JP2006315336A - 液体吐出ヘッド及び液体吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】多数の電気接続部の高い接続信頼性を確保するとともに、製造適正に優れた液体吐出ヘッド及び液体吐出ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】フレキシブル基板64の配線パターンから圧電素子58の個別電極57へ駆動信号を伝送する配線手段として、カバー60のバンプ形成面に形成されたバンプ90とカバー60及び共通流路プレート84を貫通するように形成されたスルーホール92とを含む配線部材(第1の配線手段)と、スルーホール92を貫通するように形成されたワイヤ配線部材96(第2の配線手段)と、を有している。個別電極57には複数の電気接続部が設けられ、電気接続部のうち1つはバンプ90と導電性接合部材94を介して接合され、電気接続部のうち他の1つはワイヤ配線部材96と導電性接合部材100を介して電気的に接合される。
【選択図】 図4
【解決手段】フレキシブル基板64の配線パターンから圧電素子58の個別電極57へ駆動信号を伝送する配線手段として、カバー60のバンプ形成面に形成されたバンプ90とカバー60及び共通流路プレート84を貫通するように形成されたスルーホール92とを含む配線部材(第1の配線手段)と、スルーホール92を貫通するように形成されたワイヤ配線部材96(第2の配線手段)と、を有している。個別電極57には複数の電気接続部が設けられ、電気接続部のうち1つはバンプ90と導電性接合部材94を介して接合され、電気接続部のうち他の1つはワイヤ配線部材96と導電性接合部材100を介して電気的に接合される。
【選択図】 図4
Description
本発明は、液体吐出ヘッド及び液体吐出ヘッドの製造方法に係り、特にノズルや圧力室などを含む多数の吐出素子が高密度に配置された液体吐出ヘッドにおける電気配線の接続技術に関する。
従来より画像形成装置として、ノズルや圧力室などを含んだ多数の吐出素子を配列させたインクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)を有し、このインクジェットヘッドと記録媒体を相対的に移動させながら吐出素子から記録媒体に向けてインクを吐出することにより、記録媒体上に画像を記録するインクジェット記録装置が知られている。
このようなインクジェット記録装置は、インク供給系から圧力室にインクを供給し、画像データに応じた電気信号によりアクチュエータを駆動して圧力室内のインクをノズルから吐出し、このインク滴によって記録媒体上に形成されるドットを組み合わせることによって記録媒体上に所望の画像が形成される。近年はインクジェット記録装置を用いて記録される画像にも写真プリント並みの高画質が望まれており、これに対してノズル径を微細化しノズルから吐出されるインク液滴のサイズを小さくすることで記録媒体上に形成されるドットを微細化するとともに、ノズルを高密度に配列して単位面積あたりの画素数を多くすることで高解像度化することで高画質を実現することが考えられている。
一方、ノズル及び圧力室、アクチュエータなどを含んだ多数の吐出素子を高密度に配列するには、アクチュエータへ駆動信号を与える電気配線の構造や電極との接続方法を工夫する必要があり、これに関して様々な提案がなされている。
例えば、特許文献1に記載された発明は、圧電素子側にノズルを配置し、シリコンのフォトエッチングを用いてヘッドを形成することで、ノズルの高密度配置や低コストが実現されている。
また、特許文献2に記載された発明は、インク供給板に焼結ステンレス鋼などの多数の小さな内部接続された孔を有する多孔質材を用いることで、この部分のインクの通過を可能とし、リフィル性、インク調合性、濾過性に優れたインクジェットヘッドが実現されている。
更に、特許文献3に記載された発明は、圧電素子とは反対側の領域に設けた実装部に駆動用配線を接続することで構造の簡略化を図るように構成されている。
特開2000−289201号公報
特表2003−512211号公報
特開2003−136721号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の発明は、アルミプラグが積層を貫通する構造の形成プロセスにシリコンのフォトエッチングを用いているので、深い電極の形成やヘッドの大型化が難しいという問題がある。
また、上記特許文献2に記載の発明は、絶縁板の両面にバンプを形成し、弾性パッドで圧電素子を加圧して電極を取り出す構造を採用しているが、高密度化が難しく、接続も不安定になりやすいという問題がある。
更に、上記特許文献3に記載の発明は、開示された配線パターンやワイヤボンディングによる接続、薄膜での電極取り出しなので、細く深い配線を形成するのは難しいという問題がある。
また、上記特許文献1乃至3に記載された発明では、圧電素子の駆動信号印加電極への配線手段を1種類しか備えていないので、特に、ノズルや圧力室を含む多数の吐出素子が高密度に配置された液体吐出ヘッドでは、圧電素子の駆動信号印加電極と配線手段との接合信頼性が低下しやすいという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、多数の電気接続部の高い接続信頼性を確保するとともに、製造適正に優れた液体吐出ヘッド及び液体吐出ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明に係る液体吐出ヘッドは、液体を吐出させる複数のノズルと、前記複数のノズルに対応して設けられた圧力室と、各圧力室を構成する壁面に設けられ駆動信号が印加される駆動信号印加電極を有する複数の吐出力発生素子と、前記駆動信号が伝送される配線パターンを含む配線パターンが形成される配線基板と、を備えた液体吐出ヘッドであって、前記配線基板に形成される配線パターンと前記吐出力発生素子の駆動信号印加電極とを導通させる第1の配線手段及び第2の配線手段を含む複数の配線手段を有し、前記複数の吐出力発生素子のうち少なくとも1つは、前記第1の配線手段及び前記第2の配線手段のうち少なくとも何れか一方によって当該吐出力発生素子の駆動信号印加電極が前記配線基板に形成される配線パターンと電気的に接合されることを特徴とする。
本発明によれば、吐出力発生素子の駆動信号が印加される駆動信号印加電極と配線基板に設けられた駆動信号が伝送される配線パターンとを電気的に接合する配線手段として第1の配線手段及び第2の配線手段を含む複数の配線手段を備え、該駆動信号印加電極と該配線パターンとを、第1の配線手段及び第2の配線手段のうち少なくとも何れか一方によって接合するように構成されるので、駆動信号印加電極と配線パターンとの電気的接合の信頼性向上が見込まれる。
配線基板には、ガラスエポキシやポリイミドなどの樹脂材料や感光性ガラスなどを基材(絶縁層)として、この基材に金、プラチナ、銅などの金属薄膜がパターンニングされた配線パターン(配線層)が設けられている。基板の種類としては、複数の絶縁層と配線層とを交互に積層させた多層基板や、1つの絶縁層の一方の面に配線層が形成される片面基板や1つの絶縁層の両面に配線層が形成される両面基板などがある。更に、金属材料やセラミック材料などが適用される放熱層を備える態様もある。配線基板の表面(裏面)に配線層が形成される態様では、配線層が表面に露出しないようにレジスト層などの保護層が設けられる。
なお、配線基板に設けられる配線パターンには、ICなどの電子デバイスやコネクタなどの部品が搭載されるパッドやスルーホール、外部配線などが設けられる取出電極が含まれる。
