JP2006307961A - クロスヘッド軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】 油溝にテーパ面を設けると共に、中央油溝ピッチ角を拡大し且つ軸受すき間比を小さくすることにより負荷能力をより向上させたクロスヘッド軸受を提供する。
【解決手段】 クロスヘッド軸受の軸受面に形成した油溝の両側方にテーパ面を形成し、このテーパ面をテーパ幅角l=3〜10°の長さとすると共に、テーパ角γ=0.1〜0.2°の傾斜角度とすることにより、テーパ面のくさび作用による油膜の交換性が向上して油温の上昇が抑制されるため、軸の焼付きを防止することができ、油溝を中央油溝ピッチ角α=50±10°の位置に形成することにより、スクイズ作用に有効な軸受中央パット部の面積が増大するため、クロスヘッド軸受の負荷能力が上昇して軸の焼付きを防止することができる。
【選択図】 図11

Description

本発明は、大型2サイクルディーゼル機関のコネクティングロッドの上端に設けられてピストンロッドの下端に固定される軸を揺動自在に軸支すると共に、その軸受面に油膜交換を促進させるための油溝が軸方向で複数形成されるクロスヘッド軸受に関するものである。
大型2サイクルディーゼル機関に用いられるクロスヘッド軸受は常に下向きの高い荷重を受けながら低速で揺動運動を行なうため、軸受面に形成される油膜が極めて薄く潤滑状態が過酷なすべり軸受であり、負荷能力の向上が重要な課題となっている。一般的に、クロスヘッド軸受の軸受すき間比を小さくして、中央あて角120〜150°の範囲で軸受すき間比をゼロとした接触軸受構造に近づけると、軸受全面で大きなスクイズ作用が得られ負荷能力の向上に有利となる。しかしながら、軸受すき間比を小さくすると油膜のくさび作用が弱まり、油膜厚さが減少する、即ち、油膜特性が低下するという欠点がある。
一方、クロスヘッド軸受には、油膜交換を促進させる目的から荷重側軸受面に多数の油溝が軸方向で設けられており、軸受すき間比が小さい軸受でも油溝の両側方にくさび形状のテーパ面を設けることにより、油膜のくさび作用が増大して油膜特性を改善することができる。このように油溝の両側方にテーパ面を設けることにより油膜特性を改善した例は、非特許文献1(社団法人日本機械学会編「日本機械学会論文集C編第69巻第681号 pp.1404〜1409」2003年5月25日発行、発行所:社団法人日本機械学会)に記載されている。
日本機械学会論文集C編69巻681号 pp.1404〜1409
しかしながら、上記した非特許文献1のように、油溝の両側方にテーパ面を設けるだけではクロスヘッド軸受の十分な負荷能力の向上を得られるものではなかった。本発明は、上記した事情に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、油溝にテーパ面を設けると共に、中央油溝ピッチ角を拡大し且つ軸受すき間比を小さくすることにより負荷能力をより向上させたクロスヘッド軸受を提供することにある。
上記した目的を達成するために、請求項1に係る発明においては、大型2サイクルディーゼル機関のコネクティングロッドの上端に設けられてピストンロッドの下端に固定される軸を揺動自在に軸支すると共に、その軸受面に油膜交換を促進させるための油溝が軸方向で複数形成されるクロスヘッド軸受において、前記油溝の両側方に前記軸受面から前記油溝に向けて下り傾斜するテーパ面を形成すると共に、前記クロスヘッド軸受の縦中心線を挟んで左右対称に位置する2つの前記油溝の縦中心線がなす角度である中央油溝ピッチ角αを50±10°とし、前記テーパ面の一端と前記クロスヘッド軸受の軸受中心とを結ぶ線と、前記テーパ面の他端と前記クロスヘッド軸受の軸受中心とを結ぶ線と、がなす角度であるテーパ幅角lを3〜10°とすると共に、前記テーパ面と前記油溝の縦中心線の垂線とがなす角度であるテーパ角γを0.1〜0.2°としたことを特徴とする。
