以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、各図面において、同一符号のものは同一の物を示すものとし、適宜、関連する他の図面を参照して、詳細に説明するものとする。
図1は本発明に係る画像形成装置の概略図、図2は本発明に係る定着装置の模式図、図3は本発明に係る加熱部材の位置制御を示す模式図、図4は本発明に係る発熱体のパターン図、図5は本発明に係る画像形成装置の回路構成を示すブロック図である。
図1により本発明に係る画像形成装置の構成について説明する。
本発明の実施の形態における画像形成装置20は、説明を簡単にするために電子写真方式の複写機とする。電子写真方式の複写機はよく知られているので、本発明と直接関わりのない部分に関しては簡単に説明する。
20は画像形成装置、30は画像形成装置20に装着された自動原稿送り装置(ADF)である。
画像形成装置20は、筐体1の右側面部に、比較的少量の転写紙(記録紙、記録材または用紙ともいう。)を供給するための手差し皿2が設けられ、左側面部には排紙皿3が設けられている。
排紙皿3には、後述する給紙カセット12や手差し皿2から供給され、画像が形成された通常の転写紙(普通紙ともいう。)Pや特殊な転写紙IP等が排紙され積載するようになっている。
筐体1の底面部には画像形成装置20を移動できるようにするための複数のローラ(キャスターともいう。)4が設けられている。
筐体1の前面の上部には、画像形成装置20を作動させるための表示手段及び操作入力手段としてのコントロールパネルCPが設けられている。
コントロールパネルCPには、液晶表示装置、あるいは、表示装置にタッチパネル等が組み込まれたタッチパネル式の液晶表示装置により構成された表示手段DP、数値等を入力するキーボードKB、及び、コピー等の一連の画像形成動作を実行させるスタート釦(コピー釦ともいう。)SK等からなる操作入力手段としての入力装置とが設けられている。
本実施の形態においては、コントロールパネルCPで転写紙搬送モード等に関連する操作モードが設定でき、例えば、出力する転写紙のサイズや出力部数等を選択設定したり、片面印刷モードと両面印刷モードが設定でき、また、転写紙の排紙に関する操作モードである、フェイスアップ排紙モードやフェイスダウン排紙モード等が設定できるようになっている。
制御手段ECは、制御回路とも呼ばれ、画像形成装置20の全ての作動を制御するための手段であり、CPU等からなる電気回路で構成されている。そして、CPUに予め記憶された制御プログラムや制御データ等に基づき、画像形成装置20を構成する全ての手段を駆動制御するようになっている。
また、画像形成装置20にADF30等の付属装置が接続されている場合は、同様に、これらの付属装置と協働して、画像形成装置20のシステムとして全体が円滑に作動するように駆動制御する。
更に、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)等の情報通信網を介して、パーソナルコンピュータあるいは、他の情報機器等と接続されている場合も、制御手段ECは、これらの機器と協働して、作動に必要な情報の記憶や授受を含め支障なく円滑に画像形成装置20を駆動制御できるものとする。
画像形成手段11は、後述する画像読取手段13により入力された原稿等の画像情報やインターネットやLAN等の情報通信網を介して入力された画像情報に基づく画像を形成するための手段である。
例えば、モータ等の駆動源により予め設定された作像方向(例えば、矢印で示す時計方向)に回転する感光体ドラム(感光体または像担持体ともいう。)5、感光体ドラム5を一様に帯電する帯電手段6、例えば、入力された画像情報(画像データともいう。)に基づき信号化され、感光体ドラム5に静電潜像を形成するための、例えば、半導体レーザを備えたレーザ出力手段から出力されるレーザ光Eによる露光を行う露光手段(図示せず。)、感光体ドラム5に形成された静電潜像をトナー像として顕像化する現像手段7、感光体ドラム5に形成されたトナー像を転写紙P等に転写する転写分離手段8、トナー像が転写紙P等に転写された後、感光体ドラム5に残留するトナーや紙粉等を掻き落とすためのクリーニング手段9により構成されている。
