JP2022166107A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】定着品質の向上、及び省エネルギー化を図る。【解決手段】実施形態に係る定着装置は、判定手段と、エンドレス形状の回転体と、加熱手段と、切替手段と、加圧手段と、加熱制御手段と、を備える。判定手段は、トナー像が形成される媒体の大きさを判定する。加熱手段は、媒体の搬送方向に直交する直交方向に配置された複数のコの字状に形成された第1の発熱部材からなる第1の発熱部材群と、第1の発熱部材群の媒体の搬送方向に直交する直交方向両側に、記媒体の搬送方向に直交する直交方向に配置された複数のコの字状に形成された第2の発熱部材からなる第2の発熱部材群と、を含む。切替手段は、複数の第1の発熱部材及び複数の第2の発熱部材に対する通電を個別に切替える。【選択図】図10

Description

本実施形態は、定着装置および画像形成装置に関する。
画像形成装置に搭載される定着装置の熱源として、ハロゲンランプを代表とする赤外線を発するランプ、あるいは、電磁誘導によりジュール熱で加熱する方式が実用化されている。一般に、定着装置は加熱ローラ(あるいは複数のローラに掛け渡された定着ベルト)とプレスローラの対により構成されるが、定着装置の熱効率を最大化するためには出来るだけ構成要素の熱容量を低減化し、かつ、加熱領域を集中させることが求められている。
特許2629980号公報
上述の加熱方式では、加熱幅が広いため、広範囲に分散された熱エネルギーをニップ部分だけに集中的に与えることは難しく、熱効率を最適化することが難しい。また、電子写真用の定着装置では、用紙搬送方向と直角方向に発熱むらが生じると、定着品質に影響する。特に、カラー印刷の場合は、発色、光沢に差異が発生する可能性がある。
更に、熱容量を極端に削減した定着装置では、用紙が通過しない部分の温度が極端に上昇するため、ヒータの反り、ベルトの劣化、搬送ローラの膨張による速度ムラなどの問題が発生する場合があった。また、用紙が通過しない部分を加熱することは、省エネルギー化の観点からも好ましくない。用紙が通過する部分のみを集中的に加熱することは、環境対応の観点からも重要な技術課題となっている。
このため、発熱領域を分割して制御することが提案されているが、発熱領域を分割する場合には、領域間で温度上昇率に差が生じてしまい、温度ムラの原因となるという問題が生じる。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題に鑑み、通紙領域に対する集中的かつ安定した加熱を可能とし、定着品質の向上と省エネルギー化を達成することを目的とする。
実施形態に係る定着装置は、判定手段と、エンドレス形状の回転体と、加熱手段と、切替手段と、加圧手段と、加熱制御手段と、を備える。判定手段は、トナー像が形成される媒体の大きさを判定する。加熱手段は、媒体の搬送方向に直交する直交方向に配置された複数のコの字状に形成された第1の発熱部材からなる第1の発熱部材群と、第1の発熱部材群の媒体の搬送方向に直交する直交方向両側に、記媒体の搬送方向に直交する直交方向に配置された複数のコの字状に形成された第2の発熱部材からなる第2の発熱部材群と、を含む。切替手段は、複数の第1の発熱部材及び複数の第2の発熱部材に対する通電を個別に切替える。加圧手段は、第1の発熱部材と複数の第2の発熱部材とに、回転体を介して押圧されることによりニップを形成し、媒体を搬送方向へ搬送する。加熱制御手段は、判定手段により判定された媒体の大きさに基づいて、ニップを通過する媒体に対応する第1の発熱部材及び複数の第2の発熱部材を選択し、切替手段を介して同時に通電する。
一実施形態に係る定着装置が搭載される画像形成装置の構成例を示す図。 一実施形態における画像形成部の一部を拡大して示す構成図。 一実施形態におけるMFPの制御系の構成例を示すブロック図。 一実施形態に係る定着装置の構成例を示す図。 一実施形態における発熱部材群の配置図。 図5に示す破線Xにおける発熱部材群の断面図。 一実施形態における発熱部材群とその駆動回路の接続状態を示す図。 一実施形態におけるMFPの制御動作の具体例を示すフローチャート。 一実施形態の変形例における発熱部材群とその駆動回路の接続状態を示す図。 一実施形態の変形例における発熱部材群の形状パターンを示す図。
