JP2006315717A - 浮屋根揺動抑制装置 - Google Patents

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和彦 磯田
Takumi Oyama
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Abstract

【課題】貯蔵タンクに石油を貯蔵している場合でも引火する虞れを低減することができるとともに、貯蔵タンクに安価な建設コストで適用することができる浮屋根揺動抑制装置を提供する。
【解決手段】浮屋根揺動抑制装置20は、壁11で形成する貯蔵空間13に貯蔵液14を溜める貯蔵タンク10に設けてある。その浮屋根揺動抑制装置には、浮屋根の揺動によって移動するケーブル(一方の部材)21と、ケーブルに接触する摩擦部材(他方の部材)16とで構成し、ケーブルと摩擦部材との摩擦によって浮屋根18の揺動を抑制する揺動抑制手段17を設けてある。ケーブルと摩擦部材とが接触する摺動部19は、壁の上部近傍に設けてある。
【選択図】 図2

Description

本発明は、浮屋根揺動抑制装置に関するものである。
2003年9月に発生した北海道十勝沖地震は、苫小牧市の製油所内において浮屋根を備える石油タンク(貯蔵タンク)に火災を発生させる原因となったと考えられている。詳細には、火災が発生したのは、地震動に石油タンクの内部の石油(貯蔵液)が共振し、スロッシングと呼ばれる貯蔵液の液面揺動によって浮屋根が揺動し、その揺動で浮屋根が損傷して石油が空気に触れ、空気に触れた石油が何らかの原因で引火したものと考えられている。
全国には、10,000キロリットル以上の石油タンクが2,000基以上存在し、500キロリットル以上の石油タンクが10,000基以上存在している。それらの石油タンクの多くのものは、地震動によるスロッシングで浮屋根が損傷することが考慮されていない。
そこで、地震動によるスロッシングで浮屋根が損傷する虞れを低減するため、従来、種々の装置が提案されている。
例えば、貯蔵タンクに補強部材を付加することで貯蔵液の液面揺動を低減し、それにより浮屋根の揺動を低減することで浮屋根が損傷する虞れを低減する補強装置もそのうちの一つである。
この補強装置によれば、貯蔵タンクに補強部材を付加するので、貯蔵タンクの耐震性能を向上することができ、貯蔵液の液面揺動を低減することができる。従って、浮屋根の揺動を抑制することができるから、浮屋根が損傷をする虞れを低減することができる。
しかしながら、貯蔵タンクに補強部材を付加するには、高い建設コストが必要になるという問題がある。
安価な建設コストで貯蔵タンクに適用することができ、且つ地震動によるスロッシングで浮屋根が損傷する虞れを低減するものとして、図18及び図19に示す浮屋根揺動抑制装置1が提案されている。
図示する浮屋根揺動抑制装置1には、複数の粘弾性部材(揺動抑制手段)2が備えられている。粘弾性部材2は、樹脂材料で、浮屋根3の側部に取り付ける基部2aと、壁4に接触する接触部2bとを備えるよう形成されており、浮屋根3を貯蔵液5に浮かべた場合、浮屋根3が壁4に対して一定のせん断抵抗力を有しながら揺動するよう浮屋根3の側部に所定間隔毎に取り付けられている。
この浮屋根揺動抑制装置1によれば、壁4と浮屋根3との間に粘弾性部材2を設けたので、地震動で浮屋根3が揺動しようとした場合には、粘弾性部材2のせん断抵抗力によって貯蔵液5の液面揺動に伴う浮屋根3の揺動を抑制でき、浮屋根3が損傷する虞れを低減することができる。しかも、貯蔵タンクに補強部材を付加する必要がないから、安い建設コストで浮屋根揺動抑制装置1を貯蔵タンクに適用することができる。
平野 廣和、"長周期地震で発生する浮屋根式タンクのスロッシング現象を減衰させるための装置の開発"、[online]、平成16年11月、中央大学理工学研究所、[平成17年4月6日検索]、インターネット〈http://www.ise.chuo-u.ac.jp/TISE/kyouyou/Thirano2004110/〉
ところで、浮屋根3の側部に粘弾性部材2を取り付ける浮屋根揺動抑制装置1は、粘弾性部材2と貯蔵液5の液面との間隔が狭いので、粘弾性部材が貯蔵液に触れる虞れがある。貯蔵タンクに石油を貯蔵し、且つ浮屋根の揺動を抑制することで粘弾性部材が熱をもっている場合には、粘弾性部材に石油が触れると引火する虞れがある。
そこで、本発明は、上記実情に鑑みて、貯蔵タンクに石油を貯蔵している場合でも引火する虞れを低減することができるとともに、貯蔵タンクに安価な建設コストで適用することができる浮屋根揺動抑制装置を提供することにある。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に係る発明は、貯蔵液を溜める貯蔵タンクに設け、貯蔵液に浮かべた浮屋根がスロッシングで揺動することを抑制する浮屋根揺動抑制装置において、浮屋根の揺動によって運動する一方の部材と、一方の部材に接触する他方の部材とで構成し、一方の部材と他方の部材との摩擦によって浮屋根の揺動を抑制する揺動抑制手段を設けて成り、一方の部材と他方の部材とが接触する摺動部を、浮屋根の上方領域に設けたことを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、壁で形成する貯蔵空間に貯蔵液を溜める貯蔵タンクに設け、貯蔵液に浮かべた浮屋根がスロッシングで揺動することを抑制する浮屋根揺動抑制装置において、浮屋根の揺動によって運動する一方の部材と、一方の部材に接触する他方の部材とで構成し、一方の部材と他方の部材との摩擦によって浮屋根の揺動を抑制する揺動抑制手段を設けて成り、一方の部材と他方の部材とが接触する摺動部を、壁の上方領域又は壁の外方領域に設けたことを特徴とする。
