JP2006313064A - ガスタービン・エンジン用希薄直接噴射噴霧器 - Google Patents

ガスタービン・エンジン用希薄直接噴射噴霧器 Download PDF

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Abstract

【課題】燃焼不安定性レベルを引き下げ、霧化状態を高め、燃空混合比を高め、汚染物質の生成を下げ、排煙を抑制し、希薄燃焼の休止に対する余裕を向上する、希薄直接噴射装置を提供する。
【解決手段】ガスタービン用希薄直接噴射燃料ノズルが開示される。燃料ノズルは半径方向外側主燃料分配装置を備える。この主燃料分配装置は末広下流面を備えた半径方向内壁68を有する主内側空気通路66によって部分的に形成される主内側空気スワーラー58と、この主内側空気スワーラー58の内側に設けられた主内側空気通路66の半径方向内壁68の下流面に沿って冷却空気流を供給する中間空気スワーラー70と、この中間空気スワーラーの内側に設けられた半径方向内側パイロット燃料分配装置とを備える。
【選択図】図4

Description

本発明はガスタービン・エンジン、特に希薄直接噴射法を用いてガスタービン・エンジンの燃焼室に燃料を供給する装置に向けられる。
(関連出願への相互参照)
本出願は2005年5月4日に出願された米国仮出願番号60/677,757号に基づく優先権を請求する。
ガスタービン・エンジンから排出される汚染物質の調節が強く求められる中でエンジン効率と運転性とを向上しながら、エンジン排出物を低減する多くの概念が開発されている。このような概念の一つは多段燃焼技術の採用である。ここで、燃焼プロセスは、一般に半径方向または軸方向のどちらかにお互いを分離した状態で燃焼させるが、ある程度の相互作用を許容する、2段ないしそれ以上の段数または領域に分離される。たとえば、この燃焼プロセスはパイロット燃焼段と主燃焼段とに分けられる。各段は汚染物質発生レベルを超えるべく調節を維持しながら、ある望ましい範囲の運転性を与えるように設計される。ガスタービン・エンジンが低出力で運転する場合、パイロット燃焼段だけが働く。より高出力条件で運転する場合、パイロット燃焼段および主燃焼段の双方が働く。この方法では、燃焼を効率よく保ち、汚染物質排出を低減し、安定性を良好に維持するように燃空比が適切に調節される。
多段燃焼に加えて、燃焼前に希薄状態で燃焼が始まるように燃空比が化学量論的レベルよりも低い、完全に混合された燃料/空気混合気を供給する方法によってエンジン排出物は大きく減少することができる。希薄燃焼は化学量論的燃焼状態で生じる火炎温度と比べて温度が低くなる。NOxの発生は温度に強く影響を受けるので、火炎温度の低下はNOxレベルが下がることを意味する。液体燃料をガスタービン燃焼室に直接噴射し、希薄燃空比を維持して空気と素早く混合する考え方は希薄直接噴射(LDI)法と呼ばれる。
従来技術はLDI装置の具体例で満ちている。たとえば、ハラらに付与された米国特許第6,389,815号明細書は単一噴射器内部で行う半径方向の2段燃焼を利用する、希薄直接噴射装置を開示する。このパイロット燃料分配段は液体燃料をフィルム状に吹き出す圧力旋回噴霧器を備える。フィルムは次いで圧縮機空気の作用によって微細な液滴へとくだかれる。主燃料分配装置は燃料を半径方向外側に旋回する気流に向けて吹き出す、分離させた1組の噴霧器を備える。この主燃料分配装置はパイロット燃料分配装置の外側に半径方向に2段に形成され、希薄燃焼モードで運転する。2段の燃焼域の間に置く空気ジェットの流れに加えて、半径方向の分離によりパイロット燃焼域と主燃焼域とを分流することができる。
クロッカーらに付与された米国特許第6,272,840号明細書は,同様に単一噴射器内に半径方向の2段燃焼を利用する、希薄直接噴射装置を開示する。このパイロット燃料分配段は単一エア・ブラスト形噴射器またはプレフィルミング・エア・ブラスト形噴射器のどちらかであり、主燃料分配装置はプレフィルミング・エア・ブラスト形噴射器である。パイロット燃焼域と主燃焼域との分離はパイロット燃料用空気スワーラーと主燃料用空気スワーラーとの間にエア・スプリッタを設けることによってなし遂げる。このエア・スプリッタは主噴射器の軸方向後流からパイロット噴射器の軸方向後流を分離する、二股に分かれた再循環域を発生させる。二股に分かれた再循環域は流体力学的にパイロット火炎を主火炎から隔離し、パイロット燃焼域が中心再循環域のない状態で中心軸上に留まることを保証する。火炎を固定する火炎ホルダとして本質的に働くパイロット空気キャップの先細壁はエア・スプリッタを形成する。この方法における作用によりパイロット空気キャップはおそらく燃焼に伴う熱疲労(すなわち、酸化、溶融)をこうむり、何らかの熱を制御するための方策を必要とする。この点につき、クロッカーらは耐久性を向上するため空気キャップに小さい冷却孔を使用することを開示する。
ヨーロッパ特許出願番号EP1413830A2明細書は、同様に半径方向の2段燃焼を利用する、希薄直接噴射装置を開示する。この場合、半径方向外側に角度を付けた後流エンド・コーンを備えるエア・スプリッタは二股に分かれた再循環域を発生するのに力を貸す。このエア・スプリッタの追加機能は内側主気流が燃焼器圧力変動に応じて変化するのを防ぐことであり、この結果、燃焼不安定性が増すのを減少することができる。このエア・スプリッタはクロッカーらの米国特許第6,272,840号明細書に開示されるエア・スプリッタよりも半径方向の寸法が大きく、一般には大きい火炎ホルダとして働き、熱疲労を避けるには熱を制御するための方策を必要とする。
LDI装置の概念は確実であるとはいえ、性能上求められるレベルを達成することは困難である。希薄燃焼装置は一部特定の箇所で火炎消火と再点火とを発生し易い。これは燃焼室を損傷する原因となる、不安定な燃焼状態を引き起こす。霧化、気化および燃料/空気混合気を制限することはNOxを抑える望ましいレベルよりも高レベルに推移する、均質な化学量論的燃焼を生じる。また、これらの自己内蔵式多段LDI装置の場合、パイロット燃焼域および主燃焼域の混合レベル全体にわたって調節することは困難である。好ましくない影響としては過薄休止限界の低下があり、さらに排煙レベルの増加がある。
したがって、この技術分野では、燃焼不安定性レベルを引き下げ、霧化状態を高め、燃空混合比を高め、汚染物質の生成を下げ、排煙を抑制し、過薄休止限界を改善する、希薄直接噴射装置を提供する必要がある。
