JP2006313394A - キャッシュフロー予測方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
企業のキャッシュフローを適切に予測する。
【解決手段】
まず、過去の売上高、過去の営業費用、及び過去の減価償却費のデータから、売上高と営業費用との第1関係式と売上高と減価償却費との第2関係式を特定する。また、流動資産のうち営業債権であるもの、流動負債のうち営業債務であるもの及び過去の売上高のデータから、運転資本及び当該運転資本と売上高との第3関係式を算出する。また、将来の予測売上高のデータを取得する。また、将来の予測売上高のデータから、第1乃至第3関係式に従って、将来の予測営業費用、将来の予測減価償却費及び将来の運転資本予測額を算出する。また、将来の運転資本予測額のデータから、予測運転資本増減額を算出する。そして、将来の予測売上高と将来の予測営業費用と将来の予測減価償却費と予測運転資本増減額のデータと予め登録されている実効税率とから、営業活動による将来の予測キャッシュフローを算出する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、企業の将来におけるキャッシュフローを予測するための技術に関する。
例えば、企業に資金を貸し出す際には、貸出先の企業の格付なども重要であるが、貸出先の企業のキャッシュフローにより返済が可能であるかを判断する場合もある。
例えば、特開2002−189843号公報には、損益計算書(P/L)及び貸借対照表(B/S)を作成し、且つ、これらに基づきキャッシュフロー(CF)計算書を作成し、且つ、シミュレーションによりCFを予測するための技術が開示されている。具体的には、P/L及びB/Sであって、その中間仕訳が、納入条件として当月受領、当月納入に設定され、且つ、支払条件が現金仕入、現金支払に設定されたP/LおよびB/Sを作成するステップと、P/L及びB/S中の項目に記述された数値を引用して、CF計算書を作成するステップと、CF計算書中のうち、少なくとも決済条件を変更して、再度CF計算書を作成するステップと、得られたCF計算書に基づき、営業CFを含む種々のキャッシュフローに関する情報を出力するステップとを備えている。但し、シミュレーションによりキャッシュフローを予測するとされているが、具体的な予測方法は開示されていない。
特開2002−189843号公報
従来から様々なキャッシュフローの予測手法が存在しているが、その予測手法では複雑な計算が必要な割には適切な数値を得られない場合が多いという問題がある。
従って、本発明の目的は、企業のキャッシュフローを適切に予測する新規な技術を提供することである。
本発明に係るキャッシュフロー予測方法は、過去財務データ格納部に格納された過去の売上高、過去の営業費用、及び過去の減価償却費のデータを用いて、売上高と営業費用との第1関係式と売上高と減価償却費との第2関係式とを特定し、当該第1及び第2関係式の係数データをデータ格納部に格納するステップと、過去財務データ格納部に格納された、過去の流動資産のうち正常な営業循環過程を構成するものの額、過去の流動負債のうち正常な営業循環過程を構成するものの額、及び過去の売上高のデータを用いて、運転資本及び当該運転資本と売上高との第3関係式を算出し、当該第3関係式の係数データをデータ格納部に格納するステップと、将来の予測売上高のデータを取得し、予測売上高データ格納部に格納する予測売上高取得ステップと、予測売上高データ格納部に格納された将来の予測売上高のデータを用い、データ格納部に格納された係数データにより特定される第1乃至第3関係式に従って、将来の予測営業費用、将来の予測減価償却費及び将来の運転資本予測額を算出し、予測データ格納部に格納するステップと、予測データ格納部に格納された将来の運転資本予測額のデータを用いて、予測運転資本増減額を算出し、予測データ格納部に格納するステップと、予測売上高データ格納部に格納された将来の予測売上高と、予測データ格納部に格納された将来の予測営業費用、将来の予測減価償却費、及び予測運転資本増減額のデータと、予め登録されている実効税率とを用いて、営業活動による将来の予測キャッシュフローを算出し、キャッシュフロー格納部に格納するステップとを含む。
本発明の発明者は、キャッシュフローを予測する上で必要な数値は、ほぼ売上高の関数として表されることを非自明に見出した。そこで上で述べたような処理を行うことにより、簡易且つ適切に将来のキャッシュフローを予測することができるようになる。
また、上で述べた予測売上高取得ステップが、過去財務データ格納部に格納された過去の売上高のデータを用いて平均成長率を算出し、記憶装置に格納するステップと、記憶装置に格納された平均成長率のデータと過去財務データ格納部に格納された現在売上高のデータとを用いて、将来の予測売上高を算出し、予測売上高データ格納部に格納するステップとを含むようにしてもよい。将来の予測売上高は、予め与えられるようにしても良いし、このように予測するようにしても良い。
さらに、上で述べた予測売上高取得ステップが、過去財務データ格納部に格納された過去の売上高のデータを用いて平均成長率と成長率の標準偏差とを算出し、記憶装置に格納するステップと、記憶装置に格納された平均成長率及び標準偏差のデータと、予め登録されており且つ平均成長率を標準偏差により修正するための成長傾向と、過去財務データ格納部に格納された現在売上高のデータとを用いて、将来の予測売上高を算出し、予測売上高データ格納部に格納するステップとを含むようにしてもよい。このように業績見通しを考慮して売上高を変動させるようにしても良い。
