JP2006308308A - プラスチック表面診断方法およびプラスチック表面診断装置 - Google Patents
プラスチック表面診断方法およびプラスチック表面診断装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006308308A JP2006308308A JP2005127958A JP2005127958A JP2006308308A JP 2006308308 A JP2006308308 A JP 2006308308A JP 2005127958 A JP2005127958 A JP 2005127958A JP 2005127958 A JP2005127958 A JP 2005127958A JP 2006308308 A JP2006308308 A JP 2006308308A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fluorescent component
- plastic surface
- intensity
- plastic
- light
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)
- Testing Resistance To Weather, Investigating Materials By Mechanical Methods (AREA)
- Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)
Abstract
【解決手段】 プラスチック(4)表面に紫外線(2a)を照射する紫外線源(2)と、前記紫外線(2a)が照射されたプラスチック(4)表面から放出される光を受光する受光素子(11)と、前記受光素子(11)で受光した光が有するスペクトル分布の分光特性を測定する分光特性測定手段(16)と、予め測定された前記プラスチック(4)と同じ材料の基準試料(4′)の基準分光特性を記憶する基準分光特性記憶手段(17)と、測定した前記分光特性と前記基準分光特性とを比較して、プラスチック表面を診断するプラスチック表面診断手段(17)と、を備えたプラスチック表面診断装置(1)。
【選択図】 図1
Description
また、プラスチックの種類を判別する技術として、プラスチックに紫外光を照射し、紫外光により励起されたプラスチック表面から放出される蛍光の波長スペクトルを分析することにより、プラスチックの種類を判別する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、特許文献2記載の技術では、プラスチックの種類の判別はできるが、プラスチックの劣化や汚染を検出することができないという問題がある。
前記技術的課題を解決するために、第1発明のプラスチック表面診断方法は、
紫外線(2a)が照射されたプラスチック(4)表面から放出される光(K)が有するスペクトル分布の分光特性を測定し、予め測定された前記プラスチック(4)と同じ材料の基準試料(4′)の基準分光特性と比較することにより、プラスチック(4)表面を診断することを特徴とする。
前記構成要件を備えた第1発明のプラスチック表面診断方法では、紫外線(2a)が照射されたプラスチック(4)表面から放出される光(K)が有するスペクトル分布の分光特性を測定し、予め測定された前記プラスチック(4)と同じ材料の基準試料(4′)の基準分光特性と比較することにより、プラスチック(4)表面を診断する。したがって、紫外線(2a)を照射した際にプラスチック(4)から放出される光(K)(蛍光やプラズマ発光)に基づいて、プラスチック(4)表面の診断ができるので、近赤外光等が透過する試料やプリズムに試料を近接させる必要がある近赤外光や赤外光を使用する場合と比べて診断しやすく、利便性が向上する。
第1発明の形態1のプラスチック表面診断方法は、前記第1発明において、
劣化していない状態の前記基準試料(4′)において強い蛍光強度で測定される特定の蛍光成分である劣化前蛍光成分の蛍光強度および劣化後の前記基準試料(4′)において強い蛍光強度で測定される特定の蛍光成分である劣化後蛍光成分の蛍光強度の強度比に基づいて設定された強度比閾値(S1)と、前記プラスチック(4)表面から放出された光の前記劣化前蛍光成分の蛍光強度および前記劣化後蛍光成分の蛍光強度の強度比と、を比較することにより、プラスチック(4)表面の劣化を診断することを特徴とする。
前記構成要件を備えた第1発明の形態1のプラスチック表面診断方法では、劣化していない状態の前記基準試料(4′)において強い蛍光強度で測定される特定の蛍光成分である劣化前蛍光成分の蛍光強度および劣化後の前記基準試料(4′)において強い蛍光強度で測定される特定の蛍光成分である劣化後蛍光成分の蛍光強度の強度比に基づいて設定された強度比閾値(S1)と、前記プラスチック(4)表面から放出された光の前記劣化前蛍光成分の蛍光強度および前記劣化後蛍光成分の蛍光強度の強度比と、を比較することにより、プラスチック(4)表面の劣化を診断する。したがって、プラスチック(4)の劣化を診断できる。
