JP2006304921A - シューズのアッパー構造 - Google Patents

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剛 大禮
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Abstract

【課題】 横方向の動作時にアッパーの変形によるパワーロスを効果的に防止できるシューズのアッパー構造を提供する。
【解決手段】 シューズのアッパー構造において、着用者の足の前足部を覆うアッパーUを設けるとともに、子趾球部HEに対応するアッパーUの子趾球部領域に伸び止め処理を施し、子趾球部領域の弾性係数をアッパーUの他の領域の弾性係数よりも大きくした。これにより、シューズ全体のコストアップや重量アップを抑制しつつ、横方向の動作時にアッパーUの変形を効率よく抑制でき、アッパーUの変形によるパワーロスおよびタイムロスを効果的に防止できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、シューズのアッパー(甲被)構造に関し、詳細には、ステップやターンなどの横方向の動作時にアッパーの変形によるパワーロスを効果的に防止できるアッパー構造の改良に関する。
サッカーやバレーボール、テニスなどの競技種目においては、競技中にステップやターンなどの横方向の動作が頻繁に発生しており、このような動作時には、足をストップさせた後、ストップ方向と逆方向に足を蹴り出す動作も生じている。足の蹴り出し時には、シューズのソールのトラクションにより蹴り出しの力が与えられるが、このとき、シューズのアッパーに対しても、蹴り出しの方向と逆方向つまりストップ方向に力が作用している。
このため、ソールのトラクション性をいくら向上させたところで、シューズのアッパーが変形しやすい素材から構成されている場合には、足に対する十分なサポート性を発揮できず、その結果生じるアッパーの変形によって、ストップ動作から蹴り出し動作に移行する際にパワーロス(およびタイムロス)が生じることになる。
その一方、アッパー全体の剛性を高くしようとすると、コストアップにつながり、シューズ全体の重量もアップする。また、アッパー全体が変形しにくくなると、ランニングなどの前後方向の動作を阻害することにもなる。
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたもので、コストアップおよび重量アップを抑制するとともに、ランニングなどの前後方向の動作を阻害することなく、ステップやターンなどの横方向の動作時にアッパーの変形によるパワーロスを効果的に防止できるアッパー構造を提供しようとしている。
ところで、従来のシューズのアッパー構造は、たとえば特開平11−201号公報に示されている。このアッパー構造においては、陸上競技用シューズの外甲側に略靴甲全域を覆う補強片を設け、内甲側に細いベルト状の補強片を設けるとともに、これらを緊締する連結具を設けている。この場合には、連結具を緊締することにより、着用者の足にシューズをフィットさせ、これにより、トラック競技においてコーナリング時の足の横振れを防止している。
このアッパー構造は、シューズを足にしっかりとホールドさせるためのものであって、コーナリング走を行うトラック競技種目の陸上競技用シューズに好適のものである。その一方、コーナリング時には、足はシューズ内で斜め前方に移動しようとしており、横方向に移動しようとしているのではない。このため、このようなアッパー構造は、ステップやターンなどの横方向の動作が多く発生する競技種目には適切なものとはいえない。
特開平11−201号公報(図2参照)
上述したように、本発明が解決しようとする課題は、シューズのアッパー構造において、横方向の動作時にアッパーの変形によるパワーロスを効果的に防止しようとしている。
本願発明に係る発明者らは、ステップやターンなどの横方向の動作時にシューズのアッパーに実際に作用する力を科学的に検証することから開発をスタートさせた。