また、請求項2に係る発明においては、請求項1に記載のクロスヘッド軸受は、該クロスヘッド軸受半径Rから軸半径rを減じた値である半径すき間cを軸半径rで除した値で表される軸受すき間比c/rを0.0001±0.0002としたことを特徴とする。
なお、軸受すき間比c/rは、上記のように定義されるものであり、その値が0より大きい場合には半径すき間cも0より大きく、クロスヘッド軸受半径Rが軸半径rよりも大きいことを示している。また、軸受すき間比c/rが0である場合には半径すき間cが0であり、クロスヘッド軸受半径Rと軸半径rが同じ値であることを示している。また、軸受すき間比が0より小さい場合には半径すき間cも0より小さく、クロスヘッド軸受半径Rが軸半径rよりも小さいことを示している。
ここで、クロスヘッド軸受半径Rが軸受全周に亘り軸半径rよりも小さい場合、クロスヘッド軸受で軸を支持できないことになるが、ここでのクロスヘッド軸受半径Rは、クロスヘッド軸受の下部における中央あて角の範囲についてのものである。一般に、揺動運動をする軸を支持するクロスヘッド軸受の場合、クロスヘッド軸受の上部と下部とでそのクロスヘッド軸受半径Rが異なるものを用いる場合がある。従って、クロスヘッド軸受の下部における中央あて角の範囲についてのクロスヘッド軸受半径Rが軸半径rよりも小さい場合であっても、クロスヘッド軸受の上部のクロスヘッド軸受半径Rを軸半径rよりも大きくすると共に、クロスヘッド軸受の下部における中央あて角の範囲以外の部分に逃げを設けることにより、クロスヘッド軸受で軸を支持することができる。
請求項1に係る発明においては、クロスヘッド軸受の軸受面の油溝を中央油溝ピッチ角α=50±10°の位置に形成すると共に、油溝の両側方にテーパ面を形成し、このテーパ面をテーパ幅角l=3〜10°の長さとすると共に、テーパ角γ=0.1〜0.2°の傾斜角度とした。
このように、油溝の両側方に形成したテーパ面のテーパ幅角l=3〜10°の長さとすると共に、テーパ角γ=0.1〜0.2°の傾斜角度とすることにより、テーパ面のくさび作用により、厚い油膜が形成され油膜の交換性が向上して油温の上昇が抑制されるため、軸の焼付きを防止することができる。
なお、テーパ幅角lを3°よりも小さくすると十分なくさび作用の効果を得ることができず、10°よりも大きくするとスクイズ作用に有効な軸受パッド部の面積が減少するため、くさび作用が発生する範囲が狭く負荷能力が低下する。また、テーパ角γを0.1°よりも小さくするとクロスヘッド軸受の使用に伴うテーパ面の摩耗により、油膜特性の改善効果が得られず負荷能力が減殺されることが予想され、テーパ角γを0.2°よりも大きくすると、テーパ部でスクイズ作用が発生しなくなり、結果スクイズ作用に有効な軸受パッド部の面積が減少するため、負荷能力が低下する。
また、クロスヘッド軸受の軸受面の油溝を中央油溝ピッチ角α=50±10°となる位置に形成することにより、スクイズ作用に有効な軸受中央パット部の面積が増大するため、クロスヘッド軸受の負荷能力を向上させることができる。
なお、中央油溝ピッチ角αを60°よりも大きくすると軸受中央パット部の油が軸の揺動運動で油溝に到達し難くなるため、新しい油と交換されることなく油温が上昇して、負荷能力が低下する。また、40°よりも小さくするとスクイズ作用に有効な軸受中央パット部の面積が減少するため、クロスヘッド軸受の負荷能力が低下する。
また、請求項2に係る発明においては、クロスヘッド軸受の軸受すき間比c/rを0.0001±0.0002としたことにより、油溝のテーパ面で十分なくさび作用が発生して厚い油膜が形成されるため、クロスヘッド軸受の負荷能力を向上させることができる。
