JPH06262013A - 濾 材 - Google Patents

濾 材

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JPH06262013A
JPH06262013A JP7755293A JP7755293A JPH06262013A JP H06262013 A JPH06262013 A JP H06262013A JP 7755293 A JP7755293 A JP 7755293A JP 7755293 A JP7755293 A JP 7755293A JP H06262013 A JPH06262013 A JP H06262013A
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智 緒方
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Abstract

(57)【要約】 【目的】引張強力が大で、加熱滅菌や、高温濾過等を行
っても最大孔径が変化せず、しかもひだり等の加工がで
きる、高精密用の濾材を提供すること。 【構成】 繊維径10μm以下の熱融着性極細複合繊維
不織布と、熱融着性複合モノフイラメント製ネツトが熱
融着され、かつ最大孔径が120μm以下である濾材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、クリ−ンル−ム用エア
フイルタ−、電子機器の洗浄に用いられる液体のプレフ
イルタ−、あるいは医薬の製造に用いられる液体や気体
のプレフイルタ−等として使用される精密濾過用の濾材
に関する。更に詳しくは、極細複合繊維の交点が熱融着
した不織布と、複合モノフイラメントネツトが熱融着
し、加熱による孔径変化がなく、ひだ折り等のぶ形性の
良い精密濾過用濾材に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、エレクトロニクスやバイオケミカ
ル等に関連する産業が発展し、気体や液体を清浄化して
用いられる機会が多くなつている。従来このような精密
濾過用の濾材として、極細のガラス繊維不織布や合成繊
維不織布等が使用されていた。しかし前記ガラス繊維不
織布は、耐アルカリに弱いとか、濾過時の濾過表面積を
多く取る目的で加工されるひだ折りや、種々な立体形状
等へ加工する際、いわゆるぶ形性が悪い等の課題があ
る。一方前記合成繊維不織布は、ガラス繊維不織布に較
べ比重が小さいので軽量である、ぶ形性がガラス繊維不
織布に較べて良い、安価である、ガラスの微粉が飛散せ
ず取り扱い易い等の利点があり、該合成繊維不織布濾材
が急速に利用されるようになつてきた。該合成繊維不織
布濾材は、ポリエステルスパンボンド不織布やポリプロ
ピレンメルトブロ−不織布等が使用されているが、加熱
や摩擦、振動等により目開し細孔径が大きくなる現象、
即ち孔径安定性が劣るという課題がある。
【0003】不織布濾材のぶ形性を改良した物として、
不織布とネツト状シ−トを融着した濾材が知られてい
る。特開平1−194912号公報にはエレクトレツト
化された極細繊維不織布と網状物が熱融着したフイルタ
−が、特開平4−346805号公報には極細繊維不織
布に熱融着性モノフイラメントと金属細線を併用したネ
ツトを融着した濾材が開示されている。前記不織布にネ
ツト状シ−トを融着した物は、何れも不織布を構成する
極細繊維として、メルトブロ−法ポリプロピレンやメル
トブロ−法ポリエステル等のレギュラ−繊維が使用され
ている。該極細繊維ウェブをその繊維の交点が熱融着の
無い状態で、又は該ウェブをエンボスロ−ルやカレンダ
−ロ−ル等を使用し、繊維の交点を部分的に熱融着させ
たもの、あるいはネツトを該ウェブ又は熱圧着不織布に
積層し、カレンダ−ロ−ルやドライヤ−等の加熱手段を
用い、前記不織布とネツトを融着させたものである。
【0004】ところで、不織布の熱融着状態をミクロ的
に観た場合、このような不織布濾材は、濾材の通気抵抗
を損なわない状態で、加熱による繊維の交点を十分に熱
融着させる事が困難である。例えばエンボスロ−ル法に
よる物は熱圧着部以外の部分は融着していず、カレンダ
−ロ−ル法による物は不織布の表面及び裏面側は多く融
