JP2006307054A - 水性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】非フッ素系の合成樹脂に耐候性や撥水性、防汚性などのフッ素系重合体の優れた特性を付与し得る水性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】アクリル樹脂などの非フッ素系合成樹脂(a)と、該非フッ素系合成樹脂よりも少ない質量のフッ化ビニリデン系ゴムなどの含フッ素ゴム(b)とを含む塗料に適した水性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、非フッ素系の合成樹脂に耐候性や撥水性、防汚性などのフッ素系重合体の優れた特性を付与し得る水性樹脂組成物に関する。
フッ素系重合体は耐候性や撥水撥油性、防汚性、化学的安定性、非粘着性、潤滑性、耐熱性、難燃性などに優れているという利点があるが、高価で汎用の用途には多量に使用できない。そこで現在、汎用樹脂にフッ素系低分子化合物やフッ素樹脂を添加剤として添加して使用している。たとえば有機溶剤系樹脂組成物としては、汎用樹脂とフッ素樹脂の組合せ(特許文献1)、汎用樹脂とフッ素オイルの組合せ(特許文献2)、汎用樹脂と含フッ素ゴムの組合せ(特許文献3)などがあげられる。水性樹脂組成物としては、フッ素樹脂とアクリル樹脂の組合せ(特許文献4)のほか、特許文献5には含フッ素ゴムと加硫剤からなるフッ素ゴム塗料組成物に天然または合成樹脂を添加してもよいとの記載がある。この特許文献5では、天然または合成樹脂はフッ素ゴム塗料の一般的な添加剤の一例であり、しかも天然または合成樹脂についての具体的な記載はない。
ところで従来知られている組合せでは、単に汎用樹脂に希釈されてしまう形になるため、フッ素系低分子化合物やフッ素樹脂の特長である耐候性、撥水撥油性、防汚性、化学的安定性、非粘着性等が充分発揮できなかったり、または相性の悪い組合せによっては、汎用樹脂とフッ素成分の極端な相分離により層間剥離等が起きたりすることがある。
特開平11−80641号公報 特開昭60−104161号公報 特開昭53−146752号公報 特開2000−182606号公報 特開2002−12813号公報
本発明は、非フッ素系樹脂と少量の含フッ素ゴムを組み合わせた水性樹脂組成物から得られる被膜が意外なことに、含フッ素ゴムの表面濃縮層を形成し、層間剥離も生じないことを見出し、完成したものである。
すなわち本発明は、少量のフッ素源でフッ素化合物の諸特性をもつ被膜を与え得る水性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明の水性樹脂組成物は、非フッ素系合成樹脂(a)と、該非フッ素系合成樹脂よりも少ない質量の含フッ素ゴム(b)とを含む組成物である。
非フッ素系合成樹脂(a)としてはアクリル系樹脂であることが、フッ素ゴムとの適度な親和性の観点、数ある非フッ素系樹脂の中では耐候性と耐薬品性に優れる点、塗料化容易性、容易塗工性、合成や入手の容易性、低材料コスト、素材の高安全性(衛生的)等の点から好ましい。
また、非フッ素系合成樹脂(a)100質量部に対する含フッ素ゴム(b)の量は、1質量部以上、100質量部未満、好ましくは99質量部以下、さらに好ましくは60質量部以下、特に好ましくは40質量部以下であることが、低材料コスト化の点で好ましい。
含フッ素ゴム(b)としては、高耐候性、高撥水撥油性、高耐薬品性、容易成膜性、合成や入手の容易性の点からフッ化ビニリデン系共重合体ゴムであることが好ましく、フッ化ビニリデン系共重合体ゴムとしては、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体ゴムおよび/またはフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体ゴム等が好ましく例示できる。
本発明の組成物はフッ素成分の量を少なくできる点に特徴があり、この観点から、水性樹脂組成物の固形分中のフッ素含有率が37質量%以下であることが好ましい。
また、本発明の水性樹脂組成物は、非フッ素系合成樹脂(a)の水性分散体(A)と含フッ素ゴム(b)の水性分散体(B)を混合して得られる組成物が、均一な分散混合状態となり、好ましい。
組成物は、たとえば塗料の形態として有用である。
本発明はさらに、本発明の水性樹脂組成物を塗布乾燥して得られる被膜にも関する。
本発明によれば、非フッ素系樹脂に少量の含フッ素ゴムを組み合わせることにより、含フッ素ゴムの表面濃縮層が形成され、層間剥離も生じない。しかも、少量のフッ素源でフッ素化合物の諸特性を発現することができる。
本発明の水性樹脂組成物は、非フッ素系合成樹脂(a)と、該非フッ素系合成樹脂よりも少ない質量の含フッ素ゴム(b)とを含む。
以下、それぞれの成分について説明する。
(a)非フッ素系合成樹脂
非フッ素系合成樹脂は、フッ素原子を含まず非ゴム弾性の合成樹脂であり、本発明で好ましい非フッ素系合成樹脂は、たとえば成膜温度が約200℃以下、好ましくは170℃以下、さらに好ましくは100℃以下の樹脂である。
非フッ素系合成樹脂としては特に制限なく用いられ、好ましいものとして、たとえばポリアクリレート、シリコン変性アクリレートなどのアクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステルなどがあげられる。また、官能基(水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、ニトリル基、アミノ基、チオール基など)を有する非フッ素系合成樹脂も硬化性樹脂として使用できる。これらのうち、非フッ素系合成樹脂の中では耐候性や耐薬品性に優れる点、合成や入手の容易性の点から、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂が好ましく、さらには、本発明組成物中に用いるフッ素ゴムとの適度な親和性の観点、塗料化容易性、塗工容易性、低材料コスト、素材としての安全性等の点からアクリル樹脂が好ましい。