本発明は新規で、有用なガスタービン・エンジン用希薄直接噴射(LDI)燃料ノズルに向けられる。この燃料ノズルは半径方向主燃料分配装置を備える。この主燃料分配装置は末広下流面を備えた半径方向内壁を有する主内側空気通路によって部分的に形成される主内側空気スワーラーを備える。中間空気スワーラーは主内側空気通路の半径方向内壁の下流面に沿って冷却空気を供給するため主内側空気スワーラーの半径方向内側に配置され、パイロット燃料分配装置は中間空気スワーラーの半径方向内側に配置される。
本発明の一実施例では、主燃料分配装置はプレフィルミング・エア・ブラスト形であり、主内側空気スワーラーの半径方向外側に配置される主燃料スワーラーと、この主燃料スワーラーの半径方向外側に配置される主外側空気スワーラーと、この主外側空気スワーラーの半径方向外側に配置される外側空気キャップとを備える。主内側空気通路の半径方向内壁の先端位置は本発明に従って変えることができる。たとえば、本発明は主内側空気通路の半径方向内壁が少なくとも燃料プレフィルマの先端にかけて延びることを予め見通す。主内側空気通路の半径方向内壁が燃料プレフィルマの先端を超え、外側空気キャップの先端を超えて延在することを予め見通す。
本発明の一実施例では、パイロット燃料分配装置はプレフィルミング・エア・ブラスト形である。この場合、パイロット燃料分配装置はパイロット外側空気スワーラーと、このパイロット外側空気スワーラーの半径方向内側に配置されるパイロット燃料スワーラーと、燃料ノズルの中心軸に沿って延びるパイロット内側空気スワーラーとを備える。本発明の別の実施例では、パイロット燃料分配装置は圧力旋回噴霧器を備える単一エア・ブラスト形である。この場合、パイロット燃料分配装置はパイロット外側空気スワーラーと、このパイロット外側空気スワーラーの半径方向内側に配置されるパイロット燃料スワーラーとを備える。
好ましくは、中間空気スワーラーは冷却空気が主内側空気通路の内壁の末広流動面に付着したまま流動するのを保証する十分な角度に向けられた1組の旋回ベーンを備える。したがって、中間空気スワーラーは燃料ノズルの中心軸に対して約35°から約60°の範囲の角度に向けられた1組の旋回ベーンを備える。本発明は中間空気スワーラーの旋回ベーンが燃料ノズルの中心軸に対して時計方向または反時計方向のどちらかに旋回を与えるように向けられることを予め見通す。中間空気スワーラーの旋回方向が主内側空気スワーラーの旋回方向と同一回転または逆回転方向のどちらかであることを予め見通す。
パイロット内側空気スワーラーは燃料ノズルの中心軸に対して時計方向または反時計方向のどちらかに旋回を与えるように向けられた1組の旋回ベーンを備える。同様に、パイロット外側空気スワーラーは燃料ノズルの中心軸に対して時計方向または反時計方向のどちらかに旋回を与えるように向けられた1組の旋回ベーンを備える。本発明はパイロット外側空気スワーラーの旋回ベーンが軸流旋回ベーンまたは半径流旋回ベーンとして構成されることを予め見通す。パイロット外側空気スワーラーの旋回方向がパイロット内側空気スワーラーの旋回方向と同一回転または逆回転方向のどちらかであることを予め見通す。パイロット燃料スワーラーの旋回方向がパイロット内側空気スワーラーまたはパイロット外側空気スワーラーと同一回転または逆回転方向のどちらかであることを予め見通す。
主内側空気スワーラーは燃料ノズルの中心軸に対して約20°から約50°の範囲の角度に向けられた旋回ベーンを備える。この主内側空気スワーラーの旋回ベーンは燃料ノズルの中心軸に対して時計方向または反時計方向のどちらかに旋回を与えるように向けられる。主外側空気スワーラーは燃料ノズルの中心軸に対して約45°から約65°の範囲の角度に向けられた旋回ベーンを備える。この主外側空気スワーラーの旋回ベーンは燃料ノズルの中心軸に対して時計方向または反時計方向のどちらかに旋回を与えるように向けられる。本発明は主外側空気スワーラーの旋回ベーンが軸流旋回ベーンまたは半径流旋回ベーンのどちらかに構成されることを予め見通す。主外側空気スワーラーの旋回方向が主内側空気スワーラーの旋回方向と同一回転または逆回転方向のどちらかであることを予め見通す。また、主燃料スワーラーの旋回方向が主内側空気スワーラーまたは主外側空気スワーラーの旋回方向と同一回転または逆回転方向のどちらかであることを予め見通す。
本発明はまたガスタービンに燃料を噴射する方法に向けられる。この方法は内側パイロット燃焼域を準備し、パイロット燃焼域の外側に主燃焼域を準備し、パイロット燃焼域から主燃焼域にかけて高温燃焼生成物の混合を実質的に遅らせる方法でパイロット燃焼域から主燃焼域を機械的に分離するステップを含む。加えて、ある条件のもとで、たとえば内側および外側パイロット空気回路の旋回ベーンがある適当な旋回角度に設定され、かつ、パイロット空気キャップのオリフィスがある適当な直径であるとき、本発明方法はパイロット燃焼域の内部に幅の狭い、勢いの弱い中心再循環域を保持するステップを含む。
好ましくは、主燃焼域をパイロット燃焼域から機械的に分離するステップは、少なくとも燃料プレフィルマの先端に延びる、円錐状に広がる半径方向内壁を有する内側空気通路を準備することによってプレフィルミング・エア・ブラスト噴霧器の主内側気流を制限するステップを含む。本発明方法はさらにプレフィルミング・エア・ブラスト噴霧器の内側空気通路の円錐状に広がる半径方向内壁を覆って冷却空気を流すステップを含む。
本発明はまたプレフィルミング・エア・ブラスト噴霧器の内側空気通路を通過する気流を調節する方法に向けられる。この方法は内側空気回路の流動通路の壁面に付着したままの気流を得るために内側空気回路の最小面積位置から下流出口にかけて圧力が上昇する方法を用いて最小面積位置よりも下流域に内側空気回路の流動通路を形成するステップを含む。この方法はさらに内側空気回路の最小面積位置よりも下流の円錐状に広がる環状通路で内側空気回路を流出する気流を制限し、内側空気回路を通過するときの望ましい質量流量を得るために円錐状に広がる環状通路を寸法決めすることを含む。
本発明はまたプレフィルミング・エア・ブラスト噴霧器の内側空気回路を通過する気流を調節する方法に向けられる。この方法は円錐状に広がる環状通路の壁面に付着したままの気流を得るために空気スワーラーから円錐状に広がる環状通路の下流出口にかけて内側空気回路内の圧力が上昇する方法を用いて内側空気回路内に配置した空気スワーラーよりも下流に円錐状に広がる環状通路を備えた内側空気回路を形成することを含む。この方法はさらに内側空気回路を通過するときの望ましい質量流量を得るために円錐状に広がる環状通路の間隙寸法を選択するステップを含む。
類似する符号が本発明の類似する構造的特徴および態様を表わすと見る、図面を参照すると、図1に本発明の好ましい実施例に従って構成される、符号10で表したガスタービン・エンジン用燃料噴射器が示される。この燃料噴射器10は運転性を向上し、汚染物質の排出を抑制する希薄燃焼のためにガスタービン内において2段燃焼を行うように、特に適応され、構成される。
