JP2006308395A - 高速炉および高速炉施設の建設方法 - Google Patents

高速炉および高速炉施設の建設方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006308395A
JP2006308395A JP2005130397A JP2005130397A JP2006308395A JP 2006308395 A JP2006308395 A JP 2006308395A JP 2005130397 A JP2005130397 A JP 2005130397A JP 2005130397 A JP2005130397 A JP 2005130397A JP 2006308395 A JP2006308395 A JP 2006308395A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reactor
fuel
coolant
fuel element
fast reactor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005130397A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4746911B2 (ja
Inventor
Tetsuo Matsumura
哲夫 松村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Central Research Institute of Electric Power Industry
Original Assignee
Central Research Institute of Electric Power Industry
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Central Research Institute of Electric Power Industry filed Critical Central Research Institute of Electric Power Industry
Priority to JP2005130397A priority Critical patent/JP4746911B2/ja
Publication of JP2006308395A publication Critical patent/JP2006308395A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4746911B2 publication Critical patent/JP4746911B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

Landscapes

  • Structure Of Emergency Protection For Nuclear Reactors (AREA)

Abstract

【課題】受動的な安全性を向上させる。冷却性能を向上させる。
【解決手段】金属燃料2を有する複数の燃料要素3と、燃料要素3を冷却する液体金属冷却材(ただし、液体ナトリウムを除く)4とを収容する原子炉容器5をプール6内に設置した高速炉1である。燃料要素3は、内部が密閉された燃料要素容器9と、燃料要素容器9内を上下方向に貫通する冷却管10とを備えると共に、運転時には金属燃料2は燃料要素容器9の内側面及び冷却管10の外周面に接触しており、液体金属冷却材4によって燃料要素容器9の外側面と冷却管10の内周面を冷却するようにしている。
【選択図】図1

