JP4341876B2 - 固体冷却原子炉 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体冷却原子炉に関する。さらに詳述すると、本発明は、原子炉の安全評価で必要な冷却材喪失事故、冷却機能喪失事故および反応度事故などの想定事故事象の発生を無くし安全性をより一層高めた原子炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の原子炉は、炉心を原子炉圧力容器に収容し、更に原子炉圧力容器内を循環する気体または液体の冷却材によって炉心の熱を炉外に取り出すことにより炉心を冷却するようにしている。炉外に取り出された冷却材はその熱を蒸気発生器や熱交換機等を介して放熱されることによって再び冷却されて原子炉圧力容器内に還流されるようにしている。つまり、冷却材を流体とし、これを循環させることで炉心を冷却していた。具体的には、例えば軽水炉では軽水が、重水炉では重水が、ガス炉ではヘリウムガスや炭酸ガスが、高速増殖炉では液体金属がそれぞれ冷却材として用いられていた。
【0003】
また、従来の原子炉では、炉心を冷却して高温となった冷却材を、発電用タービンを回転させるための蒸気や高温ガスの発生に使用しており、蒸気を発生させたりガスを高温にすることで冷却水を冷やした後、再度、炉心へと循環させるようにしていた。
【0004】
一方、炉心の反応度を制御する方法としては、中性子吸収材からなる制御棒を炉心に挿脱する方法がある。従来は、原子炉の起動に要する時間等を考慮しつつ反応度事故が起きないように制御棒を例えば数cm/秒程度の速度で引き抜くようにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、冷却材として気体や液体を使用する原子炉では、冷却材が流動するものであるため、その喪失を想定した対策、即ち冷却材喪失対策を別に講じておく必要があった。
【0006】
また、炉心を冷却して高温となった冷却水を発電用蒸気や高温ガスを発生させることで冷却して再び炉心に循環させる原子炉では、例えばタービントリップや循環ポンプの故障等により蒸気や高温ガスが循環しなくなった場合等には、高温の冷却材を冷やすことができず炉心の冷却機能を喪失することになるため、その場合を想定した冷却機能喪失対策を別に講じておく必要があった。
【0007】
また、原子炉の安全評価では、制御棒の飛び出しや冷却材の流量変化などによる反応度事故を想定する必要があることから、かかる反応度事故の想定を不要にする原子炉の開発が要請されている。
【0008】
さらに、炉心の反応度の変化に対して受動的な反応度制御を可能にして原子炉の安全性をより一層高めたいとの要請もある。また、原子炉圧力容器を不要にして構造を簡素化したいとの要請もある。
【0009】
本発明は、冷却材や炉心の冷却機能を喪失することがない原子炉を提供することを目的とする。また、本発明は、反応度事故を構造的に防止すると共に、受動的な反応度制御を可能にする原子炉を提供することを目的とする。更に、本発明は、原子炉圧力容器を不要にできる原子炉を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために請求項1記載の固体冷却原子炉は、原子炉容器を代用する熱伝導性の固体冷却ブロックを備え、固体冷却ブロックに燃料要素を封じ込めて固体冷却ブロックを原子炉容器として機能させて独立した存在としての原子炉容器を不要にし、且つ固体冷却ブロックに燃料要素を直接接触させて固体冷却ブロックを介して燃料要素の熱を取り出すようにすると共に燃料要素が固体冷却ブロックを溶融することのない出力密度の炉心を構成する一方、固体冷却ブロックをその周囲の流体の自然対流で冷却して除熱すると共に、固体冷却ブロックには燃料要素の封じ込め位置と異なる位置でブロック内を貫通し冷却材を循環させる冷却材パスが設けられ、パス内を流れる冷却材によって燃料要素から固体冷却ブロックに伝えられた熱が取り出され炉心が冷却されると共に取り出された熱が発電用、駆動用、暖房用の熱源として利用されるようにしている。
【0011】
したがって、炉心に装荷された核燃料は固体冷却ブロックによって冷却され固体冷却ブロックを介して炉心の熱が取り出される。固体冷却ブロックに伝えられた熱の取り出しは、固体冷却ブロックの表面から周囲の流体例えば空気または水若しくはその他の液体へ放出されたり、場合によっては固体冷却ブロック内部若しくは表面に設けられる熱取り出し手段例えば熱交換手段などの冷却手段に伝えられる。炉心の出力密度は固体冷却ブロックを溶融可能な値よりも小さな値に設計されているので、即ち炉心停止後に余熱や崩壊熱で固体冷却ブロックが溶融しない程度の値に設計されているので、固体冷却ブロックが溶融することはない。しかも、固体冷却ブロックは液体や気体と違って流動するものではないため喪失することはない。また、仮に固体冷却ブロックを介して炉心の熱を冷却する手段がその能力を失ったとしても、固体冷却ブロックの表面から自然放熱により冷却されるため、冷却機能を完全に喪失することがない。炉心の余熱あるいは崩壊熱は、原子炉運転時の1/10程度以下の熱能力があれば足りるので、自然放熱によって十分に冷却を実現できる。
【0012】
また、固体冷却ブロックは核燃料が充填された燃料要素を密封するものである。したがって、固体冷却ブロックが原子炉容器として機能し、液体や気体を冷却材とする原子炉で必要とされる圧力容器が不要になる。
さらに、固体冷却ブロックには該ブロック内を貫通し冷却材を循環させる冷却材パスが設けられ、パス内を流れる冷却材によって燃料要素の熱が取り出され炉心が冷却されると共に取り出された熱が発電用、駆動用、暖房用の熱源として利用されるようにしているので、固体冷却ブロックに伝えられた熱は冷却材パス内を流れる冷却材に伝達されて発電用、駆動用、暖房用の熱源として固体冷却ブロックの外に取り出される。したがって、炉心の出力を冷却材パスを使って循環する冷却材の冷却能力に応じた値とできる。その場合にも、冷却材の循環が何らかの理由により停止した時、例えば、タービントリップなどで冷却材パス例えば蒸気発生管からの熱の除去が無くなった場合でも、炉心の崩壊熱や余熱を固体冷却ブロックの表面から放熱して冷却されるため冷却機能を完全に喪失することもない。このようなときには、原子炉が受動的に停止するため、原子炉の発熱量を100%除熱する必要はなく、原子炉の余熱除去の能力(原子炉発熱量の最大でも10%程度、一般にはそれ以下)で十分である。
【0013】
ここで、固体冷却ブロックはその表面での周囲の流体の自然対流による冷却、例えば空冷ないし水冷(水以外の液体も含まれる)によりで熱される。したがって、仮に固体冷却ブロック内を通過する冷却材による固体冷却ブロックの除熱が不可能になったとしても、固体冷却ブロックはその表面から周囲の流体に放熱して冷却されるため冷却機能を完全に喪失することはない。固体冷却ブロックの水冷の場合には、請求項2記載の発明のように、炉心の余熱や崩壊熱を除去するに十分な量のプール内の液中に沈められ、液体の自然対流により冷却されることが好ましい。この場合には、冷却能力が空冷よりも遙かに大きくなるので、原子炉の熱出力を空冷による自然放熱の原子炉よりも大きくできる。しかも、液体をプールに蓄えておくことで、配管破断のように流体を喪失することがない。更に、この場合、固体冷却ブロックが液中に沈められ火災のおそれがないため、固体冷却ブロックとして黒鉛を使用することができる。黒鉛は熱中性子の吸収断面積が小さく、熱中性子の経済性が良好である。
【0014】
また、固体冷却ブロックは、熱伝導性を有する固体物であれば実施可能であるが、中でも金属あるいは黒鉛の使用が好ましい。黒鉛ブロックの場合には、中性子の吸収が少なく無駄に吸収しないため経済性を有する。また、固体冷却ブロックとして、例えばアルミニウム、銅等の熱伝達性に優れた金属等を使用しても良く、この場合、固体冷却原子炉を熱中性子炉にするときには、熱中性子の吸収断面積が小さなアルミニウム等の使用が好ましい。また、金属製固体冷却ブロックを使用する場合には、火災の虞がないので、水冷に限らず空冷によっても冷却可能である。
【0017】
また、請求項記載の発明は、請求項2記載の固体冷却原子炉において、固体冷却ブロックが沈められている液中に放射線照射を受ける流体通路を設け、当該流体通路に放射化又は加熱する流体を流すようにしている。したがって、炉心から洩れた放射線が流体通路に照射される。この流体通路に流体を流すとこの流体にも放射線が照射され、例えばアイソトープを製造できる。また、放射線照射によって流体を加熱することができ、放射線のエネルギーを熱エネルギーとして取り出すことができる。
【0018】
また、請求項記載の発明は、請求項1からのいずれかに記載の固体冷却原子炉において、制御棒と、制御棒の引き抜き速度を設定速度以下に制限する制限手段を備えるようにしたものである。したがって、構造的に制御棒を速い速度で引き抜くことができなくなり、制御棒飛び出しなどの反応度事故を防止することができる。
【0019】
