JP2006311792A - 弾性表面波モータ - Google Patents

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Yohei Ishigami
陽平 石上
Minoru Kurosawa
実 黒澤
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Abstract

【課題】エネルギ回収型の弾性表面波モータにおいて、弾性表面波に生じる位相変化を調整してエネルギ効率の向上を図る。
【解決手段】弾性表面波モータ1は、弾性表面波素子基板2と、弾性表面波素子基板2の表面Sの弾性表面波進行方向の前後に配置されてエネルギの回収と供給を行うことによりエネルギの環流を行う一方向性櫛形電極31,32と、弾性表面波素子基板2の表面Sであって一方向性櫛形電極31,32の間に配置され外部電源V1,V2に接続されるエネルギ補填用櫛形電極41,42と、予圧Fが付与された状態で表面S部分に接触、配置されるスライダ5と、を備えている。スライダ5の接触面50の弾性表面波の進行方向と直交する幅方向の全幅aと、各一方向性櫛形電極31,32及びエネルギ補填用櫛形電極41,42における電極重なり幅bとは略等しい寸法とされている。
【選択図】図1

Description

本発明は、弾性表面波モータに関し、特にエネルギ回収型弾性表面波モータに関する。
従来から、弾性体の表面を伝搬するレイリー波(弾性表面波)の楕円振動を利用したリニアモータ形式の弾性表面波モータがあり、このような弾性表面波モータとして、リニアモータの一端から弾性表面波を生成するために供給したエネルギを他端で回収して再利用するエネルギ回収型の弾性表面波モータが知られている(例えば、特許文献1参照)。従来のエネルギ回収型の弾性表面波モータを、図4(a)(b)を参照して説明する。この弾性表面波モータは、ステータとなる弾性表面波素子基板2と弾性表面波素子基板2の表面S上で駆動されて直線移動を行うスライダ5とを備えたリニアモータである。弾性表面波素子基板2の表面Sには、互いに離れて配置された弾性表面波のエネルギを回収すると共に弾性表面波を発生させるエネルギを供給するための一対の一方向性櫛形電極31,32と、この一方向性櫛形電極31,32の間に配置された一対のエネルギ補填用櫛形電極41,42が設けられ、これらにより弾性表面波素子が形成されている。スライダ5は、エネルギ補填用櫛形電極42と一方向性櫛形電極32の間に設けられた走行部21に配置されている。
弾性表面波素子基板2は、厚さ1mm程度の圧電材料(例えば、LiNbO)からなる。その表面S上の一方向性櫛形電極31,32とエネルギ補填用櫛形電極41,42とは、互いに噛み合わせるように薄膜導体をパターニングして形成した電極からなる弾性表面波励振用のいわゆる櫛形電極(IDT:インター・ディジタル・トランスジューサ)である。一対のエネルギ補填用櫛形電極41,42は、弾性表面波の波長をλとし整数をnとしたとき、(1/4+n)×λの距離だけ互いに離れた位置に配置されている。また、各一方向性櫛形電極31,32に反射器(不図示)を付属させて設けることも行われる。スライダ5は、予圧付与手段6によって予圧Fを加えられて弾性表面波素子基板2の表面に押圧されている。この予圧Fはスライダ5を駆動する摩擦力の発生に必要である。
上述の状態で、エネルギ補填用櫛形電極41に外部電源V1からv1=v0・cosωt、エネルギ補填用櫛形電極42に外部電源V2からv2=v0・sinωtの所定の周波数の高周波(MHz帯)電圧を印加すると、櫛形電極41,42によって電気的エネルギが波の機械的エネルギに変換され、表面S上を図の右向きに進む弾性表面波W1が発生する。また、どちらかの電圧入力を反転させることにより左向きの波を励振できる。そこで、例えば右向きの弾性表面波W1が励振されると、弾性表面波W1の楕円振動が摩擦力を介してスライダ5に伝達され、スライダ5が、弾性表面波W1の進行方向とは逆の方向(図の左方)に駆動される。弾性表面波W1は、スライダ5を駆動するためエネルギを消費しつつスライダ5の右側に通過して弾性表面波W2となってさらに右方に進む。
上述の一方向性櫛形電極32は、弾性表面波W2から機械的エネルギを受け取って電気的エネルギとする、いわゆる機械電気変換を行う。電気的エネルギとして回収されたエネルギは、配線7を介して電気接続された一方向性櫛形電極31に送られる。一方向性櫛形電極31は、この電気的エネルギを機械的エネルギとする電気機械変換を行って、弾性表面波W0を生成するため弾性表面波素子基板2上に供給(再放射)する。従って、一方向性櫛形電極31,32を用いてエネルギ還流(エネルギの回収と再放射)を行い、エネルギの消費分をエネルギ補填用櫛形電極41,42を用いて補填するので、一方向性櫛形電極31,32を用いない場合に比べて、より少ないエネルギで波を励振でき、エネルギ効率の向上がなされている。このような構成による弾性表面波モータは、高速、高応答、高推力という優れた動作特性を有する小型リニアモータとして、その応用が期待されている。その特性として、例えば、1m/秒の移動速度が実現されており、また、自重の30倍以上の推力を発生できることが実証されている。
特開平11−146665号公報
しかしながら、上述した図4や特許文献1に示されるような弾性表面波モータにおいては、以下に示すような問題がある。これを図5、図6、図7を参照して説明する。図5は、スライダ5が表面Sに接触している部分の拡大イメージであり、表面Sに発生している弾性表面波の振幅が拡大して示されている。スライダ5が弾性表面波素子基板2の表面Sと接触する部分において、もとの弾性表面波W1に対して位相差ΔXの位相変化を受けた弾性表面波W22が発生し、この波が弾性表面波W1と同位相の弾性表面波W21とともに弾性表面波W2に含まれている。このため、一方向性櫛形電極32に到達した弾性表面波W2は、弾性表面波W2の進行方向に直交する幅方向に沿って位相が異なり、一方向性櫛形電極32において機械的エネルギから電気的エネルギに変換されるときに一部の波が打ち消しあい、エネルギ損失が生じる。弾性表面波W2が弾性表面波W21,W22の混合状態となって表面Sに発生するのは、前出の図4(a)に示すように、櫛形電極31,32,41,42によって形成される弾性表面波の幅gよりもスライダ5の幅fが小さいからである。
上述の弾性表面波W22の存在によるによるエネルギの損失発生をさらに説明する。ここで、図6(a)に示すように、弾性表面波W21,W22に位相変化がないとした場合にそれぞれの波のエネルギE21,E22から回収される波のエネルギをエネルギE2とし、図6(b)に示すように、弾性表面波W21,W22に位相差Δt1(図5における位相差ΔXに対応する)がある場合のそれぞれの波のエネルギE21,E22から回収される波のエネルギをエネルギEαとする。すると、エネルギEαはエネルギE2よりも小さく、また、エネルギEαにはエネルギE2(上述のエネルギ補填用櫛形電極41,42から供給される補填エネルギE0の位相と同相)に対して位相差Δt2が発生している。
また、図7(a)に示すように、エネルギ補填用櫛形電極41,42から供給される補填エネルギE0と一方向性櫛形電極31から供給される環流エネルギE2が同相であるとした場合に、補填エネルギE0と環流エネルギE2とが互いに悪影響を及ぼすことはない。そこで、エネルギ補填用櫛形電極41,42によって生成される弾性表面波と一方向性櫛形電極31によって生成される弾性表面波とが重ね合わされて生成される弾性表面波W1のエネルギをエネルギE1とし、図7(b)に示すように、補填エネルギE0と補填エネルギE0に対して位相差Δt2が存在する環流エネルギEαとによって生成される弾性表面波W1のエネルギをエネルギEβとする。すると、エネルギEβがエネルギE1よりも小さく、また、エネルギEβにはエネルギE1に対して位相差Δt3が発生している。
上述のように、スライダ5が弾性表面波素子基板2の表面Sと接触することにより発生する位相差ΔXに起因して、環流エネルギEαや弾性表面波W1を生成するエネルギEβの低下及び位相差Δt1,Δt2,Δt3によるエネルギ損失や駆動特性の劣化が発生する。また、このような位相差は、スライダ5が表面Sに接触すること以外に、例えば、周囲の温度変化によって弾性表面波素子基板2の特性が変化したり、表面Sに設けられた櫛形電極のパターンが設計値からずれたりすることによっても生じる。このため、従来の弾性表面波モータにおいて、依然として、スライダ5を駆動する際に大きな駆動電力を必要とする。
本発明は、上記課題を解消するものであって、弾性表面波に生じる位相変化を調整してエネルギ効率の向上を実現できるエネルギ回収型の弾性表面波モータを提供することを目的とする。
上記課題を達成するために、請求項1の発明は、弾性表面波素子基板と、前記弾性表面波素子基板表面の弾性表面波進行方向の前後に配置されて電気的エネルギと機械的エネルギの電気機械変換を行ってエネルギの回収と供給を行うことによりエネルギの環流を行う一方向性櫛形電極と、前記弾性表面波素子基板表面であって前記一方向性櫛形電極の間に配置され外部電源に接続されるエネルギ補填用櫛形電極と、予圧が付与された状態で前記弾性表面波素子基板の表面部分に接触、配置されるスライダと、を備え、前記弾性表面波素子基板に発生した弾性表面波と前記スライダに対する予圧とに基づいて前記弾性表面波素子基板と接触しているスライダの接触面に発生する摩擦力によりスライダを駆動する弾性表面波モータであって、前記弾性表面波に生じる位相変化を調整する位相調整手段を備えるものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載の弾性表面波モータにおいて、前記位相調整手段は、前記一方向性櫛形電極及びエネルギ補填用櫛形電極を構成する櫛形電極のいずれかにより挟まれて前記弾性表面波素子基板の表面部分に設定された走行部により構成されており、前記走行部を挟む櫛形電極間の距離である走行部の長さを、当該走行部に前記スライダを配置しない状態で当該走行部に共振状態の弾性表面波を発生する電極間の距離に、当該走行部に前記スライダを配置することにより弾性表面波に生じる位相変化分に相当する距離を加えた長さとしたものである。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の弾性表面波モータにおいて、前記スライダの前記走行部と接触する部分の、弾性表面波の進行方向と直交する方向の幅は、前記櫛形電極における電極重なり幅と略等しいものである。
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の弾性表面波モータにおいて、前記スライダは、当該スライダの前記走行部と接触する部分に、弾性表面波の進行方向と直交する方向に一様に分布した接触突起を持つものである。
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の弾性表面波モータにおいて、前記位相調整手段は、機械的エネルギから電気的エネルギに変換する一方向性櫛形電極と電気的エネルギから機械的エネルギに変換する一方向性櫛形電極との間に設けられ、電気的エネルギの位相調整を行う電気回路であるものである。
請求項1の発明によれば、位相調整手段によって弾性表面波の位相変化を調整するので、従来損失となっていたエネルギを回収でき、また、供給するエネルギの位相に対して環流するエネルギの位相を同じくできるので、弾性表面波を生成するときに干渉によるエネルギ損失を抑制でき、エネルギ効率を向上できる。
請求項2の発明によれば、スライダの配置によって弾性表面波に生じる位相変化分に相当する距離を予め走行部の長さに加えることにより位相調整手段を構成するので、弾性表面波組織板の表面に配置する櫛形電極のパターン設計によって容易にエネルギ効率の向上を実現できる。
請求項3の発明によれば、櫛形電極によって生成される弾性表面波の幅とスライダの弾性表面波素子基板への接触部分の幅とを略等しくできるので、一方向櫛形電極に到達する弾性表面波は同一位相の弾性表面波となって効率良くエネルギ回収ができる。
請求項4の発明によれば、スライダが走行部と接触する部分が、弾性表面波の進行方向と直交する幅方向の全幅にわたり一様な構造とされているので、スライダの幅方向において生じる位相変化は略等しくなって効率良くエネルギ回収ができる。
請求項5の発明によれば、電気回路により電気的エネルギの状態で位相調整を行うので、適宜の位相調整が容易であり、スライダの寸法変更への対応や、機械的な位相調整に対する微調整への対応が容易である。
以下、本発明の一実施形態に係るエネルギ回収型の弾性表面波モータについて、図面を参照して説明する。図1(a)(b)は弾性表面波モータ1を示し、図2(a)(b)はスライダ5の詳細構造を示す。弾性表面波モータ1のリニアモータとしての基本的な構成は、従来例と同様であり、図1(a)(b)に示すように、弾性表面波素子基板2と、弾性表面波素子基板2の表面Sの弾性表面波進行方向(図の左右方向)の前後に配置されて電気的エネルギと機械的エネルギの電気機械変換を行ってエネルギの回収と供給を行うことによりエネルギの環流を行う一方向性櫛形電極31,32と、弾性表面波素子基板2の表面Sであって一方向性櫛形電極31,32の間に配置され外部電源V1,V2に接続されるエネルギ補填用櫛形電極41,42と、予圧付与手段6によって予圧Fが付与された状態で弾性表面波素子基板2の表面S部分に接触、配置されるスライダ5と、を備えている。なお、各一方向性櫛形電極31,32に反射器を付属させて設けてもよい。
上述のスライダ5の弾性表面波素子基板2の表面Sとの接触面50の弾性表面波の進行方向と直交する幅方向の全幅aと、各一方向性櫛形電極31,32、及びエネルギ補填用櫛形電極41,42における弾性表面波を有効に生成する部分、又はエネルギを回収する部分である電極が重なった電極重なり幅bと、は略等しい寸法とされている。
また、スライダ5が配置され駆動されて走行する走行部21が、一方向性櫛形電極32とエネルギ補填用櫛形電極42とにより挟まれた弾性表面波素子基板2の表面部分として設定されている。この走行部21を挟む櫛形電極間の距離である走行部長dは、走行部21にスライダ5を配置しない状態で走行部21に共振状態の弾性表面波を発生する電極間の距離をd0とし、走行部21にスライダ5を配置することにより共振状態の弾性表面波に生じる位相変化分に相当する距離である位相差ΔX(図5参照)を加えた長さ、すなわちd=d0+ΔX、とされている。ここで、ΔXは、その正負の符号を考慮してd0に加えられる。
また、スライダ5の弾性表面波素子基板2の表面Sとの接触面50、すなわち表面Sに対向している面には、図2(a)(b)に示すように、スライダ5の接触面50の全幅aにわたって一様に分布すると共に、所定の間隔で配置された接触突起51が設けられている。接触突起51の先端部分の接触突起面52が、スライダ5の接触面50の中で実質的に弾性表面波素子基板2の表面Sに接触する部分であり、駆動力となる摩擦力が発生する部分である。
次に、弾性表面波モータ1の動作を説明する。上述の状態で、エネルギ補填用櫛形電極41,42に、例えば、それぞれ外部電源V1,V2からv1=v0・cosωt、v2=v0・sinωtの所定の周波数の高周波(MHz帯)電圧を印加すると、櫛形電極41,42によって、表面S上を図の右向きの進行波である弾性表面波W1が発生する。右向きの弾性表面波W1が励振されると、スライダ5が図の左方に向けて駆動される。この状態において、スライダ5の駆動に一部のエネルギを消費した弾性表面波W1は、弾性表面波W2となってスライダ5の右方に進む。
また、どちらかの外部電源V1,V2の電圧入力を反転させることにより左向きの進行波を励振できる。この場合、一方向性櫛形電極31が、弾性表面波から機械的エネルギを受け取って電気的エネルギとして回収し、一方向性櫛形電極32は、配線7を介して受け取った電気的エネルギを機械的エネルギとして弾性表面波素子基板2上に再放射する。この状態では、スライダ5は右方に進む。
ここで、図1(a)(b)の場合に戻ると、一方向性櫛形電極32は、弾性表面波W2から機械的エネルギを受け取って電気的エネルギとして回収し、そのエネルギを、配線7を介して電気接続された一方向性櫛形電極31に送る。一方向性櫛形電極31は、受け取った電気的エネルギを弾性表面波W0を生成するためのエネルギとして弾性表面波素子基板2上に供給(再放射)する。すなわち、一方向性櫛形電極31,32によりエネルギ還流を行い、エネルギの消費分がエネルギ補填用櫛形電極41,42から補填される。
このように、一対の一方向性櫛形電極31,32は、弾性表面波素子基板2の表面と配線7とともに、閉回路を形成して、エネルギの環流を行う。ここで、一方向性櫛形電極31,32間のインピーダンス整合について述べる。一対の一方向性櫛形電極31,32は、通常同一形状に形成されており、その対称性、及び相対性から、抵抗成分のインピーダンス整合は自然に満足されている。そこで、一方向性櫛形電極31,32の、それぞれの制動容量を打ち消すためのインダクタンスLを一方向性櫛形電極31,32と並列に挿入することにより、インピーダンス整合が実現される(詳細は、特許文献1参照)。
上述の、スライダ5の接触面50の全幅aが電極重なり幅bと略等しく、接触面50に設けられた接触突起51が接触面50の全幅aにわたって一様に分布しており、さらに、スライダ5の走行部21の走行部長dが、d=d0+ΔXであるというこれらの構成要件は、全て位相調整手段を構成し、スライダ5の弾性表面波素子基板2への接触により生じる弾性表面波の位相変化を調整する。
すなわち、通常、櫛形電極の電極重なり幅bと略同一の幅の弾性表面波が生成されるので、弾性表面波の幅とスライダ5の弾性表面波素子基板2への接触部分の全幅aとを略等しくでき、一方向櫛形電極31又は32に到達する弾性表面波は(図5における弾性表面波W21がない)同一位相の弾性表面波となり、効率良くエネルギ回収ができ、エネルギ効率の向上を実現できる。
また、スライダ5が走行部21と接触する部分が、弾性表面波の進行方向と直交する幅方向の全幅aにわたり一様な構造とされているので、スライダ5の幅方向において生じる位相変化は略等しくなり、一方向櫛形電極31又は32によって効率良くエネルギ回収ができ、エネルギ効率の向上を実現できる。
また、スライダ5を表面Sに接触して配置することによって弾性表面波に生じる位相変化分に相当する距離を、予め走行部長dに加えることにより位相を調整して、位相差のない状態で機械的エネルギを回収すると共に、位相差のない電気エネルギとして、環流して再放射することができる。従って、弾性表面波モータ1において、エネルギ損失の少ない効率的な動作を実現して、エネルギ効率の向上を実現できる。
次に、図3により、他の実施形態に係る弾性表面波モータ1を説明する。この弾性表面波モータ1は、機械的エネルギから電気的エネルギに変換する一方向性櫛形電極32又は31と電気的エネルギから機械的エネルギに変換する一方向性櫛形電極31又は32との間に設けられ、電気的エネルギの位相調整を行う電気回路である位相調整回路8を位相調整手段として備えている。他の構造は、上述のいずれかと同様であり説明は省略する。位相調整回路8は、一方向性櫛形電極31,32を接続する配線7に挿入された4端子回路であり、例えば、抵抗、コンデンサ、インダクタ等の素子を、直列乃至並列に接続して構成されている。このような位相調整回路8によれば、エネルギ効率の向上を実現できると共に、電気回路により電気的エネルギの状態で位相調整を行うので、適宜の位相調整が容易であり、スライダ5の寸法変更への対応や、機械的な位相調整に対する微調整への対応が容易である。従って、このような位相調整回路8による位相調整手段は、周囲の温度変化によって弾性表面波素子基板2の特性が変化したり、表面Sに設けられた櫛形電極のパターンが設計値からずれたりして生じる位相差に対して、容易に位相調整をすることができる。なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。
(a)は本発明の一実施形態に係る弾性表面波モータの平面図、(b)は同弾性表面波モータの断面図。 (a)は同上弾性表面波モータにおけるスライダの弾性表面波素子との接触部分とその拡大部分の断面図、(b)は同スライダの接触面の平面図。 本発明の他の実施形態に係る弾性表面波モータの平面図。 (a)は従来の弾性表面波モータの平面図、(b)は同弾性表面波モータの断面図。 従来の弾性表面波モータにおけるスライダと弾性表面波の関係を示す模式的斜視図。 (a)は同位相の2つの弾性表面波のエネルギの時間変化、及び前記2つの弾性表面波を合成した波のエネルギの時間変化をそれぞれ示す図、(b)は位相差のある2つの弾性表面波のエネルギの時間変化、及び前記2つの弾性表面波を合成した波のエネルギの時間変化をそれぞれ示す図。 (a)は2つの位相の揃ったエネルギ源から供給される弾性表面波生成用のエネルギの時間変化、及び前記2つのエネルギにより生成された弾性表面波のエネルギの時間変化をそれぞれ示す図、(b)は位相差のある2つの弾性表面波のエネルギの時間変化、及び前記2つのエネルギにより生成された弾性表面波のエネルギの時間変化をそれぞれ示す図。
符号の説明
1 弾性表面波モータ
2 弾性表面波素子基板
5 スライダ
8 位相調整回路
21 走行部
31,32 一方向性櫛形電極
41,42 エネルギ補填用櫛形電極
50 接触面
51 接触突起
a 幅(電極重なり幅)
b 幅(スライダの接触部分の幅)
d 走行部長
F 予圧
S 表面
V1,V2 外部電源
W1,W2 弾性表面波
λ 波長
ΔX 位相差

Claims (5)

  1. 弾性表面波素子基板と、
    前記弾性表面波素子基板表面の弾性表面波進行方向の前後に配置されて電気的エネルギと機械的エネルギの電気機械変換を行ってエネルギの回収と供給を行うことによりエネルギの環流を行う一方向性櫛形電極と、
    前記弾性表面波素子基板表面であって前記一方向性櫛形電極の間に配置され外部電源に接続されるエネルギ補填用櫛形電極と、
    予圧が付与された状態で前記弾性表面波素子基板の表面部分に接触、配置されるスライダと、を備え、
    前記弾性表面波素子基板に発生した弾性表面波と前記スライダに対する予圧とに基づいて前記弾性表面波素子基板と接触しているスライダの接触面に発生する摩擦力によりスライダを駆動する弾性表面波モータであって、
    前記弾性表面波に生じる位相変化を調整する位相調整手段を備えることを特徴とする弾性表面波モータ。
  2. 前記位相調整手段は、前記一方向性櫛形電極及びエネルギ補填用櫛形電極を構成する櫛形電極のいずれかにより挟まれて前記弾性表面波素子基板の表面部分に設定された走行部により構成されており、前記走行部を挟む櫛形電極間の距離である走行部の長さを、当該走行部に前記スライダを配置しない状態で当該走行部に共振状態の弾性表面波を発生する電極間の距離に、当該走行部に前記スライダを配置することにより弾性表面波に生じる位相変化分に相当する距離を加えた長さとしたことを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波モータ。
  3. 前記スライダの前記走行部と接触する部分の、弾性表面波の進行方向と直交する方向の幅は、前記櫛形電極における電極重なり幅と略等しいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の弾性表面波モータ。
  4. 前記スライダは、当該スライダの前記走行部と接触する部分に、弾性表面波の進行方向と直交する方向に一様に分布した接触突起を持つことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の弾性表面波モータ。
  5. 前記位相調整手段は、機械的エネルギから電気的エネルギに変換する一方向性櫛形電極と電気的エネルギから機械的エネルギに変換する一方向性櫛形電極との間に設けられ、電気的エネルギの位相調整を行う電気回路であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の弾性表面波モータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021039358A1 (ja) * 2019-08-23 2021-03-04 ソニー株式会社 駆動装置、駆動方法、および電子機器

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