定着手段10は、一般に定着装置ともよばれ、感光体ドラム5から転写されたトナー像を転写紙Pに溶融固着する定着作動を行うための手段である。
なお、本実施の形態における定着手段10に関して詳細は後述するが、無端ベルト状の回転する耐熱性フィルムを介して加熱ローラの外周部に設けられた加熱部材を加圧ローラに圧接し、耐熱性フィルムと加圧ローラとで構成されるニップ部に進入する未定着のトナー像が転写された転写紙を加熱部材の発熱体を加熱し、未定着のトナー像を転写紙に定着させるようにしている。
特に、本実施の形態においては、加熱ローラは加熱部材を支持するための部材として機能し、加熱ローラの外周部に設けられた加熱部材は、転写紙の搬送方向に対して直交する方向の加熱領域の幅がそれぞれ異なる発熱体Hを耐熱性の絶縁層で挟持するように構成されている。
従って、定着作動を行う場合は、定着手段10に進入する転写紙の幅、或いは転写紙上に形成される画像の幅に応じて、加熱ローラの外周部に設けられた加熱部材を回転させて、適切な加熱領域を有する発熱体Hを選択し、ニップ部に進入する転写紙に対向する位置に移動させ固定する共に発熱させて、効率よく、均一な温度分布によりトナー像を転写紙に定着するようになっている。
なお、転写紙の幅、或いは転写紙上に形成される画像の幅に関する幅情報は、本実施の形態においては、例えば、制御回路ECに入力される画像情報とともに転写紙サイズや転写紙上に形成される画像の位置等の情報により幅情報として取得したり、コントロールパネルCPの操作入力手段により入力された転写紙サイズ等の情報を幅情報として取得するようにしているが、さらに、給紙カセットに収納されている転写紙の情報を幅情報として取得したり、あるいは、転写紙の搬送経路中に設けられた幅検出センサー(図示せず)により転写紙や転写紙上に転写された未定着のトナー像を検出して、転写紙の幅や画像の幅等の幅情報として取得することが考えられる。
なお、定着作動においては、転写紙上に転写される未定着のトナー像を加熱して定着するものであるから、転写紙上の未定着のトナー像の幅を検出して、未定着のトナー像の幅に対応する加熱領域を有する発熱体で加熱することが望ましいが、現実的には、転写紙毎に変化する未定着のトナー像の幅を検出して、その幅に対応する発熱体Hの加熱領域を発熱させ定着する作動は困難であるから、転写紙の幅に対応する発熱体を発熱させ定着する定着制御を行うようにしても良い。
また、転写紙のサイズは、一般に使用されるA4、A3等のAサイズやB5、B4等のBサイズだけでなく、また、記録材として転写紙だけでなく葉書や封筒等を含めると記録材の幅の種類が多数有るので、全てに対応することは困難であるから予め使用頻度の高い記録材の幅を優先して、発熱体の加熱領域の幅を設定することが好ましい。
従って、本実施の形態においては、使用する記録材によっては、記録材の幅に対応する発熱体Hの加熱領域が設けられていない場合が想定されるので、このような場合には、記録材の幅より大きく記録材の幅に最も近い幅の発熱体Hの加熱領域を選択設定するようにしている。
画像読取手段13は、光源LT、ミラー群MR、結像レンズLZ等からなる読取光学系と、CCD(固体撮像素子)等を含む電気回路からなる読取装置ESとで、構成されている。
読取装置ESは、画像形成装置20が複写機の場合は、筐体1の上部に設けられたプラテンガラス(図示せず)上に載置した原稿や、自動原稿送り装置30により、読取位置に搬送された原稿の画像情報を画像読取手段13により読取り、例えば、デジタルの画像データに変換して、制御手段ECに設けられた記憶手段に画像データを記憶するようになっている。
特に、ADF30により搬送された原稿を画像読取手段13で読み取る場合は、読取位置に搬送された原稿を光源LTが照射し、ミラー群MRを介して、原稿からの反射光を結像レンズLZにより読取装置ESのCCD面に結像させ、CCDの出力する画像情報を画像データとして記憶するようになっている。
給排紙手段14は、給紙カセット12と、駆動源としてのモータ(図示せず。)や複数のローラR1〜R9、定着手段10の下流側の近傍に設けられ、例えば、転写紙の先端又は後端を検出して通過情報を制御回路ECに出力する転写紙検知手段SE、及び、搬送方向切換え部15に設けられた搬送方向切換え手段LB、両面印刷時に転写紙を反転させる反転搬送部16等からなる給排紙搬送装置として構成されている。
