JP2006306691A - シリカ粒体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、深みのある新規な色彩を有し、かつ、混合、攪拌しても破壊されることのない強度を有するシリカ粒体を提供する。
【解決手段】本発明のシリカ粒体は、少なくともアモルファス相を有し、かつ透明性を有する表層部、及び、少なくとも石英型結晶相を含む多結晶相を有し、かつ連通孔を有する内層部、からなることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な色彩を有するシリカ粒体及びその製造方法に関するものである。
従来より、着色骨材は、建築材料、土木材料、プラスチック材料、設備機器等の分野で、美観性を付与する目的で広範に用いられている。
一般に、着色骨材としては、硅砂、砕石、寒水石、マイカ、ガラスビーズ、ガラスフレーク等の基体粒子に着色を施したもの等が知られている。このような着色骨材では、着色成分の種類等を適宜選定することにより、種々の色に着色することができる。具体的な着色方法としては、染料、顔料等を含む樹脂液で基体粒子の表面を被覆する方法が挙げられる。また、ガラスビーズ、ガラスフレーク等の人工骨材では、有色イオン等の着色成分を骨材製造時に予め配合する方法等により着色を施すこともできる。しかしながら、このような方法では、いずれも単調な色彩のものしか得ることができず、色彩に深みを付与するには限界がある。
これに対して、特許文献1には、シリカゲルを着色剤とガラスの融剤を溶解した水溶液に浸漬し、乾燥後焼成することで、内部が白色化し、表層部に着色ガラス層を有するセラミックス骨材が製造できることについて記載されている。このようなセラミックス骨材では、表層部の着色ガラス層と内部の白色があいまって、深みのある色彩を得ることができる。
特公昭48−40442号公報
しかし、特許文献1の製造方法では、表面張力の高い水を含む水溶液を、直接シリカゲルに浸漬させるため、シリカゲルが破損する可能性が高い。また、水溶液浸漬時に破損しなかった場合においても、内部亀裂や表面クラックが生じる可能性が高く、さらに焼成時において破損する可能性が非常に高い。
また、該骨材は、独立気泡内での発泡膨張反応により生成されるものであるが、このような独立気泡内での発泡膨張反応を伴う場合、骨材の粒子径を均一にすることは困難であり、粒子径の小さな骨材も得られにくい。さらに、膨張した内部は、粗な状態で強度が不十分となるため、該骨材を攪拌・混練すると、骨材の破損を引き起こすおそれがある。
本発明は、上述のような問題点に鑑みなされたものであり、深みのある新規な色彩を有し、かつ優れた強度を有する骨材を得ることを目的とするものである。
本発明者は上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、少なくともアモルファス相を有し、かつ透明性を有する表層部と、少なくとも石英型結晶相を含む多結晶相を有する内層部からなるシリカ粒体に想到し、本発明を完成させるに到った。
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.少なくともアモルファス相を有し、かつ透明性を有する表層部、及び
少なくとも石英型結晶相を含む多結晶相を有し、かつ連通孔を有する内層部、
からなることを特徴とするシリカ粒体。
2.少なくともアモルファス相及びトリジマイト型結晶相を有し、かつ透明性を有する表層部、及び
少なくとも石英型結晶相を含む多結晶相を有し、かつ連通孔を有する内層部、
からなることを特徴とするシリカ粒体。
3.表層部が着色透明性を有することを特徴とする1.または2.に記載のシリカ粒体。
4.(1)シリカ多孔体を表面張力が70dyn/cm以下の溶媒に浸漬し、該溶媒をシリカ多孔体の細孔内部に含浸させる工程、
(2)(1)の工程により得られたシリカ多孔体を、水100重量部に対して、アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩0.1〜30重量部、ホウ素化合物0.1〜20重量部、を溶解させた水溶液に浸漬し、(1)の工程で含浸させた溶媒を該水溶液に置換させる工程、
(3)(2)の工程により得られたシリカ多孔体を、600℃〜1200℃で焼成し、その後常温まで冷却する工程、
を含むことを特徴とする1.または2.に記載のシリカ粒体の製造方法。
5.(1)シリカ多孔体を表面張力が70dyn/cm以下の溶媒に浸漬し、該溶媒をシリカ多孔体の細孔内部に含浸させる工程、
(2)(1)の工程により得られたシリカ多孔体を、水100重量部に対して、アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩0.1〜30重量部、ホウ素化合物0.1〜20重量部、遷移金属及び/または希土類から選ばれる1種以上の元素を含む無機塩及び/または無機錯体0.1〜20重量部、を含有する水溶液に浸漬し、(1)の工程で含浸させた溶媒を該水溶液に置換させる工程、
(3)(2)の工程により得られたシリカ多孔体を、600℃〜1200℃で焼成し、その後常温まで冷却する工程、
を含むことを特徴とする1.から3.のいずれかに記載のシリカ粒体の製造方法。
6.(2)の工程において、水100重量部に対して、さらに、アルミニウム含有化合物0.1〜20重量部、を溶解させた水溶液を用いることを特徴とする4.または5.に記載のシリカ粒体の製造方法。
7.(1)シリカ多孔体を、表面張力が70dyn/cm以下の溶媒100重量部に対して、アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩0.1〜30重量部、ホウ素化合物0.1〜20重量部を溶解させた溶液に浸漬し、該溶液をシリカ多孔体の細孔内部に含浸させる工程、
(2)(1)の工程により得られたシリカ多孔体を、600℃〜1200℃で焼成し、その後常温まで冷却する工程、
を含むことを特徴とする1.または2.に記載のシリカ粒体の製造方法。