Description

本発明は、受動的安全性を有する高速炉と、その高速炉を備えた高速炉施設の建設方法に関する。
高速炉にはより高いレベルの安全性が求められており、動的な機器を用いることなく外乱による影響を収束させる受動的な安全性が研究されている。例えば、特開平9−72980号公報に開示されている高速炉では、冷却材流量喪失等の異常が発生した場合、冷却材の流出によりガス空間の体積を膨張させて炉心からの中性子ストリーミングを促し、炉内に負の反応度を挿入するようにしている。
また、もんじゅ等の高速炉では、ペレット状に成形した燃料を燃料被覆管に充填・密封して燃料要素とし、多数の燃料要素をラッパ管に挿入して燃料集合体を構成している。ラッパ管の下部にはエントランスノズルが設けられており、冷却材である液体ナトリウムはエントランスノズルのオリフィス孔よりラッパ管内に流入し、各燃料要素の間を流れながら除熱を行い上方に流出する。つまり、各燃料要素の外側を液体ナトリウムで冷却している。
特開平9−72980号
しかしながら、高速炉の安全性には原理・思想の異なる手段を多重に設けることが肝要であり、受動的な安全性についてさらなる技術開発が要請されている。
また、もんじゅ等の高速炉ではペレット状の燃料を使用し、燃料要素の外側を液体ナトリウムによって冷却する構成であるが、この構成が全ての高速炉について最適であるとは限らず、燃料要素の外側に加えて内側も冷却した方が良い場合もある。
さらに、これらの高速炉を実用化する為には、高速炉施設を経済的に建設する必要がある。
本発明は受動的な安全性に優れた高速炉を提供することを目的とする。また、本発明は冷却性能に優れた高速炉を提供することを目的とする。さらに、本発明は経済性に優れた高速炉施設の建設方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、請求項1記載の高速炉は、金属燃料を有する複数の燃料要素と、燃料要素を冷却する液体金属冷却材(ただし、液体ナトリウムを除く)とを収容する原子炉容器をプール内に設置したものである。
したがって、炉心を構成する金属燃料は一次冷却材としての液体金属冷却材によって冷却される。液体金属冷却材の熱は、例えば二次冷却材へと伝えられ除去される。何らかの原因によって液体金属冷却材の熱を二次冷却材によって除去することができなくなると、液体金属冷却材が高温になり原子炉容器の温度が上昇するが、プールに蓄えられている水によって原子炉容器を冷却することができる。また、たとえ液体金属冷却材(液体ナトリウムを除く)がプール内の水と接触したとしても激しく反応することはない。
また、請求項2記載の高速炉は、燃料要素は、内部が密閉された燃料要素容器と、燃料要素容器内を上下方向に貫通する冷却管とを備えると共に、少なくとも運転時には金属燃料は燃料要素容器の内側面及び冷却管の外周面に接触しており、液体金属冷却材によって燃料要素容器の外側面と冷却管の内周面を冷却するものである。したがって、金属燃料で生じた熱は燃料要素容器と冷却管に伝えられ、燃料要素容器の外側と冷却管内を流れる液体金属冷却材によって除去される。
また、請求項3記載の高速炉は、液体金属冷却材を冷却管内に強制的に循環させる冷却材駆動機構を燃料要素毎に設けたものである。したがって、原子炉容器内の液体金属冷却材は自然対流によって循環することに加えて、冷却材駆動機構が発生させる駆動力によっても循環される。冷却材駆動機構は燃料要素毎に設けられているので、燃料要素毎に液体金属冷却材の流量を調節することができる。
また、請求項4記載の高速炉は、プール内が加圧されている。したがって、仮に原子炉容器に亀裂等が生じたとしても液体金属冷却材の漏洩防止を図ることができる。
さらに、請求項5記載の高速炉施設の建設方法は、既存の原子炉施設の原子炉格納容器内から当該原子炉施設の設備を撤去した後、原子炉格納容器内に請求項1から4のいずれか1つに記載の原子炉容器を設置すると共に水を貯め、原子炉格納容器をプールに転用して請求項1から4のいずれか1つに記載の高速炉を備えた施設を建設するものである。
例えば、軽水炉を備えるプラントでは、原子炉建屋内に原子炉格納容器を設置し、その中に原子炉容器を収容している。原子炉格納容器はもともと放射性物質の封じ込めを目的としたものであり、内部に水を貯めることができる。この原子炉格納容器をプールとして転用することで、既存の原子炉施設を利用して請求項1から4のいずれか1つに記載の高速炉を備えた施設を建設することができる。
請求項1記載の高速炉では、金属燃料を有する複数の燃料要素と、燃料要素を冷却する液体金属冷却材(ただし、液体ナトリウムを除く)とを収容する原子炉容器をプール内に設置しているので、例えば二次冷却材によって一次冷却材としての液体金属冷却材の熱を除去できなくなったとしても、プールの水によって原子炉容器を冷却することができる。このため、高速炉の受動的な安全性をより一層向上させることができる。また、液体金属冷却材(液体ナトリウムを除く)は水と激しく反応することはなく、たとえ液体金属冷却材がプール内の水に接触したとしても安全である。
また、請求項2記載の高速炉では、燃料要素は、内部が密閉された燃料要素容器と、燃料要素容器内を上下方向に貫通する冷却管とを備えると共に、少なくとも運転時には金属燃料は燃料要素容器の内側面及び冷却管の外周面に接触しており、液体金属冷却材によって燃料要素容器の外側面と冷却管の内周面を冷却するので、金属燃料で生じた熱は燃料要素容器と冷却管に伝えられ、燃料要素容器の外側と冷却管内を流れる液体金属冷却材によって除去される。即ち、金属燃料の外側と内側に液体金属冷却材を循環させることができ、内と外の両側から金属燃料を冷却することができる。このため、冷却性能を向上させることができる。また、内側と外側のいずれか一方からの冷却が不能になったとしても、他方から冷却することができるので、安全性をより一層向上させることができる。