また、請求項記載の発明は、請求項1からのいずれかに記載の固体冷却原子炉において、固体冷却ブロックに温度変化に応じて反応度を増減する受動的制御装置が取り付けられており、受動的制御装置は、中性子吸収体と、該中性子吸収体に接続され温度変化によって変形する駆動部材とを備え、駆動部材は、中性子吸収体を炉心の外に位置させる第1の形状と、中性子吸収体を炉心内に移動させる第2の形状とを有し、且つ固体冷却ブロックの温度が設定温度以上に上昇すると第1の形状から第2の形状に変形するようにしたものである。
【0020】
この場合、固体冷却ブロックの温度が駆動部材が第2の形状に変形する温度まで上昇することがない通常運転時には、駆動部材は第1の形状となっており、中性子吸収体は炉心の外に位置している。一方、固体冷却ブロックの温度が異常に上昇し変形の設定温度に達すると、駆動部材が第1の形状から第2の形状に変形して中性子吸収体を炉心内に移動させる。このため、炉心に負の反応度が挿入され、出力が減少する。そして、出力の減少により固体冷却ブロックの温度が低下すると、駆動部材の形状が第2の形状から第1の形状に戻り中性子吸収体を炉心から引き抜く。したがって、反応度が上昇し出力が増加する。このように炉心の温度の上下変動に応じて反応度が受動的に制御される。
【0021】
また、請求項記載の発明は、請求項1からのいずれかに記載の固体冷却原子炉において、固体冷却ブロックに温度上昇に応じて反応度を減少させる安全棒装置が取り付けられており、安全棒装置は、中性子吸収体と、該中性子吸収体を磁気吸着して炉心の上方に吊した状態で支持する磁石体を備え、磁石体は、固体冷却ブロックの原子炉運転時における通常の温度よりも高く且つ固体冷却ブロックの融点よりも低い温度のキューリー点を有するようにしたものである。
【0022】
この場合、固体冷却ブロックの温度が磁石体のキューリー点まで上昇することがない通常運転時には、中性子吸収体は炉心の上方に吊り下げられている。一方、固体冷却ブロックの温度が異常に上昇しキューリー点に達すると、磁石体が中性子吸収体を磁気吸着できなくなるので中性子吸収体が炉心内に落下する。このため、炉心に負の反応度が挿入され、出力が減少し、場合によっては原子炉を停止する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1に本発明の固体冷却原子炉を熱中性子炉として構成した実施形態の一例を概念的に示す。この固体冷却原子炉5は、原子炉容器を代用する熱伝導性の固体冷却ブロック1を備え、固体冷却ブロック1に燃料要素4を封じ込めて固体冷却ブロックを原子炉容器として機能させて独立した存在としての原子炉容器を不要にし、且つ固体冷却ブロック1に燃料要素4を直接接触させて固体冷却ブロック1を介して燃料要素4の熱を取り出すようにする一方、固体冷却ブロック1をその周囲の流体の自然対流で冷却して除熱するようにしたものである。より具体的には、この固体冷却原子炉5は、核燃料が装荷される燃料装荷部1aと熱を利用のために取り出す熱取り出し部1bとを有する固体冷却ブロック1と、熱取り出し部1bに配置される熱交換手段2と、固体冷却ブロック1を溶融することのない出力密度を有する炉心3を備えるものである。
【0025】
固体冷却ブロック1は、例えばアルミニウム、銅等の熱伝達性に優れた金属である。ただし、固体冷却原子炉5を熱中性子炉にする場合には、熱中性子の吸収断面積が小さなアルミニウム等の使用が好ましい。また、固体冷却ブロック1の表面には多数の放熱フィン1cが設けられている。
【0026】
固体冷却ブロック1の例えば中心部分には、燃料装荷部1aとなる穴が所定間隔で複数形成されている。燃料装荷部1aに核燃料を充填した燃料棒等の燃料要素4を挿入し、燃料要素4と固体冷却ブロック1を直接接触させることで燃料で発生する熱を固体冷却ブロック1に伝えて燃料要素4を冷却する。燃料要素4の挿入後に燃料装荷部1aとなる穴に蓋をして塞ぎ、燃料要素4を固体冷却ブロック1内に密封する。これにより固体冷却ブロック1が原子炉容器として機能し、強制循環される液体や気体を冷却材とする原子炉で必要とされていた原子炉容器を不要にすることができる。
【0027】
また、固体冷却ブロック1の例えば燃料装荷部1aの間には、該ブロック1を貫通し流動性の冷却材例えば軽水などを循環させて炉心3から熱を取り出す冷却材パスが設けられている。この冷却材パスは、例えば複数の貫通孔によって形成されている熱取り出し部1bと、該熱取り出し部1bに挿入されている熱交換手段2である蒸気発生管(以下、蒸気発生管2という)とによって構成されている。即ち、固体冷却ブロック1に蒸気発生器として機能する蒸気発生管2を組み込んでいる。蒸気発生管2内には、例えば軽水等の流体が流れている。この固体冷却原子炉5では燃料要素4の間に蒸気発生管2を配置しているため、蒸気発生管2内を流れる軽水が減速材として機能し熱中性子炉となる。なお、蒸気発生管2内で発生した蒸気は、例えば図示しない発電用のタービンに供給される。
【0028】
炉心3は、固体冷却ブロック1を溶融することのない出力密度を有している。即ち、原子炉運転時に固体冷却ブロック1の温度が融点に達しないように出力密度を設計している。この場合、固体冷却ブロック1の容積や表面からの放熱、蒸気発生管2内の流量等も考慮される。出力密度の設計は、実用化されている軽水炉や実験炉等の出力密度の設計と同様の方法によって求めることができるので、その説明は省略する。なお、本実施形態では、燃料要素4や蒸気発生管2が配置される固体冷却ブロック1の中心部分が炉心3となっている。
【0029】
固体冷却原子炉5の運転時の固体冷却ブロック1の温度は、例えば固体冷却ブロック1としてアルミニウムを使用する場合には、アルミニウムの融点が660℃であるので400℃程度、固体冷却ブロック1として銅を使用する場合には、銅の融点が1084℃であるので800℃程度である。即ち、固体冷却ブロック1の温度がこれらの温度になるように炉心3の出力密度が設計されている。したがって、固体冷却ブロック1が溶融することはない。
【0030】
また、炉心3の出力密度は炉心停止後に余熱や崩壊熱で固体冷却ブロック1を溶融することがない程度の値に設計されている。したがって、炉心停止後にも固体冷却ブロック1が溶融することはない。
【0031】
固体冷却原子炉5の運転により炉心3で発生した熱は固体冷却ブロック1に伝えられ、これにより炉心3は冷却される。そして、固体冷却ブロック1に伝えられた熱は熱取り出し部1bの蒸気発生管2に伝えられ、蒸気発生管2内を流れる軽水を加熱して蒸気を発生させる。そして、この蒸気を使って発電機の蒸気タービンを回転させて発電される。また、固体冷却ブロック1の表面からも放熱される。固体冷却ブロック1の表面には放熱フィン1cが多数設けられているので、効率よく放熱される。
【0032】
なお、固体冷却ブロック1の周囲には自然対流により空気の流れが形成されている。この空気の流れによって固体冷却ブロック1の表面からの放熱をより一層効率よく行うことができる。固体冷却ブロック1は原子炉容器としても機能するものであり、その外側に空気の流れが形成されているので、原子炉容器内に冷却材の流れを形成していた従来の原子炉と比べて、空気の流れの形成やその制御が容易である。また、固体冷却原子炉5では固体冷却ブロック1に蒸気発生管2を貫通させて流体との間で熱交換を行っているが、この場合の蒸気発生管2は固体冷却ブロック1を単に貫通するに過ぎず、流体を固体冷却ブロック1の内部に染み込ませるものではないので、蒸気発生管2は固体冷却ブロック1に対して外側に配置されていることになり、この場合にも原子炉容器の外に流れが形成されていることになる。即ち、蒸気発生管2内の流れも固体冷却ブロック1の外に形成されており、原子炉容器内に冷却材の流れを形成していた従来の原子炉と比べると、流体の流れの形成やその制御が容易である。
【0033】
この固体冷却原子炉5では蒸気発生管2内の軽水の流れが停止し熱取り出し部1bからの除熱が期待できない場合でも、炉心3を冷却し続けることができる。つまり、炉心3を冷却して加熱された固体冷却ブロック1はその表面で放熱し、溶融することなく炉心3を冷却し続けることができる。また、固体冷却ブロック1は金属であり熱伝導性が良いので、炉心3の冷却能力を十分に確保することができる。また、固体冷却ブロック1は固体であって流動するものではないため、液体や気体の冷却材と違って配管の破断等によって喪失することもない。また、固体冷却ブロック1は金属であるため、火災の心配がなく、しかも放射線の遮蔽性能が良い。さらに、固体冷却ブロック1は一塊りになっているので、構造上丈夫である。これらのため、原子炉の安全性がより一層向上する。
【0034】
図2に、固体冷却原子炉5を高速中性子炉に適用した場合を概念的に示す。固体冷却ブロック1の熱取り出し部1bは、燃料装荷部1aから十分離れた位置に設けられている。ここで、十分離れた位置とは、炉心3で核分裂反応に寄与する中性子の減速に対して熱取り出し部1bに配置された蒸気発生管2内の軽水が影響を全く与えないか、又は与えたとしても無視できるほど小さな影響に過ぎない位置である。このように熱取り出し部1bを燃料装荷部1aから十分離すことで蒸気発生管2内の軽水によって核分裂反応に寄与する高速中性子が減速されてしまうのを防止することができる。また、固体冷却ブロック1としては、高速中性子の吸収断面積があまり大きくなく、熱伝達率が高く、アルミニウムと比べて融点の高い銅などの使用が好ましい。
