JP2006314173A - ケーブル布設工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 単位長さあたりの重量が大きい電圧階級が高いケーブルなどでも長尺布設が可能なケーブル布設工法を提供する。
【解決手段】 中間マンホール51を介して接続された第一の管路41から第二の管路42に亙って、その先端に牽引力を付与してケーブル1を貫通させるケーブル布設工法であって、第一の管路41に挿入する前に塗布する第一の滑材として水溶性の滑材を用い、第二の管路42に挿入する前に塗布する第二の滑材として油溶性の滑材を用いる。
【選択図】 図1
【解決手段】 中間マンホール51を介して接続された第一の管路41から第二の管路42に亙って、その先端に牽引力を付与してケーブル1を貫通させるケーブル布設工法であって、第一の管路41に挿入する前に塗布する第一の滑材として水溶性の滑材を用い、第二の管路42に挿入する前に塗布する第二の滑材として油溶性の滑材を用いる。
【選択図】 図1
Description
この発明は、地中などに設けられた管路に電力ケーブルなどを布設するケーブル布設工法に関する。
地中送電路などにケーブルを布設する場合に、従来から、管路内に挿通したワイヤーを始端側でケーブルの先端に取り付け、これを管路の終端側からウィンチなどで牽引する工法が用いられている。このとき管路の内面とケーブルの外面との摩擦を低減するため、管路の内面およびケーブルの外面の一方または両方に滑材を塗布することがある。
ところで、各管路は中間マンホールを介して接続されているが、通常はこの中間マンホールで区切られた管路毎に一本のケーブルを挿通し、中間マンホール内において挿通した各ケーブルの端部を相互に接続している。しかしながら、この接続作業には、多大な工数と時間を要するため、ケーブル布設工事における工期の長期化とコストアップの要因となっていた。
この課題に対して、各管路に一本のケーブルを挿通するのではなく、長尺のケーブルを、中間マンホールを介して連続する複数の管路に亙るように挿通して、中間マンホールでの接続作業を不要とする工法が提案されている。以下この工法を、「長尺布設工法」と称する。
このような長尺布設工法を開示したものとして、特許文献1(特開平7−304564号公報)がある。特許文献1に開示された工法においては、まず中間マンホールで接続された複数の管路に亙るように牽引ワイヤーを挿通する。挿通したワイヤーをケーブルの先端に接続し、滑材を塗布しながら第一の管路の一端からケーブルを挿入して、第一の管路にケーブルを貫通させる。そして、第一の管路を貫通したケーブルを洗浄して一旦滑材を除去し、押込み装置により挟持して第二の管路の方向に駆動力を付与し、再度滑材を塗布しながら第二の管路にケーブルを挿入する。
この長尺布設工法によると、中間マンホール内で一旦滑材を洗浄した後、押込み装置により駆動力を付与するので、一本のケーブルを長い距離に亙って挿通することができる。これにより、中間マンホールでの接続作業を軽減することができる。
特開平7−304564号公報
電力ケーブルにおいては、その電力階級が高いほど、接続作業における工数と時間が増加する。そのため、たとえば275kVなどの高い電圧階級のケーブルを布設する工事において、それらの接続作業を回避する工法の開発が大きな課題となっている。しかしながら、電圧階級が高いケーブルほど、その直径が大きくなると共に単位長さあたりの重量が増すため、ケーブルに加わる摩擦力が大きくなる。
ケーブルと管路との摩擦係数をμ、ケーブル単位重量をW、等価ケーブル長をLとすると、ケーブル布設時のケーブルに加わる張力Tは、T=μWLにより計算される。このケーブルに加わる張力Tは、ケーブルの導体サイズにより決定される許容張力TA以下でなければならない。
特許文献1に記載の長尺布設工法においては、中間マンホールで押込み装置により中押しすることで、特にケーブルの先端部における張力Tを軽減することができる。しかしながら、電圧階級が高いケーブルでは、その単位重量Wが増加するため、それだけでは不十分であり、摩擦係数μをより小さくすることが重要な課題となる。
