JP2006311964A - 開閉補助装置および家具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 温度変化によって使用感が変動せず、かつ、デッドスペースを狭くできるとともに、コストの低減を図ることのできる開閉補助装置、および家具を提供すること。
【解決手段】 開閉補助装置において、抽斗を閉じる際の動作がラックとピニオンを介して制動歯車212に伝達されて制動歯車212が回転すると、その遠心力によって、ウエイト213が拡径して摺動部材213が円筒状被摺動面605に接触する。このため、抽斗は、摺動部材213と円筒状被摺動面605との間に発生する摩擦力により減速するので、抽斗を静かに閉めることができる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、抽斗などの可動部分を開閉する際の動作を補助する開閉補助装置、およびこの開閉補助装置を備えた家具に関するものである。
抽斗などの可動部分を開閉する際の動作を補助する開閉補助装置としては、抽斗と、この抽斗を左右両側でガイドするスライド機構との間の各々に、シリンダとピストンとを備えたオイルダンパ装置を配置したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−245738号公報
しかしながら、上記特許文献に記載の技術では、オイルダンパ装置を用いているため、抽斗と左右両側のスライド機構との間の各々にダンパ装置を組み込まざるを得ないので、デッドスペースが大きく、かつ、高価であるという問題点がある。
また、上記特許文献に記載の技術では、オイルダンパ装置を用いているため、温度変化によってオイルの粘度が変化し、朝晩や季節などの温度変化によって使用感が著しく変動するという問題点がある。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、デッドスペースを狭くでき、かつ、コストの低減を図ることのできる開閉補助装置、およびこの開閉補助装置を備えた家具を提供することにある。
また、本発明の課題は、温度変化によって使用感が変動しずらい開閉補助装置、およびこの開閉補助装置を備えた家具を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明では、可動部分を少なくとも家具本体に対して閉じる際の動作を補助するための開閉補助装置において、前記可動部分を閉じる際に当該可動部分を減速させる閉側ダンパ機構を有し、当該閉側ダンパ機構は、前記可動部分の閉動作に連動して回転する回転体と、該回転体が回転したときの遠心力により縮径状態から拡径状態に変位する可動片部と、該可動片部が拡径したときに接触して摩擦力を発生させる被摺動部とを備えていることを特徴とする。
本発明では、抽斗などの可動部分が閉方向に移動する際に回転体が回転すると、その遠心力によって、可動片部が拡径して被摺動部に接触する。このため、可動片部と被摺動部との間に発生する摩擦力により可動部分が減速するので、可動部分を静かに閉めることができる。また、可動片部と被摺動部との間に発生する摩擦力を利用するので、オイルダンパを利用した場合と違って、小型で安価であるため、デッドスペースを狭くでき、かつ、コストの低減を図ることができる。しかも、このようなダンパ機構であれば、オイルダンパと違って、環境温度が変化しても使用感が変動しないという利点がある。
本発明において、前記閉側ダンパ機構では、前記可動片部が前記縮径状態と前記拡径状態との切り換わる際の支点からみて、前記可動片部における前記被摺動部との接触位置が当該支点から前記可動片部の重心位置と同一の側にあって、当該支点から前記接触位置までの距離が、当該支点から前記重心位置までの距離よりも短いことが好ましい。このように構成すると、閉側ダンパ機構は、小型であっても大きな摩擦力を発生させる。