まず、コンピュータ上で、人の骨盤、大腿骨、脛骨、腓骨、踵骨、距骨、立方骨、舟状骨、楔状骨、中足骨および趾骨をモデル化することにより、人の下肢骨格モデルを作成した。次に、中足骨および趾骨等からなる足骨格モデルに軟組織モデルを付加し、これにさらにシューズのアッパーモデルを付加して、シューズのアッパーおよび足の軟組織を含む下肢骨格モデルを完成させた。
その一方、被験者に実際にシューズを履いてサイドステップ運動を行ってもらい、このとき、シューズのアッパーの各部位における位置情報(x,y,z座標)を経過時刻とともに測定した。なお、この測定の際には、アッパーの各部位にマーカーを貼り付け、このマーカーの位置の時間的変位を実際に撮影することにより、アッパーの各部位の位置情報を収集した。
次に、収集した位置情報を境界条件として、コンピュータ上の下肢骨格モデルに有限要素解析を実行した。これにより、アッパーに生じる面応力の大きさおよびその方向が求められた。
その解析結果によると、図4に示すように、点A,B,C,Dで示すアッパーUの各部位に面応力(第1主応力)が発生した。点Aは第5趾基節骨PPの中央部を、点Bは第5趾基節骨PPの骨底部を、点Cは第4趾基節骨PPの中央部を、点Dは第4趾中節骨MPの中央部をそれぞれ示している。また、発生した面応力の大きさは、点Aが最も大きく、点B,C,Dの順に小さくなって、点Dが最も小さかった。
また、各部位における面応力の方向は、実際には、三次元的に発生しているのであるが、シューズの真上から見たとき(つまり鉛直下方に投影したとき)、点Aにおける面応力は、図2Aに示すように、シューズのラスト中心線Lに対して後足側からの反時計回りの傾斜角αがα=40〜60°の方向に発生しており、点Bにおける面応力は、図2Bに示すように、ラスト中心線Lに対して前足側からの時計回りの傾斜角βがβ=23〜70°の方向に発生しており、点Cにおける面応力は、図2Cに示すように、ラスト中心線Lに対して後足側からの反時計回りの傾斜角γがγ=2〜15°の方向に発生しており、点Dにおける面応力は、図2Dに示すように、ラスト中心線Lに対して後足側からの反時計回りの傾斜角δがδ=0〜10°の方向に発生している。
本発明は、このような検証結果に基づいてなされたものであって、請求項1の発明に係るシューズのアッパー(甲被)構造は、着用者の足の少なくとも前足部を覆うアッパー部材を有し、アッパー部材の子趾球部領域に伸び止め処理が施されている。
図4に示すように、ここでいう趾球部HEとは、足の第5趾の基節骨PPと中足骨Mとの間の第5趾中足趾節関節MJの部分およびその周囲の足裏膨出部分である。アッパーUの子趾球部領域は、この子趾球部HEを鉛直上方(つまりアッパー側)に投影した領域であって、図4に示すように、点A,B,Cを含んでいる。
請求項1の発明では、サイドステップ運動時にアッパーに発生する4つの面応力のうち、最も小さい面応力を除いた残りの3つの大きな面応力の発生領域をカバーする子趾球部領域に伸び止め処理を施したので、横方向の動作時にアッパーの変形を効率よく抑制でき、これにより、アッパーの変形によるパワーロスを効果的に防止できる。
また、この場合には、パワーロスを防止することによって、横方向の動作時のタイムロスを防止でき、これにより、素早いターン動作が可能になる。しかも、ステップやターンなどの横方向の動作時に最も頻繁に大きな力が作用するアッパーの子趾球部領域に伸び止め処理を施したことにより、当該子趾球部領域の耐久性を向上できる。
さらに、アッパー全体に改良を施すのではなく、上述した検証結果に基づいて、とくに伸び止め処理が必要なアッパーの子趾球部領域にのみ伸び止め処理を施すようにしたので、シューズ全体のコストアップや重量アップを抑制できる。また、この伸び止め処理は、ランニングなどの前後方向の動作時に屈曲する足の第1趾および第2趾中足趾節関節(MJおよびMJ)を拘束するものではないので、前後方向の動作は阻害されない。
請求項2の発明に係るシューズのアッパー構造は、着用者の足の少なくとも前足部を覆うアッパー部材を有し、アッパー部材において第5趾基節骨を通りかつシューズのラスト中心線に対して後足側からの反時計回りの傾斜角40〜66°の方向に延在する第1の領域に伸び止め処理が施されている。
