JP7150640B2 - 残存状態判定方法及び残存状態判定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、表面状態判定方法及び表面状態判定装置に関する。
Siを含有する高張力鋼板等は、熱延(熱間圧延)処理して鋼板を製造する際、外面にスケール層が形成されると共に、スケール層の下層の地金の粒界に沿ってSi酸化物が生成した層(以下、粒界酸化層)が形成される。この粒界酸化層が表面に存在する状態では、鋼板製品の化成処理性が悪化する。
このような問題に対して熱延(熱間圧延)処理後、鋼板を酸性の溶液に浸漬する酸洗を行うことでスケール層及び粒界酸化層を除去する方法が知られている。例えば、酸洗を行った後に、酸の濃度と鉄イオンの濃度とを調製した酸液で2回目の酸洗を行うことで、化成処理性が優れた熱延鋼板の製造方法が開示されている(特開2015-105393号公報)。
特開2015-105393号公報
しかし、上記従来の熱延鋼板の製造方法では、酸洗によって鋼板の表面からスケール層及び粒界酸化層を除去できるが、実際に酸洗によって鋼板の表面から粒界酸化層が除去されたかを目視などで判定することは難しい。そこで、本発明は、酸洗によって熱延鋼板の表面状態を判定できる表面状態判定方法及び表面状態判定装置を提供することを課題とする。
発明者らが上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、酸洗による粒界酸化層の除去の前後で鋼板の表面の色調が変化することを見出した。そこで、粒界酸化層の除去処理後の熱延鋼板の表面の色調に基づいて粒界酸化層が除去されたか否かを判定することを想到した。ところで、多品種の鋼板を生産する熱延鋼板の酸洗ラインにおいては、鋼板の種類に応じて酸洗条件が変化する。そこで、酸洗条件を変化させてさらに検討したところ、酸洗条件によって粒界酸化層が除去された後の熱延鋼板の表面の色調が変化することを見出した。この酸洗条件の変化による粒界酸化層の除去処理がなされた後の熱延鋼板の表面の色調の変化は大きいため、全ての酸洗条件に対して、一律に、粒界酸化層が除去されたか否かを判定する基準となる粒界酸化層除去後の熱延鋼板の表面の色調を設定することは困難であることが判明した。
発明者らは、酸洗条件ごとに粒界酸化層が除去されたか否かを判定する基準となる粒界酸化層除去後の熱延鋼板の表面の色調を設定し、当該基準に基づいて、粒界酸化層が除去されたか否かを判定することを想到した。具体的には、熱延鋼板の表面の色調を色調指標によって数値化し、粒界酸化層が除去されたと判断される限度の熱延鋼板の表面状態に対応する色調指標を、粒界酸化層が除去されたか否かを判定する閾値として設定することとした。本発明はこのような知見に基づいて完成されたものである。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、酸洗後の熱延鋼板の表面状態の判定方法であって、上記鋼板の表面に単波長でない光を照射する工程と、上記鋼板の表面から発せられた上記照射の反射光を受光する工程と、上記受光工程で得られた反射光に基づき表面状態を判定する工程とを備え、上記判定工程で、上記反射光の色調の指標である色調指標を算出し、酸洗条件ごとに設定された上記色調指標の閾値と算出した上記色調指標とを比較した結果から酸洗後の熱延鋼板の表面状態の良否を判定する表面状態判定方法である。
鋼板の表面に単波長でない光を照射した場合の反射光の色調は、鋼板の表面状態に応じて変化する。当該表面状態判定方法では、反射光の色調の指標である色調指標を算出することで、反射光の色調を数値化する。つまり、当該表面状態判定方法における色調指標は、反射光の色調を数値化したものをいう。反射光の色調を算出した上記色調指標と、酸洗条件ごとに設定された上記色調指標の閾値とを比較した結果から表面状態の良否を判定する。このように、酸洗条件ごとに上記色調指標の閾値を設定することにより、酸洗条件にかかわらず一律に閾値を設定していた場合に比べ、実際の計測値に対し閾値を高めに設定できることにより鋼板の否判定の過検出を防止し、鋼板製品の歩留まりを向上することができる。