【0035】
かかる構成の高速中性子炉でも、たとえ蒸気発生管2内の軽水の流れが停止した場合であっても、固体冷却ブロック1は表面からの放熱によって炉心3を冷却し続けることができる。また、固体冷却ブロック1は流体でないため喪失することがない点、固体冷却ブロック1の火災を心配する必要がない点、固体冷却ブロック1による放射線の遮蔽性能が良好である点、固体冷却ブロック1が構造上丈夫である点、固体冷却ブロック1が原子炉容器として機能する点は、固体冷却原子炉5を熱中性子炉にした場合と同様であり、これらのため、原子炉の安全性がより一層向上する点も熱中性子炉の場合と同様である。
【0036】
図3に、固体冷却原子炉5を備える原子力プラントの実施形態の一例を概念的に示す。蒸気発生管2は発電用タービン6に蒸気を供給するループ7の一部を構成している。蒸気発生管2内で発生した蒸気は発電用タービン6例えば蒸気タービンに供給されてこれを回転させる。これにより発電が行われる。そして、発電用タービン6を回転させた蒸気は復水器8で軽水の状態に戻された後、ポンプ9によって加圧されて蒸気発生管2に供給される。
【0037】
更に、図4に他の実施形態を示す。この固体冷却原子炉は、固体冷却ブロック1を介して取り出された炉心の熱を更に流動性の冷却材を利用してブロック1の外に取り出す代わりに、熱電変換素子から成る熱交換手段2’を備えて、固体冷却ブロック1を介して取り出される炉心3の熱を利用して直接発電するようにしたものである。熱電変換素子2’を固体冷却ブロック1の表面に備え、あるいは中に埋設することによって、熱電変換素子2’の両極間に温度差を形成して電気の形態で炉心3の熱を取り出す。固体冷却ブロック1を介して取り出される炉心3の熱が熱電変換素子2’の一方の極に伝えられ、他方の極に接する固定冷却ブロック1’の熱が周囲の空気または水などへ放熱されることによって冷却されることで熱電変換素子2’の両極間に温度差が発生させられる。固体冷却ブロック1に伝えられた熱は固体冷却ブロック1を介して熱電変換素子2’に伝えられると共に、固体冷却ブロック1の表面からも周囲の空気中または水中若しくはその他の液体中に放出される。また、固体冷却ブロック1は液体や気体と違って流動するものではないため、喪失することはない。したがって、熱電変換素子2’による炉心3の除熱が不可能になったとしても、固体冷却ブロック1はその表面から放熱して冷却されるため冷却機能を完全に喪失することもない。この場合には、炉心3の熱によって発電を行うまでに喪失の可能性がある流体を全く使用せずに済み、上述の原子炉の安全性の向上と相俟って原子炉の安全性がさらに向上し、原子炉の無人運転化を図ることができる。
【0038】
また、上述の説明では、固体冷却ブロック1の表面から空冷により放熱するようにしていたが、固体冷却ブロック1を常圧の水プールに沈めたり、固体冷却ブロック1の表面に水を噴霧する等の方法で水冷による放熱を行う事も可能である。水冷による放熱を行うことで、固体冷却ブロック1の表面からの放熱性能の向上が期待できる。
【0039】
また、上述の説明では、蒸気発生管2内で発生した蒸気を例えば発電用タービン6に供給することで炉心3の熱を発電に利用していたが、これに限るものではなく、例えば炉心3で発生した熱を暖房等の熱源として利用しても良い。
【0040】
また、上述の説明では、蒸気発生管2内に軽水を流して蒸気を発生させていたが、軽水に限るものではなく、例えば重水等の液体やヘリウムガスや炭酸ガス等の気体であっても良い。なお、蒸気発生管2内にガスを流す場合には、発電用タービン6としてガスタービンを使用することは勿論である。
【0041】
さらに、固体冷却原子炉5を一つのモジュール(以下モジュール5という)とし、複数のモジュール5を並列に設置しても良い。この場合の概念を図5に示す。各モジュール5は原子炉格納容器10内に設置されており、さらに遮蔽体11で覆われている。遮蔽体11内には空気の流れが形成されており、固体冷却ブロック1の表面から放出された熱を除去している。各モジュール5の蒸気発生管2は同一の発電用タービン6に接続されている。即ち、発電用タービン6の設置台数は1機であり、各モジュール5で発生した蒸気はこの1機の発電用タービン6に供給されて発電に使用される。発電用タービン6を回転させた後、図示しない復水器によって液体の状態に戻された軽水はポンプ9によって加圧され、各モジュール5の蒸気発生管2へと供給される。なお、符号12は、モジュール5を搬入又は搬出するクレーンである。固体冷却原子炉5をモジュール化することで、発電規模等に応じた数だけモジュール5を設置すれば良い。このようにすることで、モジュール5や発電用タービン6等の数が必要最小限で足り、発電コストを安くすることができる。また、モジュール5の設置数に応じて発電用タービン6やポンプ9の数を増やしても良い。
【0042】
図15に本発明の他の実施形態として固体冷却原子炉を例えば暖房用の熱を発生させるなどの多目的炉として構成した例を示す。この固体冷却原子炉は、燃料要素4を該燃料要素4と直接接触する熱伝導性の固体冷却ブロック1で封じ込め該固体冷却ブロック1を介して燃料要素4の熱を取り出すようにしたものである。固体冷却ブロック1によって取り出された燃料要素4の熱は固体冷却ブロック1の周囲の流体の自然対流で冷却して熱すると同時にその熱を暖房や海水脱塩も化学プロセスなどに利用するようにしたものである。この場合、炉心3で発生する熱は固体冷却ブロック1の表面(放熱フィンを含む)から放熱される他には冷却手段を有さないが、炉心の出力密度が固体冷却ブロック1を溶融することのない規模の炉心3を構成するようにしているので、運転中の溶融の虞はない。尚、固体冷却ブロック1の表面には多数の放熱フィン1cが設けられている。
【0043】
次に、図16〜図19に水冷式の本発明の固体冷却原子炉の実施形態の一例を概念的に示す。本実施形態では、固体冷却原子炉を、例えば沸騰水形軽水炉(BWR)としている。
【0044】
固体冷却原子炉45は、核燃料が装荷される燃料装荷部41aと、熱を利用のために取り出す熱取り出し部41bとを有する固体冷却ブロック41と、熱取り出し部41bに配置される熱交換手段42と、固体冷却ブロック41を溶融することのない出力密度を有する炉心43を備え、液中に沈められたものである。
【0045】
固体冷却ブロック41は、例えば黒鉛である。この固体冷却原子炉45では固体冷却ブロック41を液中に沈めており火災のおそれがないため、固体冷却ブロック41として黒鉛を使用することができる。黒鉛は熱中性子の吸収断面積が小さく、熱中性子の経済性が良好である。ただし、固体冷却ブロック41として、例えばアルミニウム、銅等の熱伝達性に優れた金属等を使用しても良く、この場合、固体冷却原子炉45を熱中性子炉にするときには、熱中性子の吸収断面積が小さなアルミニウム等の使用が好ましい。
【0046】
固体冷却ブロック1の例えば燃料装荷部41aの間には、該ブロック41を貫通し流動性の冷却材例えば軽水などを循環させて炉心43から熱を取り出す冷却材パスが設けられている。この冷却材パスは、例えば複数の貫通孔によって形成されている熱取り出し部41bと、該熱取り出し部41bに挿入されている熱交換手段42である冷却管(以下、冷却管42という)とによって構成されている。即ち、固体冷却ブロック41には、燃料装荷部41aとなる穴が所定間隔で多数形成されている。各燃料装荷部41aは、例えば図18に示すように、固体冷却ブロック41の外側領域(図18の仮想線Aよりも外側の領域)46に形成されている。燃料装荷部41aに核燃料を充填した燃料棒等の燃料要素44を挿入し、燃料要素44と固体冷却ブロック41を直接接触させることによって燃料で発生する熱を固体冷却ブロック41に伝えて炉心43を冷却する。核燃料として例えば低濃縮ウラン酸化物燃料を用い、被覆管として例えば使用実績のあるジルカロイ合金などを使用する。燃料要素44の装荷は燃料ユニット47の製造時に併せて行う。燃料要素44の挿入後に燃料装荷部41aとなる穴に蓋をして塞ぎ、燃料要素44を固体冷却ブロック41内に密封する。これにより固体冷却ブロック41が原子炉圧力容器として機能し、一般的に必要な構成要素である原子炉圧力容器を不要にすることができる。このため、原子炉の構造が簡素化され、建設コストを安くすることができる。
【0047】
また、固体冷却ブロック41の外側領域46の燃料装荷部41aの間と内側領域(外側領域46の内側の領域)48には、熱取り出し部41bとなる貫通孔が多数形成されている。熱取り出し部41bには冷却管42が挿入されている。外側領域46の冷却管42の下端は、冷却水流入管49に接続された入口室50に連通されている。内側領域48の冷却管42の下端は、蒸気流出管51に接続された出口室52に連通されている。外側領域46の冷却管42の上端と内側領域48の冷却管42の上端は上部室53を通じて連通されている。冷却管42には例えば軽水等の流体が流れており、外側領域46の冷却管42を上昇しながら加熱されて蒸気となり、内側領域48の冷却管42を下降しながら過熱(スーパーヒート)される。燃料要素44が設けられている外側領域46の冷却管42に軽水が流れることで軽水を減速材として用いることができる一方、減速材としての能力に劣る蒸気を燃料要素44が設けられていない内側領域48の冷却管42に流すようにしている。
