JP2006307622A - 防災シェルターの製造方法 - Google Patents

防災シェルターの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006307622A
JP2006307622A JP2005187383A JP2005187383A JP2006307622A JP 2006307622 A JP2006307622 A JP 2006307622A JP 2005187383 A JP2005187383 A JP 2005187383A JP 2005187383 A JP2005187383 A JP 2005187383A JP 2006307622 A JP2006307622 A JP 2006307622A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
culvert
disaster prevention
manufacturing
culverts
end panel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005187383A
Other languages
English (en)
Inventor
Akio Hasegawa
明夫 長谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TOYO PLANT KK
Original Assignee
TOYO PLANT KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TOYO PLANT KK filed Critical TOYO PLANT KK
Priority to JP2005187383A priority Critical patent/JP2006307622A/ja
Publication of JP2006307622A publication Critical patent/JP2006307622A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)
  • Emergency Lowering Means (AREA)

Abstract

【課題】 (1)堅牢性と、(2)大きさの設計自由度を含む設計および現場施行の容易性、(3)低コスト性を、何れも高度に実現することの出来る、防災シェルターの新規な製造方法を提供する。
【解決手段】 周壁部分に開口部34,36が形成されていないカルバート16の複数と、少なくとも一つの開口部34,36が予め形成されたエンドパネル18の二つを、それぞれコンクリートに対して配筋によるプレストレスが加えられたプレキャスト製の鉄筋コンクリート構造体として製造する一方、基礎14の支持面42上で、複数のカルバート16a,16bを水平方向に直列的に並べると共に、カルバート16の両端の開口部分に対してそれぞれエンドパネル18を重ね合わせて覆蓋するように設置し、カルバート16やエンドパネル18を締結材46によって重ね合わせ方向に締付力を及ぼして相互に固定的に連結する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、地震や台風等の災害の発生時に、中に避難することにより、身体および生命を危険から保護し、危険がなくなるまでの間避難するために使用される防災シェルターの製造方法やそれを用いた防災シェルタに係り、特に地震によって倒壊する建造物から身体を保護する際に好適に採用される防災シェルタの製造方法などに関するものである。
従来から、一般建築家屋よりも強度に優れた構造物等によって構成されて、災害時に利用するようにされた防災シェルターが知られている。例えば、地震や台風などの災害発生時に利用することで、倒壊する家屋や飛散する構造物から身体を保護し、危険が去るまでの間避難するために使用されることを想定したものである。
ところで、このような防災シェルターでは、先ず、高度な堅牢性が要求される。同時に、多くの人の利用に供し得るようにするために、設計や施工が容易で、低コストに製造できることも、重要である。
ところが、従来から提案されている防災シェルターでは、これら(1)堅牢性と、(2)設計・施工の容易性、(3)低コスト性を、何れも高度に実現することが極めて困難であった。このような問題は、地震や台風等の被害が続出しており、何時何処で被害にあってもおかしくない我国の近年の状況下でも、未だ、防災シェルターの普及には程遠い実情を考慮すると、事実として明白である。
因みに、従来構造の防災シェルターとして、例えば、一般家屋よりも高強度な建築材料で築造したとしても、組立構造であれば部分的に強度の低い部分が出来てしまうことが避けられないと言われていた。そこで、特許文献1(実登3018402号公報)や特許文献2(特開平9−154966号公報)には、一体型の周壁を備えた鋼管を利用した防災シェルターが提案されている。
しかしながら、鋼管で十分な剛性を得るためには相当に厚肉とする必要があり、そのような厚肉の鋼管を製造し、更に適当に加工してシェルターとすることは、設計・施工が極めて困難となり、コストも高くなることが避けられないのである。しかも、円筒形状の鋼管を居住空間として利用することは非常に効率が悪く、スペースも十分に確保し難いという問題もある。
実登3018402号公報 特開平9−154966号公報
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、(1)堅牢性と、(2)大きさの設定自由度を含む設計および現場施工の容易性、(3)低コスト性を、何れも高度に実現することの出来る、新規な構造の防災シェルターを提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下の記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
(本発明の態様1)
本発明の態様1の特徴とするところは、(a)周壁部分に開口部が形成されていない矩形の筒体形状を有すると共に、4つの各角部において軸方向に貫通する連結孔を備えたカルバートを、コンクリートに対して配筋によるプレストレスが加えられたプレキャスト製の鉄筋コンクリート構造体として製造する工程と、(b)少なくとも一つの開口部が予め形成された矩形の平板形状を有すると共に、4つの各角部において板厚方向に貫通する締結孔を備えたエンドパネルを、コンクリートに対して配筋によるプレストレスが加えられたプレキャスト製の鉄筋コンクリート構造体として製造する工程と、(c)施工場所において略水平な支持面を有する基礎を構築する工程と、(d)前記基礎の前記支持面上で、前記カルバートの複数を水平方向に直列的に並べると共に、それら複数のカルバートの直列方向の両端の開口部分に対して、それぞれ、前記エンドパネルを重ね合わせて覆蓋するように設置する工程と、(e)互いに並べて設置した複数の前記カルバートと両端二つの前記エンドパネルを、該カルバートの前記連結孔と該エンドパネルの前記締結孔を通じて挿通せしめた締結材によって重ね合わせ方向に締付力を及ぼして相互に固定的に連結する工程とを、含む防災シェルターの製造方法にある。
