JP2023081326A - 血液浄化用担体及び血液浄化カラム - Google Patents

血液浄化用担体及び血液浄化カラム Download PDF

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Abstract

【課題】血液中の活性化白血球等の炎症性細胞と炎症性サイトカイン等の両方を高効率で吸着除去することが可能な血液浄化用担体を提供すること。【解決手段】水不溶性ポリマーを含む水不溶性担体と、アニオン性ポリマーを含む第1の層と、カチオン性ポリマーを含む第2の層を有し、上記水不溶性担体は、上記第1の層、上記第2の層の順にコーティングされており、上記水不溶性担体は、上記第1の層と非共有結合し、上記第1の層と上記第2の層の厚みの合計が、15~120nmである血液浄化用担体。【選択図】なし

Description

本発明は、血液浄化用担体及び血液浄化カラムに関する。
近年、血液から活性化白血球や炎症性サイトカイン等の血液成分を選択的に分離、吸着する目的で、種々の血液浄化用担体及び当該担体を充填したカラムが開発されている。
血液浄化用担体の吸着性能を向上させる手段としては、対象物質、例えば、活性化白血球等の炎症性細胞と親和性を有する材料を担体に用いる方法や、炎症性サイトカイン等と相互作用の強いリガンドを材料表面に付与する方法が一般的に知られている。
例えば、特許文献1には、内層と外層で異なる材質を用いた2層構造のビーズ状担体において、血液と接触する外層として酢酸セルロース、ナイロン、ポリスチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリメタクリル酸メチル又はポリビニルアルコール等の材料からなる血液成分を吸着する層を設け、内層として機械的強度を高めることや、担体分解産物の生成量の抑制を果たすように機能する層を設けることで、外層を薄くすることを可能としたビーズ状担体が開示されている。
特許文献2には、水に対する接触角が55~95°の範囲内にある材質、具体的にはポリスチレン、酢酸セルロース、ナイロン、ポリトリフルオロエチレン又はポリエチレンテレフタレート等からなるビーズ状担体をカラム等に収容した装置に血液を流し込んで処理することで、癌患者の血液中から選択的に顆粒球を除去することが開示されている。
特許文献3には、医薬、医療等の分野で利用可能性のある粒子である、カルボキシメチルセルロースやポリアクリル酸等のアニオン性ポリマーと、キトサン、ポリアリルアミン等のカチオン性ポリマーからなるポリイオンコンプレックス微粒子の製造方法に係る発明が開示されている。
特許文献4には、アルキレンイミン、リジン、プロタミン及びジアリルジメチルアンモニウムクロライド等を構成モノマーとするカチオン性のポリマーをポリエステル等からなる基材の表面に共有結合させるとともに、抗凝固活性を有する化合物をカチオン性ポリマーにイオン結合させることで、基材への血栓の付着を抑制しつつ、静脈内皮細胞等の細胞接着性を高めることが開示されている。
特許文献5には、ヘパリン又はヘパリン誘導体以外の抗血小板付着性能と抗トロンビン活性化性能の双方を有する抗血栓性化合物及びベタイン化合物を、アルキレンイミン、リジン、プロタミン、アクリル酸、グルタミン酸、シュウ酸又は酒石酸等を構成モノマーとするポリマーを介してポリエステル等からなる基材に共有結合することで、抗血栓性化合物及びベタイン化合物を強固に固定しつつ表面に露出させて抗血栓性を高めた抗血栓性材料が開示されている。
特許文献6には、エチレングリコール、ビニルピロリドン、ビニルアルコール、スチレン及びメチルメタクリレート等を構成モノマーとするポリマーと、4-(アミノメチル)ベンゼンカルボキシイミダミド又はベンゼンアミジンの骨格構造及びメトキシベンゼンスルホン酸アミドの骨格構造を含む材料をポリエステル等からなる基材に共有結合させることで抗血小板付着性能と抗トロンビン活性化性能の両方の性能を高めた抗血栓性材料が開示されている。
特許第3952406号公報 特許第2673567号公報 特許第4583777号公報 特許第6435863号公報 特開2016-220717号公報 国際公開2015/080176号
しかしながら特許文献1では、ビーズ状担体で活性化白血球等の炎症性細胞や炎症性サイトカインを吸着、除去することについての記載はない。
特許文献2のビーズ状担体は、その材質の性質から単球等、他の活性化白血球等も吸着除去しているものと考えられるが、炎症性サイトカインの吸着についての記載はなく、表面に電荷を有する官能基が導入されていないことから、電荷を有する炎症性サイトカインについても吸着しないと考えられる。
特許文献3のポリイオンコンプレックス微粒子は、アニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーをポリスチレン又は酢酸セルロース等の材料に被覆して用いることを目的にしておらず、炎症性細胞や炎症性サイトカインを吸着、除去することについての記載もない。またポリイオンコンプレックス微粒子を単独で体外循環用途に使用する場合には、その微粒子が血液中に溶出する懸念がある。
特許文献4~6には、抗血栓性材料が炎症性細胞や炎症性サイトカインを吸着、除去することについて記載はなく、また材料表面が抗凝固活性を有する化合物やベタイン化合物で過剰に覆われすぎると、吸着対象である活性化白血球や炎症性サイトカインの吸着が阻害される懸念がある。
そこで本発明では、血液中の活性化白血球等の炎症性細胞と、炎症性サイトカイン等との両方を高効率で吸着除去することが可能な、血液浄化用担体を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を進めた結果、水不溶性担体の表面にアニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーからなるポリイオンコンプレックスを適切な厚みでコーティングすることで、炎症性細胞と炎症性サイトカイン等の高効率な吸着除去性能を両立できることを見出した。
すなわち、本発明の血液浄化用担体は、以下の構成からなる。
(1)セルロース、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリエステル並びにこれらの共重合体からなる群から選択される水不溶性ポリマーを含む水不溶性担体と、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、カルボキシメチルセルロース及びその塩並びにこれらの共重合体からなる群から選択されるアニオン性ポリマーを含む第1の層と、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、キトサン、ポリリジン及びその塩並びにこれらの共重合体からなる群から選択されるカチオン性ポリマーを含む第2の層と、を有し、上記水不溶性担体は、上記第1の層、上記第2の層の順にコーティングされており、上記水不溶性担体は、上記第1の層と非共有結合し、上記第1の層と上記第2の層との厚みの合計が15~120nmである、血液浄化用担体。
(2)乾燥質量1g当たりの陽性荷電量が0.03~0.20mmolである、(1)記載の血液浄化用担体。
(3)上記水不溶性担体は、ビーズである、(1)又は(2)記載の血液浄化用担体。