吐出力発生素子には、スパッタ、AD法(エアロゾルデポジション法)などで形成されたPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの圧電体(圧電アクチュエータ)が好適に用いられる。
液体吐出ヘッドには、記録媒体の全幅(記録媒体の画像形成可能幅)に対応した長さの吐出孔列を有するライン型ヘッドや、記録媒体の全幅に満たない長さの吐出孔列を有する短尺ヘッドを記録媒体の幅の方向へ走査させるシリアル型ヘッドがある。
ライン型の液体吐出ヘッドには、記録媒体の全幅に対応する長さに満たない短尺の吐出孔列を有する短尺ヘッドを台形状や千鳥状に配列して繋ぎ合わせて、記録媒体の全幅に対応する長さとしてもよい。なお、多数の吐出力発生素子が2次元状に配置され、多数の電気的接合部を有している記録媒体のページ幅に対応した長さを有する長尺ヘッドに対して本発明を適用すると特に大きな効果を得ることが見込まれる。
なお、圧力室の圧力を検出する圧力検出素子を備える態様では、圧力検出素子から得られるセンサ信号(検出信号)が伝送される配線手段として、第1の配線手段及び第2の配線手段を含む配線手段を適用してもよい。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の液体吐出ヘッドの一態様に係り、前記吐出力発生素子の前記駆動信号印加電極と対向する面を有し、前記配線基板を含む構造体を備え、前記第1の配線手段及び前記第2の配線手段は、前記構造体に設けられることを特徴とする。
この配線基板を含む構造体には、液体吐出ヘッドから吐出される液体の流路、該液体が収容される液室などが設けられていてもよい。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の液体吐出ヘッドの一態様に係り、前記第1の配線手段は、前記構造体の少なくとも一部を貫通するように形成され前記配線基板に形成される配線パターンと導通するスルーホールと、前記構造体の前記吐出力発生素子の駆動信号印加電極と対向する面に形成され、前記スルーホールと導通する接合電極と、を含むことを特徴とする。
即ち、配線基板に形成された配線パターンと吐出力発生素子の駆動信号印加電極は、構造体の少なくとも一部を貫通するように形成されたスルーホールと、該スルーホールと導通する接合電極を含んで構成される第1の配線手段を介して電気的に接合される。
構造体に設けられた接合電極は凸形状を有するバンプが含まれる。構造体に設けられる複数の接合電極(バンプ)には、それぞれの高さを揃えるレベリング処理が施される態様が好ましい。なお、接合電極が障害物のない平面上に形成されると、複数の接合電極に対して一括にレベリング処理を施すことができ、より好ましい。
構造体に設けられた接合電極と吐出力発生素子の駆動信号印加電極との電気的接合には、導電性接着剤などの導電性接合部材が好適に用いられる。この導電性接合部材に、紫外線や電子線を照射して硬化させる輻射線硬化型の導電性接合部材が適用される場合には、構造体に設けられたスルーホールを利用して液体吐出ヘッドの外部から該輻射線硬化型の導電性接合部材に対して輻射線を照射することができる。
また、導電性接合部材を硬化させる際にガスが発生しても、スルーホールからこのガスを液体吐出ヘッドの外部へ排出させることができる。
請求項4記載の発明は、請求項2又は3記載の液体吐出ヘッドの一態様に係り、前記第2の配線手段は、前記構造体の少なくとも一部を貫通するように設けられ前記配線基板に形成される配線パターンと導通する柱状配線部材を含むことを特徴とする。
即ち、配線基板に形成された配線パターンと吐出力発生素子の駆動信号印加電極は、構造体の少なくとも一部を貫通するように設けられた柱状配線部材を介して電気的に接合される。柱状導電性部材には、棒状の配線部材を適用する態様や、ペースト状の配線部材を適用する態様がある。
構造体に設けられた柱状配線部材と吐出力発生素子の駆動信号印加電極との電気的接合には、導電性接着剤やはんだなどの導電性接合部材が好適に用いられる。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の液体吐出ヘッドの一態様に係り、前記柱状配線部材は、前記スルーホールの内部に設けられることを特徴とする。
この柱状導電部材はスルーホールと電気的に接合される態様が好ましい。柱状導電部材とスルーホールとの電気的接合には、はんだ(はんだペースト)や導電性接着剤などの導電性接合部材を用いるとよい。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の液体吐出ヘッドの一態様に係り、前記柱状配線部材の表面及び前記スルーホールの内部のうち少なくとも何れか一方に突起を有することを特徴とする。
請求項6記載の発明によれば、柱状配線部材とスルーホールとを導電性接合部材によって電気的に接合する際に、柱状配線部材の表面及び前記スルーホールの内部のうち少なくとも何れか一方に形成された突起を接合部材溜りとして利用することができ、柱状配線部材の固定が安定する。
柱状配線部材の表面及びスルーホールの内部のうち少なくとも何れか一方に形成された突起を弾性変形可能に構成すると、柱状配線部材と吐出力発生素子の駆動信号印加電極とを接合する際に与圧をかけることが可能になり、効率的で安定な接合が可能になる。
柱状配線部材の表面に形成される突起は柱状配線部材の表面の円周方向の一部に形成されていればよく、スルーホールの内部に形成される突起もまたスルーホールの内部の円周方向の一部に形成されていればよい。
柱状配線部材の円周方向の一部及びスルーホール内部の円周方向の一部に突起を形成すると、柱状配線部材と吐出力発生の駆動信号印加電極とを接合する接合部材に輻射線効果型接合部材を用いる際に突起の隙間を利用して輻射線の照射が可能になり、柱状配線部材と吐出力発生の駆動信号印加電極とを接合する際に発生する気体を該隙間を利用して外部に排出させることができる。
また、上記目的を達成するために本発明に係る画像形成装置は、請求項1乃至6のうち何れか1項に記載の液体吐出ヘッドを備えたことを特徴とする。
また、上記目的を達成するために本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法は、液体を吐出させる複数のノズルと、前記複数のノズルに対応して設けられた圧力室と、各圧力室を構成する壁面に設けられ駆動信号が印加される駆動信号印加電極を有する複数の吐出力発生素子と、前記駆動信号が伝送される配線パターンを含む配線パターンが形成される配線基板と、を備えた液体吐出ヘッドの製造方法であって、第1の配線手段を用いて前記配線パターンと前記吐出力発生素子の駆動信号印加電極とを電気的に接合する第1の接合工程と、第2の配線手段を用いて前記配線パターンと前記吐出力発生素子の駆動信号印加電極とを電気的に接合する第2の接合工程と、を含むことを特徴とする。
第1の接合工程及び第2の接合工程において接合された配線パターンと吐出力発生素子の駆動信号印加電極との導通を検査する電気接合検査工程を含む態様が好ましい。