着しているがその中央部分が融着部分が少ないか、多く
あつても融着状態が不均一な物となつている。このよう
な繊維の融着状態が不均一な状態の物は、不織布をひだ
折り加工しさらに筒状にし、その両側の端面を合成樹脂
製端面部材でヒ−トシ−ルしたり、該端面部材をバイン
ダ−等で接着したりする際の加熱や、濾材を加熱滅菌す
る際の熱、高温濾過時の熱や、濾過時におけるハウジン
グの振動、等で不織布に目開きが起き、最大孔径が著し
く大きくなるという欠点、いわゆる孔径安定性が劣ると
いう欠点がある。特に目付けが約25g/m2 以上の高
目付けの物は、繊維の交差点部での熱融着が不十分とな
り易く、孔径安定性が劣り、時には加熱による最大孔径
の変化率が25%以上もある物であつた。また、カレン
ダ−ロ−ル法等で高温かつ高圧で熱圧着した濾材は、孔
径安定性が幾分改良されるが、繊維全体が溶融し膜状に
変化するので通気抵抗が著しく高くなるという欠点があ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題である加熱や振動等により最大孔径が変化せ
ず、しかも高強力でかつ山谷状に、或は他の複雑な形状
等に容易に加工出来る精密濾過用の濾材を提供すること
を目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、以下の構成を
とることにより初期の目的が達成される事を知り、本発
明を完成するに至った。即ち本発明の構成は以下の通り
である。 (1) 繊維径10μm以下の熱融着性極細複合繊維
不織布と、熱融着性複合モノフイラメント製ネツトとを
熱融着し、かつ最大孔径が120μm以下である濾材で
あり、(2) 極細複合繊維の融点差が15℃以上で
あり、複合モノフイラメントの融点差が15℃以上であ
り、且つ該極細複合繊維と該複合モノフイラメントの低
融点成分の融点差が15℃以下である上記の濾材であ
り、(3) メルトブロー法熱融着性極細複合繊維を
熱融着した不織布と、繊維径が約30〜4000d/
f、織り密度約0.5〜25本/25mmの熱融着性複
合モノフイラメントを用いたネツトとを積層し、次いで
熱融着した上記の濾材であり、(4) 加熱後の最大
孔径変化率が20%以下である上記の濾材であり、
(5) 通気度が0.1〜100cc/cm2 .se
c、引張強力が2〜100kg/5cmである上記の濾
材をひだ折り加工した濾材であり、(6) 不織布が
エレクトレツト化されたものである上記何れかに記載の
濾材である。
【0007】本発明において、繊維径10μm以下の熱
融着性極細複合繊維不織布とは、融点差が15℃以上あ
る少なくとも2種以上の熱化塑性樹脂を複合紡糸法によ
り紡糸し、得られた平均繊維径10μm以下のウェブを
熱融着温度以上で加熱し、繊維の交点を融着した物をい
う。複合紡糸法に使用できる熱可塑性樹脂には、ポリプ
ロピレン、ポリエチレン、ポリ−4−メチルペンテン、
プロピレンと他のαオレフインとの2元又は3元共重合
体、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリアミド、ポリカ
−ボネ−ト等の樹脂がある。該複合紡糸法には、並列
型、鞘芯型、多分割型、海島型、等の複合紡糸用の口金
を用いた、複合メルトブロ−法、複合スパンボンド法、
通常の複合紡糸法等がある。とりわけ複合メルトブロ−
法は極細繊維が得られるので好ましい。本発明では、そ
の用途が精密用濾過の濾材であるので繊維径が10μm
以下の繊維を使用する。繊維径は好ましくは、0.1〜
10μm、更に好ましくは0.2〜7μmである。該樹
脂を融点差が15℃以上あるような種々の組合せで複合
紡糸する。この組合せとしては、ポリプロピレン/ポリ
エチレン、ポリプロピレン/プロピレン−エチレン−ブ
テン−1共重合体、ポレエチレンテレフテレ−ト/低融
点ポリエステル、ポリエチレンテレフタレ−ト/ポリア
ミド等が例示できる。
【0008】複合メルトブロ−法等で熱融着性極細複合
繊維を紡糸し、得られたウェブを複合繊維の低融点樹脂
が融着するような温度以上で加熱し、繊維の交点が熱融
着した不織布とする。加熱は低融点樹脂の軟化点以上、
高融点樹脂の融点以下の温度で行う。加熱は、乾熱循環
