JP2006315126A - 中ぐり工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】中ぐり工具による被削材の内径部の加工において、切屑の排出性を高めるとともに前記内径部の内壁面の仕上がり品位を向上させる。
【解決手段】本中ぐり工具は、頭部10とシャンク部20とからなり略円柱状をなす工具本体1の前記頭部10の、当該中ぐり工具の工具送り方向F前方側に位置する端部の外周部に切刃41が備えられるとともに、前記切刃41のすくい面42に連続してチップポケット30が形成されてなる。さらに、当該中ぐり工具を平面視したとき、前記チップポケット30が前記頭部10の工具送り方向F前方側を向く端面11から前記工具送り方向F後方側にいくにしたがって、前記切刃41に対して工具直径方向に漸次離間するように形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は旋削加工において被削材に設けられた内径部の内径加工を行う際に用いられる中ぐり工具に関する。
被削材に設けられた内径部の内径加工を行うとき、中ぐり工具の切屑の排出性は加工面の表面の仕上がり状態に大きな影響を及ぼす。切屑の排出性の向上を目的とした従来の中ぐり工具を図13〜図16に例示する。
図13に例示した中ぐり工具は、略円柱状をなす工具本体13の先端部に、当該工具本体13の先端逃げ面16および外周面17に開口するチップポケット20が形成され、このチップポケット20の先端壁面に、当該工具本体13の先端および外周に突出する切刃15が設けられてなり、前記チップポケット20を、前記切刃15に連なる壁面と直交する方向から平面視した状態で、前記先端逃げ面16の前記切刃15に対して径方向反対側に位置する端部よりも前記切刃15側の位置から、工具本体外周面17の前記切刃15に連なる側部に至る溝状に形成したものである(例えば、特許文献1参照)。
図14に例示した中ぐり工具は、工具本体1の先端側に形成されているチップ2と前記工具本体1の軸心とのなすすくい角αが、前記軸心に対して負角である−10°よりも大きく傾斜して形成されているものである(例えば、特許文献2参照)。
図15に例示した中ぐり工具は、シャンク5の先端部を切欠いて形成したチップポケット7に被削材9の内側面に接するブレーカ8を斜めに突出させたものである(例えば、特許文献3参照)。
図16に例示した中ぐり工具は、ワーク(被削材)の中空部内面を加工するための切刃1aを備えた工具本体1と、当該工具本体1の先端に前記切刃1aから離間させて設けられ、前記ワーク(被削材)の中空部3a内に挿入可能で、且つ前記切刃1aの加工深さを規制することのない面積および形状に形成された切粉排出部材4とを備えたものである(例えば、特許文献4参照)。
特開平3−32507号公報 特開平5−277810号公報 実開昭50−149984号公報 実開平7−31204号公報
しかしながら、図13に示した中ぐり工具においては、切刃15で生成された切屑はチップポケット20の底面21に沿って成長し、縦壁面22の円弧部23に沿って丸め込まれつつ平坦面24に沿って首部11外周の逃げ部26へと案内されていくが、この逃げ部26と被削材の加工内壁面との間の狭い隙間に入り込んだ切屑が前記加工内壁面を擦過して傷つけるおそれがあった。
図14に示した中ぐり工具においては、チップ2のすくい角αを負側へ−10°よりも大きくしたことから、生成される切屑は前記チップ2の前方側へ向けて流出する間は被削材の加工内壁面を傷つけることはない。しかしながら、盲穴の内径加工では前方側へ流出する空間をなくした切屑が逆流して前記加工内壁面を傷つけるおそれがあった。この問題を解消するためには切屑を前方側へ流出させるための別の穴を予め設けなければならず現実的とはいえなかった。