第1発明の形態2のプラスチック表面診断方法は、前記第1発明または第1発明の形態1において、
薬品で汚染されていない前記基準試料(4′)において強い蛍光強度で測定される特定の蛍光成分である薬品汚染前蛍光成分の蛍光強度および薬品で汚染された前記基準試料(4′)において強い蛍光強度で測定される特定の蛍光成分である薬品汚染後蛍光成分の蛍光強度の強度比に基づいて設定された強度比閾値(S1)と、前記プラスチック(4)表面から放出された光の前記薬品汚染前蛍光成分の蛍光強度および薬品汚染後蛍光成分の蛍光強度の強度比と、を比較することにより、プラスチック(4)表面の薬品による汚染を診断することを特徴とする。
前記構成要件を備えた第1発明の形態2のプラスチック表面診断方法では、薬品で汚染されていない前記基準試料(4′)において強い蛍光強度で測定される特定の蛍光成分である薬品汚染前蛍光成分および薬品で汚染された前記基準試料(4′)において強い蛍光強度で測定される特定の蛍光成分である薬品汚染後蛍光成分の強度比に基づいて設定された強度比閾値(S1)と、前記プラスチック(4)表面から放出された光の前記薬品汚染前蛍光成分および薬品汚染後蛍光成分の強度比と、を比較することにより、プラスチック(4)表面の薬品による汚染を診断する。したがって、プラスチック(4)表面の薬品汚染を診断できる。
第1発明の形態3のプラスチック表面診断方法は、前記第1発明および第1発明の形態1,2のいずれかにおいて、
前記紫外線(2a)として、波長が266nmのNd:YAGレーザの第4高調波を使用することを特徴とする。
(第1発明の形態3の作用)
前記構成要件を備えた第1発明の形態3のプラスチック表面診断方法では、波長が266nmのNd:YAGレーザの第4高調波を前記紫外線(2a)として使用し、劣化や汚染を診断できる。
前記技術的課題を解決するために第2発明のプラスチック表面診断装置(1)は、
プラスチック(4)表面に紫外線(2a)を照射する紫外線源(2)と、
前記紫外線(2a)が照射されたプラスチック(4)表面から放出される光(K)を受光する受光素子(11)と、
前記受光素子(11)で受光した光が有するスペクトル分布の分光特性を測定する分光特性測定手段(16)と、
予め測定された前記プラスチック(4)と同じ材料の基準試料(4′)の基準分光特性を記憶する基準分光特性記憶手段(17)と、
測定した前記分光特性と前記基準分光特性とを比較して、プラスチック(4)表面を診断するプラスチック表面診断手段(18)と、
を備えたことを特徴とする。
前記構成要件を備えた第2発明のプラスチック表面診断装置(1)では、紫外線源(2)は、プラスチック(4)表面に紫外線(2a)を照射する。受光素子(11)は、前記紫外線(2a)が照射されたプラスチック(4)表面から放出される光を受光する。分光特性測定手段(16)は、前記受光素子(11)で受光した光が有するスペクトル分布の分光特性を測定する。基準分光特性記憶手段(17)は、予め測定された前記プラスチック(4)と同じ材料の基準試料(4′)の基準分光特性を記憶する。プラスチック表面診断手段(18)は、測定した前記分光特性と前記基準分光特性とを比較して、プラスチック(4)表面を診断する。したがって、紫外線(2a)を照射した際にプラスチック(4)から放出される光(蛍光やプラズマ発光)に基づいて、プラスチック(4)表面の診断ができるので、光が透過する試料やプリズムに試料を近接させる必要がある近赤外光や赤外光を使用する場合と比べて診断しやすく、利便性が向上する。
第2発明の形態1のプラスチック表面診断装置(1)は、前記第2発明において、
前記紫外線(2a)が照射されたプラスチック(4)表面から放出された光が伝送される伝送部(7)と、前記伝送部(7)から複数に分岐した分岐伝送部(8)とを有する光ファイバ(6)と、
特定の波長領域の光を透過させる帯域透過フィルタ(9a,9b)を介して前記各分岐伝送部(8)に接続され、透過した光の強度を測定する光強度測定素子(11a,11b)により構成された前記受光素子(11)と、
を備えたことを特徴とする。
前記構成要件を備えた第2発明の形態1のプラスチック表面診断装置(1)では、光ファイバ(6)の伝送部(7)は、前記紫外線(2a)が照射されたプラスチック(4)表面から放出された光が伝送される。前記伝送部(7)から複数に分岐した分岐伝送部(8)には、特定の波長領域の光を透過させる帯域透過フィルタ(9a,9b)を介して光強度測定素子(11a,11b)が接続され、透過した光の強度を測定する。したがって、光強度測定素子(11a,11b)により特定の波長領域の光の強度を測定できる。
第2発明の形態2のプラスチック表面診断装置(1)は、前記第2発明の形態1において、
前記複数の分岐伝送部(8)の中のいずれか一つに配置され、劣化していない前記基準試料(4′)において強い蛍光強度で測定される特定の蛍光成分である劣化前蛍光成分を透過させる前記帯域透過フィルタ(9a)である劣化前蛍光成分透過フィルタ(9a)と、