型ドライヤ−、スル−エア−型ドライヤ−、カレンダ−
ロ−ル、エンボスロ−ル等の加熱装置を用いて行う。前
記加熱装置のうち、スル−エア−型ドライヤ−等のよう
な、不織布にほとんど圧力が掛からない状態で熱融着出
来る装置を用いて熱融着処理した物は通気度が大きい不
織布が得られる。又、カレンダ−ロ−ル等のような、熱
圧着型の加熱装置を用いて熱圧着した物は最大孔径の小
さい不織布が得られる。本発明の濾材に使用する不織布
は、極細で且つ熱融着性の複合繊維が使用され、しかも
繊維の交点が熱融着された物である。従って、加熱温度
を複合繊維の低融点樹脂の軟化点以上、高融点樹脂の融
点以下の温度で行う事により、該高融点樹脂が溶融せず
に繊維の形状を保持し、繊維の交点が該低融点樹脂の融
着により不織布化されている。従って後工程での滅菌加
熱や濾過時の高温濾過、或は振動等で目開せず、孔径が
安定したものとなる。又、繊維の完全溶融による一種の
膜状化が起きていず、起きていたとしてもきわめて少な
い。従って通気度が大でしかも孔径も小さいものが得ら
れる。一方、従来のメルトブロ−法等により得られたレ
ギュラ−極細繊維を使用した熱融着不織布は、未融着繊
維が多量に発生していたり、融着部の結合がきわめて弱
い不織布であるため、後記のネツトを不織布に融着後の
物を、加熱滅菌処理、高温濾過等の加熱、端面シ−ル時
の加熱、あるいはハウジングの振動等により目開きす
る。又、カレンダ−ロ−ル等で高温加熱した物は、繊維
が完全溶融し、繊維の形状が消失し膜状化が起きていた
り、スル−エア−型加熱機で高温で加熱した物は、繊維
が溶融し玉状に凝集したりする。従って通気度が小でし
かも孔径も大きいものとなる。特にこの傾向は繊維径が
細いもの程大である。
【0009】本発明の濾材に使用される不織布は、目付
け約3〜1000g/m2 、さらに好ましくは4〜70
0g/m2 の物が使用できる。又、該不織布は、不織布
目付け、加熱温度、カレンダ−ロ−ルの線圧、処理時
間、等の加工条件等を変えることにより、不織布の孔径
を変化させることができる。不織布の繊度が小、目付け
が大、カレンダ−ロ−ルの線圧が大の条件で製造された
もの程、孔径が小の不織布が得られる。又本発明の濾材
に使用する不織布は、80℃で20分間加熱前後の最大
孔径の変化率が20%以下のもを使用すると、精密濾過
用の濾材として、目開きせず、長期安定な濾材として好
ましい。
【0010】本発明において、濾材は上記不織布に熱融
着性複合モノフイラメント製ネツトが熱融着された物で
ある。該ネツトは、融点差が15℃以上ある少なくとも
2種以上の熱化塑性樹脂を複合紡糸法により紡糸し、得
られた熱融着性複合モノフイラメントを織編等をしネツ
ト状のシ−トとしたもの、あるいはこのネツトを熱融着
温度以上で加熱し、繊維の交点を融着したシ−ト状の物
を使用する。該モノフイラメントの複合形態や、該フイ
ラメントに使用できる樹脂や、樹脂の組合せ等は前記不
織布に使用された物と同じような複合形態、樹脂の組合
せ等であればよい。とりわけ極細繊維の低融点樹脂とモ
ノフイラメントの低融点樹脂の融点の差が15℃以下の
場合、後記の加熱処理により、繊維の交点部でお互いの
低融点樹脂が相互侵入構造をとるので、不織布とネツト
が強く熱融着し、その境界面で剥離しにくいので好まし
い。とりわけ、極細繊維の低融点樹脂とモノフイラメン
トの低融点樹脂が、同種系の物、例えばポリオレフイン
/ポレオレフイン、ポリエステル/ポリエステル等の物
が好ましい。又該ネツトは繊度が約30〜4000d/
fの物を、織り密度約0.5〜25本/25mmで織製
した物が好ましい。上記不織布とネツトを、不織布/ネ
ツト、ネツト/不織布/ネツト等のように積層し、或は
前記積層物を更に2段に積層した物等を前記のような公
知の加熱方法で加熱し、不織布とネツトが熱融着した濾
材とする。もちろん、該積層物に比較的太い繊度のスパ
ンボンド不織布やステ−プルの熱融着不織布等を積層し
てもよい。
【0011】本発明の濾材は、下記の条件のものが通気
抵抗性、精密濾過の点で好ましい。不織布の最大孔径が
約0.1〜120μmの物、好ましくは約0.2〜10
0μm、更に好ましくは約0.3〜90μmである。最
大孔径が0.1μm以下の場合、濾過時の通気抵抗が大