本発明において、前記閉側ダンパ機構では、前記可動部分の閉方向へ移動方向に沿って、前記支点、前記接触位置および前記重心位置がこの順に配置されていることが好ましい。このように構成すると、閉側ダンパ機構は、可動部分が閉方向に移動した際、大きな摩擦力を発生させる一方、可動部分が開方向に移動する際の摩擦力が極めて小さいという利点がある。このため、可動部分がいずれの方向に移動するかによって、閉側ダンパ機構を作動状態と非作動状態に切り換えるクラッチ機構が不要である。
本発明において、前記可動部分を閉方向の途中位置から閉方向に自動的に駆動する閉駆動装置を備える場合、当該閉駆動装置は、例えば、前記家具本体側に形成された係合部と、前記係合部と係合可能な被係合部を備え、前記可動部分に対して開方向および閉方向で相対移動可能な閉側トリガ部材と、該閉側トリガ部材と前記可動部分とを接続し、前記可動部分を前記閉側トリガ部材に対して閉方向に付勢するための閉用バネと、前記可動部分が開方向に移動している途中で前記係合部と前記被係合部との係合を解除して前記閉側トリガ部材と前記可動部分とを開方向に一体移動させるとともに前記閉用バネの変形状態を保持し、前記可動部分が閉方向に移動する途中で前記係合部と前記被係合部とを係合させるとともに前記閉用バネを開放して当該閉用バネの付勢力による前記可動部分の閉方向の移動を開始させる切換機構とを備え、前記閉側ダンパ機構は、前記可動部材が前記閉駆動装置によって閉方向に移動する際、当該可動部材を減速させる。
本発明において、前記切換機構は、前記係合部と前記被係合部との係合の解除と前記閉用バネの変形状態の保持とが略同時に行われ、前記係合部と前記被係合部との係合と前記閉用バネの開放とが略同時に行われることが好ましい。
本発明において、前記可動部分を開方向に移動させた際、開方向の途中位置から前記可動部材の移動速度を低下させる開側ダンパ機構を有し、当該開側ダンパ機構は、前記可動部分の開動作に連動して回転する回転体と、該回転体が回転したときの遠心力により縮径状態から拡径状態に変位する可動片部と、該可動片部が拡径したときに摺動して摩擦力を発生させる被摺動部とを備えていることが好ましい。
本発明を適用した開閉補助装置を備えた家具において、前記可動部分は、例えば、抽斗である。この場合、前記開閉補助装置は、前記閉用バネとして前記閉側トリガ部材の両側の各々にコイルバネを備え、前記開閉補助装置は、前記抽斗の底面側のうち、当該抽斗の幅方向における略中央位置に1つ、配置されていることが好ましい。閉側トリガ部材の両側の各々に前記閉用バネとしてコイルバネを配置すれば、可動部分を傾かせることなく移動させることができるので、開閉補助装置は、前記抽斗の底面側のうち、当該抽斗の幅方向における略中央位置に1つ、配置すればよい。それ故、開閉補助装置を狭い空間内に配置でき、かつ、低コスト化を図ることができる。
本発明の別の形態では、家具本体に対して開閉可能な抽斗を備えた家具において、前記抽斗を閉じる際に当該抽斗を減速させるダンパ機構を備えた開閉補助装置が、前記抽斗の底面側のうち、当該抽斗の幅方向における略中央位置に1つ、配置されていることを特徴とする。本発明では、開閉補助装置を抽斗の底面側に1つ、配置したため、デッドスペースを狭くでき、かつ、コストの低減を図ることができる。
本発明では、抽斗などの可動部分が閉方向に移動する際に回転体が回転すると、その遠心力によって、可動片部が拡径して被摺動部に接触する。このため、可動片部と被摺動部との間に発生する摩擦力により可動部分が減速するので、可動部分を静かに閉めることができる。また、可動片部と被摺動部との間に発生する摩擦力を利用するので、オイルダンパを利用した場合と違って、小型で安価であるため、デッドスペースを狭くでき、かつ、コストの低減を図ることができる。しかも、このようなダンパ機構であれば、オイルダンパと違って、環境温度が変化しても使用感が変動しないという利点がある。
また、開閉補助装置を抽斗の底面側に1つ、配置すれば、デッドスペースを狭くでき、かつ、コストの低減を図ることができる。
図面を参照して、本発明を適用した開閉補助装置および家具を説明する。