以下、本発明の一実施形態に係る定着装置について図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る定着装置が搭載される画像形成装置の構成例を示す図である。図1において、画像形成装置10は、例えば複合機であるMFP(Multi-Function Peripherals)や、プリンタ、複写機等である。以下の説明ではMFPを例に説明する。
MFP10の本体11の上部には透明ガラスの原稿台12があり、原稿台12上には自動原稿搬送部(ADF)13が開閉自在に設けられている。また、本体11の上部には操作部14が設けられている。操作部14は、各種のキーとタッチパネル式の表示器を有している。
本体11内のADF13の下部には、読取装置であるスキャナ部15が設けられている。スキャナ部15は、ADF13によって送られる原稿または原稿台上に置かれた原稿を読み取って画像データを生成するものであり、密着型イメージセンサ16(以下、単にイメージセンサと呼ぶ)を備えている。イメージセンサ16は、主走査方向(図1では奥行方向)に配置されている。
イメージセンサ16は、原稿台12に載置された原稿の画像を読み取る場合は原稿台12に沿って移動しながら、原稿画像を1ライン分ずつ読み取る。これを原稿サイズ全体にわたって実行し1ページ分の原稿の読み取りを行う。また、ADF13によって送られる原稿の画像を読み取る場合、イメージセンサ16は、固定位置(図示の位置)にある。
更に、本体11内の中央部にはプリンタ部17を有し、本体11の下部には、各種サイズの用紙Pを収容する複数の給紙カセット18を備えている。
プリンタ部17は、スキャナ部15で読み取った画像データや、パーソナルコンピュータなどで作成された画像データを処理して用紙に画像を形成する。プリンタ部17は、例えばタンデム方式によるカラーレーザプリンタであり、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像形成部20Y,20M,20C,20Kを含む。画像形成部20Y,20M,20C,20Kは、中間転写ベルト21の下側に、上流から下流側に沿って並列に配置されている。また、レーザ露光器(走査ヘッド)19も画像形成部20Y,20M,20C,20Kに対応した複数のレーザ露光器19Y、19M、19C、19Kを有している。
図2は、画像形成部20Y,20M,20C,20Kのうち、画像形成部20Kを拡大して示す構成図である。尚、以下の説明において各画像形成部20Y,20M,20C,20Kは同じ構成であるため、画像形成部20Kを例に説明する。
画像形成部20Kは、像担持体である感光体ドラム22Kを有する。感光体ドラム22Kの周囲には、回転方向tに沿って帯電器(帯電チャージャ)23K、現像器24K、一次転写ローラ(転写器)25K、クリーナ26K、ブレード27K等を配置している。感光体ドラム22Kの露光位置には、レーザ露光器19Kから光を照射し、感光体ドラム22K上に静電潜像を形成する。
画像形成部20Kの帯電器23Kは、感光体ドラム22Kの表面を一様に帯電する。現像器24Kは、現像バイアスが印加される現像ローラ24aによりブラックのトナーおよびキャリアを含む二成分現像剤を感光体ドラム22Kに供給し、静電潜像の現像を行う。クリーナ26Kは、ブレード27Kを用いて感光体ドラム22K表面の残留トナーを除去する。
また、図1に示すように、画像形成部20Y~20Kの上部には、現像器24Y~24Kにトナーを供給するトナーカートリッジ28を設けている。トナーカートリッジ28は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーカートリッジを含む。
中間転写ベルト21は、循環的に移動する。中間転写ベルト21は、駆動ローラ31および従動ローラ32に張架される。また中間転写ベルト21は感光体ドラム22Y~22Kに対向して接触している。中間転写ベルト21の感光体ドラム22Kに対向する位置には、一次転写ローラ25Kにより一次転写電圧が印加され、感光体ドラム22K上のトナー像を中間転写ベルト21に一次転写する。