(4)上記ビーズの直径は、0.5~3.0mmである、(3)記載の血液浄化用担体。
(5)活性化白血球及び炎症性サイトカインの吸着除去用である、(1)~(4)のいずれか記載の血液浄化用担体。
(6)(1)~(5)のいずれか記載の血液浄化用担体を備える、血液浄化カラム。
本発明の血液浄化用担体は、炎症性細胞の吸着除去性能を維持しつつ、炎症性サイトカイン等を高効率に吸着、除去することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の血液浄化用担体は、セルロース、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリエステル並びにこれらの共重合体からなる群から選択される水不溶性ポリマーを含む水不溶性担体と、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、カルボキシメチルセルロース及びその塩並びにこれらの共重合体からなる群から選択されるアニオン性ポリマーを含む第1の層と、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、キトサン、ポリリジン及びその塩並びにこれらの共重合体からなる群から選択されるカチオン性ポリマーを含む第2の層と、を有し、上記水不溶性担体は、上記第1の層、上記第2の層の順にコーティングされており、上記水不溶性担体は、上記第1の層と非共有結合し、上記第1の層と上記第2の層との厚みの合計が15~120nmであることを特徴としている。
「血液浄化用担体」とは、血液成分中にある有機物を吸着する性能を有する担体を意味し、該担体の少なくとも一部に水不溶性担体を含み、水不溶性担体単独及び適当な補強材に水不溶性担体が固定化又は混合されたものも含む。固定化又は混合の操作は、所望の形状に加工する前に行ってもよいし、加工した後に行ってもよい。
「血液成分」とは、血液を構成する成分を意味し、例えば、血液中の液性因子や血液中の細胞が挙げられる。本発明の血液浄化用担体が吸着対象物質とする血液成分に特に制限はないが、血液成分の中でも血液中の液性因子が吸着対象物質として好ましい。
「血液中の液性因子」とは、血液中に溶解している有機物を意味する。具体的には、尿素、β2-ミクログロブリン、炎症性サイトカイン、IgE若しくはIgG等のタンパク質又はlipopolysaccharide(以下、LPSと略す)等の多糖類が挙げられる。中でも、尿素、炎症性サイトカイン等のタンパク質又はLPS等の多糖類が吸着対象物質として好ましく、さらに本発明の血液浄化用担体を炎症性疾患の治療を目的として使用する場合は、炎症性サイトカインが吸着対象物質としてより好ましい。
「炎症性サイトカイン」とは、感染や外傷等の刺激により、免疫担当細胞を始めとする各種の細胞から産生され細胞外に放出されて作用する一群のタンパク質を意味し、例えば、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン1~インターロイキン15、腫瘍壊死因子-α、腫瘍壊死因子-β、ハイモビリティーグループボックス-1、エリスロポエチン又は単球走化因子が挙げられる。
「血液中の細胞」とは、血液中に含まれる細胞を意味し、例えば、顆粒球、単球、好中球若しくは好酸球等の白血球成分、赤血球又は血小板が挙げられるが、中でも炎症性疾患の治療を目的として体外循環を行う場合は、血液中の液性因子に加えて、白血球成分、活性化白血球又は活性化白血球-活性化血小板複合体を吸着除去することが好ましい。
「活性化白血球」とは、炎症性サイトカインやLPS等の刺激により炎症性サイトカインや活性酸素等を放出する白血球を意味し、例えば、活性化顆粒球や活性化単球が挙げられる。活性化白血球の活性化の程度は、活性酸素量の測定又は表面抗原の発現をフローサイトメトリー等で測定することで判別できる。
「活性化血小板」とは、炎症性サイトカインやLPS等の刺激により炎症性サイトカインや活性酸素等を放出する血小板を意味する。
「活性化白血球-活性化血小板複合体」とは、活性化白血球と活性化血小板とが結合し、自己組織への貪食作用を有し、炎症性サイトカインを放出する複合体を意味するが、白血球の種類は特に制限されるものではなく、例えば、活性化顆粒球-活性化血小板複合体や活性化単球-活性化血小板複合体が挙げられる。
「吸着」とは、物質が材料に付着し、容易に剥離しない状態又は吸着平衡状態を意味する。吸着の原理に特に制限はないが、例えば、静電相互作用、疎水性相互作用、水素結合若しくはファンデルワールス力等の分子間力によって付着した状態又は細胞の接着若しくは白血球の貪食等、物理的に付着している状態を意味する。
「水不溶性ポリマー」とは、水に対して不溶性を示すポリマーのことを意味する。水に不溶とは、ポリマーを水に入れる前後の乾燥質量変化が1%以下であることを意味する。この乾燥質量変化はポリマーを乾燥質量の9倍量の37℃の水に1時間浸漬した後にピンセット等で引き上げ、残った水を50℃以下で真空乾燥させた後に残った固形分の乾燥質量の浸漬前の乾燥質量に対する割合である。不溶化されていない場合は、実際に使用する場合の溶出物が多くなる危険性があり、安全上好ましくない。
「乾燥質量」とは、乾燥状態の固体の質量を意味する。ここで乾燥状態の固体とは、当該固体中に含まれる液体成分の量が1質量%以下の状態の固体を表し、固体の質量を測定した後に80℃、大気圧で24時間加熱乾燥し、残存した固体の質量減少量が乾燥前の質量の1%以下であるとき、当該固体は乾燥状態とみなす。
本発明の血液浄化用担体は、セルロース、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリエステル並びにこれらの共重合体からなる群から選択される水不溶性ポリマーを含む水不溶性担体を有する。活性化白血球との親和性の観点から、水不溶性ポリマーは、セルロース、酢酸セルロース、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン及びポリエステル共重合体からなる群から選択される水不溶性ポリマーであることが好ましく、酢酸セルロースであることがより好ましい。
「水不溶性担体」とは、上記水不溶性ポリマーを構成成分として含む担体のことを意味する。上記水不溶性ポリマーを構成成分として含んでいれば、それ以外の成分は任意に組み合わせてもよいが、血液中の血液成分を吸着する観点から、血液と接触する部分は、上記水不溶性ポリマーを構成成分として含むことが好ましい。
水不溶性担体の形状としては、比表面積が大きく、取扱い性に優れる点でビーズ状又は繊維状が好ましい。またビーズは射出成形により作製することが可能であり、安価に製造できることから、水不溶性担体はビーズであることが好ましい。
水不溶性担体がビーズである場合、複数の層からなる多層構造を有していてもよい。複数の層からなる場合、血液に接触する外層は、血液成分を吸着させる観点から、上記水不溶性ポリマーを構成成分として含むことが好ましい。
水不溶性担体が多層構造を有するビーズである場合、内層を構成する材料としては、外層に用いられる水不溶性ポリマー、ポリカーボネート、鉄、アルミニウム銅、セラミックス又はガラスが挙げられる。機械的強度を高める観点から、ポリカーボネート、鉄、アルミニウム銅、セラミックス又はガラスが好ましく、溶出物等の安全性、射出成形による取り扱い性の観点から、ポリカーボネートがより好ましい。