本発明の請求項1にかかる浮屋根揺動抑制装置によれば、浮屋根の揺動によって運動する一方の部材と、一方の部材に接触する他方の部材とで構成し、一方の部材と他方の部材との摩擦によって浮屋根の揺動を抑制する揺動抑制手段を設けて成り、一方の部材と他方の部材とが接触する摺動部を、浮屋根の上方領域に設けたので、摺動部と貯蔵液の液面との間隔を、浮屋根の側部に取り付けた粘弾性部材と貯蔵液の液面との間隔よりも広くすることができ、摺動部に貯蔵液が触れる虞れを低減することができる。従って、摺動部が熱を持ち、且つ貯蔵タンクに石油を貯蔵している場合でも、引火する虞れを低減することができる。しかも、浮屋根の揺動によって運動する一方の部材と、一方の部材に接触する他方の部材とで構成する揺動抑制手段を設けて成るので、浮屋根の揺動を抑制でき、浮屋根が損傷する虞れを低減することができる。従って、貯蔵タンクに補強部材を付加して浮屋根の揺動を抑制する必要がないので、貯蔵タンクに安価な建設コストで適用することができる。
本発明の請求項2にかかる浮屋根揺動抑制装置によれば、浮屋根の揺動によって運動する一方の部材と、一方の部材に接触する他方の部材とで構成し、一方の部材と他方の部材との摩擦によって浮屋根の揺動を抑制する揺動抑制手段を設けて成り、一方の部材と他方の部材とが接触する摺動部を、壁の上方領域又は壁の外方領域に設けたので、摺動部と貯蔵液の液面との間隔を、浮屋根の側部に取り付けた粘弾性部材と貯蔵液の液面との間隔よりも広くすることができ、摺動部に貯蔵液が触れる虞れを低減することができる。従って、摺動部が熱を持ち、且つ貯蔵タンクに石油を貯蔵している場合でも、引火する虞れを低減することができる。しかも、浮屋根の揺動によって運動する一方の部材と、一方の部材に接触する他方の部材とで構成する揺動抑制手段を設けて成るので、浮屋根の揺動を抑制でき、浮屋根が損傷する虞れを低減することができる。従って、貯蔵タンクに補強部材を付加して浮屋根の揺動を抑制する必要がないので、貯蔵タンクに安価な建造コストで適用することができる。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る浮屋根揺動抑制装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
[実施の形態1]
図1及び図2は、本発明の実施の形態1の浮屋根揺動抑制装置を適用した貯蔵タンクを示したものである。貯蔵タンク10は、壁11と浮屋根18と浮屋根揺動抑制装置20とを備えている。
壁11は、上部に開口12を有する筒状を成すよう形成してある。壁11の内方には、壁11によって貯蔵空間13を形成してある。貯蔵空間13には、例えば水、石油等の貯蔵液14を溜めてある。
壁11の上端には、複数(図示例では8ケ)の凹部15を設けてある。各凹部15は、図3〜図5に示すように、壁11の上端面から下方向に向けて形成してある。それらの凹部15は、一定間隔毎に配置してある。凹部15には、凹部15に対応するよう鞍型に設けた摩擦部材(他方の部材)16をはめ込んである。摩擦部材16は、後述するケーブルが切れないよう、上部をなだらかな曲面で構成してあり、且つ壁11の厚さ方向に沿った縦断面において中央部16aが上方向に突出するよう例えば熱可塑性繊維補強樹脂を材料として設けてある。
浮屋根18は、図1及び図2に示すように、円盤状に形成してあり、開口12を閉塞するよう貯蔵液14に浮かべてある。浮屋根18と壁11との間には、不図示のシール部材を設けてあり、シール部材で浮屋根18と壁11との間にある貯蔵液14が気化すること、及び雨水が浮屋根18の下方領域に進入することを防止している。
浮屋根揺動抑制装置20には、摩擦部材16に対応するようケーブル(一方の部材)21と錘23とを設けてある。すなわち、浮屋根揺動抑制装置20は、複数の摩擦部材16と複数のケーブル21と複数の錘23とで構成してある。また、摩擦部材16とケーブル21とで揺動抑制手段17を構成してある。
ケーブル21の一端は浮屋根18の上部に取り付けてあり、ケーブル21の他端には錘23を取り付けてある。さらにケーブル21は、壁11をまたぐよう凹部15にはめ込み、浮屋根18の揺動に伴って長さ方向に移動し、且つ摩擦部材16の上をスライド移動するよう配置してある。換言すれば、この浮屋根揺動抑制装置20は、凹部15にケーブル21をはめ込み、ケーブル21と摩擦部材16とが接触する摺動部19を壁11の上端近傍に設けてある。
ケーブル21は、地震が発生した場合、地震動に貯蔵液14が共振して液面が揺動し、その液面の揺動によって浮屋根18が揺動しても、錘23が地面に接触せず、且つ錘23が壁11の上端に接触しない長さとしてある。
ケーブル21及び摩擦部材16には、ケーブル21の摺動時、所定の摩擦係数μ1となる材料を使用してある。なお、ケーブル21及び摩擦部材16には、摩擦係数μ1が0.5より小となる材料を使用する。
錘23は、貯蔵液14の液面から浮屋根18が浮き上がらない重量としてある。