中間転写ベルト21を張架する駆動ローラ31には、二次転写ローラ33を対向して配置している。駆動ローラ31と二次転写ローラ33間を用紙Pが通過する際に、二次転写ローラ33により二次転写電圧が印加される。そして、中間転写ベルト21上のトナー像を用紙Pに二次転写する。中間転写ベルト21の従動ローラ32付近には、ベルトクリーナ34を設けている。
また、図1で示すように、給紙カセット18から二次転写ローラ33に至る間には、給紙カセット18内から取り出した用紙Pを搬送する給紙ローラ35が設けられている。更に、二次転写ローラ33の下流には定着装置36が設けられている。また、定着装置36の下流には搬送ローラ37が設けられている。搬送ローラ37は用紙Pを排紙部38に排出する。更に、定着装置36の下流には、反転搬送路39が設けられている。反転搬送路39は、用紙Pを反転させて二次転写ローラ33の方向に導くものであり、両面印刷を行う際に使用される。図1、図2はMFP10の構成例を示すものであり、定着装置36以外の画像形成装置部分の構造を限定するものではなく、公知の電子写真方式画像形成装置の構造を用いることができる。
図3は、本実施形態におけるMFP10の制御系50の構成例を示すブロック図である。制御系50は、例えば、MFP10全体を制御するCPU100、リードオンリーメモリ(ROM)120、ランダムアクセスメモリ(RAM)121、インターフェース(I/F)122、入出力制御回路123、給紙・搬送制御回路130、画像形成制御回路140、定着制御回路150を備えている。
CPU100は、ROM120あるいはRAM121に記憶されるプログラムを実行することにより画像形成のための処理機能を実現する。ROM120は、画像形成処理の基本的な動作を司る制御プログラムおよび制御データなどを記憶する。RAM121は、ワーキングメモリである。ROM120(あるいはRAM121)は、例えば、画像形成部20や定着装置36等の制御プログラムと制御プログラムが使用する各種の制御データを記憶する。本実施形態における制御データの具体例としては、用紙の通紙領域や用紙中の印字領域の大きさ(主走査方向での幅)と通電させる発熱部材との対応関係などが挙げられる。
定着装置36の定着温度制御プログラムは、トナー像が形成された用紙における画像形成領域の大きさを判定する判定ロジックと、用紙が定着装置36の内部に搬送される前に用紙の通紙領域に対応する発熱部材のスイッチング素子を選択して通電し、加熱手段における加熱を制御する加熱制御ロジックとを含んでいる。
I/F122は、ユーザ端末やファクシミリ等の各種装置との通信を行う。入出力制御回路123は、操作部14を構成するオペレーションパネル123a、表示器123bを制御する。給紙・搬送制御回路130は、給紙ローラ35あるいは搬送路の搬送ローラ37等を駆動するモータ群130a等を制御する。給紙・搬送制御回路130は、CPU100からの制御信号に基づいて給紙カセット18近傍あるいは搬送路上の各種センサ130bの検知結果を考慮してモータ群130a等を制御する。画像形成制御回路140は、CPU100からの制御信号に基づいて感光体ドラム22、帯電器23、レーザ露光器19、現像器24、転写器25をそれぞれ制御する。定着制御回路150は、CPU100からの制御信号に基づいて定着装置36の駆動モータ360、加熱部材361、サーミスタ等の温度検知部材362をそれぞれ制御する。尚、本実施形態では定着装置36の制御プログラムおよび制御データをMFP10の記憶装置内に記憶してCPU100で実行する構成としているが、定着装置36専用に演算処理装置と記憶装置を別途設ける構成にしてもよい。
図4は、定着装置36の構成例を示す図である。ここでは、定着装置36が、板状の加熱部材361、弾性層が形成され、複数のローラに懸架された無端ベルト363、無端ベルト363を駆動するベルト搬送ローラ364、無端ベルト363に張力を与えるテンションローラ365、弾性層が表面に形成されたプレスローラ366を備えている。加熱部材361は、発熱部側が無端ベルト363の内側に接触し、プレスローラ366方向に押圧されることで、プレスローラ366との間に所定幅の定着ニップを形成する。加熱部材361がニップ領域を形成しつつ加熱する構成のため、通電時における応答性はハロゲンランプによる加熱方式の場合よりも高い。