具体的には、特開平11−148019号公報に記載されているつぎのような非フッ素系ビニル単量体を用いて重合して得られた樹脂があげられる。
非フッ素系ビニル単量体の非限定的な具体例としては、たとえばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのビニル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、4−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル単量体;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸などのα、β−エチレン性不飽和カルボン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸などの重合可能な炭素−炭素二重結合を有する酸;あるいは、それらの塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩など);無水マレイン酸などの酸無水物またはそれらと炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコールとのハーフエステル;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基を有する(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、α−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリンあるいは、それらの塩酸、酢酸塩;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアリルフタレートなどのビニルエステルやアリル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのニトリル基含有ビニル単量体;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有ビニル単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシスチレン、水酸基含有ビニル系変性ヒドロキシアルキルビニル系モノマーなどの水酸基含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類などのα、β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類とリン酸エステル基含有ビニル化合物あるいはウレタン結合やシロキサン結合を含む(メタ)アクリレートなどのビニル化合物;ビニルメチルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、プロピレン、ブタジエン、N−ビニルイミダゾールなどのその他のビニル単量体などがあげられる。
また、式:
3-aSiR3a
(Xは同じかまたは異なり、ハロゲン原子、アルコキシ基、水酸基、アシロキシ基、アミノキシ基、フェノキシ基、チオアルコキシ基およびアミノ基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基、;Rは同じかまたは異なり、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜10のアラルキル基;aは0〜2の整数)で表される単量体も用いることができる。中でも、特にアルコキシシリル基含有単量体が安定性の点で好ましい。
ウレタン結合を有する樹脂をうるためには、イソシアネート化合物と水酸基含有単量体とを反応させ、共重合体中に導入すればよい。また、ウレタン架橋を行う樹脂をうるためには、遊離イソシアネート基および/またはブロックイソシアネート基を含有するビニル系重合体と水酸基を含有するビニル系重合体と混合し、反応させることによりウレタン架橋を行えばよい。
カルボニル基を含有するビニル単量体の具体例としては、たとえば、アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ホルミルスチロール、好ましくは、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(たとえば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトンなど)、ジアセトンアクリレート、ジアセトンメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート−アセチルアセテート、ブタンジオール−1,4−アクリレート−アセチルアセテートなどがあげられる。
なお、本発明における非フッ素系合成樹脂に含まれない非フッ素系重合体としては、イソプレンゴム、天然ゴム、SBR、ブタジエンゴム(ビニル型、シス型、トランス型)、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、EPDM、ウレタンゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム(アクリル酸ビニルエステルと架橋性単量体の共重合体ゴム)、クロロスルホン化ポリエチレンゴムなどのゴム弾性を有する非フッ素ゴムが例示できる。
(b)含フッ素ゴム