請求項2の発明では、上述した検証結果に基づいて、最大の面応力の発生部位である点Aおよび該面応力の方向をカバーする領域である第1の領域(図1中のR)に伸び止め処理を施したので、シューズ全体のコストアップや重量アップを抑制しつつ、横方向の動作時に最も効果的にアッパーの変形を抑制でき、これにより、パワーロスおよびタイムロスを抑制でき、素早いターン動作が可能になる。それと同時に、横方向の動作時に最も大きな力が作用するアッパーの第1の領域に伸び止め処理を施したことにより、第1の領域の耐久性を向上できる。
請求項3の発明に係るシューズのアッパー構造は、着用者の足の少なくとも前足部を覆うアッパー部材を有し、アッパー部材において第5趾基節骨骨底部を通りかつシューズのラスト中心線に対して前足側からの時計回りの傾斜角23〜70°の方向に延在する第2の領域に伸び止め処理が施されている。
請求項3の発明では、上述した検証結果に基づいて、2番目の大きさの面応力の発生部位である点Bおよび該面応力の方向をカバーする領域である第2の領域(図1中のR)に伸び止め処理を施したので、シューズ全体のコストアップや重量アップを抑制しつつ、横方向の動作時に効果的にアッパーの変形を抑制でき、これにより、パワーロスおよびタイムロスを抑制できる。それと同時に、横方向の動作時に大きな力が作用するアッパーの第2の領域に伸び止め処理を施したことにより、第2の領域の耐久性を向上できる。
請求項4の発明に係るシューズのアッパー構造は、着用者の足の少なくとも前足部を覆うアッパー部材を有し、アッパー部材において第4趾基節骨を通りかつシューズのラスト中心線に対して後足側からの反時計回りの傾斜角−15〜15°の方向に延在する第3の領域に伸び止め処理が施されている。
請求項4の発明では、上述した検証結果に基づいて、3番目の大きさの面応力の発生部位である点Cおよび該面応力の方向をカバーする領域である第3の領域(図1中のR)に伸び止め処理を施したので、シューズ全体のコストアップや重量アップを抑制しつつ、横方向の動作時に効果的にアッパーの変形を抑制でき、これにより、パワーロスおよびタイムロスを抑制できる。それと同時に、横方向の動作時に大きな力が作用するアッパーの第3の領域に伸び止め処理を施したことにより、第3の領域の耐久性を向上できる。
請求項5の発明に係るシューズのアッパー構造は、着用者の足の少なくとも前足部を覆うアッパー部材を有し、アッパー部材において第4趾中節骨を通りかつシューズのラスト中心線に対して後足側からの反時計回りの傾斜角0〜10°の方向に延在する第4の領域に伸び止め処理が施されている。
請求項5の発明では、上述した検証結果に基づいて、4番目の大きさの面応力の発生部位である点Dおよび該面応力の方向をカバーする領域である第4の領域(図1中のR)に伸び止め処理を施したので、シューズ全体のコストアップや重量アップを抑制しつつ、横方向の動作時に効果的にアッパーの変形を抑制でき、これにより、パワーロスおよびタイムロスを抑制できる。それと同時に、横方向の動作時に大きな力が作用するアッパーの第4の領域に伸び止め処理を施したことにより、第4の領域の耐久性を向上できる。
請求項6の発明では、伸び止め処理が施されている領域が、伸び止め処理が施されていない他の領域よりも伸びにくい素材から構成されている。
請求項7の発明では、伸び止め処理が施されている領域の弾性係数が、伸び止め処理が施されていない他の領域の弾性係数よりも高く設定されている。
請求項8の発明では、伸び止め処理が施されている領域は、伸び止め処理が施されていない他の領域に比べて、300Nの荷重で引張試験を行ったときの伸びが84%以下である。
ここで、図3は、アッパーUの第4の領域(図1中のR)にそれぞれ異なる伸び止め処理を施した7種類のシューズを10人の選手にそれぞれ履いてもらってステップターン動作を行い、各シューズについての官能評価を行った結果を示している。
図3において、最上段の数字82〜88(%)は、300Nの荷重で引張試験を行ったときの第4の領域の伸びを示しており、伸び止め処理が施されていない他の領域の伸びに対する比率で表している。なお、この引張試験は、以下の条件で行った。
試験片サイズ: 長さ30mm以上×幅30mm
引張速度: 500mm/min
チャック間隔: 30mm
また、図3中の○印は、選手が伸び止め処理の効果あり(つまり、ステップターン時にサポート感あり)と感じたものを示し、×印は、選手が伸び止め処理の効果なし(つまり、ステップターン時にサポート感なし)と感じたものを示している。図3に示す官能評価結果によれば、引張試験時の伸びが84%以下の場合には、10人中9人以上の選手が伸び止め処理の効果ありと感じていることが分かる。この場合には、一番小さい面応力が発生している領域において効果が感じられたため、これよりも大きな面応力が発生している領域においては、同様に引張試験時の伸びが84%以下であれば効果が感じられるといえる。
請求項8の発明は、このような官能評価試験結果に基づいてなされたものであり、当該発明によれば、確実に伸び止め処理の効果を発揮させることができる。
請求項9の発明では、請求項2ないし5にそれぞれ規定された、伸び止め処理が施された第1ないし第4の領域について、300Nの荷重で引張試験を行ったときの伸びの量が、(第1の領域)<(第2の領域)<(第3の領域)<(第4の領域)の順になるように構成されている。
この場合には、発生する面応力の大きさに応じて、第1ないし第4の領域の伸びの量を調整している。すなわち、発生する面応力が大きくなるほど、伸びの量が小さくなるようにしており、言い換えれば、発生する面応力が小さくなるほど、伸びの量が大きくなるようにしている。
請求項10の発明では、伸び止め処理が、当該領域に埋設した縫製糸のステッチにより、行われている。
請求項11の発明では、伸び止め処理が、当該領域に補強材を設けることにより、行われている。
請求項12の発明では、補強材が、天然皮革、合成皮革、FRP、またはボンディング加工された樹脂から構成されている。
請求項13の発明では、伸び止め処理が、当該領域にベルトを配設することにより、行われている。
以上のように、本発明によれば、科学的検証により求められた面応力の発生部位をカバーする領域に伸び止め処理を施すようにしたので、シューズ全体のコストアップや重量アップを抑制しつつ、横方向の動作時にアッパーの変形を効率よく抑制でき、これにより、アッパーの変形によるパワーロスおよびタイムロスを効果的に防止できる。
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明によるシューズのアッパー構造の平面概略図であって、同図に示すように、シューズは、足の少なくとも前足部を覆うアッパーUを有している。図1中の点A,B,C,Dは、図4中の点A,B,C,Dにそれぞれ対応している。点A,B,C,Dは、上述したように、サイドステップ運動時に面応力(第1主応力)が発生するアッパーU上の部位である。点Aは足の第5趾基節骨PPの中央部を、点Bは第5趾基節骨PPの骨底部を、点Cは第4趾基節骨PPの中央部を、点Dは第4趾中節骨MPの中央部をそれぞれ示している。発生した面応力の大きさは、点Aが最も大きく、点B,C,Dの順に小さくなって、点Dが最も小さくなっている。なお、図1中には、以下の第1ないし第5の実施例が併せて示されている。
<第1の実施例>
図1に示すように、アッパーUは、子趾球部HEに対応する子趾球部領域に伸び止め処理が施されている。ここで、子趾球部HEとは、解剖学的には、図4に示すように、足の第5趾の基節骨PPと中足骨Mとの間の第5趾中足趾節関節MJの部分およびその周囲の足裏膨出部分である。アッパーUの子趾球部領域は、この子趾球部HEを鉛直上方(つまりアッパーU側)に投影した領域である。
子趾球部領域は、点A,B,Cを含む領域である。子趾球部領域は、他の領域に比べて伸びにくい素材(たとえば弾性係数の高い素材)から構成されることにより、伸び止め処理が施されており、たとえば引張弾性率500g/d以上の高弾性繊維から構成されている。
好ましくは、子趾球部領域は、300Nの荷重で引張試験を行ったときの伸びが、伸び止め処理が施されていない他の領域に比べて84%以下になっている。伸びを84%とした根拠は、図3を用いてすでに説明したとおりであり、官能評価試験において9割以上の選手が伸び止めの効果ありと判断したためである。
また、子趾球部領域は、たとえば縫製糸のステッチが埋設されることにより、伸び止め処理が施されている。あるいは、子趾球部領域の伸び止め処理は、当該領域に補強材を設けることにより、行われている。補強材としては、たとえば天然皮革、合成皮革、FRPまたはボンディング樹脂が用いられる。また、子趾球部領域の伸び止め処理は、天然皮革または合成皮革等からなるベルトを当該領域に配設することにより、行われている。
この場合には、図4を用いてすでに説明したように、サイドステップ運動時にアッパーに発生する4つの面応力のうち、最も小さい面応力を除いた残りの3つの大きな面応力の発生領域(つまり点A,B,Cを含む領域)をカバーする子趾球部領域に伸び止め処理を施したので、横方向の動作時にアッパーUの変形を効率よく抑制でき、これにより、アッパーUの変形によるパワーロスを効果的に防止できる。
また、この場合には、パワーロスを防止することによって、横方向の動作時のタイムロスを防止でき、これにより、素早いターン動作が可能になる。しかも、ステップやターンなどの横方向の動作時に最も頻繁に力が作用するアッパーの子趾球部領域に伸び止め処理を施したことにより、当該子趾球部領域の耐久性を向上できる。
さらに、アッパー全体に改良を施すのではなく、図4を用いて説明した検証結果に基づいて、とくに伸び止め処理が必要なアッパーの子趾球部領域にのみ伸び止め処理を施すようにしたので、シューズ全体のコストアップや重量アップを抑制できる。また、この伸び止め処理は、ランニングなどの前後方向の動作時に屈曲する足の第1趾および第2趾中足趾節関節(MJおよびMJ)を拘束するものではないので、前後方向の動作は阻害されない。
なお、前記第1の実施例では、アッパーUの子趾球部領域に伸び止め処理がなされている例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。以下に示す第2ないし第5の実施例は、それぞれ単独で用いられてもよいし、あるいはこれらの2つ以上を組み合わせて用いるようにしてもよい。
<第2の実施例>
第2の実施例では、点Aつまり第5趾基節骨PPの中央部を通る第1の領域Rに伸び止め処理が施されている。第1の領域Rは、図2Aに示すように、シューズのラスト中心線Lに対して後足側からの反時計回りの傾斜角αがα=40〜60°の方向に延在するとともに、図1に示すように、第3趾〜第5趾を跨いで配設されている。なお、本発明でいうところのラスト中心線Lとは、図1に示すように、シューズの最前端部と最後端部とを前後方向に結んだ線のことである。
第2の実施例における伸び止め処理は、前記第1の実施例で説明したものと同様であるが、第1の領域Rがステッチにより構成される場合には、第1の領域Rは傾斜角αの方向に沿って線状に配設された領域であってもよく、また高弾性の素材を縫い込んだり、樹脂をボンディング加工する場合などにおいては、第1の領域Rは、傾斜角αの方向に沿って帯状に延在する領域から構成される。なお、伸び止め処理は、図1に示す第1の領域Rの全長にわたって施されている必要はなく、少なくとも点Aを通って第5趾を跨ぐ長さを有していればよい。
この場合には、最大の面応力の発生部位である点Aおよび該面応力の方向をカバーする領域である第1の領域Rに伸び止め処理を施したので、シューズ全体のコストアップや重量アップを抑制しつつ、横方向の動作時に最も効果的にアッパーの変形を抑制でき、これにより、パワーロスおよびタイムロスを抑制でき、素早いターン動作が可能になる。それと同時に、横方向の動作時に最も大きな力が作用するアッパーの第1の領域Rに伸び止め処理を施したことにより、第1の領域Rの耐久性を向上できる。
<第3の実施例>
この第3の実施例では、点Bつまり第5趾基節骨PPの骨底部を通る第2の領域Rに伸び止め処理が施されている。第2の領域Rは、図2Bに示すように、シューズのラスト中心線Lに対して前足側からの時計回りの傾斜角βがβ=23〜70°の方向に延在するとともに、図1に示すように、第4趾〜第5趾を跨いで配設されている。この第3の実施例における伸び止め処理は、前記第2の実施例で説明したものと同様である。この場合においても、伸び止め処理は、図1に示す第2の領域Rの全長にわたって施されている必要はなく、少なくとも点Bを通って第5趾を跨ぐ長さを有していればよい。
この場合には、2番目の大きさの面応力の発生部位である点Bおよび該面応力の方向をカバーする領域である第2の領域Rに伸び止め処理を施したので、シューズ全体のコストアップや重量アップを抑制しつつ、横方向の動作時に効果的にアッパーの変形を抑制でき、これにより、パワーロスおよびタイムロスを抑制できる。それと同時に、横方向の動作時に大きな力が作用するアッパーの第2の領域Rに伸び止め処理を施したことにより、第2の領域Rの耐久性を向上できる。
<第4の実施例>
この第4の実施例では、点Cつまり第4趾基節骨PPの中央部を通る第3の領域RCに伸び止め処理が施されている。第3の領域RCは、図2Cに示すように、シューズのラスト中心線Lに対して後足側からの反時計回りの傾斜角γがγ=2〜15°の方向に延在し、図1に示すように、第4趾〜第5趾を跨いで配設されるとともに、その先端はつま先部まで延びている。この第4の実施例における伸び止め処理も、前記第2の実施例で説明したものと同様である。この場合においても、伸び止め処理は、図1に示す第3の領域Rの全長にわたって施されている必要はなく、少なくとも点Cを通って第4趾を跨ぐ長さを有していればよい。
この場合には、3番目の大きさの面応力の発生部位である点Cおよび該面応力の方向をカバーする領域である第3の領域Rに伸び止め処理を施したので、シューズ全体のコストアップや重量アップを抑制しつつ、横方向の動作時に効果的にアッパーの変形を抑制でき、これにより、パワーロスおよびタイムロスを抑制できる。それと同時に、横方向の動作時に大きな力が作用するアッパーの第3の領域RCに伸び止め処理を施したことにより、第3の領域RCの耐久性を向上できる。
<第5の実施例>
この第5の実施例では、点Dつまり第4趾中節骨MPの中央部を通る第4の領域Rに伸び止め処理が施されている。第4の領域Rは、図2Dに示すように、シューズのラスト中心線Lに対して後足側からの反時計回りの傾斜角δがδ=0〜10°の方向に延在している。この第5の実施例における伸び止め処理も、前記第2の実施例で説明したものと同様である。この場合においても、伸び止め処理は、図1に示す第4の領域Rの全長にわたって施されている必要はなく、少なくとも点Dを通って第4趾を跨ぐ長さを有していればよい。
この場合には、4番目の大きさの面応力の発生部位である点Dおよび該面応力の方向をカバーする領域である第4の領域Rに伸び止め処理を施したので、シューズ全体のコストアップや重量アップを抑制しつつ、横方向の動作時に効果的にアッパーの変形を抑制でき、これにより、パワーロスおよびタイムロスを抑制できる。それと同時に、横方向の動作時に大きな力が作用するアッパーの第4の領域Rに伸び止め処理を施したことにより、第4の領域Rの耐久性を向上できる。
なお、第1ないし第4の領域R〜Rは、300Nの荷重で引張試験を行ったときの伸びの量が
(第1の領域R)<(第2の領域R)<(第3の領域R)<(第4の領域R
の順になるように構成されている。
これは、発生する面応力の大きさに応じて、各領域の伸びの量を調整するためである。すなわち、発生する面応力が大きくなるほど、伸びの量が小さくなるようにしており、言い換えれば、発生する面応力が小さくなるほど、伸びの量が大きくなるようにしている。
また、上述した伸び止め処理は、相対的なものであって、伸び止め処理が施されない他の領域をメッシュ素材などの伸びやすい素材から構成することにより、伸び止め処理が施されるべき領域を相対的に伸びにくくするようにしてもよい。
なお、前記第2、第4および第5の実施例では、好ましい態様として、各領域がそれぞれ対応する骨の中央部を通る例を示したが、本発明は、各領域がそれぞれ対応する骨のいずれかの部位を通る場合にも同様に適用可能である。
本発明によるシューズのアッパー構造の平面概略図である。 第1の領域の延設方向を説明するための図である。 第2の領域の延設方向を説明するための図である。 第3の領域の延設方向を説明するための図である。 第4の領域の延設方向を説明するための図である。 引張試験での伸びの量の違いによる官能評価試験結果を示す図である。 サイドステップ運動時においてアッパーに対する面応力の発生部位を示す図である。
符号の説明
: 第1の領域
: 第2の領域
: 第3の領域
: 第4の領域

A: 第5趾基節骨中央部
B: 第5趾基節骨骨底部
C: 第4趾基節骨中央部
D: 第4趾中節骨中央部

α,β,γ,δ: 傾斜角

U: アッパー

HE: 子趾球部

Claims (13)

  1. シューズのアッパー構造であって、
    着用者の足の少なくとも前足部を覆うアッパー部材を有し、
    前記アッパー部材の子趾球部領域に伸び止め処理が施されている、
    ことを特徴とするシューズのアッパー構造。
  2. シューズのアッパー構造であって、
    着用者の足の少なくとも前足部を覆うアッパー部材を有し、
    前記アッパー部材において第5趾基節骨を通りかつシューズのラスト中心線に対して後足側からの反時計回りの傾斜角40〜66°の方向に延在する第1の領域に伸び止め処理が施されている、
    ことを特徴とするシューズのアッパー構造。
  3. シューズのアッパー構造であって、
    着用者の足の少なくとも前足部を覆うアッパー部材を有し、
    前記アッパー部材において第5趾基節骨骨底部を通りかつシューズのラスト中心線に対して前足側からの時計回りの傾斜角23〜70°の方向に延在する第2の領域に伸び止め処理が施されている、
    ことを特徴とするシューズのアッパー構造。
  4. シューズのアッパー構造であって、
    着用者の足の少なくとも前足部を覆うアッパー部材を有し、
    前記アッパー部材において第4趾基節骨を通りかつシューズのラスト中心線に対して後足側からの反時計回りの傾斜角−15〜15°の方向に延在する第3の領域に伸び止め処理が施されている、
    ことを特徴とするシューズのアッパー構造。
  5. シューズのアッパー構造であって、
    着用者の足の少なくとも前足部を覆うアッパー部材を有し、
    前記アッパー部材において第4趾中節骨を通りかつシューズのラスト中心線に対して後足側からの反時計回りの傾斜角0〜10°の方向に延在する第4の領域に伸び止め処理が施されている、
    ことを特徴とするシューズのアッパー構造。
  6. 請求項1ないし5のいずれかにおいて、
    前記伸び止め処理が施されている領域は、前記伸び止め処理が施されていない他の領域よりも伸びにくい素材から構成されている、
    ことを特徴とするシューズのアッパー構造。
  7. 請求項1ないし5のいずれかにおいて、
    前記伸び止め処理が施されている領域の弾性係数は、前記伸び止め処理が施されていない他の領域の弾性係数よりも高く設定されている、
    ことを特徴とするシューズのアッパー構造。
  8. 請求項6または7のいずれかにおいて、
    前記伸び止め処理が施されている領域は、前記伸び止め処理が施されていない他の領域に比べて、300Nの荷重で引張試験を行ったときの伸びが84%以下である、
    ことを特徴とするシューズのアッパー構造。
  9. 請求項2ないし5にそれぞれ規定された、伸び止め処理が施された前記第1ないし第4の領域は、300Nの荷重で引張試験を行ったときの伸びの量が
    (第1の領域)<(第2の領域)<(第3の領域)<(第4の領域)
    の順になるように構成されている、
    ことを特徴とするシューズのアッパー構造。
  10. 請求項1ないし9のいずれかにおいて、
    前記伸び止め処理が、当該領域に埋設した縫製糸のステッチにより、行われている、
    ことを特徴とするシューズのアッパー構造。
  11. 請求項1ないし9のいずれかにおいて、
    前記伸び止め処理が、当該領域に補強材を設けることにより、行われている、
    ことを特徴とするシューズのアッパー構造。
  12. 請求項11において、
    前記補強材が、天然皮革、合成皮革、FRPまたはボンディング加工された樹脂から構成されている、
    ことを特徴とするシューズのアッパー構造。
  13. 請求項1ないし9のいずれかにおいて、
    前記伸び止め処理が、当該領域にベルトを配設することにより、行われている、
    ことを特徴とするシューズのアッパー構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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