となり、最大孔径が120μm以上の物は精密濾過用に
は適さない。又、通気度は約0.1〜200cc/cm
2.sec、 好ましくは0.2〜150cc/cm2
sec、更に好ましくは0.2〜100cc/cm2
sec の物である。なお上記不織布の、最大孔径、通
気度等の物性は後記で説明する、不織布とネツトが熱融
着された濾材についての物性であることは言うまでもな
い。
【0012】本発明の濾材はひだ折り等をせずにハウジ
ング等に取り付けて使用できる。又、該濾材をひだ折機
や成型機等を使用し、鋭角な山谷状に、U状に、凹凸状
等、任意の形状にぶ形し、ハウジングに取付て使用でき
る。又、前記種々の形状にぶ形後の濾材を、更に円筒状
にしたり、渦巻状等にすることもできる。円筒状にした
場合、左右の端部は融着あるいはバインダ−等で接着す
る。該ハウジングは濾過すべき用途に応じ、種々の形状
の物が使用できる。例えば、その側面に多数の開孔を有
する円筒状の芯材、多孔性円筒状の外枠材、及び両端面
シ−ル部材を主構成部材とする円筒状のハウジング、四
角形の枠状のハウジング、及び金属ネツト等を主構成部
材とする四角形のハウジング、或は、箱型で濾材を多層
状に装着する、箱型多層状のハウジング、その他濾過す
べき場所に装着できる任意の形状のハウジングが使用で
きる。
【0013】又、本発明の濾材は、エレクトレツト化し
た物であつてもよい。エレクトレツト化の方法として
は、紡糸時、繊維を捕集しながら、口金と捕集面間でエ
レクトレツト化する方法、紡糸した後ウェブ等を巻取る
までの間にエレクトレツト化する方法等がある。又、不
織布、不織布とネツトが熱融着された不織布、ひだ折り
された濾材、ハウジングに装着された濾材等をエレクト
レツト化する方法等がある。該エレクトレツト化は、電
圧約1〜30キロボルトの直流コロナ放電等で処理す
る。又、該不織布は約10〜45ク−ロン/cm2 の表
面電化密度であるものが好ましい。又、本発明の濾材
は、不織布の熱融着性極細複合繊維が密度勾配になって
もよい。また本発明の濾材は、繊維の素材、繊維径等の
違う他の不織布やシート等が積層されたものであっても
よい。他の不織布などが積層されたものである場合、他
の不織布として繊維径0.1〜20μmのレギュラー繊
維メルトブロー法不織布、繊維径11〜100μmのレ
ギュラー繊維または熱融着性極細複合繊維不織布あるい
は該不織布と、複合モノフイラメントとの積層シート等
が例示できる。
【0014】
【実施例】以下実施例、比較例により本発明を更に詳細
に説明する。なを、各例において、濾材の物性や濾過性
能等の評価は、以下に記載する方法で行った。
【0015】不織布の繊維径:ウェブ、不織布、或は濾
材から小片を10個切取り、その走査型電子顕微鏡によ
る倍率100〜5000倍の写真を用い、計100本の
繊維径の直径を測定しその平均値(μm)を示す。
【0016】引張強力:引張強度試験機を用い、5cm
幅の破断強力(kg/5cm)を示す。
【0017】通気度:フラジ−ル型通気度試験機を用
い、JIS−L1006Aに定める方法で通気度を求め
た。単位cc/cm2 .sec。
【0018】最大孔径:バブルポイントテスタ−を使用
し、ASTM−F−316−86に定める方法で最大孔
径(μm)を求めた。
【0019】加熱後の最大孔径変化率:前記バブルポイ
ントテスタ−を用い、前記同様の方法で、80℃、10
分加熱処理後の最大孔径の変化率(%)を求めた。
【0020】濾過精度:50リツトルの水を入れた水
槽、ポンプ、及び濾過器(ハウジング)からなる循環式
濾過試験機を用いた。該濾過機のハウジングに濾材1本
を取付、水を毎分30リツトルの流量で循環させなが
ら、水槽にケ−キ(カ−ボランダム#4000)を5g
添加する。ケ−キ添加より1分後に採取した濾過水10
0ccをメンブレンフイルタ−で濾過する。メンブレン
フイルタ−上に捕集された粒子のサイズを粒度分布測定
機で測定し、最も大きな粒子のサイズ(最大流出径、単
位μm)を濾材の濾過精度とした。
【0021】圧力損失:前記、循環式濾過精度試験にお
いて、ケ−キを添加せず、水のみ毎分30リツトルの流
量で循環させる。循環開始1分後、圧力損失(kg/c
2)を測定する。