図1(a)、(b)、(c)はそれぞれ、本発明を適用した開閉補助装置を備えた家具の平面的なレイアウトを示す横断面図、この家具において可動部分としての抽斗を閉めた状態における縦断面図、および抽斗を開いた状態における縦断面図である。図2(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ、本発明を適用した開閉補助装置の平面的なレイアウトを示す説明図、側面図、縦断面図、および開側ダンパ機構を通る位置で切断したときの縦断面図である。
図1(a)、(b)、(c)に示す家具1は、例えば流し台であり、家具本体101に対して開閉可能な抽斗102を備えている。家具本体101には、抽斗102が挿入されるスペースが確保されており、このスペースの左右両側には、抽斗102を開閉する際に抽斗102のローラ103を支持しながらガイドするレール104(スライド機構)が構成されている。家具本体101と抽斗102との間には、以下に説明する開閉補助装置2が構成されており、本形態において、開閉補助装置2は、抽斗102の底面側のうち、抽斗102の幅方向における中央部分に、1つ配置されている。開閉補助装置2は、抽斗102を閉める際の動作を補助するためのものであり、本形態では、抽斗102を開ける際の動作も補助するようになっている。
(開閉補助装置の構成)
図1(a)、(b)、(c)および図2(a)、(b)、(c)に示すように、家具本体101において、抽斗102が挿入されるスペースの奥側正面には、フック機構40が構成されている。このフック機構40は、図2(a)、(b)、(c)に示すように、家具本体101側にボルトで止められたプレート405と、このプレート405に形成された支軸419と、支軸419に対して回転可能に支持されたフック400(係合部)と、このフック400を付勢するネジリコイルバネ418とを備えている。フック400には、湾曲部分410と、軸411と、支軸419が嵌る軸穴と、プレート405に当接してフック400のある程度以上の回転を阻止する回転規制部416とが構成され、ネジリコイルバネ418により常に回転規制部416側に付勢されている。
図1(a)、(b)、(c)に示すように、抽斗102の底面にはハウンジング4が取り付けられ、このハウジング4は、抽斗102と完全に一体となって開方向Oおよび閉方向Cに移動する。図2(b)、(c)に示すように、ハウジング4は、下ケース6と、この下ケース6と所定の間隔を隔てて対向する上ケース5とを備えている。
図2(a)、(c)に示すように、下ケース6と上ケース5との間には、平板状の閉側トリガ部材7が配置され、図2(a)では、閉側トリガ部材7に斜線を付してその平面形状を表してある。下ケース6と上ケース5との間には、抽斗102をその閉まり際で自動的に引き込む閉駆動装置20と、抽斗102を閉じる際、その閉まり際で減速を行う閉側ダンパ機構21と、抽斗102を開く際、その開き際で開時の衝撃を吸収するための開側ダンパ機構30とが構成されている。
ここで、閉側ダンパ機構30は、閉側トリガ部材7に形成されたラック704、このラック704と噛み合うピニオンを備えた歯車210、この歯車210と噛み合う制動歯車211、この制動歯車211の周りを囲む円筒状被摺動面605などを利用して構成されている。
開側ダンパ機構30は、ラック140を備えた開側トリガ部材14、その基端側に配置された制動バネ15、ラック140と噛み合うピニオンを備えた歯車310、この歯車310と噛み合う制動歯車311、この制動歯車311の周りを囲む円筒状被摺動面609などを利用して構成されている。
閉駆動装置20は、閉側トリガ部材7、フック400、このフック400が係合する軸705、閉用バネ13などにより構成されており、この閉駆動装置20には、抽斗102の移動方向に延びるストッパ8、このストッパ8に形成されたバネ保持溝801に配置されたストッパバネ9などによって、抽斗102をその閉まり際で自動的に引き込むタイミングを制御する切換機構22が構成されている。