上記色調指標は、第1波長範囲の輝度の上記第1波長範囲とは異なる第2波長範囲の輝度に対する比率であることが好ましい。第1波長範囲と異なる範囲は、第2波長範囲が第1波長範囲を含んでもよいし、第2波長範囲が第1波長範囲と波長範囲が一部重なってもよいし、第2波長範囲が第1波長範囲と全く異なる波長範囲であってもよい。ただし、第2波長範囲が第1波長範囲に包含される場合は除かれる。このように上記色調指標を上記比率にすることで、容易に色調を数値化することができる。
上記第1波長範囲が赤色光波長域内又は青色光波長域内であるのが好ましい。このように、上記第1波長範囲が鋼板表面の粒界酸化層の有無によって反射光の輝度が比較的大きく変化する赤色光波長域内又は青色光波長域内であることによって、酸洗による粒界酸化層の除去をより正確に判定することができる。
上記第2波長範囲は赤色光波長、緑色光波長及び青色光波長を含むことが好ましい。このように、上記第2波長範囲が赤色光波長、緑色光波長及び青色光波長を含むことによって、波長範囲の輝度の値が比較的安定するので、鋼板の表面状態を比較的正確に判定することができる。
上記酸洗条件は、酸濃度、インヒビター濃度及び鉄イオン濃度の組み合わせを含むことが好ましい。このように上記酸洗条件が、酸濃度、インヒビター濃度及び鉄イオン濃度の組み合わせであることで、酸洗液成分の調節及び測定を容易にすることができる。
上記酸洗液は、塩酸、硝酸、リン酸、弗酸及び硫酸よりなる群から選択される1種又は2種以上を含有することが好ましい。中でも、塩酸を使用することで経済性および酸洗速度を向上することができる。
本発明の別の態様は、酸洗後の熱延鋼板の表面状態の判定する装置であって、上記鋼板の表面に単波長でない光を照射する照射器と、上記鋼板の表面から発せられた上記照射の反射光を受光する受光器と、上記受光器で得られた反射光に基づき表面状態を判定する判定器とを備え、上記判定器が、上記反射光の色調の指標である色調指標を算出し、酸洗い条件ごとに設定された上記色調指標の閾値と算出した上記色調指標とを比較した結果から酸洗後の熱延鋼板の表面状態の良否を判定する表面状態判定装置である。
当該表面状態判定装置は、上記反射光の色調の指標である色調指標を算出する。算出した上記色調指標と酸洗い条件ごとに設定された上記色調指標の閾値とを比較した結果から酸洗後の熱延鋼板の表面状態の良否を判定するので、酸洗後の熱延鋼板の表面状態を適切に判定することができる。
以上のように、本発明は、酸洗後の熱延鋼板表面の表面状態を適切に判定することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る表面状態判定装置が適用される熱延鋼板の酸洗ラインの例を示す模式図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る表面状態判定装置の構成を示す図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る表面状態判定方法の手順を示すフローチャートである。 図4は、酸洗後鋼板に対する酸濃度、インヒビター濃度及び鉄イオン濃度の影響を示すグラフである。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
〔本発明の一実施形態に係る表面状態判定装置が適用される熱延鋼板の酸洗ライン〕
図1は、当該表面状態判定装置が適用される熱延鋼板の酸洗ラインの例を示す模式図である。
上記酸洗ラインは、酸洗槽Aと、ルーパBと、冷間圧延装置Cとを備える。当該表面状態判定装置(図2における100)は、照射器1の計測地点Dで鋼板表面の色調を計測する。熱延鋼板Sは、長尺帯状に形成され、複数の搬送ローラーやルーパBなどによって連続搬送される。熱延鋼板Sは、酸洗槽A内を通過することによってこの酸洗槽Aに貯留される酸洗液11に浸漬され、表面の粒界酸化層が除去される。酸洗後、熱延鋼板Sは、冷間圧延装置Cで冷間圧延される。