無端ベルト363は、例えば厚さ50umのSUS基材あるいは70umの耐熱樹脂であるポリイミド上の外側に厚さ200umのシリコンゴム層が形成され、最外周はPFA等の表面保護層で被覆されている。プレスローラ366は、例えばφ10mmの鉄棒表面に厚さ5mmのシリコンスポンジ層が形成され、最外周はPFA等の表面保護層で被覆されている。
また、加熱部材361は、セラミック基板上にグレーズ層および発熱抵抗層が積層されている。反対側に余分な熱を逃がすとともに基板の反りを防ぐために、発熱抵抗層は、例えばTaSiOなどの既知の素材で形成され、主走査方向において所定の長さと個数に分割されている。
発熱抵抗層の形成の方法は既知の方法(例えばサーマルヘッドの作成方法)と同様であり、発熱抵抗層の上にアルミでマスキング層を形成させる。隣接する発熱部材間が絶縁され、かつ、用紙搬送方向に発熱抵抗体(発熱部材)が露出するようなパターンでアルミ層を形成する。発熱部材361aへの通電は、両端のアルミ層(電極)から配線を繋ぎ、それぞれをスイッチングドライバICのスイッチング素子に繋ぐ。更に、発熱抵抗体、アルミ層、配線等の全てを覆うように、最上部に保護層を形成する。保護層は、例えばSiなどによって形成される。
図5は、本実施形態における発熱部材群の配置図である。同図に示されるように、セラミック基板361c上には、図示左右方向における長さが複数種の発熱部材361aが並べて配置されており、発熱部材361aの用紙搬送方向(図示上下方向)における両端部には電極361bが形成されている。尚、各発熱部材361aによる加熱時間(用紙の通過時間)を一定にするために、発熱部材361aの用紙搬送方向における長さは均一になっている。
図5に示すように、本実施形態では、加熱部材361の発熱パターンは、図示左右方向の長さが複数種の発熱部材361aにより構成されている。具体的には、ハガキサイズ(100×148mm)、CDジャケットサイズ(121×121mm)、B5Rサイズ(182×257mm)、A4Rサイズ(210×297mm)に対応して複数種の長さの発熱部材(発熱素子)361aに分割されている。隣接する発熱部材361aからなる発熱部材群は、搬送される用紙の搬送精度やスキューや非加熱部分への熱の逃げを考慮して、加熱領域に対して5%程度あるいは約10mmの余裕を持つように通電される。
例えば、最小サイズであるハガキサイズの幅100mmに対応するため、主走査方向(図示左右方向)における中央部に第1の発熱部材群を設け、その幅は105mmとする。次に大きいサイズ121mmと148mmに対応するため、第1の発熱部材群の外側(図示左右方向)に、幅50mmの第2の発熱部材群を設け、148mm+5%で155mmまでの幅をカバーする。更に大きいサイズ182mmと210mmに対応するため、第2の発熱部材群の更に外側には、各発熱部材の幅が65mmの第3の発熱部材群を設け、210mm+5%で220mmまでの幅をカバーする。尚、発熱部材群の分割数とそれぞれの幅は一例として挙げたもので、これに限定はされない。例えばMFP10が5つの媒体サイズに対応していた場合には、発熱部材群を各媒体サイズに合わせて5分割してもよい。
また、本実施形態では、通紙領域にラインセンサ(図示省略する)を配置し、通過する用紙のサイズと位置をリアルタイムで判定できるものとする。印刷動作の開始時に画像データあるいはMFP10内の用紙の貯蔵されている給紙カセット18の情報から用紙サイズを判定する構成にしてもよい。
また、図5に示すように、複数の発熱部材361aの全てに対して同一条件で通電を行う場合には、図示左右方向における長さが異なっているために、各発熱部材361aの発熱量(消費電力)が異なる可能性があり、均一に加熱することが難しい。