前記劣化前蛍光成分透過フィルタ(9a)とは異なる前記分岐伝送部(8)に配置され、劣化後の前記基準試料(4′)において強い蛍光強度で測定される特定の蛍光成分である劣化後蛍光成分を透過させる前記帯域透過フィルタ(9b)である劣化後蛍光成分透過フィルタ(9b)と、
を備えたことを特徴とする。
前記構成要件を備えた第2発明の形態2のプラスチック表面診断装置(1)では、前記複数の分岐の中のいずれか一つに配置された劣化前蛍光成分透過フィルタ(9a)は、劣化していない前記基準試料(4′)において強い蛍光強度で測定される特定の蛍光成分である劣化前蛍光成分を透過させる。前記劣化前蛍光成分透過フィルタ(9a)とは異なる前記分岐伝送部(8)に配置された劣化後蛍光成分透過フィルタ(9b)は、劣化後の前記基準試料(4′)において強い蛍光強度で測定される特定の蛍光成分である劣化後蛍光成分を透過させる。したがって、各フィルタを透過した特定の蛍光成分を、それぞれのフィルタ(9a,9b)に接続された光強度測定素子(11a,11b)で計測でき、プラスチック(4)の劣化を診断できる。
第2発明の形態3のプラスチック表面診断装置(1)は、前記第2発明の形態1において、
前記複数の分岐伝送部(8)の中のいずれか一つに配置され、薬品で汚染されていない前記基準試料(4′)において強い蛍光強度で測定される特定の蛍光成分である薬品汚染前蛍光成分を透過させる前記帯域透過フィルタ(9a)である汚染前蛍光成分透過フィルタ(9a)と、
前記汚染前蛍光成分透過フィルタ(9a)とは異なる前記分岐伝送部(8)に配置され、薬品で汚染された前記基準試料(4′)において強い蛍光強度で測定される特定の蛍光成分である薬品汚染後蛍光成分を透過させる前記帯域透過フィルタ(9b)である汚染後蛍光成分透過フィルタ(9b)と、
を備えたことを特徴とする。
前記構成要件を備えた第2発明の形態3のプラスチック表面診断装置(1)では、前記複数の分岐の中のいずれか一つに配置された汚染前蛍光成分透過フィルタ(9a)は、薬品で汚染されていない前記基準試料(4′)において強い蛍光強度で測定される特定の蛍光成分である薬品汚染前蛍光成分を透過させる。汚染後蛍光成分透過フィルタ(9b)は、前記汚染前蛍光成分透過フィルタ(9a)とは異なる前記分岐伝送部(8)に配置され、薬品で汚染された前記基準試料(4′)において強い蛍光強度で測定される特定の蛍光成分である薬品汚染後蛍光成分を透過させる。したがって、各フィルタを透過した特定の蛍光成分を、それぞれのフィルタに接続された光強度測定素子(11a,11b)で計測でき、プラスチック(4)の汚染を診断できる。
(実施例1)
(プラスチック表面診断装置の説明)
図1は本発明の実施例1のプラスチック表面診断装置の概略説明図である。
図1に示す実施例1のプラスチック表面診断装置1は、励起光としての紫外線2aを照射する紫外線源2と、前記紫外線源2から照射された紫外線2aを絞るスリット3aが形成された絞り3とを有している。実施例1の紫外線源2からは、紫外線2aとして波長が266nmのNd:YAGレーザー(紫外線レーザ)の第4高調波が繰り返し周波数20Hzで照射され、スリット3aを通過した紫外線は、エネルギー0.3mJ、8mm×3mmの面積で、プラスチック4表面に照射される。なお、前記各設定値は、設計に応じて変更可能である。また、実施例1では、診断対象のプラスチック4として、PET(ポリエチレンテレフタレート)を使用する。
前記信号処理装置12は、各光強度測定素子11a、11bから入力された信号に基づいて分光特性としてのスペクトル強度を、光強度測定素子11a、11b毎に測定する分光特性測定手段16を有している。
さらに、前記信号処理装置12は、前記分光特性測定手段16で測定された分光特性(スペクトル強度)から計算される強度比と、前記強度比閾値記憶手段17aに記憶された強度比閾値S1と、を比較して、プラスチック4表面を診断するプラスチック表面診断手段18を有する。そして、プラスチック表面診断手段18は、診断結果をディスプレイ19に表示する。
図2は基準分光特性検出装置の概略説明図である。
図2において、基準分光特性検出装置21は、プラスチック表面診断装置1と同様の紫外線源2′、絞り3′を有している。紫外線源2′から出射された紫外線2a′はスリット3a′を通過して基準試料(プラスチック基準試料)4′表面に照射される。紫外線2a′が照射された基準試料4′から放出された光(蛍光)Kは、基準分光特性検出装置21によりその分光特性(基準分光特性)が測定される。前記基準分光特性検出装置21は、波長310nm以下の紫外光をカットする紫外カットフィルタ22と、紫外カットフィルタ22を通過した光を集光する集光レンズ23と、先端部に光ファイバープローブ24を有し集光された光が伝送される光ファイバ26と、光ファイバ26を伝送された光を分光してスペクトル分布の分光特性を測定するマルチチャンネル分光器27と、を有する。なお、実施例1において、基準分光特性検出装置21を使用してスペクトル分布を測定するための積算時間は500ms(すなわち、繰り返し周波数20Hzの紫外線レーザ10shot分)とした。