燃料噴射器10は単一燃料ノズルとして組み合わされたパイロット燃料分配装置と主燃料分配装置とからなる。燃料ノズルは燃焼プロセスを機械的にまた流体力学的に半径方向各領域、すなわち1)パイロット燃焼域と、2)主燃焼域とに分離するように適応され、構成される。低出力で運転する間、パイロット燃焼域だけが燃焼し(図8参照)、高出力状態での運転では、パイロット燃焼域および主燃焼域の双方が燃焼する(図7参照)。パイロット燃焼域は低出力運転を与えると共に、高出力運転においては良好な火炎安定性を維持する。主燃焼域は火炎温度を下げ、汚染物質、特に窒素酸化物(NOx)そして一酸化炭素(CO)および未燃焼炭化水素(UHC)を低く抑えるため燃料希薄モードで運転する。高出力運転中には主燃料/空気混合気の点火源がパイロット燃焼域から流入する。
当業者はNOx排出を低く抑える一つの方法が燃焼前に可能な限り液体燃料を予め気化し、燃料と空気とを完全に予混合するべきであることを理解する。これを行うに当たって本発明の装置は化学量論的(またはそれに近い)条件で燃焼し易く大量のNOxを生成する拡散炎ではなく、希薄条件を保ってNOx排出を抑える予混合炎として燃焼させる。本発明の主燃料分配装置はこの方法で運転するように設計され、これにより、燃焼前に可能な限り主燃料流を霧化し、気化し、主気流と完全に混合して燃料希薄混合気を得る。
図1を参照すると、燃料噴射器10は長く延びる供給アーム14の下端に吊り下げたノズル本体12を備える。一般には、ノズル本体12はガスタービン・エンジンの燃焼器16に燃料/空気混合気を配給する。特にノズル本体12はドームおよび燃焼壁冷却のため用いられる空気のバランスを保ちながら、燃焼空気のうち、60〜70%が噴射器を通過する、多段希薄直接噴射(LDI)燃焼装置として構成される。この装置によれば、窒素酸化物、一酸化炭素および未燃焼炭化水素のような汚染物質排出を効果的に減少することができる。
図2および図4を参照すると、ノズル本体12は供給アーム14と一体に形成され、中空域22を形成する外側本体部20を備える。中空域22は燃料噴射器10の同心に配置される要素としての要部を形成する、取付け金具24を受け入れ、そうでなければ支持するように適応され、構成される。取付け金具24は本体部20の中空域22および以下に詳述されるパイロット燃料スワーラー30を収容する、半径方向内側取付け部24bと組み合わせる半径方向外側取付け部24aを備える。半径方向に延びる支柱24cは取付け金具24の外側取付け部24aと取付け金具24の内側取付け部24bとの間に延在する。パイロット燃料路24dは供給アーム14に形成される燃料通路14aから燃料噴射器10のパイロット燃料分配装置の一部を形成する、パイロット燃料スワーラー30にかけて燃料を分配するため支柱24cを貫いて延びる。
パイロット燃料分配装置
燃料噴射器のパイロット燃料分配装置は図2ないし図8に示され、燃料を霧化するため旋回燃料フィルムまたはシートを配給する、パイロット燃料スワーラー30を備えたプレフィルミング・エア・ブラスト噴霧形である。パイロット燃料スワーラー30は半径方向外側スワーラー部32と半径方向内側スワーラー部34とを備える。半径方向外側スワーラー部32は取付け金具24の半径方向支柱24c内に形成されるパイロット燃料路24dと連通するパイロット燃料ポート32aを有する。
パイロット燃料通路33はパイロット燃料スワーラー30の外側スワーラー部32と内側スワーラー部34との間に形成される。スワーラー部32、34の対面する面には、好ましくはパイロット燃料通路33(図4参照)を通過する燃料流に旋回を与える、1組の角度付きスピン・スロットまたは角度付き小孔(図示せず)を備える。パイロット燃料通路33はパイロット燃料スワーラー30の出口端に形成される旋回室35に燃料を供給する。燃料はパイロット燃料スワーラー30の旋回室35から流出し、プレフィルミング・エア・ブラスト噴霧器に典型的に見られるように、燃料を霧化し、これを空気と混合するため同じ方向に流れる内、外気流と相互作用する。
特に、パイロット内側空気スワーラー36とパイロット外側空気スワーラー40とはパイロット燃料シートの両面に高速気流を向けるためパイロット燃料スワーラー30に接している。パイロット燃料スワーラー30の半径方向内側スワーラー部34はその上流端に隣接して設けられるパイロット内側空気スワーラー36を支持し、そうでなければ収容する、軸方向孔34aを形成している。このパイロット内側空気スワーラー36は軸方向孔34aを通過する圧縮機空気にノズル本体12の中心軸に対して時計方向または反時計方向のどちらかの方向に旋回を与えるため周方向に一定の間隔をおいて並ぶ1組の旋回ベーン38を備える。
パイロット燃料スワーラー30の半径方向外側スワーラー部32はその下流端に隣接するパイロット外側空気スワーラー40を支持し、そうでなければ収容する。パイロット外側空気スワーラー40は外側スワーラー部32とパイロット空気キャップ44との間に形成されるパイロット外側空気回路45を通過する圧縮機空気に旋回を与えるため周方向に一定の間隔をおいて並ぶ1組の旋回ベーン42を備える。したがって、ノズル本体12の中心軸に対して時計方向または反時計方向のどちらかの方向に旋回を与えることができる。このパイロット外側空気スワーラー40の旋回ベーン42は軸流旋回ベーンまたは半径流旋回ベーンとして構成される。
本発明の実施例では、パイロット外側空気スワーラー40はパイロット内側空気スワーラー36の旋回方向と同一方向に旋回する。本発明の別の実施例では、パイロット外側空気スワーラー40の旋回方向はパイロット内側空気スワーラー36の旋回方向と逆方向に旋回する。本発明の実施例では、パイロット燃料スワーラー30はパイロット内側空気スワーラー36またはパイロット外側空気スワーラー40と同一方向または逆方向のどちらかに旋回する。
図5に示されるように、パイロット外側空気スワーラー40の外側に配置されるパイロット空気キャップ44はエア・ブラスト噴霧器に典型的に見られるように、パイロット燃焼スワーラーまたはプレフィルマから流出する液体燃料ジェットと密に接触させるべくパイロット燃料分配装置の外側気流を制限し、方向付けるために働く。内側および外側パイロット空気スワーラー36、40の旋回強さはベーン角度と内側および外側空気回路34a、45の各出口点で生じる圧力降下とによって調節される。仮に、旋回強さがかなり小さいとすれば、パイロット燃料分配装置から流出する旋回流の広がりは中心再循環域(図6A参照)が存在する場合でも、燃料ノズル10の中心軸に近い位置に留まる。これは軸パイロット燃焼域に接してあるいは軸パイロット燃焼域の近くにパイロット燃焼域と主燃焼域とを分離するのに力を貸す。