その一方で、中間マンホール内で滑材を洗浄するときに、化学的な成分を含む洗浄剤を用いると、その洗浄剤がケーブルの被覆などに悪影響を与える恐れが懸念される。そのため、中間マンホールでの洗浄作業では化学的な成分を含む洗浄剤を使用しないことが望ましい。
この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、単位長さあたりの重量が大きい電圧階級が高いケーブルなどでも長尺布設が可能なケーブル布設工法を提供することを目的とする。
この発明に基づいたケーブル布設工法に従えば、中間マンホールを介して接続された第一の管路から第二の管路に亙って、その先端に牽引力を付与してケーブルを貫通させるケーブル布設工法であって、第一の滑材をその外面に順次塗布しながら上記第一の管路に上記ケーブルを挿入し、上記第一の管路に上記ケーブルを貫通させる、第一の管路挿通工程と、上記中間マンホール内において、上記第一の管路を貫通した上記ケーブルからその表面に付着した第一の滑材を順次除去し、中間マンホール内に設置され、ケーブルを挟持して駆動力を付与する押込み装置により、第一の滑材が除去された上記ケーブルに上記第二の管路の方向に順次駆動力を付与する、中押し工程と、上記第一の滑材とは異なる第二の滑材を順次塗布しながら上記第二の管路に上記ケーブルを挿入し、上記第二の管路に上記ケーブルを貫通させる、第二の管路挿通工程とを有している。
このケーブル布設工法によると、第一の管路挿通工程と第二の管路挿通工程とで異なる滑材を用いるので、それぞれの工程において最適な滑材を選択することが可能となる。たとえば、第一の管路挿通工程においては水溶性の滑材を使用し、第二の管路挿通工程においては油溶性の滑材を用いることなどが可能となる。
第一の管路挿通工程において水溶性の滑材を使用することで、中間マンホール内での滑材除去作業においては、水のみで滑材を洗い流すことが可能となり、化学的な成分を含む洗浄剤を使用する必要が無い。これにより、洗浄剤によるケーブルの被覆への悪影響を回避することができる。
一方、水溶性の滑材は、中間マンホール内での洗浄作業においては好適であるが、たとえば、管路内に水が溜まっていたような場合には、その箇所でケーブルから滑材が除去されてしまい、その後の管路においては十分に摩擦係数を低減することができなくなる恐れがある。ケーブルを順に挿通していくと、管路の終端部に近づくほどその先端部における張力が増加するため、第二の管路においてこのような現象が発生すると特に問題となる。第二の管路挿通工程においては油溶性の滑材を使用しているので、仮に管路内に水が溜まっていたような場合でも、これにより滑材が除去されにくく、上記のような不具合を回避することができる。これにより、さらに確実に摩擦を軽減することができる。
なお、本発明においては、第一の管路および第二の管路の一方または両方が、それぞれ中間マンホールで接続された複数の管路により構成される場合も含む。
また、上記第一の滑材としては水溶性の滑材と水とを混合したものを用いると、中間マンホールでの洗浄作業がさらに容易となる。この第一の滑材としては、ポリウォータ(Polywater(商標))と水を混合したものを含むものを用いることができる。一方、第二の滑材としてはグリースを用いることができる。
さらに、ケーブルを挿入する前に上記第一の管路および第二の管路の内周面に予め滑材を塗布しておけば、さらに摩擦係数を低減することができる。
上記中押し工程においては、複数の押込み装置を用いて上記ケーブルに駆動力を付与し、上記押込み装置は、上記第一の管路の出口と上記第二の管路の入口を結ぶ線上で上記ケーブルを挟持するように直線的に配置することが好ましい。この場合には、複数の押込み装置により十分な駆動力を付与することが可能となる。また、中間マンホール内でケーブルが直線を成す状態で駆動力が付与されるので、駆動力が分散せず効果的にケーブルを押込むことができる。