給紙カセット12は、例えば、厚紙等の特殊な転写紙IPを収納するカセット12aと、通常の(普通紙の)転写紙Pを収納するカセット12bとで構成されている。
なお、給排紙手段14は、使用者がコントロールパネルCPで設定した転写紙のサイズや転写紙の搬送条件に対応した転写紙搬送モードを実行するための制御プログラムにより、制御手段ECの指示に基づき駆動され、例えば、特殊な転写紙IP又は通常の転写紙Pを選択した後に、駆動源であるモータを回転させることにより、複数のローラ群等を回転駆動させて、給紙カセット12から適切なタイミングで感光体ドラム5に向けて特殊な転写紙IP又は普通紙Pを給紙搬送し、画像が形成された後に、排紙皿3へ排紙搬送するようになっている。
給排紙搬送手段14に係る転写紙の搬送条件としては、例えば、印刷に関する操作モードとして、片面印刷モードと両面印刷モードがあり、転写紙の排紙搬送に関する操作モードとして、フェイスアップ排紙モード、フェイスダウン排紙モードがある。そして、これらのモードは、前述のように、コントロールパネルCPで設定できるようになっている。
一方、制御回路ECには、転写紙搬送モードの制御プログラムである片面搬送プログラム、両面印刷のための反転搬送プログラム、フェイスアップ排紙搬送プログラム、フェイスダウン排紙搬送プログラム等が予め記憶されている。
従って、制御回路ECは、コントロールパネルCPで設定された操作モードに対応して、転写紙搬送モードの何れかの制御プログラムを選択し、選択された転写紙搬送モードの制御プログラムにより給排紙搬送手段14を駆動制御することになる。
ADF30は、搬送装置全体がADF筐体31で覆われ、ADF筐体31の外部に原稿載置台32と排紙部33が設けられている。
原稿載置台32には、例えば、第1頁の原稿面(表面)を最上部にした状態の複数の原稿WPが載置される。載置された原稿WPは、複数のローラ等により構成される原稿搬送装置により読取位置に搬送され、読取装置ESで読み取られ、排紙部33に排紙される。
ADF30は、図示せぬ駆動制御回路により、画像形成装置20の制御手段ECと連動
図2により、本実施の形態における定着手段について説明する。
図2の(A)図は、定着手段10の全体を示す模式図であり、図2の(B)図は定着手段10のニップ部を拡大した模式図である。
図2の(A)図において、定着手段10は、加熱ローラT1、従動回転するローラT2とT3、及びT4は加圧ローラT4からなるローラ部材と、これらのローラ部材に張架された無端ベルト状の耐熱性フィルムF等により構成されており、特に、加熱ローラT1の外周部には複数の加熱領域を有する発熱体Hからなる加熱部材Nが設けられている。また、Pは矢印X方向に搬送される未定着のトナー像が転写された転写紙を示している。
図2の(B)図に示すように、耐熱性フィルムFは、例えば、ポリイミド樹脂等により無端状のフィルムとして構成され、ローラT2、T3及び加熱ローラT1に張架されており、耐熱性フィルムFを介して加熱ローラT1の外周部に設けられた加熱部材Nとと加圧ローラT4は圧接されている。
加熱ローラT1は、加熱部材Nを支持するためのもので、基本的には熱伝導性に優れたアルミニウム製の円筒体が用いられている。転写紙の幅等に応じて発熱体Hの後述する加熱領域が選択されるとき回転され、選択された発熱体Hの加熱領域に通電され加熱されている定着作動時には固定されるようになっている。
加熱部材Nは耐熱性のあるポリイミド等の樹脂材により形成された耐熱絶縁層で、複数の加熱領域を有する発熱体Hを挟持固定し、加熱ローラT1の外周部に、図示はしないが接着または締結等の適宜の手段により固定されている。
発熱体Hは、例えば、セラミックヒータ、ニクロム線、炭素繊維、銀パラジウム等の抵抗発熱体により、転写紙サイズ等に関連する複数の幅等に対応する複数の加熱領域を形成するようにしている。
加圧ローラT4は、例えば、アルミニウム製の円筒体等の基材の外層にシリコンゴムやスポンジ等からなる弾性層が設けられ、その上に表層が設けられている。
なお、従動ローラT2、T3のローラの基材としては、加熱ローラT1と同様に、基本的には熱伝導性に優れたアルミニウム製の円筒体が用いられ、表層としては、樹脂製のチューブやコーティング等が使用されている。
次に定着作動について説明する。
定着作動を行う場合は、まず、加熱部材Nが加熱ローラにより回転され、転写紙の幅に応じて加熱部材Nに設けられた発熱体Hの適切な加熱領域が選択され、ニップ部に進入する転写紙に対向する位置に移動され固定される。引き続いて発熱体Hに通電されると共に加圧ローラT4が図示せぬ駆動源により回転されると、加圧ローラT4に圧接する無端状の耐熱性フィルムFは加熱部材Nに対して接触摺動しながら従動ローラT2,T3と共に回転する。そして、加熱部材Nが無端状の耐熱性フィルムFを介して加圧ローラT4と圧接されて形成されるニップ部に進入する転写紙に転写された未定着のトナー像を加熱し定着する。
このようにして、転写紙の幅、或いは転写紙上に形成される画像の幅(以下、転写紙の幅等ともいう。)に応じて選択された発熱体Hの加熱領域の均一な加熱により転写紙上の未定着トナー像に対して効率的に安定した定着作動が行われる。
図3により加熱部材の位置制御について説明する。
図3の(A)図は発熱体の加熱領域の位置を設定するための作動制御機構を示し、図3の(B)図は複数の加熱領域に対する通電制御機構を示している。
図3の(A)図において、図2と同様に、T1は加熱ローラ、T4は加圧ローラ、Hは発熱体を示している。また、SMは加熱ローラT1を駆動する駆動源としてのステッピングモータである。また、G1,G2はステッピングモータSMの回転を加熱ローラT1に伝達する歯車列である。さらに、ECTはステッピングモータSMの作動や発熱体Hへの通電制御を行う駆動制御回路である。
なお、転写紙(記録材)の搬送方向に対して直交する方向の発熱体Hの加熱領域の最小幅HW1は、転写紙の搬送方向に対して直交する方向の転写紙の最小幅PW1より若干広い幅になるように設けられ、同様に、発熱体Hの加熱領域の最大幅HWnは転写紙の最大幅PWnより若干広い幅になるように、それぞれ転写紙の幅に対して若干の余裕が設けられ、温度分布が均一な発熱ができるように加熱部材Nの同一平面上に設けられている。
なお、転写紙に形成される画像の幅に基づき発熱体Hの加熱領域の幅を決定する場合は、前述の転写紙の幅を所定の画像の幅に置き換えて決定すればよい。
また、エンコーダMeは、発熱体Hの加熱領域を設定するための加熱ローラT1の移動位置を検出する検出手段で、ステッピングモータSMで回転された位置を検出して検出した位置情報をステッピングモータSMの駆動制御回路ECTに入力することにより、設定された位置と実際に移動した位置を比較して、一致していない場合は再度、移動させる等の作動を実行することで、確実に発熱体Hの加熱領域が設定できるようになっている。
また、図3の(B)図に示すように、発熱体Hの加熱領域H1〜Hnは複数設けられ、加熱ローラT1の両端もしくは一方の端部に加熱領域H1〜Hnの電極HP1〜HPnが設けられている。
次に、発熱体Hの加熱領域の位置を設定する作動について説明する。
発熱体Hの加熱領域の位置を設定する場合は、前述のように、制御回路ECにより取得された転写紙の幅または転写紙に形成される画像の幅に関する幅情報に基づき、駆動制御回路ECTは、幅情報に基づく発熱体Hの加熱領域、例えば、H1を設定するために、加熱領域H1に対応して予め設定された駆動パルスによりステッピングモータSMを回転させ、歯車列G1,G2により加熱ローラT1が回転され、加熱ローラT1の外周部に設けられた加熱部材Nが回転する。
加熱ローラT1が回転されると、エンコーダMeにより加熱ローラT1の位置が検出され位置情報が駆動制御回路ECTに入力され、発熱体Hの加熱領域H1が設定されたことを確認して位置を設定する作動を停止する。
そして、駆動制御回路ECTの図示せぬスイッチ手段等により加熱領域H1の電極HP1に通電され、加熱領域H1が発熱し、ニップ部に進入した未定着のトナー像が形成された転写紙を加熱し定着するようになっている。
なお、本実施の形態においては、発熱体Hの加熱領域の位置を設定する場合にステッピングモータSMに付与される駆動パルスは、転写紙の幅または転写紙に形成される画像の幅に基づく幅情報と発熱体Hの加熱領域とが関連づけられて、制御回路ECの記憶手段に予め記憶されている。
また、本実施の形態においては、加熱ローラT1の外周部に加熱部材Nを設け、加熱ローラT1を回転させることにより加熱部材Nを回転させ、発熱体Hの適切な加熱領域を選択設定するようにしたが、転写紙の幅等の情報に基づき発熱体Hの加熱領域が切り換えられるようにすれば良く、例えば、加熱ローラT1に代えて加熱部材Nを支持する固定部材を設け、加熱部材Nが他の装置で作動して発熱体Hの加熱領域が切り換えられるようにも良く、発熱体Hの加熱領域の位置を設定するための作動制御機構や複数の加熱領域に対する通電制御機構は図3の(A)、(B)図と共に説明された手段に限定されるものではない。
以上のように、本実施の形態における定着手段は、転写紙の幅や画像の幅等に応じて適切な加熱領域を有する発熱体Hを選択設定し発熱させることで、構造や制御が簡単で、エネルギーの無駄遣いが起こらず、安定して均一な温度分布を得て、転写紙に転写された未定着のトナー像を定着できるようにしたものである。
図4により加熱領域を有する発熱体のパターンについて説明する。
図4の(A)図は、転写紙の搬送方向に対して直交する方向の発熱体Hの加熱領域H1〜Hnに関して、例えば、最小幅HW1から最大幅HWnが並設されており、転写紙の搬送方向の幅HLが同じ幅で、1つの加熱領域H1に対して両端に電極HP1が設けられた発熱体パターンが、加熱領域Hnまで複数設けられている状態を示すものである。
図4の(B)図は、転写紙の搬送方向に対して直交する方向の発熱体Hの加熱領域の一端が連結された状態で設けられ、例えば、加熱領域H1に通電する時は電極HP1とHP2とを使用し、加熱領域Hnに通電する時は電極HPn−1とHPnとを使用するというように電極数を削減して構成したものである。
なお、本実施の形態においては、転写紙の搬送方向の幅HLが同じ幅となるように形成したが、ニップ部における発熱体の発熱量を増加したい場合や減少したい場合においては、幅HLの寸法を拡大したり縮小したりして調整するようにしても良く、場合によっては、発熱体Hの加熱領域H1〜Hnに関して、幅HLの異なる加熱領域が存在しても良い。
また、発熱体Hは複数の加熱領域H1〜Hnが加熱部材Nの同一平面上に設けられ、また、転写紙の搬送方向に対して直交する方向の発熱体Hの加熱領域の幅が最小幅HW1から最大幅HWnへ、または最大幅HWnから最小幅HW1の何れかのパターンで並設されており、他の加熱領域の影響を受けず、均一に発熱し、しかも温度分布が均一になるので、安定して効率的な定着作動が行え、結果として、高品位な画像が形成できる画像形成装置を提供できるようになっている。
図5により、本実施の形態における画像形成装置の回路構成について説明する。
100は自動原稿送り装置30を含む画像形成装置20全体の各種手段と回路との構成を示している。110は画像形成装置全体の制御を行うCPUであり、画像形成装置20を制御するための各種モードのプログラムやプログラムを実行するために必要なデータ等が予め記憶されている。
CPU110には、情報制御回路120、画像処理回路140、駆動制御回路150および電源回路400等が接続されている。そして、これらの回路により図1に示す制御手段ECが構成され、画像形成装置20全体の制御ができるようになっている。
情報制御回路120は、CPU110の指示により、インタフェース(I/F)130を介して外部情報機器500と接続して、文字や画像等の画像情報や画像形成等に必要な濃度や倍率等の設定情報をJOB情報として1つの印刷単位である1JOB単位で入力し記憶手段160に記憶する。そして、記憶手段160に記憶された設定情報等を画像処理回路140や駆動制御回路150、あるいは表示手段300等に出力するようになっている。
また、情報制御回路120は、外部情報機器500から入力した画像情報や設定情報等からなるJOB情報の他に、画像処理回路140や駆動制御回路150等を含む回路や各種手段の作動に必要な指示情報に関連する、例えば、操作入力手段200で入力された各種情報等を画像形成装置の作動に支障がないように、適宜円滑に画像形成装置の各回路や各種手段に伝達する機能を有している。
なお、外部情報機器500は、主としてコンピュータやインターネット・サーバーであるが、場合によっては、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)上の他の画像形成装置、あるいは、デジタル・カメラや計測した情報を出力可能な計測装置等の情報機器が想定される。