地震動で貯蔵液14の液面が揺動しようとする場合には、図6に示すように、貯蔵液14の液面の揺動に伴って、浮屋根18の一方の端が上方に向けて移動しようとするとともに、浮屋根18の他方の端が下方に向けて移動しようとする。そのように浮屋根18が揺動しようとした場合には、図7に示すように、摩擦部材16の上をケーブル21がスライド移動してケーブル21と摩擦部材16とが摺動し、浮屋根18が有しているエネルギーが摩擦により熱エネルギーとして消費されるので、浮屋根18の揺動を抑制することができる。
摺動部19における摩擦抵抗力F1は、ケーブル21を介して作用する鉛直方向の力の和(概略、錘23の重量Wの2倍)に摩擦係数μ1を乗じることで得ることができる。この浮屋根揺動抑制装置20によれば、地震動で浮屋根18が揺動しようとした場合、浮屋根18が有しているエネルギーから、摩擦抵抗力F1にケーブル21の移動量δを乗じることで得ることができるエネルギーを奪うことができる。
従って、この実施の形態1に係る浮屋根揺動抑制装置20によれば、ケーブル21と摩擦部材16とが摺動する摺動部19を備えているので、地震動で浮屋根18が揺動しようとした場合には、ケーブル21と摩擦部材16とが摺動し、浮屋根18が有しているエネルギーが摩擦により熱エネルギーとして消費されるので、浮屋根18の揺動を抑制でき、浮屋根18が損傷する虞れを低減することができる。しかも、摺動部19を壁11の上端近傍に設けたので、摺動部19と貯蔵液14の液面との間隔を、浮屋根18の側部と貯蔵液14の液面との間隔よりも広くすることができ、摺動部19に貯蔵液14が触れる虞れを低減することができる。従って、貯蔵タンク10に石油を貯蔵し、且つ摺動部19が熱を持っている場合でも、引火する虞れを低減することができる。
さらに、実施の形態1に係る発明によれば、摩擦部材16とケーブル21と錘23とを備えるだけで、浮屋根18が損傷する虞れを低減することができるので、オイルダンパー等の高価で特殊な装置を用いる必要がなく、且つ貯蔵タンク10に補強部材を付加して浮屋根18の揺動を抑制する必要がないため、建設コストが安価な浮屋根揺動抑制装置20を提供することができる。加えて、実施の形態1に係る浮屋根揺動抑制装置20によれば、ケーブル21の一端を浮屋根18の上部に取り付け、ケーブル21の他端に錘23を取り付け、壁11に凹部15を設けて摩擦部材16をはめ込むだけで、浮屋根18が損傷する虞れを低減することができ、浮屋根18の下方領域に物を取り付ける必要がない。よって、浮屋根揺動抑制装置20を取り付ける際、貯蔵液14を貯蔵タンク10から排出する必要がなく、貯蔵液14を溜めた状態で、既設の貯蔵タンク10に取り付けることができる。しかも、貯蔵液14を排出する必要がないから、短い工期で浮屋根揺動抑制装置20を既設の貯蔵タンク10に取り付けることができる。
さらに、他端に錘23を取り付けたケーブル21は、壁11をまたぐよう凹部15にはめ込み、浮屋根18の揺動に伴って摩擦部材16の上をスライド移動するよう配置してある。よって、この浮屋根揺動抑制装置20によれば、ケーブル21の移動量によらず一定の摩擦抵抗力F1を維持することができる。
さらに、ケーブル21及び摩擦部材16に、ケーブル21の摺動時、摩擦係数μ1が0.5より小となる材料を使用したので、摩擦抵抗力F1(2μW)が、錘23に作用する重力より小さいので、地震が終わった後、錘23に作用する重力によって速やかに元の状態と同様にケーブル21を張ることができる。よって、ケーブル21が弛んだ状態で維持されることがないので、次に地震が発生した場合にも浮屋根18が損傷する虞れを低減することができる。
なお、上述した実施の形態1に係る浮屋根揺動抑制装置20には、揺動抑制手段17を8ケ設けるもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、揺動抑制手段17を複数設ければ良い。設ける揺動抑制手段17の数を増加すれば、浮屋根18の揺動を一層、抑制することができ、浮屋根18が損傷する虞れを一層低減することができる。また、錘23の重量を増加すれば、浮屋根18の揺動を一層、抑制することができ、浮屋根18が損傷する虞れを一層低減することができる。
さらに、上述した実施の形態1には、熱可塑性繊維補強樹脂を用いて形成した摩擦部材16で説明した。しかし、この発明はそれに限られず、鋳鋼を用いて摩擦部材16を形成してもよい。鋳鋼を用いて摩擦部材16を形成した場合には、熱可塑性繊維補強樹脂を用いて摩擦部材16を形成した場合に比して、製造コストを安価にすることができきる。
また、上述した実施の形態1には、壁11の上部に凹部15を設け、その凹部15に摩擦部材16をはめ込み、その摩擦部材16の上をケーブル21が移動するもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、凹部15を設けず壁11の上端に摩擦部材を設け、その摩擦部材の上をケーブルが移動するようにしても良い。
加えて、図示省略するが、錘23が垂直方向にのみ移動するよう壁11の外側に、垂直方向に沿ってガイド部材を設けても良い。このようなガイド部材を設けた場合には、錘23が水平方向に移動することがないので、地震や風によって錘23が壁11に接触することを防止することができる。
また、図示省略するが、凹部15を覆うカバーを設けても良い。このようなカバーを設けた場合には、摺動部19に水等の液体がかかること、及び摺動部19に塵等の異物が入ることを防止できるので、摺動部19の耐久性を向上することができる。
