII遺伝子の構築に至った。
免疫精製によって、様々な形の活性因子VIIIが単離され、それらは共通して80kDaの軽鎖を有し、その重鎖は210から90kDaの分子量を有することがある。これらの形は重鎖のC末端の段階的分解により生じる。2本の鎖の結合は非共有結合であり、ドメインA1とA3に関与する残基の間の2価金属イオン(Me++)の結合によって生じる。活性化複合体(50−45kDa)(接近可能なドメインA2を有する重鎖)と70kDa(軽鎖)の形成後、不活性化段階が観察されたが、これはおそらくトロンビンとの長い接触と、50kDaと45kDaの断片の解離によるものである。因子VIIIaは、重鎖のタンパク質加水分解の後に、活性化したプロテインC(APC)によっても不活性化される。この不活性化は因子VIIIaがリン脂質表面に固定されたときに加速する。この因子VIIIaの活性の「ダウンレギュレーション」は血小板酵素によるリン酸化に依存する(Kalafatis et al.,(1990))。
今日までに単離された各種のマウスのモノクローナル抗体によって認識された大半のエピトープは、因子VIIIの「機能部位」に位置しているとは思われない。因子VIIIの活性に対する効果(発色試験および/または凝固試験の阻害)を有する抗体によって認識されるいくつかのエピトープが同定された。
これらの抗原決定基は断片351−365(ドメインA1−重鎖)、713−740(ドメインA2)、1670−1684(ドメインA3−軽鎖)(軽鎖のNH2末端)または2303−2332(ドメインC2−軽鎖)(Foster C,(1990))、断片701−750(Ware et al.(1989))、1673−1689(Leyte et al.(1989))、330−472、1694−1782(EP−0 202 853)、322−740および2170−2322(Scandella et al.(1992))によって構成される。
抗体はこれら各種の部位を認識し、それぞれ、因子VIIIの活性化、vWfの結合、またはリン脂質の結合に干渉する。
試験管内での古典的な活性試験を阻害しないその他の抗体は、活性部位から遠く離れた分子の部位に固定することによって、凝固カスケードの他の構成要素との因子VIIIの作用に影響する可能性がある。活性部位は、このように修飾され、その特性のいくつかを変化させて因子VIIIの天然の折り畳みに干渉する可能性がある(「アロステリックモデル」)。
これらの「マッピング」実験は大腸菌の中でクローニングされた因子VIII遺伝子の断片によって合成されたペプチドを使用し、これらのモノクローナル抗体によって認識された抗原決定基のおよその位置しか示さない。事実、識別された断片のサイズは30から100アミノ酸に渡っている。
現在、タンパク質の抗原部位を明確に識別するために、タンパク質を結晶化し、X線で分析する必要がある。残念ながら、高分子であることが結晶化の大きな障害になっている因子VIIIについては、データは全くない。
抗原領域はこれら領域の親水性と一致している。つまり、オリゴペプチド配列が外部媒体にさらされる(表面に位置する)ほど、この部分は免疫化反応において認識されやすくなる。反対に、一般的にタンパク質の内部に位置する疎水性部分は、抗原性が低いと考えられる。
現在、血友病患者、臨床医および分画業者の念頭を占めているのは、病原性の血漿汚染と副作用が一切ない、精製された因子VIIIを入手可能にすることである。
しかしながら、マウスのモノクローナル抗体を用いた免疫精製の後でも、哺乳類の細胞内における遺伝子組換えによって得た後でも、高純度で精製した因子VIIIは極度に不安定で、その理由は明確ではない。それを安定化させるために、精製過程でヒト血漿アルブミンを大量に添加して、最終的な特異的活性がタンパク質1mgあたり2−3U程度になるようにする。CHO細胞内で、天然の安定化因子であるフォンビルブラント因子とともに同時発現したr因子VIIIについても同様である。これらのデータが示唆するところでは、精製過程が、因子VIIIの天然の折り畳みに干渉できるようになることで因子VIII分子に影響し、程度の差はあっても安定した立体配座の変化を引き起こし、患者の中に注入した後に新たな潜在的エピトープが明らかになる可能性がある。
報告(Ljung et al.(1992);Sultan et al.,(1992);Lorenzo et al.(1992))によれば、多数の治療上の因子VIII投与を受ける血友病患者の5から50%に見られる重篤な合併症の1つが、因子VIIIを不活性化し、それ以降の一切の因子VIII投与を無効にする、抗体(阻害剤)の出現である。
病理的抗因子VIII活性を有する自己抗体の自然発生は非血友病患者においてはまれであり(有病率=10-5)、免疫不全のある、あるいは産褥期の高齢者に見られる(Kessler(1991),Hultin(1991))。3435人の血友病患者の多重研究により、5歳未満の患者を含めてすべての年齢群に関与していることがわかった。大多数(82%)が非常に高い反応(>10BU)を示した(Sultan et al.(1992))。この抗因子VIII抗体は主としてIgG4タイプのIgGから構成されるとされているが、IgG2(Gilles et al.(1993)b)、IgAおよびIgMも報告されている(Lottenburg et al.(1987))。これらは他の哺乳類の精製された異種の因子VIII分子とはあまり反応しない(Bennett,B et al.(1972))。現時点では、一部の血友病患者で阻害剤の発生を誘発する原因は分かっていない。遺伝子欠失の重篤性と、免疫反応が因子VIIIを自己のタンパク質と認めなくなることとの間に関連があるとしても、この関連はごく一部の患者においてしか実証されていない。