ビーズの水不溶性担体は、例えば、射出成形により製造できる。溶融させた水不溶性ポリマーを割り金型に射出することで、目的のビーズを製造できる。ビーズが多層構造を有する場合、内層となる材料を用いて射出成形によりビーズを製造した後、さらに別の割り金型の中に内層となるビーズを配置し、外層となる水不溶性ポリマーを溶融、射出することで、多層構造を有するビーズが製造できるが、この方法に限られるものではない。
外層の厚みは、血液成分の吸着と機械的強度の観点から、0.5~5.0mmであることが好ましい。
水不溶性担体がビーズである場合、対象物質を吸着させるための十分な比表面積を確保する観点から、ビーズの直径は、0.5~5.0mmであることが好ましく、1.0~3.0mmであることがより好ましく、1.5~2.5mmであることがさらに好ましい。
ビーズの直径は、ビーズの直径をノギスで測定することで得られた値を示しており、具体的には、血液浄化用担体であるビーズを、ノギスで場所を変えながら合計5か所を測定し、平均化することで1個のビーズの直径を算出する。この操作を5個以上のビーズで実施して得られた各ビーズの直径の平均値を算出することで求めることができる。
水不溶性担体が繊維である場合、単糸当たりの強度を保つ観点から、水不溶性担体は海島複合繊維であることが好ましい。該海島複合繊維は、適当な補強材を固定化又は混合したものを含んでいてもよく、例えば、後述の島成分は補強材と見なすことができる。特に水不溶性である島成分を用いた場合、島成分も水不溶性担体の一部とする。
水不溶性担体が繊維である場合、上記繊維を加工した糸束、ヤーン、ネット、フェルト、編地又は織物等であり、表面積が大きく、流路抵抗の小ささを考慮すると糸束、フェルト、編地又は織物であることが好ましく、糸束又は編地がより好ましい。編地及びネットの製造方法としては、例えば、平織り法又は筒編み法が挙げられる。特に、単位体積当たりの充填質量が多く、血液浄化カラムに充填する観点から、筒編み法により製造される編地が好ましい。
水不溶性担体が繊維である場合、繊維径は、いずれの太さであってもよいが、吸着対象物質との接触面積向上と水不溶性担体の強度維持の観点から、3~200μmが好ましく、5~50μmがより好ましく、10~40μmがさらに好ましい。
繊維径とは、繊維の小片サンプル10個をランダムに採取して、走査型電子顕微鏡を用いて1000~3000倍の写真をそれぞれ撮影し、各写真辺り10か所(計100か所)の繊維の直径を測定した値の平均値を意味する。
本発明の血液浄化用担体は、水不溶性ポリマーを含む水不溶性担体と、血液中の液性因子を吸着させる観点から、アニオン性ポリマーを含む第1の層と、カチオン性ポリマーを含む第2の層を有し、水不溶性担体は、第1の層、第2の層の順にコーティングされている。
第1の層と第2の層をコーティングする処理はそれぞれ1回ずつでも構わないが、これに限定されるものではない。例えば、第1の層、第2の層の順に1回ずつコーティングする処理を1セットとした時、血液中の液性因子を吸着させるために十分なコーティング厚みを形成する観点から、1~20セットが好ましい。
本発明の血液浄化用担体において、水不溶性担体は第1の層と非共有結合されている。両者を共有結合させるために水不溶性担体の表面の性質を改質した場合、血液中の液性因子や血液中の細胞を吸着する性能が変化する懸念がある。一方で、両者を非共有結合させることで、水不溶性担体の表面の性質を改質が不要となり、上記の懸念が小さくなる。非共有結合としては、例えば、静電相互作用、水素結合、疎水性相互作用又はファンデルワールス力等が挙げられる。中でも、工程の簡便さの観点から、水素結合、疎水性相互作用、ファンデルワールス力が好ましい。コーティングにおいては、これらの非共有結合を複数組み合わせて用いてもよい。
また、第1の層と第2の層とは、共有結合又は静電相互作用、水素結合、疎水性相互作用若しくはファンデルワールス力等の非共有結合のいずれをしていてもよい。特に、第1の層と第2の層とをコーティングした水不溶性担体が、イオン強度の高い液体や、高温、アルコールなどの疎水性を有する溶媒などに曝される可能性がある場合は、第1の層と第2の層とを共有結合させることで、第2の層の脱落を抑制することができる。
共有結合の種類は、特に限定はされないが、第1の層を構成するアニオン性ポリマーがカルボン酸構造を有し、第2の層を構成するカチオン性ポリマーがアミン構造を有する場合、第2の層は第1の層にアミド結合を介してコーティングすることができる。アミド結合を形成する際の縮合剤としては、例えば、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド、1-エーテル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、1-エーテル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(以下、WSC・HClと略す)、1,3-ビス(2,2-ジメチルー1,3-ジオキソラン-4-イルメチル)カルボジイミド、N-{3-(ジメチルアミノ)プロピル-}-N’-エチルカルボジイミド、N-{3-(ジメチルアミノ)プロピル-}-N’-エチルカルボジイミドメチオダイド、N-tert-ブチル-N’-エチルカルボジイミド、N-シクロヘキシル-N’-(2-モルフォイノエチル)カルボジイミド、メソ-p-トルエンスルフォネート、N,N’-ジ-tert-ブチルカルボジイミド若しくはN,N’-ジ-p-トリカルボジイミド等のカルボジイミド系化合物又は4(-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルフォリニウムクロリドn水和物(以下、DMT-MMと略す)が挙げられる。中でも、コーティングする担体が水不溶性であること及びより簡便かつ安価で取り扱い性に優れることから、水溶媒中で縮合が可能な、WSC・HCl又はDMT-MMが好ましい。
本発明の血液浄化用担体は、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、カルボキシメチルセルロース及びその塩並びにこれらの共重合体からなる群から選択されるアニオン性ポリマーを含む第1の層を有する。第1の層が上記のアニオン性ポリマーを含むことにより、水不溶性担体に非共有結合を介して第1の層をコーティングすることができる。さらに水への溶解性が特に優れること、溶液の粘度が大きく変化せず取り扱いが容易であることから、アニオン性ポリマーは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸が好ましく、ポリアクリル酸がより好ましい。
本発明の血液浄化用担体は、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、キトサン、ポリリジン及びその塩並びにこれらの共重合体からなる群から選択されるカチオン性ポリマーを含む第2の層を有する。第2の層が上記カチオン性ポリマーを含むことにより、第1の層にアミド結合などの共有結合又は非共有結合を介して第2の層をコーティングすることができる。さらに水への溶解性が特に優れること、溶液の粘度が大きく変化せず取り扱い性が容易であることから、カチオン性ポリマーは、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミンが好ましく、ポリエチレンイミンがより好ましい。