このような本態様の製造方法に従えば、予め工場生産したプレキャスト製品だけを用いて躯体を構築できるから、高度に管理および維持された防災シェルターを築造することが出来る。また、各構造部材となるカルバートとエンドパネルとしては、工場生産するが故に適度なプレストレスをかけることが出来、十分な強度を持たせることが可能となる。
加えて、各カルバートには、窓等の比較的に大きな開口が形成されていないことから、プレストレスによるRCの高強度を特に有効に享受し得る。また、防災シェルターの躯体全体の強度計算上、カルバートに比して強度的な要求性能が低くて良いエンドパネルに対して、出入口や窓等を開口形成するようにしたことから、使用上で特に不都合もない。特に、エンドパネルにおける開口部は、現場で加工されるものでなく、工場でのコンクリート型枠によってプレキャスト品に設けられていることから、現場での切断加工等によって鉄筋が露出したり、強度低下する等のおそれがない。それ故、所期の強度や耐久性が十分に発揮され得る。
しかも、工場生産される一定形状および構造の構造材を用いて躯体が築造されることから、製造が非常に容易で、施工期間も短くて済み、広いエリアに向けて安価に供給することも容易となる。なお、本発明においてカルバートと称するのは、従来構造のボックスカルバートと構造上類似するからであり、本構築物である防災シェルターは、地上に設置乃至は築造され得るものである。
また、カルバートやエンドパネルのサイズを複数種類揃えておくことによってサイズの変更も可能である。その他、例えば同一サイズのカルバートやエンドパネルを用いる場合でも、連結するカルバートの数を適当に調節することにより、構築される防災シェルターのサイズを任意に設定可能である。
(本発明の態様2)
本発明の態様2の特徴とするところは、本発明の態様1に係る防災シェルターの製造方法において、前記カルバートの製造に際して、そのコンクリート成形型枠内に合成樹脂製の加工用ブロックを少なくとも一つ配設しておくことで、該加工用ブロックを該カルバートの表面に露出する位置にインサート状態で埋設して固着配置すると共に、前記エンドパネルの製造に際して、そのコンクリート成形型枠内に合成樹脂製の加工用ブロックを少なくとも一つ配設しておくことで、該加工用ブロックを該エンドパネルにおける少なくとも前記開口部付近の表面に露出する位置にインサート状態で埋設して固着配置する一方、複数の前記カルバートと二つの前記エンドパネルを前記締結材で相互に固定的に連結せしめた後に、前記加工用ブロックを利用して建具を固定して装着する工程を有することにある。
本態様に従えば、アルミサッシ等からなるドアユニットや窓ユニット、或いはキッチンやトイレ、ベッド、照明器具、庇等の建具(各種の内装材や外装材を含む。以下、同じ。)を、躯体に対して容易に且つ強度低下等の問題を生ずることなく装着することが出来る。即ち、コンクリート躯体は、予めプレキャスト成形されて現場に供給されるが、コンクリートであるが故に、建具を釘やボルト等を用いて装着することが非常に困難となる。鉄筋コンクリート構造の築造物の場合、一般に専用のボルト等を使用することで対応するが、それには予めの穿孔を必要とする。この現場での施工は、単に作業が面倒であるに止まらず、防災シェルターという特別な構造上の性質上、重大な問題を惹起するおそれがある。
具体的には、現場施工に際してコンクリートボルト等の装着のために穿つ穴の数が多かったり或いは大きかったり、また、位置が適当でなく鉄筋等を損傷したり露呈させたりする場合、それは直接に躯体の強度に悪影響を及ぼす。このような問題を、本態様に従えば、一挙に解決し得るのである。
なお、用いられる加工用ブロックとしては、その強度と耐久性を考慮して、例示すると船舶の外周構造材として用いられる防舷材が特に好適に採用される。具体的な材料は、合成ゴム(本発明での樹脂に含む)の他、ポリアミド等で製造された従来から公知のものが何れも採用可能である。
(本発明の態様3)
本発明の態様3の特徴とするところは、本発明の態様1又は2に係る防災シェルターの製造方法において、前記締結材で相互に固定的に連結せしめる前に、複数の前記カルバートおよび二つの前記エンドパネルの互いに重ね合わせられた重ね合わせ面間にシール材を配設する工程を有することにある。
(本発明の態様4)
本発明の態様4の特徴とするところは、本発明の態様1乃至3の何れか一つに係る防災シェルターの製造方法において、複数の前記カルバートとして互いに同一の構造体を採用する一方、二つの前記エンドパネルとして前記開口部の大きさが互いに異なるものを採用することにある。
一方の大きい開口窓を出入口に利用する一方、他方の小さい開口窓を窓として利用できる。そして、少なくとも当該他方の小さい開口窓を小さくできることから、強度を一層有利に確保することが可能となる。
(本発明の態様5)
本発明の態様5の特徴とするところは、本発明の態様1乃至4の何れか一つに係る防災シェルターの製造方法にあって、前記基礎において、前記支持面に開口する凹所を形成して、そこにボールベアリング装置を設置させた状態で、上方から前記カルバートを下ろして該ボールベアリング装置で支持せしめることで該カルバートの底面を該支持面から浮かせた状態で水平位置を位置決めし、その後、該ボールベアリング装置を取り除くことによって該カルバートの底面を該支持面に直接に載置せしめて設置することにある。
(本発明の態様6)
本発明の態様6の特徴とするところは、本発明の態様5に係る防災シェルターの製造方法において、前記ボールベアリング装置が、外部からの操作によって前記カルバートの底面の支持高さを変化させるレベル調節機構を備えていることにある。
(本発明の態様7)
本発明の態様7の特徴とするところは、本発明の態様6に係る防災シェルターの製造方法において、前記ボールベアリング装置が、前記カルバートの底面に対して当接せしめられる複数のボールを備えており、外部からの操作によってそれら複数のボールの支持を解除せしめて下方に落とすことによって、それら複数のボールによって実現される前記カルバートの底面の支持高さを下げることが出来るようになっていることにある。
(本発明の態様8)
本発明の態様8の特徴とするところは、本発明の態様5乃至7の何れか一つに係る防災シェルターの製造方法において、前記基礎における前記凹所を、前記カルバートの底面の載置領域を超えて外方にまで直線的に延びる凹溝形状をもって形成して、該カルバートの底面の載置領域を超えて外方に延び出した部分から前記ボールベアリング装置を操作することにある。
上述の態様5乃至8の何れか一つに係る防災シェルターの製造方法においては、非常に重量の大きいカルバートを、小さな力で高精度に位置決めして施工することが出来る。その際に、大型の重機やエアリフト等の設備も省略でき、操作も非常に容易となる。これにより、施工コストの低減や施工期間の更なる短縮化、更に施工作業性の向上が図られ得る。