上記第二の管路挿通工程の終了後に、上記中間マンホール内において第二の管路を貫通した上記ケーブルをわずかに引き戻して上記マンホール内でケーブルを湾曲させる工程をさらに設けてもよい。これにより、中間マンホール内でのケーブルが湾曲した状態で保持されるので、ケーブルが熱収縮した場合でも、この湾曲部が縮みしろとなりケーブルの断線などのトラブルを防止することができる。一方、直線状のケーブルが熱膨張により両側から圧縮されると座屈が発生し、ケーブルに局所的に大きな応力が加わってケーブルが破壊する恐れがあるが、予め湾曲させることによりクセ付けされているので、そのカーブを基準に湾曲しながら変形するので、ケーブルに局所的に大きな応力が加わることを防止することができる。
さらに、第一の管路挿通工程の前に押込み装置により上記ケーブルに順次駆動力を加えることで、ケーブルに加わる張力をさらに低減することができる。
本発明に係るケーブル布設工法によると、それぞれの工程に最適な滑材を使用することにより、単位長さあたりの重量が大きい電圧階級が高いケーブル布設工事などにおいても長尺布設が可能となる。
以下、この発明に基づいた各実施の形態におけるケーブル布設工法について、図を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態におけるケーブル布設工法を示す図である。
本実施の形態のケーブル布設工法は、中間マンホール51を介して接続された第一の管路41から第二の管路42に亙って、その先端に牽引力を付与してケーブル1を貫通させるケーブル布設工法であって、第一の滑材31をその外面に順次塗布しながら第一の管路41にケーブル1を挿入し、第一の管路41にケーブル1を貫通させる、第一の管路挿通工程と、中間マンホール51内において、第一の管路41を貫通したケーブル1からその表面に付着した第一の滑材31を順次除去し、ケーブル1を挟持して駆動力を付与する押込み装置36により、第一の滑材31が除去されたケーブル1に第二の管路42の方向に順次駆動力を付与する、中押し工程と、第一の滑材31とは異なる第二の滑材を順次塗布しながら第二の管路42にケーブル1を挿入し、第二の管路42にケーブル1を貫通させる、第二の管路挿通工程とを有している。これらの各工程について、より詳細に説明する。
図1に示すように、ケーブル1はケーブルドラム2に巻き取られた状態でケーブルを布設する工事現場まで運搬される。ケーブルドラム2から繰り出されたケーブル1は、押込み装置34により送り出され、一対のガイド管43a,43bを介して、地中に形成された始端側作業孔52に到達する。
予めワイヤー21を、ケーブル1が挿通される第一の管路41および第二の管路42に亙るように挿通しておき、このワイヤー21の先端とケーブル1の先端とを接続する。このときはワイヤー21をケーブル1の導体に接続する。ワイヤー21は、滑車22を介してウィンチ23により牽引される。
図2は、第一の管路挿通工程を示す図である。図2に示すように、始端側作業孔52には、押込み装置35が設置されており、これによりケーブル1に、第一の管路41の方向に駆動力が付与される。押込み装置35としては、図2に示すような、回転駆動される一対のベルトを有し、そのベルト間にケーブルを挟持してケーブル1を駆動するものを用いることができる。その他にも、一対のゴム製のローラ間にケーブルを挟持して保持し、このゴム製のローラを回転駆動することによりケーブルを駆動するものも用いることができる。
押込み装置35により送り出されたケーブル1には滑材塗布位置53において、第一の滑材31が塗布される。この第一の滑材31は、中間マンホール51内において除去する必要があるため、水溶性のものを用いる。水溶性の滑材としては、ポリウォータ(Polywater(商標))を用いることができる。ポリウォータは、水溶性の滑材としてこの種のケーブル布設工事において使用される周知のものであり、水分、イソプロピルアルコール、ポリオキシアルキレンを主成分とするペースト状の滑材である。水溶性の滑材としては、ポリウォータの他、滑石を粉末にしたタルク、雲母を微細片化したマイカなどに水を加え流動化したものなども用いることができる。