加えて、上述した実施の形態1には、壁11を筒状に形成したもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、壁11を矩形状に形成しても良いし、多角形状に形成しても良い。
[実施の形態2]
図8は、本発明の実施の形態2の浮屋根揺動抑制装置を適用した貯蔵タンクを示したものである。図8に示す貯蔵タンク10aにおいて、図1及び図2に示した貯蔵タンク10と同一のものには同一の符号を付して説明を省略する。
図8に示す貯蔵タンク10aの壁11aの上端には、上述した凹部15を設ける代わりに、摩擦ダンパー24を設けてある。摩擦ダンパー24は、図示省略するが、壁11aの上端に一定間隔毎に例えば8ケ配置してある。
実施の形態2の浮屋根揺動抑制装置20aは、8ケの摩擦ダンパー24と、それに対応するよう設けた8本のケーブル21aと8ケの錘23とで構成している。
摩擦ダンパー24は、図8〜図10に示すように、定滑車(一方の部材)26と摩擦部材(他方の部材)27A,27Bと支持部材28A,28Bと皿バネ29とボルト30とナット31とを備えている。そして、実施の形態2の浮屋根揺動抑制装置20aは、定滑車26と摩擦部材27A,27Bとで揺動抑制手段25を構成してある。
定滑車26は、円柱状を成すよう形成してあり、円形状を成す両側部の中心を通過する回転軸26aが水平となるよう配置してある。定滑車26は、回転軸26aを通り、回転軸26aに沿って形成した貫通孔26bを有している。さらに、両側部を連結する柱部26cのほぼ中央には掛止溝26dを設けてある。掛止溝26dは、外周面から回転軸26aに向け、外周面に沿って柱部26cを一周するよう形成してある。
摩擦部材27A,27Bは、2つで一組を成している。各摩擦部材27A,27Bは、例えば金属材料を用いて、円柱状を成すようそれぞれ形成してあり、円形状を成す両側部の中心を通過する回転軸27aが水平となり、且つその回転軸27aが、定滑車26の回転軸26aに重なるよう配置してある。各摩擦部材27A,27Bは、回転軸27aを通り、回転軸27aに沿って形成した貫通孔27bを有している。摩擦部材27A,27Bを配置した状態では、2つの摩擦部材27A,27Bが定滑車26にそれぞれ接触し、且つそれら2つの摩擦部材27A,27Bで定滑車26を挟んでいる。
支持部材28A,28Bは、2枚で一組を成している。各支持部材28A,28Bは、板材を材料とし、上部の支持部と下部の取付部とを備えるよう略矩形状に形成してある。
支持部は、摩擦部材27A,27B、定滑車26及び皿バネ29を支持する部分である。支持部の上端は、中央が突出する態様で半円を成すよう形成してある。支持部には、貫通孔28cを設けてある。
一方、取付部は、支持部材28A,28Bを壁11aの上端に取り付ける部分である。取付部の下端中央には、壁11aの厚さに対応する凹部28dを設けてある。凹部28dは、支持部材28A,28Bの下端面から上方向に向けて形成してある。
それら2枚の支持部材28A,28Bは、2つの摩擦部材27A,27Bを挟み込むよう配置してある。支持部材28A,28Bを配置した状態では、一方の支持部材28Aの内側部に、一方の摩擦部材27Aの外側部を取り付けてあり、他方の支持部材28Bの内側部に、他方の摩擦部材27Bの外側部を取り付けてある。
皿バネ29は、4枚で一組を成している。各皿バネ29は、中央に貫通孔29aを有する円板を円錐台状に成形することで形成している。4枚の皿バネ29は、支持部材28A,28Bの外側部に2枚ずつ、皿バネ29の底部どうしが接触するよう配置してある。
定滑車26、一組の摩擦部材27A,27B、一組の支持部材28A,28B及び一組の皿バネ29は、貫通孔26b,27b,28c,29aにボルト30を貫通させ、皿バネ29が変形することで所定の反力が生じるようナット31を締め付けることで一体としてある。よって、定滑車26が回転する場合には、定滑車26と摩擦部材27A,27Bとの間に摩擦抵抗力F2による抵抗モーメント(回転抵抗力)が作用する。なお、皿バネ29とボルト30との間、及び皿バネ29とナット31との間には、外側に配置した皿バネ29の天部に接触するようワッシャ32をそれぞれ設けてある。
このように構成した摩擦ダンパー24は、支持部材28A,28Bの凹部28dを壁11aの上端にはめ込み、支持部材28A,28Bを壁11aに溶接等で一体化することで壁11aの上端に取り付けてある。よって、摩擦部材27A,27Bと定滑車26とが接触する摺動部34は、壁11aの上部に設けてある。
ケーブル21aの一端は浮屋根18の上部に取り付けてあり、ケーブル21aの他端には錘23を取り付けてある。さらにケーブル21aは、ケーブル21aの長さ方向への移動に伴って定滑車26が回転軸26aを中心に回転するよう掛止溝26dにはめ込んである。
ケーブル21aは、地震が発生した場合、地震動に貯蔵液14が共振して液面が揺動し、その液面の揺動によって浮屋根18が揺動しても、錘23が地面に接触せず、且つ錘23が定滑車26に接触しない長さとしてある。
定滑車26、ケーブル21a及び摩擦部材27A,27Bは、皿バネ29が所定の反力となるようボルト30にナット31を締め付けた場合に、ケーブル21aと定滑車26との摩擦係数が、定滑車26と摩擦部材27A,27Bとの摩擦係数μ2よりも大きくなるよう形成してある。よって、ケーブル21aが図9中、矢印で示す長さ方向に移動した場合には、ケーブル21aの移動に伴って摩擦部材27A,27Bと定滑車26とが摺動しながら定滑車26が回転する。