図3は前記図2に示す基準分光特性検出装置により紫外線の照射時間に応じて測定されたPETの蛍光スペクトル分布を示す実験結果のグラフであり、横軸に波長、縦軸に光の強度をとったグラフである。
図3において、図2に示す基準分光特性検出装置21を使用して基準試料としてのPETに紫外線レーザを照射した時に、照射時間に応じて、計測されるスペクトルが変化する。これは、紫外線レーザを照射し続けることにより、基準試料4′の表面劣化が加速されているためである。図3の実験結果から、劣化する前の状態(照射時間が1秒の場合)や劣化が少ない状態(照射時間が1分の場合)では、波長370nm〜385nm(劣化前蛍光成分)のスペクトル強度が相対的に強く測定され、劣化するに従って波長370nmのスペクトル強度が低下するとともに波長460nm(劣化後蛍光成分)のスペクトル強度が相対的に強く観測されることがわかる。したがって、全ての分光特性を測定しなくても、分光特性の中の劣化前蛍光成分と劣化後蛍光成分を参照することによりプラスチックの劣化を診断できることがわかる。なお、図3において、前記劣化面とは、目視で表面が粗く劣化している様子が見て取れるものを使用した。
図4において、図3の実験結果に基づいて、波長370nm(劣化前蛍光成分)を中心とした±10nmの波長領域の光強度の総和に対する波長460nm(劣化後蛍光成分)±10nmの波長領域の光強度の総和の割合(強度比)を計算した。図4を参照すると、劣化する前は強度比が小さく、劣化が進むにつれて強度比が大きくなることがわかる。したがって、診断対象のプラスチック4において、スペクトル分布全体の分光特性を測定しなくても、劣化前蛍光成分と劣化後蛍光成分の強度比を計算することで、劣化の程度の診断ができる。したがって、実施例1では、強度比が0.8の場合までが許容できる劣化度合いとし、プラスチック表面診断装置1の強度比閾値S1を0.8に設定した。なお、強度比閾値S1の値は、許容できる劣化度合いに応じて適宜変更可能である。
前記構成を備えた実施例1のプラスチック表面診断装置1では、紫外線レーザ2aが照射されたプラスチック4表面からの蛍光Kの分光特性を測定する。このとき、劣化前蛍光成分透過フィルタ9aを通過して光強度測定素子(劣化前蛍光成分測定素子)11aで計測された光の強度(劣化前蛍光成分の蛍光強度)と、劣化後蛍光成分透過フィルタ9bを透過して光強度測定素子(劣化後蛍光成分測定素子)11bで計測された光の強度(劣化後蛍光成分の強度)との比が、強度比閾値S1と比較されて劣化の診断が行われる。すなわち、計測された強度比が強度比閾値S1以下の場合には、許容できる劣化度合いのプラスチックであると判別でき、強度比が強度比閾値S1より大きい場合には許容できない程度まで劣化したプラスチックであると診断できる。
また、実施例1のプラスチック表面診断装置1では、紫外線レーザを使用するので、単位面積あたりの強度が強く蛍光が得られやすいと共に、レーザ光が拡散せず進み小さな点に集光できる。したがって、プラスチック材料がチップ上に裁断されていても、裁断された個々の微小片チップにレーザを集光して照射でき、蛍光を得ることができるため、小さなチップの個々の判定・診断が可能である。
この結果、実施例1のプラスチック表面診断装置1により、プラスチック(PET)の劣化の診断を容易に行うことができ、リサイクル処理前の材料分別を効率的に行うことができる。
次に本発明の実施例2の説明を行うが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例2は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
図5はポリアセタールに紫外線を照射した時間に応じて測定された蛍光スペクトル分布を示す実験結果のグラフであり、横軸に波長、縦軸に光の強度をとったグラフである。
図6は図5の実験結果に基づいて計算された強度比を示すグラフであり、横軸に波長、縦軸に強度比をとったグラフである。
実施例2では、プラスチック4、4′材料としてポリアセタールを使用し、実施例1と同様の基準分光特性検出装置21を使用して基準分光特性を測定した。
この結果、図5に示すように、劣化していない状態(1秒照射後参照)では、波長315nm(劣化前蛍光成分)に強度のピークが測定され、紫外線の照射に伴ってプラスチック表面が劣化していくと、315nmの強度が相対的に低下し、405nm(劣化後蛍光成分)の強度が相対的に強くなっている。この実験結果に基づいて、315nm(劣化前蛍光成分)を中心とした±5nmの波長領域の光強度の総和に対する405nm(劣化後蛍光成分)±10nmの波長領域の光強度の総和の割合(強度比)を計算すると、図6の結果が得られた。図6を参照すると、劣化する前は強度比が小さく、劣化が進むにつれて強度比が大きくなることがわかる。