なお、使用されるボールベアリング装置としては、例えば油圧ジャッキやメカニカルジャッキの上に従来から公知の水平支持面を有するボールベアリング装置を利用することが出来る。特に、態様7に従えば、ボールベアリングのボールを簡単に落とすことにより、特別な油圧ジャッキやメカニカルジャッキも不要となり、簡単な構造のボールベアリング装置による施工が実現可能となる。
(防災シェルターに関する本発明)
防災シェルターに関する本発明の特徴とするところは、本発明の態様1乃至8の何れか一つに係る防災シェルターの製造方法を用いて造られた防災シェルターにある。
本態様に従う構造とされた防災シェルターにおいては、コンクリートに対して配筋によるプレストレスが加えられてプレキャスト製の鉄筋コンクリート構造体とされたカルバートやエンドパネルが組み合わされて築造されることとなる。従って、施行に係る作業の簡便性が向上される。しかも、例えばカルバートの数を増減させることによって、シェルターの形状や大きさ等が容易に設定変更されることから、大きな設定自由度を含む設計が可能となり、施行現場の状況や使用用途等に有利に対応され得る。
特に、鉄筋コンクリートにおける複数の鉄筋間の隙間よりも大きな窓や出入口等の開口部が、カルバートにではなく、エンドパネルに形成されている。エンドパネルは、カルバートに比して強度的な要求性能が低いため、開口部の形成に起因する強度低下の問題がカルバートに比して小さく抑えられる。また、エンドパネルにおける開口部が、現場で加工されるものでなく、工場でのコンクリート型枠によるプレキャスト品に設けられていることから、現場での切断加工等に起因して鉄筋が露出したり、コンクリートがひび割れしたりすること等が軽減乃至は回避される。従って、プレストレスによるRCの高強度が有利に発揮されて、所期の強度や耐久性が安定して得られる。
上述の説明および以下の実施形態の説明からも明らかなように、本発明方法に従えば、(1)堅牢性と、(2)大きさの設計自由度を含む設計および現場施工の容易性、(3)低コスト性を、何れも高度に実現することの出来る、新規な構造の防災シェルターが提供され得る。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について説明する。先ず、図1〜5には、本発明の第一の実施形態としての防災シェルター10が示されている。防災シェルター10は、略矩形ボックス状の躯体12が基礎14に載置された構造とされている。以下の説明において、特に断りのない限り、上下方向は、図1中の上下方向をいう。
より詳細には、躯体12は、カルバート16と一対のエンドパネル(第一および第二のエンドパネル)18a,18bを含んで構成されている。カルバート16は、軸方向(図2中、上下)に所定の長さで延びる略矩形の筒体形状を有している。カルバート16は、コンクリートに対する配筋により、予め荷重が主として入力される方向と反対方向に圧縮荷重が加えられたプレキャスト製の鉄筋コンクリート構造体とされている。即ち、カルバート16は、躯体12の施工前に、予め工場等の適当な場所で製造されており、かかるカルバート16には、図示しない複数の鉄筋が所定の間隔をおいて埋設されている。特に本実施形態に係るカルバート16の周壁部分には、複数の鉄筋の間の隙間よりも大きくて、鉄筋の長さを制限しなければ周壁部分の厚さ方向に貫通できないような開口部が形成されていない。
また、カルバート16の4つの角部には、それぞれ軸方向(図2中、上下)に延びる連結孔20が貫設されている。また、カルバート16の周壁部分の適当な箇所には、図示しない吊り下げ用のカップラーが固着されている。
さらに、カルバート16の軸方向一方の端部には、周方向の全体に亘って略一定の角形乃至は円形断面で延びる嵌合凸部22が一体形成されていると共に、カルバート16の軸方向他方の端部には、嵌合凸部22の形状に応じ且つ嵌合凸部22よりも僅かに大きな形状の嵌合凹所24が凹設されている。また、特に図面上に明示されていないが、嵌合凸部22と嵌合凹所24における少なくとも一方の表面には、シール材としての薄肉のゴム材や合成樹脂材等からなるパッキンが被覆されており、嵌合凸部22が嵌合凹所24に嵌め入れられた際に、パッキンが弾性変形して嵌合凸部22と嵌合凹所24の重ね合わせ面間に配設されている。
更にまた、カルバート16には、加工用ブロック26の複数が埋設されている。加工用ブロック26は、カルバート16に配される各所定の位置においての用途や機能、製作性等に応じて、矩形状や円形状等を有している。加工用ブロック26には、例えば、ポリエチレン系やポリプロピレン系、ポリオレフィン系等を含む樹脂や発泡樹脂、合成ゴム等の合成樹脂材が用いられており、特に本実施形態では、船舶の舷側に配設されて、船舶の接岸時における衝撃を緩和する合成木材からなる防舷材が採用されている。本発明者に係る実施形態の結果等からも、防舷材は、コンクリートに確実に固着されると共に、釘やビス、ボルト等の固定用具を安定して固着せしめることが出来ることが分かっている。また、加工用ブロック26には、必要に応じて、天然木材等の天然樹脂材が含まれていても良い。かかる加工用ブロック26は、カルバート16の製造に際して、コンクリート成形型枠内の所定の箇所に配設されて、コンクリート成形に伴い、加工用ブロック26の表面の一部がカルバート16の周壁部分の内周側の表面に露出された形態で、インサート状態で埋設して固着配置されている。本実施形態では、上述の如き構造とされたカルバート16aと同一構造のカルバート16bが設けられており、合計2つのカルバート16a,16bを備えている。
一方、第一のエンドパネル18aと第二のエンドパネル18bは、図6,7にも示されているように、略矩形平板形状を有している。エンドパネル18は、コンクリートに対する配筋により、予め荷重が主として入力される方向と反対方向に圧縮荷重が加えられたプレキャスト製の鉄筋コンクリート構造体とされている。
また、エンドパネル18の外周縁部には、軸方向(図2中、上下)に延びる略矩形筒体形状の周壁部28が一体形成されている。更に、周壁部28における4つの角部には、締結孔30が貫設されており、エンドパネル18の板厚方向(図2中、上下)に貫通している。締結孔30は、エンドパネル18の厚さ方向の中間部分から、小形の円形断面で周壁部28の軸方向端部に向かって延びて、該軸方向端部に開口していると共に、エンドパネル18の厚さ方向の中間部分から周壁部28の軸方向端部と反対側に向かって前述の円形断面よりも大きな矩形断面で延びて、エンドパネル18の表面に開口している(図8参照。)。即ち、締結孔30は、エンドパネル18の厚さ方向の中間部分に環状の段差部32を備えている。
さらに、第一のエンドパネル18aにおける周壁部28の軸方向端部には、嵌合凹所24が凹設されていると共に、第二のエンドパネル18bにおける周壁部28の軸方向端部には、嵌合凸部22が一体形成されている。嵌合凸部22と嵌合凹所24における少なくとも一方の表面には、パッキンが被覆されている。