より具体的に説明する。まず、上ケース5および下ケース6には各々、同形状のスライドガイド溝501a、501b、601a、601bが対向する位置に形成されており、閉側トリガ部材7の軸701、702がスライドガイド溝501a、501b、601a、601bの内側を移動するようになっている。また、上ケース5および下ケース6には各々、同一の略L字形状をもつスライドガイド溝502、602が対向する位置に形成されており、ストッパ8の軸804は、スライドガイド溝502、602の内側を移動するようになっている。このようにして、閉側トリガ部材7は、ハウジング4に対して保持され、かつ、ハウジング4に対して開方向および閉方向に相対移動可能である。
閉側トリガ部材7には、歯車210のピニオンと噛み合う動力伝達用のラック704、フック400の軸411に当接するフック当接カム706、フック400が係合する軸705、およびストッパ支持軸707とが形成されている。
ストッパ8には、バネ保持溝801が形成されており、このバネ保持溝801にはストッパ支持軸70が嵌り、かつ、ストッパバネ9がバネ保持溝801に装着されている。このため、ストッパ8は、ストッパバネ9の圧縮力で片側に押さえつけられている。ここで、ストッパ8の端部803は、軸705が嵌る略U形状を備えている。
下ケース6の開側の端部において、その左右両側にはバネ掛け部610が各々形成されている。これに対して、閉側トリガ部材7の閉側の端部には、その左右両側にバネ掛け部703が各々形成され、バネ掛け部703とバネ掛け部610との間には各々、閉駆動装置20において抽斗102を閉方向に駆動する付勢力を発揮するコイルバネからなる閉用バネ13が掛けられている。
また、下ケース6には、スライドガイド溝606が形成され、このスライドガイド溝606には、開側トリガ部材14の基端側が配置されているとともに、制動バネ15が配置されている。
(ダンパ機構の構成)
図3(a)、(b)は、本発明を適用した開閉補助装置に用いたダンパ機構の縦断面図および底面図である。図4は、本発明を適用した開閉補助装置に用いたダンパ機構の分解斜視図である。
図2(a)、図3(a)、(b)、図4において、下ケース6には、歯車310および制動歯車211の回転中心軸603、604が保持され、かつ、制動歯車211の周囲には円筒状被摺動面605が形成されている。また、下ケース6には、歯車310および制動歯車311の回転中心軸607、608が保持され、かつ、制動歯車311の周囲には、円筒状被摺動面609が形成されている。
ここで、歯車210、制動歯車211(回転体)、制動歯車211上で摺動部材213を保持するウエイト212(可動片部)、および円筒状被摺動面605(被摺動部)は、抽斗102を閉じる際、その減速を行う閉側ダンパ機構21を構成している。また、歯車310、制動歯車311(回転体)、制動歯車211上で摺動部材313を保持するウエイト312(可動片部)、および円筒状被摺動面609(被摺動部)は、抽斗102を開く際、その減速を行う開側ダンパ機構31として機能する。本形態において、摺動部材213、313はNBRなどのゴム製である。なお、円筒状被摺動面605、609には、摩擦状態の安定化と耐久性向上のため、僅かなグリス、オイル等を塗布してある。
閉側ダンパ機構21において、歯車210は、ピニオンがラック704と噛み合い、制動歯車211に回転力を増速伝達する。その結果、制動歯車211の回転によって、ウエイト212が支軸214を中心に遠心力で回転して、図3(b)に矢印Aで示すように拡径する。そして、摺動部材213が円筒状被摺動面605を摺動し、そのときの摩擦力が制動力を発揮する。開側ダンパ機構30においても、閉側ダンパ機構21と同様に、歯車310は、ピニオンがラック140と噛み合い、制動歯車311に回転力を増速伝達する。その結果、制動歯車311の遠心力によって、ウエイト312が支軸を中心に回転して、図3(b)に矢印Aで示すよう拡径する。そして、摺動部材313が円筒状被摺動面605を摺動し、そのときの摩擦力が制動力を発揮する。