また、図7に示すように、プラスチック表面が薬品で汚染されると315nm(薬品汚染前蛍光成分)が相対的に低下し、405nmや450nm(ともに薬品汚染後蛍光成分)の強度が相対的に強くなっている。そして、薬品で汚染された部分を削除すると、薬品汚染前の場合と同様のスペクトル分布が観測された。
これらの結果、スペクトル分布全体の分光特性を観測しなくても、劣化前蛍光成分や薬品汚染前蛍光成分と、劣化後蛍光成分や薬品汚染後蛍光成分との強度比を測定することで、プラスチック4の劣化や薬品汚染を診断することができる。
前記構成を備えた実施例2のプラスチック表面診断装置1では、劣化前蛍光成分および薬品汚染前蛍光成分である315nmの光強度と、劣化後蛍光成分および薬品汚染後蛍光成分である405nmの光強度との強度比を測定して、強度比閾値S1と比較することで、プラスチック4が劣化または薬品汚染されていないかを診断できる。この結果、実施例1と同様に、利便性を高めることができる。
なお、実施例2において、光ファイバ6に3つ目の分岐伝送部を設け、3つ目の分岐伝送部に、薬品汚染後蛍光成分である450nmを中心とした領域を透過させる汚染後蛍光成分透過フィルタを配置して、薬品汚染診断用の強度比閾値(例えば、0.5)を使用して、薬品汚染の診断することも可能である。
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。
例えば、診断対象のプラスチックは、PETやポリアセタールに限定されず、任意のプラスチックとすることができる。
また、紫外線レーザを照射する紫外線源(紫外線レーザ照射装置)を使用することが望ましいが、紫外光を照射する紫外線ランプを使用することも可能である。また、使用する紫外線の波長や、カットフィルタ22のカットする波長等の具体的数値は、設計に応じて任意に変更可能である。
また、劣化前蛍光成分と劣化後蛍光成分の強度比や、薬品汚染前蛍光成分と薬品汚染後蛍光成分の強度比に基づいて診断を行ったが、各蛍光成分が2つ以上ある場合には、2つ以上の強度比とそれに対応する複数の強度比閾値を使用して、より精確に診断を行うことも可能である。例えば、材料や汚染薬品、汚染物質(例えば、人間の皮脂や髪の毛等)の種類によって、汚染前蛍光成分が2つあり、汚染後蛍光成分が1つある場合には、第1汚染前蛍光成分および汚染後蛍光成分の強度比と第1強度比閾値との判別結果と、第2汚染前蛍光成分および汚染後蛍光成分の強度比と第2強度比閾値との判別結果とから、薬品または汚染物質による汚染の診断を行うことができる。
さらに、前記実施例において、強度比を計算する際に、各蛍光成分から所定の範囲の波長領域(±10nmまたは±5nm)の光強度の総和を計算したが、前記波長領域の幅は任意に変更可能であり、範囲をなくして蛍光成分のみの光強度に基づいて強度比を計算することも可能である。
Claims (8)
- 紫外線が照射されたプラスチック表面から放出される光が有するスペクトル分布の分光特性を測定し、予め測定された前記プラスチックと同じ材料の基準試料の基準分光特性と比較することにより、プラスチック表面を診断することを特徴とするプラスチック表面診断方法。
- 劣化していない状態の前記基準試料において強い蛍光強度で測定される特定の蛍光成分である劣化前蛍光成分の蛍光強度および劣化後の前記基準試料において強い蛍光強度で測定される特定の蛍光成分である劣化後蛍光成分の蛍光強度の強度比に基づいて設定された強度比閾値と、前記プラスチック表面から放出された光の前記劣化前蛍光成分の強度および前記劣化後蛍光成分の強度の強度比と、を比較することにより、プラスチック表面の劣化を診断することを特徴とする請求項1記載のプラスチック表面診断方法。
- 薬品で汚染されていない前記基準試料において強い蛍光強度で測定される特定の蛍光成分である薬品汚染前蛍光成分の蛍光強度および薬品で汚染された前記基準試料において強い蛍光強度で測定される特定の蛍光成分である薬品汚染後蛍光成分の強度の強度比に基づいて設定された強度比閾値と、前記プラスチック表面から放出された光の前記薬品汚染前蛍光成分の蛍光強度および薬品汚染後蛍光成分の蛍光強度の強度比と、を比較することにより、プラスチック表面の薬品による汚染を診断することを特徴とする請求項1または2に記載のプラスチック表面診断方法。
- 前記紫外線として、波長が266nmのNd:YAGレーザの第4高調波を使用することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のプラスチック表面診断方法。
- プラスチック表面に紫外線を照射する紫外線源と、
前記紫外線が照射されたプラスチック表面から放出される光を受光する受光素子と、
前記受光素子で受光した光が有するスペクトル分布の分光特性を測定する分光特性測定手段と、
予め測定された前記プラスチックと同じ材料の基準試料の基準分光特性を記憶する基準分光特性記憶手段と、
測定した前記分光特性と前記基準分光特性とを比較して、プラスチック表面を診断するプラスチック表面診断手段と、