8.(1)シリカ多孔体を、表面張力が70dyn/cm以下の溶媒100重量部に対して、アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩0.1〜30重量部、ホウ素化合物0.1〜20重量部、遷移金属及び/または希土類から選ばれる1種以上の元素を含む無機塩及び/または無機錯体0.1〜20重量部、を溶解させた溶液に浸漬し、該溶液をシリカ多孔体の細孔内部に含浸させる工程、
(2)(1)の工程により得られたシリカ多孔体を、600℃〜1200℃で焼成し、その後常温まで冷却する工程、
を含むことを特徴とする1.から3.のいずれかに記載のシリカ粒体の製造方法。
9.(1)の工程において、表面張力が70dyn/cm以下の溶媒100重量部に対して、さらに、アルミニウム含有化合物0.1〜20重量部、を溶解させた溶液を用いることを特徴とする7.または8.に記載のシリカ粒体の製造方法。
10.遷移金属及び/または希土類として、少なくともジルコニウムを含むことを特徴とする5.、6.、8.、9.のいずれかに記載のシリカ粒体の製造方法。
11.アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩のうち、少なくとも1種がリチウムを含むリチウム塩であることを特徴とする4.から10.のいずれかに記載のシリカ粒体の製造方法。
本発明のシリカ粒体は、深みのある新規な色彩を有し、かつ、混合、攪拌しても破壊されることのない強度を有している。
このようなシリカ粒体は、特定の溶媒や、アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩、ホウ素化合物等を含有する水溶液を用いた特定の方法により、簡便に製造することができる。この方法によれば、色彩豊かなシリカ粒体を得ることもできる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明のシリカ粒体は、少なくともアモルファス相を有し、かつ、透明性を有する表層部と、少なくとも石英型結晶相を含む多結晶相を有し、かつ、連通孔を有する内層部、とからなるものである。
本発明のシリカ粒体は、表層部が透明性を有するものであり、内層部が少なくとも石英型結晶相を含む多結晶相を有するものであることによって、表層部と内層部の界面に屈折率の差が生じ、深みのある独特の色彩を表現することができる。
本発明のシリカ粒体では、表層部がアモルファス相を有することにより、表層部の透明性が高まり、表面に光沢を付与する効果も得られる。
また、内層部に石英型結晶相を有することで、多結晶体としてきわめて小さい熱膨張を示し、表層部とは異なる透明度によって色彩に深みが付与されるとともに、シリカ粒体の強度を高める効果も得られる。内層部が連通孔を有することで、ガス透過性、透湿性、吸音性等の効果を得ることもできる。
このようなシリカ粒体は、さらに表層部が着色透明性を有するものが好ましい。表層部が着色透明性を有することで、より色彩豊かな深みのあるシリカ粒体を得ることができる。
また、表層部においては、その透明性が損なわれない限り、アモルファス相のほかに、種々の結晶相が含まれていてもよい。本発明では特に、トリジマイト型結晶相が含まれていることが好ましく、このような結晶相が含まれていることにより強度を高める効果を得ることができる。
なお、表層部における透明性は、内層部の色彩が認識できる程度であればよい。
本発明における内層部は、少なくとも石英型結晶相を含有する多結晶相を含有するものである。このような内層部は、石英型結晶相の他に、クリストバライト型結晶相、トリジマイト型結晶相等を含むことが好ましい。内層部は、成長した各結晶表面での光拡散により白色を呈し、不透明となる。特に、クリストバライト型結晶相を含むことにより、不透明となりやすく、表層部の透明性とあいまって、深みのある独特の色彩を表現することができる。
シリカ粒体の平均粒子径は、特に限定されず、通常5μm〜5mm(さらには50μmm〜4.5mm、さらには500μmm〜4mm)程度が好ましい。
シリカ粒体における表層部と内層部の比率は、体積比率で1:0.5〜1:5であることが好ましい。
本発明のシリカ粒体は、以下の方法(i)、(ii)により製造することが望ましい。このようなの方法によれば、本発明のシリカ粒体を簡便に製造することができる。
<製造方法(i)>
(1)シリカ多孔体を表面張力が70dyn/cm以下の溶媒に浸漬し、該溶媒をシリカ多孔体の細孔内部に含浸させる工程、
(2)(1)の工程により得られたシリカ多孔体を、表面張力が70dyn/cm以下の溶媒100重量部に対して、アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩0.1〜30重量部、ホウ素化合物0.1〜20重量部を、溶解させた溶液に浸漬し、(1)の工程で含浸させた溶液を該水溶液に置換させる工程、
(3)(2)の工程により得られたシリカ多孔体を、600℃〜1200℃で焼成し、その後常温まで冷却する工程、を含む製造方法。
<製造方法(ii)>
(1)シリカ多孔体を、表面張力が70dyn/cm以下の溶媒100重量部に対して、アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩0.1〜30重量部、ホウ素化合物0.1〜20重量部を、溶解させた溶液に浸漬し、該溶液をシリカ多孔体の細孔内部に含浸させる工程、
(2)(1)の工程により得られたシリカ多孔体を、600℃〜1200℃で焼成し、その後常温まで冷却する工程、を含む製造方法。
まず(i)の方法について詳細に説明する。
(i)の方法では、(1)の工程として、シリカ多孔体を表面張力が70dyn/cm以下の溶媒に浸漬し、該溶媒をシリカ多孔体の細孔内部に含浸させる。
シリカ多孔体は、SiOを主成分とする多孔性物質であれば特に限定されない。具体的には、シリカゲル、廃ガラス多孔質粒、ゼオライト等を使用することができる。本発明では、このうちシリカゲルが好適である。
また、シリカ多孔体は、Siを主成分とするものであるが、本発明の効果を損なわない程度に、その他の金属元素を含んでいてもよい。例えば、金属元素としては、Fe、Ti、Zr、Cu、Al、Zn、Ca、Mg、Na、K等が挙げられる。
シリカ多孔体は、多孔質なものであり、その比表面積が100cm/g〜700cm/g(さらには400cm/g〜500cm/g)であるものが好ましい。このような範囲であることによって、シリカ多孔体の細孔内部に、溶媒、溶液が浸漬しやすく、各種成分を均一に浸漬させることができる。
比表面積が小さすぎる場合は、溶媒、溶液が浸漬しにくく、目的とするシリカ粒体が得られ難い。比表面積が大きすぎる場合は、焼成後、強度が著しく低下する可能性がある。
シリカ多孔体の平均粒子径は、特に限定されないが、通常5μm〜5mm(さらには50μmm〜4.5mm、さらには500μmm〜4mm)程度が好ましい。
本発明で用いるシリカ多孔体は、比表面積が大きく、吸水性、吸湿性に優れる物質である。このようなシリカ多孔体を、表面張力が70dyn/cmよりも大きい水等の溶媒を直接浸漬した場合、毛細管現象により破壊が起こる可能性が高い。また、乾燥ないし焼成時に、細孔内の溶媒が一気に蒸発、脱離して破壊される可能性が高い。
これに対し、本発明では、まず、シリカ多孔体の細孔内部に表面張力が70dyn/cm以下の溶媒を含浸させることによって、毛細管現象等による破壊を防ぐことができる。
表面張力が70dyn/cm以下の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ベンジルアルコール、ダイアセトンアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールエタン、グリセリン等の多価アルコール類、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジプロピルエーテル、セロソルブ、ブチルセロソルブ、イソブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールt−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類、n−ブタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ペンタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート等のエステル類等が挙げられる。また、表面張力が70dyn/cm以下であれば、これらの溶媒と水との混合溶媒を用いてもよい。
本発明では特に、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジプロピルエーテル等のエーテル類等の溶媒を用いることが好ましい。さらには、エタノールを用いることが好ましい。このような溶媒を用いた場合、(1)の含浸工程と、(2)の置換工程とを効率よく行うことができ、(1)の含浸工程ではもちろんのこと、(2)の置換工程においても、シリカ多孔体の破壊を防ぎ、かつ、簡便に、水溶液を含浸させることができる。
70dyn/cmより大きい溶媒を用いた場合、毛細管現象によりシリカ多孔体が破壊される可能性が高い。また、(1)工程を行わず、(2)の工程を行った場合も、毛細管現象によりシリカ多孔体が破壊される可能性が高い。
なお、表面張力は、温度23℃、相対湿度50%で、表面張力計(CBVP−A3型(協和界面科学株式会社製))を用いて測定した値である。
(1)の工程における浸漬時間は、通常20℃〜80℃の環境下で、0.5時間〜2時間程度であればよい。
次に(2)の工程では、(1)の工程により得られたシリカ多孔体を、水100重量部に対して、アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩0.1〜30重量部、ホウ素化合物0.1〜20重量部を、溶解させた水溶液に浸漬し、(1)の工程で含浸させた溶媒を該水溶液に置換させる。
このような水溶液をシリカ多孔体に含浸させることにより、(3)の工程で、シリカ多孔体が破損することなく、かつ、連通孔を有する内層部を簡便に製造することができる。
置換させるタイミングは、特に限定されないが、(1)の工程後、約0〜30分後(5分〜10分間)の後に行うことが望ましい。置換に要する時間は、10分〜2時間程度である。
アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩は、焼成によりシリカ多孔体の結晶化を促進させる作用がある。
アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム等のアルカリ金属、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム等のアルカリ土類金属の塩が挙げられる。
具体的には、例えば、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化セシウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウム等のハロゲン化物、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等の硝酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等の水酸化物等が挙げられる。本発明では、このうち少なくとも1種以上がリチウムを含むリチウム塩であることが好ましい。
このようなアルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩を用いることにより、ガラスの融点が低下し、焼成時に結晶成長を促進する効果が得られる。特に、リチウムを含有する水溶性塩を用いた場合は、低温での結晶成長を促進し、過度の膨張を抑制する効果を得ることもできる。
アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩の混合比率は、水100重量部に対し、0.1重量部〜30重量部(さらには0.3重量部〜10重量部)であることが好ましい。このような範囲であることにより、焼成時の膨張が抑制され、焼成時に連通孔が維持されることにより強度も向上する。0.1重量部より少ない場合は、結晶成長が起こりにくく、本発明の深みのある色彩が発現されにくい。30重量部より多い場合は、焼成時に膨張しやすくなり、強度に劣る場合がある。
ホウ素化合物は、実質的にシリカ多孔体の融点を低下させる成分である。本発明では、このホウ素化合物により、優れた強度を示すシリカ粒体を得ることができる。
ホウ素化合物としては、ホウ酸、酸化ホウ素、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸メチル等が挙げられる。
ホウ素化合物の混合比率は、水100重量部に対し0.1重量部〜20重量部(さらには1重量部〜10重量部)であることが好ましい。このような範囲であることにより、上記効果を十分に発揮することができる。0.1重量部より少ない場合は、融点を下げる効果が不十分となり、ガラス網目構造が形成され難くなる。20重量部より多い場合は、構造が緩み膨張を伴い、強度に劣る。
(2)の工程で用いる水溶液には、上記成分に加え、さらに遷移金属及び/または希土類から選ばれる1種以上の元素を含む無機塩及び/または無機錯体を含むことが好ましい。このような化合物を含むことによって、幅広い色彩を表現することが可能となる。
遷移金属及び/または希土類としては、周期表の3族から11族に属する元素であれば特に限定されないが、例えば、ジルコニウム、コバルト、銅、マンガン、バナジウム、クロム、ニッケル、鉄、モリブデンン、チタン、金、ネオジウム、エルビウム、ユーロピウム、テルビウム、サマリウム等が挙げられる。
遷移金属及び/または希土類から選ばれる1種以上の元素を含む無機塩及び/または無機錯体の混合比率は、水100重量部に対して0.1重量部〜20重量部(好ましくは1重量部〜10重量部、さらに好ましくは1重量部〜5重量部)であることが好ましい。このような範囲であることにより、優れた強度を有し、色彩に富んだシリカ粒体を得ることができる。
本発明では、遷移金属及び/または希土類として、特に、ジルコニウムを含むことが好ましい。ジルコニウムは、比較的低温においても、内層部の白色度を増加させることができる。
このようなジルコニウムを含む無機塩及び/または無機錯体としては、例えば、塩化ジルコニウム、アセチルアセトナトジルコニウム、臭化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム、ジルコニウムエトキシド、オキシ塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム等を挙げることができる。
また、遷移金属及び/または希土類から選ばれる1種以上の元素を含む無機塩及び/または無機錯体として、特に、塩化コバルト、塩化銅、塩化マンガン、塩化バナジウム等の塩化物塩、硝酸鉄、硝酸マンガン等の硝酸塩、銅アセチルアセトナト等も好ましく用いられる。これらは溶媒に溶解するものが好ましい。
さらに本発明では、水100重量部に対して、アルミニウム含有化合物0.1〜20重量部、を溶解させた溶液を用いることが好ましい。
(2)の工程において、アルミニウム含有化合物を使用することにより、シリカ多孔体中のSi4+がAl3+に置換される。
Si4+がAl3+に置換されると、ガラスの網目構造の切断が抑えられ、耐久性を向上させることができる。
このようなアルミニウム含有化合物としては、例えば、塩化アルミニウム、よう化アルミニウム、酢酸アルミニウム、アルミニウムアセチルアセトナート、臭化アルミニウム、フッ化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムエトキシド等を挙げることができる。
本発明では、特に、ジルコニウムを含む無機塩及び/または無機錯体と、アルミニウム含有化合物を併用することがより好ましい。
このような併用により、Al3+に置換された網目構造中では、ジルコニウムおよび修飾イオン等が取り込まれ易くなり、ある程度分相を抑制しながらも白色化を促進することができる。
アルミニウムとジルコニウムの混合比率は、アルミニウム含有化合物とジルコニウムを含む無機塩及び/または無機錯体の重量比で9:1〜3:7(さらには7:3〜5:5)であることが好ましい。
このような比率で混合することにより、上記効果を十分発揮することができる。このような範囲外である場合、上記効果が十分発揮されず、場合によっては、表層部が形成されにくく、表層部にクラックが生じる可能性がある。
(2)の工程においては、特に、アルミニウム含有化合物、及び/または、ジルコニウムを含む無機塩及び/または無機錯体を使用することにより、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、遷移金属イオン、希土類イオン等の修飾イオンが、ガラスの網目構造に導入されやすくなり、内層部での結晶化を促進させることができる。さらに、表層部では、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンが焼成時に揮発しやすいため、白色化しにくく、透明性を有する表層部を形成することができる。
(3)の工程では、(2)の工程で得られたシリカ多孔体を、600℃〜1200℃(好ましくは600℃〜1100℃、より好ましくは700℃〜1050℃)で焼成し、その後常温まで冷却する。
焼成方法は特に限定されないが、常温から5〜50℃/minの速度で昇温し、上記温度範囲内で15分〜2時間焼成することが好ましい。
必要であれば、焼成前に(2)の工程で得られたシリカ多孔体を乾燥させることもできる。ここでの乾燥温度は50〜200℃、乾燥時間は2〜20時間程度であればよい。
一般にシリカには、多数の結晶型が存在する。例えば不純物を含まない場合、α−石英型結晶相は常温から573℃が安定領域、β−石英型結晶相は573℃から867℃が安定領域である。一方、β−トリジマイト型結晶相は867℃から1470℃が安定領域、クリストバライト型結晶相は220℃から1470℃が準安定領域、アモルファス相は常温から1713℃までが準安定領域である。
また、石英型結晶相、トリジマイト型結晶相、クリストバライト型結晶相間の転移は、構造再編成を伴うことから、かなりの時間を要するが、α、β間の転移では、構造再編成を伴わないため、転移は瞬時に行われる。
したがって、(3)の工程で焼成を実施した場合、シリカ多孔体には、β2−トリジマイト型結晶相が生成している。この状態から、焼成を停止し、降温すると球状シリカ多孔体表面付近では、急激な温度低下によって、トリジマイト型結晶が転移せずに残る。また、一部にはアモルファスなシリカガラスが残っている。
一方、シリカ多孔体内部は、表面よりも相対的にゆっくりと温度が低下するため、トリジマイトから石英型結晶相へと転移する時間的な余裕がある。また、クリストバライト型結晶相やトリジマイト型結晶相等の準安定領域とも重なるため、一部にはこれらの結晶相も残存して、多結晶相を形成している。このような多結晶構造によって、内部は不透明になると同時に、石英型結晶による強度向上効果が得られる。
本発明で用いるアルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩は、ガラス網目構造〔SiO〕を切断する働きを担っている。また、ホウ素化合物は高温では〔BO〕三角形となり、〔SiO〕四面体のガラス網目構造を切断する。このことにより本発明では低融点でのガラスの結晶化が可能となり、成長した複数の結晶表面での光拡散により不透明化したシリカ粒体を得ることができる。
また、温度の低下とともに〔BO〕はアルカリ金属イオン及び/またはアルカリ土類金属イオンにより切断されたガラス網目構造のO2−イオンを引き付けて、〔BO〕四面体構造へと変化し、切れ目を閉じていくことで熱膨張率が低下し強度が向上する。
このような製造方法では、内層部に少なくとも石英型結晶相を含有し、さらにトリジマイト結晶相、クリストバライト結晶相を含有し、表層部に少なくともアモルファス相を有し、さらにトリジマイト結晶相、クリストバライト結晶相を含有するシリカ粒体を得ることができる。さらにこれらの結晶構造は、アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩、ホウ素化合物の含有量、焼成温度、焼成時間等の条件を制御することでコントロールすることが可能である。
次に(ii)の製造方法について説明する。
(ii)の方法では、まず(1)の工程として、シリカ多孔体を、表面張力が70dyn/cm以下の溶媒100重量部に対して、アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩0.1〜30重量部、ホウ素化合物0.1〜20重量部、必要に応じ遷移金属及び/または希土類から選ばれる1種以上の元素を含む無機塩及び/または無機錯体0.1〜20重量部及び/またはアルミニウム含有化合物0.1〜20重量部を溶解させた溶液に浸漬し、該溶液をシリカ多孔体の細孔内部に含浸させる。
このような方法では、(i)の方法における(1)の工程と(2)の工程を同時に行うことができ、工程期間を短縮することができる。
つまり、一つの工程で、シリカ多孔体が破損することなく、アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩、ホウ素化合物、さらには遷移金属及び/または希土類から選ばれる1種以上の元素を含む無機塩及び/または無機錯体等を含浸させることができる。
浸漬時間は、通常20℃〜80℃の環境下で、0.5時間〜2時間程度であればよい。
(ii)の方法の(2)の工程は、(i)の方法の(3)の工程と同様の方法で行うことができる。
なお、(ii)の方法で用いる溶媒としては、その表面張力が70dyn/cm以下のものであればよく、(i)の方法で例示したような溶媒が使用できる。表面張力が70dyn/cm以下であれば、水溶性溶媒と水との混合物を使用することもできる。
このようにして得られるシリカ粒体は、建築材料、土木材料、プラスチック材料、設備機器等の分野で使用することが可能であり、例えば塗料、舗装材、シート建材、プラスチック成形物等を構成する成分として用いることができる。また、本発明のシリカ粒体は、その独特の色彩、強度に加えて、耐火性、防火性等にも優れており、このような性能が要求される材料にも使用することができる。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
(実施例1)
シリカ多孔体(富士シリシア化学株式会社製 球状シリカゲルB形 on40、平均粒子径3mm)100gをエタノール(表面張力24dyn/cm(20℃))100重量部に15分間浸漬し、エタノールをシリカ多孔体の細孔内部へ含浸させた。
次いで、水100重量部に対し、塩化リチウム0.5重量部、塩化ナトリウム0.5重量部、ホウ酸3重量部、を溶解させた水溶液中に温度30℃で1時間浸漬し、細孔部のエタノールを該水溶液で置換した。その後、濾過してシリカ多孔体を取り出し、80℃で10時間乾燥させた。
次に、シリカ多孔体を電気炉にいれ、初期温度30℃から1000℃まで、10℃/minの割合で昇温し、1000℃に達してから、30分間焼成した。その後電気炉中で室温まで自然冷却し、シリカ粒体(平均粒子径2.8mm)を得た。
以上の方法により得られたシリカ粒体は、内層部が連通孔を有し、かつ、白色化しており、表層部に透明ガラス層を有する深みのある白色を発していた。
なお、得られたシリカ粒体をX線回折装置(RINT−1100、リガク社製)で測定したところ、内層部は石英型結晶相及びクリストバライト型結晶相、表層部はアモルファス相及びトリジマイト型結晶相を有していた。
また、シリカ粒体の強度を評価するために、得られたシリカ粒体20個を用意し、プレス機にて、0.2kN/cmの加重を加え、10秒間加圧した。その後、圧を取り除き、割れたシリカ粒体の数を求めることによって、その強度を評価した。その結果、割れたシリカ粒体は、わずか4個のみであり、初期の形状は保持されていた。
なお、シリカ多孔体(富士シリシア製 球状シリカゲルB形 on40)を同様の方法で評価したところ、20個全てのシリカ多孔体が割れており、初期の形状は保持されていなかった。
(実施例2)
実施例1と同様にエタノールをシリカ多孔体の細孔内部へ含浸させた。
次いで、水100重量部に対し、塩化リチウム0.5重量部、塩化ナトリウム0.5重量部、ホウ酸3重量部、塩化コバルト1重量部を溶解させた水溶液中に浸漬し、細孔部のエタノールを該水溶液と置換した。その後、実施例1と同様に濾過、乾燥、焼成、冷却して、シリカ粒体(平均粒子径2.8mm)を得た。
以上の方法により得られたシリカ粒体は、内層部が連通孔を有し、かつ、白色化しており、表層部に透明青色ガラス層を有する深みのある青色を発していた。
なお、得られたシリカ粒体をX線回折装置(RINT−1100、リガク社製)で測定したところ、内層部は石英型結晶相及びクリストバライト型結晶相、表層部はアモルファス相及びトリジマイト型結晶相を有していた。
また、実施例1と同様の方法でシリカ粒体の強度を評価したところ、割れたシリカ粒体は、わずか4個のみであり、初期の形状は保持されていた。
(実施例3)
シリカ多孔体(富士シリシア化学株式会社製 球状シリカゲルB形 on40、平均粒子径3mm)100gを、エタノール100重量部に対し、塩化リチウム1.0重量部、ホウ酸3重量部を溶解させた溶液に15分間浸漬し、該溶液をシリカ多孔体の細孔内部へ含浸させた。その後、濾過してシリカ多孔体を取り出し、80℃で10時間乾燥させた。
次に、実施例1と同様の方法で、シリカ多孔体を焼成し、冷却し、シリカ粒体(平均粒子径2.8mm)を得た。
以上の方法により得られたシリカ粒体は、内層部が連通孔を有し、かつ、白色化しており、表層部に透明ガラス層を有する深みのある白色を発していた。
なお、得られたシリカ粒体をX線回折装置(RINT−1100、リガク社製)で測定したところ、内層部は石英型結晶相及びクリストバライト型結晶相、表層部はアモルファス相及びトリジマイト型結晶相を有していた。
また、実施例1と同様の方法でシリカ粒体の強度を評価したところ、割れたシリカ粒体は、わずか6個のみであり、初期の形状は保持されていた。
(実施例4)
シリカ多孔体(富士シリシア化学株式会社製 球状シリカゲルB形 on40、平均粒子径3mm)100gを、エタノール100重量部に対し、塩化リチウム1.0重量部、ホウ酸5重量部、塩化コバルト1重量部を溶解させた溶液に15分間浸漬し、該溶液をシリカ多孔体の細孔内部へ含浸させた。その後、濾過してシリカ多孔体を取り出し、80℃で10時間乾燥させた。
次に、実施例1と同様の方法で、シリカ多孔体を焼成し、冷却し、シリカ粒体(平均粒子径2.8mm)を得た。
以上の方法により得られたシリカ粒体は、内層部が白色化し、表層部に透明青色ガラス層を有する深みのある青色を発していた。
以上の方法により得られたシリカ粒体は、内層部が連通孔を有し、かつ、白色化しており、表層部に透明青色ガラス層を有する深みのある青色を発していた。
なお、得られたシリカ粒体をX線回折装置(RINT−1100、リガク社製)で測定したところ、内層部は石英型結晶相及びクリストバライト型結晶相、表層部はアモルファス相及びトリジマイト型結晶相を有していた。
また、実施例1と同様の方法でシリカ粒体の強度を評価したところ、割れたシリカ粒体は、わずか2個のみであり、初期の形状は保持されていた。
(実施例5)
シリカ多孔体(富士シリシア化学株式会社製 球状シリカゲルB形 on40、平均粒子径3mm)100gを、エタノール100重量部に対し、塩化リチウム1.0重量部、ホウ酸5重量部、塩化ネオジウム3重量部を溶解させた溶液に15分間浸漬し、該溶液をシリカ多孔体の細孔内部へ含浸させた。その後、濾過してシリカ多孔体を取り出し、80℃で10時間乾燥させた。
次に、実施例1と同様の方法で、シリカ多孔体を焼成し、冷却し、シリカ粒体(平均粒子径2.8mm)を得た。
以上の方法により得られたシリカ粒体は、内層部が連通孔を有し、白色化し、かつ、白色化しており、表層部に透明藤色ガラス層を有する深みのある藤色を発していた。
なお、得られたシリカ粒体をX線回折装置(RINT−1100、リガク社製)で測定したところ、内層部は石英型結晶相及びクリストバライト型結晶相、表層部はアモルファス相及びトリジマイト型結晶相を有していた。
また、実施例1と同様の方法でシリカ粒体の強度を評価したところ、割れたシリカ粒体は、わずか2個のみであり、初期の形状は保持されていた。
(実施例6)
実施例1と同様にエタノールをシリカ多孔体の細孔内部へ含浸させた。
次いで、水100重量部に対し、塩化リチウム0.5重量部、塩化ナトリウム3重量部、塩化カルシウム3重量部、塩化アルミニウム3重量部、塩化ジルコニウム1重量部ホウ酸3重量部、を溶解させた水溶液中に温度30℃で1時間浸漬し、細孔部のエタノールを該水溶液で置換した。その後、濾過してシリカ多孔体を取り出し、80℃で10時間乾燥させた。
次に、このシリカ多孔体を電気炉にいれ、初期温度30℃から700℃まで、10℃/minの速度で700℃まで昇温し、約30分間焼成した。その後、電気炉中で室温まで自然冷却し、シリカ粒体(平均粒子径3.0mm)を得た。
以上の方法により得られたシリカ粒体は、内層部が白色化し、表層部に透明ガラス層を有する深みのある白色を発していた。
なお、得られたシリカ粒体をX線回折装置(RINT−1100、リガク社製)で測定したところ、内層部は石英型結晶相、表層部はアモルファス相を有していた。
また、実施例1と同様の方法でシリカ粒体の強度を評価したところ、割れたシリカ粒体は、わずか1個のみであり、初期の形状は保持されていた。
さらに、得られたシリカ粒体の断面をEPMA(電子プローブマイクロアナライザー、JEOL JXA−8900、日本電子株式会社製)で元素分析した結果、表層部と比較し内層部にカルシウム元素の存在率が高いことを確認した。
(実施例7)
実施例1と同様にエタノールをシリカ多孔体の細孔内部へ含浸させた。
次いで、水100重量部に対し、塩化リチウム0.5重量部、塩化ナトリウム3重量部、塩化カルシウム3重量部、塩化アルミニウム3重量部、塩化ジルコニウム1重量部ホウ酸3重量部、塩化コバルト1重量部を溶解させた水溶液中に浸漬し、細孔部のエタノールを該水溶液と置換した。その後、実施例6と同様に濾過、乾燥した。
次に、このシリカ多孔体を電気炉にいれ、初期温度30℃から800℃まで、10℃/minの速度で800℃まで昇温し、約30分間焼成した。その後、電気炉中で室温まで自然冷却し、シリカ粒体(平均粒子径3.0mm)を得た。以上の方法により得られたシリカ粒体は、内層部が白色化し、表層部に透明青色ガラス層を有する深みのある青色を発していた。
なお、得られたシリカ粒体をX線回折装置(RINT−1100、リガク社製)で測定したところ、内層部は石英型結晶相、表層部はアモルファス相及びトリジマイト型結晶相を有していた。
また、実施例1と同様の方法でシリカ粒体の強度を評価したところ、割れたシリカ粒体は、わずか1個のみであり、初期の形状は保持されていた。
さらに、得られたシリカ粒体の断面をEPMA(電子プローブマイクロアナライザー、JEOL JXA−8900、日本電子株式会社製)で元素分析した結果、表層部と比較し内層部にカルシウム元素の存在率が高いことを確認した。
(実施例8)
実施例1と同様にエタノールをシリカ多孔体の細孔内部へ含浸させた。
次いで、水100重量部に対し、塩化リチウム0.5重量部、塩化ナトリウム3重量部、塩化カルシウム3重量部、塩化アルミニウム3重量部、塩化ジルコニウム1重量部ホウ酸3重量部、塩化コバルト1重量部を溶解させた水溶液中に温度30℃で1時間浸漬し、細孔部のエタノールを該水溶液で置換した。その後、濾過してシリカ多孔体を取り出し、80℃で10時間乾燥させた。
次に、シリカ多孔体を電気炉にいれ、初期温度30℃から700℃まで、10℃/minの割合で昇温し、700℃に達してから、30分間焼成した。その後電気炉中で室温まで自然冷却し、シリカ粒体(平均粒子径3.0mm)を得た。
以上の方法により得られたシリカ粒体は、内層部が白色化し、表層部に透明青色ガラス層を有する深みのある青色を発していた。
なお、得られたシリカ粒体をX線回折装置(RINT−1100、リガク社製)で測定したところ、内層部は石英型結晶相、表層部はアモルファス相を有していた。
また、実施例1と同様の方法でシリカ粒体の強度を評価したところ、割れたシリカ粒体は、わずか1個のみであり、初期の形状は保持されていた。
さらに、得られたシリカ粒体の断面をEPMA(電子プローブマイクロアナライザー、JEOL JXA−8900、日本電子株式会社製)で元素分析した結果、表層部と比較し内層部にカルシウム元素の存在率が高いことを確認した。
(実施例9)
実施例1と同様にエタノールをシリカ多孔体の細孔内部へ含浸させた。
次いで、水100重量部に対し、塩化リチウム0.4重量部、塩化ナトリウム5重量部、塩化カルシウム2重量部、塩化アルミニウム5重量部、オキシ塩化ジルコニウム2重量部、塩化マンガン0.5重量部、塩化ニッケル0.5重量部を溶解させた水溶液中に温度30℃で30分浸漬し、細孔部のエタノールを該水溶液で置換した。その後、濾過してシリカ多孔体を取り出し、80℃で10時間乾燥させた。
次に、このシリカ多孔体を電気炉にいれ、初期温度30℃から700℃まで、10℃/minの速度で700℃まで昇温し、約30分間焼成した。その後、電気炉中で室温まで自然冷却し、シリカ粒体(平均粒子径3.0mm)を得た。
以上の方法により得られたシリカ粒体は、内層部が白色化し、表層部に透明茶色ガラス層を有する深みのある紫色を発していた。
なお、得られたシリカ粒体をX線回折装置(RINT−1100、リガク社製)で測定したところ、内層部は石英型結晶相、表層部はアモルファス相を有していた。
また、実施例1と同様の方法でシリカ粒体の強度を評価したところ、割れたシリカ粒体は、わずか1個のみであり、初期の形状は保持されていた。
さらに、得られたシリカ粒体の断面をEPMA(電子プローブマイクロアナライザー、JEOL JXA−8900、日本電子株式会社製)で元素分析した結果、表層部と比較し内層部にカルシウム元素の存在率が高いことを確認した。
(実施例10)
実施例1と同様にエタノールをシリカ多孔体の細孔内部へ含浸させた。
次いで、水100重量部に対し、塩化リチウム0.5重量部、塩化ナトリウム3重量部、塩化カルシウム3重量部、塩化アルミニウム3重量部、ホウ酸3重量部を溶解させた水溶液中に温度30℃で1時間浸漬し、細孔部のエタノールを該水溶液で置換した。その後、濾過してシリカ多孔体を取り出し、80℃で10時間乾燥させた。
次に、このシリカ多孔体を電気炉にいれ、初期温度30℃から700℃まで、10℃/minの速度で700℃まで昇温し、その温度で約30分間焼成した。その後、電気炉中で室温付近まで自然冷却し、シリカ粒体(平均粒子径3.0mm)を得た。
以上の方法により得られたシリカ粒体は、内層部が白色化し、表層部に透明ガラス層を有する深みのある白色を発していた。
なお、得られたシリカ粒体をX線回折装置(RINT−1100、リガク社製)で測定したところ、内層部は石英型結晶相、表層部はアモルファス相を有していた。
また、実施例1と同様の方法でシリカ粒体の強度を評価したところ、割れたシリカ粒体は、わずか1個のみであり、初期の形状は保持されていた。
さらに、得られたシリカ粒体の断面をEPMA(電子プローブマイクロアナライザー、JEOL JXA−8900、日本電子株式会社製)で元素分析した結果、表層部と比較し内層部にカルシウム元素の存在率が高いことを確認した。
(実施例11)
実施例1と同様にエタノールをシリカ多孔体の細孔内部へ含浸させた。
次いで、水100重量部に対し、塩化リチウム0.5重量部、塩化ナトリウム3重量部、塩化カルシウム3重量部、塩化ジルコニウム1重量部、ホウ酸3重量部を溶解させた水溶液中に温度30℃で1時間浸漬し、細孔部のエタノールを該水溶液で置換した。その後、濾過してシリカ多孔体を取り出し、80℃で10時間乾燥させた。
次に、このシリカ多孔体を電気炉にいれ、初期温度30℃から700℃まで、10℃/minの速度で700℃まで昇温し、その温度で約30分間焼成した。その後、電気炉中で室温付近まで自然冷却し、シリカ粒体(平均粒子径3.0mm)を得た。
以上の方法により得られたシリカ粒体は、内層部が白色化し、表層部に透明ガラス層を有する深みのある白色を発していた。
なお、得られたシリカ粒体をX線回折装置(RINT−1100、リガク社製)で測定したところ、内層部は石英型結晶相、表層部はアモルファス相を有していた。
また、実施例1と同様の方法でシリカ粒体の強度を評価したところ、割れたシリカ粒体は、わずか1個のみであり、初期の形状は保持されていた。
さらに、得られたシリカ粒体の断面をEPMA(電子プローブマイクロアナライザー、JEOL JXA−8900、日本電子株式会社製)で元素分析した結果、表層部と比較し内層部にカルシウム元素の存在率が高いことを確認した。

Claims (11)

  1. 少なくともアモルファス相を有し、かつ透明性を有する表層部、及び
    少なくとも石英型結晶相を含む多結晶相を有し、かつ連通孔を有する内層部、
    からなることを特徴とするシリカ粒体。
  2. 少なくともアモルファス相及びトリジマイト型結晶相を有し、かつ透明性を有する表層部、及び
    少なくとも石英型結晶相を含む多結晶相を有し、かつ連通孔を有する内層部、
    からなることを特徴とするシリカ粒体。
  3. 表層部が着色透明性を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリカ粒体。
  4. (1)シリカ多孔体を表面張力が70dyn/cm以下の溶媒に浸漬し、該溶媒をシリカ多孔体の細孔内部に含浸させる工程、
    (2)(1)の工程により得られたシリカ多孔体を、水100重量部に対して、アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩0.1〜30重量部、ホウ素化合物0.1〜20重量部、を溶解させた水溶液に浸漬し、(1)の工程で含浸させた溶媒を該水溶液に置換させる工程、
    (3)(2)の工程により得られたシリカ多孔体を、600℃〜1200℃で焼成し、その後常温まで冷却する工程、
    を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリカ粒体の製造方法。
  5. (1)シリカ多孔体を表面張力が70dyn/cm以下の溶媒に浸漬し、該溶媒をシリカ多孔体の細孔内部に含浸させる工程、
    (2)(1)の工程により得られたシリカ多孔体を、水100重量部に対して、アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩0.1〜30重量部、ホウ素化合物0.1〜20重量部、遷移金属及び/または希土類から選ばれる1種以上の元素を含む無機塩及び/または無機錯体0.1〜20重量部、を含有する水溶液に浸漬し、(1)の工程で含浸させた溶媒を該水溶液に置換させる工程、
    (3)(2)の工程により得られたシリカ多孔体を、600℃〜1200℃で焼成し、その後常温まで冷却する工程、
    を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシリカ粒体の製造方法。
  6. (2)の工程において、水100重量部に対して、さらに、アルミニウム含有化合物0.1〜20重量部、を溶解させた水溶液を用いることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のシリカ粒体の製造方法。
  7. (1)シリカ多孔体を、表面張力が70dyn/cm以下の溶媒100重量部に対して、アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩0.1〜30重量部、ホウ素化合物0.1〜20重量部を溶解させた溶液に浸漬し、該溶液をシリカ多孔体の細孔内部に含浸させる工程、
    (2)(1)の工程により得られたシリカ多孔体を、600℃〜1200℃で焼成し、その後常温まで冷却する工程、
    を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリカ粒体の製造方法。
  8. (1)シリカ多孔体を、表面張力が70dyn/cm以下の溶媒100重量部に対して、アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩0.1〜30重量部、ホウ素化合物0.1〜20重量部、遷移金属及び/または希土類から選ばれる1種以上の元素を含む無機塩及び/または無機錯体0.1〜20重量部、を溶解させた溶液に浸漬し、該溶液をシリカ多孔体の細孔内部に含浸させる工程、
    (2)(1)の工程により得られたシリカ多孔体を、600℃〜1200℃で焼成し、その後常温まで冷却する工程、
    を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシリカ粒体の製造方法。
  9. (1)の工程において、表面張力が70dyn/cm以下の溶媒100重量部に対して、さらに、アルミニウム含有化合物0.1〜20重量部、を溶解させた溶液を用いることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のシリカ粒体の製造方法。
  10. 遷移金属及び/または希土類として、少なくともジルコニウムを含むことを特徴とする請求項5、6、8、9のいずれかに記載のシリカ粒体の製造方法。
  11. アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩のうち、少なくとも1種がリチウムを含むリチウム塩であることを特徴とする請求項4から請求項10のいずれかに記載のシリカ粒体の製造方法。






















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