また、設備投資時期と設備投資額とを含む設備投資計画データを格納する設備投資計画データ格納部に格納されているデータを用いて、将来の減価償却費の追加予定額を算出し、追加償却データ格納部に格納するステップと、予測データ格納部に格納された将来の予測減価償却費のデータと追加償却データ格納部に格納された将来の減価償却費の追加予定額のデータとを用いて、設備投資計画を考慮した将来の補正後予測減価償却費を算出し、予測データ格納部に格納するステップと、予測データ格納部に格納された将来の予測営業費用のデータと追加償却データ格納部に格納された将来の減価償却費の追加予定額のデータとを用いて、設備投資計画を考慮した将来の補正後予測営業費用を算出し、予測データ格納部に格納するステップと、予測売上高データ格納部に格納された将来の予測売上高のデータと、予測データ格納部に格納された将来の補正後予測営業費用、将来の補正後予測減価償却費及び予測運転資本増減額のデータと、予め登録されている実効税率とを用いて、営業活動による将来の補正後予測キャッシュフローを算出し、キャッシュフロー格納部に格納するステップとをさらに含むようにしてもよい。設備投資計画のデータが存在する場合には、それを反映させることにより、より実際に則したキャッシュフローの予測を行うことができるようになる。
さらに、設備投資時期と設備投資額とを含む設備投資計画データを格納する設備投資計画データ格納部に格納されているデータを用いて、将来の減価償却費の追加予定額を算出し、追加償却データ格納部に格納するステップと、キャッシュフロー格納部に格納された営業活動による将来の予測キャッシュフローのデータと追加償却データ格納部に格納された将来の減価償却費の追加予定額のデータと実効税率とを用いて、営業活動による将来の補正後予測キャッシュフローを算出し、キャッシュフロー格納部に格納するステップとをさらに含むようにしてもよい。このような方法によっても設備投資計画を反映させたキャッシュフローを予測することができる。
また、投資計画データ格納部に格納されている設備投資計画データとキャッシュフロー格納部に格納された営業活動による将来の補正後予測キャッシュフローのデータとを用いて、将来の予測フリーキャッシュフローを算出し、キャッシュフロー格納部に格納するステップをさらに含むようにしても良い。フリーキャッシュフローについても予測できる。
本発明に係るキャッシュフロー予測方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを作成することも可能であり、当該プログラムは、例えばフレキシブル・ディスク、CD−ROM、光磁気ディスク、半導体メモリ、ハードディスク等の記憶媒体又は記憶装置に格納される。また、ネットワークを介してディジタル信号にて頒布される場合もある。なお、処理途中のデータについては、コンピュータのメモリ等の記憶装置に一時保管される。
本発明によれば、企業のキャッシュフローを適切に予測することができるようになる。
図1に本発明の一実施の形態に係るキャッシュフロー予測装置の機能ブロック図を示す。本実施の形態に係るキャッシュフロー予測装置は、入力部1と、財務諸表登録ファイル3と、財務解析補助データファイル5と、コスト構造解析部7と、コスト構造データ格納部11と、収益性情報算出部9と、収益性情報格納部13と、売上高動向解析部15と、成長率データ格納部17と、運転資本解析部19と、運転資本データ格納部21と、減価償却解析部23と、減価償却データ格納部25と、売上高予測部27と、売上高予測データ格納部29と、費用予測部31と、費用予測データ格納部33と、運転資本予測部35と、運転資本予測データ格納部37と、キャッシュフロー予測部39と、投資計画解析処理部41と、補正後データ格納部43と、予測キャッシュフローデータ格納部45と、出力部47とを有する。
入力部1は、ユーザに対して各種入力を促し、ユーザからの入力を受け付けて、入力データを財務諸表登録ファイル3と財務解析補助データファイル5とに格納する。コスト構造解析部7は、財務諸表登録ファイル3に格納されたデータを用いて所定の解析処理を行い、処理結果をコスト構造データ格納部11に格納する。収益性情報算出部9は、財務諸表登録ファイル3とコスト構造データ格納部11とに格納されたデータを用いて所定の処理を実施し、処理結果を収益性情報格納部13に格納する。売上高動向解析部15は、財務諸表登録ファイル3と財務解析補助データファイル5とに格納されたデータを用いて所定の処理を実施し、処理結果を成長率データ格納部17に格納する。運転資本解析部19は、財務諸表登録ファイル3に格納されたデータを用いて所定の処理を実施し、処理結果を運転資本データ格納部21に格納する。処理によっては運転資本データ格納部21に格納されたデータを用いて処理を行う。減価償却解析部23は、財務諸表登録ファイル3に格納されたデータを用いて所定の処理を実施し、処理結果を減価償却データ格納部25に格納する。売上高予測部27は、財務諸表登録ファイル3と成長率データ格納部17と財務解析補助データファイル5とに格納されたデータを用いて所定の処理を実施し、処理結果を売上高予測データ格納部29に格納する。費用予測部31は、コスト構造データ格納部11と売上高予測データ格納部29とに格納されたデータを用いて所定の処理を実施し、処理結果を費用予測データ格納部33に格納する。運転資本予測部35は、運転資本データ格納部21と売上高予測データ格納部29とに格納されたデータを用いて所定の処理を実施し、処理結果を運転資本予測データ格納部37に格納する。運転資本予測部35は、運転資本予測データ格納部37に格納されたデータを用いる処理も実施する。キャッシュフロー予測部39は、売上高予測データ格納部29と費用予測データ格納部33と運転資本予測データ格納部37と財務解析補助データファイル5と補正後データ格納部43とに格納されたデータを用いて所定の処理を実施し、処理結果を予測キャッシュフローデータ格納部45に格納する。財務解析補助データファイル5に設備投資計画のデータが格納されている場合には、投資計画解析処理部41は、財務解析補助データファイル5に格納されている設備投資計画データと費用予測データ格納部33に格納されたデータとを用いて所定の処理を実施し、処理結果を補正後データ格納部43に格納する。出力部47は、予測キャッシュフローデータ格納部45及び他の全てのデータ格納部に格納されたデータを、例えばユーザからの要求に応じて表示装置などの出力装置に出力する。