そこで、本実施形態では、(1)発熱部材361aの各々の厚さ、(2)発熱パターンの給電部(電極361b)間の長さ、(3)発熱部材361aの比抵抗、の少なくとも一つを最適に調整して、発熱量を均一とするものとする。(1)~(3)による調整を適宜組み合わせてもよい。例えば、用紙搬送方向における発熱部材361aの長さを同一とし、発熱部材361aの出力Wを用紙搬送方向と垂直方向の分割した長さに比例させる。
分割された発熱部材361aの出力Wは、(供給電圧V)=W×(発熱部材361aの電気抵抗値R)である。また、供給電圧Vと電流Iの関係は、V=I×R である。このため、W=V/R=I/Rの関係が成立するように各発熱部材361aの電気抵抗値Rを調整する。発熱部材361aのそれぞれの比抵抗が同一の場合でも、長さや厚さを変えることで電気抵抗値Rを調整できる。
例えば、電気抵抗値Rを大きくするためには、断面積を小さくする、あるいは、電流の流路を延ばす。電圧が一定の場合には、電気抵抗値Rを増加させると、電流Iが小さくなる。逆に、電気抵抗値Rを2倍にすると、電流Iは1/2になる。この場合、ヒータ発熱量は、(1/2)×2となり、結果として1/4になる。また、各発熱部材361aの厚さが同じ場合、長手方向のサイズを変える事によって、放熱を防ぐ事ができる。具体的には、長手方向のサイズを大きくすることで発熱を促進させることができる。各発熱部材361aが同じ厚さの場合、単位面積あたりの発熱量は同じであるが、各ヒータの左右方向に逃げる熱(放熱)は同じとすると、面積が大きい方が、温度上昇では有利という事になる。図5の例では、厚さが同じならば、中央の発熱部材361aの温度上昇が最も早い。これに対し、比抵抗の変更は、発熱部材361aの材料を選択することで行える。
図6は、図5に示す破線Xにおける発熱部材群の断面図である。ここでは、発熱部材361aの各々の厚さを変えることで、各発熱部材361aの発熱量を均一に調整する場合を示している。中央に配置された発熱部材361aは図示左右方向の長さが相対的に長いため、上述のように、厚さおよび電圧Vの条件が同一である場合には最も発熱しやすいと考えられる。このため、中央部分の発熱部材361aの厚さD1が隣接する他の発熱部材361aの厚さD2~D4よりも薄くなるように形成されている。断面積を小さくし、電気抵抗値Rを大きくすることで、発熱部材361aの出力Wの値を調整している。
図7は、発熱部材群とその駆動回路の接続状態を示す図である。同図に示されるように、発熱部材361aの各々は、対応する駆動IC151によって個別に通電が制御される。各発熱部材361aは、それぞれに同一の電位が印加されるように、並列接続となっている。各発熱部材361aに対する通電の切替部である駆動IC151の具体例としては、スイッチング素子、FET、トライアックス、スイッチングICなどが挙げられる。図7では、発熱部材361aには、それぞれ交流で電圧が印加され、発熱する構成例を示しているが、直流にすることもできる。本実施形態では、用紙Pが矢印Aで示される用紙搬送方向で搬送される場合に、用紙Pの通紙領域に対応する発熱部材361aのみが選択的に通電され、用紙Pの通紙領域のみが集中的に加熱されるものとする。
例えば、用紙Pが最小サイズ(ハガキサイズ)の場合には、中央に配置されている第1の発熱部材のスイッチング素子のみがONとなり、加熱される。用紙Pのサイズが大きくなるにつれて、第2の発熱部材群、第3の発熱部材群のスイッチング素子も順次ONとなるように制御される。第1~第3の発熱部材群は均一な温度上昇率になるように、電気抵抗値が調整されている。
以下、上記のように構成されたMFP10の印刷時の動作を図面に基づいて説明する。図8は、本実施形態におけるMFP10の制御の具体例を示すフローチャートである。
先ず、スキャナ部15で画像データを読込む(Act101)と、画像形成部20における画像形成制御プログラムと定着装置36における定着温度制御プログラムが並列して実行される。
画像形成処理が開始されると、読込まれた画像データを処理し(Act102)、感光体ドラム22の表面に静電潜像を書込み(Act103)、現像器24で静電潜像を現像した後(Act104)、Act114へ進む。