【0022】実施例1 第1成分としてメルトフロレ−ト120(MFR、g/
10分、230℃)、融点164℃のポリプロピレン
を、第2成分としてメルトフロレ−ト120(MFR、
g/10分、190℃)、融点121℃の線状低密度ポ
リエチレンとを用い、孔径0.3mm、孔数501の並
列型複合メルトブロ−口金から複合メルトブロ−紡糸を
した。紡糸条件は、複合比が50重量%対50重量%、
紡糸温度がポリプロピレンが280℃で、線状低密度ポ
リエチレンが260℃で、総吐出量120g/分の条件
で押出し、紡糸孔から吐出された繊維を、温度365℃
の空気を圧力1.2kg/cm2 Gで導入し、噴出気体
吸引装置付きのコンベア−ネツト上に吹き付けた。該熱
融着性極細複合繊維ウェブは、繊維径が2.7μmであ
つた。このウェブをスル−エア−型加熱機を用い、温度
140℃で10秒間加熱し、繊維の交点が熱融着した目
付け99g/m2 の不織布を得た。
【0023】MFR18(g/10分、190℃)、融
点124℃の線状低密度ポリエチレンが鞘成分で、MF
R8(g/10分、230℃)、融点164℃のポリプ
ロピレンが芯成分で、複合比50/50(重量比)、繊
度250d/fの熱融着性複合モノフイラメントを使用
し、経緯共17×17本/25mmの織り密度で平織布
を織製し、その後該ネツトをテンタ−型加熱機を用い温
度135℃で加熱し、繊維の交点が熱融着したネツトを
得た。
【0024】前記の物を、ネツト/不織布/ネツトの三
層に積層し、スル−エア−型加熱機を用い、温度140
℃で10秒間加熱後、直ちに温度30℃のカレンダ−ロ
−ルで処理し、不織布とネツトが熱融着した濾材を得
た。この濾材を80℃20分間加熱放置しその前後の最
大孔径の変化率を求めた。
【0025】前記濾材をひだ折り加工機を用い、ひだの
高さ20mm、ひだの形状がW状の濾材を得た。該ひだ
折りされた濾材を、その側面に多数の孔がある外径30
mm、高さ250mmの中空状金属中芯に巻き付け、内
径約30mm、外形70mmの濾材を得た。なお該濾材
の左右の端部は熱融着した。更に、上下両端部を、直径
30mmの開口部がある金属製端面シ−ル部材を、バイ
ンダ−で接着し円筒状の濾材を得た。この濾材は外形7
0mmのひだ折りなしの物に較べ、表面積が約9.1倍
増加した。表1に、加熱前の濾材の最大孔径や、加熱後
の濾材の最大孔径変化率や、通気度、引張強力等を、及
びひだ折りされ且つ中空円筒状に加工された濾材の濾過
性能等の試験結果を示した。表1より、本発明の濾材
は、加熱後の最大孔径変化率が4%であり加熱に対する
孔径安定性が良く、しかもひだ折り加工後の物は濾過精
度が4μmとよい事が判る。
【0026】実施例2 前記実施例(1)記載の方法と同じ方法で、複合メルト
ブロ−紡糸をし熱融着性極細繊維が熱融着された不織布
を得た。但し実施例(1)において、複合成分の組合せ
を、実施例(1)に同じポリプロピレン(第1成分)/
融点137℃、MFR40(g/10分、230℃)
の、プロピレン.エチレン.ブテン−1ランダムコポリ
マ−(第2成分)とし、紡糸条件を、ポリプロピレンが
290℃で、コポリマ−が300℃とし、紡糸孔から吐
出された繊維を、温度390℃の加熱空気を圧力1.4
kg/cm2 の条件で吹き付けた。又、スル−エア−型
加熱機による加熱条件温度145℃とした。該熱融着性
極細複合繊維ウェブは、繊維径が1.3μmであつた。
熱融着処理後の不織布は目付けが102g/m2であつ
た。
【0027】前記実施例(1)記載のネツトに替え、複
合成分が、該実施例(2)の極細繊維不織布に使用した
物に同じランダムコポリマ−(鞘)/前記実施例(1)
のネツトの芯成分に使用した物に同じポリプロピレン
(芯)で、複合比が鞘40/芯60(重量比)で、繊度
や経緯の繊維密度が前記実施例(1)に同じである物を
使用した。但しテンタ−型加熱機による加熱温度を14
5℃とした。
【0028】ネツト/不織布/ネツトの三層に積層し、
前記実施例(1)同様に、スル−エア−型加熱機を用い
温度145℃で10秒間加熱後、直ちに温度30℃のカ
レンダ−ロ−ルで処理し、不織布とネツトが熱融着した
濾材を得た。
【0029】この濾材を、前記実施例(1)同様に、ひ
だ折り加工し、更に円筒状の濾材に加工した。ひだ折り