次に、図1に示したキャッシュフロー予測装置の処理を図2乃至図22を用いて説明する。最初に、入力部1は、ユーザに対して解析対象企業の過去財務データの入力を促し、ユーザから解析対象企業の過去財務データの入力を受け付け、財務諸表登録ファイル3に格納する(図2:ステップS1)。例えば、損益計算書及び貸借対照表のデータをそのまま入力するようにしても良いし、売上高、売上原価、有形固定償却資産(取得原価)、販売費及び一般管理費(販管費)、減価償却累計額、流動資産のうち営業債権であるもの(例えば、受取手形の増減額、売掛金の増減額、棚卸資産の増減額、及びその他の流動資産の増減額)、流動負債のうち営業債務であるもの(例えば、支払手形の増減額、買掛金の増減額、前受金の増減額、及びその他の流動負債の増減額)などの個別データを用意してこれらの項目についてのみ入力するようにしても良い。なお、営業債権とは、通常の営業循環過程を構成する債権をいい、営業債務とは、通常の営業循環過程を構成する債務をいう。以下では統計的手法を用いた解析処理を実施するため、なるべく多くの年数のデータが用意できると好ましいが、例えば5期から10期程度の期間のデータを入力するようにする。図3に財務諸表登録ファイル3に格納されるデータの一例を示す。図3の例では、解析対象企業の企業コードと、企業名と、売上高1(9期前の売上高)、売上高2(8期前の売上高)、...、売上高10(最新の売上高)、売上原価1(9期前の売上原価)、売上原価2(8期前の売上原価)、...、有形固定資産1(9期前の有形固定償却資産)、有形固定資産2(8期前の有形固定償却資産)、...、有形固定資産10(最新の有形固定償却資産)、減価償却累計額1(9期前の減価償却累計額)、減価償却累計額2(8期前の減価償却累計額)などが含まれる。なお、図示してはいないが、各解析対象企業につき、販管費、流動資産のうち営業債権であるもの又はこれらの合計額、流動資産のうち営業債務であるもの又はこれらの合計額などのデータも格納されている。
次に、入力部1は、ユーザに対して解析補助データの入力を促し、ユーザから解析補助データの入力を受け付け、財務解析補助データファイル5に格納する(ステップS3)。解析補助データには、解析対象企業のセグメント別売上高、将来の売上高の見通し(本実施の形態では、強含み、平均、弱含みのいずれか)、既設定値がある場合には期別の予想売上高、設備投資計画が存在する場合には期別の設備投資額、減価償却資産の償却方法(減価償却資産のうち簿価の構成割合が大きいものの減価償却方法)、耐用年数(設備全体の平均的な耐用年数)などが含まれる。財務解析補助データファイル5に格納されるデータの一例を図4に示す。図4の例では、解析対象企業の企業コード、企業名、売上高1−A(セグメントAの9期前の売上高)、売上高1−B(セグメントBの9期前の売上高)...、売上高10−A(セグメントAの最新の売上高)、売上高10−B(セグメントBの最新の売上高)、売上高見通し、将来売上高の既定値の有無、売上高E1(1期後の予測売上高)、売上高E2(2期後の予測売上高)...、売上高E10(10期後の予測売上高)、設備投資年(設備投資計画における設備投資実施予定年)、設備投資年に実施される投資投資額...、償却方法、耐用年数などが含まれる。
そして、売上高動向解析部15は、財務諸表登録ファイル3と財務解析補助データファイル5とに格納されたデータを用いて、売上高動向を表すデータを算出し、成長率データ格納部17に格納する(ステップS5)。売上高動向を表すデータとは、t期の売上高成長率(全社、セグメント別)、t期のセグメント別売上高構成率、売上高成長率の平均値(全社、セグメント別)、売上高成長率標準偏差(全社、セグメント別)を含む。式で表せば以下のようになる。但し、全社のt期の売上高をSt、セグメントAのt期の売上高をSAt、セグメントBのt期の売上高をSBt、標準偏差を求める関数をSTDEVとする。以下、年を単位とした数値を計算しているが、例えば四半期ベースでデータが存在する場合には、四半期ベースで計算するようにしても良い。
t期の売上高年成長率=St/St-1−1
t期のセグメントA売上高年成長率=SAt/SAt-1−1
t期のセグメントB売上高年成長率=SBt/SBt-1−1
t期のセグメントA売上高構成率=SAt/St
t期のセグメントB売上高構成率=SBt/St
売上高年平均成長率=
Figure 2006313394
売上高年成長率標準偏差=
Figure 2006313394
セグメントA売上高年平均成長率=
Figure 2006313394
セグメントA売上高年成長率標準偏差=
Figure 2006313394
セグメントB売上高年平均成長率=
Figure 2006313394
セグメントB売上高年成長率標準偏差=
Figure 2006313394
なお、STDEVについてはi=1からtまで値を読み込んで標準偏差を計算するということを意味する。