を備えたことを特徴とするプラスチック表面診断装置。 - 前記紫外線が照射されたプラスチック表面から放出された光が伝送される伝送部と、前記伝送部から複数に分岐した分岐伝送部とを有する光ファイバと、
特定の波長領域の光を透過させる帯域透過フィルタを介して前記各分岐伝送部に接続され、透過した光の強度を測定する光強度測定素子により構成された前記受光素子と、
を備えたことを特徴とする請求項5記載のプラスチック表面診断装置。 - 前記複数の分岐伝送部の中のいずれか一つに配置され、劣化していない前記基準試料において強い蛍光強度で測定される特定の蛍光成分である劣化前蛍光成分を透過させる前記帯域透過フィルタである劣化前蛍光成分透過フィルタと、
前記劣化前蛍光成分透過フィルタとは異なる前記分岐伝送部に配置され、劣化後の前記基準試料において強い蛍光強度で測定される特定の蛍光成分である劣化後蛍光成分を透過させる前記帯域透過フィルタである劣化後蛍光成分透過フィルタと、
を備えたことを特徴とする請求項6記載のプラスチック表面診断装置。 - 前記複数の分岐伝送部の中のいずれか一つに配置され、薬品で汚染されていない前記基準試料において強い蛍光強度で測定される特定の蛍光成分である薬品汚染前蛍光成分を透過させる前記帯域透過フィルタである汚染前蛍光成分透過フィルタと、
前記汚染前蛍光成分透過フィルタとは異なる前記分岐伝送部に配置され、薬品で汚染された前記基準試料において強い蛍光強度で測定される特定の蛍光成分である薬品汚染後蛍光成分を透過させる前記帯域透過フィルタである汚染後蛍光成分透過フィルタと、
を備えたことを特徴とする請求項6記載のプラスチック表面診断装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005127958A JP4599559B2 (ja) | 2005-04-26 | 2005-04-26 | プラスチック表面診断方法およびプラスチック表面診断装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005127958A JP4599559B2 (ja) | 2005-04-26 | 2005-04-26 | プラスチック表面診断方法およびプラスチック表面診断装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006308308A true JP2006308308A (ja) | 2006-11-09 |
JP4599559B2 JP4599559B2 (ja) | 2010-12-15 |
Family
ID=37475381
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005127958A Active JP4599559B2 (ja) | 2005-04-26 | 2005-04-26 | プラスチック表面診断方法およびプラスチック表面診断装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4599559B2 (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009092413A (ja) * | 2007-10-04 | 2009-04-30 | Frontier Lab Kk | 高分子試料分析装置 |
JP2014044137A (ja) * | 2012-08-28 | 2014-03-13 | Suga Test Instr Co Ltd | 耐候光試験用受光器及び該受光器を搭載した耐候光試験機 |
WO2014116795A1 (en) * | 2013-01-23 | 2014-07-31 | Sabic Innovative Plastics Ip B.V. | Method for determining degradation of thermoplastics |
US9897551B2 (en) | 2013-01-23 | 2018-02-20 | Sabic Global Technologies B.V. | Method for accelerated degradation of thermoplastics |
JP2020148471A (ja) * | 2019-03-11 | 2020-09-17 | 株式会社神戸製鋼所 | 表面状態判定方法及び表面状態判定装置 |
JP2020176854A (ja) * | 2019-04-16 | 2020-10-29 | コニカミノルタ株式会社 | 樹脂の劣化度評価試験方法及びそれを用いた樹脂のリサイクルシステム |
CN114034646A (zh) * | 2021-10-25 | 2022-02-11 | 太初环塑科技(浙江)有限公司 | 一种回收塑料瓶识别系统 |