また、第一のエンドパネル18aには、開口部としての出入口34が貫設されている。出入口34は、上下方向に長手状に延びる略矩形形状を有しており、第一のエンドパネル18aの幅方向一方(図6中、左)に位置せしめられている。また、第二のエンドパネル18bには、開口部としての窓部36が貫設されている。窓部36は、略矩形形状を有しており、第二のエンドパネル18bの幅方向(図7中、左右)の中間部分に位置せしめられている。エンドパネル18に形成された開口部の大きさにおいて、出入口34が、窓部36よりも大きくされている。なお、第一のエンドパネル18aには、空調設備のダクト用の小形の孔35が貫設されている。
さらに、出入口34や窓部36における縁部やそれらの周り等には、複数の加工用ブロック26が、その表面の一部がエンドパネル18の表面に露出した形態で、インサート状態で埋設して固着配置されている。
出入口34を備えた第一のエンドパネル18aや窓部36を備えた第二のエンドパネル18bは、前述のカルバート16と同様に、躯体12の施工前に、予め工場等の適当な場所で製造されている。要するに、出入口34や窓部36等の開口部は、後述する施行現場で加工されるものでなく、工場でのコンクリート型枠によって、エンドパネル18を構成するプレキャスト製の鉄筋コンクリート構造体に設けられている。その結果、エンドパネル18における出入口34や窓部36を除いた部位には、図示しない複数の鉄筋が所定の間隔で埋設されている。また、各エンドパネル18における適当な箇所には、図示しない吊り下げ用のカップラーが固着されている。
また、図9にも示されているように、所定の施工場所には、略平面視矩形状の基礎14が構築されている。基礎14は、ベースコンクリートが地盤に打設されていると共に、ベースコンクリートの表面の略全体が粉末状のモルタルで覆われていることによって構成されている。また、ベースコンクリートには、平板形状を有する金属製の支持プレート38の複数が載置されて、各プレート38の表面が、それぞれ、鉛直方向で同じ高さに位置せしめられていると共に、モルタルの表面と略面一とされている。ベースコンクリートや支持プレート38が水準器等を用いて施行されることにより、支持プレート38の表面が水平方向に延びている。本実施形態では、基礎14の幅方向(図9中、左右)両側に各3つの支持プレート38が載置されており、基礎14における6つの支持プレート38の周囲およびプレート38の内側において、躯体12の底面を載置する略平面視矩形状の載置領域40が形成されている。また、これら6つの支持プレート38を備えた載置領域40の表面が、基礎14における略水平な支持面42として構成されている。
また、工場等で製作された一対のカルバート16a,16bや第一及び第二のエンドパネル18a,18bのプレキャスト品が、基礎14が設置された施行場所に搬送される。更に、図10にも示されているように、起重機44のワイヤがカルバート16やエンドパネル18に設けられたカップラーに引っ掛けられて、カルバート16やエンドパネル18が、吊り上げられて、基礎14の載置領域40の支持面42に載置されている。そこにおいて、一対のカルバート16a,16bが水平方向(図2,9中、上下)に向けて同列に位置せしめられていると共に、一方のカルバート16aの開口端部と他方のカルバート16bの開口端部が互いに重ね合わせられて、一方のカルバート16aの開口端部に形成された嵌合凹所24に、他方のカルバート16bの開口端部に形成された嵌合凸部22が嵌め入れられている。
さらに、一対のカルバート16a,16bの各開口部分を両側から挟み込むようにして第一及び第二のエンドパネル18a,18bが位置せしめられている。第一のエンドパネル18aの周壁部28の開口端部と一方のカルバート16aの開口端部が互いに重ね合わせられて、第一のエンドパネル18aの周壁部28の開口端部に形成された嵌合凹所24に対して、一方のカルバート16aの開口端部に形成された嵌合凸部22が嵌め込まれている。更に、第二のエンドパネル18bの周壁部28の開口端部と他方のカルバート16bの開口端部が互いに重ね合わせられて、第二のエンドパネル18bの周壁部28の開口端部に形成された嵌合凸部22が、他方のカルバート16bの開口端部に形成された嵌合凹所24に嵌め込まれている。
これにより、一対のカルバート16a,16bが、水平方向に直列的に並べられていると共に、第一及び第二のエンドパネル18a,18bが、それらカルバート16a,16bの両端の開口部分に対して、それぞれ重ね合わせられて覆蓋するように設置されている。それによって、躯体12が基礎14の載置領域40に設置されて、躯体12の水平状態が保持されている。なお、各カルバート16や各エンドパネル18は、例えば図示しないバールを用いた梃子の原理等を利用して、支持面42に載置されたカルバート16やエンドパネル18を移動させることにより、載置領域40の所定の位置に位置決めされる。
さらに、躯体12の設置に伴い、一方のカルバート16aに形成された各連結孔20が、他方のカルバート16bに形成された各連結孔20と第一のエンドパネル18aに形成された各締結孔30に対して、それぞれ位置合わせされていると共に、他方のカルバート16bに形成された各連結孔20が、第二のエンドパネル18bに形成された各締結孔30に対して位置合わせされている。その結果、躯体12の各角部には、一対の連結孔20,20と一対の締結孔30,30が、それぞれ、カルバート16とエンドパネル18の直列方向(図2中、上下)と略平行に延びる直線上に位置せしめられている。
また、躯体12の各角部に形成された各一対の連結孔20,20および締結孔30,30には、締結材としてのPC鋼線46が挿通されている。PC鋼線46は、ピアノ線材を用いて形成されており、公知のプレストレストコンクリートに用いられる緊張用の鋼材とされている。PC鋼線46の長さは、一対の連結孔20,20と一対の締結孔30,30を合わせた軸方向長さよりも長くされている。PC鋼線46の一方の端部が、第一のエンドパネル18aの締結孔30と第二のエンドパネル18bの締結孔30の何れか一方にボルトナット等を用いて固着されていると共に、PC鋼線46の他方の端部が、他方の締結孔30から外方に延び出している。
PC鋼線46の締結孔30から外方に延び出した部位には、支持板48が外挿されている。支持板48は、略矩形平板形状を有しており、その中央部分に貫設された図示しない定着孔にPC鋼線46が変位可能に挿通されていると共に、締結孔30の段差部32に対して外方から重ね合わせられて支持されている。特に、支持板48の定着孔が、締結孔30の外方(例えば、図2中の第一のエンドパネル18aにおける下方)から内方(例えば、図2中の第一のエンドパネル18aにおける上方)に向かって次第に径寸法が小さくなるテーパ形状とされている。
また、PC鋼線46の締結孔30および支持板48から外方に延び出した部位には、定着筒金具50が固着されている。定着筒金具50は、大径の略円筒形状の外筒部52に小径の略円筒形状の内筒部54が内挿された二重筒構造とされている。内筒部54がPC鋼線46に外挿されて溶接等で固着されていることによって、PC鋼線46が外筒部52に対して内挿されている。また、外筒部52の内径寸法が、支持板48の定着孔の最大径寸法よりも大きくされている。更に、PC鋼線46の軸方向変位に伴い、外筒部52から軸方向外方に突出せしめられる内筒部54の先端部分の外周面が、締結孔30の外方から内方に向かって次第に径寸法が小さくなるテーパ形状とされている。