【0048】
なお、燃料要素44内は周囲よりも高圧になっており、その被覆管が膨らんで固体冷却ブロック41との間の隙間を塞ぐ。このため、燃料要素44と固体冷却ブロック41とが良好に接触し熱伝達が良好に行われる。また、冷却管42内は周囲よりも高圧になっており、冷却管42が膨らんで固体冷却ブロック41との間の隙間を塞ぐ。このため、冷却管42と固体冷却ブロック41とが良好に接触し熱伝達が良好に行われる。
【0049】
固体冷却原子炉45は、例えば複数の燃料ユニット47を有している。燃料ユニット47の設置数は固体冷却原子炉45の出力規模に応じて決定され、逆に、燃料ユニット47の設置数によって出力規模を決定することができる。固体冷却原子炉45を例えば発電に使用する場合には、発電規模に応じた数の燃料ユニット47を設置する。なお、固体冷却原子炉45が小型のものであれば、燃料ユニット47が1つであっても良い。本実施形態では、例えば16個の燃料ユニット47を、縦4列、横4列に並べて設置している。なお、燃料ユニット47の間には、横断面形状が十字形状の制御棒が挿入される。
【0050】
燃料ユニット47の列の下方には、冷却水流入管49と蒸気流出管51が1本ずつ並べて配置されている。冷却水流入管49及び蒸気流出管51には所定間隔で4枚の取付フランジ54が固着されている。これらの取付フランジ54に燃料ユニット47の底面に固着されたフランジ55を重ね合わせて取り付け固定することで、各燃料ユニット47を冷却水流入管49と蒸気流出管51の上に固定することができると共に、冷却水流入管49と入口室50を接続し、蒸気流出管51と出口室52を接続することができる。燃料交換などの際には、取付フランジ54からフランジ55を外して燃料ユニット47ごと燃料交換する。冷却水流入管49と蒸気流出管51はそれぞれ順次束ねられて最終的にはそれぞれ1本の冷却水流入管49と蒸気流出管51に集約され、発電施設56に導かれている。
【0051】
炉心43は、固体冷却ブロック41を溶融することのない出力密度を有している。即ち、原子炉運転時に固体冷却ブロック41の温度が融点に達しないように出力密度を設計している。この場合、固体冷却ブロック41の容積や表面からの放熱、冷却管42内の流量等も考慮される。出力密度の設計は、実用化されている軽水炉や実験炉等の出力密度の設計と同様の方法によって求めることができるので、その説明は省略する。なお、本実施形態では、燃料ユニット47の燃料要素44や冷却管42が配置されている部分が炉心43となっている。
【0052】
また、炉心43の出力密度は炉心停止後に余熱や崩壊熱で固体冷却ブロック41を溶融することがない程度の値に設計されている。したがって、原子炉運転時や停止後に固体冷却ブロック41が溶融することはない。
【0053】
燃料ユニット47は、原子炉プール57内の液中に沈められている。原子炉プール57内に溜められている液体としては、例えば水である。ただし、水に限るものではないことは勿論である。水は原子炉プール57内に常圧で溜められている。
【0054】
原子炉プール57はいわゆる半地下構造に形成されている。即ち、原子炉プール57は大きな穴に水を溜める構造を成しており、周囲を壁で囲んだ空間に水を溜める構造とはなっていない。このため、壁の破損による原子炉プール57内の水の流出防止を図ることができる。固体冷却原子炉45の通常運転時にも固体冷却ブロック41から数%の熱が原子炉プール57に伝わるため、原子炉プール57内に小型熱交換器58を設置して原子炉プール57の保有水の温度を、例えば最高60℃程度になるように冷却している。
【0055】
冷却水流入管49、蒸気流出管51の破損などによる冷却材の喪失や、タービントリップ、蒸気ポンプの軸固着など冷却材による冷却能力が喪失した場合、燃料ユニット47の冷却管42中のボイドが増加し、負のボイド係数などにより、原子炉の反応度が低下し、原子炉が停止する。原子炉が停止しても炉心43では崩壊熱が発生するが、この崩壊熱は燃料要素44から固体冷却ブロック41に伝わり、固体冷却ブロック41の表面から原子炉プール57の水に自然放熱される。このため、燃料要素44、燃料ユニット47などの温度が異常に高温になることは無く、これらの健全性は保たれる。即ち、公衆に多大な影響を与える可能性のある炉心溶融などの事故が発生するおそれは無く、このような事故を想定して原子炉を設計する必要がなくなる。
【0056】
原子炉プール57の保有水量は原子炉停止時の崩壊熱除去に対して十分な量となっている。このため、何らかの原因により原子炉プール57内の小型熱交換器58の冷却機能が働かなくても、炉心43の崩壊熱を受容することができる。原子炉プール57の周囲は、例えばコンクリートで固められている。また、原子炉プール57の内面には例えばステンレス製のライナが張られており、保有水の浸み出しを防止している。
【0057】
原子炉運転中は、原子炉プール57は鋼製の原子炉蓋59によって密閉されており、万が一の放射性物質の漏出を防止している。また、制御棒60は、原子炉蓋59の上部に設置された制御棒駆動機構61によって駆動される。制御棒駆動機構61は原子炉蓋59の上部に設置されており、原子炉運転中でも制御棒駆動機構61の保守・点検が可能であり、しかもその作業は容易である。制御棒60は、例えば電磁石により制御棒駆動機構61と結合されており、電源が切れた場合には重力により落下して原子炉に挿入される。
【0058】
原子炉プール57の隣には使用済み燃料プール62が設けられており、使用済み燃料を燃料ユニット47ごと冷却保管している。使用済み燃料プール62と原子炉プール57の間の仕切壁63には移送用ゲート64が設けられており、移送用ゲート64を開いて使用済み燃料を燃料ユニット47ごと移送する。原子炉運転時には移送用ゲート64は閉じており、原子炉プール57内を密閉する。燃料が使用済みの使用済み燃料ユニット47は、原子炉建家65の天井に設けられたクレーン66によって原子炉プール57から使用済み燃料プール62に移送される。使用済み燃料ユニット47をクレーン66によって移送するので、遠隔操作によって移送することができる。また、仕切壁63に移送用ゲート64を設けて使用済み燃料ユニット47の移送を水中で行うようにしているので、原子炉プール57及び使用済み燃料プール62内の水が放射線の遮蔽体となり、放射線防護が図られる。なお、原子炉プール57の隣に使用済み燃料プール62を設けなくても良い。また、図16中符号67は、燃料ユニット47等を搬入、搬出するためのゲートである。
【0059】
固体冷却原子炉45の運転により燃料要素44で発生した熱は固体冷却ブロック41に伝えられ、これにより燃料要素44は冷却される。そして、固体冷却ブロック41に伝えられた熱は熱取り出し部41bの冷却管42に伝えられ、冷却管42内を流れる軽水を加熱して蒸気を発生させると共に、発生した蒸気を過熱する。また、固体冷却ブロック41の表面からも放熱される。これらにより、炉心43が冷却される。
【0060】
各燃料ユニット47の冷却管42内で発生した蒸気は蒸気流出管51によって発電施設56の蒸気タービンに導かれ、復水器によって水の状態に戻された後、主蒸気ポンプによって冷却水流入管49を通じて各燃料ユニット47に送り込まれる。なお、本実施形態の固体冷却原子炉45は炉心43で蒸気の発生を許容するBWR型軽水炉であるが、商業運転の実績があるBWR型軽水炉で必要とされている再循環系は不要である。これは、燃料ユニット47に供給した軽水が燃料ユニット47内で全て蒸気に変わるからである。
【0061】
この固体冷却原子炉45では、冷却管42内の軽水の流れが停止し熱取り出し部41bからの除熱が期待できない場合でも炉心43を冷却し続けることができる点は、上述の固体冷却原子炉5と同様である。しかも、固体冷却ブロック41を原子炉プール57内に沈めており、固体冷却ブロック41を水冷できるので、固体冷却ブロック41を効率よく冷却することができ、その分、原子炉を大型化することができる。複数の燃料ユニット47を設置すれば原子炉の熱出力を、例えば1000MW程度にも大きく設計することが可能である。
【0062】
また、固体冷却原子炉45では、制御棒60を重力落下式にしているため、固有安全性が高くなっている。また、原子炉プール57内は常圧であり、制御棒60が圧力で押し出されることが構造的になく、固有安全性がさらに高くなる共に、いわゆる制御棒60の飛び出し事故を想定して原子炉を設計する必要がなくなる。
【0063】
また、固体冷却ブロック41は燃料要素44を密封しており、固体冷却ブロック41が原子炉圧力容器として機能する。また、固体冷却原子炉45では固体冷却ブロック41に冷却管42を貫通させて軽水との間で熱交換を行っているが、この場合の冷却管42は固体冷却ブロック41を単に貫通するに過ぎず、軽水を固体冷却ブロック41の内部に染み込ませるものではないので、冷却管42は固体冷却ブロック41に対して外側に配置されていることになる。即ち、冷却管42内の流れは原子炉圧力容器として機能する固体冷却ブロック41の外に形成されている。このため、原子炉圧力容器内に冷却材の流れを形成していた従来の原子炉と比べると、流体の流れの形成やその制御が容易であり、原子炉の構造を簡素化することができる。