本実施の形態では、第一の滑材として、ポリウォータと水とを1:1で混合したものを用いた。より具体的には、ポリウォータと水を混合したものを用いた。この第一の滑材31の配合等は管路の条件等に応じて種々変更しうる。第一の滑材31は、作業者が手でケーブル1の表面に塗布してもよいし、供給装置により第一の滑材31をケーブル1の表面に順次供給して塗布してもよい。
第一の管路41および第二の管路42には予めその内周面に滑材を塗布しておくことが好ましい。その滑材としては、発明者が種々の実験により確認したところ、ポリウォータと水とを混合したものが特に好ましいことが分かった。この実験の結果および管路の内周面に予め滑材を塗布する工程については後述する。本実施の形態では、ポリウォータと水とを1:1で混合したものを、第一の管路41および第二の管路42の内面に予め塗布した。
ウィンチ23による牽引力と、押込み装置35による駆動力により、ケーブル1は第一の管路41内を貫通し、その先端が中間マンホール51まで到達する。
図3は、中押し工程を示す図である。中間マンホール51に到達したケーブル1には、その外面に第一の滑材31および第一の管路41に塗布した滑材が付着しているが、これを水により洗い流して除去する。第一の滑材31および管路内面の滑材としていずれも、水溶性のポリウォータを含むものを用いているので、単に水洗いするだけで簡単に除去することができる。さらに、ポリウォータの原液ではなく、ポリウォータと水とを混合したものを滑材として用いているので、その水洗いによる除去がさらに簡単に行なうことができる。
この滑材を除去する作業には、図3に示すように、水シャワーを供給するシャワーヘッド58と、この水を受ける水槽59とで構成した洗浄装置57などを用いることができる。第一の滑材31を除去することにより、押込み装置36によりケーブル1を挟持して駆動力を付与するときにスリップが発生したり、押込み装置36に滑材が付着したりすることを防止することができる。
中間マンホール51には、複数の送り込み装置36が直線状に配列されている。この送り込み装置36には、第一の管路41の出口と、第二の管路42の入口とを結ぶ直線上に位置するケーブル1が挟持され、第二の管路42の入口の方向に直線的に駆動力が付与される。これにより、駆動力が分散せず強くケーブル1を駆動することができる。
従来は、図9に示すように、中間マンホール51内でケーブル1が湾曲するようにクセ付けるため、予め湾曲した案内パイプ101を設け、布設作業時から作業終了までこの案内パイプ101内にケーブル1を挿通していた。
これに対し、本実施の形態では、ケーブル1を第一の管路41および第二の管路42の全長亙るように布設した後で、ケーブル1の一部を引き戻すようにした。この工程については後述するが、このような工程を採用したので、従来のような案内パイプ101が不要となり、ケーブル1を直線的に押込むことが可能となった。また、案内パイプ101が不要となったので、中間マンホール51の限られたスペース内に、より多くの押込み装置36を設置することが可能となり、さらに強くケーブル1を押込むことが可能となった。従来は2台程度が限度であったが、本実施の形態では6台の押込み装置36を設置することができた。
押込み装置36により押し出されたケーブル1には、第二の滑材塗布位置55において第二の滑材が塗布される。その工程は図示しないが、第一の滑材31を塗布する工程と同様に、作業者が手で塗布したり、塗布装置を用いて塗布したりすることができる。第二の滑材としては、油溶性の滑材を用いる。たとえば、カップグリースなどのグリース類を用いることができる。
油溶性の滑材を用いることで、たとえば、第二の管路42の内部に水が溜まっていたような場合でも、滑材が除去されにくく、安定してケーブル1の摩擦を低減することができる。
上述のようにケーブル1に加えることが可能な許容張力TAが予めケーブルごとに決められている。ケーブル布設時の張力は、管路の終端付近における、ケーブル1の先端部において最も大きくなる。そのため、第二の管路42における潤滑は特に重要である。本実施の形態では、第二の管路の潤滑に用いる滑材として油溶性の滑材を用いることで、悪条件下でも除去されにくく、より安定して摩擦を軽減することができる。また、第一の滑材31は、中押し工程において除去する必要があるが、第二の滑材は除去する必要は無いので、油溶性の滑材を用いてもケーブルから除去しにくいことが問題となることはない。