図15に示した中ぐり工具においては、ブレーカ8は先端縁8aが被削材9の内側面10に接し、被削材の回転に伴う遠心力などにより前記内側面10に付着した切屑を強制的にチップポケット7側に排除する。しかしながら、当該中ぐり工具は、ブレーカ8を付加することにより工具コストが上昇するとともに、切屑が被削材の内径部から外へ排出されずに内径部に多量に残存するため自動化の妨げとなるおそれがあった。
図16に示した中ぐり工具において、切粉排出部材4は、旋盤装置のチャックへの切粉飛散を防止するものの、盲穴の穴底近傍の中空部を加工する際、前記穴底への干渉が生じるため加工深さ等の制約を受けるおそれがあった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、切屑の排出性を高めることにより被削材の内径部の内壁面の仕上がり品位を向上させた中ぐり工具を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明の中ぐり工具は、被削材の内径部の中ぐり加工を行うための中ぐり工具において、略円柱状をなす工具本体は、頭部とシャンク部とから構成され、前記頭部には、当該中ぐり工具の工具送り方向前方側に位置する端部の外周部に切刃が備えられるとともに、前記切刃のすくい面に連続してチップポケットが形成され、当該中ぐり工具を平面視したとき、前記チップポケットが前記頭部の工具送り方向前方側を向く端面に開口するとともに、前記端面から工具送り方向後方側にいくにしたがって、前記切刃に対して工具直径方向に漸次離間するように延びていることを特徴とする中ぐり工具である。
上記の中ぐり工具によれば、切刃から生成される切屑は、チップポケットに沿って、当該中ぐり工具の工具送り方向後方且つ前記切刃に対して工具直径方向に漸次離間する方向へ移動し当該チップポケットの開口部から排出される。この開口部と被削材の内径部の内壁面との間の隙間には、切刃側の頭部の外周面と前記内壁面との間の隙間よりも大きな空間が確保されるため、切屑のかみ込みが防止され前記内壁面の仕上がり品位が向上する。
上記の中ぐり工具において、前記チップポケットが当該中ぐり工具の軸心に対して0°を超え且つ90°未満の範囲の角度で交差する方向に延ばした場合には、当該チップポケットの延びる方向が切屑の流出する方向とほぼ同じになることから、螺旋状に流出する切屑の流れが妨げられないとともにチップポケットの壁面への切屑の擦過がおさえられる。さらに、切屑はチップポケットの延びる方向に沿って被削材の内径部の工具後端側にある開口部の外に向かって排出されるので前記内径部内に残留しにくくなる。さらに、チップの切刃側に位置する頭部の外周面近傍において、チップポケットによって切欠かれる領域が小さくなるため、工具本体の剛性の低下が防止される。
前記チップポケットが前記切刃に対して前記軸心を挟んで工具直径方向の反対側に位置する前記頭部の外周面に開口した場合には、当該チップポケット上の切屑の流れが円滑になるとともに、当該チップポケットと内径部の内壁面との間の隙間がさらに広がることから切屑の排出性がいっそう向上する。前記チップポケットが前記切刃に対して前記軸心を挟んで工具直径方向の反対側に位置する前記頭部の外周面に開口し、さらに、この開口部の下方側にある前記頭部の外周面の一部を切り欠くように形成した場合には、上記の切屑の排出性がさらに向上する。
さらに、前記チップポケットの工具送り方向後方部を前記切刃のすくい面の上方側に向かって切り上げるとともに前記頭部の外周面と交差させ、この交差部の稜線が工具送り方向後方側にいくにしたがって、前記切刃に対して工具直径方向に漸次離間するように延ばした場合には、前記切り上がり壁面によって切屑は工具送り方向後方側且つ前記切刃に対して工具直径方向の反対側にあるチップポケットの開口部側へ向かって案内されるため、切屑のかみ込みおよび内径部に残留する切屑を減少させる効果がいっそう高くなる。