また、上記目的を達成するために本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法は、液体を吐出させる複数のノズルと、前記複数のノズルに対応して設けられた圧力室と、各圧力室を構成する壁面に設けられ駆動信号が印加される駆動信号印加電極を有する複数の吐出力発生素子と、前記駆動信号が伝送される配線パターンを含む配線パターンが形成される配線基板と、を備えた液体吐出ヘッドの製造方法であって、第1の配線手段を用いて前記配線パターンと前記吐出力発生素子の駆動信号印加電極とを電気的に接合する第1の接合工程と、前記第1の接合工程において接合された前記配線パターンと前記吐出力発生素子の駆動信号印加電極との導通を検査する電気接合検査工程と、前記電気接合検査工程において、前記第1の接合工程において接合された前記配線パターンと前記吐出力発生素子の駆動信号印加電極との間が導通異常であると判断されると、第2の配線手段を用いて前記配線パターンと当該吐出力発生素子の駆動信号印加電極とを電気的に接合する第2の接合工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、電気接合検査工程において、第1の配線手段を用いた配線基板の配線パターンと吐出力発生素子の駆動信号印加電極との電気的接合に接合不良が発生していると判断されると、第2の配線手段を用いて配線基板の配線パターンと吐出力発生の駆動信号印加電極とを電気的に接合するように構成されるので、配線基板の配線パターンと吐出力発生の駆動信号印加電極との電気的接合を確実に行うことができる。
なお、電気接合検査工程において接合不良が発生していないと判断された場合には、第2の接合工程を省略する態様も可能である。また、第2の接合工程において接合された前記配線パターンと前記吐出力発生の駆動信号印加電極との導通を検査する第2の電気接合検査工程を含む態様が好ましい。
なお、電気接合検査工程において接合不良が発生していないと判断された場合には、第2の接合工程を省略する態様も可能である。また、第2の接合工程において接合された前記配線パターンと前記吐出力発生の駆動信号印加電極との導通を検査する第2の電気接合検査工程を含む態様が好ましい。
本発明によれば、吐出力発生素子の駆動信号が印加される駆動信号印加電極と配線基板に設けられた駆動信号が伝送される配線パターンとを電気的に接合する配線手段として第1の配線手段及び第2の配線手段を含む複数の配線手段を備え、該駆動信号印加電極と該配線パターンとを、第1の配線手段及び第2の配線手段のうち少なくとも何れか一方によって接合するように構成されるので、駆動信号印加電極と配線パターンとの電気的接合の信頼性向上が見込まれる。
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図1は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示したように、このインクジェット記録装置10は、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各インクに対応して設けられた複数のインクジェットヘッド(以下、ヘッドという。)12K,12C,12M,12Yを有する印字部12と、各ヘッド12K,12C,12M,12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録媒体たる記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26と、を備えている。
図1は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示したように、このインクジェット記録装置10は、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各インクに対応して設けられた複数のインクジェットヘッド(以下、ヘッドという。)12K,12C,12M,12Yを有する印字部12と、各ヘッド12K,12C,12M,12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録媒体たる記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26と、を備えている。
インク貯蔵/装填部14は、各ヘッド12K,12C,12M,12Yに対応する色のインクを貯蔵するインク供給タンクを有し、各タンクは所要の管路を介してヘッド12K,12C,12M,12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録媒体の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター(第1のカッター)28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置される。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト33は、記録紙16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。図1に示したとおり、ローラ31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けられており、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによって記録紙16がベルト33上に吸着保持される。
ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方にモータ(不図示)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1上の時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は図1の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹き付け、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部12の各ヘッド12K,12C,12M,12Yは、当該インクジェット記録装置10が対象とする記録紙16の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの記録媒体の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図2参照)。
ヘッド12K,12C,12M,12Yは、記録紙16の送り方向に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順に配置され、それぞれのヘッド12K,12C,12M,12Yが記録紙16の搬送方向(以下、紙送り方向と記載)延在するように固定設置される。
吸着ベルト搬送部22により記録紙16を搬送しつつ各ヘッド12K,12C,12M,12Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド12K,12C,12M,12Yを色別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(即ち1回の副走査で)、記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、記録ヘッドが紙搬送方向と直交する方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。更に、記録紙16上でインク色材を凝集又は不溶化させて、記録紙16上でインク色材とインク色材とを分離させる2液系のインクジェット記録装置では、処理液を記録紙16に付着させる手段としてインクジェットヘッドを備えてもよい。
印字部12の後段には後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
加熱・加圧部44によって記録紙16を押圧すると、多孔質のペーパーに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパーの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