遺伝子マーカーに結びつく、特異的な宿主の感受性は、例えば、MHCクラスII複合体の特定の決定基との選択的な関連(Hoyer(1991))のようには実証されていないが、これはおそらく、特異的抗体によって認識される因子VIIIのすべてのエピトープがまだ決定されていないからである。さらに因子VIIIの異なる調製法が、その構造、その物理化学特性またはその天然の微小環境に影響する(Vermeylen,J and Peerlinck(1991);Gomperts,et al.(1992);Peerlinck et al.(1993))。Barrowcliffeら(1983)は、リン脂質がヒトの特異的抗体による不活性化から凝血活性を保護する可能性を示した。病理的兆候のない健康なドナーの17%(500の提供された血漿に対してスクリーニングを実施)に天然の抗因子VIII抗体が存在することは、生理学的な因子VIIIが有する3次元的構造の相をもっとよく知ることの重要性を示している(Ciavarella and Schiavoni(1992))。
動物モデルにおける、また臨床試験の際の、リンパ球混合培養物について研究した輸血では、輸血を受けた側の免疫修飾の変化が認められ、同種免疫と一部の免疫機能のダウンレギュレーションが誘導された。これは抑制細胞や抗イディオタイプ抗体の形、またはNK細胞の減少で現れる。すべてはある程度の耐性を誘導したかのように現れる。これらの作用はインターロイキン−2(IL−2)を投与することで逆転できる(Triulzi et al.,1990)。試験管内では、IL−2の分泌の阻害効果ならびに末梢血液の単核細胞の増殖が、因子VIIIのクリオプレシピテートまたは純度の低い調製物(タンパク質1mgあたり0.5から10U)の存在の下で得られた(Madhok et al.,1991;Wadhwa,M et al.,1992)。これらの効果は、r因子VIIIまたは免疫親和性によって精製された因子VIIIが存在するときは観察されなかった。後者の調製物はT細胞を活性化する効果がある(Madhok et al.,1991)。しかしながら、これらのデータを生体内の状況に直接適用することはできない。
臨床的に投与する前に、因子VIII調製物の免疫原性もしくは免疫修飾効果、または宿主の感受性に関する予測を可能にする実験モデルは存在しない。このモデルは、特異的活性が非常に高い、免疫精製あるいはDNA工学技術によって得られた因子VIII調製物を使用する現在の臨床試験において抗因子VIII抗体の発生頻度が増加しているだけに、絶対的に必要である(Seremetis et al.(1991))。さらに、Aledorf(1993)は、以前に輸血を受けたことがない(PUPS)初体験の被験者に対してこれら2つのタイプの調製物を使用すると最高27%の阻害剤の有病率が観察されることを示した。
抗因子VIII免疫反応を示す患者は、重い、攻撃的な、極端に高価な手段の使用が必要な、重大な状況にいる。もっとも広く使用されている技術の一つが、濃縮プロトロンビン複合体(FEIBA)と組み合わせて(Bonnプロトコール)極めて高用量の因子VIII(100から200U/kg/日)を定期的に注射して、個体に充満させることであり(Ewing et al.(1988))、これによって血液中の阻害剤の割合を効果的に下げることができる(Sultan et al.1986)。さらに、この種の治療は非常に長期間継続しなければならない(Lian et al.,1989)。もっと低い用量の因子VIIIを使用して実施した試験では、抗因子VIII抗体の割合がはるかに低い患者においてある程度の成功が認められた(Gruppo,(1991))。
別の方法は、患者の抗因子VIIIによって中和されず止血を可能にする、ブタの因子VIIIのようなヒト以外の種の因子VIIIの使用である。多重研究によって、このような治療の利点が明らかにされたが、同時に抗ブタ因子VIII抗体の存在も明らかにされた(Lozier(1993);Moreau et al.(1993);Hay and Bolton−Maggs(1991);Clyne et al.(1992))。組換えDNAによって得られた活性化した因子VIIIも、阻害剤を示す患者において凝固を生じさせる別の方法として使用された(Ingerslev et al.(1991))。
最近、阻害剤の割合を減らすために効果を上げた戦略は(Nilsson et al.(1990))、シクロホスファミドなどの細胞増殖抑制剤で処理しながら、プロテインAに全てのIgGを固相において吸収することを可能にするために、患者に体外循環を施すというものである。
免疫抑制処置との組み合わせの有無を問わず、多価の免疫グロブリンの静脈投与(IVIG)は比較的効果があることがわかったが、この有効性の理由はまだ十分確定されていない。様々な仮説が立てられ、IgG合成のフィードバック阻害、そのクリアランスの促進、サプレッサーT細胞の活性化(Bloom(1992))などが挙げられている。興味深いことに、これらの市販の静脈投与用免疫グロブリンは、可変部(イディオタイプ)において抗因子VIII抗体と反応してそれらを中和することのできる抗体を含んでいるという。この抗イディオタイプ抗体の活性はそれぞれのドナーに固有で、IgGプールにおいて相乗作用があると思われる(Dietrich et al.(1992))。
残念ながらこれらのアプローチのいずれも、安全性、有効性および費用の面から不十分であることがわかった。
Verhar et al.,Nature 312,pp.317−342(1984)
Verhar et al.,Nature 312,pp.317−342(1984)