その後、コスト構造解析部7は、財務諸表登録ファイル3に格納されたデータを用いて、営業費用と売上高との関係式、売上原価と売上高との関係式、販管費と売上高との関係式、減価償却費と売上高との関係式を算出し、関係式の係数をコスト構造データ格納部11に格納する(ステップS7)。本実施の形態では、一次関数として最小自乗法などにより関係式を導き出す。例えば、ある解析対象企業の各関係式は図5のグラフのようになる。図5のグラフにおいて、横軸は売上高を表し、縦軸は売上原価・販管費などを表す。また、菱形で表された点は営業費用と売上高との組合せを示しており、年変化を点の間の直線で表している。さらに、直線aは、営業費用と売上高との関係を表す直線であり、切片は179159(千円)で傾きは0.386である。さらに、営業費用と売上高との各組合せの直線aに対するフィッティングを表す係数R2は0.8477となっている。また、四角で表される点は販管費と売上高との組合せを示しており、年変化を点の間の直線で表している。さらに、直線dは、販管費と売上高との関係を表す直線であり、切片は61604(千円)で傾きは0.064である。さらに、販管費と売上高との各組合せの直線dに対するフィッティングを表す係数R2は0.566となっている。さらに、+で表される点は売上原価(製造費用)と売上高との組合せを示しており、年変化を点の間の直線で表している。さらに、直線bは、売上原価と売上高との関係を表す直線であり、切片は117555(千円)で傾きは0.322である。さらに、売上原価と売上高との各組合せの直線bに対するフィッティングを表す係数R2は0.8791となっている。また、×で表される点は減価償却費と売上高との組合せを示しており、年変化を点の間の直線で表している。さらに、直線cは、減価償却費と売上高との関係を表す直線であり、切片は76829(千円)で傾きは0.225である。
そして、収益性情報算出部9は、財務諸表登録ファイル3とコスト構造データ格納部11とに格納されたデータを用いて、当該企業の収益性分析・利益計画に役立つ営業費用の固定費及び変動費率、売上原価の固定費及び変動費率、販管費の固定費及び変動費率、減価償却費の固定費及び変動費率、損益分岐点、安全余裕度、固定費レバレッジなどを算出し、収益性情報格納部13に格納する(ステップS9)。営業費用、売上原価、販管費、減価償却費の金額を被説明変数、売上高を説明変数とした関数(上で述べた関係式)の切片が固定費、傾きが変動費率となる。また、損益分岐点とは、営業利益が0となる売上高をいい、営業損失を出さない最低限の売上高を意味する。従って、損益分岐点=営業費用の固定費/(1−営業費用の変動費率)で算出される。さらに、安全余裕度とは、現在の売上高と損益分岐点の乖離度を表す指標であり、あと何%売上が減少したら、営業損失が生じてしまうのかを表す。安全余裕度が高いほど、営業損失となるリスクが少ないと言える。安全余裕度=1−損益分岐点/現在売上高にて算出される。固定費レバレッジとは、売上高が変動した場合における、営業利益の変動率に対する売上高の変動率の割合をいう。固定費の存在により、売上高が変動した場合、営業利益の変動率は、売上高の変動率と乖離するが、両者の倍率を示すものが固定費レバレッジである。固定費レバレッジが高いほど、営業利益は、売上高の変動の影響を受けやすくなる。固定費レバレッジは、1/(1−営業費用の固定費/現在売上高/(1−変動比率))で算出される。
図5でも取り上げた解析対象企業の各種収益性情報についてまとめると図6に示すようになる。図6の例では、営業費用の固定費及び変動費率、売上原価の固定費及び変動費率、販管費の固定費及び変動費率、減価償却費の固定費及び変動費率、損益分岐点、現在売上高、安全余裕度、固定費レバレッジが含まれ、これらの項目のデータが収益性情報格納部13に格納される。
また、運転資本解析部19は、財務諸表登録ファイル3に格納されたデータを用いて、運転資本、売上高対運転資本比率などを算出し、運転資本データ格納部21に格納する(ステップS11)。まず、各期につき、ステップS1において財務諸表登録ファイル3に格納されたデータから、流動資産のうち営業債権であるものの合計額(正確には「流動資産のうち正常な営業循環過程を構成するものの合計額」)と、流動負債のうち営業債務であるものの合計額(正確には「流動負債のうち正常な営業循環過程を構成するものの合計額」)とを算出する。そして、流動資産のうち営業債権であるものの合計額と流動負債のうち営業負債であるものの合計額との差により、運転資本を算出する。また、運転資本の売上高に対する割合(売上高対運転資本比率)を計算し、その平均値を算出する。このように売上高対運転資本比率の平均値を算出しておけば、予測される売上高を乗じれば運転資本の額を予測することができるようになる。但し、本実施の形態では、売上高対運転資本比率の平均値を用いて運転資本を予測することはない。また、以下で述べるキャッシュフローの算出に必要な運転資本増減額は、当期の運転資本−前期の運転資本で算出されるが、前期比の売上高増減額と売上高対運転資本比率の平均値との積によりおおよその運転資本増減額を算出することも可能である。式で表すと以下の通りになる。
t期の運転資本=Σ現預金以外の流動資産で営業債権であるものt−Σ流動負債で営業債務であるものt
t期の売上高対運転資本比率=t期の運転資本/t期の売上高
売上高対運転資本比率の平均値=Σ(t期の運転資本/t期の売上高)/t
t期のみなし運転資本増減額=売上高対運転資本比率の平均値×(t期の売上高−(t-1)期の売上高)
さらに、運転資本解析部19は、財務諸表登録ファイル3と運転資本データ格納部21とに格納されたデータを用いて、運転資本と売上高との関係式を算出し、運転資本データ格納部21に格納する(ステップS13)。本実施の形態では、一次関数として最小自乗法などにより関係式を導き出す。例えば、ある解析対象企業の関係式は図7のグラフのようになる。図7において、横軸は売上高(千円)、縦軸は運転資本(千円)を表す。菱形の点は運転資本と売上高との組合せを表しており、直線eが運転資本と売上高の関係式を表す。図7の具体例では、切片が1946.5(千円)で、傾きは0.072である。
また、減価償却解析部23は、財務諸表登録ファイル3に格納されたデータを用いて、減価償却進捗度と経過年との関係式を算出し、減価償却データ格納部25に格納する(ステップS15)。まず、期別に、償却対象の有形固定資産について、取得原価に対する減価償却累計額の割合(=減価償却進捗度)を算出する。次に、減価償却進捗度を非説明変数とし、経過年を説明変数とする減価償却進捗度と経過年の関係式を、例えば最小自乗法などにより算出する。このようにすれば、関係式を基に、将来の特定時点における、既存設備の減価償却の進行状況が把握できると共に、下記の算式により減価償却費の予測も可能となる。なお、本実施の形態では、下記算式を用いて減価償却費の予測は行わない。