こうして生成されたプリント物は排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成される。
また、図1には示さないが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
〔ヘッドの構造〕
次に、ヘッドの構造について説明する。色別の各ヘッド12K,12C,12M,12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によってヘッドを示すものとする。
次に、ヘッドの構造について説明する。色別の各ヘッド12K,12C,12M,12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によってヘッドを示すものとする。
図3(a) はヘッド50(液体吐出ヘッド)の概略の構造例を示す平面透視図、図3(b) はその一部の拡大図であり、図3(c) はヘッド50の他の構造例を示す平面透視図である。記録紙16上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド50は、図3(a),(b) に示したように、インク滴の吐出孔であるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等を含む複数の吐出素子53を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
図3(b) に示すように、吐出素子53を主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
即ち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってノズル51(吐出素子53)を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されず、副走査方向に1列のノズル列を有する配置構造など、様々なノズル配置構造を適用できる。また、記録紙16の送り方向と略直交する方向に記録紙16の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図3(a) の構成に代えて、図3(c) に示すように、複数のノズル51が2次元に配列された短尺のヘッドブロック50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙16の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
また、各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略平行四辺形(図5参照、図を簡略化するために図3には平面形状が概略正方形の圧力室52を図示)となっており、対角線上の両隅部にノズル51と供給口54が設けられている。各圧力室52は供給口54を介して共通流路(図3(a)〜(c)には不図示、図4に符合55で図示)と連通されている。この共通流路は不図示のインク供給系と連通されており、該インク供給系から供給されるインクは該共通流路を介して各圧力室52に分配供給される。
図4は、ヘッド50の立体構造を示す断面図である。本例に示すヘッド50は、ノズル51と連通する圧力室52の天面が振動板56で形成され、振動板56の圧力室52の反対側には共通流路55(支流55A)が設けられている。この共通流路55は、本流(図4中不図示、図7に符号55Cで図示)と該本流から分岐された複数の支流55Aとを有しており、支流55Aから振動板56に設けられた供給絞り54B及びインク流路54Aを介して圧力室52へインクが供給される。
このように、振動板56をはさんで圧力室52と共通流路55とを配置し、圧力室52と共通流路55とを短い長さを持つ管路(本例では、供給口54及びインク流路54A、供給絞り54B)でつなぐ構成によれば、比較的高い粘度を有するインクを用いる場合にも、高い吐出周波数による好ましいインク吐出が実現される。
また、振動板56の圧力室52と反対側の面には、その上面(振動板56と反対側の面)に個別電極57(駆動信号印加電極)を備えた圧電体(圧電素子)58(吐出力発生素子)が形成される。圧電体58には、スパッタやAD法などで形成されたPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などが好適に用いられる。
本例に示す振動板56にはステンレスが用いられ、振動板56は圧電体58の共通電極としても機能する。即ち、圧電体58は振動板56と兼用される共通電極と個別電極57との間に圧電体層が形成される構造を有している。なお、振動板56に樹脂やセラミックなどの金属以外の材料(非導電性を有する材料)が用いられる場合には、振動板56の圧電体配設面(圧電体58の個別電極57と反対側の面)には金属材料から成る共通電極が形成される。
圧電体58の上部には、該圧電体58を共通流路55内のインクから保護するとともに、圧電体58の個別電極57及び共通電極(振動板56)と共通流路55内のインクとの絶縁を確保するために圧電体カバー60が設けられている。圧電体58の上部と圧電体カバー60との間には所定のクリアランス(空間)が設けられており、圧電体58が駆動される際に圧電体58(振動板56)のたわみ変形が圧電体カバー60によって拘束されず、更に、ダンピング特性を持たせることができ、吐出時におけるクロストークが軽減される。言い換えると、圧電体カバー60は圧電体58側に圧電体58に対応した凹部62が設けられている。なお、この凹部62は空間として形成されてもよいし、圧電体カバー60に比べて剛性が低い部材が凹部62に充填されていてもよい。
共通流路55の振動板56と反対側には、圧電体58へ与える駆動信号が伝送される配線パターン(不図示)が形成されたフレキシブル基板64(配線基板)が接合される。フレキシブル基板64には、ポリイミドなどの樹脂材料に銅などの導電材料によって所定の回路パターンに応じた配線パターン(パターン層)が形成されている。この配線パターンには該配線パターンの取出電極(不図示)が適宜形成されている。
複数の絶縁層及び複数のパターン層を交互に積層させた多層基板を用いると、フレキシブル基板64の配線パターンを高密度に形成することができる。なお、図示は省略するが、圧電体58に与える駆動信号を生成するドライバICやこれに付随するメモリなどの電子デバイスや配線取出用のコネクタなどをフレキシブル基板64に搭載してもよい。
また、図4に示すように、本例に示すヘッド50はインクの流路や液室となる開口や穴などが形成された複数のキャビティプレート(薄板状部材)を積層させた構造を有している。即ち、ヘッド50は、ノズル51が形成されるノズルプレート70と、ノズル51と圧力室52とを連通させるノズル流路72が形成されるノズル流路プレート74と、圧力室52の底面を形成し、ステンレスのバックプレート78AにPVDFなどの圧電体78Bが積層されたセンサプレート78と、圧力室52となる開口や供給口54、インク流路54Aとなる溝部が形成される圧力室プレート80と、供給絞り54Bが設けられる振動板56と、圧電体カバー60と、共通流路55(支流55A)となる空間が形成される共通流路プレート84(共通形状のスタック部分)と、図4には図示しないインク流路の本流やエアダンパとして機能する空間部86が形成され、支流55Aなどのインクの流路を密閉する密閉プレート88と、圧電体58へ与える駆動信号や圧電体78Bからけられるセンサ信号を伝送する配線が形成されるフレキシブル基板64と、を順に積層させた構造を有している。