上記アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマーの重量平均分子量(以下、Mwと略す)が大きければコーティングの厚みは増し、Mwが小さいとコーティングの厚みは薄くなることから、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマーのMwは、2000~150000が好ましく、5000~100000がより好ましく、75000~100000がさらに好ましい。アニオン性ポリマー及びカチオン性ポリマーのMwは、ゲル浸透クロマトグラフィー法(水系溶媒)で測定されるポリエチレングリコール換算のMwである。
上記アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマーを溶解させる溶媒としては、例えば、水、塩を含む水溶液(例えば、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、塩化アンモニウム緩衝液、水酸化ナトリウム水溶液、食塩水、炭酸ナトリウム水溶液又は炭酸水素ナトリウム水溶液)又はこれらの混合溶媒が挙げられるが、水が好ましい。
第1の層と第2の層とのそれぞれの厚みは、例えば、アニオン性ポリマー又はカチオン性ポリマーを溶解させた溶液の濃度を変えることで制御できる。具体的には、濃度を高くすると、一般にコーティングの厚みは増す。しかし、濃度が高すぎる場合、粘度増大により取り扱い難さが増す可能性がある観点から、0.01~20質量%が好ましく、0.1~10質量%がより好ましく、0.5~5質量%がさらに好ましい。いずれの好ましい下限値もいずれの好ましい上限値と組み合わせることができる。
水不溶性担体を浸漬する場合の温度は、10~80℃が好ましく、20~60℃がより好ましい。
水不溶性担体を浸漬する場合の時間は、1分~8時間が好ましく、10分~4時間がより好ましく、30分~2時間がさらに好ましい。
本発明の血液浄化用担体の吸着性能は、水不溶性担体にコーティングされた第1の層と第2の層との厚みの合計を所定の範囲にすることで制御できる。具体的には、厚みが増すと血液中の液性因子に対する吸着性能は高くなる一方で、水不溶性担体が第1の層と第2の層に覆われてしまうと、血液中の細胞に対する吸着性能が低下する恐れがある。厚みが薄くなると、血液中の細胞に対する吸着性能が高まる一方で、血液中の液性因子に対する吸着性能が低下する恐れがある。そのため、本発明の血液浄化用担体における第1の層と第2の層との厚みの合計は、15~120nmであり、18~100nmが好ましく、20~80nmがより好ましく、22~50nmがさらに好ましく、25~35nmが最も好ましい。いずれの好ましい下限値もいずれの好ましい上限値と組み合わせることができる。
「第1の層と第2の層との厚みの合計」は、本明細書においては、水不溶性ポリマーを含む水不溶性担体の表面にコーティングされた、アニオン性ポリマーを含む第1の層の厚みと、カチオン性ポリマーを含む第2の層の厚みの合計を意味する。なお、第1の層と第2の層のコーティングを複数回実施している場合、全ての第1の層の厚みと全ての第2の層の厚みの合計を意味する。具体的には、血液浄化用担体を25℃、16時間真空乾燥させ、RuO染色超薄切片法により試料薄膜を作製し、走査型透過型電子顕微鏡(H-7100FA;株式会社日立製作所製)を用いて、加速電圧100kVの条件で観察することで、血液浄化用担体の断面を観察し、RuOにより染色された領域を第1の層と第2の層との厚みの合計として測定する。この操作を異なる3視野、各視野につき5か所の厚みを測定し、合計15か所の厚みを測定して得られた平均値から、血液浄化用担体の第1の層と第2の層との厚みの合計を算出できる。
「陽性荷電量」とは、本明細書においては、血液浄化用担体に含まれるカチオン性ポリマーに由来した陽性荷電の量のことを意味する。アニオン性ポリマーからなる第1の層に対して、カチオン性ポリマーである第2の層を過剰量積層させ、乾燥質量1g当たりの陽性荷電量を特定の範囲に制御することで、血液浄化用担体に対して静電相互作用によって中和しきれなかった陽性荷電を好適な量持たせることができ、血液中の液性因子、具体的には炎症性サイトカインに対して、より高い吸着性能を発揮させることができる。
陽性荷電量は血液浄化用担体を酸塩基逆滴定することにより測定できる。具体的な方法としては、ナスフラスコに血液浄化用担体を1.5g加え、乾燥機にて常圧下、80℃で48時間静置することで乾燥処理をした血液浄化用担体を得る。次に、乾燥処理をした血液浄化用担体を1.0g、6mol/L水酸化ナトリウム水溶液50mLを添加して30分攪拌し、濾紙を用いて血液浄化用担体を濾別する。次にイオン交換水50mLに濾別した血液浄化用担体を添加して30分間攪拌し、濾紙を用いて血液浄化用担体を濾別する。該濾別した血液浄化用担体をイオン交換水に添加し、洗浄及び濾別操作を、添加したイオン交換水の濾別後のろ液のpHが7になるまで繰り返すことで脱塩後の血液浄化用担体が得られ、該脱塩後の血液浄化用担体を30℃に設定した真空乾燥機で真空条件下、8時間静置する。続いて、乾燥処理した血液浄化用担体を1.0g、0.1mol/L塩酸を30mL添加し、10分間攪拌後、溶液のみを5mL抜き取り、ポリプロピレン製容器に移す。次に、抜き取った溶液に対して、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を0.1mL滴下し、滴下後10分間攪拌、溶液のpHを測定する。0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の滴下後10分間の攪拌、pHの測定操作を溶液のpHが8.5を越えるまで同様に繰り返す。溶液のpHが8.5を越えた際の0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液滴下量を血液浄化用担体の1g当たりの滴定量とする。1g当たりの滴定量と以下の式(1)を用いて、血液浄化用担体における乾燥質量1g当たりの陽性荷電量を算出することができる。
血液浄化用担体における乾燥質量1g当たりの陽性荷電量(mmol/g)={添加した0.1mol/L塩酸の液量(30mL)/抜き取った塩酸の液量(5mL)}×血液浄化用担体の1g当たりの滴定量(mL/g)×水酸化ナトリウム水溶液濃度(0.1mol/L) ・・・式(1)
本発明の血液浄化用担体における陽性荷電量は、炎症性サイトカインに対して十分な吸着性能を発揮させる観点から、乾燥質量1g当たり0.03~0.20mmolが好ましく0.05~0.18mmolがより好ましく、0.10~0.15mmolがさらに好ましい。いずれの好ましい下限値もいずれの好ましい上限値と組み合わせることができる。
血液浄化用担体における陽性荷電量は、第1の層に含まれるアニオン性ポリマーと、第2の層に含まれるカチオン性ポリマーとを、コーティングする際の溶液濃度の比率等によって制御できる。例えば、第1の層と第2の層を静電相互作用で非共有結合する場合、第1の層を形成するアニオン性ポリマーの溶液濃度に対する、第2の層を形成するカチオン性ポリマーの溶液濃度が高い場合、陽性荷電量の値は大きくなる。