定着温度制御処理が開始されると、例えばラインセンサ(図示省略された)の検出信号、操作部14による用紙選択情報に基づいて用紙サイズを判定し(Act105)、用紙Pが通過する位置(通紙領域)に配置された発熱部材群を発熱対象として選択する(Act106)。
次に、選択された発熱部材群への温度制御開始信号をONにすると(Act107)、選択された発熱部材群への通電が行われ、発熱部材群の表面温度が上昇する。すなわち、加熱領域が定まると、選択された発熱部材361aを全て同一の制御で稼働する。このとき、通電された発熱部材361aは、均一の温度上昇率で発熱する。
次に、無端ベルト363の内側あるいは外側に配置された温度検知部材(図示省略する)により、発熱部材群の表面温度を検知すると(Act108)、発熱部材群の表面温度が所定の温度範囲内か否かを判定する(Act109)。ここで、発熱部材群の表面温度が所定の温度範囲内であると判定された場合は(Act109:Yes)、Act110へ進む。これに対し、発熱部材群の表面温度が所定の温度範囲内でないと判定された場合は(Act109:No)、Act111へ進む。
Act111においては、発熱部材群の表面温度が所定の温度上限値を超えているか否かを判定する。ここで、発熱部材群の表面温度が所定の温度上限値を超えていると判定された場合(Act111:Yes)は、Act106において選択されていた発熱部材群への通電をOFFにし(Act112)、Act108へ戻る。これに対し、発熱部材群の表面温度が所定の温度上限値を超えていないと判定された場合(Act111:No)は、Act109の判定結果より表面温度が所定の温度下限値に満たない状態であるため、発熱部材群への通電をON状態に維持、あるいは、再度ONにし(Act113)、Act108へ戻る。
次に、発熱部材群の表面温度が所定の温度範囲内の状態で、用紙Pを転写部に搬送すると(Act110)、用紙Pにトナー像を転写した後(Act114)に、用紙Pを定着装置36内に搬送する。
次に、定着装置36内で用紙Pにトナー像を定着させると(Act115)、画像データの印字処理を終了するか否かを判定する(Act116)。ここで、印字処理を終了すると判定した場合(Act116:Yes)、全ての発熱部材群への通電をOFFにし(Act117)、処理を終了する。これに対し、画像データの印字処理を未だ終了しないと判定した場合(Act116:No)、すなわち、印刷対象の画像データが残っている場合には、Act101へ戻り、終了するまで同様の処理を繰り返す。
このように、本実施形態によれば、使用される用紙サイズが属するグループに基づいて発熱対象となる発熱部材群を切替えることにより、非通紙部分の異常発熱を防止できるだけでなく、非通紙部分の無駄な加熱を抑制できる。このため、定着装置36が消費する熱エネルギーを大幅に削減することが可能である。更に、分割されている発熱部材361aが、均一の温度上昇率となるように電気抵抗値が予め調整されているため、発熱部材361aが複数種の長さからなる場合でも用紙が通過する位置に関係なく均一に加熱することができる。
<変形例>
以下、上記実施形態の幾つかの変形例について図面に基づいて詳細に説明する。図9は、上記実施形態の変形例における発熱部材群とその駆動回路の接続状態を示す図である。ここでは、図5の場合と同様に、中央部分の発熱部材361aに対して、同種の発熱部材361aが左右均等に配置されている。しかし、上記実施形態と異なり、各発熱部材361aは、両端の電極361bに同一の電圧が印加された場合に、無負荷(用紙や、押圧部材が接触していない)の状態で同一温度上昇率となるように、中央部分とその隣に配置された発熱部材361aの形状をそれぞれ図示上下方向で蛇行状にすることで電極361b間の距離が調整されている。すなわち、発熱部材361aが同一の比抵抗の材料、同一の厚さで形成されている場合でも、発熱面の大きい発熱部材361aの形状を蛇行状に長細く形成することで、電流の流路(発熱部材の給電部間)を長くし、電気抵抗値を大きくすることで、中央部における発熱量を小さく抑えている。
更に、中央部分に対して対称位置にある一対の発熱部材361a同士は直列に接続されており、同一のスイッチング素子151で駆動制御されている。このため、スイッチング素子の数量を減らし、装置サイズや製造コストを抑えることができる。