加工前の濾材、及び円筒状濾材の物性、濾過性能等を表
1に示す。この濾材は外形70mmのひだ折りなしの物
に較べ、表面積が約9.1倍増加した。表1より、本発
明の濾材は、加熱後の最大孔径変化率が0%であり加熱
に対する孔径安定性がよく、しかもひだ折り加工後の物
は濾過精度が1.0μmとよい事が判る。
【0030】実施例3 MFR43(g/10分、190℃)の高密度ポリエチ
レンを鞘成分とし、固有粘度0.60、融点253℃の
ポリエチレンテレフタレ−トを芯成分とし、孔径0.3
mm、孔数501の鞘芯型メルトブロ−口金より複合メ
ルトブロ−紡糸した。紡糸条件は、複合比が40(鞘)
/60(芯)(重量比)、紡糸温度が高密度ポリエチレ
ンを260℃、ポリエチレンテレフタレ−トを280℃
とし、総吐出量120g/分の条件で押出し、紡糸孔か
ら吐出された繊維を、温度385℃の空気を圧力1.6
kg/cm2 Gで導入し、噴出気体吸引装置付きのコン
ベア−ネツト上に吹き付けた。該熱融着性極細複合繊維
ウェブは、繊維径が3.8μmであつた。このウェブを
スル−エア−型加熱機を用い、温度145℃で10秒間
加熱し、繊維の交点が熱融着した目付け100g/m2
の不織布を得た。
【0031】前記実施例(1)記載のネツトに替え、複
合成分が、該実施例(3)の極細繊維不織布に使用した
物に同じ高密度ポリエチレン(鞘)/前記実施例(1)
のネツトの芯成分に使用した物に同じポリプロピレン
(芯)で、複合比が60(鞘)/40(芯)(重量比)
で、繊度500d/fの熱融着性複合モノフイラメント
を、経緯共11×11本/25mmの織り密度で平織布
を織製し、テンタ−型加熱機を用い温度145℃で加熱
し、繊維の交点が熱融着したネツトを用いた。
【0032】ネツト/不織布/ネツトの三層の物を、前
記実施例(1)同様に、スル−エア−型加熱機を用い温
度145℃で10秒間加熱後、直ちに温度30℃のカレ
ンダ−ロ−ルで処理し処理し、不織布とネツトが熱融着
した濾材を得た。
【0033】この濾材を、前記実施例(1)同様に、ひ
だ折り加工し、更に円筒状の濾材に加工した。この濾材
の物性、濾過性能等を表1に示す。この濾材は外形70
mmのひだ折りなしの物に較べ、表面積が約9.1倍増
加した。表1より、本発明の濾材は、加熱後の最大孔径
変化率が1.8%であり加熱に対する孔径安定性が良
く、しかもひだ折り加工後の物は濾過精度が8.3μm
とよい物である事が判る。
【0034】比較例1 MFR120(g/10分、230℃)、融点163℃
のポリプロピレンを、孔径0.3mm、孔数501のレ
ギュラ−繊維用メルトブロ−用紡糸口金より、メルトブ
ロ−紡糸した。紡糸条件は、紡糸温度が280℃で、吐
出量が120g/分の条件で押出し、紡糸孔から吐出さ
れた繊維を、温度360℃の空気を圧力1.3kg/c
2 Gで導入し、実施例(1)に同じ噴出気体吸引装置
付きのコンベア−ネツト上に吹き付けた。該極細レギュ
ラ−繊維ウェブは、繊維径が2.6μmであつた。この
ウェブを実施例(1)に同じスル−エア−型加熱機を用
い、温度145℃で10秒間加熱し、目付け101g/
2 の不織布を得た。
【0035】前記実施例(1)で使用したネツトと上記
不織布とを、ネツト/不織布/ネツトの三層状に積層
し、スル−エア−型加熱機を用い、温度145℃で10
秒間処理し、不織布とネツトが熱融着した濾材を得た。
この濾材を、前記実施例(1)同様に、ひだ折り加工
後、更に円筒状の濾材に加工した。この濾材の物性、濾
過性能等を表1に示す。この濾材は外形70mmのひだ
折りなしの物に較べ、表面積が約9.1倍増加した。表
1より、比較例(1)の濾材は、極細繊維の径が実施例
(1)の物より細いが、加熱後の最大孔径変化率が20
%以上であり加熱により目開きし孔径安定性が劣る事が
判る。しかもひだ折り加工後の物は濾過精度が13.5
μmであり、実施例(1)の物より、加熱に対する孔径
安定性及び濾過精度の何れも悪い濾材である事が判る。
【0036】比較例2 前記比較例(1)と同じ不織布及び前記実施例(1)と
同じネツトを用い、ネツト/不織布/ネツトの三層状に
積層した。該積層物を、スル−エア−型加熱機を用い、
温度145℃で10秒間処理し、その後直ちに温度30
℃のカレンダ−ロ−ルで処理し、不織布とネツトが熱融