本発明は、因子VIII阻害剤ならびに因子VIIIのフォンビルブラント因子(vWf)および/または膜リン脂質(PL)との結合を阻害する阻害剤によって誘導されるものをはじめとする免疫不全の診断および/または治療を改善するための、因子VIIIの抗原ポリペプチド配列、その断片およびエピトープを得ることを目的とする。
本発明の別の目的は、同じく免疫不全の診断および/または治療を改善するために、この抗原ポリペプチド配列、その断片および/またはエピトープとの免疫親和性を示す阻害剤を得ることである。
補足的な目的は、免疫不全の診断および/または治療を改善するために、上述の前記阻害剤に対する抗体をはじめとする抗阻害剤を得ることである。
図1は因子VIIIのポリペプチド配列を図示したものである。
図2は、1から371のアミノ酸の番号を付け直した因子VIIIのA3配列の親水性を図示したものである(それぞれのアミノ酸についての表面値)。
図3はこの因子VIIIのA3配列の柔軟性を図示したものである。
図4はこの因子VIIIのA3配列の接近可能性を図示したものである。
図5は図2から4に示した値の総和を全体として図示したものである。
図6はELISA試験によってマウスの血清内の抗因子VIII抗体の存在を明らかにした図である。
本発明は、Verharら(Nature,Vol.312,p.339(1984))が記載しているような、因子VIIIおよび/またはその断片の抗原ポリペプチド配列に関するものである。
「因子VIIIのポリペプチド配列」とは、因子VIIIの合成および/または遺伝子操作による(即ち、場合によっては、血液凝固機構に関与しない部分が欠失した配列も含む)、Cohn画分Iをはじめとする血漿プールの精製によって得られた、場合によってはグリコシル化した、ヒトまたは動物の天然の配列を意味する。
本発明は特に、アラニン322−セリン750、ロイシン1655−アルギニン1689、リジン1694−プロリン1782およびアスパラギン酸2170−チロシン2332断片が欠失した、因子VIIIの抗原ポリペプチド配列に関するものである。
本発明は特に、因子VIIIの抗原ポリペプチド配列A1、A2、A3およびC(C1およびC2)に関するものである。
本発明の第一の実施態様は、因子VIIIの抗原ポリペプチド配列A3、その断片および/またはエピトープに関するものである。前記配列は、Verharら(Nature,Vol.312,p.339(1984))およびTooleら(Nature,Vol.312,p.342−347(1984))が公表しているような因子VIIIのポリペプチド配列のグルタミン酸1649とアスパラギン2019の間に含まれ、好適にはアルギニン1652とアルギニン1917の間またはアルギニン1803とアルギニン1917の間に含まれる。
好適には、前記配列の断片は、アルギニン1652とアルギニン1696、好適にはアルギニン1652とアルギニン1689の間、トレオニン1739とアスパラギン酸1831の間、またはグルタミン酸1885とアルギニン1917の間に含まれる。
本発明は、
−下記の配列によって定義されるアルギニン1652とチロシン1664の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるアスパラギン酸1681とアルギニン1696の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるトレオニン1739とチロシン1748の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるアスパラギン1777とフェニルアラニン1785の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるグルタミン酸1794とチロシン1815の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるメチオニン1823とアスパラギン酸1831の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるグルタミン酸1885とフェニルアラニン1891の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるグルタミン酸1893とアラニン1901の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるアスパラギン酸1909とアルギニン1917の間に含まれるエピトープ
をはじめとする、これらの断片の配列のエピトープにも関するものである。
−下記の配列によって定義されるアルギニン1652とチロシン1664の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるアスパラギン酸1681とアルギニン1696の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるトレオニン1739とチロシン1748の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるアスパラギン1777とフェニルアラニン1785の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるグルタミン酸1794とチロシン1815の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるメチオニン1823とアスパラギン酸1831の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるグルタミン酸1885とフェニルアラニン1891の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるグルタミン酸1893とアラニン1901の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるアスパラギン酸1909とアルギニン1917の間に含まれるエピトープ
