JP2006306789A - 徐放性基材 - Google Patents

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Abstract

【課題】
徐放性の制御された徐放性基材、とりわけ生体吸収性医薬製剤において、製剤投与後に有効成分である薬物の急激な初期放出が抑制され、かつ1ヶ月間定められた速度で薬物が放出されうる徐放性基材を提供することを課題とする。
【解決手段】
徐放性基材として、分子量分布を調節した乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)を用いることによる。具体的には、乳酸-グリコール酸の共重合体であって、ゲル浸透クロマトグラフィー法により求めた分子量画分が、分子量40,000以上が5%未満、分子量16,000以上40,000未満が20%未満、分子量5,000以上16,000未満が45%以上、分子量2,000以上4,000未満が10%未満、分子量500以上1,500未満が5%以上、である乳酸-グリコール酸共重合体による。

Description

本発明は、徐放性基材、とりわけ生体吸収性徐放性製剤の基材に使用して優れた効果を発揮する徐放性基材に関する。
生体吸収性医薬製剤は、薬物の効力持続、副作用の軽減、生物学的半減期の短い薬物の投与回数削減、総投与量の低減等受動的ターゲッティングのために設計開発された製剤であり、ドラッグデリバリーシステムとして多くの研究がなされている。このような生体吸収性医薬製剤として、徐放性基材、すなわち生体内分解型高分子を用いたものが公知であり、例えば乳酸および/またはグリコール酸を触媒の存在下または不存在下で重縮合させたものが特許文献1に、このような生体内分解型高分子を用いた徐放型マイクロカプセルの製造方法が特許文献2に開示されている。乳酸およびグリコール酸を用いた重合化合物についても各種検討がなされており、例えば重量平均分子量5,000以上30,000以下、触媒を全く含まず、分散度1.5〜2、乳酸50〜95重量%およびグリコール酸50〜5重量%からなる乳酸-グリコール酸共重合体については特許文献3に、重量平均分子量8,000以上15,000以下で、重量平均分子量と数平均分子量の比が約1.90以下の乳酸-グリコール酸共重合体については特許文献4に開示されている。また、分子量1,000以下の低分子重合物の含有量が3.0(%)未満の生体内分解型脂肪族ポリエステルについては特許文献5に開示されている。
さらに、徐放性基材となりうるポリマーの分子量分布については、特許文献6および7に、乳酸-グリコール酸共重合体(固有粘度1.38〜0.10)を用いた徐放製剤用途については特許文献8に、乳酸-グリコール酸共重合体(分子量2,000〜20,000)による徐放製剤の製法については特許文献9に、および乳酸-グリコール酸共重合体(固有粘度0.3以上)を用いた徐放製剤用途については特許文献10に開示されている。
以上のように、生体吸収性徐放性医薬製剤およびその基材となるポリマーに関して、多数の技術が開示されているが、本発明の目的とする、製剤投与後に有効成分である薬物の急激な初期放出を抑制し、かつ1ヶ月間定められた速度で薬物を放出しうる生体吸収性徐放性医薬製剤を提供するためには、十分な性能が得られていないのが現状である。
特開昭61-28521号公報 特公平1-57098号公報 特許第3168263号公報 特開2003-206243号公報 特許第3254449号公報 特開2004-155792号公報 特開2004-256546号公報 特開昭57-150609号公報 特開昭60-181029号公報 特開昭53-109930号公報
本発明は、徐放性の制御された徐放性基材、とりわけ生体吸収性徐放性製剤において、製剤投与後に有効成分である薬物の急激な初期放出が抑制され、かつ1ヶ月間定められた速度で薬物が放出されうる徐放性基材を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、徐放性基材として、分子量分布を調節した乳酸-グリコール酸共重合体を用いることにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下よりなる。