なお、軸受すき間比c/rを0.0005以上にした場合、テーパ面で十分なくさび作用が発生せず、軸受すき間比c/rを−0.0003以下にした場合、軸受端部付近で部分的な軸との固体接触が発生して負荷能力が低下する。クロスヘッド軸受の軸受すき間比c/rは、好ましくは0.0001±0.0002とすることが望ましい。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、大型2サイクルディーゼル機関の1つのピストン3に対応するクロスヘッド機構1を示す概略図であり、図2は、大型2サイクルディーゼル機関のクロスヘッド機構1と相似な変動荷重、揺動運動の条件で焼付試験が実施できる軸受試験機20の概略図である。
図1において、大型2サイクルディーゼル機関のクロスヘッド機構1は、シリンダ2内を摺動するピストン3のピストンロッド4の下端に固定される軸5を揺動自在に軸支するものであり、軸5と摺動する軸受面にホワイトメタル等の軸受合金層が形成されるクロスヘッド軸受7とこれを介挿する軸受ハウジング7aを有している。そして、クロスヘッド機構1は、その下端がクランク軸10に回転自在に軸支されるコネクティングロッド8の上端に形成されている。
上記のように構成される大型2サイクルディーゼル機関においては、ピストン3の上下運動をコネクティングロッド8を介してクランク軸10の回転運動に変換するようになっている。そして、クロスヘッド機構1においては、クロスヘッド軸受7に対し常に下向きに荷重が作用すると共にコネクティングロッド8の揺動運動も作用する。このため、クロスヘッド軸受7の軸受面に形成される油膜が極めて薄く潤滑状態が苛酷なすべり軸受である。
このような潤滑状態が苛酷なクロスヘッド軸受7では、後述する軸受すき間比c/rを小さくして中央あて角120〜150°の範囲で軸受すき間比c/rをゼロとした接触軸受構造に近づけると、軸受全面で大きなスクイズ作用が得られ負荷能力の向上に有利となる。しかしながら、一方では、軸受すき間比c/rを小さくすると油膜のくさび作用が弱まり油膜厚さが減少するという欠点もあるため、油膜厚さを増大させる方策を検討する必要がある。
従って、クロスヘッド軸受7の負荷能力に及ぼす軸受すき間比c/rの影響を調べ、適正な設計指針を明らかにすることが重要であるが、軸受すき間比c/rが小さい軸受であっても、クロスヘッド軸受7の軸受面に形成される油溝の両側方に適正なテーパ面を設けることにより、負荷能力が向上できると考えられる。そこで、クロスヘッド軸受7の負荷能力に及ぼす軸受すき間比c/rと油溝形状の影響について、実際機関のクロスヘッド機構1と相似な変動荷重、揺動運動の条件で負荷限界試験が実施できる軸受試験機20を用いて検証した。
そこで、図2を参照して軸受試験機20の構成について説明する。図2において、直径100mmの試験軸21は、その両側をコロ軸受23で支持されてクランク機構24により揺動運動を行う。試験軸受22には油圧ラム25により垂直下向きの変動荷重が与えられる。また、図2には、試験軸受22に潤滑油を供給し回収するための循環ポンプ27、オイルクーラー28、オイルタンク29、供給ポンプ30、供給パイプ31、回収パイプ32が示されている。
この軸受試験機20で得られた軸受面圧Pw及び軸の揺動角速度ωのサイクル変化の一例を図3に示す。軸受面圧Pwはクランク角度θc=0°(上死点TDC)で最大となる。試験軸21の揺動角速度ωは、θc=±90°で零となり、θc=0°及び180°(下死点BDC)で絶対値が各々最大となる。本軸受試験機20では試験軸受22と荷重方向が固定され、試験軸21のみが揺動角2ψで揺動運動する構造であるが、実際機関のクロスヘッド機構1と相似な変動荷重、揺動運動の条件で負荷限界試験が実施できるようになっている。供試潤滑油はSAE10Wの無添加エンジン油であり、一定温度60℃で試験軸受22に供給した。