をはじめとする、これらの断片の配列のエピトープにも関するものである。
有利には、前記配列、その特定の断片、およびそのエピトープは、付属の図の2から5に示した抗原特性を示す。
本発明のもう一つの推奨実施態様は、因子VIIIの抗原ポリペプチド配列A1、その断片および/またはエピトープに関するものである。
好適には、前記配列の断片は、アラニン108とメチオニン355の間に、好適にはアラニン108とグルタミン228の間に含まれる。
本発明はさらに、
−下記の配列によって定義されるアラニン108とバリン128の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるグルタミン酸181とロイシン192の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるアスパラギン酸203とグルタミン218の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるアスパラギン酸327とメチオニン355の間に含まれるエピトープ:
をはじめとする、これらの断片の配列のエピトープにも関するものである。
−下記の配列によって定義されるアラニン108とバリン128の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるグルタミン酸181とロイシン192の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるアスパラギン酸203とグルタミン218の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるアスパラギン酸327とメチオニン355の間に含まれるエピトープ:
をはじめとする、これらの断片の配列のエピトープにも関するものである。
本発明のもう一つの推奨実施態様は、因子VIIIの抗原ポリペプチド配列A2、その断片および/またはエピトープに関するものである。
好適には、前記配列の断片は、アスパラギン酸403とアスパラギン酸725の間に、好適にはヒスチジン693とアスパラギン酸725の間に含まれる。
本発明はさらに、
−下記の配列によって定義されるアスパラギン酸403とリジン425の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるバリン517とアルギニン527の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるヒスチジン693とグリシン701の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるセリン710とアスパラギン酸725の間に含まれるエピトープ
をはじめとする、これらの断片の配列のエピトープにも関するものである。
−下記の配列によって定義されるアスパラギン酸403とリジン425の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるバリン517とアルギニン527の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるヒスチジン693とグリシン701の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるセリン710とアスパラギン酸725の間に含まれるエピトープ
をはじめとする、これらの断片の配列のエピトープにも関するものである。
本発明のもう一つの推奨実施態様は、因子VIIIの抗原ポリペプチド配列C、その断片および/またはエピトープに関するものである。好適には、前記配列の断片は、リジン2085とリジン2249の間に、好適にはリジン2085とグリシン2121の間に含まれる。
本発明はさらに、
−下記の配列によって定義されるリジン2085とフェニルアラニン2093の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるアスパラギン酸2108とグリシン2121の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるグリシン2242とリジン2249の間に含まれるエピトープ
をはじめとする、これらの断片の配列のエピトープにも関するものである。
−下記の配列によって定義されるリジン2085とフェニルアラニン2093の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるアスパラギン酸2108とグリシン2121の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるグリシン2242とリジン2249の間に含まれるエピトープ
をはじめとする、これらの断片の配列のエピトープにも関するものである。
本発明はさらに、前記エピトープまたは前記断片の強い部分、即ち因子VIII阻害剤に対して意外にも特に高い親和性を示す、アミノ酸のチロシンとヒスチジンを含む前記エピトープの配列の部分にも関するものである。好適には、これらの強い部分は、同一または別の他の少なくとも2つのアミノ酸と結合した前記アミノ酸チロシンまたはヒスチジンを含んでいる。
これらの配列、これらの断片およびこれらのエピトープ、特にエピトープまたは断片の強い部分は、Parker,GuoおよびHodges(Biochemistry 25,pp5425−5432(1986))が記載しているような高い親水性、KarplusおよびSchultz(Katurwissenschaften 72,p212(1985)が記載しているような大きな柔軟性、およびJanin(Nature 277,pp491−492(1979)が記載しているような大きな接近可能性によって、特に有利に特徴づけられる(参照:図2から5)。
これらの断片およびこれらのエピトープは特に因子VIIIタンパク質の表面に露出し、顕著な抗原特性を示す。
有利には、前記ポリペプチド配列、その断片、そのエピトープおよび/または前記断片もしくはエピトープのこれらの強い部分は、さらに、独立して免疫原性であり(即ち、BSA、ヘモシアニンなどの大きなサイズのタンパク質と複合体を形成しなくても免疫原性となる)、好適には抗因子VIII抗体などの因子VIII阻害剤との免疫親和性を示し、および/または、Tリンパ球および/またはBリンパ球の受容体に対する免疫親和性を示す。
この配列、これらの断片、これらのエピトープ、および/または前記断片もしくは前記エピトープの強い部分は、ウサギに注射したときに免疫反応(抗体の合成)を引き起こす。
これらの特徴は、それぞれ16から22のアミノ酸である比較的「長い」アミノ酸配列を含むSEQ ID NO:2とSEQ ID NO:5のエピトープについては、特に重要である。
従って、これらの配列は、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体に対する強い免疫原性を有する。
しかしながら、これらの配列は合成によって簡単に得られるほど十分短い。
例えば、ペプチドAsp1681−Arg1696とAsp327−Met355を、ELISA試験によってマウスの血清内の抗因子VIII抗体の存在を明らかにするために合成した。
遊離ペプチド(結合タンパク質に結合していない)を、次の手順に従って2匹のBALB/Cマウスに注射した。
−0日:不完全フロイントアジュバント内で乳化したペプチド100μgを筋肉注射した。
−7、14、21および28日:ペプチド50μgによる免疫化。
−0日:不完全フロイントアジュバント内で乳化したペプチド100μgを筋肉注射した。
−7、14、21および28日:ペプチド50μgによる免疫化。
毎日、注射の前に血液サンプルを採取した。ポリスチレンマイクロタイタープレート(NUNC)を、40IU/mlで希釈した血漿因子の調製剤で満たした。50μlのマウス抗血清の段階希釈物(1/60、1/300および1/600)をウェルに添加した。インキュベーションおよび洗浄の後、抗因子VIII抗体の存在を、ビオチンで標識したウサギ抗マウスIgG抗体の1/5000希釈物を50μl添加して明らかにした。インキュベーションおよび洗浄の後、ウェルを50μlのアビジン=ペルオキシダーゼ(1/2500)とインキュベートし、洗浄し、最後に、100mlのOPDをウェルに添加した。光学密度を490nmで測定した。ELISAの結果を付属の図6に示した(EX1、EX2およびブランクの役割を果たすサンプルBLC)。
本発明はさらに、前記配列の少なくとも2つの異なる断片、配列の少なくとも2つのエピトープ、および/または本発明による、上述のように識別された、前記エピトープまたは前記異なる断片の少なくとも2つの強い部分を含む、立体配座依存性エピトープにも関するものである。
立体配座依存性エピトープは、タンパク質が三次構造または四次構造に折り畳んだ際に互いに近接して位置する、ポリペプチド配列の2つまたはそれ以上の異なる部分で構成される。
これらのエピトープは、Bリンパ球(組織適合性の強い遺伝子座(MHC Iおよび/またはII)を介して)および/または抗因子VIII抗体(Scandella et al.,Blood 76,p437(1990))をはじめとする因子VIII阻害剤により、好適には同時に、「認識」される(即ち、免疫親和性を示すことができる)。
好適には、前記配列、前記断片、前記エピトープおよび/または前記エピトープもしくは前記断片の強い部分は、BSAまたはヘモシアニンなどのキャリアータンパク質またはキャリアーペプチドと複合体を形成して、より強い免疫原性を示す複合体を形成する。
本発明の別の側面は、本発明による抗原ポリペプチド配列、前記配列の断片およびエピトープ、前記エピトープもしくは前記断片の強い部分、および/または本発明による複合体との免疫親和性を示す、因子VIII阻害剤に関するものである。
阻害剤とは、因子VIIIとともに、および/またはそれに対して介在して、免疫不全を引き起こす可能性のある、一切の生物学的分子または細胞を意味する。
特に、かかる阻害剤は、前記因子VIIIを不活性化し、ならびに/または因子VIIIとフォンビルブラント因子および/または膜リン脂質との結合を阻害する、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体(ガンマグロブリン)または(前記抗体の超可変部Fabなどの)抗因子VIII抗体の断片であることがある。
有利には、前記阻害剤は、ヒトの抗体を産生するSCID−huマウスのような、ヒトの免疫系を有する「キメラ」動物によって合成される。
SCID(重症複合免疫不全症)マウスは、抗原受容体に関与する遺伝子の組換えの機能障害により、機能的Bリンパ球またはTリンパ細胞が欠損している。SCIDマウスの免疫系は、胎児の臓器あるいは末梢血液から得られるヒト由来の免疫担当細胞によって再構成することができる(Mosler et al.(1988))。
いったん再構成されると、これらのSCID−huマウスは、自発的にあるいは免疫付与の後、ヒト抗体を産生する。