さらに、PC鋼線46の締結孔30および支持板48から外方に延び出した部位から公知のジャッキ等を用いて緊張力が及ぼされることにより、PC鋼線46が緊張される。躯体12の各角部に配されたこれら4つのPC鋼線46が緊張されることによって、一対のカルバート16a,16bや第一及び第二のエンドパネル18a,18bの重ね合わせ方向(図2中、上下)に締付力が及ぼされて、それら各一対のカルバート16やエンドパネル18が、それぞれ密着状に重ね合わせられている。しかも、各嵌合凸部22と各嵌合凹所24の重ね合わせ面間に配されたパッキンが弾性変形して挟圧保持されていることに基づき、カルバート16とカルバート16乃至はエンドパネル18の重ね合わせ面間が流体密にシールされている。なお、このことからも明らかなように、シール材としてのパッキンは、カルバート16と二つのエンドパネル18a,18bがPC鋼線46で相互に固定的に連結される前に、それら両パネル18a,18bの重ね合わせ面間に配設されている。
また、PC鋼線46に及ぼされた緊張力が解除されることにより、PC鋼線46が、挿通された支持板48および一方の締結孔30からPC鋼線46の一方の端部が固着された他方の締結孔30に向かって変位または変形することとなる。かかるPC鋼線46が変位乃至は変形する際に、定着筒金具50が変位して、外筒部52が支持板48に重ね合わせられて支持されていると共に、内筒部54が変位して外筒部52の外方に突出していると共に、支持板48の定着孔に嵌め込まれている。内筒部54の外周面と定着孔が互いに締結孔30の外方から内方に向かって次第に径寸法が小さくなるテーパ形状とされているので、内筒部54が支持板48延いては締結孔30の段差部32に係止されることとなり、PC鋼線46の内筒部54に固着された部位が支持板48に定着されている。それによって、PC鋼線46の緊張状態が保持されており、躯体12の各角部に配された4つのPC鋼線46の緊張に基づいて、一対のカルバート16a,16bや第一及び第二のエンドパネル18a,18bの重ね合わせ方向(図2中、上下)に締付力が及ぼされてプレストレスが及ぼされ、各一対のカルバート16やエンドパネル18が、それぞれ固定的に連結されている。
なお、本実施形態では、PC鋼線46が躯体12に配された後、PC鋼線46の端部が締結孔30内に収まるように適当な長さに切断されていると共に、締結孔30がモルタル等で覆蓋されている。また、躯体12の周壁部や天井部等には、必要に応じて、例えば調湿材等の壁部の特性を調節する塗料や外観を向上させるペンキ等が塗布されている。
また、基礎14に載置された躯体12の周りには、空調設備の室外機56や出入口34用の踏み台58等が設置されている。更に、第一のエンドパネル18aに形成された孔35には、空調設備の室外機56と室内機を繋ぐエアホース60が挿通されている。
さらに、出入口34には、扉62が取り付けられていると共に、窓部36には、開閉窓64が取り付けられている。これら扉62や開閉窓64は、出入口34や窓部36の外周縁部や周りに埋設された加工用ブロック26の複数にボルトやビス、釘等の固定部材を固着させることにより、出入口34や窓部36に対して開閉可能に取り付けられている。更に、庇66や照明器具その他の外装材または内装材が、カルバート16やエンドパネル18の所定の箇所に埋設された加工用ブロック26に各種の固定部材を固着させることによって、取り付けられている。即ち、カルバート16やエンドパネル18をPC鋼線46で相互に固定的に連結せしめた後に、加工用ブロック26を利用して扉62や開閉窓64その他の各種建具が固定されて装着されている。
上述の如き製造方法に従い造られた防災シェルター10においては、予め工場生産された一定形状および構造のプレキャスト製品を用いて躯体12が構築されることにより、製造が容易で、施工期間も短くて済み、広いエリアに向けて安価に供給され得ることに加え、特に地震等があった災害地域に有利に適用され得る。
また、PC鋼線46の緊張によって複数のカルバート16やエンドパネル18が固定的に連結されて、躯体12が築造されることから、躯体12に対してプレストレスが有効に加えられて、目的とする耐震性能が有利に発揮され得る。しかも、躯体12の解体に際しては、PC鋼線46を取り外すことにより、解体作業が容易になる。
特に本実施形態では、一対のカルバート16a,16bおよび一対のエンドパネル18a,18bの各周壁部28に対して出入口34や窓部36等の比較的に大きな開口部が設けられていないことに基づき、プレストレスによるRCの高強度を特に有効に享受し得る。また、出入口34や窓部36が、躯体12全体の強度計算上、カルバート16に比して強度的な要求性能が低くて良いエンドパネル18に形成されていることに加え、出入口34や窓部36等は、現場で加工されるものでなく、工場でのコンクリート型枠によってエンドパネル18のプレキャスト品に設けられていることから、現場での切断加工等によって鉄筋が露出したり、強度低下する等のおそれがない。それ故、所期の強度や耐久性が十分に発揮され得るのである。
また、本実施形態では、防舷材からなる加工用ブロック26が躯体12に埋設して固着配置されていることによって、コンクリートに強固に固着され、しかも、加工が容易であって、扉62や開閉窓64その他の外装材乃至は内装材等の建具を固定する固定部材が安定して取り付けられる。それ故、特別にアンカーボルト等をコンクリートに埋め込む必要もなくなり、施行が一層容易になる。
さらに、本実施形態では、一対のカルバート16a,16bや第一及び第二のエンドパネル18a,18bの重ね合わせ面間にパッキンが配設されていることによって、重ね合わせ面間の流体密性が向上され、水や埃等の異物の侵入が有利に防止される。
更にまた、本実施形態では、一対のカルバート16a,16bや第一及び第二のエンドパネル18a,18bが、互いに同一の構造体とされていると共に、各カルバート16の開口端部と各エンドパネル18の周壁部28の開口端部には、同一規格の嵌合凸部22と該嵌合凸部22に対応した嵌合凹所24が設けられていることから、カルバート16の数を設定変更してカルバート16とエンドパネル18を互いに連結して固定することが出来、構築される防災シェルター10のサイズが容易に設定変更され得る。
次に、図11には、本発明の第二の実施形態としての防災シェルターの一部を構成する基礎14’が示されている。なお、以下の説明において、前記第一の実施形態と実質的に同一の構造とされた部材および部位については、図中に第一の実施形態と同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。
詳細には、基礎14’の支持面42において、凹所68が開口形成されている。凹所68は、上方に開口する略一定の凹状断面で基礎14’の横幅方向(図11中、左右)に延びる凹溝形状とされている。特に本実施形態では、凹所68が、躯体12の載置領域40を超えて外方にまで直線的に延びている。このような凹所68の複数が、基礎14’の縦幅方向(図11中、上下)で所定の距離を隔てて配設されている。特に限定されるものでないが、本実施形態では、凹所68が、各カルバート16の載置領域40に二つ設けられていると共に、各エンドパネル18の載置領域40に一つ設けられている。また、載置領域40の支持面42に設けられた支持プレート38の複数が、凹所68の開口部分に掛け渡されている。