本発明における含フッ素ゴムは、ゴム弾性を有する非晶質の含フッ素共重合体であり、フルオロオレフィン系共重合体のうちゴム弾性を呈するもの(以下、フルオロオレフィンゴム)という)またはフルオロシリコーン系重合体のうちゴム弾性を呈するもの(以下、「フルオロシリコーンゴム」という)が代表例としてあげられる。
本発明において「ゴム弾性」とは、加えられた外力を復元のためのエネルギーとして内部に蓄えて変形し、その外力を取り去ると直ちに元の寸法に戻る性質を有し、ガラス転移温度以上の温度下で比較的小さな力で大きな伸びを示すが、伸びきった状態では大きな応力を示すことをいう。
また、「非晶質」とは、規則正しい分子鎖の配列がなく、ガラス転移点はあるが、特定結晶融点がない状態のことをいう。
さらに「結晶融点」は、Thermal Analysis System(パーキンエルマー社製)を用いて、10mgの試料を−25℃〜200℃の温度範囲で昇温速度10℃/分で熱収支を測定し、セカンドランで得られたピークトップとする。本発明の含フッ素ゴムではこのピークトップが観測されない。
フルオロオレフィン共重合体は、組成によってゴム弾性を呈したり呈さなかったりする。そこで、以下に、ゴム弾性を呈する組成の代表例をあげる。これらは、たとえば里川孝臣著、「フッ素樹脂ハンドブック」、日刊工業新聞(株)発行(1990年)等の公知文献において、ゴム弾性を有することが知られている。
(1)フッ化ビニリデン(VdF)−ヘキサフルオロプロピレン(HFP)−テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体(「フッ素樹脂ハンドブック」の553頁に記載されているVdF−HFP−TFE系フッ素ゴムの組成三角図を図1に示す。かかる三角図から読み取ったフッ素ゴム組成は以下のとおりである。)
VdF:40〜82モル%
HFP:15〜52モル%
TFE:0〜36モル%
(2)VdF−パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)−TFE共重合体(「フッ素樹脂ハンドブック」の553頁に記載されているVdF−PAVE−TFE系フッ素ゴムの組成三角図を図2に示す。かかる三角図から読み取ったフッ素ゴム組成は以下のとおりである。)
VdF:14〜86モル%
PAVE:10〜50モル%
TFE:0〜56モル%
なお、PAVEとしては、たとえばパーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)などが例示できる。
(3)VdF−クロロトリフルオロエチレン(CTFE)共重合体
VdF:50〜75モル%
CTFE:50〜25モル%
(4)VdF−HFP共重合体
VdF:50〜85モル%
HFP:50〜15モル%
(5)PAVE−TFE−末端ヨウ素化PAVE共重合体
PAVE:50〜90モル%
TFE:10〜50モル%
末端ヨウ素化PAVE:0〜10モル%
以上の組成範囲を外れる場合は、ゴム弾性を示さない「樹脂」であるか、共重合体を形成できない。そのほか、含フッ素重合体として周知のもので、ゴム弾性を示さない共重合体を例示すると、TFE−HFP共重合体(FEP)、TFE−PAVE共重合体(PFA)、TFE−ビニルエーテル単量体共重合体、TFE−ビニルエステル単量体共重合体、CTFE−ビニルエーテル単量体共重合体、CTFE−ビニルエステル単量体共重合体、HFP−ビニルエーテル単量体共重合体、HFP−ビニルエステル単量体共重合体、エチレン−TFE共重合体(ETFE)、エチレン−CTFE共重合体(ECTFE)など;さらには国際公開第95/08582号パンフレット、特開平2−225550号公報、特開2002−226784号公報に記載のフルオロオレフィン単量体とそれと共重合可能な炭化水素系単量体から得られる共重合体やシード重合体などをあげることができる。なお、フルオロオレフィンの単独重合体はゴム弾性をもたない。
本発明で使用できるフルオロオレフィンゴムの具体例としては、たとえば、特開2003−019772号公報、国際公開第2004/108820号パンフレット、特開2003−231719号公報、特公平5−13961号公報に記載の2種以上のフルオロオレフィン単位から構成された共重合体やフルオロオレフィンと共重合可能な単量体との共重合体があげられる。これらは、フッ素含有量が50質量%以上で最大76質量%を超えない範囲にあり、また、ムーニー粘度において100℃でのML10が5以上で、170℃でのML10が100以下という性状を有するものである。
フルオロオレフィンゴムとしては、フッ化ビニリデン共重合体系のゴム、特に上記(1)〜(4)が好ましい。
他の含フッ素ゴムとしてはフルオロシリコーンゴムがある。
フルオロシリコーンゴムとしては、ゴム弾性を有する非晶質の含フッ素ポリオルガノシロキサン、特に特開2002−69246号公報に記載の含フッ素ポリオルガノシロキサンが好適に例示できる。
たとえば、つぎの式(I)および(II)が例示できる。
式(I):
X−A−Y
(式中、XおよびYは同じかまたは異なり、いずれも水素原子、水酸基、有機基または式(IA):
Figure 2006307054
(式中、R1は同じかまたは異なり水素原子またはアルキル基;R2は同じかまたは異なり、水素原子または有機基;nは0、1、2または3)で示されるオルガノシロキサン残基);Aは式(IB):
Figure 2006307054
(式中、R3は水酸基、チオール基、アミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、カルボキシル基または有機基)単位を50モル%よりも多く有するオルガノポリシロキサン鎖、ポリエーテル鎖またはポリウレタン鎖;ただし、Aがポリエーテル鎖またはポリウレタン鎖のとき、XおよびYの少なくとも1つは式(IB)のオルガノシロキサン残基であり、かつX、YおよびAにおけるSiに結合している有機基の少なくとも1つが含フッ素有機基である)で示される含フッ素ポリオルガノシロキサンのうち、エラストマー性を示すもの。