なお、各プレートは複数のプレートから構成されていてもよく、例えば、図4では、圧力室プレート80は両面エッチングされた複数のステンレスプレートから構成されている。もちろん、圧力室プレート80はステンレスのプレートを多段エッチングして形成してもよい。
センサプレート78には、各圧力室52に対応してセンサ信号を取り出すための個別電極(不図示)を含んだ電極が設けられている。この電極はPVDFをはさんでPVDFの表裏面に形成され、該電極のPVDFと反対側の面には保護膜(不図示)が形成される。PVDFの表面或いは裏面に形成された電極のうち、一方の電極は不図示の配線によってセンサ信号取出電極102と導通される個別電極として機能し、他方の電極は共通電極(センサ信号の基準電位)として機能する。即ち、各圧力室52に対応して形成された個別電極が形成された領域は圧力検出部(圧力センサ)76として機能する。
密閉プレート88に設けられる空洞部86は、圧電体カバー60と同様にエアダンパとして機能し、インク吐出時のクロストークを軽減させる。
圧電体カバー60の圧電体58と対向するバンプ形成面(図4では不図示、図10に符号60Bで図示)にはバンプ(駆動信号用バンプ)90(接合電極)が形成されている。圧電体カバー60のバンプ形成面に形成されるバンプ90は、密閉プレート88、共通流路プレート84及び圧電体カバー60を貫通し、バンプ90の近傍に形成されるスルーホール(駆動信号用スルーホール)92と導通するように形成されており、個別電極57と導電性接着剤などの導電性接合部材94によって電気的に接合される。
また、スルーホール92のバンプ90との接合部と反対側の端部は、はんだや導電性接着剤などの導電性接合部材を介してフレキシブル基板64に形成される配線パターンや該配線パターンに設けられる取出電極(以下、該配線パターンと該取出電極とを配線パターンと記載)と電気的に接合される。
即ち、圧電体58に与えられる駆動信号は、スルーホール92とバンプ90とを含んで構成される配線部材によって不図示のドライバICから圧電体58の個別電極57へ伝送される。
また、個別電極57と圧電体カバー60に形成されたバンプ90とを接合する導電性接合部材94を硬化させる際に発生するガスを、バンプ90の近傍に設けられ外気に連通するスルーホール92を用いてヘッド50の外部に排出させることができる。導電性接合部材94に紫外線照射型接合部材を用いる場合に、スルーホール92を用いて導電性接合部材94へ紫外線照射を行うことができる。なお、紫外線(UV光)の照射方向は図5に矢印線で示すとおりである。
また、スルーホール92の内部を貫通するようにワイヤ配線部材(駆動信号用ワイヤ配線部材)96(柱状配線部材)が形成され、このワイヤ配線部材96の一方の端部はフレキシブル基板64に形成される配線パターンとはんだや導電性接着剤などの導電性接合部材98によって電気的に接合され、他方の端部は圧電体58の個別電極57と導電性接着剤などの導電性接合部材100によって電気的に接合される。
即ち、図4に示すように、ヘッド50は、圧電体58に与える駆動信号を伝送する配線部材(配線手段)として、スルーホール92と該スルーホール92と導通するバンプ90及びワイヤ配線部材96を有し、このような複数の配線部材の少なくとも何れか一方によって圧電体58の個別電極57はフレキシブル基板64に形成される配線と電気的に接合される。言い換えると、各個別電極57に対して複数の電気接合部を配置し、該複数の電気接合部のうち1つによって圧電体カバー60に設けられたバンプ90(スルーホール92)と電気的に接合され、他の1つによってスルーホール92を貫通するように形成されたワイヤ配線部材96と電気的に接合される。
なお、圧力室52に設けられた圧力検出部76から得られるセンサ信号をフレキシブル基板64に伝送する配線部材(配線手段)にも上述した駆動信号を伝送する配線部材の持つ同様の配線構造を適用可能である。
即ち、各圧力室52に対応して設けられた圧力検出部76からセンサ信号が取り出されるセンサ信号取出電極102は、圧力室プレート80及び振動板56を貫通し(図4では、センサ信号取出電極102が振動板56を貫通する部分は不図示)、振動板56の圧電体58が配設される圧電体配設面に露出するように形成される。なお、振動板56が圧電体58の共通電極と兼用される場合には、少なくともセンサ信号取出電極102の振動板56と接触する部分には絶縁処理が施される。もちろん、センサ信号取出電極102の圧力室プレート80及び振動板56を貫通する部分全体に絶縁処理を施してもよい。
このように振動板56の圧電体配設面に取り出されたセンサ信号取出電極102は、圧電体カバー60のバンプ形成面に形成されたバンプ(センサ用バンプ、図7に符号120で図示)と導電性接合部材を介して電気的に接合される。このセンサ用バンプは圧電体カバー60及び共通流路プレート84、密閉プレート88を貫通し、該センサ用バンプの近傍に形成されたスルーホール(センサ用スルーホール)104と導通し、スルーホール104の他方の端部はフレキシブル基板64に形成されるセンサ信号を伝送する配線パターンと導電性接合部材を介して電気的に接合される。
更に、スルーホール104の内部を貫通するようにワイヤ配線部材(センサ用ワイヤ配線部材)106が形成され、ワイヤ配線部材106の一方の端部はセンサ信号取出電極102(或いは、センサ信号取出電極102から引き出された取出電極)と電気的に接合され、他方の端部はフレキシブル基板64のセンサ用配線(センサ用取出電極)と電気的に接合される。
図5は、スルーホール92(104)とワイヤ配線部材96(106)の詳細な構造を示す断面図である。なお、駆動信号用スルーホール92及びセンサ用スルーホール104、駆動信号用ワイヤ配線部材96及びセンサ用ワイヤ配線106は、同一構造を有しており、ここでは、駆動用スルーホール92及び駆動用ワイヤ配線部材96を例に挙げて説明する。なお、図5では、フレキシブル基板64及びヘッド50を構成する一部のプレートが省略されている。
図5に示すように、スルーホール92には、複数の突起部110が形成されている。スルーホール92となる各プレートに形成された貫通穴を両面からのハーフエッチングで形成することで、各プレートに形成された貫通穴の略中央部には円周方向に沿って突起部110が形成される。このような貫通穴が形成された複数のプレートを接合した後に、該貫通穴に対して金や銅などを用いたメッキ処理を施すことで、図5に示すような複数の突起部110を有するスルーホール92が形成される。なお、該突起部110は、複数のプレートのうち一部のプレートに設けられていてもよいし、全てのプレートに設けられていてもよい。
また、図5に示すように、ワイヤ配線部材96には複数の突起部112が形成されており、スルーホール92に形成される突起部110及びワイヤ配線部材96に形成される突起部112(スルーホール92及びワイヤ配線部材96の凹凸形状)を利用して、ワイヤ配線部材96の抜けを防止することができる。更に、ワイヤ配線部材96の突起部112が導電性を有していれば、スルーホール92との電気接続も可能となり、電気的な接続の信頼性が一層向上する。
なお、図5には、スルーホール92及びワイヤ配線部材96に突起部110,112が形成される態様を示したが、スルーホール92及びワイヤ配線部材96のうち少なくとも何れか一方に突起部110(112)を設けておいてもよい。また複数の突起部110を有するスルーホール92及び、複数の突起部112を有するワイヤ配線部材96を示したが、スルーホール92は少なくとも1つの突起部110を有していればよく、また、ワイヤ配線部材96は少なくとも1つの突起部112を有していればよい。更に、ワイヤ配線部材96に設けられる突起部112は弾性を有しているとより好ましい。