試験軸受22の耐焼付き性を評価する負荷限界試験は、試験軸21の揺動速度Nを300cpm、揺動角2ψを55°に各々設定した後、軸受面圧のサイクル最大値Pwmaxを段階的に増大させ、試験軸受22に焼付きが発生する限界軸受面圧を求める方法で実施した。試験中の試験軸受22の表面温度は、試験軸受22の中央部の表面から0.5mmの深さに埋め込んだ熱電対で測定したが、この表面温度が80℃以上に急上昇した場合に焼付き発生と判断した。
図4に試験軸受22の構造を示す。この試験軸受22には、その軸受面に油を供給するための油溝が4箇所形成されている。この油溝のうちの2つは、試験軸受22の縦中心線を挟んで左右対称に位置する中央油溝40として形成されるものであり、この2つの中央油溝40は、それぞれの縦中心線のなす角度がαとなる位置に形成されている。そして、この2つの中央油溝40の縦中心線のなす角度αが中央油溝ピッチ角を表している。また、2つの中央油溝40の試験軸受22の軸受合せ目48側には、端部油溝45がそれぞれ形成されている。この端部油溝45は、中央油溝40の縦中心線と端部油溝45の縦中心線のなす角度がβとなる位置に形成されている。そして、この角度βが端部油溝ピッチ角を表している。
また、上記した中央油溝40及び端部油溝45には、それぞれ中央油穴41及び端部油穴46が形成されており、この中央油穴41及び端部油穴46から試験軸21と試験軸受22との間に潤滑油が供給されるようになっている。
上記した4つの油溝のうち両側方に位置する2つの端部油溝45の縦中心線のなす角度は、図4に示すように、α+2βで表されることとなるが、このα+2βが試験軸21と試験軸受22とが接触する範囲である中央あて角を表している。また、試験軸受22の軸受面のうち、2つの中央油溝40によって挟まれる範囲が軸受中央パット部42として形成されると共に、中央油溝40と端部油溝45とによって挟まれる範囲が軸受端部パット部47として形成されている。なお、試験軸受22の軸受合金はホワイトメタルを用いた。
図5に試験軸受22に形成された油溝の形状を示す。図5(A)では従来型油溝55の形状を示しており、図5(B)ではテーパ面50を設けたテーパ面付き油溝43の形状を示している。
従来型油溝55は、図5(A)で示すように、底部が半円形状に形成されると共に、その両側方にほぼ45°の面取りが施されている。これに対し、テーパ面付き油溝43は、従来型油溝55に加えて軸受面から油溝縦中心線に向けて下り傾斜するテーパ面50が両側方に形成されている。このテーパ面50は、テーパ面50の一端51と試験軸受22の軸受中心とを結ぶ線と、テーパ面50の他端52と試験軸受22の軸受中心とを結ぶ線と、がなす角度であるテーパ幅角lによってその長さが表されると共に、テーパ面50とテーパ面付き油溝43の縦中心線の垂線53とがなす角度であるテーパ角γによってその傾斜角度が表されている。
図6に軸受すき間比c/rを説明するための試験軸21及び試験軸受22の概略図を示す。図6(A)は、軸受すき間比c/rが0より大きい場合を示し、図6(B)は、軸受すき間比c/rが部分的に0または0より小さい場合を示している。ここで、軸受すき間比は、試験軸受22の半径Rから試験軸21の半径rを減じた値である半径すき間cを、試験軸21の半径rで除した値で表されるものである。
軸受すき間比c/rが0より大きい場合には半径すき間cも0より大きく、図6(A)に示すように、試験軸受22の半径Rが試験軸21の半径rよりも大きいことを示している。また、軸受すき間比c/rが0である場合には半径すき間cが0であり、図6(B)に示すように、試験軸受22の半径Rと試験軸21の半径rが同じ値であることを示している。また、軸受すき間比が0より小さい場合には半径すき間cも0より小さく、試験軸受22の半径Rが試験軸21の半径rよりも小さいことを示している。
ここで、実際のクロスヘッド機構1について考えた場合、クロスヘッド軸受7の半径Rが軸5の半径rよりも小さい場合、クロスヘッド軸受7で軸5を支持できないことになるが、ここでのクロスヘッド軸受7の半径Rは、クロスヘッド軸受7の下部における中央あて角(図6に示す120°)の範囲についてのものである。一般に、揺動運動をする軸5を支持するクロスヘッド軸受7の場合、図6(B)に示すように、クロスヘッド軸受7の上部と下部とでその半径Rが異なるものを用いる場合がある。従って、クロスヘッド軸受7の下部における中央あて角の範囲についての半径Rが軸5の半径rよりも小さい場合であっても、クロスヘッド軸受7の上部の半径Rを軸5の半径rよりも大きくすると共に、クロスヘッド軸受71の下部における中央あて角の範囲以外の部分に、図6(B)に示すような逃げ56を設けることにより、クロスヘッド軸受7で軸5を支持することができる。
そして、本試験においては、上記したような従来型油溝55を設けた試験軸受22及びテーパ面付き油溝43を設けた試験軸受22を用いてその負荷能力を検討した。また、軸受すき間比c/rを変化させて負荷能力に及ぼす影響を調べた。
以上の結果から、油溝の両側方にテーパ面50を設けて油膜特性を改善すると負荷能力の大幅な向上が期待できること、そしてl=5°及びγ=0.1°のテーパ面50を設けたテーパ面付き油溝43の場合に負荷能力が最大となることが明らかになった。
次に、軸受中央パット部42の中央油溝ピッチ角αの変化が負荷能力に及ぼす影響について説明する。なお、図8(A)に中央油溝ピッチ角αが40°、揺動角2ψが55°の場合の試験軸受22の構造を示し、図8(B)に中央油溝ピッチ角αが60°、揺動角2ψが55°の場合の試験軸受22の構造を示している。
図9は、従来型油溝55を施した試験軸受22において、軸受すき間比c/rが0.0005の場合の中央油溝ピッチ角αの変化が負荷能力に及ぼす影響を調べた結果である。試験軸受22の中央あて角α+2βは120°で一定にし、試験軸21の揺動角2ψは55°に設定した。従来型油溝55を施した試験軸受22の場合、中央油溝ピッチ角αを40°から60°に拡大すると負荷能力は、大幅に低下する傾向が認められる。ここで、クロスヘッド軸受7の油膜交換は、主として軸5の揺動運動に基づくものである。そのため、従来型油溝55を施した試験軸受22の場合、中央油溝ピッチ角αを過大にすると試験軸受22の中央部の油は、試験軸21の揺動運動で従来型油溝55に到達しにくくなり、新油と交換されることなく油温が上昇し、低い荷重で焼付きが発生するものと推察できる。つまり、従来型油溝55を施した試験軸受22の場合は、油膜交換を促進させるため中央油溝ピッチ角αを揺動角2ψより小さくすることが重要であることがわかる。
図10は、テーパ面50を設けたテーパ面付き油溝43が形成された試験軸受22において、軸受すき間比c/rが0.0005の場合の中央油溝ピッチ角αの変化が負荷能力に及ぼす影響を調べた結果である。中央油溝ピッチ角αが40°の場合、テーパ面50のくさび作用により、負荷能力が従来型油溝55を施した試験軸受22に比べ向上した。一方、中央油溝ピッチ角αが大きくなると、テーパ面付き油溝43の両側方に設けたテーパ面50の効果がほとんど得られていない。これは、図9の説明でも述べた通り、中央油溝ピッチ角αが大きくなると、テーパ面50で十分なくさび作用が発生しなかったためであると考えられる。
図11は、テーパ面50を設けたテーパ面付き油溝43が形成された試験軸受22において、軸受すき間比c/rが0.0001の場合の中央油溝ピッチ角αの変化が負荷能力に及ぼす影響を調べた結果である。中央油溝ピッチ角αが大きな場合において、負荷能力が従来型油溝55を施した試験軸受22の場合及びテーパ面付き油溝43を施した試験軸受22の場合と比較して大幅に向上している。これは、軸受すき間比c/rを小さくしたことにより、テーパ面50で十分なくさび作用が発生し、厚い油膜が形成されたためであると考えられる。加えて、中央油溝ピッチ角αの拡大により有効な軸受中央パット部42の面積が増大し、大きなスクイズ作用が得られたためであると考えられる。
上記した結果より、本発明におけるクロスヘッド軸受7においては軸受面の中央油溝40を中央油溝ピッチ角α=50±10°の位置に形成すると共に、中央油溝40の両側方にテーパ面50を形成し、このテーパ面50をテーパ幅角l=3〜10°の長さとすると共に、テーパ角γ=0.1〜0.2°の傾斜角度とした。
このように、中央油溝40の両側方に形成したテーパ面50のテーパ幅角l=3〜10°の長さとすると共に、テーパ角γ=0.1〜0.2°の傾斜角度とすることにより、テーパ面50のくさび作用による油膜の交換性が向上して油温の上昇が抑制されるため、軸5の焼付きを防止することができる。
なお、テーパ幅角lを3°よりも小さくすると、くさび作用が発生する範囲が狭く、十分なくさび作用の効果を得ることができず、10°よりも大きくするとスクイズ作用に有効な軸受パッド部42,47の面積が減少するため、負荷能力が低下する。また、テーパ角γを0.1°よりも小さくするとクロスヘッド軸受1の使用に伴うテーパ面50の摩耗により、油膜特性の改善効果が得られず負荷能力が減殺されることが予想され、テーパ角γを0.2°よりも大きくすると、テーパ部でスクイズ作用が発生しなくなり、結果スクイズ作用に有効な軸受パッド部の面積が減少するため、負荷能力が低下する。
また、クロスヘッド軸受1の軸受面の中央油溝40を中央油溝ピッチ角α=50±10°となる位置に形成することにより、スクイズ作用に有効な軸受中央パット部42の面積が増大するため、クロスヘッド軸受1の負荷能力を向上させることができる。
なお、中央油溝ピッチ角αを60°よりも大きくすると軸受中央パット部42の油が軸5の揺動運動で中央油溝40に到達し難くなるため、新しい油と交換されることなく油温が上昇して負荷能力が低下する。また、40°よりも小さくするとスクイズ作用に有効な軸受中央パット部42の面積が減少するため、クロスヘッド軸受1の負荷能力が低下する。
図12は、テーパ面50を設けたテーパ面付き油溝43が形成された試験軸受22において、軸受すき間比c/rが−0.0003の場合の中央油溝ピッチ角αの変化が負荷能力に及ぼす影響を調べた結果である。いずれの中央油溝ピッチ角αの場合においても、負荷能力が大幅に低下していることが分かる。これは、軸受すき間比c/rが大きくマイナスになったことにより、試験軸受22の中央あて角の端部付近で、くさび作用及びスクイズ作用のいずれも発生せず、部分的な試験軸21との固体接触が起こったためであると考えられる。
上記した結果より、本発明におけるクロスヘッド軸受7においては軸受すき間比c/rを0.0001±0.0002とした。これにより、中央油溝40のテーパ面50で十分なくさび作用が発生して厚い油膜が形成されるため、クロスヘッド軸受7の負荷能力を上昇させることができ、軸5の焼付きを防止することができる。
なお、軸受すき間比c/rを0.0005以上にした場合、中央油溝ピッチ角αを大きくすると、テーパ面50で十分なくさび作用が発生せず、軸受すき間比c/rを−0.0003以下にした場合、クロスヘッド軸受1の中央あて角の端部付近で部分的な軸5との固体接触が起こり負荷能力が低下する。クロスヘッド軸受7の軸受すき間比c/rは、好ましくは0.0001±0.0002とすることが望ましい。