本発明の血液浄化用担体は、血液浄化カラムに充填する担体として好ましく用いられ、特に、炎症性疾患の治療を目的として体外循環を行う場合は、活性化白血球及び/又は炎症性サイトカインの吸着除去用の担体として好適に用いられる。血液浄化用担体を用いた血液浄化カラムを体外循環用カラムとして血液浄化療法に用いる場合には、体外に導出した血液を直接カラムに通してもよいし、血漿分離膜等と組み合わせて使用してもよい。
「炎症性疾患」とは、体内で炎症反応が惹起される疾患全体を表し、例えば、全身性エリテマトーデス、悪性関節リウマチ、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、クローン病、薬剤性肝炎、アルコール性肝炎、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎若しくはE型肝炎、敗血症(例えば、グラム陰性菌由来の敗血症、グラム陽性菌由来の敗血症、培養陰性敗血症、真菌性敗血症)、インフルエンザ、急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome;ARDS、急性呼吸促迫症候群、急性呼吸促進症候群とも表記される)、急性肺障害(acute lung injury;ALI)、膵炎、特発性間質性肺炎(Idiopathic Pulmonary Fibrosis;IPF)、炎症性腸炎(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病)、血液製剤の輸血、臓器移植、臓器移植後の再灌流障害、胆嚢炎、胆管炎又は新生児血液型不適合が挙げられる。炎症性疾患の中でも、血薬剤性肝炎、アルコール性肝炎、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎若しくはE型肝炎、敗血症(例えば、グラム陰性菌由来の敗血症、グラム陽性菌由来の敗血症、培養陰性敗血症、真菌性敗血症)、インフルエンザ、急性呼吸窮迫症候群、急性肺障害、膵炎又は特発性間質性肺炎は、液中に原因物質が放出され、血液浄化による治療効果が特に期待できる。本発明の血液浄化カラムの用途としては、例えば、上記の炎症性疾患の治療用途が好ましく、中でも薬剤のみでは治療が困難であり、活性化白血球と炎症性サイトカインの両方が関与している疾患と考えられる、敗血症(例えば、グラム陰性菌由来の敗血症、グラム陽性菌由来の敗血症、培養陰性敗血症、真菌性敗血症)、インフルエンザ、急性呼吸窮迫症候群、急性肺障害又は特発性間質性肺炎の治療用途がより好ましい。
血液浄化用担体の血液浄化性能の評価方法としては、例えば、IL-8吸着率を測定する方法が挙げられる。IL-8は血液成分中に含まれる炎症性サイトカインの一種であり、炎症性疾患患者において、特に細気管支炎やウイルス感染により発症した疾患の血液成分に顕著に高値となることが知られていることから、血液浄化性能評価用の血液成分として好適である。IL-8の吸着率が高いほど、血液浄化用担体の血液浄化性能が高いと判断できる。
また、血液浄化用担体の血液浄化性能の別の評価方法としては、活性化白血球の除去率を評価する方法が挙げられる。活性化白血球の除去率の算出方法としては、例えば、入口及び出口を有する容器に血液浄化用担体を充填し、活性化白血球を含む液体を通液させて、入口及び出口でのそれらの濃度の変化からそれらの除去率をそれぞれ算出する方法が挙げられる。
活性化白血球は細胞であり除去率の測定ばらつきを含むという観点から、活性化白血球の除去率が6%以上であれば、有意に除去されていると判定できる。しかし、水不溶性担体が繊維であった場合、繊維間隙に活性化白血球が過剰に吸着すると目詰まりを起こし、循環圧力上昇の懸念があることから、活性化白血球の除去率は80%以下が好ましい。
また、本発明の血液浄化カラムは、本発明の血液浄化用担体を備えることを特徴としている。
「血液浄化カラム」とは、少なくとも液体入口部と、ケース部と、液体出口部とを、有しており、ケース部には血液浄化用担体が充填されているものを意味する。カラムとしては、例えば、ラジアルフロー型のカラムが挙げられる。
本発明の血液浄化カラムは、液体を通過させることで当該液体中から血液成分等を吸着することができることから、血液成分等を含んだ液体から目的とする血液成分を精製又は除去する用途として用いることができ、例えば、特定の血液成分の分離等に用いることができる。そして、本発明の血液浄化カラムは、血液成分の中でも、特に血液中の液性因子、血液中の細胞の吸着除去用途として好適に用いられ、中でも炎症性サイトカイン、活性化白血球の吸着除去用の血液浄化カラムとして特に好適に用いられる。
血液浄化カラムの容器形状としては、血液成分等を含む液体の入口部、出口部及びケース部を有する容器で、当該ケース部内に血液浄化用担体を充填できる形状であればよい。一つの実施形態としては、血液浄化用担体をパイプに巻きつけ、円筒状にしたもの(以下、円筒と略す)を内部に充填できる容器で、血液成分等を含む液体が円筒の外周より入り円筒の内側へと流れた後に血液成分等を含む液体が容器外に出る容器又は液体が円筒の内側より入り円筒の外側へと流れた後に血液成分等を含む液体が容器外に出る容器が挙げられる。製造効率や処理液のショートパス抑制の観点からは、側面に孔を持つパイプに対して血液浄化用担体が巻きつけられている構造が好ましく、具体的には、供給された血液成分等を含む液体を流出するために設けられた孔を長手方向の側面に備える中心パイプと、上記中心パイプの周りに充填され、血液成分等を含む液体に含まれる標的物質を吸着させる血液浄化用担体と、流入してきた血液成分等を含む液体が上記中心パイプの中を通るように上記中心パイプの上流端に連通され、上記液体が上記中心パイプを通過せずに上記血液浄化用担体と接触するのを防ぐように配置されたプレートと、上記中心パイプの下流端を封鎖し、上記水不溶性担体を上記中心パイプの周りの空間に固定するように配置されたプレートと、を備えるラジアルフロー型の容器が挙げられる。
また、血液浄化カラムの容器形状は、円柱状、三角柱状、四角柱状、六角柱状又は八角柱状等の角柱状容器が挙げられるが、これらの構造に限定されるものではない。また別の実施形態としては、血液浄化用担体を円形に切り取ったものを充填可能な円筒状の空間を内部に有した容器で、液体導入口及び液体排出口を有した容器が考えられる。具体的には、供給された液体を流出するために設けられた液体導入口を備えるプレートと、供給された液体を排出するために設けられた液体排出口を備えるプレートと、血液浄化用担体を円形に切り取ったものが充填された円筒のケース部とを、内部に有し、液体導入口及び液体排出口を有した容器が挙げられる。なお、この場合、血液浄化用担体の形は円形に限らず、血液浄化カラムの容器形状に合わせて楕円形、三角形や四角形等の多角形、台形等任意の形状に適宜変更することができる。