WO2024034344A1 (ja) * | 2022-08-09 | 2024-02-15 | キヤノン株式会社 | 分析方法 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH02223833A (ja) * | 1989-02-27 | 1990-09-06 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 光ファイバ後方散乱光測定装置 |
JPH04335142A (ja) * | 1991-01-31 | 1992-11-24 | Metallges Ag | プラスチック粒の定性分析方法及び装置 |
JPH07260688A (ja) * | 1994-03-25 | 1995-10-13 | Densen Sogo Gijutsu Center | 蛍光を用いたポリマー材料の劣化診断方法 |
JP2000241351A (ja) * | 1999-02-25 | 2000-09-08 | Densen Sogo Gijutsu Center | 蛍光分析装置を用いた架橋ポリエチレンの劣化診断方法 |
JP2001296570A (ja) * | 2000-02-09 | 2001-10-26 | Hitachi Ltd | 紫外レーザ光発生装置並びに欠陥検査装置およびその方法 |
-
2005
- 2005-04-26 JP JP2005127958A patent/JP4599559B2/ja active Active
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH02223833A (ja) * | 1989-02-27 | 1990-09-06 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 光ファイバ後方散乱光測定装置 |
JPH04335142A (ja) * | 1991-01-31 | 1992-11-24 | Metallges Ag | プラスチック粒の定性分析方法及び装置 |
JPH07260688A (ja) * | 1994-03-25 | 1995-10-13 | Densen Sogo Gijutsu Center | 蛍光を用いたポリマー材料の劣化診断方法 |
JP2000241351A (ja) * | 1999-02-25 | 2000-09-08 | Densen Sogo Gijutsu Center | 蛍光分析装置を用いた架橋ポリエチレンの劣化診断方法 |
JP2001296570A (ja) * | 2000-02-09 | 2001-10-26 | Hitachi Ltd | 紫外レーザ光発生装置並びに欠陥検査装置およびその方法 |
Cited By (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009092413A (ja) * | 2007-10-04 | 2009-04-30 | Frontier Lab Kk | 高分子試料分析装置 |
JP4660799B2 (ja) * | 2007-10-04 | 2011-03-30 | フロンティア・ラボ株式会社 | 高分子試料分析装置 |
JP2014044137A (ja) * | 2012-08-28 | 2014-03-13 | Suga Test Instr Co Ltd | 耐候光試験用受光器及び該受光器を搭載した耐候光試験機 |
US9897551B2 (en) | 2013-01-23 | 2018-02-20 | Sabic Global Technologies B.V. | Method for accelerated degradation of thermoplastics |
CN104937392A (zh) * | 2013-01-23 | 2015-09-23 | 沙特基础全球技术有限公司 | 用于测定热塑性材料的退化的方法 |
US9557218B2 (en) | 2013-01-23 | 2017-01-31 | Sabic Global Technologies B.V. | Method for determining degradation of thermoplastics |
WO2014116795A1 (en) * | 2013-01-23 | 2014-07-31 | Sabic Innovative Plastics Ip B.V. | Method for determining degradation of thermoplastics |
US9921145B2 (en) | 2013-01-23 | 2018-03-20 | Sabic Global Technologies B.V. | Method for determining degradation of thermoplastics |
JP2020148471A (ja) * | 2019-03-11 | 2020-09-17 | 株式会社神戸製鋼所 | 表面状態判定方法及び表面状態判定装置 |
JP7150640B2 (ja) | 2019-03-11 | 2022-10-11 | 株式会社神戸製鋼所 | 残存状態判定方法及び残存状態判定装置 |