ここで、閉側ダンパ機構21では、図3(b)に示すように、ウエイト212が縮径状態と拡径状態との切り換わる際の支軸214(支点)からみて、ウエイト212における摺動部材213の円筒状被摺動面605との接触位置は、ウエイト212の重心位置Wと同一の側にあって、かつ、支軸214からウエイト212における摺動部材213と円筒状被摺動面605との接触位置までの距離が、支軸214からウエイト212の重心位置Wまでの距離よりも短い。しかも、抽斗102が閉方向に移動するときの制動歯車211の回転方向S1に沿って、支軸214、接触位置(摺動部材213)、および重心位置Wがこの順に配置されている。このため、閉側ダンパ機構21では、抽斗102が閉方向(回転方向S1)に移動する際には、接触位置と重心位置Wが逆の場合に比べ摩擦角が小さく、安定した摺動接触状態となるので、このような食いつき方向の接触では大きな摩擦力が発生する。なお、抽斗102が開方向(回転方向O1)に移動する際には、逃げ方向の接触となるので、小さな摩擦力しか発生しない。
開側ダンパ機構31では、閉側ダンパ機構21と同様に、ウエイト312が縮径状態と拡径状態との切り換わる際の支軸314(支点)からみて、ウエイト312における摺動部材313の円筒状被摺動面609との接触位置は、ウエイト312の重心位置Wと同一の側にあって、かつ、支軸からウエイト312における摺動部材313と円筒状被摺動面609との接触位置までの距離が、支軸からウエイト312の重心位置までの距離よりも短い。しかも、抽斗102が閉方向に移動するときの制動歯車311の回転方向O2に沿って、支軸314、接触位置(摺動部材313)、および重心位置Wがこの順に配置されている。このため、開側ダンパ機構30では、抽斗102が開方向(回転方向O2)に移動する際には、接触位置と重心位置Wが逆の場合に比べ摩擦角が小さく、安定した摺動接触状態となるので、このような食いつき方向の接触では大きな摩擦力が発生する。なお、抽斗102が閉方向(回転方向S2)に移動する際には、逃げ方向の接触となるので、小さな摩擦力しか発生しない。
(動作)
図5、図6および図7はいずれも、本発明を適用した開閉補助装置の動作を示すケース5を取り除いた状態での平面図である。
本形態の開閉補助装置2および家具1において、抽斗102が完全に閉まっているときの状態は、図2(a)に示すように表され、フック400は軸705に係合している。この状態で、2本の閉用バネ13は縮んだ状態にある。
この状態から抽斗102がわずかに開方向に引き出されたとき、フック400が軸705に係合しているので、閉側トリガ部材7は、家具本体101の側に保持されているが、ハウジング4が抽斗102と連動してわずかに開方向に移動する。その際、閉側トリガ部材7と抽斗102が相対移動するため、歯車210および制動歯車211が回転し、ウエイト212と摺動部材213も連動して回転するが、この回転は、ウエイト212と摺動部材213の逃げ方向(図3(b)の回転方向O1)の回転であるため、大きな制動力とならず、スムーズに回転する。また、ストッパ8の軸804がスライドガイド溝702に嵌りこんでいるため、抽斗102の移動距離に応じて僅かに回転しながら連動するが、負荷はほとんど発生しない。なお、開側ダンパ機構30は作動しない。
この状態から、図5(a)に示す状態まで抽斗102が開方向に移動すると、2本の閉用バネ13はさらに引き伸ばされる。また、ストッパ8の軸804がスライドガイド溝502、602に沿って動くとともに、軸804はスライドガイド溝502、602の端部では、L字形状のカム形状に沿って動くため、ストッパ8は、ストッパ支持軸707を中心に時計周りCWに回転する。その結果、ストッパ8のカム部807が、フック先端415を押し上げ、図5(b)、(c)に示すように、フック先端415は軸705から外れるとともに、軸705が略U字状の端部803に入り込む。この状態で、ストッパ8の軸804は、閉用バネ13の力でスライドガイド溝502、602のL字状の端部に入り込んだ状態にあるので、ストッパ8は、閉用バネ13の変形を阻止する。それ故、閉用バネ13の変形状態が保持され、縮まらない。このような切換機構22において、フック400と軸705とが係合が解除されるタイミングと、閉用バネ13の変形状態を保持するタイミングとの間には遊びがなく、これらの動作は略同時に行われる。
