JP2005089202A - 着色ガラス質発泡材及びその製造方法 - Google Patents

着色ガラス質発泡材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安定した発泡構造を形成し、かつ自在に着色可能な新規なガラス質発泡材及びその製造方法を提供するものである。
【解決手段】ソーダライムガラスからなるガラス粉末、発泡剤及び無機顔料を混合した混合粉末を焼成して得られるガラス質発泡材であって、ガラス粉末95.0〜99.7重量%と、発泡剤0.2〜2.0重量%と、無機顔料0.1〜3.0重量%とを混合した混合粉末を焼成し、当該ガラス質発泡材のかさ密度が0.15〜0.5g/cm、吸水率が5〜205%であり、発泡剤としては、炭酸カルシウムまたは炭酸マグネシウムのいずれか一方あるいは両方を使用する。
【選択図】図2

Description

この発明は、ガラス質発泡材に関し、特に、発泡性が安定し、かつ所望の色に着色された着色ガラス質発泡材に関する。
従来、ガラス粉末を主成分とするガラス質の発泡材は、軟弱地盤改良材、水捌け材、断熱材、防音材等の土木、建築用資材として一般的に用いられている。このガラス質の発泡材は、主として廃ガラス瓶、板ガラス屑等を粉砕したガラス粉末に炭化珪素等の発泡剤を添加し混合した混合粉末を焼成することによって得られる。すなわち、焼成工程において当該発泡剤が発泡することにより気泡が形成された多孔性材料である(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、従来のガラス質発泡材は、もっぱらその軽さ、強度等が重視され、発泡の安定性、きめ細やかさについては、軽視されがちであった。そのため、内部の気泡径にばらつきがある発泡材も多く、このような発泡材は、焼成体の寸法のばらつきが大きく、かつ加工効率に乏しく所望の形状への切削が必ずしも容易とは言えず、チッピング等も発生し易いという問題があった。また、当該発泡材の製造段階においても、焼成炉内での発泡材料の発泡状態が不安定であるために焼成炉内での詰まり等の問題が生じ、発泡材の生産性が低下するおそれがあった。
さらに、従来のガラス質発泡材にあっては、発泡材としての機能が重視され、外観の美しさは配慮されないものが多かった。そのため、特別な色のガラス材料、例えば、緑色のガラスだけを使用し、それを粉砕してガラス粉末とし、発泡材の原料として用いることにより緑色の発泡材を製造すること等は行われてきたものの(例えば特許文献2参照)、青、赤、黄色等、種々の鮮やかな色彩を有した見た目にも美しい発泡材は見られなかった。
特開平11−236232号公報 特開2001−207564号公報
本発明者らは、鋭意研究の結果、発泡材の原料として多種類の色の発色が可能な無機顔料を添加し、かつその添加量を制御することにより、多種類の鮮やかな色彩を有するのみならず発泡状態も安定な着色ガラス質発泡材を製造するに至った。
この発明は、前記の点に鑑みなされたもので、安定した発泡構造を形成し、かつ自在に着色可能な新規なガラス質発泡材及びその製造方法を提供するものである。
すなわち、請求項1の発明は、ガラス粉末、発泡剤及び無機顔料を混合した混合粉末を焼成して得られるガラス質発泡材であって、ガラス粉末95.0〜99.7重量%と、発泡剤0.2〜2.0重量%と、無機顔料0.1〜3.0重量%とを混合した混合粉末を焼成し、当該ガラス質発泡材のかさ密度が0.15〜0.5g/cm、吸水率が5〜205%であることを特徴とする着色ガラス質発泡材に係る。
請求項2の発明は、前記ガラス粉末が、ソーダライムガラスである請求項1に記載の着色ガラス質発泡材に係る。
請求項3の発明は、前記発泡剤が、炭酸カルシウムまたは炭酸マグネシウムのいずれか一方あるいは両方である請求項1又は2に記載の着色ガラス質発泡材に係る。
請求項4の発明は、前記無機顔料において、青色の発色にあたりCoAlを用い、黄色の発色にあたり(Zr,Pr)SiO、又はTi,Cr,Sbからなる酸化物、あるいはTi,Sb,Niからなる酸化物を用い、赤色の発色にあたりZrSiO及びCdSを用いた請求項1ないし3のいずれか1項に記載の着色ガラス質発泡材に係る。
請求項5の発明は、ガラス粉末、発泡剤及び無機顔料を混合した混合粉末を焼成して得られるガラス質発泡材の製造方法であって、目開き250μmの篩において99重量%以上通過し、かつ平均粒径を55μm以下に粉砕したガラス粉末95.0〜99.7重量%と、平均粒径5.0μm以下の発泡剤0.2〜2.0重量%と、無機顔料0.1〜3.0重量%とを均質混合し混合粉末とする工程と、前記混合粉末を720〜850℃で10〜60分間焼成する工程とを有することを特徴とする着色ガラス質発泡材の製造方法に係る。
請求項1の発明に係る着色ガラス質発泡材によれば、ガラス粉末、発泡剤及び無機顔料を混合してなる混合粉末における発泡剤及び無機顔料の配合割合を調製し、当該混合粉末を焼成したものであるから、焼成時に発生する独立気泡の大きさがほぼ均一となり、安定した発泡構造が形成され、自在な発色を実現できる。すなわち、この着色ガラス質発泡材は、加工性に優れ、研削によるチッピングの発生が少なく、その上、豊富な色彩を有し美観性に優れている。また、この発明の着色ガラス質発泡材のかさ密度は0.15〜0.5g/cmと軽量で作業性が良好であるだけでなく、吸水率が5〜205%と従来品と比較して吸水率を広範囲に調整することができるため、目的、用途等に合わせた様々な使用形態が可能である。
請求項2の発明に係る着色ガラス質発泡材によれば、ガラス粉末としてソーダライムガラスを使用することにより、当該ソーダライムガラスよりなる板ガラス、瓶ガラス等の廃材を有効に再利用することができ、資源の有効利用に大きく貢献することができる。
請求項3の発明に係る着色ガラス質発泡材によれば、前記発泡剤として炭酸カルシウムまたは炭酸マグネシウムを使用することにより、安定した発泡を行うことができる。さらに、いずれも白色であるため、発泡材の変色を抑制することができる。特に、炭酸カルシウムは発泡性に優れており、十分に発泡し、かつ当該発泡の安定した発泡材を得ることができる。
請求項4の発明に係る着色ガラス質発泡材によれば、無機顔料として、青色の発色にあたりCoAlを用い、黄色の発色にあたり(Zr,Pr)SiO、又はTi,Cr,Sbからなる酸化物、あるいはTi,Sb,Niからなる酸化物を用い、赤色の発色にあたりZrSiO及びCdSを用いることにより、所望の着色を得ることができ、これにより、優れた美観性を実現することができた。
請求項5の発明として規定するように、この発明の着色ガラス質発泡材の製造方法にあっては、ガラス粉末、発泡剤及び無機含量の配合割合を調整しガラス粉末及び発泡剤の粒径を調製したものであり、かつ焼成段階において焼成温度及び焼成時間を調整したものであるので、発泡不足あるいは発泡過多となることなく、好適な発泡状態を形成することができる。
以下添付の図面に従ってこの発明を詳細に説明する。
図1は本発明の着色ガラス質発泡材の概略工程図である。
本発明の請求項1に規定する着色ガラス質発泡材は、ガラス粉末と、発泡剤と、無機顔料とを混合した混合粉末を焼成して得られたものである。前記着色ガラス質発泡材は、後述する実施例の図2の写真からも明らかなように、独立気泡がほぼ均一に分散した多孔性材料であり、安定した発泡構造を形成しているため、加工性に優れ、所望の形状に切削し易い。また、本発明の着色ガラス質発泡材は、自在に着色され美観を有するものである。各原料の配合割合は、前記ガラス粉末が95.0〜99.7重量%、発泡剤が0.2〜2.0重量%、無機顔料が0.1〜3.0重量%である。後述の実施例から理解されるように、発泡剤、無機顔料が前記範囲を超える場合には、良好な発泡を得難くなる懸念がある。また、発泡剤、無機顔料が前記範囲よりも少ない場合には、発泡不足となるおそれがある。したがって、本発明者らの検証によりガラス粉末、発泡剤及び無機顔料の配合割合は前記範囲が最も好適であると類推される。
前記着色ガラス質発泡材のかさ密度は0.15〜0.5g/cm、好ましくは0.2〜0.4g/cmである。かさ密度が0.15g/cmより小さい場合には、発泡材の機械的強度が低下し、使用する上での必要な強度が得られ難い。一方、かさ密度が0.5g/cmより大きい場合には、全体がガラス化し、固くなり過ぎ加工性の低下が問題となる。発泡材がガラス化すると、汎用の工具で加工できなくなり、ダイヤモンドツールが必要となる。
前記着色ガラス質発泡材の吸水率は5〜205%である。本発明の着色ガラス質発泡材は、従来品に比べて吸水率が広範囲であるため、用途、目的等に合わせて吸水率の異なるもの適宜選択して使用することができ、多種多様な分野における使用が可能である。
前記ガラス粉末は、請求項2の発明として規定したようにソーダライムガラスが使用される。前記ソーダライムガラスは、SiO、NaO、CaOを主成分とするガラス材料で、板ガラス、瓶ガラス等の構成材料として一般に用いられている。したがって、廃棄された板ガラス、瓶ガラス等を粉砕して本発明の着色ガラス質発泡材に再利用すれば、廃棄物を減らすことができ、環境的、経済的にも好ましい。
前記発泡剤は、請求項3の発明として規定したように、炭酸カルシウムまたは炭酸マグネシウムのいずれか一方あるいは両方である。炭酸カルシウムあるいは炭酸マグネシウムはいずれも白色であるため、これらを使用すると、着色ガラス質発泡材を発泡剤の影響によって変色させることがないため好ましい。特に、炭酸カルシウムの分解温度は700℃以上であり、ソーダライムガラスの軟化点(710〜730℃)と近似しているため、ソーダライムガラスの融解とともに良好に炭酸ガスが発泡すると考えられる。前記炭酸カルシウムとしては、粒径が比較的小さく、また、純度の安定した炭酸カルシウムが望ましい。
前記無機顔料は、請求項4の発明として規定したように、青色を発色する顔料としてはCoAlスピネルを用い、黄色を発色する顔料としては(Zr,Pr)SiO、又はTi,Cr,Sbからなる酸化物、あるいはTi,Sb,Niからなる酸化物を用いる。前記酸化物としては、例えば、Ti,Cr,Sbからなる酸化物においては、Ti,Cr,Sbのそれぞれの酸化物、シリカ、アルミナ等の酸化物が考えられ、Ti,Sb,Niからなる酸化物においても同様に、Ti,Sb,Niのそれぞれの酸化物、シリカ、アルミナ等の酸化物が考えられる。赤色を発色する顔料としては、Cdが含有されているZrSiOを用いる。なお、Cdは、硫化物(CdS)として、赤色を発色する顔料の総重量中において5〜10重量%程度含有される。これらの無機顔料は、前記した各色のうち1色を発色する顔料のみとしてもよく、各色を発色する顔料を混合してもよい。例えば、青色を発色する顔料と赤色を発色する顔料とを混合すると、得られる着色ガラス質発泡材に紫色の着色が見られるように、異なる色を発色する顔料の混合により、着色ガラス質発泡材に多種類の色を着色させることができる。
請求項5の発明として規定される着色ガラス質発泡材の製造方法は、上述の着色ガラス質発泡材の製法に係るものである。すなわち、前記のガラス粉末、発泡剤及び無機顔料の混合、焼成等の調製について、以下に詳述する。
前記ガラス粉末は、ジョークラッシャー、レイモンドミル等の公知の粉砕機を用いて乾式粉砕される。粉砕後、目開き250μmの篩により99重量%以上通過し、かつ前記通過したガラス粉末の平均粒径を55μm以下とするように分級したものである。後述の実施例から明らかなように、上記の範囲を満たすことが良好な発泡を促す上で必須である。
前記発泡剤は、平均粒径5.0μm以下の粒状体であることが望ましい。発泡剤の平均粒径が5.0μmを上回ると、熱伝導等の要因により、分解温度にばらつきが生じる。また、炭酸ガスの発生も多くかつ不均一となり、良好な発泡が形成され難くなる。これらの点を考慮すると、すでに請求項3において、詳述したように、炭酸カルシウムまたは炭酸マグネシウムのいずれか一方あるいは両方である。炭酸カルシウムは、適宜、粒径調節を行うことにより熱分解温度の制御が可能である。そのため、ソーダライムガラス以外のガラス原料、例えば、鉛ガラス、硼珪酸ガラス等の原料を使用する場合、前記のガラス原料の軟化点、温度に対応させた粒径を選択することにより、良好な発泡を得ることができる。
上述の粒径に調製されたガラス粉末、発泡剤及び無機顔料は適宜の混合装置にて十分に均質混合され、図1(a)に示すような混合粉末10aとなる。なお、前記混合粉末10aには、混合時の各粉末毎の分散性を高めるため、ヒュームシリカを0.1〜0.5重量%程度添加してもよい。前記混合粉末10aは図示のとおり、ステンレス製のバット等の型15に充填され、焼成炉により焼成される。前記型15内の底面及び側面には予め離型シート20が敷設されあるいは離型剤が塗布され、焼成後に当該型15から発泡材10を分離し易くなっている。離型シート20としては、例えば、セラミックシートが使用される。離型剤としては、例えば、アルミナ粉末を適宜の樹脂よりなるバインダーと混合したものが使用される。前記型15に充填された混合粉末10aは、公知の電気炉、ガス炉あるいはトンネルキルン等の焼成炉を用い、720〜850℃の温度で10〜60分間焼成される。
こうして、混合粉末10a中における発泡剤が発泡することにより、図1の(b)に示すように、型15の上端まで体積が増加し、発泡材10が形成される。当該温度が720℃より低い場合には、発泡が不十分となり好ましくない。一方、850℃よりも高い場合には、発泡過多となり、得られる発泡材がガラス化し、加工し難くなる。なお、焼成温度は、混合粉末の重量、型の形状、焼成炉の構造により、適宜、前記範囲内で調製される。
前記混合粉末10aの焼成時における発泡材10の成形状態を説明する。焼成温度が約720℃以上となると、前記型15内のガラス粉末が融着し始める。このとき、ガラス粉末とともに混合された発泡剤、例えば炭酸カルシウムの場合には、当該炭酸カルシウムが分解して炭酸ガスを発生し、融着したガラス中に気泡(独立気泡)が形成される。前記したように、混合粉末10aに対する発泡剤及び無機顔料の配合割合を調製することにより、この独立気泡がほぼ均一な大きさとなり、安定した発泡状態が形成される。また、このように発泡状態が安定していることにより、発泡材の寸法及び品質を安定なものとし、生産性を向上させることもできる。
焼成が完了した後、発泡材10は、型15から取り出される。当該発泡材10は、略直方体、略立方体等の所望の形状に切断加工され、本発明の着色ガラス質発泡材が得られる。
本発明の着色ガラス質発泡材は、例えば、断熱材、防音材、舗道面等に配設されるブロック材等の他、建物の壁面に設置されたり、例えば、学校教育用等の工作用クラフト材料や、植木鉢、プランター、花壇用ブロック等のガーデニング材料等、様々な用途、目的に使用することができる。
本発明の実施例1,2,4,5及び比較例1,2,4について、色調、発泡ばらつき、かさ密度(g/cm)を調べた。結果を表1〜表6に示す。なお、測定方法を以下に示す。
発泡ばらつきは、バットから取り出された発泡材を立方体(10cm×10cm)に切り出し、3名の判定員により外観評価を行った。発泡のばらつきの程度を1〜10の10段階で評価し、10を最も良好で均一性のある発泡とした。9、8と数値を小さくするほど発泡にばらつきがあるものとし、1を最も発泡のばらつきがあるものとした。3名の外観評価の平均値を求め、その平均値が10〜8の場合は◎、7〜6の場合は○、5〜4の場合は△、3〜1の場合は×として評価した。
かさ密度(g/cm)は、バットから取り出された発泡材を立方体に切り出し、重量及び体積を測定し、算出した。
(実施例1)
板ガラスカレットをジョークラッシャーで粗粉砕した後、レイモンドミルで微粉砕したガラス粉末に対し、発泡剤として平均粒径2.2μmの炭酸カルシウム(日東粉化工業株式会社製「沈降炭カル」)を添加し、さらに無機顔料を添加し、均質に混合した。ガラス粉末は、目開き165μmの篩を99重量%通過し、平均粒径が37.1μm、最小粒径が1.0μmであるものを使用した。無機顔料として以下の表1において、1−1及び1−2はCoAl(CAS No.1345−16−0)、1−3及び1−4は(Zr,Pr)SiO(CAS No.68187−15−5)、1−5及び1−6はZrSiO(CAS No.102184−95−2)及びCdSを使用した。
ガラス粉末、発泡剤、及び無機顔料の配合割合は、表1に示すとおりに調製した。以下、表中Wt%は重量%を表す。均質に混合した混合粉末を、予め、厚さ1mmのセラミックシート(イソライト工業株式会社製「PAPER−T」)が敷設されたステンレス製のバット(149cm×210cm×75cm)の底から約1/3の深さまで充填し、電気炉内で毎分5℃ずつ温度上昇させた。そして、800℃の温度で15分間維持して焼成した後、室温まで毎分2.5℃ずつ徐々に冷却し、バットを電気炉から取り出して表層を切断し略立方体状の試料1−1ないし1−6の着色ガラス質発泡材を得た。
(比較例1)
発泡剤として炭酸カルシウムの代わりに炭化珪素を使用し、混合粉末の総重量中における当該発泡剤の配合割合を実施例1よりも増加させて着色ガラス質発泡材を製造した。実施例1と同様のガラス粉末を94.8重量%、発泡剤として平均粒径0.8μmの炭化珪素を5.0重量%使用し、実施例1と同様の処理を行い着色ガラス質発泡材を得た。なお、炭化珪素は、炭酸カルシウムと比較して分解温度が高く、ガスを発生させるには、粒径を小さくし、配合量を多くする必要があるため上記の粒径及び配合量とした。
試料1−1ないし1−6及び比較例1の着色ガラス質発泡材について、色調、発泡ばらつき、かさ密度(g/cm)の結果は表1のとおりである。表1において、発泡剤1は炭酸カルシウム(沈降炭カル)、発泡剤2は炭化珪素である。
表1から明らかなように、発泡剤として炭酸カルシウムを使用した試料1−1ないし1−6は、炭化珪素を使用した比較例1と比較して色調が豊かであることが分かる。また、発泡剤の配合割合が0.8重量%である試料1−1ないし1−6は発泡が安定しているのに対し、発泡剤の配合割合が過多(2.0重量%より大きい)である比較例1は発泡に大きなばらつきが見られることも分かる。さらに、試料1−1ないし1−6において、無機顔料の添加量の少ないものがより発泡が安定しているといえる。
続いて、前出の試料1−1及び比較例1の着色ガラス質発泡材を木工用のこぎりで切断し、切断面の外観を比較した。図2が試料1−1の切断面であり、図3が比較例1の切断面である。
図2及び図3に示すように、試料1−1の着色ガラス質発泡材は比較例1の着色ガラス質発泡材と比較して、独立気泡が小さくほぼ均一の大きさであり、発泡状態が安定していることが分かる。
(実施例2)
実施例2は、発泡剤の配合量を変化させたものである。実施例1と同様のガラス粉末、発泡剤及び無機顔料を使用し、各原料を表2に示す配合割合で配合して均質に混合した。均質に混合した混合粉末を実施例1と同様にバットに充填し、電気炉内で毎分5℃ずつ温度上昇させ、760℃の温度で30分間焼成した後、室温まで毎分2.5℃ずつ徐々に冷却し、バットを電気炉から取り出して表層を切断し略立方体状の試料2−1ないし2−6の着色ガラス質発泡材を得た。
(比較例2)
平均粒径の大きい発泡剤を使用して着色ガラス質発泡材を製造した。発泡剤として平均粒径8.0μmの炭酸カルシウム(備北粉化工業株式会社製「BF300」)を混合粉末の総重量に対して1.0重量%となるように添加した以外は実施例2と同様の処理を行い比較例2の着色ガラス質発泡材を得た。
試料2−1ないし2−6及び比較例2の着色ガラス質発泡材について、色調、発泡ばらつき、かさ密度(g/cm)の結果は表2のとおりである。表2中の発泡剤1は炭酸カルシウム(沈降炭カル)、発泡剤2は炭酸カルシウム(BF300)である。
表2に示すように、実施例1と比して発泡剤の配合量が増加すると発泡状態にばらつきが見られることが分かる。また、試料2−1ないし2−6の着色ガラス質発泡材は平均粒径が過大(8.0μm)である比較例2と比して発泡が安定していることも分かる。
(実施例3)
実施例3は、前記試料1−1ないし1−6を作成するに当たり、焼成条件を850℃の温度で15分間とした以外は同様の処理を行い着色ガラス質発泡材を試作した。
結果、実施例3の着色ガラス質発泡材にあっては、いずれの独立気泡もガラス化により極端に硬化し、木工用のブレードにおける切断が不可能であった。したがって、850℃より高い温度は発泡材の焼成温度として不適切であるといえる。
(実施例4)
瓶ガラスを前述の実施例1と同様に粉砕したガラス粉末に対し、発泡剤として平均粒径2.2μmの炭酸カルシウム(日東粉化工業株式会社製「沈降炭カル」)を添加し、さらに無機顔料を添加し、均質に混合した。ただし、ガラス粉末は、目開き204μmの篩を99重量%通過し、平均粒径が48μm、最小粒径が1.0μmであるものを使用した。無機顔料としては以下に示す表3の試料4−1はZrSiO(CAS No.102184−95−2)及びCdSを、4−2は(Zr,Pr)SiO(CAS No.68187−15−5)を使用した。ガラス粉末、発泡剤、及び無機顔料の配合割合は、表3に示すとおりに調製した。均質に混合した混合粉末に対し実施例1と同様の条件により処理を行い試料4−1及び4−2の着色ガラス質発泡材を得た。
(比較例4)
無機顔料の成分を変更した場合において、得られる発泡材の発泡状態に影響が生じるか否かを調べた。無機顔料として比較例4−1はFe、4−2はTi,Sbからなる酸化物を使用した以外は実施例4と同様の処理を行い比較例4−1及び4−2の着色ガラス質発泡材を得た。
試料4−1及び4−2並びに比較例4−1及び4−2の着色ガラス質発泡材について、色調、発泡ばらつき、かさ密度(g/cm)の結果は表3のとおりである。なお、表3中の発泡剤1は炭酸カルシウム(沈降炭カル)である。
表3に示すように、実施例の着色ガラス質発泡材は発泡状態が安定しているのに対し、比較例の着色ガラス質発泡材は着色はされているものの発泡状態にばらつきが見られることが分かった。
次に、本発明の着色ガラス質発泡材を使用し、切削加工の容易性について検証した。前出の試料4−1及び4−2並びに比較例4−1及び4−2の着色ガラス質発泡材を木工用のこぎりで切断し、チッピング、細工の程度を比較した。また、ドリル加工により切削性及びチッピングの発生を調べた。
図4に示すように、前出の試料4−1、市販発泡ガラス(三光株式会社製「エアーストーン」)、天然ガラス材(石川ライト)、前記市販発泡ガラスと貝殻の複合材、発泡コンクリートに対し(以上、各種の材料を図4中のSで示す)、先端ビットの砥石としてGC(グリーンカーボンランダム)(インダストリーコーワ社製中目80番)を使用したミニルーター30(フレンドリミテッド社製「RELIEF30000」)によって切削した。ミニルーター30の回転数は、5000rpm/5sec(表4中の切削条件1)及び12000rpm/5sec(表4中の切削条件2)とし、加圧は300gの自重(ミニルーター先端に対して7g/mm程度の加圧力)とした。試料4−1及び他の材料に対するドリル加工による切削距離及び切削速度を表4に示す。
試料4−1及び4−2の着色ガラス質発泡材は、発生したチッピングの大きさは1mm以下であり、微細な細工もでき、所定の形状に加工できた。一方、比較例4−1及び4−2の着色ガラス質発泡材は、発生したチッピングの大きさは数mmと実施例よりも大きく、微細な細工ができなかった。切削性に関しては、試料4−1は表4に示すように切削性が良好で、チッピングの発生も少なかった。市販発泡ガラスは表4から理解されるように切削性はよいものの、数mmの大きさのチッピングが発生した。この市販発泡ガラスのチッピングの発生は、当該市販発泡ガラスの発泡状態のばらつきが大きいために起こると考えられる。他の材料は、試料4−1と比較して切削速度が遅く、加工が困難であることが分かる。
(実施例5)
焼成条件と着色ガラス質発泡材の吸水率との関係、及び発泡剤の配合割合と着色ガラス質発泡材の吸水率との関係を調べた。ガラス粉末、平均粒径2.2μmの炭酸カルシウム(日東粉化工業株式会社製「沈降炭カル」)、無機顔料を均質混合し、焼成条件を、以下の表5に示すように、試料5−1、5−2及び5−3は740℃で30分間、5−4、5−5及び5−6は760℃で30分間、表6に示す5−7、5−8及び5−9は800℃で30分間とした。他の条件は、実施例1と同様として処理を行い試料5−1ないし5−9の着色ガラス質発泡材を得た。ガラス粉末は、実施例1と同様の粉砕を行い、目開き165μmの篩を99重量%通過し、平均粒径が37.1μm、最小粒径が1.0μmであるものを使用した。無機顔料としては試料5−1ないし5−3は(Zr,Pr)SiO(CAS No.68187−15−5)、5−4ないし5−9はCoAl(CAS No.1345−16−0)を使用した。
得られた試料5−1ないし5−9の着色ガラス質発泡材について、吸水率を求めた。吸水率の測定方法は以下のとおりである。まず、着色ガラス質発泡材の乾燥状態での重量W0を測定した。次に、各着色ガラス質発泡材を水中に5分間浸し、取り出した後、当該発泡材の表面を湿った布で拭いて表面の水分を除去し、重量W1を測定した。なお、いずれも水に浮くため、水中に浸す際には金網により押さえ、完全に水中に沈めた。測定したW0及びW1を吸水率(%)=(W1−W0)/W0×100に代入し、着色ガラス質発泡材の吸水率(%)を算出した。
試料5−1ないし5−9の着色ガラス質発泡材について、前記した方法により求めた吸水率の他に、色調、かさ密度(g/cm)も調べ、これらの結果を表5及び表6に示した。なお、表5及び表6の発泡剤1は炭酸カルシウム(沈降炭カル)である。
結果は、表5及び表6に示したように、焼成温度が低いものほど吸水率が大きいことが分かる。また、発泡剤の配合割合が大きいものほど吸水率が大きいことも分かる。
(実施例6)
さらに、焼成終了後の冷却によりマイクロクラックが生じ、着色ガラス質発泡材の吸水率に影響が見られるか否かを調べるため、冷却条件を変えて着色ガラス質発泡材を製造した。試料6−1の着色ガラス質発泡材にあっては、前記試料5−4と同様の組成及び手順により試作を行い、焼成後直ちに焼成炉より取り出すことにより、急速冷却させた。実施例6の吸水率(%)を前出の測定方法により測定した。
結果は、試料5−4の着色ガラス質発泡材の吸水率が10%であるのに対し、実施例6の着色ガラス質発泡材の吸水率は18%であり、マイクロクラックによる著しい影響は見られなかった。
(実施例7)
実施例7として、複数の色を配色した着色ガラス質発泡材を試作した。図5の(a)に示すように、予め、厚さ1mmのセラミックシート(イソライト工業株式会社製「PAPER−T」)が敷設された型15(バット)に段ボールよりなる仕切板25を配設した。前記仕切板25によって形成された3つの区画16,17,18のうちの左側の区画16に、実施例1と同様のガラス粉末99.0重量%、発泡剤0.8重量%、無機顔料としてCoAlを0.2重量%を均質に混合した混合粉末10bを充填した。同様に、CoAlに代えて(Zr,Pr)SiOを0.8重量%添加混合し、混合粉末10cとし、また、CoAlに代えてZrSiOを0.5重量%添加混合し、混合粉末10dとした。前記混合粉末10c,10dを順に区画17,18に充填した。なお、いずれの区画も合計重量が100重量%となるようにガラス粉末の配合量を調整した。
その後、仕切板25を抜き取り、電気炉内で毎分5℃ずつ温度上昇させ、800℃の温度で15分間維持して焼成した後、室温まで毎分2.5℃ずつ徐々に冷却し、図5の(b)に示すように、三色の異なる配色を有する発泡材10Aを形成した。そして、型15を電気炉から取り出し、表層を切断し、図5の(c)に示すような、左側から順に青色、黄色、赤色に着色された略立方体の着色ガラス質発泡材11を得た。
なお、実施例7においては、仕切板を使用して複数の色を配色した着色ガラス質発泡材を作成したが、複数色からなる波状、渦巻き状等の適宜の模様の形成も可能である。前記仕切板においても、実施例では段ボールよりなるものを使用したが、これに限定されず、例えば、障子紙のような薄地のものを使用し混合粉末とともにそのまま焼成することも可能である。
本発明の着色ガラス質発泡材の概略工程図である。 試料1−1の着色ガラス質発泡材の切断面である。 比較例1の着色ガラス質発泡材の切断面である。 各種の材料のドリル加工状態を示す概略図である。 実施例7の着色ガラス質発泡材の概略工程図である。
符号の説明
10 発泡材
10a 混合粉末
15 型
20 離型シート
30 ミニルーター
S 各種の材料

Claims (5)

  1. ガラス粉末、発泡剤及び無機顔料を混合した混合粉末を焼成して得られるガラス質発泡材であって、
    ガラス粉末95.0〜99.7重量%と、発泡剤0.2〜2.0重量%と、無機顔料0.1〜3.0重量%とを混合した混合粉末を焼成し、
    当該ガラス質発泡材のかさ密度が0.15〜0.5g/cm、吸水率が5〜205%であることを特徴とする着色ガラス質発泡材。
  2. 前記ガラス粉末は、ソーダライムガラスである請求項1に記載の着色ガラス質発泡材。
  3. 前記発泡剤は、炭酸カルシウムまたは炭酸マグネシウムのいずれか一方あるいは両方である請求項1又は2に記載の着色ガラス質発泡材。
  4. 前記無機顔料において、
    青色の発色にあたりCoAlを用い、
    黄色の発色にあたり(Zr,Pr)SiO、又はTi,Cr,Sbからなる酸化物、あるいはTi,Sb,Niからなる酸化物を用い、
    赤色の発色にあたりZrSiO及びCdSを用いた請求項1ないし3のいずれか1項に記載の着色ガラス質発泡材。
  5. ガラス粉末、発泡剤及び無機顔料を混合した混合粉末を焼成して得られるガラス質発泡材の製造方法であって、
    目開き250μmの篩において99重量%以上通過し、かつ平均粒径を55μm以下に粉砕したガラス粉末95.0〜99.7重量%と、平均粒径5.0μm以下の発泡剤0.2〜2.0重量%と、無機顔料0.1〜3.0重量%とを均質混合し混合粉末とする工程と、
    前記混合粉末を720〜850℃で10〜60分間焼成する工程とを有することを特徴とする着色ガラス質発泡材の製造方法。
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