〔表面状態判定装置〕
図2は、上記表面状態判定装置100の構成を示す図であって、照射器1と、受光器2と、判定器3及び出力器4を備える。
<照射器>
照射器1としては、単波長でない光を照射できるものであればよいが、白色光を照射できるものが好ましい。
このような照射器1としては、例えば白色LED、蛍光ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ等を用いることができる。
また、照射器1は、エネルギー効率を向上すると共に受光器2に正反射光が入射しないようにすることが容易となるよう、例えばレンズ等を含み、光を一点又は狭い範囲内に照射できる光学系を備えることが好ましい。
<受光器>
受光器2としては、例えばCCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサー等を用いることができる。
受光器2は、正反射光を受光しない位置に配設され、熱延鋼板Sの表面での乱反射光を受光することが好ましい。なお、「正反射光」とは、熱延鋼板Sの表面が鏡面である場合の反射光を意味し、熱延鋼板Sの表面の微細な凹凸により不規則に反射した光は乱反射光と解する。
<判定器>
判定器3としては、演算機能を備える機器であればよく、例えばマイクロプロセッサーを有するコンピューター、専用に設計された演算回路を有するICなどを用いることができる。
<出力器>
出力器4としては、判定器3で算出した結果を外部に出力できる機器であればよく、例えば、ディスプレー、プリンター、音声出力器、回転灯などを用いることができる。また、外部の演算機能を有する機器に判定結果を格納してもよい。
<熱延鋼板>
当該表面状態判定によって判定される熱延鋼板Sとしては、特に限定されるものではないが、酸洗により表面の粒界酸化層が除去されるSi(ケイ素)含有高強度鋼板等が想定される。
〔表面状態の判定方法〕
以下、酸洗後の熱延鋼板の表面状態判定方法の各工程について詳説する。
図2の上記表面状態判定装置100を用いて行われる当該表面状態判定方法は、図3に示すように、熱延鋼板の表面に単波長でない光を照射する工程<照射工程:S1>と、熱延鋼板の表面から発せられた上記照射の反射光を受光する工程<受光工程:S2>と、受光工程で得られた反射光の色調の指標である色調指標を算出し、酸洗条件ごとに設定された上記色調指標の閾値と、算出した上記色調指標との比較結果から熱延鋼板の表面状態の良否を判定する工程<判定工程:S3>とを備える。
<照射工程>
照射工程S1では、照射器1から熱延鋼板Sの表面に光を照射する。照射器1から熱延鋼板Sに照射される光の入射角度(照射器1の光軸と熱延鋼板Sの法線とのなす角度)は、入射光の強度を大きくして反射光の輝度を大きくできるよう、小さいことが好ましい。
<受光工程>
受光工程S2では、熱延鋼板Sの表面から発せられた照射器1の反射光を受光器2によって受光し、反射光の色調を測定する。
受光器2による反射光の受光位置としては、照射器1から熱延鋼板Sの表面に照射した光の正反射光が入射しない位置とすることが好ましい。これにより、熱延鋼板Sの表面における乱反射の特性をより詳細に把握することができるので、熱延鋼板Sの表面状態をより正確に検出することができる。
<判定工程>
判定工程S3では、判定器3が受光工程S2で取得した上記反射光の色調の基準である色調指標を算出する。算出した上記色調指標と、酸洗条件ごとに設定された上記色調指標の閾値とを比較した結果を判定の指標とする。
(第1波長範囲)
上記第1波長範囲としては、上記反射光において、熱延鋼板Sの表面状態による変化が相対的に大きい波長範囲、例えば粒界酸化層の有無によって乱反射光の色調における面積割合が大きく変化する波長範囲を選択することが好ましい。また、第1波長範囲としては、熱延鋼板Sの熱輻射による誤差を防止するために、上限が1200nm以下であることが好ましく、1000nm以下であることがより好ましい。