1.乳酸とグリコール酸の共重合体であって、ゲル浸透クロマトグラフィー法により求めた分子量画分が、
分子量40,000以上が5%未満、
分子量16,000以上40,000未満が20%未満、
分子量5,000以上16,000未満が45%以上、
分子量2,000以上4,000未満が10%未満、
分子量500以上1,500未満が5%以上、
であることを特徴とする乳酸とグリコール酸の共重合体からなる徐放性基材。
2.共重合体の組成比が、乳酸:グリコール酸(モル比)=90:10〜40:60の範囲である前項1記載の徐放性基材。
上記分子量画分の条件を満たす乳酸-グリコール酸共重合体を用いることにより、即ち、本発明の徐放性基材を用いることにより、例えば、製剤投与後の有効成分である薬物の急激な初期放出が抑制され、かつ1ヶ月間定められた速度で薬物が放出される生体吸収性医薬製剤を提供することが可能になる。このことにより、生体に作用する薬物が副作用発現濃度と最低有効濃度の範囲にある最適治療濃度領域で血中に存在することになり、少量の薬物投与量(回数)で高い医薬製剤の効果を得ることが可能になる。
本発明の乳酸-グリコール酸共重合体(以下、「PLGA」という場合もある。)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」という場合もある。)法により求めた分子量画分が、分子量40,000以上が5%未満、分子量16,000以上40,000未満が20%未満、分子量5,000以上16,000未満が45%以上、分子量2,000以上4,000未満が10%未満、分子量500以上1,500未満が5%以上のものをいう。さらに好ましくは、分子量40,000以上が0%以上5%未満、分子量16,000以上40,000未満が20%未満、分子量5,000以上16,000未満が45%以上95%未満、分子量2,000以上4,000未満が10%未満、分子量500以上1,500未満が5%以上20%未満のものをいう。
本明細書における分子量とは、GPCで測定したポリスチレン換算分子量をいう。具体的には、GPCカラムとしてTSLgel G6000HXL、G5000HXL、G4000HXL、G2500HXL、G1000HXL (7.8mmI.D.×30cmL)、TSK guard column HXL-H(いずれも東ソー製)を使用し、測定装置としてHLC-8120(東ソー製)を使用し、分子量6.77×106, 1.80×106, 9.0×105, 6.0×105, 2.33×105, 1.0×105, 5.0×104, 1.75×104,9.0×103, 4.0×103,2.0×103, 8.0×102, 4.18×102のポリスチレンを基準物質としたポリスチレン換算分子量をいう。
本明細書において、乳酸とグリコール酸の共重合体とは、乳酸-グリコール酸共重合体またはその塩を含む。塩としては、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属等を含む無機塩基、トリエチルアミン等の有機アミン類、アルギニン等の塩基性アミン類などの有機塩基、あるいは亜鉛、鉄、銅などの遷移金属との塩および錯塩などがあげられる。乳酸とグリコール酸の共重合体の組成モル比は、90:10〜40:60が好ましく、さらに好ましくは70:30〜80:20である。共重合体中のグリコール酸含量が10モル%未満の場合、加水分解速度が遅くなるため、医薬製剤を投与後1ヶ月を経過しても所定量の薬剤を放出することができない。また、共重合体中のグリコール酸含量が60モル%を越えると、一般的に製剤化に使用される有機溶媒への溶解度が低下するため、医薬製剤の製造工程上好ましくない。
