JP2006306971A - スルホン酸塩基を有する無機粉体の製造方法 - Google Patents

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一博 川口
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Abstract

【課題】 表面にスルホン酸塩基を有する無機粉体の製造において、粒子間の凝集や着色なく効率よく得る。
【解決手段】 (A)下記一般式(1)
【化1】
Figure 2006306971

(式中、Rは炭素数1〜10の1価の炭化水素基、Rは炭素数3〜10の2価の炭化水素基、Xはハロゲン原子であり、nは3〜6の整数である)
で表される環状シロキサン化合物を用いて無機粉体表面を処理する工程、及び(B)該表面処理された無機粉体と亜硫酸塩とを接触させることにより、無機粉体表面に効率よくスルホン酸塩基を有する無機粉体を得ることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、スルホン酸塩基を有する無機粉体の製造方法及び該方法により製造されるスルホン酸塩基を有する無機粉体に関するものである。
従来、無機粉体の表面を種々の物質で処理して機能性を付与することが行われている。例えば、シリカや酸化チタン等の無機粉体の表面を、様々な官能基を有するシランカップリング剤により表面処理し、無機粉体の用途や目的に応じて、分散性や混和性を向上させたり、重合性基やイオン交換性基を導入したりすることが行われている。
特に、機能性の官能基の一つである、スルホン酸塩基やスルホン酸基を導入した無機粉体は、イオン交換性を有し、抗菌性も備えるため、カラム充填材や、包装用材料の充填材として有用に利用される。
しかして、シランカップリング剤を用いた表面処理により、このようなスルホン酸基を無機粉体に導入する方法としては、官能基としてスルホン酸エステル基を有するシランカップリング剤で無機粉体の表面を被覆し、次いでこの表面処理層を加水分解または熱分解反応条件下で処理することによりエステル基をスルホン酸基に変える方法が行われている(例えば、特許文献1)。
しかしこの方法では、無機粉体の表面を被覆する条件下において、スルホン酸エステル基が一部加水分解することによりスルホン酸が発生し、シラン化合物同士を縮合させて縮重合物が生成し、均一な処理がし難かった。その結果、得られる無機紛体は、上記表面処理層の安定性が十分でなく、耐薬品性、特にアルカリ条件下に長期間晒されると、該表面処理層がシリカ粒子表面から脱落してしまう大きな問題があった。
また、被覆処理後の乾式での加水分解において、不活性雰囲気に十分に置換されていないと、混入した微量の酸素によりエステル基含有シラン化合物の酸化を生じ、実質的に導入できるスルホン酸基の数が少なくなるといった点で十分に満足できるものではなかった。さらに、スルホン酸エステル基を有するシラン化合物の合成が煩雑な工程を必要とし、ならびに大量に発生する塩酸の除害等によるコストアップの問題があった。
一方、粉体の表面を均一に改質する表面処理方法として、環状シロキサン化合物を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1)。環状シロキサン化合物は、上記粉体の表面を均一に改質することが期待できるだけでなく、シロキサン結合が開環することにより粉体の表面と化学結合を形成するので、処理が確実に行われる上、経時的な粉体特性の変化が少ないといった利点がある。表面処理剤として用いられる環状シロキサン化合物としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンなどのジメチルシロキサン化合物等が汎用されている。
しかしながら、これらのジメチルシロキサン化合物は、いずれも耐水性(疎水性)向上を目的として用いられているものであり、炭化水素基しか有しておらず、したがって、粉体の表面処理後には、これら炭化水素基に由来する表面物性しか得られず、上記官能基を有するシランカップリング剤を用いた場合のような官能基に応じた機能性を付与することができない。
こうした中、環状シロキサン化合物を用いて、機能性の官能基を無機紛体に導入できる方法として、反応性のSi−H基を有する環状シロキサン化合物で無機粉体を表面処理した後、該粉体表面のSi−H基と、ビニル基及びハロゲン化アルキル基を有する化合物のビニル基とをヒドロシリル化反応させて、ハロゲン化アルキル基を有する無機紛体を得、次いで第3級アミンを反応させて第4級アンモニウム基を導入する方法が提案されている(例えば、特許文献2)。
しかしながら、この方法では、無機紛体に導入する機能性の官能基として、上記第4級アンモニウム基しか示されておらず、スルホン酸塩基を初めとした他の官能基を導入することは全く意図されていない。しかも、この方法では、環状シロキサン化合物による表面処理時にSi−H基同士が加水分解による架橋反応を起こしてしまう現象が生じ、実質的に導入できる官能基の数が少なかったり、導入できる官能基の種類が制限されるという問題があった。また、粉体表面でヒドロシリル化反応を行うため、該粉体表面にヒドロシリル化触媒が残存しやすい問題もあった。
特開平9−110473号公報 特開平6−154513号公報
以上の状況にあって本発明は、無機紛体を、スルホン酸塩基を有する表面処理層により被覆することにより、該スルホン酸塩基が導入された無機紛体を製造する方法において、表面処理層の耐アルカリ性に優れ、十分な量のスルホン酸塩基を導入可能であり、且つ紛体の凝集や着色もなく効率よく前記の無機粉体を製造することができる方法を開発することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を行ってきた。その結果、ハロゲン置換された炭化水素基を有する環状シロキサン化合物を用いて無機粉体を処理した後、亜硫酸塩を接触させることによって、スルホン酸塩基を有する無機粉体が容易に入手可能であることを見出した。そしてさらに検討を進めた結果、本発明を完成した。
即ち本発明は、(A)下記一般式(1)