式(II):
X−(A)n−B−(A)m−Y
(式中、X、YおよびAは式(I)と同じ;Bは2価の含フッ素有機基;nおよびmは0または1;ただし、nとmは同時に0にはならない)で示される含フッ素ポリオルガノシロキサンのうち、エラストマー性を示すもの。
さらには、これら式(I)、式(II)のいずれかの含フッ素ポリオルガノシロキサンに、他の異なる含フッ素ポリオルガノシロキサンがグラフトしたグラフト共重合体もあげられる。
式(I)および(II)において、X、YおよびAにおけるSiに結合している含フッ素有機基は、炭素数1〜50、好ましくは1〜30の水素原子の全部または一部がフッ素原子で置換されているアルキル基、アルコキシ基、アシロキシ基、アリール基、ポリエーテル基、アラルキル基、フェノキシ基、フェニル基、ポリウレタン基、メタクリロキシアルキル基、アクリロキシアルキル基等が好ましくあげられ、これらは直鎖状もしくは分岐鎖状であっても、または環状構造もしくは不飽和結合を含んでいてもよく、硫黄、窒素、フッ素以外のハロゲン原子、または他の置換基を含んでいてもよい。これらは、たとえば架橋剤の添加等により、より安定な被膜を形成させることもできるため好ましい。
式(II)において、2価の含フッ素有機基であるBとしては、たとえばパーフルオロアルキレンオキサイド基(−(CF2CF(CF3)−O)−)の連鎖のほか、ゴム弾性が発現しうる単量体比率をもった2種以上のフルオロオレフィン構造単位、たとえば−(VdF)n−(TFE)m−(HFP)l−、−(VdF)n−(HFP)m−、−(VdF)n−(CTFE)m−、−(VdF)n−(PAVE)m−(TFE)l−等であってもよいが、これらに限定されるものではない(n、m、lは正の整数)。
フルオロシリコーンゴムの具体例としては、特開2002−69246号公報のほか、たとえば特開平5−186700公報([0006])、特開2000−273307号公報([0005]、[0008]〜[0012])、特開2001−2923号公報([0011]、[0014])、特開2002−69301号公報([0014]〜[0016])に記載されているフルオロシリコーンゴムがあげられる。
具体的には式として以下に示すものが例示できる。
式:
a(CF3CH2CH2bSiO{4-(a+b)}/2
(式中、Rは非置換の1価の炭化水素基;aおよびbは、b/(a+b)=0.4〜0.6ならびにa+b=1.95〜2.05を満たす数)で示されるフルオロオルガノポリシロキサン。
式:
1 a2 b3 cSiO(4-a-b-c)/2
(式中、R1はトリフルオロプロピル基;R2は炭素数2〜8の非置換または置換の1価の脂肪族不飽和炭化水素基;R3は炭素数1〜8の非置換の脂肪族不飽和結合を有さない1価の炭化水素基;aは0.98〜1.01;bは0.0001〜0.01;cは0.98〜1.01;a+b+cは1.98〜2.02)で示される25℃における粘度が10,000cSt以上であるフルオロオルガノポリシロキサン。
また、たとえばこれらを上記公報記載の公知重合方法で重合し、得られた重合体を、必要に応じて粉砕をしたり、界面活性剤等の添加剤を用いて機械的に水に乳化分散したものや、あるいは前記条件に加え高圧付与下で機械乳化をするなどをして得られた水性分散体は、含フッ素ゴム用のフルオロシリコーンゴム分散体として用いることができる。
なお、これらのフルオロシリコーンゴムとしては、平均重合度が31〜20000、好ましくは35〜10000であることが、被膜形成性、塗膜強度、耐久性等が改善される観点から好ましい。
本発明の水性樹脂組成物は、上記の非フッ素系合成樹脂(a)と含フッ素ゴム(b)とを配合して調製される。
配合割合は、非フッ素系合成樹脂(a)の固形分100質量部に対し、含フッ素ゴム(b)を固形分で1質量部以上、好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上にするのが、良好な耐候性、撥水性、低温成膜性、防汚性等の塗膜性能上の観点から望ましい。含フッ素ゴム(b)量の上限は、材料コスト、塗膜硬度、塗工時の指触乾燥性、塗膜光沢、下地接着性、塗料の貯蔵安定性等のバランスの観点から、非フッ素系合成樹脂(a)の固形分100質量部に対し、好ましくは99質量部、さらに好ましくは60質量部、特に好ましくは40質量部である。
本発明の目的の1つは、フッ素含有量をできるだけ少なくするがフッ素系化合物の優秀な特性をできるだけ残す点にあり、この観点から、本発明の水性組成物におけるフッ素含有率(水性組成物における非フッ素系合成樹脂固形分+含フッ素ゴム固形分中のフッ素含有率。以下同様)を37質量%以下に抑えることが望ましい。好ましいフッ素含有率は30質量%以下、さらには25質量%以下であり、下限は0.5質量%、好ましくは1.0質量%、さらには6質量%である。
水性組成物の調製法としては、特に限定されないが、均一な混合と分散状態が容易に得られる点から、非フッ素系合成樹脂(a)の水性分散体(A)と含フッ素ゴム(b)の水性分散体(B)を混合することが好ましい。
水性分散体(A)は非フッ素系合成樹脂(a)の粒子の水性分散体であり、固形分濃度は約30〜70質量%、好ましくは35〜68質量%、さらに好ましくは40〜65質量%程度が、塗料化時の粘度と作業性、および塗料化後の貯蔵安定性、また、塗工時の成膜性等が良好な点で好ましい。樹脂濃度が低すぎると、水性組成物の低粘度化によって顔料その他の添加剤の分散性が低下したり、塗料の貯蔵安定性が低下したり、塗工時のたれがおきたり、連続被膜形成が困難になったり、膜厚確保が困難になったりすることがある。また、樹脂濃度が高すぎても、高粘度化による作業性低下や樹脂自体の分散安定性低下や、成膜性低下、膜厚むら等がおきやすくなる。