また、請求項3記載の高速炉では、液体金属冷却材を冷却管内に強制的に循環させる冷却材駆動機構を燃料要素毎に設けているので、液体金属冷却材の循環をより一層良好にすることができ、冷却性能をより一層向上させることができる。また、燃料要素毎に液体金属冷却材の流量を調節することができる。このため、炉心設計が容易になると共に、燃料であるウラン資源の有効活用が可能になり、さらに炉心の寿命を延ばすことができる。
また、請求項4記載の高速炉では、プール内は加圧されているので、仮に原子炉容器に亀裂等が生じたとしても液体金属冷却材の漏洩防止を図ることができる。このため、液体金属冷却材の喪失を防止し、冷却性能の悪化防止を図ることができる。
さらに、請求項5記載の高速炉施設の建設方法では、既存の原子炉施設の原子炉格納容器内から当該原子炉施設の設備を撤去した後、原子炉格納容器内に請求項1から4のいずれか1つに記載の原子炉容器を設置すると共に水を貯め、原子炉格納容器をプールに転用して請求項1から4のいずれか1つに記載の高速炉を備えた施設を建設するので、既存の原子炉施設を利用して、高速炉施設を建設することができる。このため、高速炉施設の建設に要する費用を安く抑えることができる。また、既存の原子炉施設の一部を有効活用できるので、その分だけ廃棄物を減らすことができて環境面でも優れている。さらに、老朽化した原子炉施設を再利用することができるので、原子力関係の施設を有効利用することができ、例えば原子炉の廃止措置に伴う放射線管理の負担等を軽減することができる。
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
図1に、本発明を適用した高速炉の実施形態の一例を示す。高速炉1は、金属燃料2を有する燃料要素3と、燃料要素3を冷却する液体金属冷却材(ただし、液体ナトリウムを除く)4とを収容する原子炉容器5をプール6内に設置したものである。原子炉容器5内には多数の燃料要素3が若干の隙間7をあけて並べられており、炉心27が構成されている。なお、図1では2つの燃料要素3を記載しているが、実際には多数の燃料要素3が設けられている。燃料要素3の集合体の周囲には円筒体8が設けられている。
燃料要素3の横断面を図2に示す。燃料要素3は、内部が密閉された燃料要素容器9と、燃料要素容器9内を上下方向に貫通する冷却管10とを備えると共に、少なくとも運転時には金属燃料2は燃料要素容器9の内側面及び冷却管10の外周面に接触しており、液体金属冷却材4によって燃料要素容器9の外側面と冷却管10の内周面を冷却している。つまり、高速炉1が運転されて金属燃料2が高温になると金属燃料2は膨張するが、少なくとも膨張したときには金属燃料2は燃料要素容器9と冷却管10に十分に接触し、金属燃料2で生じた熱を燃料要素容器9と冷却管10に良好に伝達することができる。
液体金属冷却材4としては、水と激しく反応する液体ナトリウム以外の液体金属、例えば液体の鉛−ビスマスを使用する。ただし、液体金属冷却材4として液体の鉛−ビスマス以外の液体金属、例えば水銀、鉛等を使用しても良い。
燃料要素容器9は、例えばステンレス鋼製のボックスである。また、冷却管10は、例えばステンレス鋼製の管である。ただし、これらの材料はステンレス鋼に限るものではなく、ステンレス鋼以外の材料を採用しても良い。複数の冷却管10が燃料要素容器9を上下方向に貫通している。
金属燃料2は、例えばU−Zr等の金属燃料である。ただし、U−Zrに限るものではなく、その他のウラン合金、プルトニウム合金等でも良く、金属ウラン、金属プルトニウム等でも良い。金属燃料2は、例えば粒子形状を成しており、燃料要素容器9内に充填されている。燃料要素容器9内には金属燃料2が例えば充填率(スミヤー密度)50〜80%程度で充填されており、金属燃料2の隙間には例えばHe等の不活性ガスが充填されている。また、金属燃料2の上方空間は、例えばHe等の不活性ガス溜11となっている。粒子状の金属燃料2を充填しているので、燃料要素容器9内で金属燃料2が動くことができ、運転時の体積膨張を逃がすことができる。また、金属燃料2の核分裂によって発生したクリプトンやキセノン等のガスは不活性ガス溜11に溜められる。金属燃料2で発生した熱は接触によって燃料要素容器9や冷却管10に直接伝達されるが、隙間に充填された不活性ガスによっても伝達される。
なお、実際には、例えば図3に示すように、炉心27の中央27aに上述の金属燃料2を充填した燃料要素3を配置し、その周囲27bにブランケット燃料を充填した燃料要素3を配置し、高速中性子の漏れ防止とプルトニウムの増殖が図られている。
燃料要素3は、例えば10mmの間隔(燃料要素の間隔、ピッチ間隔は157mm)をあけて並べられている。また、燃料要素3の大きさは、横断面のサイズが例えば0.152m×0.152m、高さが例えば2mである。1つの燃料要素3には、例えば100本(図2では25本のみ図示)の冷却管10が設けられている。冷却管10の内径は、例えば11mmである。冷却管10は、例えば15mmの間隔をあけて並べられている。ただし、これらの数値は一例であり、これらの数値に限るものではない。必要な冷却能力や出力等に応じて適宜設計する。
本実施形態では、液体金属冷却材4を冷却管10内に強制的に循環させる冷却材駆動機構12を燃料要素3毎に設けている。冷却材駆動機構12は、例えば電磁ポンプ(EMP)である。冷却材駆動機構12は燃料要素容器9の下端開口部分に設けられており、燃料要素3の下から液体金属冷却材4を吸い込んで冷却管10内に向けて吐出する。各冷却材駆動機構12毎に通電量を変えて吐出量を調節することができる。