図10は、本実施形態の変形例における発熱部材群の形状パターンを示す図である。図10(A)では、コの字状で同一の大きさに形成された発熱部材361aが同じ向きで用紙搬送方向Aに対して垂直方向(図示左右方向)に並んで配置されているため、電極361bは全て図示下側に配置されている。この場合、配線を片側に全て集中できる利点がある。尚、図10では全ての発熱部材361aを同一の長さとしたが、上記実施形態と同様に、温度上昇率を考慮して複数種の長さのものを組み合わせることができる。図10(B)では、発熱部材361aが用紙搬送方向Aに対して垂直方向(図示左右方向)に蛇行状で形成されている。図9の場合とは発熱部材361aの蛇行方向が90度異なっているが、装置の配線構造に応じて適宜選択することができる。
更に、上記実施形態では、定着装置36内に用紙Pが搬送される前に、用紙設定情報に基づいて用紙Pの通紙領域の大きさを判定する構成としたが、用紙の通紙領域の代わりに印字領域(画像形成領域)が通過する位置を判定して加熱することもできる。用紙Pの印字領域の大きさを判定する方法としては、画像データの解析結果を利用する方法、用紙Pに対する余白設定などの印刷フォーマット情報に基づく方法、光学センサの検出結果に基づいて判定する方法などが挙げられる。この場合、定着が必要な箇所のみを限定的に加熱することができるため、省エネルギー効率を更に高めることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
36…定着装置
150…定着装置制御回路
151…駆動IC
361…加熱部材
361a…発熱部材
361b…電極
363…無端ベルト
366…加圧ローラ

Claims (4)

  1. トナー像が形成される媒体の大きさを判定する判定手段と、
    エンドレス形状の回転体と、
    前記媒体の搬送方向に直交する直交方向に配置された複数のコの字状に形成された第1の発熱部材からなる第1の発熱部材群と、前記第1の発熱部材群の前記媒体の搬送方向に直交する直交方向両側に、前記媒体の搬送方向に直交する直交方向に配置された複数のコの字状に形成された第2の発熱部材からなる第2の発熱部材群と、を含む加熱手段と、
    複数の前記第1の発熱部材及び複数の前記第2の発熱部材に対する通電を個別に切替える切替手段と、
    前記第1の発熱部材と複数の前記第2の発熱部材とに、前記回転体を介して押圧されることによりニップを形成し、前記媒体を前記搬送方向へ搬送する加圧手段と、
    前記判定手段により判定された前記媒体の大きさに基づいて、前記ニップを通過する前記媒体に対応する前記第1の発熱部材及び複数の前記第2の発熱部材を選択し、前記切替手段を介して同時に通電する加熱制御手段と、
    を備える、定着装置。
  2. コの字状に形成された前記第1の発熱部材それぞれと前記第2の発熱部材それぞれは、コの字状に形成された部材の開口が前記媒体の搬送方向に対して同一方向となるように配置される請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記加熱制御手段は、選択した前記第1の発熱部材及び複数の前記第2の発熱部材の表面温度が所定の温度上限値未満である場合に、選択した前記第1の発熱部材及び複数の前記第2の発熱部材に通電し、
    前記表面温度が所定の温度上限値以上である場合に、通電を停止する請求項1または2に記載の定着装置。
  4. 一方向へ移動する転写ベルトと、
    前記転写ベルトに隣接して配置され、表面に静電潜像が形成される感光体と、
    前記静電潜像を現像して、前記感光体の表面にトナー像を形成する現像装置と、
    前記転写ベルトを介して前記感光体に圧接し、前記感光体の表面に形成された前記トナー像を前記転写ベルトに転写する転写器と、
    前記転写ベルトから媒体に転写された前記トナー像を、前記媒体に定着させる請求項1乃至3のいずれか一項に記載の定着装置と、
    を備える画像形成装置。

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