次に、図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。図1〜図4は第1の実施形態に係る中ぐり工具を説明する図であり、図1は平面図、図2は正面図、図3は先端視側面図である。図4は図1におけるS1−S1線切断部端面図である。図5および図6はそれぞれ第2の実施形態に係る中ぐり工具の平面図、先端視側面図である。図7および図8はそれぞれ第3の実施形態に係る中ぐり工具の平面図、先端視側面図である。図9は第4の実施形態に係る中ぐり工具の平面図である。図10は図1に示す中ぐり工具の使用状態を示す一部断面平面図である。図11は第5の実施形態に係る中ぐり工具を説明する図であり、(a)は一部断面平面図、(b)は正面図、(c)は先端視側面図である。
図1に例示するように、第1の実施形態に係る中ぐり工具において、頭部10とシャンク部20とから構成され略円柱状をなす工具本体1の前記頭部10には、当該中ぐり工具の工具送り方向F前方側である工具先端側に位置する先端外周部にチップ40が装着されてなる。当該チップ40は、図1〜図3からわかるように3角形平板状をなし、すくい面42となる上面と逃げ面43となる外側面とが鋭角をなすポジチップである。すくい面42の3つの角部には、円弧状の丸コーナ41aおよびこの丸コーナ41aからそれぞれ延びる一対の直線切刃41bから構成された切刃41が形成されている。当該チップ40は、これらの切刃41のうちいずれか1つが前記頭部10の先端外周部に配置されるとともに、先端面11および外周面12から突出させられた状態で、前記頭部10の先端外周部に切欠き形成されたチップ座14にクランプねじ等からなる固定手段50によって着脱自在に取付けられている。さらに、チップの切刃41に対して工具本体1の軸心CLを挟んで工具直径方向の反対側に位置する頭部の外周面12は、工具先端側にいくにしたがって前記軸心CLに接近する平坦面13によって形成されている。この平坦面13を省略して本来の前記頭部形状である円柱の外周面により頭部の外周面12が形成されてもよい。前記チップ40は本形態に限定されず、多角形平板状、円形平板状等の形状から適宜選択可能であり、ネガチップにも適用可能である。また、前記固定手段50についても、押さえ金、偏心ピン、傾動ピン、L型レバー等の公知手段から任意に選択可能である。
図2からわかるように、前記頭部10には、チップ40のすくい面42に連続してチップポケット30が形成される。図1に示すように当該中ぐり工具を平面視した状態において、このチップポケット30は、当該中ぐり工具の工具送り方向F前方側を向く先端面11に開口し、且つ前記先端面11から前記工具送り方向F後方側にいくにしたがって、切刃41に対して工具直径方向に漸次離間するように、矢印A方向に延びている。このチップポケット30は、工具本体1の軸心CLに対して0°を超え且つ90°未満の範囲の角度βで交差する方向に延びている。工具本体1の内部には切削点近傍に切削油等を供給するための油穴が設けられており、チップポケット30のチップ座14付近に前記油穴の開口部60が形成されている。
図4から理解されるとおり、チップポケット30は、チップ40のすくい面42に連続し且つ略平行な平坦面からなる底面31と、この底面31から工具送り方向F後方側かつ上方側へ向かって延びる平坦面からなる切り上がり壁面32aとから構成されている。切り上がり壁面32aはチップ40のすくい面42の上方に位置する頭部の外周面12に開口している。本実施形態では、前記底面31と前記切り上がり壁面32aとの交差部には、双方を滑らかに接続する凹曲面32cが形成されている。さらに、チップポケット30は、図4に示した断面形状を変えずに所定の方向に延び、切刃41に対して工具本体1の軸心CLを挟んで工具直径方向の反対側に位置する頭部の外周面12に開口している。
また、図示しないが、チップポケット30において、底面31と切り上がり壁面32aとの交差部に、平坦面からなる面取りが形成されてもよい。また、凹曲面32cを省略し底面31から直ちに切り上がり壁面32aが形成されてもよい。または、切り上がり壁面32a全体が凹曲面状に形成されてもよい。