原子炉容器5内の上部には、例えばHe、窒素、アルゴン等の不活性ガスが充填された不活性ガス溜13となっている。液体金属冷却材4の温度変化に伴う体積変動を、不活性ガス溜13の体積を変化させることで吸収することができる。
原子炉容器5内には蒸気発生器14が設置されている。蒸気発生器14は例えば円筒形状をなし、液体金属冷却材4の液面4aに近い位置に配置され、原子炉容器5の内周面に取り付けられている。蒸気発生器14には、二次冷却材15を循環させる流路16,17が接続されている。二次冷却材15は、例えば水/蒸気である。蒸気発生器14は、一次冷却材としての液体金属冷却材4と二次冷却材15としての水との間で熱交換を行い、蒸気を発生させる。
原子炉容器5の上面には、制御棒や安全棒を駆動する駆動機構18が設置されている。なお、図1では制御棒と安全棒をまとめて棒19で示しているが、実際には複数の制御棒と複数の安全棒が設置されており、駆動機構18によって位置制御される。制御棒や安全棒は、各燃料要素3間の隙間7に挿入される。ただし、冷却管10と同様の燃料要素容器9を貫通するパイプを設け、このパイプ内に制御棒や安全棒を挿入するようにしても良い。
原子炉容器5はプール6内に設置されている。プール6には、運転停止時にたとえ二次冷却材15による冷却が不能になったとしても、炉心27の崩壊熱を除去し炉心27の健全性を維持することができる程度に十分な量の水が蓄えられている。この水には、例えばエチレングリコール等の蒸気爆発防止剤が添加されている。プール6内は蓋20によって密閉され、加圧されている。例えば、10気圧〜数十気圧程度に加圧されている。プール6内の水の温度は、例えば常温である。なお、蓋20は放射性物質を閉じ込める機能も有している。
次に、高速炉1の作動について説明する。
一次冷却材である液体金属冷却材4は炉心27を冷却しながら高温になって上昇し、蒸気発生器14で冷却されて下降する。そして、冷却材駆動機構12に吸い込まれて炉心27に向けて吐出される。つまり、円筒体8の内側と外側を上下に循環しながら炉心27を冷却する。このとき、液体金属冷却材4は各燃料要素3に設けられている冷却管10内と各燃料要素3の間の隙間7を流れて内と外の両側から金属燃料2を冷却するので、金属燃料2を良好に冷却することができ冷却性能に優れている。
一方、入口側流路16から蒸気発生器14に流入した二次冷却材(水)15は、液体金属冷却材4によって加熱されて蒸気になる。そして、出口側流路17から流出し、例えば図示しない発電機の蒸気タービンを駆動して発電を行う。その後、蒸気は図示しない復水器によって液体の状態に戻され、蒸気発生器14へと循環される。このように、高速炉1の通常運転時には、炉心27で発生した熱は液体金属冷却材4を循環させる一次冷却系と二次冷却材15を循環させる二次冷却系とによって高速炉1の外へと伝えられ、炉心27の健全性が保たれる。
この高速炉1では、各燃料要素3毎に冷却材駆動機構12を設けているので、各燃料要素3毎に液体金属冷却材4の流量を調節することができる。ここで、炉心27の出力分布は運転に伴って変化するが、液体金属冷却材4の流量を部分的に調節できなければ、炉心27の出力分布をほぼ一定に保つ必要がある。このため、出力分布の変化がある程度大きくなると、原子炉を一旦停止して燃料の位置を変更したり、燃料を交換する必要があり、長期間にわたって運転を続けることができない。これに対し、本発明では、各燃料要素3毎に液体金属冷却材4の流量を調節することができるので、炉心27の出力分布の変化が大きくなっても、この変化に応じて液体金属冷却材4の流量を調節することで燃料の位置を変えたり燃料を交換したせずにそのまま運転を続けることができる。このため、より長寿命の炉心27を構成することができる。
また、各燃料要素3毎に液体金属冷却材4の流量を調節することができるので、炉心設計の制約が少なくなって炉心設計が容易になる。このため、炉心27の増殖性能が高い炉心設計が可能になり、さらに炉心27の長寿命化とウラン資源の有効活用が可能になる。
冷却系に不具合が生じ高速炉1の運転が停止されると、炉心27の崩壊熱は以下のようにして除去される。冷却材駆動機構12が作動する場合には冷却材駆動機構12によって液体金属冷却材4を強制循環させる。一方、冷却材駆動機構12が作動しない場合には自然対流によって液体金属冷却材4は循環する。したがって、いずれの場合も液体金属冷却材4を循環させて炉心27を冷却することができ、受動的な安全性に優れている。このとき、液体金属冷却材4は各燃料要素3の冷却管10内と各燃料要素3の間の隙間7を流れて内と外の両側から金属燃料2を冷却するので、冷却性能に優れている。しかも、たとえ冷却管10と隙間7のいずれか一方が閉塞されるなどして液体金属冷却材4の流通が困難になったとしても、もう一方には液体金属冷却材4を流通させることができるので、炉心27の冷却を確保できる。このため、受動的な安全性に優れている。
また、仮に液体金属冷却材4の熱を二次冷却材15によって高速炉1の外に運搬できなくなったとしても、原子炉容器5はプール6内に設置されているので、プール6の水によって原子炉容器5を冷却することができる。プール6内には炉心27の崩壊熱を除去するのに十分な量の水が蓄えられているので、プール6の水によって冷却された液体金属冷却材4を冷却材駆動機構12によって強制循環させることで、又は液体金属冷却材4が自然対流することで、炉心27の崩壊熱を除去し健全性を維持することができる。このため、受動的な安全性に優れている。