また、凹所68には、ボールベアリング装置70が取り付けられている。ボールベアリング装置70は、複数のベアリングユニット72を含んでいる。ベアリングユニット72は、図12,13にも拡大して示されているように、支持ブロック74を備えている。支持ブロック74は、略矩形状とされており、凹所68の幅方向(図12中、上下)に長手状に延びている。また、支持ブロック74の長手方向(図12中、上下)の両端部には、ガイド板76が上方に向かって突設されていて、凹所68の側壁部と対向せしめられている。ガイド板76の上端部分は、凹所68の開口部分よりも下方に位置せしめられている。
また、支持ブロック74には、小形の鋼球からなる第一ボール78が回転可能に設けられて、第一ボール78の上半分が支持ブロック74の上端部分から突出している。このような第一ボール78が、支持ブロック74の長手方向(図12中、上下)に離隔して一対配設されている。ベアリングユニット72は、一対の第一ボール78,78を備えた支持ブロック74を二つ備えている。一対の支持ブロック74,74は、長手方向に直交する方向(図12,13中、左右)で対向位置せしめられていて、当該直交方向に相対変位可能とされており、更に一対の支持ブロック74,74に内蔵された連結ピン80によって、相対的な変位が所定量だけ許容されていると共に、互いに連結されている。
さらに、ベアリングユニット72は、第一ボール78よりも大きな大形の鋼球からなる第二ボール82を備えている。第二ボール82は、一対の支持ブロック74,74が互いに当接せしめられた際に、支持ブロック74の上方に位置して、4つの第一ボール78に載置されていることによって、4点で相対的に回転または滑り変位可能に支持されている。また、一対の支持ブロック74,74が互いに当接して、第二ボール82が4つの第一ボール78に支持された際には、第二ボール82の略上半分が、凹所68から突出して、基礎14’の支持面42よりも上方に位置せしめられるようになっている。
このようなベアリングユニット72の複数が、支持ブロック74の長手方向に直交する方向(図11中、左右)に直列的に並べられて、各ベアリングユニット72の互いに隣り合う支持ブロック74,74が固定されている。本実施形態では、それらの支持ブロック74,74が、溶接やボルト等で固着されているが、ベアリングユニット72の一部を構成する連結ピン80によって、相対的な変位が所定量だけ許容されつつ、互いに連結されるようにしても良い。
特に本実施形態では、各凹所68に対して二つのボールベアリング装置70,70が設置されており、凹所68の略中央において、各ボールベアリング装置70の一方の端部における支持ブロック74が互いに変位可能に当接されている。また、各ボールベアリング装置70の他方の端部における支持ブロック74が、載置領域40を超えて基礎14’の端部付近にまで延びている。
さらに、ボールベアリング装置70の載置領域40を超えた支持ブロック74の端部には、略平板形状を有する押さえ板金具84が固着されている。押さえ板金具84の上端部分は、凹所68の開口部分よりも下方に位置せしめられている。
更にまた、基礎14’の横幅方向(図11中、左右)両端部に開口せしめられた凹所68の端部には、支持板金具86が配されている。支持板金具86は略矩形平板形状を有しており、その幅方向(図12中、上下)両端部分と下端部分が、凹所68周りの基礎14’の端部に重ね合わせられて、図示しない固定ボルト等によって着脱可能に固定されている。また、支持板金具86には締付ボルト88が貫通して螺着されていると共に、締付ボルト88の先端部分が押さえ板金具84に当接している。要するに、締付ボルト88の螺着作用に基づいて、載置領域40を超えたベアリングユニット72の支持ブロック74の端部が、締付ボルト88に支持されている。このことからも明らかなように、押さえ板金具84と支持板金具86は、ベアリングユニット72の変位方向となる凹所68の延びる方向(図11中、左右)に所定の距離を隔てて対向位置せしめられている。かかる離隔距離は、複数のベアリングユニット72の変位量に基づいて適宜に設定される。
この締付ボルト88の支持板金具86に対する螺着量によって、複数のベアリングユニット72における各一対の支持ブロック74,74の相対的な変位量が調節されることとなる。具体的には、例えば図12,13にも示されているように、締付ボルト88が支持板金具86に締め付けられて、ボルト88の先端部分が凹所68内に十分に延びた形態では、複数のベアリングユニット72に対して基礎14’の横幅方向外方から内方に向かって保持力が及ぼされて、一対の支持ブロック74,74が互いに当接せしめられている。それによって、第二ボール82が4つの第一ボール78に対して変位可能に支持せしめられていると共に、第二ボール82の略上半分が凹所68の開口部分、即ち基礎14’の支持面42よりも上方に位置せしめられた形態となる。
また、例えば図14,15にも示されているように、支持板金具86に螺着された締付ボルト88が緩められて、ボルト88の先端部分が、基礎14’の横幅方向外方に向かって変位することに基づき、一対の支持ブロック74,74を互いに当接せしめていた保持力が弱まる。更に、第二ボール82の重力作用が4つの第一ボール78を介して一対の支持ブロック74,74に加えられて、各ベアリングユニット72における一対の支持ブロック74が凹所68が延びる方向(図11中、左右)に相対的に変位せしめられると共に、第二ボール82が各第一ボール78と相対的な回転または滑り変位を生じて、下方に変位せしめられる。その結果、凹所68の開口部分、即ち基礎14’の支持面42よりも上方に位置せしめられていた第二ボール82が、支持面42よりも下方に位置せしめられた形態となる。
従って、カルバート16や周壁部28を含むエンドパネル18が載置領域40の支持面42に載置される際に、各ベアリングユニット72の一対の支持ブロック74,74が互いに当接された形態が保持されていることによって、カルバート16やエンドパネル18が、複数の第二ボール82に載置されて、カルバート16やエンドパネル18の底面が、支持面42から浮いた状態になる。かかる状態では、複数の第一ボール78と第二ボール82の回転作用等に基づいて、カルバート16やエンドパネル18を水平方向に比較的に容易に変位させることが可能となる。その結果、カルバート16やエンドパネル18が目的とする載置領域40の水平位置に容易に位置決めされる。
また、カルバート16やエンドパネル18の水平位置が位置決めされた後に、支持板金具86に螺着された締付ボルト88が緩められて、カルバート16やエンドパネル18、第二ボール82の重力作用によって、各一対のベアリングユニット72,72が相対的に離隔せしめられると共に、複数の第二ボール82が支持面42よりも下方に変位せしめられることに基づき、支持面42から浮いていた状態のカルバート16やエンドパネル18が下方に変位して、複数の支持プレート38を備えた支持面42に載置される。それ故、カルバート16やエンドパネル18が目的とする載置領域40の支持面42に高度に且つ容易に載置されることとなり、優れた施行作業が実現され得る。なお、上述の説明からかも明らかなように、外部からの操作によってカルバート16の底面の支持高さを変化させるレベル調節機構が、押さえ板金具84や支持板金具86、締付ボルト88を含んで構成されている。