着した濾材を得た。この濾材を、前記実施例(1)同様
に、ひだ折り加工後、更に円筒状の濾材に加工した。こ
の濾材は外形70mmのひだ折りなしの物に較べ、表面
積が約9.1倍増加した。表1より、比較例(2)の濾
材は、極細繊維の径が実施例(1)の物より細いが、加
熱後の最大孔径変化率が20%以上であり加熱により目
開きし孔径安定性が悪く、しかもひだ折り加工後の物は
濾過精度が11.6μmであり、実施例(1)の物より
悪い濾材である事が判る。
【0037】比較例3 前記比較例(1)において、極細繊維ウェブを、スル−
エア型加熱機で、温度145℃で10秒間加熱後直ちに
温度140℃のカレンダ−ロ−ルで処理して得た、目付
け103g/m2 の不織布と、前記実施例(1)と同じ
ネツトを用い、ネツト/不織布/ネツトの三層状に積層
した。該積層物を、スル−エア−型加熱機を用い、温度
145℃で10秒間処理し、その後直ちに温度140℃
のカレンダ−ロ−ルで処理し、不織布とネツトが熱融着
した濾材を得た。この濾材を、前記実施例(1)同様
に、ひだ折り加工後、更に円筒状の濾材に加工した。こ
の濾材は外形70mmのひだ折りなしの物に較べ、表面
積が約9.1倍増加した。表1より、比較例(3)の濾
材は、極細繊維の径が実施例(1)の物より細いが、加
熱後の最大孔径変化率が20%以上であり加熱により目
開きし孔径安定性が悪く、しかもひだ折り加工後の物は
濾過精度が8.3μmであり、実施例(1)の物より悪
い濾材である事が判る。
【0038】比較例4 前記比較例(1)において、極細繊維ウェブを、凸部面
積12%のエンボスロ−ルとフラツトロ−ルとを用い温
度145℃で処理して得た、目付け101g/m2 の不
織布と、前記実施例(1)と同じネツトを用い、ネツト
/不織布/ネツトの三層状に積層した。該積層物を、カ
レンダ−ロ−ルを用い温度145℃で処理し、不織布と
ネツトが熱融着した濾材を得た。この濾材を、前記実施
例(1)同様に、ひだ折り加工後、更に円筒状の濾材に
加工した。この濾材は外形70mmのひだ折りなしの物
に較べ、表面積が約9.1倍増加した。表1より、比較
例(3)の濾材は、極細繊維の径が実施例(1)の物よ
り細いが、加熱後の最大孔径変化率が20%以上であり
加熱により目開きし孔径安定性が悪く、しかもひだ折り
加工後の物は濾過精度が10.1μmであり、実施例
(1)の物より悪い濾材である事が判る。
【0039】実施例4 前記実施例(2)で得た複合メルトブロ−法極細繊維ウ
ェブを、スル−エア−型加熱機を用い、温度145℃で
10秒間処理し、その後直ちに温度140℃のカレンダ
−ロ−ルで処理し繊維の交点が熱融着した目付け104
g/m2 の不織布と、前記実施例(2)のネツトとを用
い、ネツト/不織布/ネツトの三層状に積層した。該積
層物を、カレンダ−ロ−ルを用い温度138℃で処理
し、不織布とネツトが熱融着した濾材を得た。この濾材
を、前記実施例(1)同様に、ひだ折り加工後、更に円
筒状の濾材に加工した。この濾材は外形70mmのひだ
折りなしの物に較べ、表面積が約9.1倍増加した。表
1より、実施例(4)の濾材は、加熱後の最大孔径変化
率が0%であり孔径安定性が良く、ひだ折り加工後の物
は濾過精度が0.8μmとよい物である事が判る。
【0040】実施例5 前記実施例(1)で得た目付け99g/m2 の熱融着し
た不織布と、前記実施例(3)で得たネツトとを用い、
ネツト/不織布/ネツトの三層状に積層した。該積層物
を、スル−エア−型加熱機を用い、温度140℃で10
秒間処理し、ネツトと不織布が熱融着した濾材を得た。
この濾材を、前記実施例(1)同様に、ひだ折り加工
後、更に円筒状の濾材に加工した。この濾材は外形70
mmのひだ折りなしの物に較べ、表面積が約9.1倍増
加した。表1より、実施例(5)の濾材は、加熱後の最
大孔径変化率が0%であり良く、しかもひだ折り加工後
の物は濾過精度が5.6μmとよい物である事が判る。
【0041】実施例6 前記実施例(1)で得た複合メルトブロ−法極細繊維ウ
ェブを、温度130℃のカレンダ−ロ−ルで処理し、目
付け103g/m2の熱融着不織布を得た。該不織布と
前記実施例(1)で得たネツトとを用い、ネツト/不織