上記第1波長範囲は、赤色光波長領域内(580nm以上800nm以下の領域内が好ましく、590nm以上700nm以下の領域内がより好ましい)又は青色光波長領域内(400nm以上500nm以下の領域内が好ましく、430nm以上460nm以下の領域内がより好ましい)の波長範囲とすることが好ましい。
(第2波長範囲)
上記第2波長範囲としては、上記第1波長範囲とは異なる波長範囲であり、赤色光波長、緑色光波長及び青色光波長を含む範囲とすることが好ましい。第1波長範囲と異なる範囲は、第2波長範囲が第1波長範囲を含んでもよいし、第2波長範囲が第1波長範囲と波長範囲が一部重なってもよいし、第2波長範囲が第1波長範囲と全く異なる波長範囲であってもよい。ただし、第2波長範囲が第1波長範囲に包含される場合は除かれる。これにより、判定工程で算出する上記第1波長範囲の輝度の上記第2波長範囲の輝度に対する比率は、例えば熱延鋼板Sの傾斜等による反射光全体の色調の変化を補償し、熱延鋼板Sによる反射光の色の変化を表す数値となる。なお、この第2波長範囲も、上記第1波長範囲と同様に、熱延鋼板Sの熱輻射による誤差を防止するために、上限が1200nm以下であることが好ましく、1000nm以下であることがより好ましい。
上記第2波長範囲が赤色光波長、緑色光波長及び青色光波長を含むことによって、例えば熱延鋼板Sの傾斜等、熱延鋼板Sの表面状態以外の要因による反射光全体の輝度変化をより精度よく補償することができるので、測定条件によっては、熱延鋼板Sの表面状態をより適切に判定することができる。
(色調指標)
当該表面状態判定方法における色調指標とは、反射光の色調を数値化したものをいう。例えば、色調指標は第1波長範囲の第2波長範囲に対する比率である。
(酸濃度、インヒビター濃度及び鉄イオン濃度の組み合わせ)
上記酸濃度、インヒビター濃度及び鉄イオン濃度の組み合わせは、酸の濃度、インヒビターの濃度及び鉄イオンの濃度のすべてが変化する場合、いずれか1つ又は2つが変化する場合を含む。酸洗条件としては、上記酸濃度、インヒビター濃度及び鉄イオン濃度の組み合わせの他に、例えば、酸液への浸漬時間や酸洗液温度などを含めてもよい。
(比率)
当該表面状態判定方法における比率とは、例えば第1波長範囲が赤色光波長範囲又は青色光波長範囲であり、第2波長範囲が青色光波長、緑色光波長及び赤色光波長を含む波長範囲である場合、第2波長範囲をAとした場合の放射輝度L=∫L(λ)dλに対する第2波長範囲に含まれる第1波長範囲をBとした場合の放射輝度L1=∫L(λ)dλの比率(L1/L)である。上記式中、L(λ)は波長λにおける分光放射輝度を表す。実施の形態は上記に限られるものではない。例えば、特定の波長のみを透過させることができるバンドパスフィルタと輝度情報を取得できるセンサとの組み合わせによっても実施することができる。
(酸)
酸洗に用いられる酸は、スケール層及び粒界酸化層の除去に通常用いられるものであれば特に限定されるものではない。使用される酸としては、例えば、塩酸、硝酸、リン酸、弗酸及び硫酸などの無機酸やシュウ酸及びクエン酸などの有機酸を適宜用いることができる。
(インヒビター)
当該表面状態判定方法におけるインヒビターとは、粒界酸化層が溶解した後の素地鋼板の溶解を抑制する作用を有する溶解抑制剤である。使用されるインヒビターとしては、例えば、第1級から第3級アミン、ジエチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素及びベンゾチアゾールなどを含有する各種公知のインヒビターを使用することができる。
(閾値)
当該表面状態判定方法における閾値とは、酸洗後の熱延鋼板の表面状態の良否を判断するための基準である。酸洗条件ごとに上記色調指標の閾値を設定することにより、酸洗条件にかかわらず一律に閾値を設定していた場合に比べ、実際の計測値に対し閾値を高めに設定できることにより鋼板の否判定の過検出を防止し、鋼板製品の歩留まりを向上することができる。