特に本実施形態では、凹所68の載置領域40を超えた部分にまでボールベアリング装置70の端部が位置せしめられていることにより、各第二ボール82を下方に変位させて、カルバート16やエンドパネル18が支持面42に載置された後に、支持板金具86と基礎14’の固定状態を解除して、ボールベアリング装置70の端部を把持して凹所68から引っぱり出すことが可能となる。しかも、各凹所68に対して一対のボールベアリング装置70,70が設置されていることによって、基礎14’横幅方向両側から取り出すことが出来る。それ故、ボールベアリング装置70が凹所68から容易に取り除かれて、装置70の再利用等も有効に図られ得る。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であり、これら実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能である。また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
例えば、カルバート16やエンドパネル18における形状や大きさ、構造、配設位置、数等の形態は、例示の如きものに限定されない。具体的には、前記実施形態において、エンドパネル18に周壁部28が一体形成されていたが、かかる周壁部28は必須の部材でなく、例えば略矩形平板形状のエンドパネルをカルバートの開口端部に直接に重ね合わせて固着しても良い。
また、前記実施形態において、カルバート16の周壁部に開口部が形成されていなかったが、コンクリートに埋設された複数の鉄筋の間に位置せしめられる程度の小孔等はカルバート16に形成されても良い。即ち、本発明に係るカルバートの周壁部分に形成されない開口部は、所定の間隔で配された鉄筋の間の大きさよりも大きくて、鉄筋の長さを制限しなければコンクリートに貫通されない出入口や窓部等の大きな開口部をさすのであり、前述の如き鉄筋間のコンクリートに貫通する小孔を含まない。
また、前記実施形態では、窓部36が、第二のエンドパネル18bに設けられていると共に、出入口34が、第一のエンドパネル18aに設けられていたが、これら窓部36や出入口34の形状や大きさ、位置、数等は、耐震性や製作性、用途等に応じて適宜に設定変更されるものであって、例示の如き形態に限定されるものでない。具体的には、例えば、第一及び第二のエンドパネル18a,18bに対して、出入口がそれぞれ設けられたり、一又は二以上の窓部が設けられたりすることも可能である。
また、前記第二の実施形態に係る凹所68やボールベアリング装置70の形態も、例示の如き形態に限定されるものでない。
例えば、前記第二の実施形態では、各ベアリングユニット72における一対の支持ブロック74,74が連結ピン80で連結されていると共に、各ベアリングユニット72の隣り合う支持ブロック74,74が固着されていたが、これら支持ブロック74を連結したり固着したりする必要はない。カルバート16等が載置された複数の第二ボール82を締付ボルト88の調節によって下方に変位せしめて、カルバート16を支持面42に載置させた後に、ボールベアリング装置70を取り除く際には、載置領域40を超えた凹所68の一方の端部から他方の端部に向かって別部材を差し入れてボールベアリング装置70を押し出すことにより、凹所68から取り除くようにしても良い。
本発明の第一の実施形態としての防災シェルターにおいて扉が開いている状態を示す斜視説明図である。 図1における防災シェルターを示す横断面説明図である。 図2におけるIII−III断面図である。 図2におけるIV−IV断面図である。 図3におけるV−V断面図である。 図1における防災シェルターの一部を構成する第一のエンドパネルを示す背面説明図である。 図1における防災シェルターの一部を構成する第二のエンドパネルを示す背面説明図である。 図6及び図7における第一及び第二のエンドパネルの一要部を拡大して示す斜視説明図である。 図1における防災シェルターの一部を構成する基礎を示す平面説明図である。 図1における防災シェルターの一製造工程を示す斜視説明図である。 本発明の第二の実施形態としての防災シェルターの一部を構成する基礎を示す平面説明図であって、図9に対応する図である。 図11における基礎の一要部を拡大して示す平面説明図である。 図12におけるXIII−XIII断面図である。 図11における基礎を用いた防災シェルターの一製造工程を示す縦断面説明図である。 図14におけるXV−XV矢視説明図である。
符号の説明
10 防災シェルター
14 基礎
16a カルバート
16b カルバート
18a 第一のエンドパネル
18b 第二のエンドパネル
20 連結孔
30 締結孔
34 出入口
36 窓部
42 支持面
46 PC鋼線

Claims (9)

  1. 周壁部分に開口部が形成されていない矩形の筒体形状を有すると共に、4つの各角部において軸方向に貫通する連結孔を備えたカルバートを、コンクリートに対して配筋によるプレストレスが加えられたプレキャスト製の鉄筋コンクリート構造体として製造する工程と、
    少なくとも一つの開口部が予め形成された矩形の平板形状を有すると共に、4つの各角部において板厚方向に貫通する締結孔を備えたエンドパネルを、コンクリートに対して配筋によるプレストレスが加えられたプレキャスト製の鉄筋コンクリート構造体として製造する工程と、
    施工場所において略水平な支持面を有する基礎を構築する工程と、
    前記基礎の前記支持面上で、前記カルバートの複数を水平方向に直列的に並べると共に、それら複数のカルバートの直列方向の両端の開口部分に対して、それぞれ、前記エンドパネルを重ね合わせて覆蓋するように設置する工程と、
    互いに並べて設置した複数の前記カルバートと両端二つの前記エンドパネルを、該カルバートの前記連結孔と該エンドパネルの前記締結孔を通じて挿通せしめた締結材によって重ね合わせ方向に締付力を及ぼして相互に固定的に連結する工程と
    を、含むことを特徴とする防災シェルターの製造方法。
  2. 前記カルバートの製造に際して、そのコンクリート成形型枠内に合成樹脂製の加工用ブロックを少なくとも一つ配設しておくことで、該加工用ブロックを該カルバートの表面に露出する位置にインサート状態で埋設して固着配置すると共に、
    前記エンドパネルの製造に際して、そのコンクリート成形型枠内に合成樹脂製の加工用ブロックを少なくとも一つ配設しておくことで、該加工用ブロックを該エンドパネルにおける少なくとも前記開口部付近の表面に露出する位置にインサート状態で埋設して固着配置する一方、
    複数の前記カルバートと二つの前記エンドパネルを前記締結材で相互に固定的に連結せしめた後に、前記加工用ブロックを利用して建具を固定して装着する工程を有する請求項1に記載の防災シェルターの製造方法。