地震動で貯蔵液14の液面が揺動しようとする場合には、貯蔵液14の液面の揺動に伴って、浮屋根18の一方の端が上方に向けて移動しようとするとともに、浮屋根18の他方の端が下方に向けて移動しようとする。そのように浮屋根18が揺動しようとした場合には、ケーブル21aの移動に伴って、摩擦部材27A,27Bと定滑車26とが摺動しながら定滑車26が回転し、浮屋根18が有するエネルギーが摩擦により熱エネルギーとして消費されるので、浮屋根18の揺動を抑制することができる。
従って、この実施の形態2に係る浮屋根揺動抑制装置20aによれば、摩擦部材27A,27Bと定滑車26とが摺動する摺動部34を備えているので、地震動で浮屋根18が揺動しようとした場合には、摩擦部材27A,27Bと定滑車26とが摺動し、浮屋根18が有するエネルギーが摩擦により熱エネルギーとして消費されるので、浮屋根18の揺動を抑制することができ、浮屋根18が損傷する虞れを低減することができる。しかも、摺動部34を壁11aの上方に設けたので、摺動部34と貯蔵液14の液面との間隔を、浮屋根18の側部と貯蔵液14の液面との間隔よりも広くすることができ、摺動部34に貯蔵液14が触れる虞れを低減することができる。従って、貯蔵タンク10aに石油を貯蔵し、且つ摺動部34が熱を持っている場合でも、引火する虞れを低減することができる。
さらに、実施の形態2に係る発明によれば、定滑車26と摩擦部材27A,27Bと支持部材28A,28Bと皿バネ29とボルト30とナット31とを備えるだけで、浮屋根18が損傷する虞れを低減することができるので、オイルダンパー等の高価で特殊な装置を用いる必要がなく、且つ貯蔵タンク10aに補強部材を付加して浮屋根18の揺動を抑制する必要がないため、建設コストが安価な浮屋根揺動抑制装置20aを提供することができる。加えて、実施の形態2に係る浮屋根揺動抑制装置20aによれば、ケーブル21aの一端を浮屋根18の上部に取り付け、ケーブル21aの他端に錘23を取り付け、壁11aに摩擦ダンパー24を設けるだけで、浮屋根18が損傷する虞れを低減することができ、浮屋根18の下方領域に物を取り付ける必要がない。よって、浮屋根揺動抑制装置20aを取り付ける際、貯蔵液14を貯蔵タンク10aから排出する必要がなく、貯蔵液14を溜めた状態で既設の貯蔵タンク10aに取り付けることができる。しかも、貯蔵液14を排出する必要がないから、短い工期で浮屋根揺動抑制装置20aを既設の貯蔵タンク10aに取り付けることができる。
さらに、実施の形態2に係る浮屋根揺動抑制装置20aは、ケーブル21aの移動に伴って定滑車26と摩擦部材27A,27Bとが摺動するよう設けてある。よって、この浮屋根揺動抑制装置20aによれば、ケーブル21aの移動量によらず一定の摩擦抵抗力F2を維持することができる。
なお、上述した実施の形態2に係る浮屋根揺動抑制装置20aには、摩擦ダンパー24を8ケ設けるもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、摩擦ダンパー24を複数設ければ良い。設ける摩擦ダンパー24の数を増加すれば、浮屋根18の揺動を一層、抑制することができ、浮屋根18が損傷する虞れを一層低減することができる。また、摩擦部材27A,27Bと定滑車26との接触面圧を増加すれば、浮屋根18の揺動を一層、抑制することができ、浮屋根18が損傷する虞れを一層低減することができる。
さらに、図示省略するが、錘23が垂直方向にのみ移動するよう壁11aの外側に、垂直方向に沿ってガイド部材を設けても良い。このようなガイド部材を設けた場合には、錘23が水平方向に移動することがないので、地震や風によって錘23が壁11aに接触することを防止することができる。
また、図示省略するが、摩擦ダンパー24を覆うカバーを設けても良い。このようなカバーを設けた場合には、摺動部34に水等の液体がかかること、及び摺動部34に塵等の異物が入ることを防止できるので、摺動部34の耐久性を向上することができる。
加えて、上述した実施の形態2には、壁11aを筒状に形成したもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、壁11aを矩形状に形成しても良いし、多角形状に形成しても良い。
さらに、上述した実施の形態2には、摩擦ダンパー24を壁11aの上端にはめ込み、壁11aの上部に摺動部34を設けるもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、壁11aの外方領域に摩擦ダンパー24を取り付け、壁11aの外方領域に摺動部34を設けても良い。
[実施の形態3]
図11は、本発明の実施の形態3の浮屋根揺動抑制装置を適用した貯蔵タンクを示したものである。図11に示す貯蔵タンク10bにおいて、図1及び図2に示した貯蔵タンク10と同一のものには同一の符号を付して説明を省略する。
図11に示す貯蔵タンク10bは、上述した壁11に凹部15を設ける代わりに、浮屋根18の上部に摩擦ダンパー40を取り付けてある。摩擦ダンパー40は、図示省略するが、浮屋根18の縁に沿って一定間隔毎に例えば8ケ配置してある。
実施の形態3の浮屋根揺動抑制装置20bは、複数(この例では8ケ)の摩擦ダンパー40で構成してある。
各摩擦ダンパー40は、図11〜図13に示すように、回転部材(一方の部材)41と摩擦部材(他方の部材)42A,42Bと支持部材43と皿バネ44とボルト45とナット46とを備えている。実施の形態3の浮屋根揺動抑制装置20bは、回転部材41と摩擦部材42A,42Bとで揺動抑制手段48を構成してある。
回転部材41は、ゴム材で形成したタイヤであり、タイヤの回転軸41aが略水平となるよう配置してある。回転部材41の両側部には、回転部41bがそれぞれ設けてある。回転部41bは、金属材料で円板状に形成してある。回転部材41は、回転軸41aを通り、回転軸41aに沿って形成した貫通孔41cを有している。
摩擦部材42A,42Bは、2つで一組を成している。各摩擦部材42A,42Bは、円柱状を成すようそれぞれ形成してあり、円形状を成す両側部の中心を通過する回転軸42aが略水平となり、且つその回転軸42aが、回転部材41の回転軸41aに重なるよう配置してある。各摩擦部材42A,42Bは、回転軸42aを通り、回転軸42aに沿って形成した貫通孔42bを有している。摩擦部材42A,42Bを配置した状態では、2つの摩擦部材42A,42Bが回転部材41にそれぞれ接触し、且つそれら2つの摩擦部材42A,42Bで回転部材41を挟んでいる。
支持部材43は、棒状に形成してあり、下部の取付部43aと上部の支持部43bとを備えて構成してある。
取付部43aは、基端に不図示の貫通孔を有しており、その貫通孔と、浮屋根18の上部に取り付けた取付板18aの貫通孔18aaとにピン47を通すことにより、支持部材43を回動自在に浮屋根18に取り付ける部分である。取付部43aには、バネ50を取り付けるバネ取付板43dを設けてある。
支持部43bは、摩擦部材42A,42B、回転部材41及び皿バネ44を支持する部分であって、第1アーム部43bAと第2アーム部43bBとで構成され、且つ取付部43aの上端から2方向に分岐するよう形成された部分である。第1アーム部43bAと第2アーム部43bBとは、回転部材41の厚さと2つの摩擦部材42A,42Bの厚さとを合算した厚さに対応する間隔に配置してある。第1アーム部43bAの先端、及び第2アーム部43bBの先端には、貫通孔43cをそれぞれ設けてある。
第1アーム部43bAと第2アーム部43bBとの間には、回転部材41と摩擦部材42A,42Bとを挿入してある。回転部材41及び摩擦部材42A,42Bを挿入した状態では、第1アーム部43bAの内側部に、一方の摩擦部材42Aの外側部を取り付けてあり、第2アーム部43bBの内側部に、他方の摩擦部材42Bの外側部を取り付けてある。
皿バネ44は、4枚で一組を成している。各皿バネ44は、中央に貫通孔44aを有する円板を円錐台状に成形することで形成している。4枚の皿バネ44は、第1アーム部43bA及び第2アーム部43bBの外側部に2枚ずつ、皿バネ44の底部どうしが接触するよう配置してある。
回転部材41、支持部材43、一組の摩擦部材42A,42B及び一組の皿バネ44は、貫通孔41c,42b,43c,44aにボルト45を貫通させ、皿バネ44が変形することで所定の反力が生じるようナット46を締め付けることで一体としてある。よって、回転部材41が回転する場合には、回転部材41と摩擦部材42A,42Bとの間に摩擦抵抗力F3による抵抗モーメント(回転抵抗力)が作用する。なお、皿バネ44とボルト45との間、及び皿バネ44とナット46との間には、外側に配置した皿バネ44の天部に接触するようワッシャ51をそれぞれ設けてある。
このように構成した摩擦ダンパー40は、支持部材43の取付部43aで浮屋根18に取り付けてある。よって、回転部材41と摩擦部材42A,42Bとが接触する摺動部52は、浮屋根18の上部に設けてある。さらに、摩擦ダンパー40と浮屋根18との間にはバネ50を設けてあり、そのバネ50の弾性力によって、実施の形態3に係る浮屋根揺動抑制装置20bは、摩擦ダンパー40の回転部材41を貯蔵タンク10bの壁11bに押し当てている。バネ50は、浮屋根18に設けたバネ取付板18dが有する不図示のバネ取付孔と、支持部材43に設けたバネ取付板43dが有する不図示のバネ取付孔とにバネ50の端を掛け止めることによって取り付けてある。
壁11b、回転部材41、摩擦部材42A,42Bは、皿バネ44が所定の反力となるようボルト45にナット46を締め付け、且つバネ50の弾性力で回転部材41を壁11bに押し当てた場合に、壁11bと回転部材41との摩擦係数が、回転部材41と摩擦部材42A,42Bとの摩擦係数μ3よりも大きくなるよう形成してある。
地震動で貯蔵液14の液面が揺動しようとする場合には、貯蔵液14の液面の揺動に伴って、浮屋根18の一方の端が上方に向けて移動しようとするとともに、浮屋根18の他方の端が下方に向けて移動しようとする。そのように浮屋根18が揺動しようとした場合には、摩擦部材42A,42Bと回転部材41とが摺動しながら回転部材41が回転し、浮屋根18が有するエネルギーが摩擦により熱エネルギーとして消費されるので、浮屋根18の揺動を抑制することができる。
従って、この実施の形態3に係る浮屋根揺動抑制装置20bによれば、回転部材41と摩擦部材42A,42Bとが摺動する摺動部52を備えているので、地震動で浮屋根18が揺動しようとした場合には、回転部材41と摩擦部材42A,42Bとが摺動し、浮屋根18が有するエネルギーが摩擦により熱エネルギーとして消費されるので、浮屋根18の揺動を抑制することができ、浮屋根18が損傷する虞れを低減することができる。しかも、摺動部52を浮屋根18の上方に設けたので、摺動部52と貯蔵液14の液面との間隔を、浮屋根18の側部と貯蔵液14の液面との間隔よりも広くすることができ、摺動部52に貯蔵液14が触れる虞れを低減することができる。従って、貯蔵タンク10bに石油を貯蔵し、且つ摺動部52が熱を持っている場合でも、引火する虞れを低減することができる。
さらに、実施の形態3に係る発明によれば、回転部材41と摩擦部材42A,42Bと支持部材43と皿バネ44とボルト45とナット46とを備えるだけで、浮屋根18が損傷する虞れを低減することができるので、オイルダンパー等の高価で特殊な装置を用いる必要がなく、且つ貯蔵タンク10bに補強部材を付加して浮屋根18の揺動を抑制する必要がないため、建設コストが安価な浮屋根揺動抑制装置20bを提供することができる。加えて、実施の形態3に係る浮屋根揺動抑制装置20bによれば、浮屋根18の上部に摩擦ダンパー40を取り付けるだけで浮屋根18が損傷する虞れを低減することができ、浮屋根18の下方領域に物を取り付ける必要がない。よって、浮屋根揺動抑制装置20bを取り付ける際、貯蔵液14を貯蔵タンク10bから排出する必要がなく、貯蔵液14を溜めた状態で既設の貯蔵タンク10bに取り付けることができる。しかも、貯蔵液14を排出する必要がないから、短い工期で浮屋根揺動抑制装置20bを既設の貯蔵タンク10bに取り付けることができる。
さらに、実施の形態3に係る浮屋根揺動抑制装置20bは、回転部材41の回転に伴って回転部材41と摩擦部材42A,42Bとが摺動するよう設けてある。よって、この浮屋根揺動抑制装置20bによれば、一定の摩擦抵抗力F3を維持することができる。
なお、上述した実施の形態3に係る浮屋根揺動抑制装置20bには、摩擦ダンパー40を8ケ設けるもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、摩擦ダンパー40を複数設ければ良い。設ける摩擦ダンパー40の数を増加すれば、浮屋根18の揺動を一層、抑制することができ、浮屋根18が損傷する虞れを一層低減することができる。また、摩擦部材42A,42Bと回転部材41の回転部41bとの接触面圧を増加すれば、浮屋根18の揺動を一層、抑制することができ、浮屋根18が損傷する虞れを一層低減することができる。
さらに、図示省略するが、摩擦ダンパー40を覆うカバーを設けても良い。このようなカバーを設けた場合には、摺動部52に水等の液体がかかること、及び摺動部52に塵等の異物が入ることを防止できるので、摺動部52の耐久性を向上することができる。
加えて、上述した実施の形態3には、壁11bを筒状に形成したもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、壁11bを矩形状に形成しても良いし、多角形状に形成しても良い。
次に、貯蔵タンクに実施の形態1に係る浮屋根揺動抑制装置20を適用した場合の検討を行う。検討モデルは、下記のように設定してある。
円筒状に形成した貯蔵タンク10の壁11の内径Dは70[m]であり、壁11の深さHは30[m]である。貯蔵タンク10の中には、貯蔵液14を満杯まで入れてある。よって、貯蔵タンク10の貯蔵液14の貯蔵量は、11万[kl]である。浮屋根18の厚さは2[m]であり、貯蔵液14に1.5[m]浸かっている。
ケーブル21と摩擦部材16とで構成する揺動抑制手段17は、27.5[m]間隔で8ケ配置してあり、ケーブル21と摩擦部材16との摩擦係数μは0.2である。錘23の1つ当りの重量は1.0[ton]である。地震動によるケーブル21の移動量δは、±0.5[m]である。揺動抑制手段17の1つ当たりの摩擦抵抗力F1は0.4[tonf]である。
貯蔵タンク10の深さ0〜10[m]におけるスロッシング一次固有周期T1は、ハウスナーの式を用いて算出する。ハウスナーの式を下記に示す。
T1=2π√[3.67g/D・tanh(3.67h/D)]
ハウスナーの式により、上述した検討モデルにおけるスロッシング一次固有周期T1は、9.2[sec]である。
解析を容易にするため、図14に示すように、スロッシング一次固有周期と貯蔵液14の貯蔵量とが等しい矩形状に形成した壁11dを備える貯蔵タンク10dに置き換えて検討を行う。図示するように、貯蔵タンク10dは、縦の壁11dの間隔が64[m]であり、横の壁11dの間隔が60[m]である。
揺動抑制手段17が吸収するエネルギーWは、以下のように算出する。ケーブル21の張力をTo、ケーブル21の張力の変化をFとした場合には、浮屋根18の揺動によってケーブル21の張力は、To±Fの範囲で変化する。上述したように浮屋根18の揺動によるケーブル21の移動量はδであるので、図15に示すように、揺動抑制手段17が吸収するエネルギーWは、次式のように表すことができる。
W=4Fδ (i)
ところで、揺動抑制手段17が吸収するエネルギーWは、粘性減衰係数Ceq、スロッシング一次固有角振動数ω(=2π/T1)及びケーブル21の移動量δを用いた場合、次式のように表すことができる。
W=Ceq・πωδ2 (ii)
このモデルを図16に示す。
(i)式及び(ii)式より、
Ceq=4F/πωδ
ここで、摩擦抵抗力F1を0.4[tonf]、ケーブル21の移動量δを±0.5[m]と設定したこと、及びスロッシング一次固有角振動数ωが0.68[1/sec]であること(スロッシング一次固有周波数T1が9.2[sec])から、粘性減衰係数Ceqは、0.015[tonf/kine]となる。