【0064】
なお、原子炉プール57は常圧であり、燃料ユニット47の冷却管42内の圧力の方が高いため、たとえ冷却管42が破損等しても原子炉プール57内の水が冷却管42内に流入することはないと考えられる。このため、原子炉プール57内の水の流入によって冷却管42内のボイドが減少し、正の反応度が印加されることはないと考えられる。仮に、原子炉プール57内の水が冷却管42内に流入して正の反応度が印加されたとしても、負のボイド係数の絶対値を適切な範囲に設計しておくことで、反応度印加時にも燃料ユニット47が破損するなどの反応度事故を防止することは十分可能である。
【0065】
この固体冷却原子炉45では、上述のように事故の発生が構造的に防止され、運転員の迅速な操作を不要とする固有安全性の極めて高い原子炉となっている。かつ、固体冷却原子炉45は、熱出力1000MW、電気出力300MW程度の小型炉の範囲の発電能力を十分確保できるため、原子炉圧力容器などを不要とするプラントの簡素化と相まって、電気出力1000MW程度の大型発電炉に匹敵する経済性を達成することができる。
【0066】
固体冷却原子炉45の伝熱性能を評価するため、固体冷却ブロック41の温度分布の解析を行った。その結果を、図20に示す。この計算例では固体冷却ブロック41として横断面形状が約40cm×40cmの矩形を成す黒鉛ブロックを使用し、その中に9列×9列の合計81本の燃料要素44を収納し、その黒鉛ブロックの中心から対角線上の温度分布を示している。燃料要素44の線出力は商業運転の実績のあるBWR型原子炉と同様の20kW/mとした。また、黒鉛ブロックの表面にギャップ層を設けて原子炉プール57ヘの自然放熱を制御している。図20に示す様に燃料部分では1000℃を越えているが、黒鉛部分の温度は最高417℃となった。冷却材喪失などで冷却管42からの熱の除去が無くなった場合には、負のボイド係数などにより原子炉は自然に停止し、残留熱(崩壊熱)は固体冷却ブロック41の表面から原子炉プール57に自然放熱される。図20には、残留熱が通常出力の5%(原子炉停止の約15秒後)の場合の黒鉛ブロック内の温度分布を併せて示している。黒鉛部分の温度は最高542℃となり、黒鉛ブロックおよび燃料要素44の健全性は担保されている。冷却材喪失直後は、固体冷却ブロック41である黒鉛などの熱容量により温度上昇が抑制される。
【0067】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、図21に示すように、固体冷却ブロック41が沈められている液中に放射線照射を受ける流体通路68を設け、当該流体通路68に放射化又は加熱する流体を流すようにしても良い。流体通路68は、例えばパイプであり、燃料ユニット47の近傍、例えば10cmの間隔をあけて配置されている。流体通路68内を流れる流体は、例えば液体又は気体である。燃料ユニット47から洩れる中性子やγ線を流体通路68内の流体に照射して、例えばアイソトープの製造等が可能である。
【0068】
また、流体通路68のパイプ材料としてタングステン等を使用することで、燃料ユニット47からのγ線によるγヒーティングにより流体を加熱することができる。流体通路68は燃料ユニット47から完全に独立しており、炉心43の温度とは別個に流体通路68内の温度を設定することができる。即ち、燃料溶融等の制約を受ける炉心43の最高温度は制限されるが、流体通路68内の温度はこのような制約を受けないので高温にすることができる。このため、例えば1000℃程度の熱の発生が可能になり、このようような高温の熱をそのまま産業等に利用することが可能になると共に、その熱を利用して水素製造を行うことも可能になる。このように、流体通路68は多目的に利用することができる。
【0069】
この固体冷却原子炉45は流体通路68の設置に適している。つまり、商業運転の実績のある原子炉では原子炉圧力容器が必要であり、流体通路68を設置するためには原子炉圧力容器に孔をあける必要がある。一般的に原子炉圧力容器に孔をあけるのは好ましいことではないため、流体通路68の設置が困難である。これに対し、固体冷却原子炉45は原子炉圧力容器が不要であり、流体通路68の設置が容易である。つまり、例えば発電プラントに利用できるような大型の原子炉であるにもかかわらず流体通路68の設置に向いており、例えば発電を行いながら放射線照射、熱利用、水素製造等を行うこともできる。
【0070】
また、上述の説明では、原子炉プール57内に水を溜めていたが、燃料ユニット47を冷却する液体は水に限るものではないことは勿論である。
【0071】
また、上述の説明では、冷却管42内で発生した蒸気を例えば発電施設56に供給することで炉心43の熱を発電に利用していたが、これに限るものではなく、例えば炉心43で発生した熱を暖房等の熱源として利用しても良い。
【0072】
また、上述の説明では、冷却管42内に冷却水として軽水を供給していたが、軽水に限るものではなく、例えば重水等の液体やヘリウムガスや炭酸ガス等の気体であっても良い。なお、冷却管42内にガスを流す場合には、発電用タービンとしてガスタービンを使用することは勿論である。
【0073】
また、上述の説明では、固体冷却原子炉45をBWR型の原子炉にしていたが、冷却系を1次ループと2次ループに分けると共に1次ループ内を加圧して蒸気の発生を抑え、PWR型の原子炉にしても良い。
【0074】
さらに、燃料要素44に使用する核燃料として高温ガス炉用の被覆粒子燃料の使用も可能である。
【0075】
【実施例】
図6及び図7に、本発明の固体冷却原子炉5を熱中性子炉にした例を示す。
【0076】
燃料要素4の被覆管内に充填する核燃料として、例えば、軽水炉で使用実績のある低濃縮ウランの酸化物燃料を使用する。また、被覆管の材料として、例えば、使用実績のあるジルカロイ合金やアルミニウム合金などを使用する。核燃料を充填した燃料棒4は固体冷却原子炉5の製造時に固体冷却ブロック1の中に装荷され、燃料棒4を装荷した後に上部蓋14を被せて密封される。この固体冷却原子炉5では炉心3から使用済み燃料を取り出すのは廃炉時であり、稼働途中での核燃料の交換を想定していない。例えば、廃炉時に固体冷却ブロック1内に燃料棒4を密封したままの状態で原子炉5全体を図示しない専用取扱い施設に運搬し、水中においてマジックハンド等の遠隔装置等を使用して上部蓋14を外し使用済み燃料を取り出す。
【0077】
なお、この固体冷却原子炉5は、例えば20年から60年程度の期間にわたり燃料交換せずに運転される。既に運転実績のある軽水炉では核燃料(ウラン)の4%程度を5年程度の期間で燃焼させているが、固体冷却原子炉5では出力密度が既に運転実績のある軽水炉の1/10〜1/100以下になるように設計しているので、20年〜60年程度の期間に亘る運転が可能である。炉心3の出力密度は、燃料部分の単位体積当たりで、例えば10MW/m程度に設計されている。
【0078】
また、この固体冷却原子炉5では、炉心3の出力密度を低く設定しているために蒸気発生管2の1本1本をそれぞれ複数の熱取り出し部1bに通している。例えば、1本の蒸気発生管2を3箇所の熱取り出し部1bに通すようにしている。この場合、最初に固体冷却ブロック1を通過する第1パス2aは、炉心3の中心近傍に配置することが好ましい。第1パス2a内の軽水は第2パス2bや第3パス2c内の軽水に比べて低温であり最もボイド率が低いために最も効率良く中性子を減速することができるからであり、同時に、仮に何らかの原因で蒸気発生管2内に温度の低い軽水が注入されたとしても軽水の温度変化を最小限に抑えて炉心3の反応度変化を最小にできるからである。なお、図6では蒸気発生管2を1本のみ記載しているが、これは構成を概念的に示したものであり、実際には固体冷却原子炉5の規模等に応じて適当な本数の蒸気発生管2を設置するのは勿論である。
【0079】
この固体冷却原子炉5には、固体冷却ブロック1の温度変化に応じて炉心3の反応度を増減する受動的制御装置15が取り付けられている。例えば、固体冷却ブロック1に穴を形成すると共に上部蓋14に貫通孔を形成し、これらの穴及び貫通孔に遮蔽体11に形成した孔11aから受動的制御装置15を挿入することで、受動的制御装置15を固体冷却ブロック1に取り付けている。
【0080】
受動的制御装置15を図8に示す。受動的制御装置15は、中性子吸収体16と、中性子吸収体16に接続され温度変化によって変形する駆動部材17とを備え、駆動部材17は、中性子吸収体16を炉心3の外に移動させる第1の形状と、中性子吸収体16を炉心3内に移動させる第2の形状とを有し、且つ固体冷却ブロック1の温度が設定温度T以上に上昇すると第1の形状から第2の形状に変形するものである。
【0081】