血液浄化カラムの容器としては、ガラス製、プラスチック製、樹脂製又はステンレス製等のものが挙げられ、容器のサイズは使用目的に応じて適宜選択される。血液浄化カラムの容器の大きさ等に特に制限はないが、臨床現場や測定場所での操作性、廃棄の容易さを考慮すると、材質としてはプラスチック製又は樹脂製が好ましく、大きさは手に握りやすい大きさが好ましく、血液浄化カラム全体の高さは1~30cm以下、外径は1~10cm以下、内容積は200cm以下であることが好ましい。なお、後述する実施例においては、測定の簡便さから、内容積0.94cm(内径1.0cm×高さ1.2cm)、外径2.0cmの血液浄化カラムを使用しているが、この限りではない。
血液浄化用担体が繊維である場合は、血液浄化カラム内に積層されて充填されていることが好ましい。ここで、積層とは、血液浄化用担体を2枚以上密着させて重ねることを意味し、積層されて充填する方法としては、例えば、アキシャルフローカラムのようにシート形態に加工した血液浄化用担体を複数枚重ねていく方法や、ラジアルフローカラムのように孔を持つパイプにシート形態に加工した血液浄化用担体を巻きつけていく方法が挙げられる。
血液浄化カラム内に充填するものは、血液浄化用担体が単独でもよく、他の水不溶性担体、各種スペーサーを組み合わせて充填してもよい。スペーサーとしては、例えば、編地、織物若しくは不織布等シート形状にした繊維、膜、ビーズ又はハイドロゲルが挙げられる。
以下、本発明の血液浄化用担体について実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<血液浄化用担体における乾燥質量1g当たりの陽性荷電量測定>
血液浄化用担体における乾燥質量1g当たりの陽性荷電量は、該血液浄化用担体を酸塩基逆滴定することより測定した。200mLナスフラスコに血液浄化用担体を1.5g加え、乾燥機にて常圧下、80℃で48時間静置することで乾燥処理をした血液浄化用担体を得た。次に、ポリプロピレン製容器に、上記血液浄化用担体を1.0g、6mol/L水酸化ナトリウム水溶液50mLを添加して30分攪拌し、濾紙を用いて血液浄化用担体を濾別した。次にイオン交換水50mLに上記血液浄化用担体を添加して30分間攪拌し、濾紙を用いて血液浄化用担体を濾別した。上記血液浄化用担体をイオン交換水に添加し、洗浄及び濾別操作を、添加したイオン交換水の濾別後のろ液のpHが7になるまで繰り返すことで脱塩後の血液浄化用担体を得た。該脱塩後の血液浄化用担体を30℃に設定した真空乾燥機で真空条件下、8時間静置した。続いて、ポリプロピレン製容器に、上記血液浄化用担体を1.0g、0.1mol/L塩酸を30mL添加し、10分間攪拌した。攪拌後、溶液のみを5mL抜き取り、ポリプロピレン製容器に移した。次に、抜き取った溶液に対して、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を0.1mL滴下した。滴下後10分間攪拌し、溶液のpHを測定した。0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の滴下後10分間の攪拌、pHの測定操作を溶液のpHが8.5を越えるまで同様に繰り返した。溶液のpHが8.5を越えた際の0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液滴下量を血液浄化用担体1g当たりの滴定量とした。血液浄化用担体1g当たりの滴定量と以下の式(1)を用いて、血液浄化用担体における1g当たりの陽性荷電量を算出した。
血液浄化用担体における乾燥質量1g当たりの陽性荷電量(mmol/g)={添加した0.1mol/L塩酸の液量(30mL)/抜き取った塩酸の液量(5mL)}×血液浄化用担体の1g当たりの滴定量(mL/g)×水酸化ナトリウム水溶液濃度(0.1mol/L) ・・・式(1)
なお、陽性荷電量は小数点第3位を四捨五入した値を用いた。
<血液浄化用担体の第1の層と第2の層との厚みの合計測定>
血液浄化用担体の第1の層と第2の層との厚みの合計は、乾燥状態の血液浄化用担体の断面を、透過型電子顕微鏡を用いて観察し、測定した。血液浄化用担体を25℃、16時間真空乾燥させ、RuO染色超薄切片法により試料薄膜を作製し、透過型電子顕微鏡(H-7100FA;株式会社日立製作所製)を用いて、加速電圧100kVの条件で断面観察を行い、RuOにより染色された領域を第1の層と第2の層との厚みの合計として測定した。3か所視野を変えて、各視野につき5か所厚みを測定し、合計15か所の厚みを測定して得られた平均値から、血液浄化用担体における第1の層と第2の層との厚みの合計を得た。
<血液浄化用担体の活性化白血球除去率測定>
上下に溶液の出入り口のある円筒状カラム(後述する血液浄化用担体1~8及び11~19の場合:内径1cm×高さ1.2cm、外径2cm、内容積0.94cm、ポリプロピレン製を、後述する血液浄化用担体9及び10の場合:内径0.5cm×高さ10cm、内容積1.9cm、ポリカーボネート製を使用した)に、所定量の血液浄化用担体を充填することで、血液浄化用担体充填カラムを作製した。LPSを70EU/mLになるよう添加した健常ヒトボランティア血液を37℃、30分間、65rpmで振とうして活性化させた。活性化させた血液を当該カラムに流量0.63mL/分で通液し、カラム入口及び出口で血液のサンプル採取を行った。カラム出口のサンプルはカラム内に血液が流入した時点を0分とし、6.5分間通液したものを採取した。採取したサンプルを多項目自動血球分析装置で測定し、以下の式(2)を用いて、血液浄化用担体の活性化白血球除去率を測定した。
活性化白血球除去率(%)=(血液通液試験後の血液中の活性化白血球濃度(10cells/μL))/(血液通液試験前の血液中の活性化白血球濃度(10cells/μL)) ・・・式(2)
なお、活性化白血球除去率は小数点第1位を四捨五入した値を用いた。
<血液浄化用担体のIL-8吸着率測定>
ポリプロピレン製のアシストチューブに後述する血液浄化用担体1~5及び11~19の場合は75mgを入れ、後述する血液浄化用担体6~8の場合は、直径6mmの円板状に切り抜いた血液浄化用担体を4枚ずつ入れ、後述する血液浄化用担体9及び10の場合は、1cm×152本を入れた。このアシストチューブに、IL-8の濃度が2000pg/mLなるように調製した牛胎児血清(Fetal Bovine Serum、以下、FBSと略す)を、1cmの血液浄化用担体に対して88mLとなるように添加し、37℃のインキュベータ内で1時間転倒混和した後、酵素結合免疫吸着(ELISA)法にてFBS中のIL-8濃度を測定した。転倒混和前及び転倒混和後のIL-8濃度から以下の式(3)によりIL-8吸着率を算出した。
IL-8吸着率(%)={転倒混和前のIL-8濃度(pg/mL)-転倒混和後のIL-8濃度(pg/mL)}/転倒混和前のIL-8濃度(pg/mL)×100 ・・・式(3)
なお、IL-8吸着率は小数点第1位を四捨五入した値を用いた。
(比較例1)
酢酸セルロースで構成されたビーズである“アダカラム”(登録商標;株式会社JIMRO社製)をパイプカッターにより解体し、取り出したビーズ(ビーズ直径:2.3mm)を血液浄化用担体1とした。血液浄化用担体1を1.63g充填した血液浄化用担体1充填カラムを作製した。陽性荷電量、第1の層と第2の層との厚みの合計、活性化白血球除去率、IL-8吸着率を測定した結果を表1に示す。
(実施例1)