本発明の乳酸-グリコール酸共重合体は、公知の方法によって製造することができるが、これらの方法に限定されるものではない。例えば、高分子加工,30(5),208,(1981年)に引用されている通り、乳酸およびグリコール酸からの脱水重縮合であり、あるいはルイス酸や金属塩、有機金属等を重合触媒とするラクチドおよびグリコリド等からの開環重合である。高級アルコールや脂肪酸等を開始剤として使用することも可能である。
さらに、重合途中で乳酸、グリコール酸等の単量体、または乳酸、グリコール酸からなるオリゴマーを添加してさらに重合を継続する「2段階重合法」をおこなうことにより、本発明における分子量画分に特徴を有する乳酸-グリコール酸共重合体をより効率的に得ることができる。また、「2段階重合法」を含め上記の公知の方法によって重合した後、分子量および組成の異なる乳酸-グリコール酸共重合体を少なくとも2種類以上混合することもできる。
さらに、乳酸-グリコール酸共重合体は、公知の方法、例えば有機溶媒を用いて精製することができる。本発明で用いられる有機溶媒としては、例えばアセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、塩化メチレン、クロロホルム、ヘキサン、メタノール等を組合せて使用することができる。とりわけ、塩化メチレン、クロロホルム、メタノール、ヘキサン等の組み合わせが好ましく使用される。
有機溶媒を除去する方法としては、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法を用いることができる。例えば、プロペラ型撹拌機またはマグネチックスターラーや超音波発生装置などで撹拌しながら常圧もしくは徐々に減圧にして有機溶媒を蒸発させる方法、ロータリーエヴァポレーターなどを用いて真空度を調節しながら有機溶媒を蒸発させる方法、一般的に使用される真空乾燥機等を用いて減圧下で加熱しながら有機溶媒を除去する方法、透析膜を用いて徐々に有機溶媒を除去する方法などが挙げられる。
また、本発明の分子量分布を有する乳酸-グリコール酸共重合体は、上記精製して得た乳酸-グリコール酸共重合体を少なくとも2種類以上混合することによっても調製することができる。
本発明において生体吸収性医薬製剤とは、製剤投与後に、有効成分である薬物の急激な初期放出が抑制され、かつ1ヶ月間定められた速度で薬物が放出され、薬物の放出を制御することで薬理効果が持続可能な作用を有する徐放性組成物をいう。徐放性を有する薬剤であれば経口用薬剤、注射用薬剤、経皮用薬剤等、限定されないが、好ましくは経口用薬剤または注射用薬剤が挙げられる。これらの生体吸収性医薬製剤は、薬学的に許容しうる公知の添加物を含むことができる。
本明細書において、定められた速度で薬物を放出するとは、生体吸収性医薬製剤を生体に投与後、少なくとも一ヶ月間有効成分である薬物を放出することをいい、具体的には、1日目で90〜100%、7日目で65〜85%、14日目で50〜70%、21日目で40〜60%、28日目で30〜50%の薬物が残存するように薬物を放出することをいう。本明細書において、前記薬物の残存率は次のようにして求めることができる。
本発明における薬物の残存率の測定方法としては、種々公知の測定方法を用いることができ、例えばJournal of Controlled Release 28(1994) 121-129、Chem. Pharm. Bull., 36, 1095 (1988)、European Pharmacopoeia 4等に記載の薬物残存量の測定方法により、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定することができる。例えば、薬物が担持されたマイクロスフェアを0.05 %界面活性剤(Tween80)を含有するpH 7.0の1/30 Mリン酸緩衝液10 mL中に懸濁し、この懸濁液をローテーターを用いて25 cycle/分で回転し、マイクロスフェアを1μmのミリポアフィルターでろ別して、残存している薬物量を高速液体クロマトグラフィーで測定することができる。初期の薬物の含量をイニシャル値として、イニシャル値に対するマイクロスフィア中の薬物量の比率を残存率とすることができる。
本発明の徐放性基材を用いた生体吸収性医薬製剤に含まれる薬物は、特に限定されないが、例えば黄体形成ホルモン放出ホルモン、そのアナログ、甲状腺ホルモン放出ホルモン、その塩、それらの誘導体が挙げられる。具体的にはLH-RHまたはその誘導体が挙げられる。
LH-RH誘導体としては、LH-RHアゴニストまたはLH-RHアンタゴニストが挙げられる。
LH-RHアンタゴニストとしては、例えば一般式〔I〕で表わされる生理活性ペプチドまたはその塩などが用いられる。
一般式〔I〕X-D2Nal-D4ClPhe-D3Pal-Ser-A-B-Leu-C-Pro-DAlaNH2
[式中、XはN(4H2-furoyl)GlyまたはNAcを、AはNMeTyr、Tyr、Aph(Atz)、NMeAph(Atz)から選ばれる残基を、BはDLys(Nic)、DCit、DLys(AzaglyNic)、DLys(AzaglyFur)、DhArg(Et2)、DAph(Atz)およびDhCi から選ばれる残基を、CはLys(Nisp)、ArgまたはhArg(Et2)をそれぞれ示す。]
LH-RHアゴニストとしては、例えば一般式〔II〕で表わされる生理活性ペプチドまたはその塩などが用いられる。
[式中、YはDLeu、DAla、DTrp、DSer(tBu)、D2NalおよびDHis(ImBzl)から選ばれる残基を、ZはNH-C2H5またはGly-NH2をそれぞれ示す。]特に、YがDLeuで、ZがNH-C2H5であるペプチド(即ち、5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-DLeu-Leu-Arg-Pro-NH-C2H5で表されるペプチド)またはその塩(例えば、酢酸塩)が挙げられる。より具体的には、酢酸リュープロレリンが挙げられる。
これらのペプチドは、例えば特許文献4に示す方法で製造することができる。
例えば、生体吸収性医薬製剤は、本発明の徐放性基材に薬剤を含ませ、マイクロカプセル化させることにより調製することができる。マイクロカプセルの調製方法は、公知の方法、例えば特許文献4に記載するW/O/W法、相分離法、噴霧乾燥法に従って調製することができる。
徐放性基材に対する薬剤の含量は、約3〜20w/w%が好ましく、さらに好ましくは約5〜15w/w%である。
以下に本発明の実施例を挙げてさらに詳細に説明をおこなうが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
温度計、窒素導入管を備えた内容積300 mLの反応容器に、DL-乳酸(Aldrich製)115 gとグリコール酸(Aldrich製)25 gを加え、200 mL/分の窒素気流下、185℃で2.5時間反応させて、重量平均分子量1,500の反応物Aを得た。温度計、排気口を備えた内容積300 mLの反応容器にDL-乳酸228 gとグリコール酸52 gを加え、10〜1×10-1 mmHg に減圧しながら、185 ℃で40時間反応させた。ここに、反応物A(15 g)を添加し、さらに10〜1×10-1 mmHgの減圧下、185 ℃で8 時間反応させた。得られた反応物を濃度10w/v%となるように塩化メチレンに溶解し、体積比で約6倍のヘキサン中で析出させることにより精製処理をおこない、本発明の徐放性基材であるDL-乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)130gを得た。
得られた共重合体のモル比をH-NMR(1H-核磁気共鳴スペクトル)により求めた結果、乳酸:グリコール酸は76:24であった。また、GPCによりこの共重合体の分子量測定および分子量分画を行い、その結果を表1に示した。
本実施例において、GPCによる分子量の測定は次の条件で行った。
測定装置:HLC-8120(東ソー製)
GPCカラム:次の6つのカラム(東ソー製)をTSK guard column HXL-H → TSLgel G1000HXL→ G2500HXL→ G4000HXL →G5000HXL → G6000HXLの順で連結し、使用した。
移動層:テトラヒドロフラン(流速0.8mL/分、温度40℃)
分子量標準物質:6.77×106, 1.80×106, 9.0×105, 6.0×105, 2.33×105, 1.0×105, 5.0×104, 1.75×104,9.0×103, 4.0×103,2.0×103, 8.0×102, 4.18×102のポリスチレン
上記PLGAを3.96 g秤量し、ジクロロメタン5 mLに溶解し、油相とした。
酢酸リュープロレリン0.45gを蒸留水0.5 mLに溶解して得た水相に、上記油相を混合し、小型ホモジナイザー(ポリトロン、キネマティカ社製)を用いて15,000 rpmで撹拌乳化し、W/Oエマルションを得た。このW/Oエマルションを、0.1%ポリビニルアルコール水溶液1 L中に添加し、ホモジナイザー(日立製)を用いて4,000 rpmで再び乳化し、W/O/Wエマルションを得た。このW/O/Wエマルションを軽く撹拌しながら約3時間脱溶媒した。脱溶媒後、遠心操作により回収し、蒸留水で洗浄した後、D-マンニトール0.55 gを加えて、少量の水で再分散し、凍結乾燥を行い、マイクロスフェア末3.8 gを得た。
(実施例2)
温度計、排気口を備えた内容積300 mLの反応容器に、重合の一段階目として、DL-乳酸228g、グリコール酸52gを加え、10〜1×10-1 mmHgに減圧しながら、185℃で70時間反応をおこなった。次に、重合の二段階目として、DL-乳酸23 g、グリコール酸5 gを添加し、10〜1×10-1 mmHgの減圧下、185 ℃で更に5 時間反応をおこなった。
反応後に得られた共重合体を濃度10w/v%となるようにクロロホルムに溶解し、体積比で約6倍のヘキサン中で析出させることにより精製処理をおこない、本発明の徐放性基材であるPLGA 120 gを得た。
得られた共重合体のモル比をH-NMRにより求めた結果、乳酸:グリコール酸は75:25であった。また、GPCによりこの共重合体の分子量測定および分子量分画を行った結果を表1に示した。分子量の測定は、実施例1に記載の方法で行った。
酢酸リュープロレリン2.25 gを蒸留水2.25 mLに溶解し、水相とした。上記PLGAを19.8 g秤量し、ジクロロメタン20 mLに溶解し、油相とした。水相に油相を混合し、小型ホモジナイザー(ポリトロン、キネマティカ社製)を用いて15,000 rpmで撹拌乳化し、W/Oエマルションを得た。このW/Oエマルションを、19 ℃の0.1%ポリビニルアルコール水溶液5 L中に添加し、ホモミックラインフロー(特殊機化製)を用いて8,000 rpmで再び乳化し、W/O/Wエマルションを得た。このW/O/Wエマルションを軽く撹拌しながら約3時間脱溶媒した。脱溶媒後、75 μmの篩を用いて通過したマイクロスフェアを遠心操作により回収し、蒸留水で洗浄した後、95 μmの篩を用いて篩過し、D-マンニトール2.75 gを加えて、少量の水で再分散し、凍結乾燥を行い、マイクロスフェア末13.97 gを得た。
(実施例3)
グリコール酸を攪拌下、約180 ℃で脱水重縮合させて得たオリゴマーを、250 ℃で減圧蒸留することによりグリコリドを得た。
温度計、排気口を備えた内容積300 mLの反応容器に、DL-ラクチド(東京化成製)245 g、グリコリド54 g、DL-乳酸12.4 gを加え、これに触媒として酢酸亜鉛(関東化学製)0.03 gを添加した。1×10-1 mmHgの減圧下、160 ℃で98 時間反応をおこなって、重量平均分子量10,900の反応物Bを得た。
次に、温度計、窒素導入管を備えた内容積300 mLの反応容器に、DL-乳酸115 g、グリコール酸25 gを加え、200 mL/分の窒素気流下、185 ℃で2 時間反応させ、重量平均分子量1,200の反応物Cを得た。
反応物B(140 g)およびC(15 g)を合計濃度10 w/v%となるようにクロロホルム/アセトン混合溶媒(1:1)に溶解し、体積比で約1.5倍のメタノール/水混合溶媒(1:1)で抽出することにより精製処理をおこない、真空乾燥することにより、本発明の徐放性基材であるPLGA 85 gを得た。
得られた共重合体のモル比をH-NMRにより求めた結果、乳酸:グリコール酸は76:24であった。また、GPCによりこの共重合体の分子量測定および分子量分画を行った結果を表1に示した。分子量の測定は、実施例1に記載の方法で行った。
酢酸リュープロレリン4.5 gを蒸留水5 mLに溶解し、水相とした。上記PLGAを39.6 g秤量し、ジクロロメタン40 mLに溶解し、油相とした。水相に油相を混合し、小型ホモジナイザー(ポリトロン、キネマティカ社製)を用いて12,000 rpmで撹拌乳化し、W/Oエマルションを得た。このW/Oエマルションを、18 ℃の0.1%ポリビニルアルコール水溶液10 L中に添加し、ホモミックラインフロー(特殊機化製)を用いて7,000 rpmで再び乳化し、W/O/Wエマルションを得た。このW/O/Wエマルションを軽く撹拌しながら約3時間脱溶媒した。脱溶媒後、75 μmの篩を用いて通過したマイクロスフェアを遠心操作により回収し、蒸留水で洗浄した後、95 μmの篩を用いて篩過し、D-マンニトール4.72 gを加えて、少量の水で再分散し、凍結乾燥を行い、マイクロスフェア末を30.85 gを得た。
(実施例4)
温度計、窒素導入管を備えた内容積300 mLの反応容器に、DL-乳酸38 gとグリコール酸9 gを加え、200 mL/分の窒素気流下、185 ℃で1時間反応させた後、濃度10 w/v%となるようにクロロホルム/アセトン混合溶媒(1:1)に溶解し、体積比で約1.5倍のメタノール/水混合溶媒(1:1)で抽出することにより精製処理をおこない、重量平均分子量1,000の反応物Dを得た。
同様の反応容器に、DL-乳酸150 gとグリコール酸32 gを加え、200 mL/分の窒素気流下、185 ℃で72 時間反応させた後、濃度10 w/v%となるように塩化メチレンに溶解し、体積比で約4倍のメタノール中で析出させることにより精製処理をおこない、重量平均分子量11,500の反応物Eを得た。
反応物E(140 g)およびD(15 g)を合計濃度20w/v%となるように塩化メチレンに添加し、混合した後、真空乾燥することにより、本発明の徐放性基材であるPLGA 145gを得た。
得られた共重合体のモル比をH-NMRにより求めた結果、乳酸:グリコール酸は72:28であった。また、GPCによりこの共重合体の分子量測定および分子量分画を行った結果を表1に示した。分子量の測定は、実施例1に記載の方法で行った。
上記PLGAを3.96 g秤量し、ジクロロメタン5 mLに溶解し、油相とした。
酢酸リュープロレリン0.45 gを蒸留水0.5 mLに溶解して得た水相に、上記油相を混合し、小型ホモジナイザー(ポリトロン、キネマティカ社製)を用いて15,000 rpmで撹拌乳化し、W/Oエマルションを得た。このW/Oエマルションを、0.1%ポリビニルアルコール水溶液1 L中に添加し、ホモジナイザー(日立製)を用いて4,000 rpmで再び乳化し、W/O/Wエマルションを得た。このW/O/Wエマルションを軽く撹拌しながら約3時間脱溶媒した。脱溶媒後、遠心操作により回収し、蒸留水で洗浄した後、D-マンニトール0.55 gを加えて、少量の水で再分散し、凍結乾燥を行い、マイクロスフェア末3.4 gを得た。
Figure 2006306789
(比較例)
温度計、排気口を備えた内容積300 mLの反応容器に、DL-乳酸228 gとグリコール酸52 gを加え、10〜1×10-1 mmHg に減圧しながら、185 ℃で30 時間反応させた。得られた反応物を濃度20 w/v%となるようにアセトンに溶解し、体積比で等倍の蒸留水で分離し、さらに体積比5倍の蒸留水で洗浄することにより精製処理をおこなった。
得られたPLGA のモル比をH-NMRにより求めた結果、乳酸:グリコール酸は75:25であった。また、GPCによりこの共重合体の分子量測定および分子量分画を行った結果を表2に示した。分子量の測定は、実施例1に記載の方法で行った。
酢酸リュープロレリン4.5 gを蒸留水5 mLに溶解し、水相とした。上記PLGAを39.6 g秤量し、ジクロロメタン40 mLに溶解し、油相とした。水相に油相を混合し、小型ホモジナイザー(ポリトロン、キネマティカ社製)を用いて10,000 rpmで撹拌乳化し、W/Oエマルションを得た。このW/Oエマルションを、18 ℃の0.1%ポリビニルアルコール水溶液10 L中に添加し、ホモミックラインフロー(特殊機化製)を用いて8,000 rpmで再び乳化し、W/O/Wエマルションを得た。このW/O/Wエマルションを軽く撹拌しながら約3時間脱溶媒した。脱溶媒後、75 μmの篩を用いて通過したマイクロスフェアを遠心操作により回収し、蒸留水で洗浄した後、95 μmの篩を用いて篩過し、D-マンニトール3.2 gを加えて、少量の水で再分散し、凍結乾燥を行い、マイクロスフェア末17.2 gを得た。
(実験例1) 薬物の残存率の測定
実施例および比較例で得られたマイクロスフェア50 mgを0.05%Tween80を含有するpH7.0の1/30 Mリン酸緩衝液10 mL中に懸濁した。この懸濁液をローテーターを用いて25 cycle/分で回転し、マイクロスフィアを遠心分離し、マイクロスフェアを1μmのミリポアフィルターでろ別して、マイクロスフィアを回収した。
回収したマイクロスフェアをジクロロメタン10 mLに溶解し、1/30 Mリン酸緩衝液20 mLで抽出した後、残存する酢酸リュープロレリンをHPLC(日立,L-2000)で測定した。カラムはMightysil(関東化学,150mm×4.6mm)を用い、カラム温度は30 ℃付近の一定温度で、移動相は1/30 Mリン酸緩衝液/アセトニトリル(3:1)を用い、検出器は紫外可視吸光光度計(波長:280nm)を使用した。
初期の薬物の含量をイニシャル値として、保存後1、7、14、21、28日目における、イニシャル値に対するマイクロスフィア中の薬物(酢酸リュープロレリン)量の比率を薬物残存率として求めた。
薬物残存率の測定結果を表3に示した。
Figure 2006306789
Figure 2006306789

表3の結果より、本発明の分子量画分の条件を満たす乳酸-グリコール酸共重合体を用いると、比較例の乳酸-グリコール酸共重合体に比べて特に1日目の薬物の放出を抑制することができることが確認された。
以上説明したように、本発明の分子量画分の条件を満たす徐放性基材を生体吸収性医薬製剤の基材として用いると、製剤投与後の有効成分である薬物の急激な初期放出が抑制され、かつ1ヶ月間定められた速度で薬物が放出される生体吸収性医薬製剤を提供することが可能になった。このことにより、生体に作用するに足る有効量の薬物が一定濃度で血中に存在することになり、少量の薬物投与量(回数)で高い医薬製剤の効果を得ることが可能になる。このような医薬製剤を使用することで、投与回数の削減による患者への負担を軽減することができる。また、薬物の急激な初期放出が抑制されることにより、薬物による副作用の軽減化が図られ、さらに薬物を無駄なく有効活用をすることができる。
以上、本発明の徐放性基材、主に、生体吸収性医薬製剤用基材として使用する場合について述べたが、本発明の徐放性基材は、これらの用途に限定されるものではなく、徐放性を目的とする各産業分野に於いて、これを利用することができる。

Claims (2)

  1. 乳酸とグリコール酸の共重合体であって、ゲル浸透クロマトグラフィー法により求めた分子量画分が、
    分子量40,000以上が5%未満、
    分子量16,000以上40,000未満が20%未満、
    分子量5,000以上16,000未満が45%以上、
    分子量2,000以上4,000未満が10%未満、
    分子量500以上1,500未満が5%以上、
    であることを特徴とする乳酸とグリコール酸の共重合体からなる徐放性基材。
  2. 共重合体の組成比が、乳酸:グリコール酸(モル比)=90:10〜40:60の範囲である請求項1記載の徐放性基材。
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