他のチップポケットの形態として、図5および図6に示す第2の実施形態のように、チップポケット30の延びる方向において、底面31に連続して前記頭部の外周面12の手前で上方側へ曲面状に傾斜した切り上がり壁面32bを形成することにより、チップポケット30が前記頭部の外周面12に開口しない形態としてもよい。さらに他のチップポケットの形態として、図7および図8に示す第3の実施形態のように、チップポケットの底面31および切り上がり壁面32aを頭部の外周面12に開口させるとともに、この開口部34に連なり下方側にある頭部の外周面12の一部を切欠く副チップポケット35が形成されてもよい。本実施形態の副チップポケット35は、当該中ぐり工具の平面視でチップポケットの開口部34全体にわたり工具軸心CL側に向かって凸曲面状をなす壁面で構成されているが、前記開口部34の一部の範囲において頭部の外周面12を切欠くように形成されてもよく、また副チップポケット35を構成する壁面についても、曲面状に限らず、単一または複数の平坦面から構成されてもよい。
さらに他のチップポケットの形態として、図9に示す第4の実施形態の平面視において、工具軸心CLに対して角度βおよび角度β'をなす矢印Aおよび矢印A'で示されるように、2つ以上の異なる方向に延ばしてもよい。なお、屈曲部34においては、この屈曲部34を挟む2つの切り上がり壁面32aを滑らかにつなぐように曲面状に形成されるのが好ましい。また、図示しないがチップポケット30の全体または一部を滑らかな曲線状に延ばしてもよい。
第1〜第3の実施形態の平面視において、チップポケット30の工具送り方向F後方部に設けられた切り上がり壁面32aと、チップ40のすくい面42の上方側に位置する頭部の外周面12との交差部における稜線33は、工具送り方向F後方側にいくにしたがって、切刃41に対して工具直径方向に漸次離間するように直線状または曲線状に形成されている。
上記の中ぐり工具の作用について以下に説明する。図10に示すように、当該中ぐり工具は、そのシャンク部20を図示しない旋盤等の工作機械の刃物台によって把持された状態で、当該中ぐり工具の軸心CLに沿って工具先端側に向かって矢印F方向の工具送りを与えられることにより、切刃41が軸心CLwまわりに回転する被削材の内径部の内壁面72を切削して、前記内径部71を所望の直径寸法にくり広げる。
当該中ぐり工具を平面視した状態において、切削中に切刃41から生成される切屑は、被切削部における直径の差から生じる速度勾配によって、当該中ぐり工具の工具送り方向F逆方向と、切刃41から工具直径方向に離間する方向との合成方向に向かって流出し、図10に概念的に示すように当該中ぐり工具の軸心CLに対して傾斜角度γをなす矢印C方向へ螺旋状または分断した状態で流出する。この切屑の流出方向は、前記速度勾配の大きさ、切刃41のうち工具送り方向F前方側を向く主切刃と前記工具送り方向Fとのなす角度や丸コーナ41aの曲率半径、または送り条件等によって異なってくるが、概して切屑は、上述したように、軸心CLに対して傾斜角度γをなす方向へ流出する。
この切屑の流出方向とほぼ同じくなるように、当該中ぐり工具のチップポケット30は、工具送り方向F後方側にいくにしたがって、チップの切刃41に対して工具直径方向に漸次離間するように延ばしてあることから、切屑はこのチップポケット30上を円滑に流れ、前記切刃41に対して工具本体1の軸心CLを挟んで工具直径方向の反対側に位置する開口部34へ案内され、前記開口部34と内径部の内壁面72との間の隙間から排出される。この隙間は、切刃41側に位置する頭部の外周面12と前記内壁面72との隙間よりも大きな空間が確保されるため、切屑のかみ込みが防止され前記内壁面72の仕上がり品位が向上する。
さらに、切屑はチップポケットの開口部34から排出されるとき被削材70の内径部の内壁面72や頭部の外周面12に衝突しにくくなり、前記内径部71の工具後端側にある開口部の外に向かって排出される傾向が強まるため、前記内径部71内に残留した切屑のかみ込みや擦過による内壁面72の仕上がり品位の劣化が防止される。