Figure 2006306971
(式中、Rは炭素数1〜10の1価の炭化水素基、Rは炭素数3〜10の2価の炭化水素基、Xはハロゲン原子であり、nは3〜6の整数である)
で表される環状シロキサン化合物を用いて無機粉体を処理する工程、及び(B)該処理された無機粉体と亜硫酸塩とを接触させて、無機粉体にスルホン酸塩基を導入する工程を含むことを特徴とする、スルホン酸塩基を有する無機粉体の製造方法である。
また、本発明では、上記方法により製造されたスルホン酸塩基を有する無機粉体について、該スルホン酸塩基をスルホン酸基にカチオン交換する、スルホン酸基を有する無機粉体の製造方法も提供する。
さらに、本発明では、前記製造方法で得られる、スルホン酸塩基を有する表面処理層により被覆されてなり、スルホン酸塩基の導入密度が、該スルホン酸塩基をスルホン酸基にカチオン交換した際のイオン交換基密度で示して2.5〜5.0μeq/mであり、且つ0.1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸漬した後の炭素の残存割合で示される上記表面処理層の耐アルカリ性が60%以上である、スルホン酸塩基を有する無機粉体、及び
該無機紛体のスルホン酸塩基をスルホン酸基にカチオン交換した、スルホン酸基を有する新規な無機粉体も提供する。
本発明の方法により得られるスルホン酸塩基を有する無機紛体は、表面処理層の被覆が均一であり、該表面処理層の耐アルカリ性に優れている。また、該スルホン酸塩基を多量に導入することができ、スルホン酸基にカチオン交換した際のイオン交換基密度で示して2.5〜5.0μeq/m導入したものも製造することが可能である。さらに、本発明の方法により得られる無機粉体は、凝集や着色が少なく、粉体表面でヒドロシリル化反応も行わないため、白金等のヒドロシリル化反応触媒の残留の心配もない。
本発明の製造方法においては、まず無機粉体表面を上記式(1)で表される環状シロキサン化合物で処理する工程を行う。環状シロキサン化合物は、無機粉体表面に均一に分散するため、その細孔内まで処理することが可能であり、それにより官能基を表面全体に均一に導入することができる。環状シロキサン化合物は環状骨格に起因する環ひずみを持っているため、無機粉体表面の酸もしくは塩基によって環開裂が生じやすく、開裂により発生した開環生成物同士が結合し、
Figure 2006306971
で示されるシロキサン単位が伸長したシロキサン鎖の末端が、無機粉体の表面水酸基に結合する。したがって、表面水酸基が少ない場合においても十分な処理が行われるだけでなく、反応点が2つしかないため、粉体であれば粒子間の凝集が発生せず均一に処理が施される。また、無機粉体表面と化学結合を形成しやすいことから、例えば該環状シロキサン化合物で表面処理した無機粉体を溶剤等にフィラーとして添加した場合、表面処理剤であるシロキサンが粉体の表面から剥がれることが無く、粉体の表面改質効果の低下や、むき出しになった粉体の活性点とその他成分との反応による製品の劣化、品質の低下などが生じ難い。
本発明で用いられる無機粉体としては、例えばシリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物やこれらの複合酸化物、カオリン、マイカなどの天然鉱物、さらには炭酸マグネシウム、硫酸バリウムなどの無機塩があげられる。これらの中でも化学的に安定であることから、シリカ、酸化チタンが好ましい。これら粉体の粒径は特に制限されず、使用目的にあわせて適宜選択すればよいが、分散性等を考慮すると、一次粒子径は0.005〜200μmが好ましく、0.02〜100μmがより好ましく、0.01〜50μmであることが最も好ましい。また、比表面積は、0.5〜500m/gが好ましく、1〜400m/gがより好ましい。
なお、形状についても特に制限されず、本発明の製造方法で製造する無機粉体の使用目的にあわせて適宜選択すればよく、例えば真球状、粒状、針状、鱗片状など様々なものをあげることができる。また、その表面形態は多孔質で微細孔を有しているものであっても使用することができる。
本発明において用いられる環状シロキサン化合物は下記式(1)で表される。
Figure 2006306971
(式中、Rは炭素数1〜10の1価の炭化水素基、Rは炭素数3〜10の2価の炭化水素基、Xはハロゲン原子であり、nは3〜6の整数である)
上記式(1)において、Rは炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。当該炭化水素基としては炭素数が1〜10であれば特に制限されるものではない。当該炭素数1〜10の炭化水素基を具体的に例示すると、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等のアルキル基;フェニル基、トルイル基等のアリール基類が例示されるが、表面被覆の効率が良い点でアルキル基であることが好ましく、さらには商業的に大量に原料が入手できる点で、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
前記式(1)において、Rは炭素数3〜10の2価の炭化水素基である。炭素数が3未満であるとSi原子とハロゲン原子が近すぎて自由度が少なくなり、後述するハロゲン原子(X)をスルホン酸基に変換する際の反応性が低下する。また、炭素数が10より多くなるとシロキサン環に対してRがかさ高くなることにより、無機粉体処理時に表面に近づきにくくなり、処理効率が低下する。さらには、分子量の増加により粘度が上がって取扱い性が悪く、また揮発性がほとんどなくなるため、無溶剤で用いる表面処理剤としての効果が劣ったものとなる。
このようなRの炭化水素基としては、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、および芳香族炭化水素基の何れであっても良い。また、直鎖又は分岐鎖の何れであっても良い。Rとして好ましくは、炭素数4〜9の炭化水素基である。
上記式(1)において、Xはハロゲン原子であり、具体的には、亜硫酸塩と反応しやすい点で、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であることが好ましく、さらには、ある程度の安定性を有する点で塩素原子又は臭素原子であることが好ましい。