非フッ素系合成樹脂(a)粒子の平均粒子径は、0.01〜1μm、好ましくは0.02〜0.8μm、さらに好ましくは0.03〜0.6μm程度が、塗料化時の粘度、作業性、および貯蔵安定性等が良好な点で好ましい。粒径が微細すぎると水性組成物が高粘度化して塗料化時や塗工時の作業性が低下したりすることがあり、また、粒径が大きすぎると、沈降が起きやすくなって貯蔵安定性が低下したり、塗膜光沢や平滑性を損なったりすることがある。
水性分散体(B)は含フッ素ゴム(b)の粒子の水性分散体であり、固形分濃度は10〜70質量%、好ましくは15〜68質量%、さらに好ましくは20〜65質量%程度が、塗料化時の粘度と作業性、および塗料化後の貯蔵安定性、また、塗工時の成膜性等の点で好ましい。ゴム濃度が低すぎると、塗料組成物を調合時に、成膜成分の固形分濃度が下がって、塗工性が損なわれたり膜厚確保が困難になったりすることがある。また、ゴム濃度が高すぎても、非フッ素系合成樹脂(a)と混合がしにくくなったり、ゴム水性分散体の安定性が低下し、本発明の組成物の構成原料としての長期貯蔵が困難になったりする。
含フッ素ゴム(b)粒子の平均粒子径は、0.08〜0.5μm、好ましくは0.09〜0.4μm、さらに好ましくは0.1〜0.3μm程度が、塗料化時の粘度、作業性、および貯蔵安定性等が良好な点で好ましい。粒径が微細すぎると水性組成物が高粘度化して塗料化時や塗工時の作業性が低下したりすることがあり、また、粒径が大きすぎると、沈降が起きやすくなって貯蔵安定性が低下したり、塗膜光沢や平滑性を損なったりすることがある。
本発明の水性組成物の調製は、たとえばつぎに述べるような公知の方法で容易に行なうことができるが、方法はこれのみには限定されない。
所定の樹脂濃度の非フッ素系合成樹脂粒子の水性分散体(A)を一定量計量する。次にこれを公知の攪拌機で攪拌しつつ、所定量の含フッ素ゴム粒子の水性分散体(B)を添加混合し、非フッ素系合成樹脂粒子と含フッ素ゴム粒子の混合水性分散体を調製し、その後必要に応じて、濃度調整用の水、その他分散安定剤などの添加剤を適宜混合すればよい。
本発明の水性組成物は、公知のハケ、スプレー、ローラー、含浸、カーテンフローコート法等で基材に塗布でき、乾燥して被膜とすることができる。また、キャスティング法、バーコート法、フィルムアプリケート法などにより、フィルムやシートとすることもできる。
被膜を形成する場合、最終的に得られる被膜(塗膜)の平滑性向上と接着性、および外部からの湿気、塩化物イオン、酸素、酸性ミスト、その他劣化誘引成分の侵入に対して基材を長期に保護する観点で、市販のシーリング剤や下塗り剤等をあらかじめ基材に塗布しておくことが好ましい。
これらシーリング剤や下塗り剤としては、たとえばエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキッド系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アミノ樹脂、オキサゾリン系樹脂等の水性または非水系組成物が挙げられ、常温からおよそ200℃以下の温度で塗工可能なものが好ましい。これらの具体例として、日本ペイント(株)製のニッペ浸透性シーラー、ニッペ水性カチオンシーラー、ニッペウルトラシーラーIII、ニッペ水性透明シーラーK、ニッペ水性EPシーラー、ニッペ水性シリコン浸透シーラー透明;ニチゴーモビニール(株)製のモビニールDM−772、同モビニール743、同モビニール5300、同モビニールDM774、同モビニール940、同モビニール942、同モビニール095、同モビニール5140;昭和高分子(株)製のポリゾールAP−1100、同ポリゾールAP−1200、同ポリゾールAP−1310、同ポリゾールMC−5、同ポリゾールMC−9、同ポリゾールAP−1330、同ポリゾールAP−1350;(株)日本触媒製のアクリッセットEMN−129E、同アクリッセットEMN−32E、同アクリッセットRC−49、同アクリッセットARL−376、同アクリッセットARL−280、同アクリッセットARL−5、同アクリッセットATH−171PGM、同アクリッセットエポクロスK2020E、同アクリッセットATH−2072、同アミコートAFT−BG−600;三菱レイヨン(株)製のダイヤナールLX−100、同ダイヤナールLW−106、同ダイヤナールLR−90、同ダイヤナールLR−630、同ダイヤナールBR−80;ローム&ハース社製のパラロイドB−44、パラロイドA−21等があげられる。これらは必要に応じ使用すればよく必須ではないが、これらの1種または2種以上を基材に対し、1層または2層以上を逐時塗布積層した後に、本発明の水性組成物を最外層に塗布することが望ましい。
本発明の水性組成物は、種々の用途にそのまま、または適宜修正して適用することができる。代表的な用途としては、たとえば各種塗料、特に水性塗料のほか、フィルムやシートの成形材料などとして有用である。
たとえば顔料入りの水性塗料を調製する場合は、非フッ素系合成樹脂水性分散体(A)と含フッ素ゴム水性分散体(B)との混合水性分散体に、あらかじめサンドミル等の顔料分散機で水、酸化チタンなどの顔料、消泡剤、顔料湿潤分散剤、pH調整剤等を分散した顔料分散体の所定量と成膜補助溶剤の所定量を攪拌混合したのち、増粘剤を所定量加えて混合し、その他必要な添加剤を適宜加えればよい。顔料を加えない組成物を調製する場合は、混合水性分散体に、必要に応じ、水、成膜補助溶剤、消泡剤、増粘剤、pH調整剤、その他所要の添加剤を加えて公知方法で攪拌混合すればよい。