(酸洗による粒界酸化層の除去メカニズム)
酸洗により熱延鋼板Sの表面のスケール層が酸洗液中の酸により溶解する。酸洗液中の酸によってスケール層が溶解すると、インヒビターの作用により地鉄が酸洗液中に溶解するのが抑制される。鉄イオン濃度が高いとインヒビターによる溶解抑制効果が薄れるように酸洗が促進される。最終的に酸洗液中の酸の作用により熱延鋼板Sの表面の粒界酸化層が除去される。
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
当該表面状態判定方法において、照射器と受光器とが一体となった投受光器を用いてもよい。
当該表面状態判定方法において、受光工程で正反射光を受光してもよい。
当該表面状態判定方法において、判定工程は、判定器を用いずに手計算で行ってもよい。
〔色調指標の閾値を設定するための実験〕
以下、色調指標の閾値を設定するための実験に基づき本発明を詳述するが、この実験の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
酸濃度、インヒビター濃度及び鉄イオン濃度を調製した酸洗液のサンプルNo.1~No.3を作製した。各サンプルの成分と濃度を表1に示す。酸としては塩酸を用いた。またインヒビターは、スギムラ化学工業株式会製「スーパーヒビロンAS30B」を用いた。鉄イオンは、富士フィルム和光純薬株式会社製「塩化鉄(II)四水和物」を用いた。
Figure 0007150640000001
表中の塩酸濃度及び鉄イオン濃度の「%」は酸洗液に対する「質量%」を示し、インヒビター濃度の「ppm」は酸洗液に対する「質量ppm」を示す。
<No.1>
調製した酸洗液に熱延鋼板を浸漬した後、この鋼板を引き上げ、照射器から白色光を鋼板に照射し、その反射光を受光器で受光した。受光した反射光の色調指標を判定器で算出した。
熱延鋼板としては、Siを2.0質量%含有する高強度鋼を熱延後660℃で巻き取ったものを使用した。
上記照射器としては、白色LEDを有し、点状に集光するように照射することができるLEDライトを使用した。また、上記受光器としては、オーシャンオプティクス社の分光器「USB2000+」を使用した。上記判定器としては、一般的なパソコンを使用し、受光器で得たデータをエクセル(Microsoft Office2007)を使用して判定した。
照射器は、その光軸が熱延鋼板の法線に対して15°傾斜し、熱延鋼板表面からの光軸方向距離が500mmとなるよう配置した。また、受光器は、上記鋼板の法線から照射器の光軸と同じ方向にさらに1.5°大きく傾斜した仮想線上で、熱延鋼板表面からの仮想線方向距離が50mmとなる位置に配置した。
得られた各熱延鋼板の反射光の輝度について、それぞれ、波長435.46nm以上450.22nm以下の青色光波長範囲の輝度、波長522.02nm以上536.42nm以下の緑色光波長範囲の輝度、及び波長597.94nm以上611.99nm以下の赤色光波長範囲の輝度を算出した。上記青色光波長範囲の輝度を上記青色光波長範囲、上記緑色光波長範囲及び上記赤色光波長範囲の合計輝度で除することによって数値化した値を算出した。つまり、上記青色光波長範囲を第1波長範囲とし、上記青色光波長範囲、上記緑色光波長範囲及び上記赤色光波長範囲を足し合わせた範囲を第2波長範囲とした場合の第1波長範囲の輝度の第2波長範囲の輝度に対する比率を色調指標とし、酸洗時間の経過点ごとに算出した。酸洗時間の経過点は、スケール層除去後粒界酸化層が露出している表面(以下残存という)、粒界酸化層が酸洗浄されてから5秒後の表面(以下除去直後という)及び粒界酸化層が酸洗浄されてから30秒後の表面(以下過酸洗という)のそれぞれの点で測定した。実験結果を表2及び図4に示す。
<No.2、No.3>