主燃料分配装置
続いて、図2ないし図4を参照すると、燃料噴射器の主燃料分配装置は上述したパイロット燃料分配装置の半径方向外側に配置される。この主燃料分配装置はプレフィルミング・エア・ブラスト噴霧器形であり、そこから流出する空気/燃料噴霧の方向が半径方向外側に向く方法で設計される。主燃料分配装置は燃料の霧化のために旋回燃料フィルムまたはシートを配給する主燃料スワーラー50を備える。主燃料スワーラー50は半径方向外側スワーラー部52と半径方向内側スワーラー部54とを備える。主燃料経路53は主燃料スワーラー50の外側スワーラー部52と内側スワーラー部54との間に形成される。主燃料経路53は取付け金具24の外側取付け部24aに形成される、供給アーム14の燃料通路14bからの燃料を導く主燃料通路24eと連通している。
外側および内側スワーラー部52、54の対面する面には、好ましくは主燃料経路53を通過する燃料に旋回動作を与える、1組の角度付きスピン・スロットまたは角度付き孔(図示せず)を備える。主燃料経路53は主燃料スワーラー50の下流端に形成される旋回室55に燃料を供給する。旋回室55から流出する燃料はプレフィルミング・エア・ブラスト噴霧器に典型的に見られるように、燃料を霧化し、これを空気と混合するため同一方向に流れる内、外気流と相互作用する。
特に、主外側空気スワーラー56と主内側空気スワーラー58とは主燃料シートの内面に高速の気流を向けるために主燃料スワーラー50と接する。主外側空気スワーラー56は周方向に一定の間隔をおいて並ぶ1組の旋回ベーン60を備える。この旋回ベーン60は主外側空気スワーラー56の半径方向外面と外側空気キャップ62の半径方向内面との間に形成される主外側空気通路57を通過する圧縮機空気に旋回を与えるように向けられ、そうでなければ構成される。旋回ベーン60は、好ましくは燃料ノズルの中心軸に対して約45°よりも大きい角度またはそれと等しい角度に向けられ、ノズル本体12の中心軸に対して時計方向または反時計方向のどちらかの方向に旋回するように向けられ、そうでなければ構成され、これらの旋回ベーンは軸流旋回ベーンまたは半径流旋回ベーンとして構成される。
主外側空気スワーラー56の旋回ベーン60から下流側は外側空気キャップ62の内面で形成される、先細−末広通路または朝顔形領域63である(図4参照)。この朝顔形領域63は霧化状態を高めるためプレフィルマ出口で空気の圧力を下げ、速度を速めるように機能する(図6参照)。外側空気キャップ62は主外側空気スワーラー56から流れる空気が主燃料スワーラー50から流出する液体燃料フィルムに加速状態で入るのを制限し、方向付ける。
主内側空気スワーラー58は周方向に一定の間隔をおいて並ぶ1組の旋回ベーン64を備える。この旋回ベーン64は主内側空気スワーラー58の半径方向外側と主燃料スワーラー50の内部54との間を流れる圧縮機空気に旋回を与えるように向けられ、そうでなければ構成される。旋回ベーン64は、好ましくはノズル本体12の中心軸に対して約20°から約50°の範囲の角度に向けられる。旋回べーン64はノズル本体12の中心軸に対して時計方向または反時計方向のどちらかの方向に旋回を与えるように向けられ、そうでなければ構成される。
本発明の実施例では、主外側空気スワーラー56の旋回方向は主内側空気スワーラー58の旋回方向と同一方向である。本発明の別の実施例では、主外側空気スワーラー56の旋回方向は主内側空気スワーラー58の旋回方向と逆方向である。
主内側空気通路66は主内側空気スワーラー58の半径方向外面と主燃料スワーラー50の内側部54の半径方向内面との間に形成される。図には描写されないが、主内側空気通路66の外壁は、好ましくは主燃料スワーラー50に対する熱遮蔽として役立つ、構造物を備える。主内側空気通路66は、図4に最もよく示される、円錐状に広がる内壁68を有する。この円錐状に広がる内壁68は旋回ベーン64よりも、一般には下流のある位置から広がっており、主内側空気通路66の内側に配置される末広の下流面を形成している。
図6に示されるように、内側空気通路66の円錐状に広がる内壁68は主内側空気スワーラー58から流れる旋回する空気流を制限し、効率のよい霧化のために空気流を主燃料スワーラー50から流れる燃料シートに極接近するように方向付ける。本発明の一実施例では、主内側空気通路66の円錐状に広がる内壁68は旋回する内側空気が燃料シートと相互作用する領域の前後で(速度の上昇に従って)圧力を低下させるように構成される。燃料噴射器10を通過する空気の少なくとも48%が主内側空気スワーラー58を通るように配分される。これは主燃焼域で希薄燃料/空気混合気を生じるためにパイロット燃焼域と主燃焼域とを分離し、かつ主燃焼域の希薄燃料/空気混合気を生じる、十分な空気を保つのに役立つ、空気クッションを与える。
主内側空気通路66の内壁68の末広下流面68aは、運転中、高温の燃焼生成物にさらされる。下流面68aの前後にわたって冷却空気が存在しない場合、高温の燃焼生成物にさらされることにより過度の熱疲労(たとえば、酸化、腐食、溶解)を生じる可能性がある。
中間空気スワーラー
本発明の好ましい実施例に従って中間空気スワーラー70が主燃料分配装置の主内側空気スワーラー58とパイロット燃料分配装置のパイロット外側空気スワーラー40との間に配置される。この中間空気スワーラー70は熱損傷および熱変形から下流面68aを保護するため主内側空気通路66の内壁68の下流面68aに沿って冷却空気のフィルムを供給する。
図4に示されるように、内壁68の先端は主燃料プレフィルマの先端と外側空気キャップ62の先端とを超えて延びる。しかしながら、本開示の範囲には主内側空気通路66の内壁68の先端が燃料フィルマの先端に合わせて延びること(たとえば、図9参照)を予め見通す。これに代えて、図4Aに示されるように、主内側空気通路66の内壁68の先端が外側空気キャップ62の先端と一致するようにしてもよい。
ノズルの設計はノズル下流側からでなくノズル上流側から重なり合う各々の要素を順次挿入する方法で同心に配置した一続きの構造物を有する、ここに開示された形式の燃料ノズルを組立てるのに望ましい、そうでなければ有利である大きさに限るべきで、当業者は対象となる各要素の機械的結合を保証するのに内壁68の寸法が上流側からノズル組立て体に挿入が可能な最大直径によって制限されることを容易に理解する。対照的に、ノズルの設計がノズルの上流側からでなく下流側から各要素を挿入する方法による場合、内壁68の寸法は構造物の直径が組立て上の制限要因とはならないので、外側空気キャップを超えて簡単に延ばすことができる。