このようなR−Xで表されるハロゲン置換された炭化水素基を具体的に例示すると、3−クロロプロピル基、4−クロロブチル基、5−クロロペンチル基、6−クロロヘキシル基、8−クロロオクチル基、3−クロロ−1−メチルプロピル基、3−クロロ−2−メチルプロピル基、3−クロロ−2−エチルプロピル基、3−クロロ−2−ブチルプロピル基、3−クロロ−2−ヘキシルプロピル基、4−クロロ−1−メチルブチル基、4−クロロ−2−メチルブチル基、4−クロロ−3−メチルブチル基、4−クロロ−3−エチルブチル基、3−クロロブチル基、3−クロロペンチル基、4−クロロペンチル基、4−クロロ−1,2−ジメチルブチル基、4−クロロ−1,2−ジエチルブチル基、5−クロロ−1,2−ジメチルペンチル基、4−クロロ−2−エチル−1−メチルブチル基、4−クロロ−1−エチル−2−メチルブチル基、4−クロロメチルフェニル基、4−クロロメチルフェニルメチル基、2−(4−クロロメチルフェニル)エチル基、1−(4−クロロメチルフェニル)エチル基等のXが塩素原子であるハロゲン置換炭化水素基類、及びこれらに対応する臭素又はヨウ素置換体が例示される。
これらのR−Xのなかでも、原料の入手が容易で、また後述する環状シロキサン化合物の製造方法による反応収率も良い点で、1位(Si原子と結合する原子)が無置換であるか、あるいはメチル基により置換されたものが好ましい。また、亜硫酸塩との反応性が良い点で、ハロゲン原子が結合している炭素原子はメチレン原子(CH)であることが好ましい。
前記式(1)において、nは3〜6である。nが3未満であると環歪みが大きくなりすぎて環状シロキサン化合物の安定性が低下し、安定な化合物として入手しがたい。他方、6を超えると環状シロキサン化合物の分子量の増加により粘度が上がって取扱い性が悪くなったり、無機粉体表面に均一に分散しにくくなったりするだけでなく、環歪みが小さくなりすぎて無機粉体との反応性も低下する。より好ましくはnが3又は4の化合物である。
上記一般式(1)で示される環状シロキサン化合物をより具体的に例示すると、1,3,5−トリス(3−クロロプロピル)−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラキス(3−クロロプロピル)−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタキス(3−クロロプロピル)−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサキス(3−クロロプロピル)−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロヘキサシロキサン、1,3,5−トリス(4−クロロブチル)−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラキス(4−クロロブチル)−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタキス(4−クロロブチル)−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサキス(4−クロロブチル)−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロヘキサシロキサン、1,3,5−トリス(5−クロロペンチル)−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラキス(5−クロロペンチル)−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタキス(5−クロロペンチル)−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサキス(5−クロロペンチル)−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロヘキサシロキサン、1,3,5−トリス(6−クロロヘキシル)−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラキス(6−クロロヘキシル)−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタキス(6−クロロヘキシル)−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサキス(6−クロロヘキシル)−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロヘキサシロキサン、1,3,5−トリス(3−クロロ−1−メチルプロピル)−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラキス(3−クロロ−1−メチルプロピル)−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタキス(3−クロロ−1−メチルプロピル)−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサキス(3−クロロ−1−メチルプロピル)−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロヘキサシロキサン、1,3,5−トリス(3−クロロ−2−メチルプロピル)−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラキス(3−クロロ−2−メチルプロピル)−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタキス(3−クロロ−2−メチルプロピル)−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサキス(3−クロロ−2−メチルプロピル)−