JP2006311101A - 超指向性音響装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電気から音への変換効率を向上させた超指向性音響装置を提供する。
【解決手段】 可聴音源からのオーディオ信号を少なくとも可聴帯域より高い周波数帯域の信号にパルス幅変調すると共に、可聴音源からのオーディオ信号レベルを包絡線処理した値に応じて搬送波レベル及び変調信号のゲインを設定する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、可聴音を指向性放射する超指向性音響装置に関するものである。
超指向性音響装置としては、例えば特許文献1に開示されるものがある。このスピーカ装置は、係数器、直流源加算器、平方根変換器、掛け算器、パワーアンプ及び超音波振動子アレイ(以下、放射器と称す)から構成される。簡単に動作を説明すると、変調信号源などで生成された音声信号は、装置内の係数器に入力される。係数器では、音声信号の値を所定の係数倍したあと、直流源加算器に出力する。
直流源加算器では、係数器からの音声信号電圧に対して直流源からのバイアス電圧を加えて平方根変換器に出力する。平方根変換器は、直流源加算器からの入力信号に対して平方根処理を実行し、処理結果を掛け算器に出力する。この掛け算器には、平方根変換器からの入力信号の他に、超音波帯域発振器からの超音波の搬送波信号が入力されている。
これにより、掛け算器は、平方根変換器からの入力信号に超音波の搬送波信号を掛け算して上記入力信号の振幅変調処理を実行する。このあと、掛け算器からの変調信号は、パワーアンプに出力される。パワーアンプでは、掛け算器からの変調信号の電力を増幅して放射器に供給する。これによって、放射器は、音声信号に由来する変調信号を音波として放射する。この音波は、強力超音波である有限振幅音波として空気中を伝搬する過程で非線形相互作用を起こし、低周波数成分などからなる超指向性音声に自己復調して聴取者に対して聴取可能となる。
このような従来の装置では、容量性素子を駆動するにあたり、容量性素子の負荷をキャリア周波数に共振させると、最も効率よく駆動させることができる。しかしながら、パワーアンプにリニアアンプ方式を一般的に採用していたため、容量性素子を駆動させるには効率が良くないという不具合があった。
上述した不具合を解消するものとして、本発明の発明者は、容量性素子である放射器の負荷をキャリア周波数に共振させることで駆動効率を向上させることができ、さらにオペアンプを用いて構成することができるパルス幅変調器を備えた超指向性音響装置を提案している。簡単に説明すると、この装置は、可聴音源、直流源、のこぎり波生成用の超音波帯域発振器、レベル比較器、信号制御器、増幅器及び放射器から構成される。
その動作としては、先ず可聴音源で生成されたオーディオ信号は、直流源のバイアスにより上方シフトされる。これにより上方シフトされた信号は、レベル比較器によってのこぎり波生成用の超音波帯域発振器が発振するのこぎり波と電圧レベル比較される。この電圧レベル比較処理によりパルス幅変調が行われ、パルス変調信号(PWM信号)が得られる。
続いて、レベル比較器の出力は、信号制御器によりPWM信号の任意のサイクル毎に極性反転処理がなされる。増幅器は、前述の極性反転処理がなされた信号に合わせてスイッチングを行い、圧電素子の超音波振動子から構成されて容量性を有する放射器と共振させて増幅する。これにより、当該信号は放射器から音波として放射される。この音波は、強力音波である120dB以上の有限振幅音波として空気中を伝搬する過程で超指向性を持った音に自己復調されて特定の聴取者に対して聴取可能となる。
特公平4―58758号公報
従来の超指向性音響装置では、変調方式にパルス変調を採用しているので、小レベルのオーディオ信号が入力された場合、変調率が低下するという課題があった。このため、超音波振動子から空気へ放射して自己生成される復調音は、所望の音圧レベルを得ることができない。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、オーディオ信号レベルに合わせて搬送波レベルを制御し、同時に変調波レベルも制御することで、電気から音への変換効率を向上させた超指向性音響装置を得ることを目的とする。
この発明に係る超指向性音響装置は、可聴音源からのオーディオ信号を少なくとも可聴帯域より高い周波数帯域の信号にパルス幅変調する変調処理部と、変調処理部が変調したパルス幅変調信号により駆動する超音波振動素子を有してなり、オーディオ信号に応じた超指向性音波を出力する信号出力部とを備える。また、変調処理部が、可聴音源からのオーディオ信号レベルを包絡線処理した値を求める包絡線処理部と、包絡線処理部が求めた値に応じて搬送波レベルを設定する搬送波レベル設定処理部と、包絡線処理部が求めた値に応じて変調信号のゲインを設定するゲイン設定処理部とを備える。
この発明によれば、可聴音源からのオーディオ信号を少なくとも可聴帯域より高い周波数帯域の信号にパルス幅変調する変調処理部と、変調処理部が変調したパルス幅変調信号により駆動する超音波振動素子を有してなり、オーディオ信号に応じた超指向性音波を出力する信号出力部とを備え、変調処理部が、可聴音源からのオーディオ信号レベルを包絡線処理した値を求める包絡線処理部と、包絡線処理部が求めた値に応じて搬送波レベルを設定する搬送波レベル設定処理部と、包絡線処理部が求めた値に応じて変調信号のゲインを設定するゲイン設定処理部とを備える。これにより、変調度を可変とすることができ、電気から音への変換効率を向上させることができ、装置自体の大型化を抑制することができる上、オーディオ信号に対応した聴取しやすい音を提供することができるという効果がある。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による超指向性音響装置の構成を概略的に示すブロック図である。本実施の形態による超指向性音響装置は、可聴音源1、包絡線器(包絡線処理部)2、係数器3、加算器4、レベル比較器(変調処理部)5、乗算器(搬送波レベル設定処理部)6、のこぎり波生成用の超音波帯域発振器7、乗算器8、ゲイン可変器(ゲイン設定処理部)9、信号制御器(信号出力部)10、パルス幅変調増幅器(信号出力部)11及び放射器(信号出力部)12から構成される。可聴音源1は、オーディオ信号であるオーディオ信号を出力する。包絡線器2は、可聴音源1からのオーディオ信号を入力して包絡線処理を施し、そのレベルに応じた直流シフトをさせるための包絡線レベルを求めて出力する。また、係数器3は、可聴音源1からのオーディオ信号を入力してこれをm倍する。加算器4は、包絡線器2と係数器3との出力を加算する。
乗算器6では、包絡線器2からの包絡線レベルを入力し、さらに超音波帯域発振器7が発生する少なくとも可聴帯域のオーディオ信号より高い一定周波数を有するのこぎり波の搬送波を入力して、これらを乗算する。レベル比較器5は、乗算器6から出力される前記乗算された搬送波と加算器4から出力されるオーディオ信号とを電圧比較してパルス幅変調信号を生成する。ゲイン可変器9では、包絡線器2からの包絡線レベルを入力し、このレベルを基に前記変調信号のレベルを可変する。具体的には、乗算器8が、ゲイン可変器9で決定したレベルをレベル比較器5から出力される変調信号に乗算することにより、所望のレベルに調整される。
信号制御器10は、乗算器8及びゲイン可変器9を介してレベル調整されたパルス幅変調信号(PWM信号)の任意のサイクル毎に極性反転処理を実行する。パルス幅変調増幅器11は、前述の極性反転処理がなされた信号に合わせてスイッチングを行い、圧電素子の超音波振動子から構成されて容量性を有する放射器12と共振させて増幅する。これにより、当該信号は放射器12から音波として放射される。ここで、可聴音源1から出力されるオーディオ信号レベルにより包絡線器2の包絡線レベルを、0<包絡線レベル≦1に設定する。通常、包絡線レベルが1の時、変調率100%とする。これは、オーディオ信号レベルが小さいと包絡線レベルが小さくなることを示している。
次に、本実施の形態1の超指向性音響装置によるレベル制御処理について説明する。
図2は、レベル制御例を説明する図であり、(a)は上述した従来のパルス幅変調を施す超指向性音響装置による制御例を示し、(b)は本実施の形態1の超指向性音響装置による制御例を示している。図2(a)に示す従来例では、のこぎり波信号レベルが固定であるが、図2(b)に示す本実施の形態1では、オーディオ信号レベルに合わせてのこぎり波信号レベルを小さくしている。これにより、図2(a)に示す従来例のPWM信号のパルス幅と比較して図2(b)に示すPWM信号のパルス幅の方が大小が明確になっていることがわかる。これは、オーディオ信号レベルによらず、忠実にパルス幅変調することができていることを示しており、変調率が向上されている。
このような変調波ゲインの調整処理は、包絡線器2からの包絡線レベルを基にゲイン可変器9によって実行される。ゲイン可変器9では、例えばXという任意の値を設定できるようにしておき、包絡線器2から出力される包絡線レベルを、1/(X+包絡線レベル)という関係式に代入する。これにより、小さいオーディオ信号レベルのときは、変調信号のゲインを上げることができる。例えば、オーディオ信号の包絡線レベルが0.3である場合、Xの値を0.7に近づける。この値とレベル比較器5から出力されるPWM信号とを乗算器8で乗算することにより、小さいオーディオ信号レベルの変調信号レベルを上げることが可能となる。
図3は、図1中の信号制御器周辺部の構成例を示す図であり、図1中に破線で囲った部分の具体的な構成例を示している。パルス幅変調増幅器11は、ゲートドライバ13、スイッチS1〜S4を構成するMOSFET14、及び、放射器12に接続した2つのコイルL1,L2から構成される。放射器12は、以降LOADとも称する。また、以降では、放射器12として容量性を有する超音波振動子で構成した例を示している。なお、図1と同一構成要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
ゲートドライバ13は、信号制御器10から入力したパルス幅変調信号である、スイッチング信号を4つのMOSFET14のゲートにそれぞれ印加して、これらMOSFET14からなるスイッチS1〜S4のオン、オフを制御する。
4つのMOSFET14の接続としては、2つのMOSFET14を直列に接続したユニットを並列に接続し、各ユニットの一端に電圧VDCで表した可変電源電圧15が接続され、他端にグランド(GND)が接続する。各ユニットの直列接続するMOSFET14は、コイルL1,L2を介して放射器12に接続する。
パルス幅変調増幅器11は、信号制御器10から入力するパルス幅変調信号である、スイッチング信号によってスイッチS1〜S4をオン、オフする。このスイッチングに合わせてLOAD12及びコイルL1,L2からなる系が共振及び増幅を実行し、LOAD12に供給されるパルス波形をなめらかにすることができる。なお、コイルL1,L2は、理論上1つでもあってもよい。また、LOAD12の高周波成分を抑止するフィルタとしての機能も有する。
次に動作について説明する。
図4は、実施の形態1による超指向性音響装置の動作を示すタイミングチャートであり、この図に沿って説明する。図において、Vcarrierは、超音波帯域発振器7からの超音波周波数帯の搬送波信号の出力電圧波形を示している。この出力波形の周期Aは、レベル比較器5で出力されるパルス幅変調信号の周波数となる。ここでは、搬送波周波数を40kHzとしたときの2倍の周波数である80kHzとする。Vpwmは、パルス幅変調された信号の電圧信号波形であり、可聴音源1からのオーディオ信号の電圧レベルと超音波帯域発振器7からの搬送波信号Vcarrierの電圧レベルとを比較することによりに得られる。
なお、Vpwmの電圧波形における破線部分は、可聴音源1からのオーディオ信号の電圧レベルが搬送波信号より高い期間が実線部分より長いときの波形を示している。つまり、実線部分でのパルスの立ち上がりエッジが矢印で示す破線部分に位置し、パルス幅が広くなっている。また、実線部分での逆方向矢印は、変調信号源1からのオーディオ信号の電圧レベルが搬送波信号より高い期間が実線部分より短いときの波形を示している。
1(S1)、V2(S2)、V3(S3)、V4(S4)は、スイッチS1〜S4を構成する各MOSFET14のゲートに入力される信号の電圧波形である。VL(L1,L2)は、電源電圧15によってコイルL1,L2にかかる電圧波形である。このVL(L1,L2)の電圧波形における破線部分は、Vpwmの電圧波形のパルス幅が破線部分の状態であるときのVL(L1,L2)の電圧波形を示している。この場合、実線部分でのパルスのエッジが矢印で示す破線部分に位置する。また、実線部分での逆方向矢印は、変調信号源1からのオーディオ信号の電圧レベルが搬送波信号より高い期間が実線部分より短いときの波形を示している。
LOADはLOAD12にかかる電圧波形であり、実線部分の曲線はVL(L1,L2)の電圧波形が実線部分のときの波形を表し、破線部分の曲線はVL(L1,L2)の電圧波形が破線部分のときの波形を表している。つまり、VLOADの破線部分の曲線は、Vpwmの電圧波形パルス幅が実線部分より広い場合に対応する。また、Vpwmの電圧波形パルス幅が実線部分より短い場合は、VLOADの実線波形より振幅が下がるものとする。この電圧波VLOADは、コイルL1,L2と放射器12とでフィルタリングすることにより生成される。
信号制御器10は、レベル比較器5から乗算器8を介して図4に示すようなパルス幅変調信号を入力すると、その2サイクルに1回は必ず極性反転を持つスイッチング信号を生成する。図4の例では、Vpwmの実線部分の電圧波形に基づいて、その2サイクルに1回は必ず極性反転を持つV1(S1)、V2(S2)、V3(S3)、V4(S4)の電圧波形を有する4モードのスイッチング信号が生成される。
これらスイッチング信号は、信号制御器10からゲートドライバ13に出力される。ゲートドライバ13では、スイッチング信号をそれぞれ対応するスイッチS1〜S4のゲートに入力する。
このとき、上述した4モードのスイッチングがなされることにより、1サイクルが搬送波信号の周期Aの2倍のVL(L1,L2)がコイルL1,L2に印加される。これにより、LOAD12が充放電し、結果的にLOAD12には、図4中のVLOADに示すような滑らかな波形の電圧が供給されることになる。4モードのスイッチングは、具体的には下記の(1)〜(4)で構成される。
(1)スイッチS1,S4に印加するV1(S1),V4(S4)がともにオン状態(Hレベル)である場合、電源電圧15からスイッチS1、コイルL1、LOAD12、コイルL2、スイッチS4を経由してグランド(GND)が接続される。これにより、LOAD12に電源電圧15(以下、VDCと称する)が印加され、電荷が充電される。
(2)(1)に続いて、スイッチS2,S4に印加するV2(S2),V4(S4)をともにオン状態(Hレベル)にする。このとき、LOAD12は、スイッチS2,S4を経由して短絡される。これにより、LOAD12に充電された電荷は放電される。
(3)(2)に続いて、スイッチS2,S3に印加するV2(S2),V3(S3)をともにオン状態(Hレベル)にする。このとき、電源電圧15からスイッチS3、コイルL2、LOAD12、コイルL1、スイッチS2を経由してグランド(GND)が接続される。これにより、LOAD12にVDCが印加され、電荷が充電される。
(4)(3)に続いて、スイッチS2,S4に印加するV2(S2),V4(S4)をともにオン状態(Hレベル)にする。このとき、LOAD12は、スイッチS2,S4を経由して短絡される。これにより、LOAD12に充電された電荷は放電される。
このようにして得られるVLOADは、図4に示すようにパルス幅変調信号Vpwmのパルス幅に応じた曲線となり、例えば図4中の破線の曲線と実線の曲線との間では振幅差Bが生じる。この電圧波形VLOADにおける振幅差Bは、電圧波形VPWMのパルス幅に比例して増減する。つまり、オーディオ信号の電圧レベルに応じた振幅の電圧がLOAD12に印加され、オーディオ信号の電圧レベルに応じた強度の音響信号となって出力することになる。この出力電圧は、可変電源電圧15の値を変えることによって調節可能である。
以上のように、この実施の形態1によれば、可聴音源からのオーディオ信号を少なくとも可聴帯域より高い周波数帯域の信号にパルス幅変調すると共に、可聴音源からのオーディオ信号レベルを包絡線処理した値に応じて搬送波レベル及び変調信号のゲインを設定するので、電気から音への変換効率を向上させることができ、装置の大型化を抑制し、オーディオ信号に対応した聴取しやすい音を提供することができる。
この発明の実施の形態1による超指向性音響装置の構成を概略的に示すブロック図である。 レベル制御例を説明する図である。 図1中の破線部の構成例を示す図である。 実施の形態1による超指向性音響装置の動作を示すタイミングチャートである。
符号の説明
1 可聴音源、2 包絡線器(包絡線処理部)、3 係数器、4 加算器、5 レベル比較器(変調処理部)、6 乗算器(搬送波レベル設定処理部)、7 のこぎり波生成用超音波帯域発振器、8 乗算器、9 ゲイン可変器(ゲイン設定処理部)、10 信号制御器(信号出力部)、11 パルス幅変調増幅器(信号出力部)、12 放射器(信号出力部)、13 ゲートドライバ、14 MOSFET、15 電源電圧。

Claims (2)

  1. 可聴音源からのオーディオ信号を少なくとも可聴帯域より高い周波数帯域の信号にパルス幅変調する変調処理部と、
    前記変調処理部が変調したパルス幅変調信号により駆動する超音波振動素子を有してなり、前記オーディオ信号に応じた超指向性音波を出力する信号出力部とを備えた超指向性音響装置。
  2. 変調処理部は、可聴音源からのオーディオ信号レベルを包絡線処理した値を求める包絡線処理部と、前記包絡線処理部が求めた値に応じて搬送波レベルを設定する搬送波レベル設定処理部と、前記包絡線処理部が求めた値に応じて変調信号のゲインを設定するゲイン設定処理部とを備えることを特徴とする請求項1記載の超指向性音響装置。
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