主内側空気通路66の円錐状に広がる内壁68はパイロット燃焼域から主燃焼域を機械的に分離するように構成される。主エア・ブラスト噴霧器の円錐状に広がる内壁68で与えられる、高性能霧化と混合とに加えて、内側パイロット燃焼域と外側主燃焼域との分離はその大きさからパイロット燃焼域から点火源に到達する前に主燃料と空気とが完全に混合するだけの十分な時間を与えることができる。
好ましくは、中間空気スワーラー70は中間空気回路66を経て流れる冷却空気が主内側空気通路66の半径方向内壁68の末広下流面68aに付着したまま流れるのを保証するのに十分な角度に向けられた1組の旋回ベーン72を備える。したがって、中間空気スワーラー70の旋回ベーン72はノズル本体12の中心軸に対して約30°から約60°の範囲の角度に向けられる。好ましくは、旋回ベーン72のベーン角度はノズル本体12の中心軸に対して約45°である。
旋回ベーン72はノズル本体12の中心軸に対して時計方向または反時計方向のどちらかの方向に旋回を与えるように向けられ、そうでなければ構成される。中間空気スワーラー70の旋回方向は主内側空気スワーラー58の旋回方向と同一方向か逆方向のどちらかである。
主内側空気通路66の円錐状に広がる内壁68は燃料プレフィルマに入る旋回する圧縮機空気を制限し、図6に示されるように、燃料の霧化と燃料と空気との素早い混合のために燃料プレフィルマ前後にわたって気流の加速と同時に、完全な勢力範囲を与えるように設計される。主燃料プレフィルマ前後にわたって生じる気流の加速は主燃料噴霧器の主内側空気通路66を制限することで生じる、この地点での圧力損失によってもたらされる。この主燃料噴霧器の内壁が主燃料プレフィルマの完全な勢力範囲を与えるので、内壁はまた主内側空気通路66および主液体燃料回路53の双方を通って流れが上流に向かうことから起こる燃焼圧力の変動を減少することができる。しかしながら、主内側空気通路66の円錐状に広がる内壁68の働きで得られるノズル効果の恩恵は主内側空気回路の有効流動面積が減少するという、犠牲を伴う。
図4Bを参照すると、主内側空気通路66は上述したように主燃料プレフィルマ52、54と円錐状に広がる内壁68とに接する環状間隙80を形成する。この環状間隙80はある与えられた幅と同積の有効流動面積とを有する。この環状間隙の大きさを十分に広げたとき、実験と分析とによりノズル本体12の主内側空気通路66を通過する空気量が基準レベルを超えて増加することが測定された。
ある実験では、環状間隙80の大きさは、仮に円錐状に広がる内壁68が存在しなくても、ノズル本体12の主内側空気通路66を通過する気流が約30%以上増える大きさまで増大できることが測定された。このような効果が生じる結果として、主内側空気回路66を通過する気流量に加えて、主内側空気回路66と主外側空気回路57との相対気流量について効果的に調節することができる。このような一部に限定された気流の調節は主燃焼域に対する一部の燃/空比の調節を可能にし、パイロットおよび主燃焼域の分離によって流体力学的調節を可能にする。これはNOx排出を減少するのに有利である。
主内側空気通路66を通過する流量は入口から出口にかけて経路の最小面積と通路前後にわたる圧力損失とによって調節される。環状間隙80の寸法を十分に大きくしたとき、主内側空気通路66の最小面積は主内側空気スワーラー64の出口から主内側空気通路66の出口にかけて流動域が広がりながら、主内側空気スワーラー64で生じる。仮に、主内側空気スワーラー64の下流にある、主内側空気通路66の一部が多少とも増加する経路面積を有し、亜音速流であるとすれば、圧力は最小面積位置(すなわち、主内側空気スワーラー64の出口)から主内側空気通路66の出口位置にかけて増加しなければならない。
主内側空気通路66の上流入口から主内側空気通路66の下流出口にかけて生じる一定の圧力降下のために主内側空気スワーラー64の出口圧力は実際に下流の燃焼器圧力以下に下げなければならない。この結果は最小面積位置(すなわち、主内側空気スワーラー64)前後の圧力損失を一部に限り増加させ、同時に質量流量を増大させる。したがって、正確に寸法決めされた環状間隙80と主内側空気通路66の内壁に付着して流れる気流とによって主内側空気通路66は円錐状に広がる内壁68がないときよりも、さらに多量の空気を流すことができる。主内側空気通路66に対するこの運転モードは上述したノズル・モードではなくてディフューザ・モードと呼ばれる。
ディフューザ・モードでは、主内側空気通路66通過する空気の質量流量が増加するので、同時に主内側空気スワーラー64を通過する空気の流速が増加する。この主内側空気スワーラー64の下流の主内側空気通路66の経路面積が増加するので、流速が低下する。しかしながら、主燃料プレフィルマ52、54前後の平均流速は流れが壁面に付着したままである限り、環状間隙80の大きさの範囲内で比較的一定した値に留まる。主内側空気回路をディフューザ・モードで運転するように、環状間隙80の寸法が選択されたとき、燃焼安定性が維持され、ノズル本体12は高度再点火を良好に保ち、NOx排出を低減することができる。
図4Bに示されるように、主内側空気通路66の円錐状に広がる内壁68の先端側を延ばすことで、環状間隙80の大きさが増加する。図4Bは円錐状に広がる内壁68を下流側に一定の増量分と共に移動したときに達成される、異なる3種類の環状間隙の寸法をA、B、Cによって区別して示す。下記の表1.0は環状間隙の寸法を増量分と共に増加したとき、主内側空気回路66を通過する気流量がどれだけ増加したかを示す実験データを含む。この例では、環状間隙80よりも上流の主内側空気通路に35°3のリード角を有するスワーラーが使用された。実験の気圧条件は1.050の圧力比に設定された。増加気流は円錐状に広がる内壁68が存在しないことを意味する、全開である環状間隙に相当する基準レベルと比較して測定した。
図5を参照すると、低出力運転の場合、ノズル本体12のパイロット燃料分配装置だけが使用状態になる。低出力運転中に予測されるパイロット燃料回路から流出する燃料噴霧の広がりが図8に示される。高出力運転では、図6に示されるように、パイロットおよび主燃料分配装置の双方が使用状態になる。高出力運転中に予測される主およびパイロット燃料回路から流出する燃料噴霧の広がりは図7に示される。パイロット燃料分配装置は良好な火炎安定性と、少量の排煙と、少量の汚染物質排出とを呈するように設計される。主燃料分配装置は少量の汚染物質排出に向けて希薄燃焼火炎を生成する、良好な主燃料/空気混合気を得るように設計される。