それ以降、抽斗102は、レール104に沿って自由に移動するが、その際、ハウジング4および閉側トリガ部材7は、図6(a)に示すように、抽斗102とともに開側に移動する。
この状態から、さらに抽斗102を開方向に引き出すと、図6(b)に示すように、開側トリガ部材14の先端部が、レール104の端部などといった家具本体101側に突き当たる。従って、さらに抽斗102を開方向に引き出そうとすると、図6(c)に示すように、制動バネ15を縮めながら開側トリガ部材14が引っ込む。その間の動作は、ラック140および歯車310のピニオンを介して制動歯車311に伝達され、制動歯車311が反時計周りCCW(図3(b)の回転方向O2)に回転する。その結果、図3(b)を参照して説明したように、制動歯車311の回転によって、ウエイト312が支軸314を中心に遠心力で回転して、矢印Aで示すように拡径し、摺動部材313が円筒状被摺動面605を摺動する。そのときの摩擦力が制動力となるので、抽斗102は衝撃は吸収され、静かに開くことになる。抽斗102は制動バネ15により閉方向に動くことがない程度に調整されている。
この状態から今度は抽斗102を閉方向に押し込むと、図7(a)に示すように、開側トリガ部材14は、制動バネ15に付勢されて徐々に突き出てくる。その際、歯車310、制動歯車311、およびウエイト312も連動するが、逃げ方向(図3(b)の回転方向S2)に回転するため大きな制動力とならず、スムーズに回転する。この時点では、閉駆動装置20は動作しない。
次に、抽斗102を閉方向に押し込むと、軸705がフック400を押し上げ、図7(b)に示すように、フック先端415とストッパ8の下面に形成されているカム部807と当たる。さらに、抽斗102を閉方向に押し込むと、フック当接カム706が軸411を押し下げる。このため、フック先端415がストッパ8をストッパ支持軸707を中心に反時計周りCCWに回転させ、ストッパ8の軸804をスライドガイド溝502、602のL字状端部内をから脱出させ、軸705からストッパ8の端部803を外す。従って、ストッパ8は、閉用バネ13を開放し、閉用バネ13は縮み始めるので、図2(a)に示すように、フック400と軸705とが係合し、閉用バネ13は、ハウジング4を閉側に付勢する。それ故、抽斗102は自動的に閉方向に駆動される。その際、軸705からストッパ8の端部803が外れるので、ストッパバネ9は僅かに縮む。このような切換機構22において、フック400と軸705とが係合するタイミングと、閉用バネ13を開放するタイミングとの間には遊びがなく、これらの動作は略同時に行われる。
その間の動作は、ラック704および歯車210のピニオンを介して制動歯車211に伝達され、制動歯車211が時計周りCW(図3(b)の回転方向S1)に回転する。その結果、図3(b)を参照して説明したように、制動歯車211の回転によって、ウエイト212が支軸214を中心に遠心力で回転して、矢印Aで示すように拡径し、摺動部材213が円筒状被摺動面605を摺動する。そのときの摩擦力が制動力を発揮する。それ故、抽斗102は静かに完閉位置まで移動する。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の開閉補助装置2および家具1では、抽斗102を閉じる際に、制動歯車212が回転すると、その遠心力によって、ウエイト213が拡径して摺動部材213が円筒状被摺動面605に接触する。このため、抽斗102は、摺動部材213と円筒状被摺動面605との間に発生する摩擦力により減速するので、抽斗102を静かに閉めることができる。従って、本形態によれば、このような減速を行うのに、回転ガバナ方式の第1のダンパ機構21を採用したので、オイルダンパを利用した場合と違って、小型、薄型で安価である。それ故、開閉補助装置2を配置したことによるデッドスペースを狭くでき、かつ、コストの低減を図ることができる。しかも、摺動部材213と円筒状被摺動面605との間に発生する摩擦力を利用するので、オイルダンパを利用した場合と違って、環境温度が変化しても使用感が変動しない。
また、閉側トリガ部材7の両側の各々に閉用バネ13としてコイルバネを配置したので、バネスペースを充分大きく取れ、重い抽斗102から軽い抽斗102まで対応力が広く、閉側トリガ部材7と抽斗102とが傾くことがないように安定して動作させることができる。従って、開閉補助装置2は、抽斗102の幅方向における略中央位置のうち、抽斗102の底面側に1つ、配置すればよい。それ故、抽斗102を安定して動作させることができるとともに、開閉補助装置2を狭い空間内に配置でき、かつ、低コスト化を図ることができる。
[その他の実施の形態]
上記形態では、家具1の可動部分として抽斗101を例に説明したが、扉などを開閉するための開閉補助装置に本発明を適用してもよい。また、上記形態では、ダンパ機構に用いた可動片部は、ウエイトと摺動部材とから構成されていたが、これらが一体の部品を用いてもよい。例えば、図8に示す円盤部材215、315において、円環部分216、316に対して括れ部分217、317を介して円弧状の可動片部218、318が連結されており、これらの可動片部218、318の外周縁の各々に対して、円弧状に外側に突き出た接触部219、319を形成してもよい。このように構成した円盤部材215、315では、遠心力によって可動片部218、318が縮径状態と拡径状態との切り換わる際の支点(括れ部分217、317)からみて、接触部219、319の位置は、可動片部218、318の重心位置Wと同一の側にあって、かつ、括れ部分217、317から接触部219、319までの距離が、括れ部分217、317から可動片部218、318の重心位置Wまでの距離よりも短い。しかも、ダンパ機構が大きな摩擦力を発生させるべき方向(回転方向S1、O2)に沿って、括れ部分217、317、接触部219、319、および重心位置Wがこの順に配置されている。
また、上記形態では、ウエイトと摺動部材は回転中心に対して2個配置したが、回転バランスの取れた複数個を配置しても良い。また、動作音の発生が生じる部分には軟質材を配置して、衝撃音を吸収するのは言うまでもない。また、抽斗の移動距離と固定側のフックの位置は用途により様々であるが、このような移動距離やフックの位置の変更に対して、プレート405の取付け長さを可変にした構造や抽斗102へのハウジング4の取付位置などで対応することできる。
(a)、(b)、(c)はそれぞれ、本発明を適用した開閉補助装置を備えた家具の平面的なレイアウトを示す横断面図、この家具において可動部分としての抽斗を閉めた状態における縦断面図、および抽斗を開いた状態における縦断面図である。 (a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ、本発明を適用した開閉補助装置の平面的なレイアウトを示す説明図、側面図、縦断面図、および開側ダンパ機構を通る位置で切断したときの縦断面図である。 (a)、(b)は、本発明を適用した開閉補助装置に用いたダンパ機構の縦断面図および底面図である。 本発明を適用した開閉補助装置に用いたダンパ機構の分解斜視図である。 (a)、(b)、(c)はいずれも、本発明を適用した開閉補助装置の動作を示すケースを取り除いた状態での平面図である。 (a)、(b)、(c)はいずれも、本発明を適用した開閉補助装置の動作を示すケースを取り除いた状態での平面図である。 (a)、(b)、(c)はいずれも、本発明を適用した開閉補助装置の動作を示すケースを取り除いた状態での平面図である。 本発明を適用した開閉補助装置に用いたダンパ機構の可動片部の変形例を示す説明図である。
符号の説明
1 家具
2 開閉補助装置
7 閉側トリガ部材
13 閉用バネ
14 開側トリガ部材
20 閉駆動装置
21 閉側ダンパ機構
22 切換機構
30 開側ダンパ機構
211、311 制動歯車(回転体)
212、312 ウエイト(可動片部)
214、314 支軸(支点)
217、317 括れ部分(支点)
218、318 可動片部
219、319 接触部
605、609 円筒状被摺動面(被摺動部)
101 家具本体