1.0質量%のポリアクリル酸(Mw:25万;富士フィルム和光純薬株式会社製)水溶液30mLに、上記血液浄化用担体11.0gを37℃中で30分間浸漬させた後、デカンテーションによりポリアクリル酸水溶液を除き、イオン交換水30mLを添加して5分間浸漬する操作を3回行うことで、第1の層をコーティングした血液浄化用担体1を得た。次いで、1.1質量%のポリエチレンイミン(Mw:75万;シグマアルドリッチ製)水溶液30mLに、上記第1の層をコーティングした血液浄化用担体1を入れ、37℃中で30分間浸漬させた後、デカンテーションによりポリエチレンイミン水溶液を除き、イオン交換水30mLを添加して5分間浸漬する操作を3回行うことで、上記第2層をコーティングした血液浄化用担体2を得た。血液浄化用担体2を1.63g充填した血液浄化用担体2充填カラムを作製した。陽性荷電量、第1の層と第2の層との厚みの合計、活性化白血球除去率、IL-8吸着率を測定した結果を表1に示す。
(実施例2)
ポリエチレンイミン水溶液の濃度を1.5質量%に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行うことで、血液浄化用担体3を得た。血液浄化用担体3を1.63g充填した血液浄化用担体3充填カラムを作製した。陽性荷電量、第1の層と第2の層との厚みの合計、活性化白血球除去率、IL-8吸着率を測定した結果を表1に示す。
(実施例3)
ポリエチレンイミン水溶液の濃度を3.0質量%に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行うことで、血液浄化用担体4を得た。血液浄化用担体4を1.63g充填した血液浄化用担体4充填カラムを作製した。陽性荷電量、第1の層と第2の層との合計の厚み、活性化白血球除去率、IL-8吸着率を測定した結果を表1に示す。
(実施例4)
ビーズの材質をポリスチレン(ビーズ直径3.3mm)に変更し、ポリアクリル酸水溶液の濃度を2.0質量%に変更し、ポリエチレンイミン水溶液の濃度を3.0質量%に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行うことで、血液浄化用担体5を得た。血液浄化用担体5を1.25g充填した血液浄化用担体5充填カラムを作製した。陽性荷電量、第1の層と第2の層との厚みの合計、活性化白血球除去率、IL-8吸着率を測定した結果を表1に示す。
(実施例5)
海成分として、メルトフローレート(単位:g/10分;以下、MFRと略す。)が18g/10分のポリスチレン(Mw:18万;PSジャパン株式会社製)、島成分として、MFRが12g/10分のポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製)を用いて別々に溶融計量し、1つの吐出孔当たり700の島成分用分配孔が穿設された海島複合口金が組み込まれた紡糸パックに流入させて、海島複合流とし、溶融吐出した。島比率を50質量%に制御し、単繊度3.0dtex、繊維径20μm、島数700個、フィラメント数36本である、海島繊維Aを作製した。続いて、筒編み機(機種名:丸編み機 MR-1;丸善産業株式会社製)の度目調整目盛りを調整し、目付けが56g/m、嵩密度が0.20g/cmの編地Aを得た。
ビーズを編地Aに変更した以外は、実施例4と同様の操作を行うことで、血液浄化用担体6を得た。直径1cmの円板状に切り抜いた血液浄化用担体6を22枚積層して充填した血液浄化用担体6充填カラムを作製した。陽性荷電量、第1の層と第2の層との厚みの合計、活性化白血球除去率、IL-8吸着率を測定した結果を表1に示す。
(実施例6)
島成分が、芯成分と鞘成分とからなり、上記芯成分として、MFRが12g/10分のポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製)、上記鞘成分として、MFRが18g/10分のポリスチレン(Mw:18万;PSジャパン株式会社製)、海成分として、5-ナトリウムスルホイソフタル酸8.0モル%及び数平均分子量1000のポリエチレングリコール10質量%が共重合したポリエチレンテレフタレート(共重合PET1; 溶融粘度:45Pa・s)を用いて別々に溶融計量し、各ポリマー成分を計量する複数の計量孔を有する計量プレート、計量孔からの吐出ポリマーを合流する合流溝に複数の分配孔が穿設されている分配プレートで構成されており、島成分中の鞘成分がスリット形状になるよう加工された海島複合口金が組み込まれた紡糸パックに流入させて、海島複合流とし、溶融吐出した。芯/鞘比率を50/50(v/v)、海/島比率を30/70(v/v)に制御し、単繊度5.0dtex、繊維径30μm、フィラメント数24本である、海島繊維Bを得た。続いて、筒編み機(機種名:丸編み機 MR-1;丸善産業株式会社)の度目調整目盛りを調整し、目付けが55g/m、嵩密度が0.20g/cmの編地Bを得た。
編地Aを編地Bに、ポリアクリル酸水溶液の濃度を1.0質量%に、ポリエチレンイミン水溶液の濃度を1.5質量%に変更した以外は、実施例5と同様の操作を行うことで、血液浄化用担体7を得た。直径1cmの円板状に切り抜いた血液浄化用担体7を20枚積層して充填した血液浄化用担体7充填カラムを作製した。陽性荷電量、第1の層と第2の層との厚みの合計、活性化白血球除去率、IL-8吸着率を測定した結果を表1に示す。
(実施例7)
上記編地Aを、室温でクロロホルム50mLに浸漬させ、一晩静置して海成分を溶解させた後、メタノール、イオン交換水の順で洗浄することで、編地Cを得た。
編地Aを編地Cに、ポリアクリル酸水溶液の濃度を3.0質量%に、ポリエチレンイミン水溶液の濃度を4.0質量%に変更した以外は、実施例5と同様の操作を行うことで、血液浄化用担体8を得た。直径1cmの円板状に切り抜いた血液浄化用担体8を30枚積層して充填した血液浄化用担体8充填カラムを作製した。陽性荷電量、第1の層と第2の層との厚みの合計、活性化白血球除去率、IL-8吸着率を測定した結果を表1に示す。
(実施例8)
アイソタクティックポリメチルメタクリレート5質量部及びシンジオタクティックポリメチルメタクリレート20質量部をジメチルスルホキシド75質量部に加え、加熱溶解し、ポリメチルメタクリレート(以下、PMMAと略す)原液を得た。このPMMA原液をオリフィス型二重円筒型口金の外側の管より吐出し、空気中を200mm通過した後、水100%の凝固浴中に導き、内部注入気体として乾燥窒素を内側の管より吐出することで、繊維径260μmの繊維Cを得た。
ビーズを繊維Cに変更し、ポリアクリル酸水溶液の濃度を2.0質量%、ポリエチレンイミン水溶液の濃度を3.0質量%に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行うことで、血液浄化用担体9を得た。円筒状カラム(内径0.5cm×高さ10cm、内容積1.9cm、ポリカーボネート製)を用い、10cm×157本に切り出した血液浄化用担体9を積層して充填し血液浄化用担体9充填カラムを作製した。陽性荷電量、第1の層と第2の層との厚みの合計、活性化白血球除去率、IL-8吸着率を測定した結果を表1に示す。
(実施例9)