図6(a),(b)に、ワイヤ配線部材96(106)の詳細な構造を示す。図6(a)は、ワイヤ配線部材96の一部を拡大した拡大図であり、図6(b)は、ワイヤ配線部材96の図6(a)の6b−6b線に沿う断面図である。図6(b)に示すように、ワイヤ配線部材96の円周方向の一部に複数の突起部112が設けられている。図6には円周方向に沿って4つの突起部112を有するワイヤ配線部材96を図示したが、突起部112は少なくとも1つ設けられていればよい。このようにしてワイヤ配線部材96の円周方向の一部に突起部112を設けることで、ワイヤ配線部材96によってスルーホール92を塞ぐことなく、導電性接合部材100を硬化させる際に発生するガスをヘッド50の外部に排出させることができ、導電性接合部材100に紫外線照射型の接合部材を用いる場合には、スルーホール92を利用して紫外線照射を行うことができる。更に、スルーホール92に設けられる突起部110と、ワイヤ配線部材96に設けられる突起部112と、を図5に示すように係合させることで、ワイヤ配線部材96の抜け防止となる。なお、図6(b)にはスルーホール92とスルーホール92に設けられた突起部110が破線で図示されている。
ここで、図7に図3(a)の一部を拡大した拡大図を示す。図7に示すように、ヘッド50の共通流路55は、本流55Cと、本流55Cから分岐して各圧力室にインクを供給する支流55Aと、を有して構成される。本例に示すヘッド50は、1つの支流55Aが列方向(図3 (b)参照)に沿って並べられた複数の圧力室52(図3(a)では6個の圧力室52)に対してインクを供給するように構成されている。言い換えると、ヘッド50は、列方向に沿って形成される支流55Aを主走査方向に沿って複数並べた構造を有し、隣り合う支流55Aの間には隔壁55Bが形成されている。この隣り合う支流55Aを隔てる隔壁55Bを貫通するように、図4等に示すスルーホール92(104)が形成される。
なお、図7には同図の下側に本流55Cを図示したが、本流55Cは支流55Aの両端部(図7における上下の端部)に図7の左右方向に延びて配置されている。インクは一方の本流55Cから支流55Aを経由して他方の本流55Cへ流し、図示しないインクタンクを経由して循環させることで気泡排除性や粘度の安定化、更には圧電体58の冷却を行うことも可能である。
また、図4ではセンサ用スルーホール104を1つだけ図示したが、図4は図7のAで示す方向から見た図に対応しており、図4では図7に示した2つのセンサ用スルーホール104のうち1つのセンサ用スルーホール104は駆動信号用スルーホール92と重なるために、図4では駆動信号用スルーホール92と重なるセンサ用スルーホール104は図示されていない。
更に、図7に示すように、圧電体58の個別電極57は、略平行四辺形形状の圧力室52の全面を覆い、更に、スルーホール92及びバンプ90と対向するように形成されている。個別電極57のスルーホール92及びバンプ90と対向する部分に電気接合部が設けられ、個別電極57はバンプ90及びワイヤ配線部材96と該電気接合部で接合される。
図7に破線で図示する符号130は、圧電体カバー60の半抜き部分を表している。この圧電体カバー60の半抜き部分130は、凹部132と凸部134を有する曲線形状となっている。この圧電体カバー60の凸部134にはスルーホール92が形成され、また、凹部132にはインク流路54Aにインクを供給するための供給絞り54Bが形成されている。このような半抜き部分130が曲面形状を有する圧電体カバー60の圧電体58と対向する面に設けられるバンプ90,120は、凸部134を避けたエリア136に形成される。なお、図7に示す斜線ハッチング部分(符号60A)は、圧電体カバー60が上下の部材と接合される部分である。
〔ヘッドの製造工程の説明〕
次に、ヘッド50の製造工程について詳述する。図8に、ヘッド50の製造工程を示し、図9にはヘッド50の検査工程を示す。
〔ヘッドの製造工程の説明〕
次に、ヘッド50の製造工程について詳述する。図8に、ヘッド50の製造工程を示し、図9にはヘッド50の検査工程を示す。
図8に示すように、ヘッド50の製造工程は、図10に示す上層部300が形成される上層部形成工程(ステップS200)と、図11に示す中層部310が形成される中層部形成工程(ステップS210)と、図12に示す下層部320が形成される下層部形成工程(ステップS220)と、図10〜図12に示す上層部300、中層部310、下層部320がそれぞれ接合される接合工程(ステップS230)と、を含んで構成される。また、上述した各工程を経た後に、図9に示す電気接合検査工程(ステップS240)によって電気接合検査が行われる。
図8に示す上層部形成工程(ステップS200)では、圧電体カバー60、共通流路プレート84及び密閉プレート88が拡散接合によって接合される。上層部形成工程(ステップS200)で形成される各プレートにはステンレスが用いられる。
圧電体カバー60は、ステンレスの両面エッチングによってスルーホール92(104)の一部となる貫通穴60Aと、圧電体58に対応する凹部62が形成される。
また、共通流路プレート84を構成する各プレートは、ステンレスの両面エッチングによってスルーホール92(104)や共通流路55が形成される。密閉プレート88に形成されるエアダンパとなる空洞部86はハーフエッチングによって形成される。
上層部300を構成する各プレートが接合されると、電着塗装によって絶縁処理が施され、金や銅などの無電解メッキによってスルーホール92(104)が形成される。なお、図10では、スルーホール92(104)に形成される突起部110(112)は図示を省略している。
次いで、圧電体カバー60のバンプ形成面60Bに駆動信号用バンプ90及び圧力検出部用バンプ120が、金線のワイヤボンディングによって形成される。
なお、バンプ90(120)は、スルーホール92(104)の無電界メッキ処理(導電処理)後に、ニッケルなどの電気メッキで一括形成してもよい。
このようにして形成されたバンプ90(120)には、高さをそろえるためのレベリング処理が施される。図13(a)に示すように、レベリング冶具400を矢印線Bの方向に回動させながら、レベリング冶具400の砥石402を圧電体カバー60のバンプ形成面60Bに当接させて、圧電体カバー60のバンプ形成面60Bを図13(a)の矢印線Bの方向に移動させることで、バンプ90(120)が砥石402によって研磨されて、バンプ90(120)の高さを一定にそろえることができる。なお、図7に示す圧電体カバー60の凸部を避けたエリアにバンプ90(120)を配置することで、図13(a),(b)に示すようなレベリング冶具400を用いた一括レベリング処理が可能になり、図13(b)に示す、高さ精度のよいバンプ90(120)が効率的に形成できる。なお、図13(b)には、レベリング処理が施されたバンプ90(120)が形成された圧電体カバー60(図13(a)に示す13b−13b線に沿う断面図)を示す。
また、図8の中層部形成工程(ステップS210)では、供給絞り54Bとなる貫通穴が形成されたジルコニアやステンレスの振動板56や、ステンレスに供給口54、インク流路54Aとなる溝や圧力室52となる開口部が形成された圧力室プレート80が拡散接合され、AD法(エアロゾルデポジション法)を用いて圧電体層58Aが形成される。この圧電体層58Aに個別電極57をスパッタして、振動板56の圧電体配設面に圧電体58が形成される。振動板56にジルコニアなどのセラミックを用いる場合は、圧力室プレート80にセンサプレート78を接合した圧力室構造体に振動板56を接着接合してから振動板56の表面を研磨して振動板56を薄くしてもよい。