102 抽斗
400 フック(係合部)

Claims (10)

  1. 可動部分を少なくとも家具本体に対して閉じる際の動作を補助するための開閉補助装置であって、
    前記可動部分を閉じる際に当該可動部分を減速させる閉側ダンパ機構を有し、
    当該閉側ダンパ機構は、前記可動部分の閉動作に連動して回転する回転体と、該回転体が回転したときの遠心力により縮径状態から拡径状態に変位する可動片部と、該可動片部が拡径したときに接触して摩擦力を発生させる被摺動部とを備えていることを特徴とする開閉補助装置。
  2. 請求項1において、前記閉側ダンパ機構では、前記可動片部が前記縮径状態と前記拡径状態とに変位する際の支点からみて、前記可動片部における前記被摺動部との接触位置が当該支点から前記可動片部の重心位置と同一の側にあって、当該支点から前記接触位置までの距離が当該支点から前記重心位置までの距離よりも短いことを特徴とする開閉補助装置。
  3. 請求項2において、前記閉側ダンパ機構では、前記可動部分の閉方向へ移動方向に沿って、前記支点、前記接触位置および前記重心位置がこの順に配置されていることを特徴とする開閉補助装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記可動部分を閉方向の途中位置から閉方向に自動的に駆動する閉駆動装置を備え、
    当該閉駆動装置は、前記家具本体側に形成された係合部と、前記係合部と係合可能な被係合部を備え、前記可動部分に対して開方向および閉方向で相対移動可能な閉側トリガ部材と、該閉側トリガ部材と前記可動部分とを接続し、前記可動部分を前記閉側トリガ部材に対して閉方向に付勢するための閉用バネと、前記可動部分が開方向に移動している途中で前記係合部と前記被係合部との係合を解除して前記閉側トリガ部材と前記可動部分とを開方向に一体移動させるとともに前記閉用バネの変形状態を保持し、前記可動部分が閉方向に移動する途中で前記係合部と前記被係合部とを係合させるとともに前記閉用バネを開放して当該閉用バネの付勢力による前記可動部分の閉方向の移動を開始させる切換機構とを備え、
    前記閉側ダンパ機構は、前記可動部材が前記閉駆動装置によって閉方向に移動する際、当該可動部材を減速させることを特徴とする開閉補助装置。
  5. 請求項4において、前記切換機構では、前記係合部と前記被係合部との係合の解除と前記閉用バネの変形状態の保持とが略同時に行われ、前記係合部と前記被係合部との係合と前記閉用バネの開放とが略同時に行われることを特徴とする開閉補助装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれかにおいて、前記可動部分を開方向に移動させた際、開方向の途中位置から前記可動部材の移動速度を低下させる開側ダンパ機構を有し、
    当該開側ダンパ機構は、前記可動部分の開動作に連動して回転する回転体と、該回転体が回転したときの遠心力により縮径状態から拡径状態に変位する部と、該可動片部が拡径したときに摺動して摩擦力を発生させる被摺動部とを備えていることを特徴とする開閉補助装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに規定する開閉補助装置を備えていることを特徴とする家具。
  8. 請求項7において、前記可動部分は抽斗であることを特徴とする家具。
  9. 請求項8において、前記開閉補助装置は、前記閉用バネとして前記閉側トリガ部材の両側の各々にコイルバネを備え、
    前記開閉補助装置は、前記抽斗の底面側のうち、当該抽斗の幅方向における略中央位置に1つ、配置されていることを特徴とする家具。
  10. 家具本体に対して開閉可能な抽斗を備えた家具において、
    前記抽斗を閉じる際に当該抽斗を減速させるダンパ機構を備えた開閉補助装置が、前記抽斗の底面側のうち、当該抽斗の幅方向における略中央位置に1つ、配置されていることを特徴とする家具。
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