t期の減価償却進捗度=t期の減価償却累計額の合計/t期の取得原価の合計
なお、以下のように減価償却進捗度を定義するものとする。
t期の減価償却進捗度=β+αt+ε
そうすると、i期の減価償却費は、以下の式で予測できるようになる。なお、Cは取得原価を表す。
i期の減価償却費=i期の減価償却累計額−(i-1)期の減価償却累計額
=i期の減価償却進捗度×i期の取得原価−(i-1)期の減価償却進捗度×(i-1)期の取得原価
=(β+αi)×Ci−(β+α×(i-1))×Ci-1
図8に、経過年と減価償却進捗度の関係を表すグラフを示す。図8のグラフにおいて横軸は経過年、縦軸は減価償却進捗度を表す。菱形の点は、経過年と減価償却進捗度との組合せを示しており、直線fは経過年と減価償却進捗度の関係式を表している。図8の具体例では、切片が0.5984で傾きは0.0174である。処理は端子Aを介して図9の処理に移行する。
次に、売上高予測部27は、財務解析補助データファイル5を参照して、将来の売上高推移のデータが入力されているか確認する(ステップS17)。例えば図4の例では、将来売上高既定値の列において「有」が登録されているか確認する。「有」が登録されている場合には、売上高予測部27は、財務解析補助データファイル5から将来の売上高推移のデータを読み出し(ステップS18)、売上高予測データ格納部29に格納する。一方、「無」が登録されている場合には、売上高予測部27は、成長率データ格納部17に格納されている成長率(平均値及び標準偏差)と財務諸表登録ファイル3に格納されている現在売上高と財務解析補助データファイル5に格納されている売上高推移見通しを用いて、将来の売上高予測値を算出し、売上高予測データ格納部29に格納する(ステップS19)。本実施の形態では、売上高推移見通しが「強含み」であれば成長率の平均+標準偏差で売上高が伸び、「平均」であれば成長率の平均で売上高が伸び、「弱含み」であれば成長率の平均−標準偏差で売上高が伸びるものとする。図10(a)に示すように、年成長率の平均2%で標準偏差が1%であれば、「強含み」の場合(+1σの場合)3%が成長率となり、「弱含み」の場合(−1σの場合)1%が成長率となる。従って、現在の売上高を1とすると、図10(b)に示すように、「強含み」「平均」「弱含み」の各々について各年における倍率が算出できる。なお、実際には「強含み」「平均」「弱含み」のいずれかが指定されているので、いずれかの列の値のみを算出すればよい。この点は以下同じである。そして、解析対象企業の現在の売上高が700(百万円)であるとすると、図10(b)の各倍率に現在の売上高を乗ずると図10(c)に示すように、「強含み」「平均」「弱含み」の各々について各年における売上高予測値が算出されるようになる。
そして、費用予測部31は、売上高予測データ格納部29に格納されている将来の売上高予測値と、コスト構造データ格納部11に格納されている、営業費用と売上高の関係式の係数、販管費と売上高の関係式の係数、売上原価と売上高の関係式の係数、及び減価償却費と売上高の関係式の係数とを用いて、各関係式に従って、営業費用の予測値、販管費の予測値、売上原価の予測値、減価償却費の予測値を算出し、費用予測データ格納部33に格納する(ステップS21)。上で述べた例では、営業費用と売上高の関係式はy=0.386x+179(百万円)、販管費と売上高の関係式はy=0.064x+62(百万円)、売上原価と売上高の関係式はy=0.322x+118(百万円)、減価償却費と売上高の関係式はy=0.225x+77(百万円)であるから、図10(b)に示した売上高の予測値を用いると、図11に示すような予測値が算出される。すなわち、図11(a)は、営業費用の予測値を示し、図11(b)は、販管費の予測値を示し、図11(c)は、売上原価の予測値を示し、図11(d)は、減価償却費の予測値を示す。
さらに、運転資本予測部35は、売上高予測データ格納部29に格納された売上高の予測値と運転資本データ格納部21に格納された売上高と運転資本の関係式の係数及び現在の運転資本の値とを用いて、運転資本の予測値を算出すると共に、運転資本の増減額の予測値を算出し、運転資本データ格納部37に格納する(ステップS23)。運転資本と売上高の関係式は、ステップS13で算出されており、上の例ではy=0.072x+1946.5であるから、売上高の予測値を用いれば、図12(a)に示すような運転資本の予測値を算出することができる。また、運転資本の増減額は、本年の運転資本から前年の運転資本を差し引いた値であるから、現在の運転資本の値と図12(a)に示すような運転資本の予測値とを用いれば、図12(b)のような運転資本の増減額の予測値が算出される。なお、以下の説明では小数点以下を四捨五入している。
その後、キャッシュフロー予測部39は、売上高予測データ格納部29と運転資本予測データ格納部37と費用予測データ格納部33とに格納されたデータと財務解析補助データファイル5に格納された実効税率のデータとを用いて、営業活動によるキャッシュフローの予測値を算出し、予測キャッシュフローデータ格納部45に格納する(ステップS25)。営業活動によるキャッシュフローは以下の式にて算出される。
営業活動によるキャッシュフロー
=(売上高−営業費用)×(1−実効税率)+減価償却費−運転資本増減額 (1)
この式に従って図10(c)、図11(a)乃至(d)及び図12(b)、並びに実効税率を用いれば、図13に示すような値が計算される。処理は、端子Bを介して図14の処理フローに移行する。
なお、実効税率とは、企業の所得額に対する、法人税、法人住民税、法人事業税の合計額の比率をいい、以下の算式で計算される。
実効税率={法人税率×(1+住民税率)+事業税率}÷(1+事業税率)