ノズルの幾何学的形態、たとえば旋回ベーン角度、オリフィス寸法および流動経路から生じる、図4の希薄直接噴射ノズルから流出する燃料の流動構造は軸方向平均速度輪郭線によって確認された図6Aに示される。図に示されるように、中心軸に合わせ、または中心軸に近いパイロット燃焼域は主内側気流の運動効果と中間冷却空気のクッション効果とに加えて、主内側空気通路66の円錐状に広がる内壁68によって外側の主燃焼域から機械的かつ流体力学的に分離される。当業者は、ある条件のもとで、たとえば内側および外側パイロット空気通路が適当な角度に設定され、パイロット空気キャップのオリフィスが適切に寸法決めされたとき、本発明のLDIノズルは、図6Aに示されるように、パイロット燃焼域に保持される、比較的幅の狭い、勢いの弱い中心再循環域を生成することを容易に理解する。
ここで、図9および図10に目を転じると、本発明の好ましい実施例に従って構成される、符号100で表わされる別の希薄直接噴射燃料噴射器が示される。この燃料噴射器100はプレフィルミング・エア・ブラスト噴霧器形態の主燃料分配装置を備える点において多くの点が燃料噴射器10に類似する。
燃料噴射器100はパイロット燃料分配装置がプレフィルミング・エア・ブラスト形ではなく、単一エア・ブラスト形である点において燃料噴射器10と相違する。したがって、以下により詳しく述べるように、このパイロット燃料分配装置は圧力旋回噴霧器125と、パイロット外側空気スワーラー140と、このパイロット外側空気スワーラー140の半径方向内側に配置されるパイロット燃料スワーラー130とを備える。燃料を霧化する単一エア・ブラスト燃料噴射器はブリーツらに適法に譲渡された米国特許第5,224,333号明細書に開示される。明細書の開示は参照してその全体を取り入れる。
図9および図10を参照すると、燃料噴射器100の主燃料分配装置は半径方向外側スワーラー部152と半径方向内側スワーラー部154とを備える、主燃料スワーラー150を有する。主燃料スワーラー150の外側スワーラー部152と内側スワーラー部154との間には主燃料経路153が形成される。主燃料スワーラー150から流れる燃料は半径方向主外側空気スワーラー156および半径方向主内側空気スワーラー158から流出する外側および内側気流と相互作用する。主外側空気スワーラー156は外側空気キャップ162と隣り合う周方向に一定の間隔をおいて並ぶ1組の旋回ベーン160を備え、主内側空気スワーラー158は周方向に一定の間隔をおいて並ぶ1組の旋回ベーン164を備える。
主内側空気通路166は末広下流面168aを形成する、主燃料スワーラーに対する熱遮蔽として役立つ、円錐状に広がる内壁168を有する、外壁165を備える。この主内側空気通路166の内壁168の末広下流面168aは、運転中、過度の熱疲労を生じる高温の燃焼生成物にさらされる。
本発明に従って周方向に一定の間隔をおいて並ぶ1組の旋回ベーン172を備えた中間空気スワーラー170は主燃料分配装置の主内側空気スワーラー158とパイロット燃料分配装置のパイロット外側空気スワーラー140との間に配置される。燃料噴射器10と同様に中間空気スワーラー170は熱損傷および熱疲労から下流面168aを保護するために主内側空気通路166の内壁168の下流面168aに沿って冷却空気のフィルムを供給する。
先に述べたように、燃料噴射器100のパイロット燃料分配装置は圧力旋回噴霧器125を備える単一エア・ブラスト形噴霧器である。図10に示されるように、噴霧器125はパイロット燃料スワーラー130から流出する旋回している燃料に加圧された燃焼器出口空気を向ける。このパイロット外側空気スワーラー140はパイロット燃料スワーラー130の外側に配置され、パイロット外側空気回路を通って流れる燃焼器出口空気に旋回を与えるように向けられ、そうでなければ構成される、周方向に一定の間隔をおいて並ぶ1組の旋回ベーン138を備える。このパイロット外側気流はパイロット燃料スワーラー130から流出する、液体燃料に作用するようにパイロット空気キャップ144の先細壁面によって半径方向内側に向けられる。
本発明の燃料分配装置が好ましい実施例について説明されたが、当業者は添付の請求に範囲によって定義される本発明の本質と範囲とから離れることなく、変更および変形をなし得ることを容易に理解する。
本発明の好ましい実施例従って構成される、ガスタービン・エンジンの燃焼室内に示される、希薄直接噴射燃料ノズルの斜視図である。 プレフィルミング・エア・ブラスト形主燃料分配装置とプレフィルミング・エア・ブラスト形パイロット燃料分配装置とを備える、図1に示される希薄直接噴射燃料ノズルの分解斜視図である。 プレフィルミング・エア・ブラスト形主燃料分配装置およびプレフィルミング・エア・ブラスト形パイロット燃料分配装置の各要素を断面によって示す、図2の希薄直接噴射燃料ノズルの斜視図である。 外側空気キャップの先端を超えて延びる主内側空気通路の内壁の先端を示す、図2および図3に示される希薄直接噴射燃料ノズルの断面図である。 主内側空気通路が外側空気キャップの先端と一致する、図4に類似する希薄直接噴射燃料ノズルの断面図である。 主内側空気通路の円錐状に広がる下流面の環状間隙の大きさについての変形例を示す、図2および図3に示される希薄直接噴射燃料ノズルの別の実施例の断面図である。 低出力運転中のノズル内に組み込まれたパイロット燃料分配装置に形成される空気経路と燃料経路とを示す、図4に示される希薄直接噴射燃料ノズルの断面図である。 高出力運転中のノズル内に組み込まれた主燃料分配装置およびパイロット燃料分配装置に形成される空気経路と燃料経路とを示す、図4に示される希薄直接噴射燃料ノズルの断面図である。 ある条件設定のもとで、弱い中心再循環域がパイロット燃焼域に保持される、図4に示される希薄直接噴射燃料ノズルから流出する軸方向速度輪郭線によって確認された流動の広がり構造を示す図である。 高出力運転中の主およびパイロット燃料分配装置での予測される燃料噴霧の広がりを示す、図4に示される希薄直接噴射燃料ノズルの断面図である。 低出力運転中のパイロット燃料分配装置での予測される燃料噴霧の広がりを示す、図4に示される希薄直接噴射燃料ノズルの断面図である。 プレフィルミング・エア・ブラスト形主燃料分配装置と単一エア・ブラスト形パイロット燃料分配装置と備える、本発明の好ましい実施例に従う、別の希薄直接噴射燃料ノズルの断面図である。 高出力運転中の主燃料分配装置およびパイロット燃料分配装置に形成される空気経路と燃料経路とを示す、図9に示される希薄直接噴射燃料ノズルの断面図である。
符号の説明
10… 燃料噴射器
12… ノズル本体
24… 取付け金具
30、130… パイロット燃料スワーラー
35、55… 旋回室
36… パイロット内側空気スワーラー
40、140… パイロット外側空気スワーラー
38、42、60、64、72、138、160、164… 旋回ベーン
44、144… パイロット空気キャップ
50、150… 主燃料スワーラー
56、156… 主外側空気スワーラー
58、158… 主内側空気スワーラー
62、162… 外側空気キャップ
66、166… 主内側空気通路
70、170… 中間空気スワーラー
100… 燃料噴射器

Claims (44)

  1. a) 末広下流面を備えた半径方向内壁を有する主内側空気通路によって部分的に形成される主内側空気スワーラーを備える半径方向外側主燃料分配装置と、
    b) 前記主内側空気スワーラーの半径方向内側に設けられ、前記主内側空気通路の前記半径方向内壁の下流面に沿って冷却空気流を供給する中間空気スワーラーと、
    c) 前記中間空気スワーラーの半径方向内側に設けられた半径方向内側パイロット燃料分配装置と
    を備えるガスタービン用希薄直接噴射燃料ノズル。
  2. 前記主燃料分配装置がプレフィルミング・エア・ブラスト形であり、前記主内側空気スワーラーの半径方向内側に設けられた主燃料スワーラーと、前記主燃料スワーラーの半径方向外側に設けられた主外側空気スワーラーと、前記主外側空気スワーラーの半径方向外側に設けられた外側空気キャップとを備える請求項1記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  3. 前記パイロット燃料分配装置が圧力旋回噴霧器を有する単一エア・ブラスト形である請求項1記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  4. 前記パイロット燃料分配装置がパイロット外側空気スワーラーと、前記パイロット外側空気スワーラーの半径方向内側に設けられたパイロット燃料スワーラーとを備える請求項3記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  5. 前記パイロット燃料分配装置がプレフィルミング・エア・ブラスト形である請求項1記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  6. 前記パイロット燃料分配装置がパイロット外側空気スワーラーと、前記パイロット外側空気スワーラーの半径方向内側に設けられたパイロット燃料スワーラーと、前記燃料ノズルの中心軸に沿って延びるパイロット内側空気スワーラーとを備える請求項5記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  7. 前記中間空気スワーラーは冷却空気が前記主内側空気通路の半径方向内壁の末広下流面に付着したまま流動するのを保証する十分な角度に向けられた1組の旋回ベーンを備える請求項1記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  8. 前記中間空気スワーラーが前記燃料ノズルの中心軸に対して約35°から約60°の範囲の角度に向けられた1組の旋回ベーンを備える請求項7記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  9. 前記中間スワーラーの前記旋回ベーンが前記燃料ノズルの中心軸に対して時計方向および反時計方向のどちらか1つの方向に旋回を与えるように向けられる請求項7記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  10. 前記中間空気スワーラーの前記旋回方向が前記主内側空気スワーラーの旋回方向と同一回転方向である請求項9記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  11. 前記中間空気スワーラーの前記旋回方向が前記主内側空気スワーラーの旋回方向と逆回転方向である請求項9記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  12. 前記主空気通路の前記半径方向内壁の先端が前記外側空気キャップの先端よりも下流に配置される請求項2記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  13. 前記主空気通路の前記半径方向内壁の先端が前記外側空気キャップの先端よりも上流に配置される請求項2記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  14. 前記パイロット内側空気スワーラーが前記燃料ノズルの中心軸に対して時計方向および反時計方向のどちらか1つの方向に旋回を与えるように向けられた1組の旋回ベーンを備える請求項6記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  15. 前記パイロット外側空気スワーラーが前記燃料ノズルの中心軸に対して時計方向および反時計方向のどちらか1つの方向に旋回を与えるように向けられた1組の旋回ベーンを備える請求項14記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  16. 前記パイロット外側空気スワーラーの前記旋回ベーンが軸流旋回ベーンとして構成される請求項15記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  17. 前記パイロット外側空気スワーラーの前記旋回ベーンが半径流旋回ベーンとして構成される請求項15記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  18. 前記パイロット外側空気スワーラーの旋回方向が前記パイロット内側空気スワーラーの旋回方向と同一回転方向である請求項15記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  19. 前記パイロット外側空気スワーラーの旋回方向が前記パイロット内側空気スワーラーの旋回方向と逆回転方向である請求項15記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  20. 前記主内側空気スワーラーが前記燃料ノズルの中心軸に対して約20°から約50°の範囲の角度に向けられた旋回ベーンを備える請求項2記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  21. 前記主内側空気スワーラーの前記旋回ベーンが前記燃料ノズルの中心軸に対して時計方向および反時計方向のどちらか1つの方向に旋回を与えるように向けられる請求項20記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  22. 前記主外側空気スワーラーが前記燃料ノズルの中心軸に対して約45°から約60°の範囲の角度に向けられた旋回ベーンを備える請求項2記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  23. 前記主外側空気スワーラーの前記旋回ベーンが前記燃料ノズルの中心軸に対して時計方向および反時計方向のどちらか1つの方向に旋回を与えるように向けられる請求項22記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  24. 前記主外側空気スワーラーの前記旋回ベーンが軸流旋回ベーンとして構成される請求項22記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  25. 前記主外側空気スワーラーの前記旋回ベーンが半径流旋回ベーンとして構成される請求項22記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  26. 前記主外側空気スワーラーの旋回方向が前記主内側空気スワーラーの旋回方向と同一回転方向である請求項2記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  27. 前記主外側空気スワーラーの旋回方向が前記主内側空気スワーラーの旋回方向と逆回転方向である請求項2記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  28. a) 外側空気キャップを有する半径方向外側主燃料分配装置と、
    ここで、前記外側主燃料分配装置は
    i) 前記外側空気キャップの半径方向内側に設けられた主外側空気スワーラーと、
    ii) 前記主外側空気スワーラーの半径方向内側に設けられた主燃料スワーラーと、
    iii) 前記主燃料スワーラーの半径方向内側に設けられ、末広下流面を備えた半径内壁を有する主内側空気通路によって部分的に形成される主内側空気スワーラーとを備えており、
    b) 前記主内側空気スワーラーの半径方向内側に設けられ、前記主内側空気通路の前記半径方向内壁の下流面に沿って冷却空気を供給する中間空気スワーラーと、
    c) 前記中間空気スワーラーの半径方向内側に設けられ、先細パイロット空気キャップを有する半径方向内側パイロット燃料分配装置と
    を備えるガスタービン用希薄直接噴射燃料ノズル。
  29. 前記パイロット燃料分配装置が圧力旋回噴霧器を有する、単一エア・ブラスト形である請求項28記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  30. 前記パイロット燃料分配装置がパイロット外側空気スワーラーと、前記パイロット外側空気スワーラーの半径方向内側に設けられたパイロット燃料スワーラーとを備える請求項29記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  31. 前記パイロット燃料分配装置がプレフィルミング・エア・ブラスト形である請求項28記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  32. 前記パイロット燃料分配装置がパイロット外側空気スワーラーと、前記パイロット外側空気スワーラーの半径方向内側に設けられたパイロット燃料スワーラーと、前記燃料ノズルの中心軸に沿って延びるパイロット内側空気スワーラーとを備える請求項31記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  33. 前記主空気通路の前記半径方向内壁の先端が前記外側空気キャップの先端よりも下流に配置される請求項28記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  34. 前記主空気通路の前記半径方向内壁の先端が前記外側空気キャップの先端よりも上流に配置される請求項28記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  35. 前記主空気通路の前記半径方向内壁の先端が前記外側空気キャップの先端と一致して配置される請求項28記載の希薄直接噴射燃料ノズル。
  36. a) 内側パイロット燃焼域を準備し、
    b) 前記パイロット燃焼域の外側に主燃焼域を準備し、
    c) 前記パイロット燃焼域から前記主燃焼域にかけて高温燃焼生成物の混合を遅らせる方法で前記パイロット燃焼域から前記主燃焼域を機械的に分離する
    ステップを含むガスタービンに燃料を噴射する方法。
  37. さらに、前記パイロット燃焼域内部に弱い中心再循環域を保持するステップを含む請求項36記載の方法。
  38. 前記パイロット燃焼域から前記主燃焼域を機械的に分離するステップが少なくとも前記燃料プレフィルマの先端に延びる、円錐状に広がる半径方向内壁を有する内側空気通路を準備することによってプレフィルミング・エア・ブラスト噴霧器の内側気流を制限することを含む請求項36記載の方法。
  39. さらに、前記プレフィルミング・エア・ブラスト噴霧器の前記内側空気通路の円錐状に広がる内壁を覆って冷却空気を流すステップを含む請求項38記載の方法。
  40. プレフィルミング・エア・ブラスト噴霧器の内側空気回路を通過する気流を調節する方法であって、流動通路の壁面に付着したままの気流を得るために前記内側空気回路の最小面積位置から下流出口にかけて圧力が上昇する方法を用いて最小面積位置よりも下流域に前記内側空気回路の流動通路を形成することを含む方法。
  41. さらに、前記内側空気回路の前記最小面積位置よりも下流の円錐状に広がる環状通路で前記内側空気回路を流出する気流を制限することを含む請求項40記載の方法。
  42. さらに、前記内側空気回路を通過するときの望ましい質量流量を得るために前記円錐状に広がる環状通路を寸法決めすることを含む請求項41記載の方法。
  43. プレフィルミング・エア・ブラスト噴霧器の内側空気回路を通過する気流を調節する方法であって、円錐状に広がる環状通路の壁面に付着したままの気流を得るために空気スワーラーから円錐状に広がる環状通路の下流出口にかけて内側空気回路内の圧力が上昇する方法を用いて前記内側空気回路に配置した空気スワーラーよりも下流に円錐状に広がる環状通路を備えた前記内側空気回路を形成することを含む方法。
  44. さらに、前記内側空気回路を通過するときの望ましい質量流量を得るために前記円錐状に広がる環状通路の間隙寸法を選択することを含む請求項43記載の方法。

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