No.2及びNo.3についても酸洗液成分の違い以外は、No.1と同様の手順で試験を行った。結果を表2及び図4に示す。
Figure 0007150640000002
〔考察〕
表2及び図4から酸洗液の酸洗条件が変化することによって、残存、除去直後及び過酸洗の各点で鋼板表面の色調が変化していることがわかる。
このことから、酸洗液中の酸濃度、インヒビター濃度及び鉄イオン濃度の組み合わせによらず色調指標の閾値を一律に決定すると判別のための色調指標の閾値は、No.1~No.3で、残存0.319~除去直後0.316の間0.003で設定される。
一方、酸濃度、インヒビター濃度及び鉄イオン濃度の組み合わせごとに色調指標の閾値を設定すると、No.1では、残存0.319~除去直後0.308の間0.011で閾値決定ができる。No.2では、残存0.329~除去直後0.316の間0.013で閾値決定ができる。No.3では残存0.328~過酸洗0.314の間0.014で閾値決定ができる。
以上から、酸洗液中の酸濃度、インヒビター濃度及び鉄イオン濃度の組み合わせごとに色調指標の閾値を決定することで酸洗条件にかかわらず一律に色調指標の閾値を決定するのに比べ色調指標の閾値の設定可能範囲が広がり、高めの閾値設定をできることが判明した。
本発明の表面状態判定方法を用いることで、酸洗条件が変化する生産ラインにおいても酸洗鋼板の表面状態を適切に良否判定することができる。従って、多品種を生産するような熱延鋼板の冷間圧延前酸洗工程に好適に利用することができる。
1 照射器
2 受光器
3 判定器
4 出力器
11 酸洗液
100 表面状態判定装置
A 酸洗槽
B ルーパ
C 冷間圧延装置
D 計測地点
S 熱延鋼板

Claims (4)

  1. 酸洗後の熱延鋼板における粒界酸化層の残存状態を判定する判定方法であって、
    上記鋼板の表面に単波長でない光を照射する工程と、
    上記鋼板の表面から発せられた上記照射の反射光を受光する工程と、
    上記受光工程で得られた反射光に基づき上記残存状態を判定する工程と
    を備え、
    上記判定工程で、上記反射光の色調の指標である色調指標を算出し、上記熱延鋼板の酸洗条件ごとに設定された上記色調指標の閾値と算出した上記色調指標とを比較した結果から酸洗後の熱延鋼板における粒界酸化層の残存状態の良否を判定し、
    上記色調指標が第1波長範囲の輝度の上記第1波長範囲とは異なる第2波長範囲の輝度に対する比率であり、
    上記第1波長範囲が赤色光波長領域内又は青色光波長領域内であり、上記第2波長範囲が赤色光波長、緑色光波長及び青色光波長を含む残存状態判定方法。
  2. 上記酸洗条件が酸洗液中の酸濃度、インヒビター濃度及び鉄イオン濃度の組み合わせを含む請求項1に記載の残存状態判定方法。
  3. 上記酸洗に使用される酸洗液が、塩酸、硝酸、リン酸、弗酸及び硫酸よりなる群から選択される1種又は2種以上を含有する請求項1又は請求項2に記載の残存状態判定方法。
  4. 酸洗後の熱延鋼板における粒界酸化層の残存状態を判定する判定装置であって、
    上記鋼板の表面に単波長でない光を照射する照射器と、
    上記鋼板の表面から発せられた上記照射の反射光を受光する受光器と、
    上記受光器で得られた反射光に基づき上記残存状態を判定する判定器と
    を備え、
    上記判定器が、上記反射光の色調の指標である色調指標を算出し、上記熱延鋼板の酸洗条件ごとに設定された上記色調指標の閾値と算出した上記色調指標とを比較した結果から酸洗後の熱延鋼板における粒界酸化層の残存状態の良否を判定し、
    上記色調指標が第1波長範囲の輝度の上記第1波長範囲とは異なる第2波長範囲の輝度に対する比率であり、
    上記第1波長範囲が赤色光波長領域内又は青色光波長領域内であり、上記第2波長範囲が赤色光波長、緑色光波長及び青色光波長を含む残存状態判定装置。
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