図1および図4からわかるように、頭部10の切刃41側に位置する外周面12近傍においては、切り上がり壁面32aが形成されることからチップポケット30によって切欠かれる領域が小さくなるため、主分力が作用する方向(図4において上下方向)に肉厚が確保され当該中ぐり工具のたわみやびびり等を改善する効果が得られる。
図5および図6に示す第2の実施形態のように、チップポケット30が切刃41に対して工具本体1の軸心CLを挟んで工具直径方向の反対側に位置する頭部の外周面12に開口しない形態とした場合には、主分力が作用する方向(図6において上下方向)にさらに肉厚が確保され上記のたわみやびびり等の改善効果がいっそう高められる。一方、第1の実施形態のように、チップポケット30がその断面形状を変えずに頭部の外周面12に開口した場合には、切屑はチップポケット30上の流れがきわめて円滑になる。しかも、チップポケットの開口部34と内径部の内壁面72との隙間がさらに広がることから切屑の排出性が向上し、仕上げ面品位の劣化を防止する効果がさらに向上する。
チップポケット30の後端部に位置する切り上がり壁面32aと頭部の外周面12との交差稜線が当該中ぐり工具の工具送り方向F後方側にいくにしたがって、切刃41に対して工具本体1の軸心CLを挟んで工具直径方向の反対側に漸次離間するようにしたことから、前記切り上がり壁面32aによって切屑は工具後端側且つ前記切刃41に対して工具直径方向の反対側にあるチップポケットの開口部34側へ向かって案内されるため、切屑のかみ込みおよび内径部71に残留する切屑を減少させる効果がいっそう高くなる。
図1〜図4に示した第1の実施形態に係る中ぐり工具(以下「本発明品」という。)の実施例として、図13に示した従来の中ぐり工具(以下「比較品」という。)との比較において切屑の排出性および仕上げ面の加工品位の評価を行った。本発明品、比較品ともにチップ40の形状およびチップポケット30を除いた工具本体1の形状を同一形状とし、それぞれのチップポケット30は、容積および断面形状をほぼ等しくしたうえで上述した形態に基づいて製作した。具体的にいえば、当該中ぐり工具を平面視した状態で、本発明品のチップポケット30は、工具送り方向F前方側を向く頭部10の先端面11に開口するとともに、前記先端面11から工具送り方向F後方側にいくにしたがって、切刃41に対して工具直径方向に漸次離間し、工具軸心CLに対しておよそ15°の角度で傾斜して延びており、切刃41に対して工具軸心CLを挟んで工具直径方向の反対側に位置する頭部の外周面12に開口するものである。一方、比較品のチップポケットは、工具送り方向F前方側を向く頭部の先端面から工具後端側にいくにしたがって、切刃41側に位置する頭部の外周面へ漸次接近し、工具軸心CLに対しておよそ15°の角度で傾斜して延びており、その延びる方向の先端部が前記外周面に開口するものである。
上記の本発明品および比較品を図12に示す切削条件で加工し、加工後の内径部71に残留する切屑の重量を比較した。その結果が図12のグラフである。上および下のグラフは、加工後の内径部71の直径がそれぞれ34mm、37mmの結果を示している。このグラフからわかるように、本発明品における残留切屑の重量は、内径部71の直径が34mmのとき比較品に対して約36%減少し、同37mmのとき比較品に対して約24%減少した。これらの結果は以下に述べる切屑の排出性能の差によるものである。本発明品、比較品ともにチップポケット内を通る切屑は、頭部の外周面に開口する開口部へ案内され、この開口部と内径部の内壁面との間の隙間から排出されるが、本発明品においては、チップの切刃41に対して工具本体1の軸心CLを挟んで工具直径方向の反対側に開口部34が形成されているため、前記隙間において比較品よりも大きな空間が確保され切屑の排出性能が向上する。さらに、本発明品においては、切屑の流出する方向とほぼ同じ方向にチップポケット30が延ばしてあることから、チップポケット30内を通過する切屑の流れが阻害されにくい。このように切屑の流出および排出が円滑になることから、比較品にくらべ内径部71に残留する切屑が大幅に減少するとともに、内径部の内壁面72への切屑擦過もおさえられ仕上がり品位が良好となる。
最後に、工具送り方向Fが工具後端側を向く中ぐり工具である第5の実施形態について図11を参照しながら説明する。図示したように、本実施形態において、略円柱状をなす工具本体1の頭部10には、この頭部の外周面12の1箇所から側方へ突き出た凸部10Aが一体に備えられており、前記凸部10Aの工具送り方向F前方側となる工具後端側に位置する後端外周部には、チップ40が装着されてなる。当該チップ40は、図11からわかるように略菱形平板状をなし、すくい面42となる上面と逃げ面43となる外側面とが直角をなすネガチップである。すくい面42において鋭角をなす2つの角部には、円弧状の丸コーナ41aおよびこの丸コーナ41aからそれぞれ延びる一対の直線切刃41bから構成された切刃41が形成されている。当該チップ40は、これら切刃41のうちいずれか1つが前記凸部10Aの後端外周部に配置されるとともに、後端面11およびこの後端面11に連なる外周面15から突出させられた状態で、前記凸部10Aの後端外周部に切欠き形成されたチップ座14にL型レバー等の固定手段50によって着脱自在に取付けられている。
凸部10Aを含めた頭部10には、チップ40のすくい面42に連続してチップポケット30が形成される。当該中ぐり工具の平面視において、このチップポケット30は、凸部10Aの工具送り方向F前方側を向く後端面11に開口するとともに、前記後端面11から工具送り方向F後方側にいくにしたがって、チップの切刃41に対して工具直径方向に漸次離間するように、矢印A方向に延びている。このチップポケット30は、工具本体1の軸心CLに対して0°を超え且つ90°未満の範囲の角度βで交差する方向に延びている。
図11の(a)〜(c)から理解されるとおり、チップポケット30は、チップ40のすくい面42に略平行な平坦面からなる底面31と、この底面31の工具送り方向F前方部に連なり前記工具送り方向F前方側かつ上方側へ曲面状に傾斜した切り上がり壁面32aとを備えており、これら底面31および切り上がり壁面32aは、断面形状を変えずに一定方向に延び、切刃41に対して工具本体1の軸心CLを挟んで工具直径方向の反対側に位置する頭部の外周面12に開口している。
さらに、当該中ぐり工具の平面視において、チップポケット30の後端部に設けられた切り上がり壁面32aと上方側を向く頭部の外周面12との交差部における稜線33は、工具送り方向F後方側である工具先端側にいくにしたがって、切刃41に対して工具本体1の軸心CLを挟んで工具直径方向の反対側に漸次離間するように直線状または曲線状に形成されている。
図11の(a)に示すように、当該中ぐり工具は、その頭部10を被削材70の内径部71に挿入され、工具後端側に向かって送りを与えられることにより、切刃41のうち工具後端側を向く主切刃が軸心CLwまわりに回転する内径部の内壁面72を切削して、前記内径部71を所望の形状に仕上げる。
当該中ぐり工具を平面視した状態で、切屑は、被切削部における直径の差から生じる速度勾配によって、工具送り方向F逆方向と、切刃41から工具直径方向に離間する方向との合成方向に向かって流出し、概して、当該中ぐり工具の軸心CLに対して傾斜した方向へ螺旋状または分断した状態で流出する。
上記の切屑は、その流出方向と同じく前記軸心CLに対して鋭角をなす方向に延びるように形成したチップポケット30に沿って螺旋状または分断した状態で流出し、チップの切刃41に対して工具本体1の軸心CLを挟んで工具直径方向の反対側に位置する開口部34へ案内され、この開口部34と内径部の内壁面72との間の隙間から排出される。この隙間は、切刃41側に位置する頭部の外周面12と前記内壁面72との隙間よりも大きな空間が確保されるため、切屑のかみ込みが防止され前記内壁面72の仕上がり品位が向上する。
チップポケット30の延びる方向Aは切屑の流出する方向と概して同じくしてあることから、切屑のチップポケット30上の流れおよびチップポケット30外への排出が円滑になる。さらに、切屑はチップポケット30の延びる方向Aに沿うように流出し内径部71の工具後端側にある開口部の外に向かって排出されるため、前記内径部71内に残留した切屑のかみ込みによる前記内径部の内壁面72の仕上がり品位の劣化が防止される。
第1の実施形態に係る中ぐり工具の平面図である。 第1の実施形態に係る中ぐり工具の正面図である。 第1の実施形態に係る中ぐり工具の先端視側面図である。 図1におけるS1−S1線切断部端面図である。 第2の実施形態に係る中ぐり工具の平面図である。 第2の実施形態に係る中ぐり工具の先端視側面図である。 第3の実施形態に係る中ぐり工具の平面図である。 第3の実施形態に係る中ぐり工具の先端視側面図である。 第4の実施形態に係る中ぐり工具の平面図である。 図1に示す中ぐり工具の使用状態を説明する図である。 第5の実施形態に係る中ぐり工具を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は先端視側面図である。 第1の実施形態に係る中ぐり工具の実施例を説明する図である。 従来の中ぐり工具を説明する図である。 従来の中ぐり工具を説明する図である。 従来の中ぐり工具を説明する図である。 従来の中ぐり工具を説明する図である。
符号の説明
1 工具本体
10 頭部
10A 凸部
11 頭部の工具送り方向前方側を向く端面(先端面、後端面)
12 頭部の外周面
14 チップ座
15 凸部の外周面
20 シャンク部
30 チップポケット
31 チップポケットの底面
32a、32b チップポケットの切り上がり壁面
32c 凹曲面
33 交差部の稜線
34 チップポケットの開口部
35 副チップポケット
40 チップ
41 切刃
42 すくい面
50 固定手段
70 被削材
71 被削材の内径部
72 内径部の内壁面
A チップポケットの延びる方向
C 切屑の流出方向
F 工具送り方向
β チップポケットと軸心とのなす角度
γ 切屑の流出方向と軸心とのなす角度

Claims (5)

  1. 被削材の内径部の中ぐり加工を行うための中ぐり工具において、
    略円柱状をなす工具本体は、頭部とシャンク部とから構成され、前記頭部には、当該中ぐり工具の工具送り方向前方側に位置する端部の外周部に切刃が備えられるとともに、前記切刃のすくい面に連続してチップポケットが形成され、
    当該中ぐり工具を平面視したとき、前記チップポケットが前記頭部の工具送り方向前方側を向く端面に開口するとともに、前記端面から工具送り方向後方側にいくにしたがって、前記切刃に対して工具直径方向に漸次離間するように延びていることを特徴とする中ぐり工具。
  2. 前記チップポケットが当該中ぐり工具の軸心に対して0°を超え且つ90°未満の範囲の角度で交差する方向に延びていることを特徴とする請求項1記載の中ぐり工具。
  3. 前記チップポケットが前記切刃に対して前記軸心を挟んで工具直径方向の反対側に位置する前記頭部の外周面に開口していることを特徴とする請求項1または2記載の中ぐり工具。
  4. 前記チップポケットが前記切刃に対して前記軸心を挟んで工具直径方向の反対側に位置する前記頭部の外周面に開口し、さらに、この開口部の下方側にある前記頭部の外周面の一部を切り欠くように形成してあることを特徴とする請求項1または2記載の中ぐり工具。
  5. 前記チップポケットの工具送り方向後方部を前記切刃のすくい面の上方側に向かって切り上げるとともに前記頭部の外周面と交差させ、この交差部の稜線が工具送り方向後方側にいくにしたがって、前記切刃に対して工具直径方向に漸次離間するように延びていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の中ぐり工具。



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