さらに、たとえ原子炉容器5に亀裂等が生じたとしても、プール6内は加圧されているので、また水中の原子炉容器5には深さに応じた水圧が作用しているので、液体金属冷却材4が原子炉容器5の外に漏洩し難い。このため、液体金属冷却材4の喪失防止を図ることができると共に、高温の液体金属冷却材4と水との接触による蒸気爆発の発生防止を図ることができる。これらのため、安全性に優れている。また、液体金属冷却材4として例えば液体の鉛−ビスマスを採用しており、たとえ液体金属冷却材4が水に接触しても激しく反応することはなく、この点からも安全性に優れている。
なお、制御棒や安全棒を駆動する駆動機構18は原子炉容器5の上面に設置されており、プール6内の加圧されている領域内で制御棒や安全棒を移動させることになる。即ち、制御棒や安全棒をプール6の外からプール6内に挿入する構成でないので、プール6内の加圧によって制御棒や安全棒が動かされることはない。
本発明の高速炉1を備える施設21を新規に建設しても良いが、既存の原子炉施設22を改造しても良い。即ち、既存の原子炉施設22の原子炉格納容器23内から当該原子炉施設22の設備を撤去した後、原子炉格納容器23内に原子炉容器5を設置すると共に水を貯め、原子炉格納容器23をプール6に転用して高速炉施設21を建設することもできる。
図4に、高速炉施設21の建設方法の一例を示す。図4(a)は、例えば既存のBWR(沸騰型軽水炉)プラント22である。BWRプラント22では、原子炉建屋24内に原子炉格納容器23を設置し、その中に原子炉容器25を設置している。原子炉格納容器23内から原子炉容器25やその他の設備を撤去し、高速炉1の原子炉容器5を設置すると共に水を貯めることで、BWRプラント22を高速炉プラント21に改造することができる(図4(b))。BWRプラント22では、燃料交換の際に原子炉格納容器23内に水を溜め原子炉容器25を水没させるため、原子炉格納容器23のプール6への転用は可能である。
例えば、36万KWe級のBWRプラント22では、原子炉建屋24の内部空間の直径は38m、原子炉格納容器23の内部空間の直径は17m、原子炉容器25の直径は9mである。約40万KWe級の高速炉プラント21では炉心27の直径が約3.5mになり、原子炉容器5の直径が約6mになるので、原子炉格納容器23内に設置することができる。即ち、36万KWe級のBWRプラント22を改造して、出力が1割増しの約40万KWe級の高速炉プラント21を建設することができる。なお、原子炉格納容器23の近傍には使用済燃料を一時的に保管するプール28があり、このプール28はそのまま利用できる。
このように既存の原子炉施設22を利用して最新の高速炉施設21を建設することができるので、高速炉施設21の建設が容易になると共に、その建設費用を安く抑えることができる。また、既存の原子炉施設22の一部を有効活用することができるので、その分だけ廃棄物を減らすことができる。さらに、建設から年数の経った高経年軽水型原子力発電所を最新の高速炉施設21に改造することで、高経年原子炉の保守・管理負担が解消される。
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
例えば、上述の高速炉1では、粒子形状の金属燃料2を燃料要素容器9に充填していたが、例えば図5に示すように、粒子形状の金属燃料2の間に変形可能な金属製チューブ26を挿入し、金属燃料2の温度変化に伴う膨張・収縮に応じて金属製チューブ26を変形させるようにしても良い。金属製チューブ26の上部は不活性ガス溜11に開放されている。また、金属製チューブ26の横断面は、例えば楕円形を成している。
また、粒子形状の金属燃料2を充填することに代えて、例えば溶融状態の金属燃料2を燃料要素容器9内に流し込んで冷却し固化させた後、ドリル等の機械的な工具を使用してガス穴を設けることも考えられる。
また、上述の説明では、各燃料要素3毎に冷却材駆動機構12を設けて液体金属冷却材4を強制循環させていたが、冷却材駆動機構12を省略して液体金属冷却材4を自然対流させても良い。
さらに、上述の説明では、既存の原子炉施設22としてBWRプラントを例に挙げ、BWRプラントを高速炉プラント21に改造していたが、BWRプラント以外の原子炉施設を高速炉プラント21に改造しても良いことは勿論である。
本発明の高速炉1の炉心27の寿命を確認するための実験を行った。図3に示す炉心27を設計し、その燃焼特性を計算した。炉心27の中心から半径1.2mの範囲(符号27aで示す領域)内に設置する燃料要素3の金属燃料2は濃縮ウランとして10%のものを使用したU−10%Zr合金(Zrが10%、Uが90%)、その周囲(符号27bで示す領域)のブランケット燃料は0.2%の劣化ウランを使用したU−10%Zr合金である。なお、ブランケット燃料の半径は1.6m、炉心の高さは2m程度である。
実験の結果を図6に示す。燃焼度が200GW・d/T(ギガワット日/トン)を超えても1.00以上の反応度kを確保することができた。なお、一般的な軽水炉では、1.00以上の反応度kを確保できるのは50GW・d/T程度である。この結果からも明らかなように、本発明の高速炉1の炉心27は長寿命であることが確認できた。
本発明を適用した高速炉の実施形態の一例を示す概略構成図である。 図1の高速炉の燃料要素の断面図である。 図1の高速炉の炉心の概念図である。 本発明を適用した高速炉施設の建設方法の実施形態の一例を示し、(A)は改造する前の既存BWRプラントの概略構成図、(B)は改造後の高速炉プラントの概略構成図である。 金属燃料の間に金属チューブを設けた様子を示す図である。 本発明の高速炉の炉心の燃焼特性を示すグラフである。
符号の説明
1 高速炉
2 金属燃料
3 燃料要素
4 液体金属冷却材
5 原子炉容器
6 プール
9 燃料要素容器
10 冷却管
12 冷却材駆動機構
23 原子炉格納容器