また、本実施の形態においては、情報制御回路120は、後述する記憶手段160に記憶された、例えば、1頁当たりの画像情報や記録材である転写紙に関する転写紙サイズ等のデータから転写紙の幅や画像の幅を求めて記憶手段160に記憶したり、例えば、転写紙の搬送経路中に設けられた幅検出手段(図示せず)からの情報を幅情報として記憶手段160に記憶する幅情報取得手段としても機能するようになっている。
インタフェース(I/F)130は、情報授受手段であり、前述のコンピュータや他の画像形成装置、インターネット・サーバー等の外部情報機器500と各種ネットワークを介して接続できるように構成されている。
操作入力手段200は、画像形成装置20のコントロールパネルCPに設けられた入力装置である。前述したタッチパネルを備えた液晶表示装置DPやキーボードKB、及び、スタート釦SK等が想定される。
例えば、キーボードKBを操作することにより、転写材(転写紙、記録紙、または記録材ともいう。)のサイズや出力枚数または種類(例えば、インデックス用紙、厚紙、普通紙、薄紙、再生紙、OHPシート等)、あるいは拡大縮小等の倍率や出力画像の濃度等の設定情報が入力できるようになっている。
また、操作入力手段200は、場合によっては、画像形成装置20の各種作動モードを設定するための入力手段にもなる。例えば、設定入力できる操作モードとしては、カラーモード、白黒モード、あるいは印刷に関しては片面印刷モードと両面印刷モード、転写紙の排紙搬送に関してはフェイスアップ排紙モード、フェイスダウン排紙モード等が設けられている。
また、本実施の形態においては、定着作動に際して転写紙の幅等に応じて発熱体Hを選択して定着するために、操作入力手段200であるタッチパネル式の表示手段DPやキーボードKBにより、特に、転写紙サイズに基づく幅寸法を入力して記憶できるようになっている。
また、画像形成装置20の制御回路ECには、設定された操作モードで給排紙手段14をCPU110が駆動制御できるように、前述の各種操作モードに応じて予め設定された各種転写紙搬送モードの制御プログラムが、例えば、片面搬送プログラム、両面印刷のための反転搬送プログラム、フェイスアップ排紙搬送プログラム、及び、フェイスダウン排紙搬送プログラムとして、記憶手段160に記憶されている。
表示手段300は、前述の液晶表示装置、あるいは、液晶表示部にタッチパネル等が組み込まれた表示装置DP等により構成されている。
表示手段300には、操作入力手段200で情報を入力する際の操作手順や各種情報の一覧表示、あるいは記憶手段160に記憶された情報の表示、画像形成装置20の作動中の状態表示や警告表示等が表示されるようになっている。
画像処理回路140は、CPU110の指示により、画像読取手段13が読み取った原稿の画像情報をデジタル変換して、画像データとして記憶手段160に記憶させたり、記憶手段160に記憶されている画像データに基づき画像形成手段11が画像を形成する際に、画像形成手段11の画像形成方式に適したデータや信号等に変換する回路である。
駆動制御回路150は、CPU110の指示により、画像形成手段11、画像読取手段13、給排紙手段14、及び、ADF30等を、予め設定された作動モードに基づき、適切なタイミングで作動させ画像形成作動を行なわせるための回路である。
特に、本実施の形態においては、後述する定着手段10の加熱位置制御部に設けられた駆動制御回路ECTをCPU110の指示により作動させ、転写紙の幅に応じた均一で安定した定着作動が行えるようになっている。
記憶手段160は、画像を形成するために必要な画像データ及び画像形成装置20を制御するための設定条件等からなるJOB情報やJOBデータ、及び、各種設定モードのプログラム等の情報を記憶するようになっている。
特に、本実施の形態においては、発熱体の加熱領域の位置を設定する場合にステッピングモータSMに付与される駆動パルスが、転写紙の幅等に基づく幅情報と発熱体Hの加熱領域H1〜Hnとが関連づけられて設定され、記憶手段160に予め記憶されている。
なお、JOB情報とは、画像形成装置20が複写機の場合は、例えば、原稿の画像情報に基づき、原稿をセットし、片面又は両面モードの選択、給紙トレイの選択、コピー部数の選択、印刷濃度の選択などの、個々の仕事(JOB)の情報のことで、各種の設定を行い、コピー開始を指示することにより決定される一連の印刷データをいい、このような1つの印刷指示(1印刷単位ともいう。)に対応した印刷データ群を1JOBという。
また、同様に、画像形成装置がプリンターの場合は、外部情報機器500から送信された一連の印刷データ群をJOB情報といい、1つの印刷指示に対応した印刷データ群を1JOBという。そして、1JOB毎にJOB情報やJOBデータを取り扱うことを1JOB単位という。
なお、JOBデータとは、JOB情報に付随した、例えば、転写材に応じた搬送速度のデータのように、画像形成動作を実行するための制御項目に関する詳細なデータをいう。
従って、記憶手段160には1つのJOB毎に、つまり1JOB単位(単に、JOB単位ともいう。)でJOB情報やJOBデータが記憶されている。
画像形成手段11は、図1に示すように、感光体ドラム5、帯電手段6、現像手段7、転写分離手段8、クリーニング手段9等により構成され、駆動制御回路150により作動される。
そして、画像読取手段13で読み取られ、記憶手段160に記憶された画像データに基づき、JOB情報やJOBデータにより制御されて、感光体ドラム5上にトナー像を形成し、転写材である通常の転写紙(普通紙)Pまたは特殊な転写紙IPにトナー像を転写するようになっている。
定着手段10は、転写紙の幅等に対応する加熱領域を有する発熱体Hを選択設定するための加熱体位置制御部として、図3に示すような、作動制御機構や通電制御機構及び駆動制御回路ECTを備えている。
そして、定着手段10により転写紙上に転写された未定着のトナー像を定着する定着作動を行う場合は、情報制御回路120により予め取得された転写紙の幅等の幅情報に基づき、記憶手段160から対応する駆動パルスが読み出され、読み出された駆動パルスにより駆動制御回路ECTはステッピングモータSMを回転させ、加熱ローラT1を所定量だけ回転させる。
加熱ローラT1が所定量だけ回転することにより、加熱ローラT1の外周部に設けられた加熱部材Nの所定の加熱領域を有する発熱体Hが選択設定され、その後に、発熱体Hの加熱領域に通電して発熱させ、ニップ部に進入してくる転写紙上に転写された未定着のトナー像を定着するようになっている。
また、例えば、記録材が特殊で、記録材の幅に対応する発熱体Hの加熱領域が無い場合は、情報制御回路120は、記録材の幅より大きく記録材の幅に最も近い幅の発熱体Hの加熱領域を選択し、記憶手段160から対応する駆動パルスを読み出し駆動制御回路ECTに入力してステッピングモータSMを回転させ、発熱体Hの加熱領域を設定するようにしている。
なお、発熱体Hの加熱領域を選択設定するための作動制御機構に、本実施の形態においては、ステッピングモータSMとエンコーダMeを組み合わせて使用したが、確実に発熱体Hの加熱領域を選択設定できるのであれば、ステッピングモータSMとエンコーダMeを組み合わせる必要もない。また、例えば、直流モータや交流モータを使用して作動制御機構を構成しても良く、この本実施の形態の構成に限るものではない。
画像読取手段13は、読取光学系と読取装置ESとで構成されている。駆動制御回路150により作動され、読取位置に搬送された原稿の画像情報を読取装置ESで読み取り、読み取られた画像情報は、例えば、画像処理回路140により、デジタルの画像データに変換して、記憶手段160に記憶するようになっている。
給排紙手段14は、特殊な転写紙IPや普通紙の通常の転写紙Pを収納する給紙カセット12と、複数のローラやモータ等の駆動源(図示せず。)からなる搬送機構等を有する給排紙搬送装置として構成されている。
給排紙手段14としての給排紙搬送装置は、CPU110の指示により、駆動制御回路150を介して作動され、給紙カセット12から選択された転写紙IP又は転写紙Pを適切なタイミングで感光体ドラム5に向けて給紙搬送し、片面印刷や両面印刷等の工程を経て画像が形成された転写紙IP又は転写紙Pを排紙皿3へ排紙搬送するようになっている。
特に、本実施の形態においては、操作入力手段200のコントロールパネルCPで設定された片面印刷モードや両面印刷モード、及び、フェイスアップ排紙モード、フェイスダウン排紙モード等に対応して、CPU110は、片面搬送プログラム、両面印刷のための反転搬送プログラム、フェイスアップ排紙搬送プログラム、フェイスダウン排紙搬送プログラム等の何れかを情報制御回路120を介して記憶手段160から読み出し、読み出されたプログラムに基づき、駆動制御回路150を介して給排紙手段14を作動し、各モードに基づく転写紙の搬送を行うようになっている。
転写紙検知手段SEは、例えば、フォトカプラや機械的なスイッチにより構成され、定着手段10の近傍の搬送経路中に設置されており、転写紙の後端を検出した際に通過情報を駆動制御回路150に出力するようになっている。
なお、本実施の形態においては、転写紙を搬送する搬送路を切り換えるために、定着手段10の下流側に配置された転写紙検知手段SEにより、転写紙の後端を検出するようにしたが、転写紙の先端を検出するようにしても良く、例えば、定着手段10と搬送方向切換え部15とが近接しているような場合には、転写紙の先端を検出することで、搬送方向切換え手段LBを切り換える作動タイミングに余裕を持てるようにしても良いことはいうまでもない。
自動原稿送り装置(ADF)30は、図1に示すように、原稿載置台32に載置された原稿を原稿搬送装置により自動的に1枚づつ読取位置に搬送する装置で、画像形成装置20のCPU110の指示により、駆動制御回路150と連携して作動する。
電源回路400は、使用者の操作により、電源スイッチ(図示せず)が投入されると、電源から適切な通電が画像形成装置全体に行われ、電源スイッチが遮断されると、通電が遮断されるようになっている。
なお、電源スイッチが投入されていても、例えば、画像形成装置を待機状態にする省電モードの場合は、CPU110の指示により、一時的なメモリの記憶内容等の保存のために必要な通電のみを継続し、定着手段のヒータ等の他の通電を遮断するするようになっている。
以上により、本実施の形態における定着作動等について説明したが、転写紙の幅等の幅情報に基づき発熱体の加熱領域を選択設定して定着作動を行わせることにより、転写紙の幅以外の部分を加熱したりして、余分なエネルギーを消費させたり、また、転写紙の幅以外の部分を加熱することにより加熱ローラや加圧ローラ等を熱で損傷させたりするという問題を解決して、高品位な画像が形成ができる画像形成装置を提供できるようになった。
特に、本実施の形態においては、複数の加熱領域を有する発熱体を前記加熱部材の同一面上に設けたことにより、通電される発熱体を切り換えても、積層構造ではないので熱効率が変化することがなく、記録材の幅等に応じて必要な部分の発熱体のみが均一に加熱され温度分布が容易に均一にできるので、安定して高品位な画像形成ができる画像形成装置を提供することができるようになった。
また、発熱体に設けられた記録部材の搬送方向に対して直交する方向の加熱領域の幅は、記録材の幅等に基づき決定されているので、複数の記録材の幅、または画像の幅に容易に対応することができ、また、必要な部分の発熱体のみが均一に加熱され温度分布が容易に均一にできるので、安定して高品位な画像形成ができる画像形成装置を提供することができるようになった。
また、発熱体は、それぞれの加熱領域毎に通電が行えるように構成されているので、容易に記録材の幅、または画像の幅に応じて必要な部分の発熱体のみが均一に加熱され温度分布が容易に均一にできるので、安定して高品位な画像形成ができる画像形成装置を提供することができるようになった。
また、制御手段は、記録材の幅、または、画像の幅に関する幅情報を取得する幅情報取得手段を有し、幅情報取得手段が取得した幅情報に対応する加熱領域を有する発熱体を選択し発熱作動を行わせることができるので、エネルギーの無駄遣いがなく、効率的に発熱体を発熱させ安定して高品位な画像形成ができる画像形成装置を提供することができるようになった。
また、発熱体を抵抗発熱体で構成したので、構造が簡単で、しかも、発熱体の加熱領域の幅が所定方向から増加、または、減少する何れかの順に、並設されているので、発熱体を効率的に切り換えることができ、記録材の幅等に応じて発熱体の切り換え作動や発熱体による定着のための加熱制御が容易に行える定着装置を有する画像形成装置を提供できるようになった。
なお、本実施の形態において、画像形成装置として複写機を例に説明したが、電子写真方式のトナーを用いて画像を形成する画像形成装置であれば、複写機に限らずプリンタ、ファクシミリ、或いはこれらの複合機としての画像形成装置に適用しても良いことは言うまでもない。