塗料用途の添加剤としては、必要に応じ、成膜補助剤、凍結防止剤、顔料、充填剤、顔料湿潤分散剤、消泡剤、レベリング剤、レオロジー調整剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、つや消し剤、潤滑剤、加硫剤等を添加することができる。また、本発明の水性組成物中の非フッ素系合成樹脂粒子や含フッ素ゴム粒子の架橋による塗膜性能向上を助けるために、たとえば公知の架橋促進剤を添加することもできる。
架橋促進剤としては、たとえば式:
−(R−N=C=N)−
を含むカルボジイミド化合物(Rは置換または非置換のアルキレン基)の水溶液や水性分散体、水性用脂肪族ポリイソシアネート化合物等があげられ、架橋促進剤の添加は耐水性、耐候性等の向上に効果的である。カルボジイミド化合物の具体例としては、日清紡(株)製のカルボジライトV−02、同カルボジライトV−02−L2、同カルボジライトV−04、同カルボジライトV−6、同カルボジライトE−01、同カルボジライトE−02、同カルボジライトE−03A、同カルボジライトE−04等が例示できる。また、水性用脂肪族ポリイソシアネート化合物の具体例としては、住化バイエルウレタン(株)製のデスモジュールN3400、同デスモジュールTPLS−2025、同バイヒジュールTPLS−2032、同SBU−イソシアネートL801、同バイヒジュール3100、同バイヒジュールVPLS−2306、同バイヒジュールVPLS2319、同バイヒジュールVPLS2336、同バイヒジュールVPLS2150/1、同バイヒジュールVPLS2150BA等が例示できる。
本発明の水性組成物を適用して得られる塗装物品は、その塗膜が汚染付着防止性、汚染除去性、密着性、耐侯性、耐薬品性に優れ、塗膜表面は光沢、潤滑性、硬度もあるので、幅広い用途で使用可能である。すなわち、電気製品(電子レンジ、トースター、冷蔵庫、洗濯機、ヘアードライアー、テレビ、ビデオ、アンプ、ラジオ、電気ポット、炊飯機、ラジオカセット、カセットデッキ、コンパクトディスクプレーヤー、ビデオカメラなど)の内外装、エアーコンディショナーの室内機、室外機、吹き出口およびダクト、空気清浄機、暖房機などのエアーコンディショナーの内外装、蛍光燈、シャンデリア、反射板などの照明器具、家具、機械部品、装飾品、くし、めがねフレーム、天然繊維、合成繊維(糸状のもの、およびこれらから得られる織物)、事務機器(電話機、ファクシミリ、複写機(ロールを含む)、写真機、オーバーヘッドプロジェクター、実物投影機、時計、スライド映写機、机、本棚、ロッカー、書類棚、いす、ブックエンド、電子白板など)の内外装、自動車(ホイール、ドアミラー、モール、ドアのノブ、ナンバープレート、ハンドル、インスツルメンタルパネルなど)、あるいは厨房器具類(レンジフード、流し台、調理台、包丁、まな板、水道の蛇口、ガスレンジ、換気扇など)の塗装用として、間仕切り、バスユニット、シャッター、ブラインド、カーテンレール、アコーディオンカーテン、壁、天井、床などの屋内塗装用として、外装用としては外壁、手摺り、門扉、シャッターなどの一般住宅外装、ビル外装など、窯業系サイジング材、発泡コンクリートパネル、コンクリートパネル、アルミカーテンウォール、鋼板、亜鉛メッキ鋼板、ステンレス鋼板、塩ビシートなどの建築用外装材、窓ガラス、その他に広い用途を有する。
本発明の水性組成物から得られる被膜やフィルムは、被膜またはフィルム形成時に含フッ素ゴム(b)が被膜またはフィルム表面に浮き上がって濃縮され、被膜またはフィルム全体の仕込み配合量よりも表面濃度が高くなっている。この現象により、比較的少量のフッ素ゴムの配合で、優れたフッ素系化合物の効果が奏されているものと推察される。
また、含フッ素ゴムの表面濃度が高いということは、被膜またはフィルム表面のゴム弾性が高くなることであり、ゴムの特性である成膜温度の低下(易成膜性)、耐衝撃性の向上、およびフッ素ゴムの特長の一つである耐油性などについても、配合量から予測される範囲を超えた効果が奏される。
つぎに本発明を実施例、試験例等に基づいて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
以下の実施例および試験例等において使用した樹脂水性分散体およびゴム水性分散体はつぎのものである。
(A)樹脂水性分散体
(A−1)非フッ素系合成樹脂水性分散体:
シリコン変性アクリル樹脂(メタクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル/アクリル酸/メタクリル酸エステル(MA50)/γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの60/18/15/2/5質量%比の共重合体)の水性分散体(樹脂固形分濃度50質量%)
(A−2)非フッ素系合成樹脂水性分散体:
日本エヌエヌシー(株)製のカネビノールKD−10(商品名:シリコン変性アクリル樹脂の樹脂固形分濃度50質量%の水性分散体)
(A−3)非フッ素系合成樹脂水性分散体:
昭和高分子(株)製のポリゾールAP−3720(商品名:アクリル系樹脂の樹脂固形分濃度51質量%の水性分散体)
(A−4)フッ素系合成樹脂水性分散体:
VdF−HFP−TFE(74/14/12モル%比)共重合体樹脂の水性分散体(樹脂固形分濃度63質量%)
(B)ゴム水性分散体
(B−1)含フッ素ゴム水性分散体:
VdF−HFP−TFE(65/17/18モル%比)共重合体ゴムの水性分散体(ゴム固形分濃度63質量%)
(B−2)含フッ素ゴム水性分散体:
VdF−HFP(78/22モル%比)共重合体ゴムの水性分散体(ゴム固形分濃度63質量%)
(B−3)非フッ素系ゴム水性分散体:
ジェイ・エス・アール(株)製のSBラテックス0561(商品名:スチレン−ブタジエンゴムのゴム固形分濃度69質量%の水性分散体)
実施例1(白色水性塗料組成物の調製)
つぎの方法に従って、白色水性塗料組成物および比較用白色水性塗料組成物を調製した。
白色水性塗料組成物W−1:
非フッ素系合成樹脂水性分散体(A−1)100質量部を緩やかに攪拌しつつ、これに含フッ素ゴム水性分散体(B−1)を、合成樹脂水性分散体(A−1)の樹脂固形分100質量部に対しゴム水性分散体(B−1)の含フッ素ゴム固形分が10質量部になるようにゆっくり滴下混合し、ついで脱イオン水を加えて樹脂固形分濃度50質量%の水性分散組成物を調製した。得られた水性分散組成物63質量部に、後述する組成の酸化チタン顔料ペーストを31.3質量部加えて緩やかに攪拌した。攪拌下で、成膜補助剤(イーストマンケミカル社製のテキサノール:商品名)を4.7質量部滴下後、30分間攪拌混合した。これにあらかじめ濃度20質量%に調整しておいた増粘剤(旭電化工業(株)製のアデカノールUH−420:商品名)の水溶液を1質量部加え、30分間攪拌して、白色水性塗料組成物W−1を得た。
酸化チタン顔料ペーストは、サンドグラインダーにより、表1に記載の成分を混合することにより調製した。
Figure 2006307054
白色水性塗料組成物W−2〜W−6:
非フッ素系樹脂水性分散体および含フッ素ゴム水性分散体として表2に示すものを用いたほかは、白色水性塗料組成物W−1と同様の方法でそれぞれ白色水性塗料組成物W−2〜W−6を得た。
Figure 2006307054
比較用白色水性塗料組成物W−7〜W−11:
合成樹脂水性分散体およびゴム水性分散体として表3に示すものを用いたほかは、白色水性塗料組成物W−1と同様の方法でそれぞれ比較用白色水性塗料組成物W−7〜W−11を得た。
Figure 2006307054
試験例1
あらかじめ市販シーリング剤(日本ペイント(株)製のニッペ水性カチオンシーラー:商品名)を約2g/105cm2で塗装したスレート板(70mm×150mm×3mm)を用意した。前記白色水性塗料組成物W−1の100質量部にジブチルチンジラウレート水性乳化物(濃度10質量%)10質量部を加えて塗料を調製した。この塗料をハケで3時間の間隔をおいて塗装1回当たり約2g/105cm2の塗布量で前記スレート板に2回塗布し、室温で7日間乾燥して、塗装スレート板サンプルを得た。
また、別に前記塗料をバーコーター(No.48)によりAM−713化成アルミ板に塗布し、室温で7日間乾燥し、乾燥膜厚約40μmの塗装アルミ板サンプルを得た。
ジブチルチンジラウレート水性乳化物を添加しなかった以外は前記白色水性塗料組成物W−1と同様の方法で、W−2〜W−6および比較用白色水性塗料組成物W−7〜W−11を調製し、それぞれ塗装スレート板サンプルおよび塗装アルミ板サンプルを作製した。
それぞれ作製した塗装スレート板サンプルおよび塗装アルミ板サンプルについて、以下の塗膜物性を調べた。
(1)促進耐候性
塗装アルミ板サンプルを促進耐候性試験機(岩崎電気(株)製のアイスーパーUVテスターSUV W−13型:商品名)を用い、表4の条件で805時間まで試験した。
Figure 2006307054
試験前および試験開始805時間後に塗板を取り出し、光沢計(日本電色(株))で60度鏡面光沢を測定し、(試験後光沢/初期光沢)×100で光沢保持率(%)を求めた。また同様に接触角計(協和界面科学(株)製のCA−DT・A型)で室温下の対水接触角を測定した。結果を表5に示す。
(2)撥油性
塗装アルミ板サンプルについて、接触角計(協和界面科学(株)製のCA−DT・A型)で室温下の対油接触角(サラダ油:日清精油(株)製の日清サラダ油:商品名)を測定した。結果を表5に示す。
(3)耐油性
塗装アルミ板サンプルに軽油を2ml滴下して1日放置した。スポイトと紙タオルで油滴を吸い取り、塗膜の外観を目視で観察した。
判定基準
○:ほぼ異常なし(わずかに液滴跡がわかる)。
△:液滴跡が残存、またはわずかにツヤびけがある。
×:液滴跡が明瞭に残存、または塗膜膨潤やツヤびけがある。
(4)汚れ除去性
塗装アルミ板サンプルに、汚れ物質を約2ml付着したのち静置させ、所定時間経過後にハケを用いて水道水で流水洗浄し、外観を目視で判定した。
(使用汚れ物質)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のMA−100(商品名)の3質量%水性分散体を付着させ室温で1日間静置した。
赤ワイン:市販の赤ワインを付着させ室温で3時間静置した。
水性青インク:クラリアントジャパン(株)製のCARTASOL TURG. K−RL LIQUID(商品名)を付着させ室温で2時間静置した。
判定基準
○ :ほぼ除去される。
○〜△:若干残存している。
△ :液滴跡がかなり明瞭に残る。
× :ほとんど除去できない。
(5)耐薬品性
約3mm角の孔を頂部に設けたポリエチレン製キャップ2個をその縁に家庭用シリコーンシーラント(セメダイン(株)製のバスコークN:商品名)を塗って塗装スレート板サンプルに貼り付け、室温で1日間乾燥させた。ついで塗板に貼り付いた2個のキャップの孔から内部の空洞に水酸化カルシウム飽和水溶液2mlをポリスポイトで注入した。その後、キャップの孔をテープで封止後、室温で放置した。7日後、水酸化カルシウム飽和水溶液をキャップから吸い出して除去し、キャップを取り外して塗板を水洗し、塗板サンプルの外観(ツヤとブリスターの発生の有無)を目視で観察した。結果を表5に示す。
判定基準
○:異常なし。
△:一部にブリスターが発生したり、ツヤ感がわずかに低下する。
×:ブリスターが多数発生したり、ツヤ感がわずかに低下する。
(6)対シーリング剤接着性