Claims (5)

  1. 金属燃料を有する複数の燃料要素と、前記燃料要素を冷却する液体金属冷却材(ただし、液体ナトリウムを除く)とを収容する原子炉容器をプール内に設置したことを特徴とする高速炉。
  2. 前記燃料要素は、内部が密閉された燃料要素容器と、前記燃料要素容器内を上下方向に貫通する冷却管とを備えると共に、少なくとも運転時には前記金属燃料は前記燃料要素容器の内側面及び前記冷却管の外周面に接触しており、前記液体金属冷却材によって前記燃料要素容器の外側面と前記冷却管の内周面を冷却することを特徴とする請求項1記載の高速炉。
  3. 前記液体金属冷却材を前記冷却管内に強制的に循環させる冷却材駆動機構を前記燃料要素毎に設けたことを特徴とする請求項2記載の高速炉。
  4. 前記プール内は加圧されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の高速炉。
  5. 既存の原子炉施設の原子炉格納容器内から当該原子炉施設の設備を撤去した後、前記原子炉格納容器内に請求項1から4のいずれか1つに記載の原子炉容器を設置すると共に水を貯め、前記原子炉格納容器をプールに転用して請求項1から4のいずれか1つに記載の高速炉を備えた施設を建設することを特徴とする高速炉施設の建設方法。