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロヘキサシロキサン、1,3,5−トリス(3−クロロ−ブチル)−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラキス(3−クロロブチル)−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタキス(3−クロロブチル)−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサキス(3−クロロブチル)−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロヘキサシロキサン、1,3,5−トリス(2−(4−クロロメチルフェニル)エチル)−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラキス(2−(4−クロロメチルフェニル)エチル)−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタキス(2−(4−クロロメチルフェニル)エチル)−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサキス(2−(4−クロロメチルフェニル)エチル)−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロヘキサシロキサン、1,3,5−トリス(1−(4−クロロメチルフェニル)エチル)−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラキス(1−(4−クロロメチルフェニル)エチル)−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタキス(1−(4−クロロメチルフェニル)エチル)−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサキス(1−(4−クロロメチルフェニル)エチル)−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロヘキサシロキサン等のXが塩素原子であるハロゲン置換炭化水素基類、及びこれらに対応する臭素又はヨウ素置換体が例示される。
このような構造を有する環状シロキサン化合物の製造方法は特に限定されるものではなく、公知の手法により製造すればよい。代表的には、ジクロロシラン化合物の加水分解による環化反応等が挙げられる。
さらに、上記のような方法では製造が困難な環状シロキサン化合物、例えば、前記一般式(1)において、Rが炭素数4〜10の脂肪族飽和炭化水素基であり、かつXとSi原子との間に少なくとも3個の炭素原子が介在する化合物の場合には、本発明者らが提案した特開2005−22990号に開示される方法により効率良く製造できる。即ち、下記一般式(2)
Figure 2006306971
(式中、R及びnは前記一般式(1)と同義である)で表される環状シロキサン化合物と、下記一般式(3)
Figure 2006306971
(式中、R、RおよびRは各々独立に、水素原子又は炭素数1〜7の脂肪族飽和炭化水素基であり、mは、Rが水素原子のときは2〜8の整数、Rが水素原子以外のときは1〜7の整数であり、mが2以上のときには、−C(R)(R)−で表される基は各々独立で異なっていてもよく、かつ該分子の有する総炭素数は4〜10である)
で表されるハロゲン置換された不飽和炭化水素化合物とを、ヒドロシリル化触媒の存在下に反応させる方法である。
また、前記式(1)において、Rがベンゼン環を有する炭素数が9又は10の炭化水素基である化合物の場合には、Macromolecules、1999年、32巻、p6526に記載されているような、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとハロゲノアルキル基により置換されたスチレン誘導体とを白金触媒の存在下にヒドロシリル化反応させる方法で製造することができる。即ち、前記一般式(2)で表される環状シロキサン化合物と、下記一般式(4)
Figure 2006306971
(式中、R、R、R、R、R10のうちひとつは炭素−炭素二重結合を有する炭素数が2または3の不飽和炭化水素基であり、それ以外は水素もしくはメチル基であり、かつ該分子の有する総炭素数は9又は10である)
で表されるハロゲン置換された芳香族不飽和炭化水素化合物とを、ヒドロシリル化触媒の存在下に反応させる方法により効率的に製造可能である。
上記一般式(2)で表される代表的な環状シロキサン化合物を例示すると、トリメチルシクロトリシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、トリエチルシクロトリシロキサン、テトラエチルシクロテトラシロキサン、ペンタエチルシクロペンタシロキサン等があげられる。
上記一般式(3)において、R、RおよびRは各々独立に、水素原子又は炭素数1〜7の脂肪族飽和炭化水素基であり、mは、Rが水素原子のときは2〜8の整数、Rが水素原子以外のときは1〜7の整数であり、mが2以上のときには、−C(R)(R)−で表される基は各々独立で異なっていてもよく、かつ該分子の有する総炭素数は4〜10である。
上記一般式(3)で表される化合物を具体的に例示すると、4−クロロ−1−ブテン、4−ブロモ−1−ブテン、4−ヨード−1−ブテンなどのハロゲン原子以外の置換基を有さない不飽和炭化水素;3−クロロ−2−メチルプロペン、3−ブロモ−2−メチルプロペン、3−ヨード−2−メチルプロペンなどのアルキル置換されたハロゲン置換不飽和炭化水素等が例示される。
上記一般式(4)において、R、R、R、R、R10のうちひとつは炭素−炭素二重結合を有する炭素数が2もしくは3の不飽和炭化水素基であり、それ以外は水素もしくはメチル基であり、かつ該分子の有する総炭素数は9又は10である。
上記一般式(4)で表される化合物を具体的に例示すると、
Figure 2006306971
等の塩素原子を有する不飽和化合物ならびに対応する臭素置換化合物又はヨウ素置換化合物等を挙げることができる。
上記一般式(2)で表される環状シロキサン化合物と、一般式(3)又は(4)で表されるハロゲン置換された不飽和化合物との反応に際して用いられるヒドロシリル化触媒としては、一般にヒドロシリル化反応に使われる触媒を利用することができる。この触媒としては、Ni、Rh、Pd、Pt等の第VIII族遷移金属、又はその化合物、錯体を用いることができる。これらの触媒の使用にあたっては、例えば、塩化白金酸、白金−1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、ジシクロペンタジエニルプラチナムクロリド、およびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロリド、トリストリフェニルホスフィンロジウムクロリドなどの溶媒に溶解させる均一系触媒や、それら遷移金属をカーボン、シリカなどに担持させた不均一系触媒などを使用することができるが、Pt担持カーボンが比較的入手しやすく、反応後除去しやすいため好ましい。この場合、ヒドロシリル化反応に要するPt量は基質の種類、反応温度、反応時間等の要素に関連し、一律に決めることはできないが、触媒の経済性及び反応時間の観点からは、使用した2重結合化合物に対して0.001〜0.5mol%の範囲で使用するのが好ましい。
また、反応において溶媒は必ずしも必要ではないが、必要に応じて適当な溶媒を使用してもよい。このような有機溶媒としては、反応を阻害するものでなければよく、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素系の溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系の溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系の溶媒などがあげられる。これらの溶媒は単独で使用してもよく、複数の溶媒を組み合わせて使用してもよい。
この反応の温度は特に限定されず、一般には20℃〜120℃の温度で行うことができるが、50℃〜110℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは、80℃〜100℃の範囲内である。また、処理時間についても限定されず、一般的には1〜80時間の範囲内で行うことができ、好ましくは2〜24時間の範囲内である。また、この反応は不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
このようにして得られる前記一般式(1)で表される環状シロキサン化合物は、純度が高くそのままでも使用可能であるが、精製が必要な場合には、溶媒洗浄、減圧蒸留、活性炭吸着処理等によりヒドロシリル化触媒を容易に除去することが可能である。
本発明の(A)工程における、前記環状シロキサン化合物による無機粉体の処理方法としては、無機粉体の形態に応じて異なるが、粉体の場合、例えばヘンシェルミキサー等の高速かくはん装置の中で無機粉体をかくはんしながら、環状シロキサン化合物を添加して無機粉体と混合し、所定の温度で加熱する方法が挙げられるが、特に制限されるものではない。環状シロキサン化合物の添加方法としては、液体状もしくは気体状のいずれでもよく、滴下もしくはスプレーノズルを用いた噴霧によって導入してもよい。
使用する環状シロキサン化合物の量は、導入すべきスルホン酸塩基の量や、無機粉体の比表面積等に応じて適宜設定すればよい。一般に、環状シロキサン化合物の量が多いほうが、より多量のスルホン酸塩基を導入可能となるが、あまりに多いと無機粉体の処理に関与しない環状シロキサンが生じることとなる。最適な使用量は使用する環状シロキサン化合物の種類や、無機粉体の種類および比表面積や粒径に関連し、一律に決めることはできないが、粉体の場合、一般的には、無機粉体100質量部に対する環状シロキサン化合物の量は5〜120質量部が好ましい。後述するスルホン酸塩基をスルホン酸基にカチオン交換した際のイオン交換基密度で示して2.5〜5.0μeq/m、さらに好適には3.0〜4.0μeq/mのスルホン酸塩基が導入された無機紛体を製造する上では、環状シロキサン化合物は、無機粉体100質量部に対して、8〜100重量部、さらに好適には10〜80重量部使用するのがより好ましい。
該処理の際の温度としては、環状シロキサン化合物を開環させ、無機粉体の有するOH基と効率よく反応させるため、通常50℃以上とすることが好ましく、より好ましくは100℃以上である。また高温すぎると環状シロキサン化合物が無機粉体と反応することなく分解することがあるため、400℃以下で行うことが好ましい。なお、反応容器内の圧力は特に制限されず、常圧でもよいし、加圧でもよい。加圧する場合は、0.005〜0.5MPa程度が一般的である。
また、反応時間は、十分に表面処理を行うために、0.5〜20時間が好ましく、より好ましくは1時間〜5時間である。
環状シロキサン化合物処理時の雰囲気は、水分を遮断した条件であることが好ましく、特に窒素、アルゴン等の不活性ガスの条件下にて処理を行うことが望ましい。このようにして無機粉体を環状シロキサンにより処理した後、必要に応じて減圧下で加熱することにより、未反応の環状シロキサン化合物やその分解物を除去することができる。
本発明においては、上記(A)工程により得られた無機粉体を、次いで(B)工程として亜硫酸塩と接触させ、無機粉体にスルホン酸基を導入する。上述した(A)工程によって、無機粉体は、
Figure 2006306971
で示されるシロキサン単位よりなる表面処理層により被覆されており、この表面処理層の−R−Xが亜硫酸塩(MSO,M’SO,MHSO;Mは1価のカチオンを示し、M’は2価のカチオンを示す)と反応して、−R−SO ・M(M’2+;スルホン酸基2モルに対して対応するものとする)へと変換される。
このような方法であれば、環状シロキサン化合物が有していた−R−X基を高効率にスルホン酸塩基の生成に利用することができるため、本発明では、前記従来技術におけるSi−H基を有する環状シロキサン化合物を使用した場合等に比して、より多量のスルホン酸塩基を無機紛体に導入することが可能になる。また、無機紛体上で、白金等のヒドロシリル化反応触媒を使用することもないので、該触媒成分の残留の問題も生じない。
上記(B)工程において、(A)工程により得られた無機粉体と亜硫酸塩との接触は、無機紛体に亜硫酸塩の溶液を接触させることにより行うのが一般的であり、この際の亜硫酸塩の溶液としては該亜硫酸塩が溶解する有機溶液であっても良いが、通常はその溶解性の高さから水溶液が用いられる。亜硫酸塩水溶液のpHは特に制限されないが、pH3〜12が好ましく、pH5〜10がさらに好ましい。また、(A)工程により得られた無機粉体が亜硫酸水溶液に分散しにくい場合はアルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド等の水溶性有機溶媒を添加して分散させる方法をとるのも好適な態様である。
亜硫酸塩も特に限定されるものではなく、目的とするスルホン酸基に応じて、対応するカチオンの化合物を適宜選択すれば良く、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウムといったアルカリ金属イオンを有するもの、亜硫酸マグネシウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸バリウムといったアルカリ土塁金属イオンを有するもの、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸テトラメチルアンモニウム、亜硫酸ピリジニウム、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸水素テトラメチルアンモニウム、亜硫酸水素ピリジニウムといったアンモニウム類カチオンを有するものなどがあげられる。原料の入手のしやすさ、反応性がよい点から、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウムなどのアルカリ金属塩が好ましい。
用いる亜硫酸塩の量は特に制限されず、上記環状シロキサン化合物を用いて表面処理された無機粉体が有するハロゲン原子の量に応じて適宜設定すればよい。通常は、前記(A)工程で処理された無機粉体が有する−R−Xに対して1〜20当量程度、好ましくは2〜10当量程度使用すればよい。
亜硫酸塩水溶液と無機粉体との接触温度に関しては特に限定されないが、好ましくは20℃〜100℃、さらに好ましくは60℃〜100℃であり、接触時間としては、好ましくは0.1〜30時間、さらに好ましくは0.5〜10時間である。接触時の温度が高いほうが速く反応が進む傾向があるが、反面、分解反応などの望ましくない反応も起こりやすくなる。なお、反応容器内の圧力は特に制限されず、常圧でもよいし、加圧でもよい。加圧する場合は、0.005〜1MPa程度が一般的である。またこの反応は窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
反応後、ろ過、洗浄を行う場合、該ろ過は、目的物である無機粒子が保持される条件であれば特に限定されず、必要に応じて公知のろ過手段を選択すればよい。また、ろ過に代えて遠心沈降等でもよい。
洗浄はイオン交換水や蒸留水等の夾雑イオンを含まない水で行うことが好適である。洗浄は不要な成分、例えば、過剰に用いた亜硫酸塩や、反応により遊離してきたハロゲンイオンが、必要な程度まで洗い流されるまで行えばよい。洗浄の終点は、ろ液中のハロゲンイオン濃度や、pHなどにより確認することができる。
乾燥の条件は、表面のシロキサン処理層が分解しない条件で行えばよく、加熱乾燥、送風乾燥、減圧乾燥等、公知の如何なる乾燥方法を適用してもよい。また水溶液を用いた場合には、乾燥時間を節約するため、アルコール、アセトン等の揮発性有機溶媒で置換してから乾燥してもよい。加熱する場合、その温度は150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましい。なお、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で加熱するとよりよい。
上記のようにして得られた乾燥品は、通常、前記した環状シロキサン処理無機粉体と同等の粒径、粒度分布を有する粉末であるが、乾燥工程で軽く凝集した状態になることがある。このような凝集は、通常、使用条件下(例えば、樹脂成分と混合する)で解砕されるが、必要に応じて解砕し、微粉化してもよい。逆に、取り扱い性を向上させるなどの目的で、公知の方法で造粒することもできる。
以上により、スルホン酸塩基を有する表面処理層により被覆されてなる無機紛体を、粒子間の凝集や着色が抑制された状態で効率よく製造することができる。このスルホン酸塩基は、用途に応じてカチオン交換を行うことができる。例えば、上記スルホン酸塩は、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩として製造されることが多いが、この場合、硝酸銀水溶液で処理することにより、抗菌剤として有用なスルホン酸銀基(SOAg)とすることができる。また、スルホン酸基(SOH)にカチオン交換する場合には、0.1〜2Nの塩酸水溶液で処理する等すればよい。
上記本発明の方法によれば、スルホン酸塩基やスルホン酸塩を多量に無機紛体に導入することが可能であり、具体的にはスルホン酸塩基をスルホン酸基にカチオン交換した際のイオン交換基密度で示して2.5〜5.0μeq/m、より好適には3.0〜4.0μeq/m導入することも可能である。
また、表面処理層が無機紛体を均一に被覆していることに起因して、これらスルホン酸塩基やスルホン酸基が結合する表面処理層の耐薬品性に優れており、特に、前記した従来の手法によりスルホン酸基を導入した無機紛体では十分でない耐アルカリ性が大きく改善されたものになる。具体的には、0.1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸漬した後の炭素の残存割合で示される該表面処理層の耐アルカリ性が60%以上、好適には70%以上、特に好適には75%以上のものを得ることが可能である。なお、耐アルカリ性の詳しい測定条件は、後述する実施例で説明されるとおりである。
このようにスルホン酸塩基の導入密度が、該スルホン酸塩基をスルホン酸基にカチオン交換した際のイオン交換基密度で示して2.5〜5.0μeq/mと大きく、且つ0.1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸漬した後の炭素の残存割合で示される上記表面処理層の耐アルカリ性も60%以上と大きい、スルホン酸塩基を有する無機粉体は、本発明の方法により初めて得られる新規なものである。また、同様に、この新規な無機粉体のスルホン酸塩基をスルホン酸基にカチオン交換した、スルホン酸基を有する無機粉体も、本発明により初めて見出された新規なものである。
なお、上記本発明の方法により得られるスルホン酸基を有する無機紛体において、イオン交換容量は0.01〜1.0meq/gが一般的であり、前記多量にスルホン酸基を導入可能なことから0.3〜1.0meq/gの大きいものを得ることが可能である。また、本発明で製造される無機紛体は、表面処理層の耐酸性にも優れており、0.1mol/lの塩酸水溶液に24時間浸漬した後の炭素の残存割合で示される該表面処理層の耐酸性が80%以上、好適には90%以上のものとすることもできる。
本発明の方法により得られるスルホン酸基やスルホン酸塩基を有する無機粉体は、そのイオン交換性を利用して広い用途に使用できる。例えばカラム等の充填材、固相合成用担体、プラスチックやゴム等の充填材、化粧品、吸着剤、抗菌剤、消臭剤、水処理用、防錆材、金属回収剤、触媒等の分野で好適に使用することができる。
本発明を更に詳細に説明するため、以下実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各例における表面処理無機粉体の平均粒子径、比表面積、炭素量、疎水化度、色調、白金(Pt)量、窒素量、イオン交換容量、イオン交換基密度は以下の方法によって測定したものである。
〔平均粒子径〕 無機粉体をエタノールに分散して超音波をかけながら、光散乱回折式粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製:コールターLS230)により粒度分布を測定し、体積基準算術平均径D50の値を平均粒子径とした。
〔比表面積〕 比表面積測定装置(島津製作所製:フローソーブ2−2300型)を用いて、BET法により求めた。
〔炭素量〕 無機粉体を酸素雰囲気中で1350℃に加熱し、微量炭素分析装置(株式会社堀場製作所製:EMIA−511型)によって炭素含有量を測定した。
〔硫黄量〕 蛍光X線分析装置(株式会社リガク製:X線スペクトロメーター3270)により硫黄原子の含有量を測定した。
〔疎水化度〕 110mlのサンプル瓶に、無機粉体を0.5gとメタノール水溶液100mlを入れ、シェーカーを用いて30分間かくはんし、1晩静置した後に沈降分と液部を吸引して浮遊分を残した。120℃で6時間乾燥し、浮遊分の質量を測定した。メタノール/水の比を変えて浮遊量を調べ、環状シロキサン処理粉体が50%浮遊するところのメタノール濃度を求め、その値を疎水化度とした。
〔色調〕 色調は目視にて評価した。
〔Pt量〕 蛍光X線分析装置(株式会社リガク製:X線スペクトロメーター3270)によりPt原子の含有量を測定し、Si原子に対する割合を質量パーセントで示した。
〔イオン交換容量〕 無機粉体を1N塩酸水溶液で処理して対イオンを水素イオン(H型)に変換した後、0.5N塩化ナトリウム水溶液中で処理し、遊離した水素イオンを中和滴定装置(平沼産業株式会社製:COMTITE−900)で定量した。
〔イオン交換基密度〕 算出したイオン交換容量を、表面処理無機粉体の比表面積の値で割り、イオン交換基密度とした。
〔耐酸性〕 無機紛体5gを500mlのフラスコ中に入れ、そこに0.1mol/lの塩酸水溶液300mlを加えて24時間マグネチックスターラーにてオーバル回転子(全長35mm)を用いて400rpmの攪拌条件で撹拌した。続いて、これをろ過、1000mlのイオン交換水にて2回水洗して、十分な乾燥をおこなった後、炭素分析により炭素量を測定し、この試験前に測定した炭素量に対する残存割合を求めた。
〔耐アルカリ性〕 無機紛体5gを500mlのフラスコ中に入れ、そこに0.1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液300mlを加えて24時間、マグネチックスターラーにてオーバル回転子(全長35mm)を用いて400rpmの攪拌条件で撹拌した。続いて、これをろ過、1000mlのイオン交換水にて2回水洗して、十分な乾燥をおこなった後、炭素分析により炭素量を測定し、この試験前に測定した炭素量に対する残存割合を求めた。
実施例1
1,3,5,7−テトラキス(4−ブロモブチル)−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン6gをシリカ(比表面積200m/g、平均粒子径0.11μm)10gとジューサーミキサーで混合し、窒素ガス置換したオートクレーブ中で250℃にて1時間加熱処理した後、加熱したまま減圧して未反応の環状シロキサン化合物を除去した。次いで、得られた環状シロキサン処理シリカをエタノール100mlに分散させた後、亜硫酸ナトリウム20gを溶解させた水溶液200mlを加え、90℃で2日間混合し、スルホン酸塩基を有するシリカを得た。次いで、シリカをろ過後、洗浄、乾燥後、粉体を回収した。
これらの処理に用いた原料、環状シロキサンによる処理を行った粉体、およびスルホン酸塩基を導入した各々の状態での無機粉体の各種物性を表1に示す。
実施例2
1,3,5,7−テトラキス(4−ブロモブチル)―1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの代わりに、1,3,5,7−テトラキス(4−クロロブチル)―1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを5g用いた他は実施例1と同様にしてスルホン酸基を有するシリカを得た。
原料及び処理後の、各々の状態での各種物性を表1に示す。
実施例3
1,3,5,7−テトラキス(4−ブロモブチル)―1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの代わりに1,3,5,7−テトラキス{2−(4−クロロメチルフェニル)エチル}―1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを6g用いた他は実施例1と同様にしてスルホン酸基を有するシリカを得た。
原料及び処理後の、各々の状態での各種物性を表1に示す。
実施例4
1,3,5,7−テトラキス(4−ブロモブチル)―1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの代わりに1,3,5−トリス(3−クロロプロピル)―1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサンを4g用いた他は実施例1と同様にしてスルホン酸基を有するシリカを得た。
原料及び処理後の、各々の状態での各種物性を表1に示す。
実施例5
実施例1で用いたシリカ(比表面積200m/g、平均粒子径0.11μm)に代えて、比表面積および粒子径の異なるシリカ(比表面積2m/g、平均粒子径4.5μm)を10g用いた他は実施例1と同様にしてスルホン酸基を有するシリカを得た。
原料及び処理後の、各々の状態での各種物性を表1に示す。
比較例1
1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン4gをシリカ(比表面積200m/g、平均粒子径0.11μm)10gとジューサーミキサーで混合し、235℃にて1時間オートクレーブ中で加熱処理し、表面にSi−H基を有する表面処理シリカを得た。次いで得られた表面処理シリカ10gを滴下漏斗、温度計、攪拌子を備えた500mlの3つ口フラスコに入れ、トルエン300mlを加えた後、ヘキサクロロ白金酸6水和物を0.1g加え、かくはんしながら4−クロロメチルスチレン3gを内温20℃を保ちつつ1時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃に昇温し、18時間攪拌を続けた後、スラリーをろ過し、トルエン300mlで3回洗浄し、150℃で1晩乾燥した。得られた表面処理シリカは灰色をしていた。この表面処理シリカをエタノール100mlに分散させた後、亜硫酸ナトリウム20gを溶解させた水溶液200mlを加え、90℃で2日間混合させ、スルホン酸基を有するシリカを得た。
原料及び処理後の、各々の状態での各種物性を表1に示す。なお表1中、環状シロキサン処理後における物性値は、環状シロキサンによる処理後、さらに4−クロロメチルスチレンと反応させた後の値である。
比較例2
市販のシランカップリング剤であるγ−クロロプロピルトリメトキシシラン4gをシリカ(比表面積200m/g、平均粒子径0.11μm)10gと混合し、180℃にて1時間オートクレーブ中で加熱処理し、表面処理シリカを得た。得られた表面処理シリカをエタノール100mlに分散させた後、亜硫酸ナトリウム20gを溶解させた水溶液200mlを加え、90℃で2日間混合させ、スルホン酸基を有するシリカを得た。
原料、および各種物性を表1に示す。
Figure 2006306971
実施例1〜5においては、いずれも粒子形状に大きな変化は見られず、高いイオン交換基密度でスルホン酸基を有するようにスルホン酸塩基を導入できることがわかる。また、環状シロキサン化合物で処理後の疎水過度が高く、被覆が均一に行われていることがわかった。その結果、表面処理層の耐アルカリ性に極めて優れるものであった。
他方、比較例1ではSi−H基を有する環状シロキサン化合物で表面処理した後、ビニル基及び反応性のハロゲン化アルキル基を有する化合物をヒドロシリル化反応させて、ハロゲン化アルキル基を有するシリカを得、次いで亜硫酸ナトリウムを反応させてスルホン酸基の導入を行ったが、ヒドロシリル化触媒として用いた白金が残存しており、色調も灰色であり、さらにイオン交換容量も低いものとなった。
また、比較例2は、シランカップリング剤で表面処理を行った例であるが、この粉末の疎水化度は16%の低さであった。このように疎水化が十分にされていないことから、環状シロキサン化合物を用いて処理したシリカと比べ、被覆の均一性が劣ることがわかる。その結果、表面処理層の耐アルカリ性が大きく低下していた。

Claims (5)

  1. (A)下記一般式(1)
    Figure 2006306971
    (式中、Rは炭素数1〜10の1価の炭化水素基、Rは炭素数3〜10の2価の炭化水素基、Xはハロゲン原子であり、nは3〜6の整数である)
    で表される環状シロキサン化合物を用いて無機粉体を処理する工程、及び(B)該処理された無機粉体と亜硫酸塩とを接触させて、無機粉体にスルホン酸塩基を導入する工程を含むことを特徴とする、スルホン酸塩基を有する無機粉体の製造方法。
  2. 無機紛体が、シリカである請求項1記載のスルホン酸塩基を有する無機粉体の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2記載の方法によりスルホン酸塩基を有する無機粉体を得た後、該スルホン酸塩基をスルホン酸基にカチオン交換する、スルホン酸基を有する無機粉体の製造方法。
  4. スルホン酸塩基を有する表面処理層により被覆されてなり、スルホン酸塩基の導入密度が、該スルホン酸塩基をスルホン酸基にカチオン交換した際のイオン交換基密度で示して2.5〜5.0μeq/mであり、且つ0.1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸漬した後の炭素の残存割合で示される上記表面処理層の耐アルカリ性が60%以上である、スルホン酸塩基を有する無機粉体。
  5. 請求項4記載のスルホン酸塩基を有する無機粉体の該スルホン酸塩基をスルホン酸基にカチオン交換した、スルホン酸基を有する無機粉体。
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