中性子吸収体16は、例えばBC、Ag−In−Cd等である。中性子吸収体16は例えば棒状に成形され、スリーブ18内に収容されている。中性子吸収体16には支持棒19が取り付けられており、この支持棒19はスリーブ18内に固定された第2のプレート20及び第3のプレート21を貫通している。第2のプレート20と第3のプレート21の間には第1のプレート22が配置され、この第1のプレート22は支持棒19の途中に固定されている。即ち、第1のプレート22はスリーブ18内を支持棒1と一体となって移動可能である。
【0082】
駆動部材17は、例えばNi−Ti−Pb合金の形状記憶合金で形成されたコイルスプリングで、第2のプレート20と第1のプレート22の間に配置されている。形状記憶合金はその組成を調節することで変態温度(設定温度T)を設定することができる。変態温度Tは、例えば固体冷却原子炉5の通常運転時の固体冷却ブロック1の温度よりも高く、固体冷却ブロック1の融点よりも低い温度に設定されている。変態温度Tは、例えば810℃である。
【0083】
炉心3の温度上昇により駆動部材17の温度が上昇して変態温度Tを超えると、駆動部材17は縮められた状態の第1の形状から伸びた状態の第2の形状に変形する。駆動部材17が第1の形状を成している場合には、図8中実線で示すように、第1のプレート22と第3のプレート21の間に配置されたコイルスプリング23によって中性子吸収体16が持ち上げられており、したがって、中性子吸収体16は炉心3の外に配置されている。一方、温度上昇により駆動部材17が第2の形状に変形すると、図8中二点鎖線で示すように、コイルスプリング23を押し縮めて中性子吸収体16が下降し、したがって中性子吸収体16が炉心3に挿入される。
【0084】
例えば、駆動部材17が長さ30cm程度のコイルスプリングである場合、この駆動部材17を長さ5cm程度にまで圧縮しておくことで、変態温度Tを越すと駆動部材17の長さが25cm程度伸びることになる。例えば高さが100cm程度の固体冷却原子炉5の場合、その高さが中央の20cm〜80cmの位置が最も反応度に影響を与える場所となる。このため、駆動部材17に接続した中性子吸収体16を固体冷却原子炉5の高さで90cm程度の位置に予め設置しておけば、駆動部材17の温度が変態温度Tを越えた場合に中性子吸収体16の高さは65cmの位置まで下がり、十分、原子炉5を停止することが可能である。
【0085】
また、この固体冷却原子炉5に、固体冷却ブロック1の温度上昇に応じて反応度を減少させる安全棒装置24を併設しても良い。例えば、固体冷却ブロック1に穴を形成すると共に上部蓋14に貫通孔を形成し、これらの穴及び貫通孔に遮蔽体11に形成した孔11bから安全棒装置24を挿入することで、安全棒装置24を固体冷却ブロック1に取り付けている。
【0086】
安全棒装置24を図9に示す。安全棒装置24は、中性子吸収体16と、中性子吸収体16を磁気吸着して炉心3の上方に吊した状態で支持する磁石体25を備え、磁石体25は固体冷却ブロック1の原子炉運転時における通常の温度よりも高く且つ固体冷却ブロック1の融点よりも低い温度のキューリー点を有している。本実施例では、中性子吸収体16に鉄片26を取り付け、この鉄片26を磁石体25で吸着するようにしている。ただし、中性子吸収体16自体が磁石に吸着されるものである場合には、磁石体25によって中性子吸収体16を直接吸着するようにしても良いことは勿論である。
【0087】
磁石体25はブラケット27によってスリーブ28の内周面に取り付けられている。本実施例では、例えば、固体冷却ブロック1として融点が660℃のアルミニウムを使用しており、原子炉運転時における固体冷却ブロック1の温度は通常300〜400℃程度であるので、磁石体25として460℃のキューリー点を有するBaフェライト磁石を使用する。
【0088】
中性子吸収体16は、例えばBC、Ag−In−Cd等である。中性子吸収体16はスリーブ28内に収納され、図9中実線で示すように、磁石体25によって吸着され吊り下げられている。固体冷却ブロック1の温度上昇により磁石体25の温度がキューリー点を超えると、図9中二点鎖線で示すように重力により中性子吸収体16が落下する。なお、この磁石体25を用いた安全棒装置24では、重力を利用して中性子吸収体16を落下させる構造であるので、中性子吸収体16を一度落下させると、反応度の減少により炉心3の温度が低下しても中性子吸収体16が炉心3から自動的に抜き取られることはなく、運転員の操作により中性子吸収体16が炉心3から抜き取られるまでは原子炉は停止している。
【0089】
この固体冷却原子炉5は、運転員が原子炉を起動、停止、出力制御するための制御棒29と、制御棒29の引き抜き速度を設定速度以下に制限する制限手段30を備えている。図10に制御棒29を、図11に制御手段30を示す。スリーブ31内には小型の環状ステップモータ32が設置され、この環状ステップモータ32が回転するとねじ棒33が上下に移動する。ねじ棒33の下端には電磁石34が取り付けられており、この電磁石34は中性子吸収体16に取り付けられた鉄片26を磁気吸着している。
【0090】
制限手段30は、例えば環状ステップモータ32の回転速度の最速値を制限する電気的な制御機構であり、環状ステップモータ32とこの環状ステップモータ32を制御するコントローラ35の間に設けられている。したがって、コントローラ35が環状ステップモータ32を所定の速度よりも速い速度で回転させようとしても、制限手段30がその速度を所定速度に制限し、中性子吸収体16の移動速度を制限する。ただし、制限手段30は電気的な制御機構に限るものではなく、例えば環状ステップモータ32を制御するコンピュータプログラムであっても良く、このコンピュータプログラムによって環状ステップモータ32の回転速度の上限を設けるようにしても良い。
【0091】
制限手段30は、制御棒29の引き抜き速度が最速で例えは数cm/分程度になるように、環状ステップモータ32の最高回転速度を制限する。制御棒29の引き抜き速度の最速値を数cm/分程度に制限することで、固体冷却原子炉5の起動に例えば1日以上の時間を要するが、反応度の変化を極力緩やかにしてより一層の安全性を実現するために長時間かけての起動を容認するとの設計思想である。ちなみに、稼働実績のある一般的な軽水炉では制御棒の引き抜き速度は数cm/秒程度であり、この速度でも十分に安全性は確保されているが、この固体冷却原子炉5では、燃料交換を想定していないことから原子炉の停止と再起動を行う回数が少なく、上記設計思想の実現が容易である。
【0092】
運転員は、固体冷却原子炉5の起動、停止、反応度制御のために環状ステップモータ32を操作して中性子吸収体16を上下に移動させる。この場合の中性子吸収体16の移動速度は極めて低速であるので、炉心3の反応度の変化は非常に緩やかである。一方、スクラムなどの原子炉停止時には、電磁石34の電流を断つことで中性子吸収体16を炉心3に瞬間的に落下させることができる。中性子吸収体16を落下させることで、原子炉5が停止する。なお、発電所の電源喪失などの異常時には、この電磁石34の電流が遮断され、中性子吸収体16を瞬間的に落下させる。
【0093】
かかる構成の固体冷却原子炉5を燃料交換することなく20年〜60年にわたり運転するためには、長期的な燃料の燃焼欠損による反応度の低下への補償が必要である。このため、固体冷却原子炉5では、反応度低下の予測に従って炉心3の近傍に減速材チューブ36を設置する。図12に、減速材チューブ36を示す。被覆管37内に軽水等の減速材38が封入されている。この減速材チューブ36を炉心3に挿入することで、炉心3の中性子を減速させる能力を向上させて熱中性子の割合を増加させ、燃料の燃焼欠損による反応度の低下を補償する。なお、減速材チューブ36の炉心3近傍への挿入は定期点検等により原子炉5を停止させている時に行われ、反応度事故の発生を防止する。また、被覆管37内に封入する減速材38としては軽水に限るものではなく、重水等の液体、ZrH等の固体を使用しても良いことは勿論である。
【0094】
なお、固体冷却原子炉5の固体冷却ブロック1と遮蔽体11の間には空気の流れが形成されており、固体冷却ブロック1の表面からの放熱を促進させている。固体冷却ブロック1は燃料棒4を密封するものであって原子炉容器即ち軽水炉では圧力容器として機能するものであるため、空気の流れが圧力容器として機能するものの外に形成されることになる。このようにすることで、圧力容器の内部に流れを形成する場合に比べて、空気の流れの形成やその制御が容易であり、また空気の流れの確認も容易である。即ち、運転実績のある原子炉では圧力容器の内部に冷却材の流れを形成しているが、固体冷却原子炉5では圧力容器として機能する固体冷却ブロック1の外に空気の流れを形成しているので、空気の流れを形成したり制御したりするのが容易であり、また空気の流れの確認も容易になり、安全性が判りやすくなり、また安全性をより一層高くすることができる。
【0095】
固体冷却原子炉5の運転により炉心3で発生した熱は固体冷却ブロック1に伝えられ、これにより炉心3は冷却される。そして、固体冷却ブロック1に伝えられた熱は蒸気発生管2に伝えられ、蒸気発生管2内を流れる軽水を加熱して蒸気を発生させる。また、固体冷却ブロック1の表面からも放熱される。蒸気発生管2内に発生した蒸気は、例えば発電用タービン6に供給される。