ヒトとマウスの因子VIIIの間に劇的な交差反応は存在しないと思われる(Kessler,1991)。
末梢血液のリンパ球を、様々なタイプのドナーから採取した:非血友病のボランティア、古典的方法で検出できる阻害剤が欠損した血友病患者、阻害剤の割合が高い血友病の患者、および自己抗体を産生するドナー。
このモデルを2種類の研究に使用した。まず、単一のドナーの細胞でマウスを再構成し、系の再現可能性を検証した後、複数個の因子VIII調整剤の免疫原性を比較することができる。
他方、このモデルによって、クローンレベルでの抗因子VIII反応を得て、研究することができる。
B細胞のモノクローナル抗体の特異的反応の研究は極めて重要である。なぜならこのことにより因子VIIIの配列依存性エピトープおよび立体配座依存性エピトープの正確な識別が可能になるからである。B細胞は、抗因子VIII抗体を産生するマウスの脾臓から、抗CD40抗体の存在の有無を問わず、クーロン培養されるか、あるいはEBVウィルスの存在の下で形質転換される。抗CD40抗体は膜抗原を認識し、線維芽細胞株の存在の下でB細胞を活性化する(Banchereau et al.1991))。従って、これらの免疫的にドミナントなエピトープを免疫治療の標的候補として使用することが可能である。
Bリンパ球のクローンに担持されたMHCクラスIまたはクラスIIマーカーの決定は、遺伝子レベルで抗因子VIII抗体の免疫反応を分析することを可能にし、それによって特異的T細胞による認識を追跡することができる。これもまたこの病理に結びつく危険因子の存在を確かめるための優れた方法である。
抗因子VIIIモノクローナル抗体の調製のために選択されたBALB/Cマウスに、あらかじめ2週間間隔で3回、組換え因子VIII(r因子VIII)溶液を注射する。このタイプの調製剤は、タンパク質による汚染が最小限の高濃度の高純度因子VIIIを含むという利点がある。最後の注射から4日目に、脾細胞をマウスの骨髄腫細胞(SP207)と融合した(van Snick and Coulie(1982))。抗因子VIII抗体を産生するハイブリドーマを、その上であらかじめr因子VIIIを不溶化したポリスチレンプレートを使用して、ELISA技術によって選別する。抗因子VIII抗体を含むハイブリドーマの上澄みを限界希釈法でクローニングし、次いで試験管内で培養した。
抗体を、これらの上澄みからクロマトグラフィーによって精製した。
軽鎖(kまたはl)および抗因子VIIIモノクローナル抗体のサブクラス(IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3)の定量化、決定は、ELISA技術で実施する。
因子VIII分子の上で認識されたエピトープは、天然の、またはトロンビンで酵素切断した因子VIIIの溶液の免疫転移技術によって決定する。
産生された抗因子VIIIモノクローナル抗体の機能阻害能力は、個別に、凝集法(Bethesda法)(Kasper et al.(1975))によって、および因子VIIIと活性型因子IXの組み合わせによって活性化された因子Xが有する、無色基質を有色基質に変える能力に基づく発色法(Svendsen et al.(1984))によって評価する。
ヒトモノクローナル抗因子VIII抗体を産生する細胞系統は、ヒトのリンパ球で免疫系を再構成した後に因子VIIIの異なるバッチで免疫付与した、SCIDマウスの腹腔から採取したヒトBリンパ球から誘導される。Bリンパ球は、その上にモノクローナル抗CD40抗体が固定された、免疫グロブリンのFc部分に対する受容体を発現する線維芽細胞の存在の下で培養する。CD40受容体の重合によって活性化したこれらの細胞を次に感染させ、エプスタイン・バーウィルスで不死化する(Kozbor,(1981))。次に、所望の抗体を産生する細胞の系統をサブクローニングすることができる。
本発明のもう一つの側面は、先に述べた因子VIII阻害剤に対するものであることを特徴とする抗阻害剤に関するものである。
因子VIII阻害剤に対する抗阻害剤とは、前記阻害剤に干渉して確実にそれを不活性化することのできる一切の生物学的分子および/または細胞を意味する。
好適には、かかる抗阻害剤は、抗抗因子VIIIイディオタイプ抗体(モノクローナルもしくはポリクローナル)またはその断片である。
有利には、因子VIII阻害剤に対するこれらの抗阻害剤は、SCID−huマウスなどのヒト免疫系を有する「キメラ」動物によって合成される。
10μg/ml未満の残留免疫グロブリンを産生するマウスだけを実験に使用した。
モデルは、破傷風に対して免疫付与したボランティアの末梢白血球を使用して開発した。
再構成は、ヒト由来の15から20,106の単核細胞を一度腹腔内注射して実施した。これらの細胞は、末梢血液(およそ200ml)のFicoll−Hypaqueを用いた勾配遠心分離により得られた。単一のドナーから12から20頭のマウスを再構成することができる。ヒト免疫グロブリンの産生は経時測定した。
抗抗因子VIIIイディオタイプ抗体は、セファロースカラム上に共有結合で固定されたヒト抗因子VIII抗体を用いる免疫親和性によって、またはプロテインGカラム上のFc部分によって抗イディオタイプ抗体を見出す確率を高めるために、7200以上のドナーにより自主的に提供されたものにより構成された出発血漿プールから精製した。分画の後、Cohn−Oncley法による分画の後、IgGが豊富な2つの画分、因子rIIと因子rIIIが得られた。これらは抗イディオタイプ抗体の精製の出発調製物に使えるであろう。これらのモノクローナル抗体は血友病患者から採取したB細胞から得られるであろう。これらの細胞は、SCIDマウス内であらかじめ増殖させ、EBVウィルスによって分泌細胞培養体に形質変換した。これらのヒトモノクローナル抗体の使用によって、治療用調製物内にヒト以外のタンパク質が導入されるのが防止される。これらの調製物を、詳細な免疫化学分析によって、大多数の潜在血友病患者に由来する阻害剤を中和する効果について評価した。物理的(UVCF線による処理)、熱的および/または化学的(例えば、溶剤−洗剤による)ウィルス不活性化のいくつかの段階が、できる限り高いウィルス安全性を確保するために精製工程に導入される。