ケーブル1の先端に接続されたワイヤー21の牽引力および押込み装置36の駆動力により、ケーブル1は第二の管路42を貫通し、ケーブル1の先端は、終端側作業孔56に達する。
図4は管路の内面に滑材を塗布する工程を示す図である。第一の管路41および第二の管路42には、予め滑材を塗布しているが、滑材を塗布する工程について説明する。図4に示すように、まず、管路に予めワイヤー61を挿通しておき、管路の始端に十分な量の滑材62を注入する。続いて、ワイヤー61の端部に円柱63を接続し、このワイヤー61により管路内を牽引する。円柱63により滑材62が管路の終端方向に徐々に押し出され、同時に管路の内面に滑材62が付着する。必要に応じてこの作業を繰り返すことで、管路の全長に亙って滑材62を塗布することができる。
本実施の形態では、管路の内面にポリウォータと水とを1:1の割合で混合したものを用いたが、水の量をさらに増加させ、ポリウォータと水とを1:4の割合としても、1:1と略同様の効果が得られることが、短尺の試験片を牽引する実験により確認されている。この実験においては、長さ1mの275kV用のカップグリースを塗布したケーブルを、長さ2mの管路内に配置し、ケーブルの端部を牽引してその先端部の張力を測定した。この張力の測定結果から静止摩擦係数および動摩擦係数を算出した。ポリウォータと水とを1:1の割合で混合したものを管路内に塗布した場合には、静止摩擦係数および動摩擦係数はそれぞれ、0.27、0.18となった。ポリウォータと水とを1:4の割合で混合したものを塗布した場合には、それぞれ0.25、0.15となり、ほぼ同等の性能が得られることが確認された。
この実験装置で、ケーブルの表面にポリウォータの原液を塗布し、管路の内面にもポリウォータの原液を塗布した場合には、静止摩擦係数および動摩擦係数はそれぞれ、0.37、0.19となり、静止摩擦係数が極端に低下することが分かった。これらの実験から、管路の内面に塗布する滑材としては、ポリウォータの原液を用いるよりも、ポリウォータと水を混合したものが特に好ましいことが分かる。
図5から図7は、ケーブルを引き戻す工程を示す図である。上述のように、第二の管路42にケーブル1を貫通させた後、中間マンホール51内でわずかにケーブル1を引き戻す。この工程により、中間マンホール51内でケーブル1が湾曲した状態に保持されるので、ケーブル1が熱収縮した場合でも、この湾曲部が縮みしろとなりケーブル1の断線などのトラブルを防止することができる。一方、直線状のケーブル1が熱膨張により両側から圧縮されると座屈が発生し、ケーブルに局所的に大きな応力が加わってケーブル1が破壊する恐れがある。予め湾曲させることによりクセ付けしておけば、そのカーブを基準に湾曲しながら変形するので、ケーブル1に局所的に大きな応力が加わることがなくケーブル1の破壊を防止することができる。
ケーブル1を引き戻す工程においては、まず、ケーブル1に複数のクリート71を接続する。クリート71は、図5および図6に示すように、ケーブル1を保持する湾曲部72とその両側に連続するフランジ部73とからなる金物である。湾曲部72の内面には、ゴムなどの構成されたクッション材74が設けられており、ケーブル1の被覆を傷つけないように構成されている。また、クリート71のフランジ部73は、バネ76を介してボルト75により連結される。バネ76を介在させていることで、ケーブル1に局所的に大きな力が加わることを防止している。
複数のクリート71をアングル材77により相互に連結し、図7に示すように、このアングル材77を、中間マンホール51の内壁に連結されたチェーンブロック78により牽引する。これにより、ケーブル1は若干引き戻され、中間マンホール51内で、ケーブル1をわずかに湾曲させることができる。