【0096】
この固体冷却原子炉5では、運転中に固体冷却ブロック1の温度が上昇して蒸気発生管2内の減速材として機能する軽水の温度も上昇すると、そのボイド率が増加するので高速中性子が熱中性子に減速される割合が減少して炉心3の反応度が低下する。即ち、自己制御性が働く。一方、運転中に固体冷却ブロック1の温度が上昇した場合であっても蒸気発生管2内の流量が増加したときには、結果的に減速材として機能する軽水の温度はあまり上昇しない。このため、上述の減速材の温度上昇による自己制御性はあまり期待することはできないが、この場合には固体冷却ブロック1の温度上昇によって受動的制御装置15が作動し中性子吸収体16を炉心3に移動させるので、炉心3に負の反応度を付与することができる。また、固体冷却ブロック1が熱膨張するので固体冷却ブロック1による高速中性子の炉心外への漏洩が増加して反応度をさらに低下させる。即ち、この場合にも自己制御性が働くことになる。そして、反応度が低下して固体冷却ブロック1の温度が正常値に戻ると、受動的制御装置15の駆動部材17の形状が第2の形状から第1の形状に戻り中性子吸収体16が炉心3から引き抜かれる。したがって、炉心3の反応度が増加し、目標の出力で原子炉5が運転される。即ち、炉心3の温度に応じて炉心3の反応度が自動的に制御され、原子炉の自動運転が可能になる。また、核燃料の温度上昇によるドップラー効果によって反応度が減少するので、これによる自己制御性も期待できる。
【0097】
また、受動的制御装置15の中性子吸収体16を炉心3に移動させることで原子炉が停止するように設計しておくことで、固体冷却ブロック1の温度が所定温度まで上昇した場合には、受動的制御装置15によって固体冷却原子炉5を自動的に停止させることができる。したがって、固体冷却原子炉5の安全性がより一層高まる。
【0098】
また、安全棒装置24を併設した場合には、固体冷却ブロック1の温度が上昇して安全棒装置24の磁石体25の温度が460℃のキューリー点に達すると、磁石体25により磁気吸着されていた中性子吸収体16が炉心3に落下し負の反応度が挿入されて原子炉を停止させる。このように受動的制御装置15とは別系統の安全棒装置24を併設することで、より安全性が向上する。なお、磁石体25を用いた安全棒装置24では中性子吸収体16が一度炉心3に挿入されると、固体冷却ブロック1の温度が低下しても炉心3から中性子吸収体16が自動的に引き抜かれることはなく、運転員に操作されるまで原子炉5は停止したままである。
【0099】
この固体冷却原子炉5では蒸気発生管2内の軽水の流れが停止し又は喪失し熱取り出し部1bからの除熱が期待できない場合でも、固体冷却ブロック1の表面で放熱が行われ、炉心3を冷却し続けることができる。つまり、炉心3を冷却して加熱された固体冷却ブロック1はその表面で放熱するので、溶融することなく炉心3を冷却し続けることができる。固体冷却ブロック1の表面には多数の放熱フィン1cが設けられているので、自然空冷能力が向上している。また、圧力容器として機能する固体冷却ブロック1の外への放熱であり、固体冷却ブロック1の周囲に空気の流れを形成する等して固体冷却ブロック1の外から放熱を制御することができるため、その制御が容易である。また、固体冷却ブロック1は金属であり熱伝導性が良いので、炉心3の冷却能力を十分に確保することができる。なお、タービントリップなどで蒸気発生管2内の軽水による固体冷却ブロック1の除熱が期待できなくなった場合には、受動的制御装置15等によって原子炉が停止するため、運転停止後における原子炉の崩壊熱(原子炉の通常運転時の発熱量の10%程度以下)を除去できる能力を有すれば良く、通常運転時における炉心3の発熱量を100%除熱する能力を有する必要は無い。
【0100】
図13及び図14に、本発明の固体冷却原子炉5を高速中性子炉にした例を示す。
【0101】
液体ナトリウム冷却高速増殖炉と同様に、U−Pu混合酸化物燃料をステンレス合金の被覆管内に充填した燃料棒4を使用する。ただし、かかる燃料棒4に限るものではなく、核燃料として例えば窒化物燃料や金属燃料等を使用しても良く、被覆管の材料として例えばジルカロイ等を使用しても良い。なお、金属燃料を使用する場合には、燃料の金属ウランや金属プルトニウムと被覆管のステンレス中の鉄やNiが650℃程度以上の温度で合金を作り溶けてしまう液層形成現象が発生する虞があるので、鉄,Niなどを含まないジルコニウム,ジルカロイ等の被覆管の利用によりこれを防止する必要がある。
【0102】
なお、燃料棒4の装荷や取り出しは、上述の熱中性子炉に適用した場合と同様に、発電所のサイトでは行わず、固体冷却原子炉5の製造時に装荷し、20年〜60年程度の運転期間の終了後に固体冷却原子炉5全体を専用取り扱い施設に運搬しそこで燃料棒4を取り出す。
【0103】
銅製の固体冷却ブロック1の燃料装荷部1aから十分離れた位置に熱取り出し部1bとなる孔をあけ、蒸気発生管2を挿入する。これにより、蒸気発生管2内の軽水が炉心3の反応度に影響するのを防止する。ただし、この場合には、蒸気発生管2が炉心3から十分離れた位置に配置されているので、固体冷却ブロック1が高温になった場合のボイド発生による原子炉の自己制御性を期待することができない。しかしながら、この場合には蒸気発生管2に低温の水が進入した場合の反応度の印加の影響も考慮する必要が無くなる。なお、蒸気発生管2内の流体として軽水を使用する代わりに、例えばHeガス等のガス用いても良い。ガスは軽水に比べて高速中性子を熱中性子に減速する能力に劣るため、蒸気発生管2内の流体としてガスを用いる場合には蒸気発生管2を炉心3に近い位置に設置することが可能になる。このため、原子炉の設計の自由度が向上する。
【0104】
本実施例では、固体冷却原子炉5を高速中性子炉とした場合にも受動的制御装置15を設けている。したがって、熱中性子炉とした場合と同様に、炉心3の温度変化に応じて反応度を自動的に制御することができる。また、受動的制御装置15の中性子吸収体16を炉心3に挿入することで原子炉5が停止するように設計した場合には、タービントリップなどで蒸気発生管2内の流体による固体冷却ブロック1の除熱が期待できなくなり、固体冷却ブロック1の温度が上昇することで、受動的制御装置15の中性子吸収体16が炉心3に移動し原子炉5を自動的に停止させることができる。
【0105】
また、受動的制御装置15と安全棒装置24とを併設しても良い。高速中性子炉の運転時には固体冷却ブロック1の温度は通常600℃〜800℃程度であり、固体冷却ブロック1として使用する銅の融点は1084℃であるので、安全棒装置24の磁石体25として、例えば850℃のキューリー点を有するアルニコ磁石を使用する。固体冷却ブロック1の温度が上昇して安全棒装置24の磁石体25の温度が850℃のキューリー点に達すると、磁石体25により磁気吸着されていた中性子吸収体16が落下し炉心3に負の反応度を挿入して原子炉を停止させる。このように受動的制御装置15とは別系統の安全棒装置24を併設することで、より安全性が向上する。
【0106】
また、固体冷却原子炉5を高速中性子炉とした場合にも、熱中性子炉の場合と同様に、制御棒29に制限手段30を設けて良いことは勿論である。
【0107】
また、この固体冷却原子炉5を燃料交換することなく20年〜60年にわたり運転するためには、長期的な燃料の燃焼欠損による反応度の低下への補償が必要である。高速中性子炉の場合は炉内でプルトニウムを増殖させることができるため、燃焼欠損による反応度の低下を最小に設計する事が可能であるが、プルトニウムの増殖に加えて、予め炉心3内に挿入しておいた中性子吸収体39を必要に応じて数年〜数10年間隔で定期的に少しずつ取り出すようにして燃料欠損による反応度補償を行っている。なお、予め炉心3に設置しておく中性子吸収体39としては、例えば鉄などの使用が可能である。
【0108】
この固体冷却ブロック1の表面にも多数の放熱フィン1cが設けられており、自然空冷能力を向上させている点については、熱中性子炉と同様である。
【0109】
なお、上述の説明では、受動的制御装置15と安全棒装置24とを併設していたが、両方を一緒に必ず設けなくても良く、どちらか一方のみの設置でも良い。
【0110】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1記載の固体冷却原子炉によると、炉心を固体冷却ブロックによって冷却し、該固体冷却ブロックを介して炉心で発生する熱を利用すると共に固体冷却ブロックの表面で自然対流による流体で冷却するようにしているので、冷却材の喪失が起こらず、たとえ熱利用側における固体冷却ブロックからの熱の取り出しが無くなった場合であっても、固体冷却ブロックはその表面で放熱を行うので冷却機能を完全に喪失することはなく、炉心を冷却し続けることができる。即ち、冷却材を喪失したり炉心の冷却機能を喪失することがなく、原子炉の固有安全性をより一層向上させることができる。また、緊急時炉心冷却系(ECCS)や余熱除去系などの安全施設が不要となり、原子炉の設備が簡素化されてコストを低減することができる。