ヒト抗体に固有のイディオタイプを分子の可変部を配列決定して分析する。これらのデータは極めて重要である。なぜならそれらは診断にも抗因子VIII抗体産生の制御にも大きな有用性を持つからである。
現在まで、抗原抗体複合体の作成に必要な抗体源は自己のものであり、即ち患者自身が抗体を提供していた。少し前から、循環する因子VIIIの割合が正常な健常者が産生する抗因子VIII抗体の血漿内活性が、対応する抗イディオタイプ抗体によって制限されることがわかっている。ガンマグロブリンプールから調製された抗因子VIII抗体は、有利に自己のものに代わることができる。
同様に、血友病患者またはそうでない人の阻害剤を産生する、EBVウィルスによって形質転換されたヒトB細胞を得ることもできる。このようにして4系統が得られ、そのうち1つが因子VIIIの軽鎖を認識する。SCIDマウスに血友病患者またはそうでない人に由来する阻害剤分泌B細胞を再増殖させた。産生を、血漿因子VIIIおよび組換え因子VIIIの注射によって刺激した。このように、前記阻害剤を産生する試験管内での連続培養を行うことができる。この技術によって、抗抗因子VIIIイディオタイプ抗体の連続産生を行うこともできる。
本発明のもう1つの側面は、因子VIIIの前記抗原ポリペプチド配列、その断片、そのエピトープ、および/または前記エピトープもしくは前記断片の強い部分、それらに対する因子VIII阻害剤、当該阻害剤に対する抗阻害剤、および/またはそれらの混合物から成る群から選択された要素を含む、医薬品組成物に関するものである。
本発明の別の側面は、本発明による抗原ポリペプチド配列、その断片、そのエピトープ、および/または前記エピトープもしくは前記断片の強い部分、本発明による複合体、それらに対する阻害剤、当該阻害剤に対する抗阻害剤、および/またはそれらの混合物から成る群から選択された要素を含む、診断キットまたはクロマトグラフィーカラム(記載例:Ezzedine et al.(1993))などの診断および/または精製装置に関するものである。
従って、精製装置は、クロマトグラフィーカラムの固相に固定された因子VIII配列、その断片、エピトープ、および/または前記断片もしくはエピトープの強い部分を含む、Ezzedineら(1993)が記載しているようなクロマトグラフィーカラムから成ることができる。
次に、因子VIII阻害剤を含む、患者の生理的液体(例えば血清)をこのクロマトグラフィーカラムに通し、前記阻害剤(例えば抗体)を、前記因子VIII、前記断片、前記エピトープまたは前記強い部分上に特異的に固定させる。
溶出した後、抗阻害剤(抗抗因子VIIIイディオタイプ抗体)と反応させて、前記阻害剤を回収することができる。
固体相に因子VIII阻害剤が固定されたクロマトグラフィーカラムにこれらの抗阻害剤を通して、血清内に存在する抗抗因子VIIIイディオタイプ抗体を特性化することもできる。
本発明の最後の側面は、因子VIII阻害剤、因子VIIIとフォンビルブラント因子(vWF)との結合の阻害剤、および/または膜リン脂質に対する因子VIIIの結合の阻害剤によって誘発されるものをはじめとした免疫障害の予防および/または治療のための医薬品調製のために、本発明による医薬品組成物を使用することに関するものである。
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Claims (20)
- −下記の配列によって定義されるアルギニン1652とチロシン1664の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるアスパラギン酸1681とアルギニン1696の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるトレオニン1739とチロシン1748の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるアスパラギン1777とフェニルアラニン1785の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるグルタミン酸1794とチロシン1815の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるメチオニン1823とアスパラギン酸1831の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるグルタミン酸1885とフェニルアラニン1891の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるグルタミン酸1893とアラニン1901の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるアスパラギン酸1909とアルギニン1917の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるアラニン108とバリン128の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるグルタミン酸181とロイシン192の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるアスパラギン酸203とグルタミン218の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるアスパラギン酸327とメチオニン355の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるアスパラギン酸403とリジン425の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるバリン517とアルギニン527の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるヒスチジン693とグリシン701の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるセリン710とアスパラギン酸725の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるリジン2085とフェニルアラニン2093の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるアスパラギン酸2108とグリシン2121の間に含まれるエピトープ、
−下記の配列によって定義されるグリシン2242とリジン2249の間に含まれるエピトープ、
から成る群から選択されることを特徴とする、因子VIIIの抗原断片。 - 同一または異なる少なくとも2つの他のアミノ酸と結合したチロシンおよび/またはヒスチジンを含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の断片および/またはエピトープの強い部分。
- 因子VIII阻害剤との免疫親和性を示すことを特徴とする、請求項1または2に記載の断片または強い部分。
- 抗因子VIII抗体との免疫親和性を示すことを特徴とする、請求項1または2に記載の断片または強い部分。
- Tリンパ球および/またはBリンパ球の受容体に対する免疫親和性を示すことを特徴とする、請求項3または4に記載の断片または強い部分。
- 請求項1〜5のいずれか一つに記載の少なくとも2つの異なる断片、少なくとも2つの異なるエピトープ、および/または少なくとも2つの異なる強い部分を含んでいることを特徴とする、立体配座依存性エピトープ。
- 請求項1〜6のいずれか一つに記載の断片、エピトープ、および/またはエピトープもしくは断片の強い部分から成る群から選択された要素に結合したキャリアータンパク質またはキャリアーペプチドを含む複合体。
- 請求項1〜7のいずれか一つに記載の断片、エピトープ、エピトープもしくは配列の強い部分、および/または複合体との免疫親和性を示すことを特徴とする、因子VIII阻害剤。
- 抗因子VIII抗体またはその断片であることを特徴とする、請求項8に記載の阻害剤。
- 請求項8または9に記載の因子VIII阻害剤に対するものであることを特徴とする抗阻害剤。
- 抗抗因子VIIIイディオタイプ抗体またはその断片であることを特徴とする、請求項10に記載の抗阻害剤。
- 請求項1〜11のいずれか一つに記載の断片、エピトープ、強い部分、複合体、阻害剤、および/または抗阻害剤から成る群から選択された少なくとも1つの要素を含むことを特徴とする医薬品組成物。
- 請求項1〜11のいずれか一つに記載の断片、エピトープ、強い部分、複合体、阻害剤、および/または抗阻害剤から成る群から選択された少なくとも1つの要素を含むことを特徴とする診断装置。
- 請求項1〜11のいずれか一つに記載の断片、エピトープ、強い部分、複合体、阻害剤、および/または抗阻害剤から成る群から選択された少なくとも1つの要素を含むことを特徴とする精製装置。
- 診断キットであることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
- クロマトグラフィーカラムであることを特徴とする、請求項13〜15のいずれか1つに記載の装置。
- 請求項12に記載の医薬品組成物を使用することを特徴とする、免疫障害の予防および/または治療のための医薬品調製方法。
- 免疫障害が、因子VIII阻害剤、フォンビルブラント因子への因子VIIIの結合の阻害剤、および/または膜リン脂質に対する因子VIIIの結合の阻害剤によって誘発される障害であることを特徴とする、請求項17に記載の医薬品調製方法。
- −クロマトグラフィーカラムの固体担体に、請求項1〜7のいずれか1つに記載の断片、エピトープ、強い部分、および/または複合体から成る群から選択された要素を固定する過程、
−前記クロマトグラフィーカラムに、因子VIII阻害剤を有する患者の生理的液体を通す過程、
−請求項1〜7のいずれか一つに記載の断片、エピトープ、強い部分、および/または複合体から成る群から選択された少なくとも1つの要素と免疫親和性を示した因子VIII阻害剤の画分を溶出し、回収する過程、
から成ることを特徴とする、請求項8〜11のいずれか1つに記載の阻害剤および/または抗阻害剤の識別方法および獲得方法。 - −回収した因子VIII阻害剤をクロマトグラフィーカラムの固体担体上に固定する過程、
−抗抗因子VIIIイディオタイプ抗体などの抗因子VIII阻害剤を前記カラムに通す過程、
−因子VIII阻害剤と免疫親和性を示した抗阻害剤を溶出し、回収する過程、
から成ることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
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