JP2005130397A 2005-04-27 2005-04-27 高速炉および高速炉施設の建設方法 Expired - Fee Related JP4746911B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005130397A JP4746911B2 (ja) 2005-04-27 2005-04-27 高速炉および高速炉施設の建設方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005130397A JP4746911B2 (ja) 2005-04-27 2005-04-27 高速炉および高速炉施設の建設方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006308395A true JP2006308395A (ja) 2006-11-09
JP4746911B2 JP4746911B2 (ja) 2011-08-10

Family

ID=37475458

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005130397A Expired - Fee Related JP4746911B2 (ja) 2005-04-27 2005-04-27 高速炉および高速炉施設の建設方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4746911B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010249573A (ja) * 2009-04-13 2010-11-04 Central Res Inst Of Electric Power Ind 原子炉
JP2016029393A (ja) * 2013-05-01 2016-03-03 竹田 眞司 安全性が高い高速増殖炉
JP2017504035A (ja) * 2014-01-31 2017-02-02 ステート・アトミック・エナジー・コーポレーション・ロスアトム・オン・ビハーフ・オブ・ザ・ロシアン・フェデレーションState Atomic Energy Corporation ‘Rosatom’ On Behalf Of The Russian Federation 鉛冷却高速炉を備えた原子炉システム
JP2017504034A (ja) * 2014-01-31 2017-02-02 ステート・アトミック・エナジー・コーポレーション・ロスアトム・オン・ビハーフ・オブ・ザ・ロシアン・フェデレーションState Atomic Energy Corporation ‘Rosatom’ On Behalf Of The Russian Federation 鉛冷却形式の高速原子炉の活性域
JP7485860B2 (ja) 2020-12-08 2024-05-16 上▲海▼核工程研究▲設▼▲計▼院股▲ふん▼有限公司 アルカリ金属原子炉電源