布/ネツトの三層状に積層した。該積層物を、カレンダ
−ロ−ルを用い、温度120℃で処理し、ネツトと不織
布が熱融着した濾材を得た。この濾材を、前記実施例
(1)同様に、ひだ折り加工後、更に円筒状の濾材に加
工した。この濾材は外形70mmのひだ折りなしの物に
較べ、表面積が約9.1倍増加した。表1より、実施例
(6)の濾材は、加熱後の最大孔径変化率が20%以下
であり孔径安定性が良く、しかもひだ折り加工後の物は
濾過精度が6.8μmと良い物である事が判る。
【0042】実施例7 前記実施例(1)で得た、不織布とネツトが熱融着した
濾材を、ア−ス電極上に直接載せ、その上部の放電電極
から14kv/cmの直流電圧を印加した高電界中で2
0秒間処理し、エレクトレツト化した濾材を得た。該濾
材を30cm×30cmの大きさに切取り、人の出入の
多い事務所のテ−ブル上に置き浮遊塵を該濾材に自然吸
着させた、2箇月後、濾材表面の汚れ具合いを、JIS
−L0805規定の汚染用グレ−スケ−ル(1級:汚染
が大、5級:汚染が小)で判定したところ2.5級であ
つた。一方エレクトレツト化しない前記実施例(1)で
得た濾材も同時に汚れ具合いを観察したところ、4.5
級であつた。
【0043】
【発明の効果】本発明の濾材は、極細繊維不織布と、モ
ノフイラメント製ネツトのそれぞれの複合繊維を熱融着
しているので、加熱しても孔径変化率が小さい。このた
め加熱滅菌や、高温濾過、モーター振動近接部で使用し
ても、高精度の濾過を安定して行うことができ、長時間
安定して使用することができた。又、この濾材は、ひだ
折りや凹凸状等の加工ができた。又、該ひだ折り加工さ
れた濾材は、前記効果に加え、更に表面積が多いので濾
過ライフが長いという効果があった。又、不織布のウェ
ブとして、複合メルトブロ−法ウェブを用いた物は繊維
に帯電防止剤等の仕上げ剤が付着していないので、食品
分野の精密濾過用の濾材等としても使用出来た。
【0044】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B03C 3/28 8925−4D

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維径10μm以下の熱融着性極細複
    合繊維不織布と、熱融着性複合モノフイラメント製ネツ
    トとを熱融着し、かつ最大孔径が120μm以下である
    濾材。
  2. 【請求項2】 極細複合繊維の融点差が15℃以上で
    あり、複合モノフイラメントの融点差が15℃以上であ
    り、且つ該極細複合繊維と該複合モノフイラメントの低
    融点成分の融点差が15℃以下である請求項1の濾材。
  3. 【請求項3】 メルトブロー法熱融着性極細複合繊維
    を熱融着した不織布と、繊維径が約30〜4000d/
    f、織り密度約0.5〜25本/25mmの熱融着性複
    合モノフイラメントを用いたネツトとを積層し、次いで
    熱融着した請求項1の濾材。
  4. 【請求項4】 加熱後の最大孔径変化率が20%以下
    である請求項1〜3の濾材。
  5. 【請求項5】 通気度が0.1〜100cc/cm
    2 .sec、引張強力が2〜100kg/5cmである
    請求項1〜4の濾材をひだ折り加工した濾材。
  6. 【請求項6】 不織布がエレクトレツト化されたもの
    である請求項1〜5何れかに記載の濾材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2006305342A (ja) * 2005-03-31 2006-11-09 Toray Ind Inc 吸着担体および体外循環用カラム
JP2009066531A (ja) * 2007-09-13 2009-04-02 Anlet Co Ltd デミスター装置

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JP2006305342A (ja) * 2005-03-31 2006-11-09 Toray Ind Inc 吸着担体および体外循環用カラム
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