上述した粘性減衰係数Ceq(Ceq=0.015[tonf/kine(0.15kN・sec/cm)])を1/100倍、1/10倍、1倍、10倍、100倍することでパラメータとし、スロッシング一次固有角振動数ω(=2π/T1=2π/0.92=0.108[sec])で振幅(以下、「加振振幅」と称す)が1[m]となるよう貯蔵タンク10dを揺動した場合の周波数領域での応答変位スペクトルを図17のグラフに示す。なお、この検討において、横軸は、周波数[Hz]を示している。縦軸は、加振振幅を1[m]とした場合の浮屋根18の端部の上下方向への振幅[m]を示している。
図17から明らかなように、粘性減衰係数Ceq=0.015[tonf/kine]における浮屋根端部での揺動量は、加振振幅のおよそ21倍である。粘性減衰係数Ceq=0.15[tonf/kine]における浮屋根端部での揺動量は、加振振幅のおよそ17倍である。粘性減衰係数Ceq=1.5[tonf/kine]における浮屋根端部での揺動量は、加振振幅のおよそ6.5倍である。よって、粘性減衰係数Ceqの値を10倍すれば、浮屋根18の端における揺動量をおよそ4/5以下に抑制することができ、粘性減衰係数Ceqの値を100倍すれば、浮屋根18の端における揺動量をおよそ1/3以下に抑制することができる。なお、粘性減衰係数Ceq=0.015[tonf/kine]は、揺動抑制手段1つ当りのものであって、貯蔵タンク10d全体では、この値を4倍したものとなる。従って、この検討によれば、実施の形態1に係る浮屋根揺動抑制装置20が、浮屋根18の揺動量を抑制することができることが分かった。もちろん、加振振幅が1[m]以下の揺動に対しても、浮屋根18の揺動を抑制できるのは当然である。
上記の検討を踏まえ、壁11の内径Dが70[m]であり、壁11の深さHが30[m]である円筒状に形成した貯蔵タンク10は、移動抑制手段17を5.5m間隔に40ケ設け、錘23の重量を3.0[ton]とし、ケーブル21と摩擦部材16との摩擦係数μ1を0.4とした場合、浮屋根18の上下方向への揺動量を半減することができる。
本発明に係る実施の形態1の浮屋根揺動抑制装置を適用した貯蔵タンクを示す平面図である。 図1におけるA−A線での断面図である。 図1に示した貯蔵タンクが備える壁の拡大斜視図である。 図3における矢視Bからの正面図である。 図3におけるC−C線での断面側面図である。 地震動により貯蔵液の液面が揺動しようとした場合を示す説明図である。 図1に示す浮屋根揺動抑制装置において、摩擦部材とケーブルとが摺動するときを示す説明図である。 本発明に係る実施の形態2の浮屋根揺動抑制装置を適用した貯蔵タンクを示す断面図である。 図8に示す貯蔵タンクが備える摩擦ダンパの側面図である。 図8に示す貯蔵タンクが備える摩擦ダンパの正面図である。 本発明に係る実施の形態3の浮屋根揺動抑制装置を適用した貯蔵タンクを示す断面図である。 図11に示す貯蔵タンクが備える摩擦ダンパの側面図である。 図11に示す貯蔵タンクが備える摩擦ダンパの正面図である。 筒状に形成した壁を備える貯蔵タンクを置き換えたものを示す説明図である。 揺動抑制手段が吸収するエネルギーWを算出する(i)式の説明図である。 揺動抑制手段が吸収するエネルギーWを算出する(ii)式の説明図である。 周波数[Hz]と浮屋根の端における揺動量[m]との関係を示すグラフである。 従来の浮屋根揺動抑制装置を示した側面図である。 図18に示す浮屋根揺動抑制装置が備える粘弾性部材を示す正面図である。
符号の説明
10 貯蔵タンク
10a 貯蔵タンク
10b 貯蔵タンク
11b 壁
12 貯蔵空間
14 貯蔵液
16 摩擦部材(一方の部材)
17 揺動抑制手段
18 浮屋根
19 摺動部
20 浮屋根揺動抑制装置
20a 浮屋根揺動抑制装置
20b 浮屋根揺動抑制装置
21 ケーブル(他方の部材)
25 揺動抑制手段
26 定滑車(一方の部材)
27A,27B 摩擦部材(他方の部材)
34 摺動部
41 回転部材(一方の部材)
42A,42B 摩擦部材(他方の部材)
48 揺動抑制手段
52 摺動部

Claims (2)

  1. 貯蔵液を溜める貯蔵タンクに設け、貯蔵液に浮かべた浮屋根がスロッシングで揺動することを抑制する浮屋根揺動抑制装置において、
    浮屋根の揺動によって運動する一方の部材と、一方の部材に接触する他方の部材とで構成し、一方の部材と他方の部材との摩擦によって浮屋根の揺動を抑制する揺動抑制手段を設けて成り、
    一方の部材と他方の部材とが接触する摺動部を、浮屋根の上方領域に設けたことを特徴とする浮屋根揺動抑制装置。
  2. 壁で形成する貯蔵空間に貯蔵液を溜める貯蔵タンクに設け、貯蔵液に浮かべた浮屋根がスロッシングで揺動することを抑制する浮屋根揺動抑制装置において、
    浮屋根の揺動によって運動する一方の部材と、一方の部材に接触する他方の部材とで構成し、一方の部材と他方の部材との摩擦によって浮屋根の揺動を抑制する揺動抑制手段を設けて成り、
    一方の部材と他方の部材とが接触する摺動部を、壁の上方領域又は壁の外方領域に設けたことを特徴とする浮屋根揺動抑制装置。
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