【0111】
また、固体冷却ブロックが核燃料が充填された燃料要素を密封しているので、固体冷却ブロックを圧力容器として機能させることができる。このため、圧力容器が不要となり、原子炉の構造を簡素化することができる。
また、固体冷却ブロックに伝えられた熱が冷却材パス内を流れる冷却材に伝達されて発電用あるいは駆動用などの熱源として固体冷却ブロックの外に取り出されるので、炉心の出力を冷却材パスを使って循環する冷却材の冷却能力に応じた値とできる。即ち、大出力の原子炉とできる。しかも、その場合においても、冷却材の循環が何らかの理由により停止した時、例えば、タービントリップなどで冷却材パス例えば蒸気発生管からの熱の除去が無くなった場合でも、炉心の崩壊熱や余熱は固体冷却ブロックの表面からの放熱による冷却で十分に除熱できる。
【0112】
また、請求項2あるいは3に記載の固体冷却原子炉によると、仮に固体冷却ブロック内を通過する冷却材による固体冷却ブロックの除熱が不可能になったとしても、固体冷却ブロックはその表面から周囲の流体に放熱して冷却されるため冷却機能を完全に喪失することはない。しかも、自然対流による冷却なので、冷却流体を循環させるポンプやファンなどの装置が不要であると共に、これらが停電等により停止した場合に備える更なる安全装置も不要となる。
【0113】
特に、請求項2記載の固体冷却原子炉によると、冷却能力が空冷よりも遙かに大きくなるので、原子炉の熱出力を空冷による自然放熱の原子炉よりも大きくできる。しかも、液体をプールに蓄えておくことで、配管破断のように流体を喪失することがない。更に、この場合、固体冷却ブロックが液中に沈められ火災のおそれがないため、固体冷却ブロックとして黒鉛を使用することができる。黒鉛は熱中性子の吸収断面積が小さく、熱中性子の経済性が良好である。また、金属製の固体冷却ブロックを使用する場合には、火災の虞がないので、水冷に限らず空冷によっても冷却可能である。
【0116】
また、請求項記載の固体冷却原子炉によると、炉心から洩れた放射線を利用してプール内の流体通路を流れる流体にも放射線を照射して、例えばラジオアイソトープを製造したり、流体を加熱してその熱を利用したり、水素製造を行ったりすることができる。
【0117】
また、請求項記載の固体冷却原子炉によると、制御棒の挿脱による急激な反応度の変化を防止することができ、構造的に反応度事故を防止することができる。
【0118】
また、請求項記載の固体冷却原子炉によると、固体冷却ブロックの温度が異常に上昇し変形の設定温度に達したときに、駆動部材が第1の形状から第2の形状に変形して中性子吸収体を炉心内に移動させるため、炉心に負の反応度が挿入され、出力が減少する。そして、出力の減少により固体冷却ブロックの温度が低下すると、駆動部材の形状が第2の形状から第1の形状に戻り中性子吸収体を炉心から引き抜き、反応度を上昇させて出力を増加させる。このように炉心の温度の上下変動に応じて反応度が受動的に制御される。
【0119】
また、請求項記載の固体冷却原子炉によると、固体冷却ブロックの温度が磁石体のキューリー点まで上昇することがない通常運転時には、中性子吸収体は炉心の上方に吊り下げられているが、炉心の温度が異常上昇した場合には中性子吸収体を磁気吸着している磁石体が磁性を失うので、中性子吸収体を炉心に落下させて原子炉を停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した固体冷却原子炉の第1の実施形態を示し、原子炉を熱中性子炉にした場合の概念図である。
【図2】本発明を適用した固体冷却原子炉の第2の実施形態を示し、原子炉を高速中性子炉にした場合の概念図である。
【図3】本発明を適用した原子力プラントの第1の実施形態を示す概念図である。
【図4】本発明を適用した固体冷却原子炉の第3の実施形態を示し、熱交換手段として熱電変換素子を使用した場合の概念図である。
【図5】本発明適用した原子力プラントの第2の実施形態を示し、固体冷却原子炉をモジュール化して複数のモジュールを設置した場合の概念図である
【図6】本発明の固体冷却原子炉を熱中性子炉にした例を示す概念図である。
【図7】図6の熱中性子炉の燃料棒や蒸気発生管等の配置関係を示す概念図である。
【図8】受動的制御装置を示す縦断面図である。
【図9】安全棒装置を示す縦断面図である。
【図10】制御棒を示す縦断面図である。
【図11】制限手段を示す概念図である。
【図12】反応度を補償する減速材チューブを示す縦断面図である。
【図13】本発明の固体冷却原子炉を高速中性子炉にした例を示す概念図である。
【図14】図13の高速中性子炉の燃料棒や蒸気発生管等の配置関係を示す概念図である。
【図15】本発明の固体冷却原子炉を暖房用熱源等として利用可能な多目的原子炉として構成した実施形態を示す概念図である。
【図16】本発明を適用した固体冷却原子炉の第4の実施形態を示し、その固体冷却原子炉を備えた原子力プラントの概念図である。
【図17】固体冷却原子炉をBWRとした場合の燃料ユニットを示す縦断面図である。
【図18】固体冷却原子炉をBWRとした場合の燃料ユニットを示す横断面図である。
【図19】固体冷却原子炉をBWRとした場合の燃料ユニットの配置を示す概念図である。
【図20】通常時及び崩壊熱除去次の燃料ユニット内の温度分布を示す図である。
【図21】本発明を適用した固体冷却原子炉の第5の実施形態を示す概念図である。
【符号の説明】
1 固体冷却ブロック
1a 燃料装荷部
1b 熱取り出し部
2 熱交換手段
3 炉心
4 核燃料を充填した燃料棒(燃料要素)
15 受動的制御装置
16 中性子吸収体
17 駆動部材
24 安全棒装置
25 磁石体
29 制御棒
30 制限手段
41 固体冷却ブロック
41a 燃料装荷部
41b 熱取り出し部
42 熱交換手段
43 炉心
44 核燃料を充填した燃料棒
45 固体冷却原子炉
57 原子炉プール
68 放射線照射を受ける流体通路

Claims (9)

  1. 原子炉容器を代用する熱伝導性の固体冷却ブロックを備え、前記固体冷却ブロックに燃料要素を封じ込めて前記固体冷却ブロックを原子炉容器として機能させて独立した存在としての原子炉容器を不要にし、且つ前記固体冷却ブロックに前記燃料要素を直接接触させて前記固体冷却ブロックを介して前記燃料要素の熱を取り出すようにすると共に前記燃料要素が前記固体冷却ブロックを溶融することのない出力密度の炉心を構成する一方、前記固体冷却ブロックをその周囲の流体の自然対流で冷却して除熱すると共に、前記固体冷却ブロックには前記燃料要素の封じ込め位置と異なる位置で前記ブロック内を貫通し冷却材を循環させる冷却材パスが設けられ、前記パス内を流れる冷却材によって前記燃料要素から前記固体冷却ブロックに伝えられた熱が取り出され前記炉心が冷却されると共に取り出された熱が発電用、駆動用、暖房用の熱源として利用されることを特徴とする固体冷却原子炉。
  2. 前記固体冷却ブロックは炉心の余熱や崩壊熱を除去するに十分な量のプール内の液中に沈められ、前記液体の自然対流により冷却されることを特徴とする請求項1記載の固体冷却原子炉。
  3. 前記固体冷却ブロックはその表面での自然対流により空冷されることを特徴とする請求項1記載の固体冷却原子炉。
  4. 前記固体冷却ブロックは金属であることを特徴とする請求項2また3記載の固体冷却原子炉。
  5. 前記固体冷却ブロックは黒鉛であることを特徴とする請求項2または3記載の固体冷却原子炉。
  6. 前記固体冷却ブロックが沈められている液中に放射線照射を受ける流体通路を設け、当該流体通路に放射化又は加熱する流体を流すことを特徴とする請求項2記載の固体冷却原子炉。
  7. 制御棒と、該制御棒の引き抜き速度を設定速度以下に制限する制限手段を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の固体冷却原子炉。
  8. 前記固体冷却ブロックには温度変化に応じて反応度を増減する受動的制御装置が取り付けられており、前記受動的制御装置は、中性子吸収体と、該中性子吸収体に接続され温度変化によって変形する駆動部材とを備え、前記駆動部材は、前記中性子吸収体を炉心の外に位置させる第1の形状と、前記中性子吸収体を炉心内に移動させる第2の形状とを有し、且つ前記固体金属冷却材の温度が設定温度以上に上昇すると第1の形状から第2の形状に変形することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の固体冷却原子炉。
  9. 前記固体冷却ブロックには温度上昇に応じて反応度を減少させる安全棒装置が取り付けられており、前記安全棒装置は、中性子吸収体と、該中性子吸収体を磁気吸着して炉心の上方に吊した状態で支持する磁石体を備え、前記磁石体は、前記固体金属冷却材の原子炉運転時における通常の温度よりも高く且つ前記固体金属冷却材の融点よりも低い温度のキューリー点を有していることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の固体冷却原子炉。
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