塗装スレート板サンプルの裏面および端面に、溶剤型アクリルポリオール(大日本インキ化学工業(株)製のアクリディックA−801)にイソシアネート系硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)製のコロネートHX)をNCO/OHモル比が1.0になるように混合したシーリング組成物を塗布して室温で1日間乾燥し、封止処理した。乾燥後、塗板サンプルを50℃の脱イオン温水に浸漬した。7日後、塗板サンプルを温水から引き上げて2時間室温乾燥後、上塗り塗膜にカッターナイフで5mm幅のクロスカットを入れ、5mm角の桝目を16個作成した。この桝目上に透明ビニル粘着テープ(ニチバン(株)製のセロハンテープNo.405:商品名)を密着させた後、手で急速剥離し、上塗り塗膜の接着性を目視と光学顕微鏡(15倍)で観察した。結果を表5に示す。
判定基準
○:上塗り層が全く剥離しない、または桝目の一部または全部がスレート基材面と接着破壊を起こしている。
△:桝目の一部または全部がシーリング層内で破壊しており、剥離する。
×:桝目の一部または全部が上塗り層とシーリング層との層間で剥離する。
(7)塗膜耐衝撃性
塗装アルミ板サンプルについて、JIS K5600―5−3に記載のデュポン打撃試験機を用い、1/2インチ鋼球、負荷500gの条件で打撃試験し、クラックや剥離が生じない限界高さ(cm)を調べた。結果を表5に示す。
Figure 2006307054
実施例2(クリア水性塗料組成物の調製)
実施例1において、酸化チタン顔料ペーストを配合しなかったほかは同様にして、クリア水性塗料組成物C−1〜C−6および比較用クリア水性塗料組成物C−7〜C−11を調製した。
試験例2
クリア水性塗料組成物C−1〜C−6および比較用クリア水性塗料組成物C−7〜C−11について、つぎの物性を調べた。
(8)塗工時の含フッ素ゴムの表面濃縮性
前記クリア水性塗料組成物C−1〜C−6および比較用クリア水性塗料組成物C−8およびC−10を6ミルのフィルムアプリケーターでそれぞれ脱脂ポリプロピレン(PP)板に塗布し、室温で7日間乾燥させてクリアフィルムを作製した。このフィルムの表側(空気側)および裏側(PP板側)をXPS(X線光電子分光分析)法で分析してフッ素原子/炭素原子比(F/C比)を求め、(表側F/C比)/(裏側F/C比)から、表側へのフッ素偏在度を比較した。結果を表6に示す。
Figure 2006307054
表6より、本発明の組成物から得られる塗膜は、表側(空気側)へのフッ素原子の偏在が明瞭に観察され、含フッ素ゴムが表層に極めて良好に濃縮された物であることが確認できる。比較用の組成物では、本発明ほどの顕著な表側へのフッ素の表面濃縮性は観察されなかった。
(9)低温成膜性
クリア水性塗料組成物C−2、C−3、C−5およびC−6、ならびに非フッ素系合成樹脂分散体A−2およびA−3について、熱勾配試験装置(理化学工業(株)製)を用いて最低造膜温度(以下、「MFT」と略す)を測定した。結果を表7に示す。
Figure 2006307054
表7より、含フッ素ゴムを配合する前の非フッ素系合成樹脂分散体のみの場合に対し、含フッ素ゴムを配合したC−2、C−3、C−5およびC−6ではおよそ5〜6℃ほどMFTが低下しており、低温成膜性が向上していることがわかる。この一因としては、前記XPS分析結果に示すように、表面に形成されるゴム弾性のフッ素ゴム濃縮層が、一種の養生紙的に作用し、乾燥過程での粒子間凝集性や接着性向上に寄与していると考えられる。
実施例3(架橋促進剤配合白色水性塗料組成物の調製)
表2記載の白色水性塗料組成物W−3に、水性架橋促進剤として日清紡(株)製のカルボジライトV−02−L2(固形分濃度40質量%)を白色水性塗料組成物W−3中の含フッ素ゴムおよび非フッ素系合成樹脂の固形分総量に対し固形分で7質量部になるよう配合したほかは、白色水性塗料組成物W−3と同様に白色水性塗料組成物W−3aを調製した。
試験例3
白色水性塗料組成物W−3および白色水性塗料組成物W−3aを用いて試験例1と同様に塗料化し塗装し、塗装スレート板、塗装アルミ板を作製した。これらのサンプルについて、前記促進耐候性(1)とつぎの耐温水性(10)を比較した。結果を表8に示す。
(10)耐温水性
前記対シーリング剤接着性(6)の試験方法と同様の方法で、裏面と端面をシーリング剤で封止処理した塗装スレート板を50℃の脱イオン水に7日間浸漬する。サンプルを引き上げ、直ちに表面の水滴を紙タオルで吸い取り、前記促進耐候性(1)の試験方法と同様に表面の60度鏡面光沢を測定し、光沢保持率を求める。
Figure 2006307054
表8に示すように、架橋促進剤未添加の場合(W−3)に対し、促進耐候性試験および耐温水試験での光沢保持率が高くなっており、塗膜性能の向上が観察された。
VdF−HFP−TFE系フッ素ゴムの組成三角図である。 VdF−PAVE−TFE系フッ素ゴムの組成三角図である。

Claims (8)

  1. 非フッ素系合成樹脂(a)と、該非フッ素系合成樹脂よりも少ない質量の含フッ素ゴム(b)とを含む水性樹脂組成物。
  2. 前記非フッ素系合成樹脂(a)がアクリル樹脂である請求項1記載の水性樹脂組成物。
  3. 前記非フッ素系合成樹脂(a)100質量部に対して含フッ素ゴム(b)が1質量部以上で99質量部以下存在している請求項1または2記載の水性樹脂組成物。
  4. 前記含フッ素ゴム(b)が、フッ化ビニリデン系共重合体ゴムである請求項1〜3のいずれかに記載の水性樹脂組成物。
  5. 水性樹脂組成物の固形分中のフッ素含有率が37質量%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の水性樹脂組成物。
  6. 非フッ素系合成樹脂(a)の水性分散体(A)と含フッ素ゴム(b)の水性分散体(B)を混合して得られる請求項1〜5のいずれかに記載の水性樹脂組成物。
  7. 塗料である請求項1〜6のいずれかに記載の水性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の水性樹脂組成物を塗布乾燥して得られる被膜。
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