法人住民税・法人事業税は地方税であり、企業の所在地の自治体により税率に差があり、法人税も企業の規模により、税率に違いが生じるため、正確な実効税率を計算する場合は、当該企業に適用される税率を使用する必要がある。通常の企業の場合は、実効税率は40%程度になるといわれており、それを利用してもよい。
次に、投資計画解析処理部41は、財務解析補助データファイル5を参照して設備投資計画が登録されているか判断する(図14:ステップS27)。設備投資計画が登録されていない場合には、ステップS39に移行する。一方、設備投資計画が登録されている場合には、投資計画解析処理部41は、財務解析補助データファイル5に格納されている設備投資計画のデータ、平均耐用年数及び償却方法のデータから減価償却費の追加額を各期について算出し、補正後データ格納部43に格納する(ステップS29)。例えば、図15に示すような設備投資計画のデータが登録されており、償却方法が定額であるとすると、設備投資額×0.9/平均耐用年数で各年の減価償却費の追加額が算出され、図16に示すようになる。なお、ここでは平均耐用年数が10年であるものとしている。また、図16では設備投資を行った年から減価償却費の追加額が発生するようにしているが、次年度などから発生するようにしても良い。さらに、償却方法が定率である場合には、平均耐用年数に対応する償却率のデータを保持しておき、当該償却率のデータを読み出して、(期首の当該設備残高(簿価)−期首の償却累計額)×減価償却率で計算すればよい。
また、投資計画解析処理部41は、費用予測データ格納部33に格納されている減価償却費の予測額(図11(d))と補正後データ格納部43に格納された減価償却費の追加額(図16)とを用いて、設備投資計画による補正後の減価償却費を算出し、補正後データ格納部43に格納する(ステップS31)。減価償却費の予測額と減価償却費の追加額とを加算すればよいので、図17に示すようなデータを得ることができる。
さらに、投資計画解析処理部41は、費用予測データ格納部33に格納されている営業費用の予測値(図11(a))と補正後データ格納部43に格納された減価償却費の追加額(図16)とを用いて、設備投資計画による補正後の営業費用を算出し、補正後データ格納部43に格納する(ステップS33)。営業費用に減価償却費の追加額を加算すれば、補正後の営業費用を求めることができるため、図18に示すようなデータを得ることができる。
そして、キャッシュフロー予測部39は、補正後データ格納部43に格納された補正後の減価償却費(図17)と補正後の営業費用(図18)と売上高予測データ格納部29に格納された売上高の予測値と運転資本予測データ格納部37に格納された運転資本の増減額と財務解析補助データファイル5に格納された実効税率を用いて、(1)式に従って営業活動による補正後キャッシュフローの予測値を算出し、予測キャッシュフローデータ格納部45に格納する(ステップS35)。計算の方法自体は同じである。上で述べた例に従えば、図19に示すようなデータを得ることができる。なお、営業活動による補正後のキャッシュフローは営業活動による補正前のキャッシュフロー+減価償却追加額×実効税率というように算出することも可能であるから、予測キャッシュフローデータ格納部45に格納されたデータ(図13)と財務解析補助データファイル5に格納された実効税率のデータと減価償却費の追加額(図16)とを用いて、営業活動による補正後のキャッシュフローを算出することも可能である。
その後、キャッシュフロー予測部39は、予測キャッシュフローデータ格納部45に格納された営業活動による補正後のキャッシュフローのデータ(図19)と財務解析補助データファイル5に格納された設備投資計画のデータ(図15)とを用いて、フリーキャッシュフローの予測値を算出し、予測キャッシュフローデータ格納部45に格納する(ステップS37)。営業活動による補正後のキャッシュフローの予測値から設備投資計画における設備投資額を差し引いたものがフリーキャッシュフローであるから、上で述べた例では図20に示すようなデータを得ることができる。
そして、出力部47は、予測キャッシュフローデータ格納部45などに格納されたデータを、ユーザからの指示などに応じて表示装置などの出力装置に出力する(ステップS39)。例えば、設備投資計画による補正後の営業活動によるキャッシュフロー(予測値)をグラフで示すと、図21のようになる。図21の例では、横軸は年を、縦軸は金額(百万円)を表しており、菱形が強含み、四角が平均、△が弱含みの場合の変化を表している。実際に、強含み、平均、弱含みのいずれかが指定されている場合には、そのための線のみがグラフ上に表される。さらに、フリーキャッシュフロー(予測値)をグラフで示すと、図22のようになる。図22の例では、横軸は年を、縦軸は金額(百万円)を表しており、菱形が強含み、四角が平均、△が弱含みの場合の変化を表している。実際に、強含み、平均、弱含みのいずれかが指定されている場合には、そのための線のみがグラフ上に表される。設備投資額が考慮されているので、設備投資を行う予定の年にはフリーキャッシュフローが減少していることが分かる。
図には示していないがユーザは解析対象企業の信用力などを評価する上で必要であれば、各種データ格納部に格納されたデータを表示装置などに表示させ、判断を行う。例えば、収益性情報格納部13に格納された損益分岐点、安全余裕度、固定費レバレッジなどを表示させて、キャッシュフローなどと合わせて解析対象企業の状態などを判断する。
このような処理を行えば、売上高をベースとして、キャッシュフローを簡易に算出することができ、解析対象企業のリスク評価などを行うことができるようになる。なお、売上高から、営業費用、売上原価、販管費、減価償却費、運転資本などを特定する方法は、発明者の経験によれば大きくはずれることのない簡易且つ適切な方法であり、少ないデータからキャッシュフローの予測値を算出することができるというメリットの方が大きい。
以上本発明の一実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図1の機能ブロック図は、一例であって必ずしもプログラムモジュールに対応するものではない。さらに、1台のコンピュータで上記処理を行うのではなく、複数のコンピュータにより並列処理を行うようにしても良い。さらに入力部1に対してユーザが入力するのではなく、予め他のコンピュータなどに用意された財務諸表登録ファイル3や財務解析補助データファイル5をネットワーク経由で取得するような構成であってもよい。
なお、キャッシュフロー予測装置はコンピュータ装置であって、図23に示すように当該コンピュータ装置においては、メモリ2501(記憶部)とCPU2503(処理部)とハードディスク・ドライブ(HDD)2505と表示装置2509に接続される表示制御部2507とリムーバブル・ディスク2511用のドライブ装置2513と入力装置2515とネットワークに接続するための通信制御部2517とがバス2519で接続されている。オペレーティング・システム(OS)及びWebブラウザを含むアプリケーション・プログラムは、HDD2505に格納されており、CPU2503により実行される際にはHDD2505からメモリ2501に読み出される。必要に応じてCPU2503は、表示制御部2507、通信制御部2517、ドライブ装置2513を制御して、必要な動作を行わせる。また、処理途中のデータについては、メモリ2501に格納され、必要があればHDD2505に格納される。このようなコンピュータは、上で述べたCPU2503、メモリ2501などのハードウエアとOS及び必要なアプリケーション・プログラムとが有機的に協働することにより、上で述べたような各種機能を実現する。
本発明の実施の形態に係るキャッシュフロー予測装置の機能ブロック図である。 本発明の実施の形態における第1の処理フローを示す図である。 財務諸表登録ファイルに格納されるデータの一例を示す図である。 財務解析補助データファイルに格納されるデータの一例を示す図である。 営業費用と売上高との関係、売上原価と売上高との関係、販管費と売上高との関係、減価償却費と売上高との関係を表すための図である。 収益性情報格納部に格納されるデータの一例を示す図である。 運転資本と売上高との関係を表すための図である。 経過年と減価償却進捗度の関係を表す図である。 本発明の実施の形態における第2の処理フローを示す図である。 (a)乃至(c)は、売上高の予測値を求めるために必要なデータ及び手順を説明するための図である。 (a)は、営業費用の予測値を示し、(b)は、販管費の予測値を示し、(c)は、売上原価の予測値を示し、(d)は、減価償却費の予測値を示す図である。 (a)は運転資本の予測値を表し、(b)は運転資本の増減額を表す図である。 営業活動によるキャッシュフローの予測値を示す図である。 本発明の実施の形態における第3の処理フローを示す図である。 設備投資計画のデータの一例を示す図である。 減価償却費の追加額の一例を示す図である。 設備投資計画による補正後の減価償却費の一例を示す図である。 設備投資計画による補正後の営業費用の一例を示す図である。 営業活動による補正後のキャッシュフローのデータの一例を示す図である。 フリーキャッシュフローの一例を示す図である。 営業活動による補正後のキャッシュフローの推移を表す図である。 フリーキャッシュフローの推移を表す図である。 コンピュータの機能ブロック図である。
符号の説明
1 入力部 3 財務諸表登録ファイル
5 財務解析補助データファイル 7 コスト構造解析部
9 収益性情報算出部 11 コスト構造データ格納部
13 収益性情報格納部 15 売上高動向解析部
17 成長率データ格納部 19 運転資本解析部
21 運転資本データ格納部 23 減価償却解析部
25 減価償却データ格納部 27 売上高予測部
29 売上高予測データ格納部 31 費用予測部
33 費用予測データ格納部 35 運転資本予測部
37 運転資本予測データ格納部 39 キャッシュフロー予測部
41 投資計画解析処理部 43 補正後データ格納部
45 予測キャッシュフローデータ格納部
47 出力部

Claims (8)

  1. 過去財務データ格納部に格納された過去の売上高、過去の営業費用、及び過去の減価償却費のデータを用いて、売上高と営業費用との第1関係式と売上高と減価償却費との第2関係式を特定し、当該第1及び第2関係式の係数データをデータ格納部に格納するステップと、
    前記過去財務データ格納部に格納された、過去の流動資産のうち正常な営業循環過程を構成するものの額、過去の流動負債のうち正常な営業循環過程を構成するものの額、及び過去の売上高のデータを用いて、運転資本及び当該運転資本と売上高との第3関係式を算出し、当該第3関係式の係数データを前記データ格納部に格納するステップと、
    将来の予測売上高のデータを取得し、予測売上高データ格納部に格納する予測売上高取得ステップと、
    前記予測売上高データ格納部に格納された前記将来の予測売上高のデータを用い、前記データ格納部に格納された前記係数データにより特定される前記第1乃至第3関係式に従って、将来の予測営業費用、将来の予測減価償却費及び将来の運転資本予測額を算出し、予測データ格納部に格納するステップと、
    前記予測データ格納部に格納された前記将来の運転資本予測額のデータを用いて、予測運転資本増減額を算出し、前記予測データ格納部に格納するステップと、
    前記予測売上高データ格納部に格納された前記将来の予測売上高と、前記予測データ格納部に格納された前記将来の予測営業費用、前記将来の予測減価償却費、及び前記予測運転資本増減額のデータと、予め登録されている実効税率とを用いて、営業活動による将来の予測キャッシュフローを算出し、キャッシュフロー格納部に格納するステップと、
    を含み、コンピュータにより実行されるキャッシュフロー予測方法。
  2. 前記予測売上高取得ステップが、
    前記過去財務データ格納部に格納された過去の売上高のデータを用いて平均成長率を算出し、記憶装置に格納するステップと、
    前記記憶装置に格納された平均成長率のデータと前記過去財務データ格納部に格納された現在売上高のデータとを用いて、前記将来の予測売上高を算出し、前記予測売上高データ格納部に格納するステップと、
    を含む請求項1記載のキャッシュフロー予測方法。
  3. 前記予測売上高取得ステップが、
    前記過去財務データ格納部に格納された過去の売上高のデータを用いて平均成長率と成長率の標準偏差とを算出し、記憶装置に格納するステップと、
    前記記憶装置に格納された前記平均成長率及び前記標準偏差のデータと、予め登録されており且つ前記平均成長率を前記標準偏差により修正するための成長傾向と、前記過去財務データ格納部に格納された現在売上高のデータとを用いて、前記将来の予測売上高を算出し、前記予測売上高データ格納部に格納するステップと、
    を含む請求項1記載のキャッシュフロー予測方法。
  4. 設備投資時期と設備投資額とを含む設備投資計画データを格納する設備投資計画データ格納部に格納されているデータを用いて、将来の減価償却費の追加予定額を算出し、追加償却データ格納部に格納するステップと、
    前記予測データ格納部に格納された前記将来の予測減価償却費のデータと前記追加償却データ格納部に格納された前記将来の減価償却費の追加予定額のデータとを用いて、前記設備投資計画を考慮した将来の補正後予測減価償却費を算出し、前記予測データ格納部に格納するステップと、
    前記予測データ格納部に格納された前記将来の予測営業費用のデータと前記追加償却データ格納部に格納された前記将来の減価償却費の追加予定額のデータとを用いて、前記設備投資計画を考慮した将来の補正後予測営業費用を算出し、前記予測データ格納部に格納するステップと、
    前記予測売上高データ格納部に格納された前記将来の予測売上高のデータと、前記予測データ格納部に格納された前記将来の補正後予測営業費用、前記将来の補正後予測減価償却費及び前記予測運転資本増減額のデータと、予め登録されている実効税率とを用いて、営業活動による将来の補正後予測キャッシュフローを算出し、前記キャッシュフロー格納部に格納するステップと、
    をさらに含む請求項1記載のキャッシュフロー予測方法。
  5. 設備投資時期と設備投資額とを含む設備投資計画データを格納する設備投資計画データ格納部に格納されているデータを用いて、将来の減価償却費の追加予定額を算出し、追加償却データ格納部に格納するステップと、
    前記キャッシュフロー格納部に格納された前記営業活動による将来の予測キャッシュフローのデータと前記追加償却データ格納部に格納された前記将来の減価償却費の追加予定額のデータと前記実効税率とを用いて、営業活動による将来の補正後予測キャッシュフローを算出し、前記キャッシュフロー格納部に格納するステップと、
    をさらに含む請求項1記載のキャッシュフロー予測方法。
  6. 前記投資計画データ格納部に格納されている前記設備投資計画データと前記キャッシュフロー格納部に格納された前記営業活動による将来の補正後予測キャッシュフローのデータとを用いて、将来の予測フリーキャッシュフローを算出し、前記キャッシュフロー格納部に格納するステップ
    をさらに含む請求項4又は5記載のキャッシュフロー予測方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1つ記載のキャッシュフロー予測方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  8. 過去財務データ格納部に格納された過去の売上高、過去の営業費用及び過去の減価償却費のデータを用いて、売上高と営業費用との第1関係式と売上高と減価償却費との第2関係式を特定し、当該第1及び第2関係式の係数データをデータ格納部に格納する手段と、
    前記過去財務データ格納部に格納された、過去の流動資産のうち正常な営業循環過程を構成するものの額、過去の流動負債のうち正常な営業循環過程を構成するものの額、及び過去の売上高のデータを用いて、運転資本及び当該運転資本と売上高との第3関係式を算出し、当該第3関係式の係数データを前記データ格納部に格納する手段と、
    将来の予測売上高のデータを取得し、予測売上高データ格納部に格納する予測売上高取得手段と、
    前記予測売上高データ格納部に格納された前記将来の予測売上高のデータを用い、前記データ格納部に格納された前記係数データにより特定される前記第1乃至第3関係式に従って、将来の予測営業費用、将来の予測減価償却費及び将来の運転資本予測額を算出し、予測データ格納部に格納する手段と、
    前記予測データ格納部に格納された前記将来の運転資本予測額のデータを用いて、予測運転資本増減額を算出し、前記予測データ格納部に格納する手段と、
    前記予測売上高データ格納部に格納された前記将来の予測売上高のデータと、前記予測データ格納部に格納された前記将来の予測営業費用、前記将来の予測減価償却費及び前記予測運転資本増減額のデータと、予め登録されている実効税率とを用いて、営業活動による将来の予測キャッシュフローを算出し、キャッシュフロー格納部に格納する手段と、
    を有するキャッシュフロー予測装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019067297A (ja) * 2017-10-04 2019-04-25 アルトア株式会社 情報処理装置及びプログラム
CN112529675A (zh) * 2020-12-21 2021-03-19 柏丽德珠宝(广州)有限公司 基于财务数据的资产估算方法及装置

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