圧力室プレート80には、センサ信号取出電極102となる貫通穴が形成され、この貫通穴に絶縁処理が施された後にはんだペースト(導電性ペースト)が充填され、センサ信号取出電極102が形成される。
このようにして形成されたセンサ信号取出電極102は、センサプレート78に形成される配線パターン(不図示)を介してセンサ信号用個別電極76Aと導通されている。
センサプレート78は、例えば、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)を電極パターンニングしてステンレスに積層したものなどが好適に用いられる。センサプレート78のうちPVDFの表面にセンサ信号用個別電極76Aが設けられた部分が圧力検出部76として機能する。
なお、圧力室プレート80には、圧力室プレート80に振動板56を接合する際に、圧力室52となる開口や圧力検出部76から得られたセンサ信号が取り出されるセンサ信号取出電極102が形成される穴などを接着材がはみ出して塞がないように該接着材を逃がす逃がし溝(不図示)が必要に応じて設けられている。この逃がし溝は接着材に混入している気泡や接合時に混入する気泡などを逃がす逃がし溝としても機能する。
図8に示す下層部形成工程(ステップS220)では、ノズル流路72となる穴が予め形成されたノズル流路プレート74と、ノズル51となる穴が予め形成されたノズルプレートと、が接着接合される。なお、図4にはストレート形状のノズル51が形成されたノズルプレートを示したが、図12に示すように、ノズル51の形状(断面形状)は、ノズル流路72側の直径に比べて吐出側の直径が小さい逆テーパ状の形状が望ましい。なお、穴が形成されたノズル流路プレート74にノズル51が形成されていないノズルプレートを接着接合してから、エキシマレーザでノズル51を形成してもよい。
上述した上層部形成工程(ステップS200)、中層部形成工程(ステップS210)、下層部形成工程(ステップS220)を経て、図10に示す上層部300、図11に示す中層部310及び図12に示す下層部320か形成されると、図8に示す接合工程(ステップS230)によって上記各部が接合される。
接合工程(ステップS230)では、先ず、バンプ90(120)に紫外線硬化型導電性接合部材(導電性接着剤、単に導電性接合部材と記載)94が塗布され、圧電体カバー60の振動板56と接合される面に熱硬化性接着剤が塗布される。図14にはバンプ90(120)に導電性接合部材を塗布する冶具420を示す。図14に示す冶具420は、圧電体カバー60の凹部62に対応した凸部422を有し、この凸部422に導電性接合部材94を塗布した後に、この導電性接合部材94をバンプ90(120)に転写する。バンプ90(120)が予めレベリングされているので、バンプ90(120)へ均一に導電性接合部材94を転写することができるので、はみ出した導電性接合部材94が他のバンプ90(120)などに接触して起こるショートや、導電性接合部材94のばらつきによる接合不良を防止することが可能になる。また、不図示の転写冶具に圧電体カバー60の振動板56との接合部分に対応してパターンニングされた接着部材(構造接着剤)424が圧電体カバー60に転写される。
このようにしてバンプ90(120)に導電性接合部材94が塗布され、図10に示す上層部300の図11の中層部310との接合面(上述した圧電体カバー60と振動板56との接合面)に接合部材が塗布されると、バンプ90(120)と個別電極57が導電性接合部材94を介して電気的に接合されるとともに、上層部300と中層部310が接着接合される。
その後、導電性接合部材94に対してスルーホール92(104)を利用して外部からUV光を照射して(図5参照)、導電性接合部剤94の硬化処理が行われる。また、加熱、加圧によって上層部300と中層部310の接合部における接合部材の硬化処理が行われる。
このようにして、上層部300と中層部310が接合されると、上層部300の最上面となる密閉プレート88の空洞部86と反対側の面にフレキシブル基板64が接合され、フレキシブル基板64の配線パターンとスルーホール92(104)が電気的に接合される。上層部300とフレキシブル基板64との電気的接合方法には、はんだリフローが好適に用いられる。
その後、中層部310のセンサプレート78の圧力室52と反対側の面に、図12に示す下層部320が2液性エポキシ接着剤などで接着接合される。このようにして、図10に示す上層部300と、図11に示す中層部310と、図12に示す下層部320と、が接合され、フレキシブル基板64が接合されると、図9に示す電気接合検査工程240が行われる。
図9に示すように、電気接合検査工程(ステップS240)では、先ず、圧電体58及び圧力検出部76の静電容量を計測して、圧電体58とフレキシブル基板64の駆動信号が伝送される配線パターンとの電気的接合及び、圧力検出部76とフレキシブル基板64のセンサ信号が伝送される配線パターンとの電気的接合が確実に行われているか(接合不良の有無)が検査され(ステップS260)、圧電体58及び圧力検出部76とフレキシブル基板64の配線パターンとの電気的接合(バンプ90(120)と個別電極57との電気的接合)に接合不良があると(ステップS262に示す判断工程のNO判定)、ステップS264に示すワイヤ配線部材接合工程に進む。
ワイヤ配線部材接合工程(ステップS264)では、接合不良が発生している接合部分に対応するスルーホール92(104)からニードルなどで個別電極57へ導電性接合部材100が塗布され、また、当該スルーホール92(104)に導電性接着剤が塗布され、フレキシブル基板64側から図6に示すワイヤ配線部材96(106)が装填される。当該スルーホール92(104)に導電性接合部材を塗布する際に、スルーホール92(104)に設けられた凹凸部にも導電性接合部材を塗布しておけば、該凹部が接着剤溜りとして機能し、ワイヤ配線部材96(106)の固定が安定する効果が得られる。
ワイヤ配線部材96(196)に設けられた突起部112(図6参照)を弾性変形可能に構成することで(ワイヤ配線部材96に所定の弾性を有する突起部112を設けることで)、個別電極57への与圧が可能になり一段と安定な接合が可能になる。
その後、加熱(ワイヤ配線部材96(106)と個別電極57とを電気的に接合する導電性接合部材に紫外線硬化タイプを用いる場合にはUV光照射)によって、該導電性接合部材100等を硬化させ、フレキシブル基板64に設けられたスルーホール92(104)に対応する開口をはんだによって封止する。
なお、ワイヤ配線部材96(106)と個別電極57との電気的接合方法には、予めワイヤ配線部材96の個別電極57と接合される部分にはんだメッキを施しておき、ワイヤ配線部材96(106)をスルーホール92(104)に装填した後に、はんだリフローを用いてワイヤ配線部材96と個別電極57とを電気的に接合してもよい。
このようにして、判断工程(ステップS262)で接合不良と判断された圧電体58及び圧力検出部76はワイヤ配線部材96によってフレキシブル基板64の所定の配線パターンとの電気的接合が施されると、再度電気接合検査260にて圧電体58および圧力検出部76とフレキシブル基板64の所定の配線パターンとの電気的接合が検査される。
一方、判断工程(ステップS262)において、圧電体58及び圧力検出部76とフレキシブル基板64の配線パターンとの電気的接合に接合不良がない場合には(YES判定)、未検査素子確認工程(ステップS266)に進み、未検査素子の有無が判断され、未検査素子がある場合には(YES判定)、電気接合検査(ステップS260)において未検査素子の電気的接合検査が行われる。