ポリスルホン(Udel-P3500;アモコ社製)16質量部、ポリビニルピロリドンK30(インターナショナルスペシャルプロダクツ社製;以下、ISP社製と略す。)2質量部、ポリビニルピロリドンK90(ISP社製)2質量部をN,N-ジメチルアセトアミド79質量部、水1質量部を加熱溶解し、ポリスルホン原液とした。このポリスルホン原液を環状スリット部の外径0.3mm、内径0.2mmのオリフィス型二重円筒型口金の外側の管より吐出し、空気中を200mm通過した後、水100%の凝固浴中に導き、内部注入液として、N,N-ジメチルアセトアミド63質量%、水37質量%からなる溶液を内側の管より吐出することで、繊維径280μmの繊維Dを得た。
ビーズを繊維Dに変更し、ポリエチレンイミン水溶液の濃度を1.5質量%に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行うことで、血液浄化用担体10を得た。円筒状カラム(内径0.5cm×高さ10cm、内容積1.9cm、ポリカーボネート製)を用い、10cm×157本に切り出した血液浄化用担体10を積層して充填し血液浄化用担体10充填カラムを作製した。陽性荷電量、第1の層と第2の層との厚みの合計、活性化白血球除去率、IL-8吸着率を測定した結果を表1に示す。
(実施例10)
ポリアクリル酸水溶液の濃度を8.0質量%に変更し、ポリエチレンイミン水溶液の濃度を10.0質量%に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行うことで、血液浄化用担体11を得た。血液浄化用担体11を1.60g充填した血液浄化用担体11充填カラムを作製した。陽性荷電量、第1の層と第2の層との厚みの合計、活性化白血球除去率、IL-8吸着率を測定した結果を表1に示す。
(比較例2)
ポリエチレンイミン水溶液をイオン交換水に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行うことで、血液浄化用担体12を得た。血液浄化用担体12を1.65g充填した血液浄化用担体12充填カラムを作製した。陽性荷電量、第1の層と第2の層との厚みの合計、活性化白血球除去率、IL-8吸着率を測定した結果を表1に示す。
(比較例3)
ポリアクリル酸水溶液をイオン交換水に変更し、ポリエチレンイミン水溶液の濃度を1質量%に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行うことで、血液浄化用担体13を得た。血液浄化用担体13を1.66g充填した血液浄化用担体13充填カラムを作製した。陽性荷電量、第1の層と第2の層との厚みの合計、活性化白血球除去率、IL-8吸着率を測定した結果を表1に示す。
(比較例4)
ポリエチレンイミン水溶液の濃度を1.0質量%に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行うことで、血液浄化用担体14を得た。血液浄化用担体14を1.65g充填した血液浄化用担体14充填カラムを作製した。陽性荷電量、第1の層と第2の層との厚みの合計、活性化白血球除去率、IL-8吸着率を測定した結果を表1に示す。
(実施例11)
ポリエチレンイミン水溶液の濃度を5.0質量%に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行うことで、血液浄化用担体15を得た。血液浄化用担体15を1.65g充填した血液浄化用担体15充填カラムを作製した。陽性荷電量、第1の層と第2の層との厚みの合計、活性化白血球除去率、IL-8吸着率を測定した結果を表1に示す。
(実施例12)
ポリアクリル酸水溶液への浸漬時間を2時間に変更し、ポリエチレンイミン水溶液への浸漬時間を2時間に変更した以外は、実施例10と同様の操作を行うことで、血液浄化用担体16を得た。血液浄化用担体16を1.64g充填した血液浄化用担体16充填カラムを作製した。陽性荷電量、第1の層と第2の層との厚みの合計、活性化白血球除去率、IL-8吸着率を測定した結果を表1に示す。
(実施例13)
0.1質量%のDMT-MM(富士フィルム和光純薬社製)水溶液30mLに、血液浄化用担体2を1.0g、37℃中で一晩浸漬させた後、デカンテーションによりDMT-MM水溶液を除き、イオン交換水30mLを添加して5分間浸漬する操作を3回行うことで、血液浄化用担体17を得た。血液浄化用担体17を1.66g充填した血液浄化用担体17充填カラムを作製した。陽性荷電量、第1の層と第2の層との厚みの合計、活性化白血球除去率、IL-8吸着率を測定した結果を表1に示す。
(実施例14)
DMT-MM水溶液の濃度を1.0質量%に変更した以外は、実施例12と同様の操作を行うことで、血液浄化用担体18を得た。血液浄化用担体18を1.65g充填した血液浄化用担体18充填カラムを作製した。陽性荷電量、第1の層と第2の層との厚みの合計、活性化白血球除去率、IL-8吸着率を測定した結果を表1に示す。
(実施例15)
DMT-MM水溶液の濃度を3.0質量%に変更した以外は、実施例12と同様の操作を行うことで、血液浄化用担体19を得た。血液浄化用担体19を1.62g充填した血液浄化用担体19充填カラムを作製した。陽性荷電量、第1の層と第2の層との厚みの合計、活性化白血球除去率、IL-8吸着率を測定した結果を表1に示す。
Figure 2023081326000001
上記の結果より、本発明の血液浄化用担体は、血液と接触する表面に、アニオン性ポリマーを含む第1の層と、カチオン性ポリマーを含む第2の層が、コーティングされており、第1の層と第2の層との厚みの合計が、所定の範囲内である血液浄化用担体は高効率に活性化白血球やIL-8を吸着除去できることが明らかとなった。
本発明の血液浄化用担体は、高効率に活性化白血球や炎症性サイトカイン等を吸着除去できるため、体外循環用の吸着担体として利用できる。

Claims (6)

  1. セルロース、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリエステル並びにこれらの共重合体からなる群から選択される水不溶性ポリマーを含む水不溶性担体と、
    ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、カルボキシメチルセルロース及びその塩並びにこれらの共重合体からなる群から選択されるアニオン性ポリマーを含む第1の層と、
    ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、キトサン、ポリリジン及びその塩並びにこれらの共重合体からなる群から選択されるカチオン性ポリマーを含む第2の層と、
    を有し、
    前記水不溶性担体は、前記第1の層、前記第2の層の順にコーティングされており、
    前記水不溶性担体は、前記第1の層と非共有結合し、
    前記第1の層と前記第2の層との厚みの合計が15~120nmである、血液浄化用担体。
  2. 乾燥質量1g当たりの陽性荷電量が0.03~0.20mmolである、請求項1記載の血液浄化用担体。
  3. 前記水不溶性担体は、ビーズである、請求項1又は2記載の血液浄化用担体。
  4. 前記ビーズの直径は、0.5~3.0mmである、請求項3記載の血液浄化用担体。
  5. 活性化白血球及び炎症性サイトカインの吸着除去用である、請求項1又は2記載の血液浄化用担体。
  6. 請求項1又は2記載の血液浄化用担体を備える、血液浄化カラム。
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