  3. 前記締結材で相互に固定的に連結せしめる前に、複数の前記カルバートおよび二つの前記エンドパネルの互いに重ね合わせられた重ね合わせ面間にシール材を配設する工程を有する請求項1又は2に記載の防災シェルターの製造方法。
  4. 複数の前記カルバートとして互いに同一の構造体を採用する一方、二つの前記エンドパネルとして前記開口部の大きさが互いに異なるものを採用する請求項1乃至3の何れか一項に記載の防災シェルターの製造方法。
  5. 前記基礎において、前記支持面に開口する凹所を形成して、そこにボールベアリング装置を設置させた状態で、上方から前記カルバートを下ろして該ボールベアリング装置で支持せしめることで該カルバートの底面を該支持面から浮かせた状態で水平位置を位置決めし、その後、該ボールベアリング装置を取り除くことによって該カルバートの底面を該支持面に直接に載置せしめて設置する請求項1乃至4の何れか一項に記載の防災シェルターの製造方法。
  6. 前記ボールベアリング装置が、外部からの操作によって前記カルバートの底面の支持高さを変化させるレベル調節機構を備えている請求項5に記載の防災シェルターの製造方法。
  7. 前記ボールベアリング装置が、前記カルバートの底面に対して当接せしめられる複数のボールを備えており、外部からの操作によってそれら複数のボールの支持を解除せしめて下方に落とすことによって、それら複数のボールによって実現される前記カルバートの底面の支持高さを下げることが出来るようになっている請求項6に記載の防災シェルターの製造方法。
  8. 前記基礎における前記凹所を、前記カルバートの底面の載置領域を超えて外方にまで直線的に延びる凹溝形状をもって形成して、該カルバートの底面の載置領域を超えて外方に延び出した部分から前記ボールベアリング装置を操作する請求項5乃至7の何れか一項に記載の防災シェルターの製造方法。
  9. 請求項1乃至8の何れか一項に記載の防災シェルターの製造方法を用いて造られたことを特徴とする防災シェルター。
JP2005187383A 2005-03-31 2005-06-27 防災シェルターの製造方法 Pending JP2006307622A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005187383A JP2006307622A (ja) 2005-03-31 2005-06-27 防災シェルターの製造方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005103021 2005-03-31
JP2005187383A JP2006307622A (ja) 2005-03-31 2005-06-27 防災シェルターの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006307622A true JP2006307622A (ja) 2006-11-09

Family

ID=37474813

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005187383A Pending JP2006307622A (ja) 2005-03-31 2005-06-27 防災シェルターの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006307622A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013064227A (ja) * 2011-09-15 2013-04-11 Nippon Steel & Sumikin Metal Products Co Ltd 仮設シェルターの扉構造、及びその組み立て方法
CN104153628A (zh) * 2014-07-31 2014-11-19 江苏爵格工业设备有限公司 一种家庭安全庇护所

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013064227A (ja) * 2011-09-15 2013-04-11 Nippon Steel & Sumikin Metal Products Co Ltd 仮設シェルターの扉構造、及びその組み立て方法
CN104153628A (zh) * 2014-07-31 2014-11-19 江苏爵格工业设备有限公司 一种家庭安全庇护所

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006118338A (ja) リブフレーム構造体の建設方法及びそのリブフレーム構造体
US7219474B2 (en) Load bearing building panel
KR101670553B1 (ko) Pc벽체가 기존 건축물 외면에 접합되는 내진보강구조
JP2006307622A (ja) 防災シェルターの製造方法
JP3958335B2 (ja) 外断熱形成具、外断熱構造物およびその構築方法
KR101908356B1 (ko) 내진보강용 이중 철골프레임 및 이를 이용한 내진공법
KR101257667B1 (ko) 건축 구조물의 내진보강구조 및 내진보강방법
KR20070053375A (ko) 프리캐스트 콘크리트 조립식박스를 이용한 건축물 제조 및시공방법
KR20190000117A (ko) 경량철 목구조 모듈러 하우스 체결장치
JP2009097249A (ja) 布基礎に点検用開口を形成する方法および開口補強ユニット
JP2006322278A (ja) 耐震補強装置
JP2002038626A (ja) コンクリートパネル、その製造方法およびこのコンクリートパネルを使用した建物の構築工法
KR101362259B1 (ko) 내부결속 구조를 갖는 조립식 벽체블록
JP4026077B2 (ja) 足場つなぎ用金具
JP4251367B2 (ja) 足場連結が可能な壁体、およびその足場
JP4718994B2 (ja) 杭頭接合部の構築方法と杭頭接合部型枠
JPH11323970A (ja) 塀、花壇、擁壁、門柱等の施工方法
JP2007016573A (ja) 木造住宅における地震時避難用架構体
JP2020122268A (ja) 制振装置付き構築物
JP7213150B2 (ja) 支柱とコンクリート床版の固定方法及び擁壁の構築方法
KR20110023990A (ko) 조립식 건축물의 바닥 시공방법
KR20110029490A (ko) 경량화 구조로된 프리캐스트 패널 리모델링 시공 방법 및 프리캐스트 연결구조
JP2005344492A (ja) 木造家屋の耐震補強工法とこれに用いる補強金具及び柱抜け防止装置
KR20210077872A (ko) 이중구조로 형성되는 벽과 플로어 시공법
RU156124U1 (ru) Сборный железобетонный каркас многоэтажного здания