また、全ての素子の電気的接合検査が行われ、全ての素子の電気的接合に接合不良がないと判断されると(NO判定)、電気接合検査が終了される(ステップS268)。ステップS240に示す電気接合検査工程が終了すると、図8のステップS250に進み、印字ヘッド50の製造工程が終了される。
なお、判断工程(ステップS262)において、個別電極57とバンプ90との接合に接合不良が発生していないと判断された場合にも(YES判定)、ワイヤ配線部材96(106)を用いてフレキシブル基板64の配線パターンと個別電極57との電気的接合を行うように構成してもよい。
上記の如く構成されたヘッド50では、圧電体58の個別電極57は、圧電体カバー60のバンプ形成面60Bに形成されたバンプ90と、バンプ90の近傍に設けられ圧電体カバー60及び共通流路55を貫通するように形成された スルーホール92と、を介してフレキシブル基板64の配線パターンと導通するように構成される。バンプ90と個別電極57との間に接合不良が発生した場合には、スルーホール92を貫通するように形成されたワイヤ状配線部材96によって個別電極57とフレキシブル基板64の配線パターンが導通するように構成されるので、電気接合部の歩留まりや接合信頼性の向上が見込まれる。
上記実施形態では、記録紙16の全幅に対応する長さのノズル列を有するページワイドのフルライン型ヘッドを用いたインクジェット記録装置を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、短尺の記録ヘッドを往復移動させながら画像記録を行うシャトルヘッドを用いるインクジェット記録装置についても本発明を適用可能である。
上記実施形態ではヘッドに備えられるノズルからインクを吐出させて、記録紙16上に画像を形成するインクジェット記録装置を示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、レジストなどインク以外の液体で画像(立体形状)を形成する画像形成装置や、ノズル(吐出孔)から薬液、水などを吐出されるディスペンサ等の液体吐出装置などにも広く適用可能である。
10…インクジェット記録装置、50…ヘッド、51…ノズル、52…圧力室、53…吐出素子、55…共通流路、56…振動板、57…個別電極、58…圧電体、60…圧電体カバー、64…フレキシブル基板、90,120…バンプ、92,104…スルーホール、96,106…ワイヤ配線部材、230…接合工程、240…電気接合検査工程
Claims (9)
- 液体を吐出させる複数のノズルと、前記複数のノズルに対応して設けられた圧力室と、各圧力室を構成する壁面に設けられ駆動信号が印加される駆動信号印加電極を有する複数の吐出力発生素子と、前記駆動信号が伝送される配線パターンを含む配線パターンが形成される配線基板と、を備えた液体吐出ヘッドであって、
前記配線基板に形成される配線パターンと前記吐出力発生素子の駆動信号印加電極とを導通させる第1の配線手段及び第2の配線手段を含む複数の配線手段を有し、
前記複数の吐出力発生素子のうち少なくとも1つは、前記第1の配線手段及び前記第2の配線手段のうち少なくとも何れか一方によって当該吐出力発生素子の駆動信号印加電極が前記配線基板に形成される配線パターンと電気的に接合されることを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 前記吐出力発生素子の前記駆動信号印加電極と対向する面を有し、前記配線基板を含む構造体を備え、
前記第1の配線手段及び前記第2の配線手段は、前記構造体に設けられることを特徴とする請求項1記載の液体吐出ヘッド。 - 前記第1の配線手段は、前記構造体の少なくとも一部を貫通するように形成され前記配線基板に形成される配線パターンと導通するスルーホールと、
前記構造体の前記吐出力発生素子の駆動信号印加電極と対向する面に形成され、前記スルーホールと導通する接合電極と、
を含むことを特徴とする請求項2記載の液体吐出ヘッド。 - 前記第2の配線手段は、前記構造体の少なくとも一部を貫通するように設けられ前記配線基板に形成される配線パターンと導通する柱状配線部材を含むことを特徴とする請求項2又は3記載の液体吐出ヘッド。
- 前記柱状配線部材は、前記スルーホールの内部に設けられることを特徴とする請求項4記載の液体吐出ヘッド。
- 前記柱状配線部材の表面及び前記スルーホールの内部のうち少なくとも何れか一方に突起を有することを特徴とする請求項5記載の液体吐出ヘッド。
- 請求項1乃至6のうち何れか1項に記載の液体吐出ヘッドを備えたことを特徴とする画像形成装置。
- 液体を吐出させる複数のノズルと、前記複数のノズルに対応して設けられた圧力室と、各圧力室を構成する壁面に設けられ駆動信号が印加される駆動信号印加電極を有する複数の吐出力発生素子と、前記駆動信号が伝送される配線パターンを含む配線パターンが形成される配線基板と、を備えた液体吐出ヘッドの製造方法であって、
第1の配線手段を用いて前記配線パターンと前記吐出力発生素子の駆動信号印加電極とを電気的に接合する第1の接合工程と、
第2の配線手段を用いて前記配線パターンと前記吐出力発生素子の駆動信号印加電極とを電気的に接合する第2の接合工程と、
を含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。 - 液体を吐出させる複数のノズルと、前記複数のノズルに対応して設けられた圧力室と、各圧力室を構成する壁面に設けられ駆動信号が印加される駆動信号印加電極を有する複数の吐出力発生素子と、前記駆動信号が伝送される配線パターンを含む配線パターンが形成される配線基板と、を備えた液体吐出ヘッドの製造方法であって、
第1の配線手段を用いて前記配線パターンと前記吐出力発生素子の駆動信号印加電極とを電気的に接合する第1の接合工程と、
前記第1の接合工程において接合された前記配線パターンと前記吐出力発生素子の駆動信号印加電極との導通を検査する電気接合検査工程と、
前記電気接合検査工程において、前記第1の接合工程において接合された前記配線パターンと前記吐出力発生素子の駆動信号印加電極との間が導通異常であると判断されると、第2の配線手段を用いて前記配線パターンと当該吐出力発生素子の駆動信号印加電極とを電気的に接合する第2の接合工程と、
を含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
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JP2005141306A JP2006315336A (ja) | 2005-05-13 | 2005-05-13 | 液体吐出ヘッド及び液体吐出ヘッドの製造方法 |
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US8366242B2 (en) | 2009-06-29 | 2013-02-05 | Ricoh Company, Ltd. | Liquid-ejection head unit and image forming apparatus |
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2005
- 2005-05-13 JP JP2005141306A patent/JP2006315336A/ja active Pending
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