以上説明した工程により、ケーブル1に加わる張力の最大値を小さくしながら、ケーブル1の長尺布設を行なうことができる。その結果、275kV用ケーブル等の、単位長さ当りの重量が大きなケーブルの布設においても長尺布設工法の採用が可能となった。
本実施の形態で説明した工程でケーブルを長尺布設する実験を行なった。その結果を図8に示す。この実験においては、275kV用のケーブルを、長さ約640mに亙って布設し、ケーブルの先端部における張力を測定した。中間マンホールは、約320mの地点に設置している。図8に示すように、張力は中間マンホールの手前で最大となり、そこで若干の脈動が発生した。しかし、中間マンホールにおいて計算値で1920kgfの駆動力を付加するとともに、適切な第二の滑材を用いたことにより、それ以降はほとんど張力が増加せず、安定してケーブルの布設を行なうことができた。結果として、ケーブルに加わった最大張力は3420kgf程度であり、ケーブルの許容張力TAより十分小さい値となった。
このように、本実施の形態のケーブル施工方法においては、最適な滑材を選択することにより、電圧階級の高いケーブルの長尺布設が可能となった。その結果、ケーブルを中間マンホールで接続する回数を削減することができ、ケーブル布設工事の工期の短縮およびコストダウンを達成することができる。
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるのではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
1 ケーブル、21 ワイヤー、31 第一の滑材、34,35,36 押込み装置、41 第一の管路、42 第二の管路、51 中間マンホール、53 第一の滑材塗布位置、55 第二の滑材塗布位置、71 クリート。
Claims (8)
- 中間マンホールを介して接続された第一の管路から第二の管路に亙って、その先端に牽引力を付与してケーブルを貫通させるケーブル布設工法であって、
第一の滑材をその外面に順次塗布しながら前記第一の管路に前記ケーブルを挿入し、該第一の管路に前記ケーブルを貫通させる、第一の管路挿通工程と、
前記中間マンホール内において、前記第一の管路を貫通した前記ケーブルからその表面に付着した第一の滑材を順次除去し、該中間マンホール内に設置された押込み装置により前記ケーブルを挟持して、第一の滑材が除去された前記ケーブルに前記第二の管路の方向に順次駆動力を付与する、中押し工程と、
前記第一の滑材とは異なる第二の滑材を順次塗布しながら前記第二の管路に前記ケーブルを挿入し、該第二の管路に前記ケーブルを貫通させる、第二の管路挿通工程とを有する、ケーブル布設工法。 - 前記第一の滑材は水溶性であり、前記第二の滑材は油溶性である、請求項1に記載のケーブル布設工法。
- 前記第一の滑材は水溶性の滑材と水とを混合したものである、請求項2に記載のケーブル布設工法。
- 前記第一の滑材はポリウォータ(Polywater(商標))と水とを混合したものであり、前記第二の滑材はグリースである、請求項2または3に記載のケーブル布設工法。
- 前記ケーブルを挿入する前に前記第一の管路および第二の管路の内周面に予め滑材を塗布する工程をさらに有する、請求項1から4のいずれかに記載のケーブル布設工法。
- 前記中押し工程においては、複数の押込み装置を用いて前記ケーブルに駆動力を付与し、
前記押込み装置は、前記第一の管路の出口と前記第二の管路の入口を結ぶ線上で前記ケーブルを挟持するように直線的に配置されている、請求項1から5のいずれかに記載のケーブル布設工法。 - 前記第二の管路挿通工程の終了後に、前記中間マンホール内において第二の管路を貫通した前記ケーブルをわずかに引き戻して前記マンホール内でケーブルを湾曲させる工程をさらに有する、請求項1から6のいずれかに記載のケーブル布設工法。
- 前記第一の管路挿通工程において前記第一の滑材を塗布する前に、押込み装置により前記ケーブルに順次駆動力を加える工程をさらに有する、請求項1から7のいずれかに記載のケーブル布設工法。
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