以上、説明してきたように、実際機関のクロスヘッド機構1と相似な変動荷重、揺動運動の条件で負荷限界試験が実施できる軸受試験機20を用い、クロスヘッド軸受7の負荷能力に及ぼす軸受すき間比c/rと油溝形状の影響を調べた結果、以下のことが明らかになった。
(1)テーパ幅角l=5°及びテーパ角γ=0.1°のテーパ面50を設けた中央油溝40の場合に負荷能力が最大となる。
(2)テーパ面50を設けた中央油溝40が形成された軸受は油膜交換性にすぐれているため、軸受中央パット部42の中央油溝ピッチ角αを大きく設定することが可能であり、また、軸受すき間比c/rを適正な範囲で小さくすることで負荷能力の大幅な向上が期待できる。
大型2サイクルディーゼル機関の1つのピストンに対応するクロスヘッド機構を示す概略図である。 大型2サイクルディーゼル機関のクロスヘッド機構と相似な変動荷重、揺動運動の条件で焼付試験が実施できる軸受試験機の概略図である。 軸受面圧Pw及び軸受面圧のサイクル最大値Pwmax及び軸の揺動角速度ωのサイクル変化の一例を示すグラフである。 試験軸受の構造を示す正面図及び断面図である。 (A)は従来型油溝の形状を示す断面図であり、(B)はテーパ面を設けた中央油溝の形状を示す断面図である。 軸受すき間比c/rを説明するための試験軸及び試験軸受の概略図である。 テーパ面を設けた油溝のテーパ諸元が負荷能力に及ぼす影響を調べた結果を示すグラフである。 (A)は中央油溝ピッチ角αが40°、揺動角2ψが55°の場合の試験軸受の構造を示す断面図であり、(B)は中央油溝ピッチ角αが60°、揺動角2ψが55°の場合の試験軸受の構造を示す断面図である。 従来型油溝が形成された試験軸受において、軸受すき間比c/rが0.0005の場合の中央油溝ピッチ角αの変化が負荷能力に及ぼす影響を調べた結果を示すグラフである。 テーパ面を設けた油溝が形成された試験軸受において、軸受すき間比c/rが0.0005の場合の中央油溝ピッチ角αの変化が負荷能力に及ぼす影響を調べた結果を示すグラフである。 テーパ面を設けた油溝が形成された試験軸受において、軸受すき間比c/rが0.0001の場合の中央油溝ピッチ角αの変化が負荷能力に及ぼす影響を調べた結果を示すグラフである。 テーパ面を設けた油溝が形成された試験軸受において、軸受すき間比c/rが−0.0003の場合の中央油溝ピッチ角αの変化が負荷能力に及ぼす影響を調べた結果を示すグラフである。
符号の説明
1 クロスヘッド機構
4 ピストンロッド
5 軸
8 コネクティングロッド
40 中央油溝
42 軸受中央パット面
43 テーパ面付き油溝
50 テーパ面

Claims (2)

  1. 大型2サイクルディーゼル機関のコネクティングロッドの上端に設けられてピストンロッドの下端に固定される軸を揺動自在に軸支すると共に、その軸受面に油膜交換を促進させるための油溝が軸方向で複数形成されるクロスヘッド軸受において、
    前記油溝の両側方に前記軸受面から前記油溝に向けて下り傾斜するテーパ面を形成すると共に、前記クロスヘッド軸受の縦中心線を挟んで左右対称に位置する2つの前記油溝の縦中心線がなす角度である中央油溝ピッチ角αを50±10°とし、
    前記テーパ面の一端と前記クロスヘッド軸受の軸受中心とを結ぶ線と、前記テーパ面の他端と前記クロスヘッド軸受の軸受中心とを結ぶ線と、がなす角度であるテーパ幅角lを3〜10°とすると共に、前記テーパ面と前記油溝の縦中心線の垂線とがなす角度であるテーパ角γを0.1〜0.2°としたことを特徴とするクロスヘッド軸受。
  2. 前記クロスヘッド軸受は、該クロスヘッド軸受半径Rから軸半径rを減じた値である半径すき間cを軸半径rで除した値で表される軸受すき間比c/rを0.0001±0.0002としたことを特徴とする請求項1記載のクロスヘッド軸受。

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