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03128481A (ja) * 1989-03-17 1991-05-31 Central Res Inst Of Electric Power Ind 二重タンク型原子炉
JP2004233210A (ja) * 2003-01-30 2004-08-19 Kawasaki Heavy Ind Ltd 流量応答型炉停止駆動要素及び原子炉構造
JP2005049135A (ja) * 2003-07-30 2005-02-24 Toshiba Corp 液体金属冷却型原子力プラント

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03128481A (ja) * 1989-03-17 1991-05-31 Central Res Inst Of Electric Power Ind 二重タンク型原子炉
JP2004233210A (ja) * 2003-01-30 2004-08-19 Kawasaki Heavy Ind Ltd 流量応答型炉停止駆動要素及び原子炉構造
JP2005049135A (ja) * 2003-07-30 2005-02-24 Toshiba Corp 液体金属冷却型原子力プラント

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010249573A (ja) * 2009-04-13 2010-11-04 Central Res Inst Of Electric Power Ind 原子炉
JP2016029393A (ja) * 2013-05-01 2016-03-03 竹田 眞司 安全性が高い高速増殖炉
JP2017504035A (ja) * 2014-01-31 2017-02-02 ステート・アトミック・エナジー・コーポレーション・ロスアトム・オン・ビハーフ・オブ・ザ・ロシアン・フェデレーションState Atomic Energy Corporation ‘Rosatom’ On Behalf Of The Russian Federation 鉛冷却高速炉を備えた原子炉システム
JP2017504034A (ja) * 2014-01-31 2017-02-02 ステート・アトミック・エナジー・コーポレーション・ロスアトム・オン・ビハーフ・オブ・ザ・ロシアン・フェデレーションState Atomic Energy Corporation ‘Rosatom’ On Behalf Of The Russian Federation 鉛冷却形式の高速原子炉の活性域
JP7485860B2 (ja) 2020-12-08 2024-05-16 上▲海▼核工程研究▲設▼▲計▼院股▲ふん▼有限公司 アルカリ金属原子炉電源

Also Published As

Publication number Publication date
JP4746911B2 (ja) 2011-08-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11476008B2 (en) Method of operating a nuclear power plant
JP6655054B2 (ja) 原子力発電所を稼働させる方法
Yoo et al. Overall system description and safety characteristics of prototype Gen IV sodium cooled fast reactor in Korea
KR100597722B1 (ko) 액체금속로의 안정적인 피동 잔열제거 계통
KR101665059B1 (ko) 코어캐쳐를 구비한 원자로용기 내외 노심용융물 냉각 시스템 및 방법
JP2010266286A (ja) 溶融物の冷却促進装置及び原子炉格納容器
JP4746911B2 (ja) 高速炉および高速炉施設の建設方法
US5021211A (en) Liquid metal cooled nuclear reactors with passive cooling system
WO2007136261A1 (en) A nuclear reactor
US10147506B2 (en) Conformal core cooling and containment structure
Sackett Operating and test experience with EBR-II, the IFR prototype
JP2006343321A (ja) 高速炉用燃料要素、高速炉および高速炉施設の建設方法
RU143978U1 (ru) Бланкет термоядерного реактора
Chenaud et al. Progress in the design of the ASTRID Nuclear Island
RU2165108C2 (ru) Система защиты защитной оболочки реакторной установки водо-водяного типа
Song et al. Improvement of molten core cooling strategy in a severe accident management guideline
JP4341876B2 (ja) 固体冷却原子炉
JP2016166833A (ja) 原子炉格納容器、及び原子炉格納容器の施工方法
CN116982120B (zh) 具有重液态金属冷却剂的核反应堆
RU2253912C1 (ru) Гомогенный быстрый реактор-хранилище
KR20140051621A (ko) 액체금속을 이용한 원자로 외벽 냉각방법 및 이를 이용한 원자로 외벽 냉각시스템
JP4625239B2 (ja) 沸騰水型原子炉の冷却水出口温度高温化用高温燃料集合体
JP2023533837A (ja) 原子力発電プラント
JP2006322816A (ja) 使用済原子燃料の再処理方法
KR20170040552A (ko) 분산형 내부 덕트를 가진 한국형 액체금속냉각로 핵연료 집합체

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080201

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110210

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110408

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110510

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110516

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140520

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees