JP2006305342A - 吸着担体および体外循環用カラム - Google Patents

吸着担体および体外循環用カラム Download PDF

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Abstract

【課題】
血液中に存在する細胞、特に顆粒球や単球などの活性化した白血球、ガン細胞などを除き、さらに好ましくは過剰に存在するサイトカインをも除去できる、圧力損失懸念がない吸着担体を提供することを課題とする。特に、吸着特性を損なうことなく、担体自体の形状安定性をもたせることが最大の課題である。
【解決手段】
ネットと不織布の2層構造を持つことを特徴とする吸着担体。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な吸着担体、特に血液を循環して使用する血液処理カラムに適した吸着担体に関するものである。さらに本発明の吸着担体を組み込んだ、血中に存在する細胞や液性因子を吸着、除去するのに適した血液処理カラムに関するものである。
近年、様々な血液処理カラムが研究され、例えば、白血球除去や、顆粒球除去を目的としたカラム(特許文献1,2)、サイトカイン吸着を目的としたカラム(特許文献3,4)、白血球と毒素を同時に吸着することを目的としたカラム(特許文献5)等がそれぞれ開発されてきた。これらは、通常、カラム内部にそれぞれ目的とする物質を除去・吸着するための濾過材または吸着担体を有している。これら濾過材または吸着担体としては様々な物質、形状のものが用いられているが、それぞれ一長一短がある。例えば、ポリエステル不織布からなる白血球除去担体(特許文献1)では、複数の繊維径からなる繊維を混合した不織布を作成し、血球の目詰まり解消のため改良が施されているが、不織布自体の嵩密度が高く、血球除去性を制御しきれず、依然として血液循環中の圧力損失上昇の懸念が問題である。
また、直径2mm程度の酢酸セルロースビーズからなる吸着担体(特許文献2)においては、圧力損失の懸念はあまりないものの、吸着表面積を大きくすることはできず、吸着担体としては非効率的である。かといって、粒子径を小さくすることは圧力損失増加につながるため、採用し難い。
特許文献6には、吸着担体の嵩密度は大きすぎると目づまりしやすく、逆に小さすぎると形態保持性が悪くなるとし、0.05〜0.15g/cmのものが使用されることが開示されているが、特許文献6に記載の吸着担体は0.05〜0.10g/cmの範囲では特に形態安定性が悪く、0.10〜0.15g/cmの範囲としてもなお実用的なものは得られない。
特開昭60−193468号公報 特開平5−168706号公報 特開平10−225515号公報 特開平12−237585号公報 特開2002−113097号公報 特開2002−172163号公報
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、血液中に存在する細胞、特に顆粒球や単球などの活性化した白血球、ガン細胞などを除き、さらに好ましくは過剰に存在するサイトカインをも除去できる、圧力損失が少ない吸着担体を提供することを課題とする。
また、吸着特性を損なうことなく、担体自体の形態安定性を持たせることも課題の1つである。
本発明は、上記目的を達成するために、下記の構成を有する。
(1)少なくともネットと不織布の2層構造を持つことを特徴とする吸着担体。
(2)前記ネットが、100mm中に10mm以上の空隙を有するネットであることを特徴とする(1)に記載の吸着担体。
(3)生理活性物質および/または細胞を吸着することを特徴とする(1)記載の吸着担体。
(4)前記ネットが単繊維からなることを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載の吸着担体。
(5)嵩密度が0.02g/cm以上であることを特徴とする(1)ないし(4)のいずれかに記載の吸着担体。
(6)(1)ないし(5)のいずれかに記載の吸着担体が円筒状容器に納められていることを特徴とする血液処理カラム。
(7)血液を循環して使用することを特徴とする(6)に記載の血液処理カラム。
本発明の吸着担体は、血液循環時の圧力損失が少なく、形状安定性に優れることから、各種血液処理カラムに好適に使用することができる。特に、過剰に存在する人体に不要な白血球やガン細胞などと、サイトカインなどの生理活性物質を同時に除去するのに好適であり、自己免疫疾患、がん、アレルギーなどの血液処理や治療に有用である。またこの材料は、シャーレ、瓶、膜、繊維、中空糸、粒状物またはこれらを用いた組み立て品などの成形品の形で、アフィニティークロマトグラフ用カラム、治療用血液カラム、特に体外循環カラムとして好適に使用することができる。
本発明は、前記課題、つまり血液中に過剰に存在する白血球やガン細胞などの細胞とサイトカインなどの生理活性物質との両方を高い効率で選択的に吸着除去して、かつ、安全に体外循環できる吸着担体について、鋭意検討し、従来技術の吸着材の問題が、大きすぎる嵩密度にあることと、単に嵩密度の小さい不織布を得たとしても、形態保持性を伴わなければ、結局は目づまり等を生じてしまうことに着目し、成し遂げたものである。すなわち、従来技術よりもより嵩密度を小さくし、かつ形態安定性を持たせることに成功した。
生理活性物質としては、上述のサイトカイン以外にも、走化因子、抗体、補体、リンフォカイン、その他液性因子など、生物由来の蛋白質や脂質、糖質、ホルモン類などを含み、特に、構造解析や、パターン解析などのため除去作業、治療目的等のターゲットとして選定された物質は対象となる。その他にも、生体にとって悪影響を及ぼす、細菌、細菌毒素、ウイルスなども生理活性物質として取り扱う。細胞については、主に、血球細胞、癌化細胞などであり、血液やリンパ液、腹水、胸水などの滲出液中に出てくる物を対象とする。研究における培養細胞、酵母、細菌類も対象となる。
本発明は、少なくともネットと不織布の2層構造を有する吸着担体である。
本発明における不織布の素材としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの公知のポリマーを使用することができる。これらのポリマーの単独糸であっても、芯鞘型、海島型またはサイドバイサイド型の複合糸であってもかまわない。なお、繊維の断面形状は円形断面であっても、それ以外の異形断面であってもかまわない。不織布の製造方法としては、公知の不織布の製造方法、例えば湿式法、カーディング法、エアレイ法、スパンボンド法、メルトブロー法等を用いることができる。
また、かかる不織布を構成する繊維の直径は、目的とする吸着性能を考慮した上で決められるべきものである。たとえば、顆粒球の除去のためには3μmを超えることが好ましく、中でも4μm以上であることが好ましく、より好ましくは5μm〜10μmのものが使用される。これ以外に、これより太い繊維を同時に混合した不織布とすることもできる。0.5〜4μmの繊維を用いればリンパ球の除去にも好適に使える。さらに、0.5μm未満の繊維を用いれば、生理活性物質の除去効率を上げることが可能となる。
ここで示した直径は、円柱状のものではなく、たとえば楕円や矩形、多角形のものにも適用される。最外層を結んでできた図形の面積を求め、その面積に相当する円の直径を求める。たとえば、5つの突起部分が存在する星形を例にとると、その5つの頂点を結ぶ図形を考え、その面積を算出し、対応する円の直径を本発明で言う直径とする。
本発明において、不織布は、ネットと組み合わせて積層構造を構成することができる。不織布とネットの2層構造でもよいが、不織布の間にネットを挟み込んだ形状、すなわち不織布−ネット−不織布のサンドイッチ構造(3層構造)をとることがより好ましい。もちろん、後述する嵩密度を考慮し、圧力損失に影響のない範囲でさらに多層構造とすることも可能である。
本発明におけるネットの素材は、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの公知のポリマーを使用することができる。後述するように、不織布と一体化した後に官能基導入のための有機合成反応に供する場合は、用いる溶媒の種類や、反応温度に応じて適宜素材を選択すればよい。特に、生体適合性の面からは、ポリプロピレンが特に好ましい。
複数の繊維が合糸された状態や紡績糸でネット構造が形成されていると、合糸された糸状間等に血液などの被処理媒体が通過することより圧力損失上昇の懸念があるため、ネットは単糸(モノフィラメント)で形成されていることが好ましい。また単糸であれば、1本あたりの機械的な強力も保持しやすい。
ネットの構成としては、特に限定されず、結節網、無結節網、ラッシェル網等を用いることができる。このうち、特にネットを形成する構成材、例えば単糸が交差する部分が接合されているものが、好適に使用できる。このようなネットを用いることにより、単糸など構成材の動きが無く、接合されていないネットと比較して、形態保持性、ハンドリング性の向上した吸着担体を得ることができる。ネットは、構成する単糸どうしが接合していてもよい。接合の方法としては、結節、熱による接着等があるが、熱による接着による方法であると、厚みを制御しやすく、かつ安価に実施であるため好ましい。ネットの空隙(網み目)の形状も特に限定されず、長方形などの四角形、菱形、亀甲形等の各種のものを用いることができる。中でも四角形、特に長方形のものは、不織布を積層したときの強度や、ハンドリング性が向上するため好ましい。さらに、ネットの構成材の不織布に対する位置的な関係を、例えばネットの空隙形状が四角形の場合、不織布の長軸または短軸方向に対し角度90度±10度の方向をなすようにすることにより、不織布を積層したときの強度や、ハンドリング性能がより向上する。
ネットを構成する単糸の直径は好ましくは50μm以上1mm以下であり、同様にネットの厚みは50μm以上1.2mm以下である。これ以上大きな範囲でも可能であるが、単位体積あたりの吸着体そのものの分量を減らすことになり、好ましくはない。
ネットを用いることで、不織布に形態保持性を付与することができ、嵩密度が小さくても形態の安定した吸着担体とすることができる。なお、ネット自体が圧力損失に影響を与えるので、ネットはなるべく開孔部が大きい方が望ましい。このためには100mm中に、10mm以上の空隙を有することが望ましく、特に好ましくは、3mm角程度の開孔部を有すると、形態保持性も良好となり、好適に使用できる。
吸着担体の厚みについては限定するものではないが、0.1mm以上10cm以下が取り扱い上、好ましい。例えば、東レ社製の“トレミキシン”(登録商標)のようなラジアルフロータイプのモジュールに組み込む場合は、中心パイプに巻き付けるため、厚みは1cm以下であることが好ましい。これらは、取り扱い法によって決定される。
本発明におけるネットと不織布の2層構造を持つ吸着担体の嵩密度は、0.02〜0.15g/cmであることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.15g/cmであるものが使用される。嵩密度を大きくするすると白血球や細胞などの大きな物質を濾過する能力が向上するが、大きすぎると血液循環時に目づまりしやすくなるため、前記の範囲が好ましい。0.15g/cmを超えるものはあえて本発明の構成、すなわちネットと不織布の積層構造を取らず不織布だけでも形態安定性は保たれるが、もちろん本発明において0.15g/cmを超える嵩密度を採用してもかまわない。嵩密度の測定は、ネットと不織布の2層構造を持つ吸着担体3cm角の正方形に切断後、1mm厚のポリプロピレン製の板を載せたときの吸着体の厚みを5回測定し、その平均値を厚みとする。この小片の重さを、体積で割ることで嵩密度を求め、これを5サンプルで実施し、平均値を嵩密度とした。
前述の通り、本発明においては、主に不織布部分によって白血球やガン細胞などを吸着及び濾過によって除去することができる。さらに、不織布部分の素材や繊維径を適宜選択することにより、これら白血球やガン細胞などと共にサイトカインなどの生理活性物質をも吸着・除去することが可能である。白血球やガン細胞などと共にサイトカインなどの生理活性物質をも効率よく吸着・除去するには、当該吸着担体に特定の官能基を導入、固定化することが好ましい。吸着担体、特に不織布部分を構成する素材を適宜選択することにより、特定の官能基を導入せずともサイトカインなどの生理活性物質の吸着・除去能を持たせることはできるが、これら官能基の導入によって生理活性物質をより効率的に吸着することができるようになる。
不織布を形成する繊維は、特に好ましくは芯がポリプロピレン、鞘がポリスチレンなどの多芯海島型複合繊維からつくられる。素材の組み合わせは、製糸性が良好であれば、いかなる組み合わせも実現できるが、特に鞘にポリスチレンを用いると鞘構造に官能基導入が行いやすくなるため、特に好ましい。この場合、アミドメチル化法を適用することで、アミノ基を有する官能基を簡便に導入できる。従来から、環状ペプチド(ポリミキシンB、ポリミキシンS)、ポリエチレンイミン、4級アンモニウム塩などの導入が行われている。その具体例として、アミノ基を持つ環状ペプチド残基、ポリアルキレンイミン残基、ベンジルアミノ基、1級、2級、3級のアルキルアミノ基を使用することができる。そのなかでも、好ましくはアミノ基を持つ環状ペプチド残基、ポリアルキレイミン残基、さらに好ましくはアミノ基を持つ環状ペプチド残基が、生理活性物質に対する吸着性能が高くてよい。
より具体的には、アミノ基を持つ環状ペプチドは、2個以上50個以下、より好ましくは4個以上16個以下のアミノ酸からなる環状ペプチドであって、その側鎖に1個以上のアミノ基を持つものであればよく、特に制限はない。その具体例としては、ポリミキシンB、ポリミキシンE、コリスチン、グラミシジンSあるいはこれらのアルキルあるいはアシル誘導体などを使用することができる。
また、本発明で言うポリアルキレイミン残基とは、ポリエチレンイミン、ポリヘキサメチレンイミンおよびポリ(エチレンイミン・デカメチレンイミン)共重合体で代表されるポリアルキレンイミンまたはその窒素原子の一部を、n−ヘキシルブロマイド、n−デカニルブロマイド、n−ステアリルブロマイドなどで代表されるハロゲン化炭化水素の単独または混合物でアルキル化したもの、または、酪酸、バレイン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、レノレイン酸、ステアリル酸などの脂肪酸でアシル化したものを意味する。
本発明のネットと不織布の2層構造を持つ吸着担体の製造方法としては、予め別々に作成した不織布とネットを、サーマルボンド法、カレンダー法、ニードルパンチ法等の公知のウエブ接着方法で積層構造とする方法がある。また、別の方法として、積層構造にするために、あらかじめ、プレパンチングを施した綿状物を作成し、その間にネットを挟み込んでパンチングして不織布−ネット−不織布のサンドイッチ層構造を有する吸着担体を作る方法があるが、この方法がより簡便であり、好ましい。プレパンチングした綿状物を片面1枚ネット構造に重ね合わせることも可能である。
本発明の体外循環用カラムは、前記ネットと不織布の2層構造を持つ吸着担体を容器、特に好ましくは円筒状容器に充填することによって製造することができる。カラムの構成としては、吸着担体を平板状に形成し、これを複数層も重ねて充填したカラム、吸着担体を芯材に、もしくは芯材なしで円筒形状に巻いて構成した円筒状フィルターが、両端部に血液入口と血液出口とを有する円筒状容器に納められているカラム、吸着担体が円筒状にまかれてなる中空円筒状フィルターが、その両端部を封止された状態で血液入口と血液出口とを有する円筒状容器に納められており、容器の血液出口は前記中空円筒状フィルターの外周部に通じる部位に、また容器の血液出口は前記中空円筒状フィルターの内周部に通じる部位にそれぞれ設けられているカラム等が好ましい。そのなかでも、円筒中空状フィルターを用いたカラムは、血液中の炎症性白血球の大部分が、円筒形状フィルターの外周部の大きな面積の不織布で迅速に除去され、除去されずに残ったわずかな炎症性白血球も、円筒形状フィルターの内周部に到って、その小さな面積の不織布でも十分に除去され、効率的な炎症性白血球除去が可能であるので、最も好ましい。
例えば、円筒形状中空フィルターを作製する場合、サンドイッチ構造にした不織布において、ネット単繊維の長手方向が不織布各切断面に対し垂直になるように不織布を作製することにより、簡単に不織布に強い引っ張り強度を持たせることができ、該不織布を芯材に巻く場合においても、ハンドリング性が向上する。
[実施例1]
(吸着担体)
36島の海島複合繊維であって、島が更に芯鞘複合によりなるものを次の成分を用いて、紡糸速度800m/分、延伸倍率3倍の製糸条件で得た。
島の芯成分;ポリプロピレン
島の鞘成分;ポリスチレン90重量%、ポリプロピレン10重量%
海成分;エチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とし、共重合成分として5-ナトリウムスルホイソフタル酸3wt%含む共重合ポリエステル
複合比率(重量比);芯:鞘:海=42:43:15
この繊維85重量%と、直径20μmのポリプロピレン繊維15重量%からなる不織布を作製した後、この不織布2枚で、開孔部が2mm角のポリエステル製ネット(厚み0.4mm、単糸径0.3mm)を間に挟み、不織布の切断面に対して傾きが90度になるようにセットし、ニードルパンチすることによって三層構造の吸着担体を得た。次に、この不織布を90℃水酸化ナトリウム水溶液で処理して海成分のエチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とし、共重合成分として5-ナトリウムスルホイソフタル酸3wt%含む共重合ポリエステルを溶解することによって、芯鞘繊維の直径が5μmで、嵩密度が0.02g/cm(総目付150g/m)の吸着担体を作製した(吸着担体1)。一定速度で巻き取ったところ、安定した巻き取りが可能であり、同形状の円筒状フィルターが得られた。
(中間体)
次に、ニトロベンゼン600mLと硫酸390mLの混合液にパラホルムアルデヒド3gを20℃で溶解した後、0℃に冷却し、75.9gのN−メチロール−α−クロルアセトアミドを加えて、5℃以下で溶解した。これに5gの上記吸着担体1を浸し、室温で2時間静置した。その後、繊維を取り出し、大過剰の冷メタノール中に入れ、洗浄した。繊維をメタノールで良く洗った後、水洗し、乾燥して、7.0gのα−クロルアセトアミドメチル化ポリスチレン繊維(中間体1)を得た。
(官能基を導入した吸着担体)
N,N−ジメチルオクチルアミン50gとヨウ化カリウム8gを360mLのジメチルホルムアミド(以下、DMF)に溶かした溶液に5gの上記中間体1を浸し、85℃のバス中で3時間加熱した。繊維をイソプロパノールで洗浄後、1mol/L濃度の食塩水に浸漬した後、水洗し、真空乾燥して、8.3gのジメチルオクチルアンモニウム化繊維(官能基を導入した吸着担体1)を得た。
また、これとは別に、N,N−ジメチルラウリルアミン50gとヨウ化カリウム8gを360mLのDMFに溶かした溶液に5gの上記中間体1を浸し、85℃の湯浴中で3時間加熱した。繊維をイソプロパノールで洗浄後、1mol/L濃度の食塩水に浸漬した後、水洗し、真空乾燥して、9.3gのジメチルラウリルアンモニウム化繊維(官能基を導入した吸着担体2)を得た。
得られた官能基を導入した吸着担体は、ネットを含むため、変形せず、良好な形状を保った。
[比較例1]
実施例1で作成した繊維を、同様にネットを用いることなくニードルパンチングすることにより不織布を作成した。次に、この不織布を90℃水酸化ナトリウム水溶液で処理して海成分のエチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とし、共重合成分として5-ナトリウムスルホイソフタル酸3wt%含む共重合ポリエステルを溶解することによって、芯鞘繊維の直径が5μmで、嵩密度が0.02g/cm(総目付150g/m)の不織布を作製した(不織布1)。この不織布は横方向の強力が小さく、中間体および吸着体の合成中に、伸びが生じたため、嵩密度を一定に保つことができなかった。
[実施例2]
健常者ボランティアの血液50mlをヘパリン採血し、その中へ、500pg/mlになるようにヒト天然型インターロイキン−6(以下、IL−6)を溶解し、以下の検討を行った。
吸着材(官能基を導入した吸着担体1)150mgを内容積2mlのカラムに充填し、37℃で1時間上記血液25mlを循環した後、血球の組成を自動血液分析器で調べ、また、IL−6量をEIA法にて定量した。リンパ球数12.5%減少、顆粒球67%減少が見られ、IL−6も35%減少していた。このとき圧力損失上昇も見られなかった。
[比較例2]
比較例1で作成した不織布を、実施例2と同様に同量カラムに充填し、残りの25mlの血液を用いて検討を行った。
このとき圧力損失上昇が45分で起こり、200mmHgを越えたため、中断した。リンパ球数31.5%減少、顆粒球69%減少が見られ、IL−6も35%減少していた。
[実施例3]
実施例1と同様に不織布を作製する際、開孔部が2mm角のポリエステル製ネット(厚み0.4mm、単糸径0.3mm)を間に挟み、不織布の切断面に対して傾きが110度になるようにセットした。
この不織布150mgを内容積2mlのカラムに充填し、37℃で1時間上記血液25mlを循環した後、血球の組成を自動血液分析器で調べ、また、IL−6量をEIA法にて定量した。リンパ球数12.5%減少、顆粒球67%減少が見られ、IL−6も35%減少していた。このとき圧力損失上昇も見られなかった。
ただし、一定速度で巻き取ったところ、不織布の伸びが確認され、巻き取り張力が安定しなかった。不織布の厚みも一定ではなく、同形状の円筒状フィルターを得ることができなかった。

Claims (10)

  1. 少なくともネットと不織布の2層構造を持つことを特徴とする吸着担体。
  2. 前記ネットが、100mm中に10mm以上の空隙を有するネットであることを特徴とする請求項1に記載の吸着担体。
  3. 前記ネットの空隙形状が、四角形であることを特徴とする請求項1または2記載の吸着担体
  4. 前記2層構造において、前記ネットの構成材が前記不織布の長軸または短軸方向に対し角度90度±10度の方向をなすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の吸着担体。
  5. 生理活性物質および/または細胞を吸着することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の吸着担体。
  6. 前記ネットが単繊維からなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の吸着担体。
  7. 前記ネットは、その構成材が互いに交差する部分が接合されてなるものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の吸着担体。
  8. 嵩密度が0.02g/cm以上であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の吸着担体。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載の吸着担体が円筒状容器に納められていることを特徴とする血液処理カラム。
  10. 血液を循環して使用されるものであることを特徴とする請求項8に記載の血液処理カラム。
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