JP2020176854A (ja) * | 2019-04-16 | 2020-10-29 | コニカミノルタ株式会社 | 樹脂の劣化度評価試験方法及びそれを用いた樹脂のリサイクルシステム |
JP7283198B2 (ja) | 2019-04-16 | 2023-05-30 | コニカミノルタ株式会社 | 樹脂の劣化度評価試験方法、それを用いた樹脂のリサイクルシステム及び樹脂劣化度評価装置 |
CN114034646A (zh) * | 2021-10-25 | 2022-02-11 | 太初环塑科技(浙江)有限公司 | 一种回收塑料瓶识别系统 |
WO2024034344A1 (ja) * | 2022-08-09 | 2024-02-15 | キヤノン株式会社 | 分析方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4599559B2 (ja) | 2010-12-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4599559B2 (ja) | プラスチック表面診断方法およびプラスチック表面診断装置 | |
KR20180036779A (ko) | 온라인 프로세스 모니터링 | |
CN105358947A (zh) | 用于拉曼、反射和荧光光谱测量的集成光谱探头 | |
CN109964111B (zh) | 用于鉴定钻石的设备 | |
CN102680447A (zh) | 光学材料的缺陷和光致损伤的检测装置 | |
CN106066318A (zh) | 一种在线测试光学元件激光损伤的方法及装置 | |
JP2001505303A (ja) | 医療用及び歯科用器具の清浄度及び完全性評価のためのスキャン装置 | |
CN111562252A (zh) | 一种基于同轴双波长消荧光的拉曼检测系统 | |
CN107907527B (zh) | 基于反射光功率和图像识别的拉曼光谱检测设备及方法 | |
JP2007098442A (ja) | レーザ接合品質検査装置 | |
CN104833660B (zh) | 一种石英音叉式激光击穿检测装置 | |
US10215630B2 (en) | Raman spectroscopy systems and raman spectroscopy methods | |
JP4423421B2 (ja) | エバネッセントカテーテルシステム | |
JP2012207935A (ja) | ラマン分光装置およびそれを用いた識別装置 | |
CN109975261A (zh) | 莫桑宝石真伪鉴定方法及装置 | |
CN115191940A (zh) | 一种基于机器学习的快速识别甲状旁腺的光纤探针系统 | |
JP4621524B2 (ja) | 分析装置 | |
CN107192675A (zh) | 一种简单有效地抑制荧光干扰的光调制反射光谱检测系统 | |
CN112666103A (zh) | 基于光谱特征的水质监测系统 | |
US8934093B2 (en) | Crystal fiber, raman spectrometer using the same and detection method thereof | |
KR102274264B1 (ko) | 슬릿 안테나 프로브, 및 이를 이용한 다중 접합 반도체의 결함 검사 장치 및 방법 | |
CN106483114A (zh) | 一种可见光辅助对焦的便携式拉曼光谱仪 | |
JP2004294150A (ja) | 分光分析装置及び分光分析法 | |
JP2004163131A (ja) | レーザー光を用いた歯のう蝕の検出装置 | |
KR20200011836A (ko) | 일체형 광학 장치 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20060912 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080404 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20100527 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100629 |
|
A521 | Written amendment |
Effective date: 20100805 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20100831 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
R150 | Certificate of patent (=grant) or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |