JP2006304433A - マグネットカップリング構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 温度の影響が隔壁やカップリング部に及ぶのを最小限に抑えることができる、簡単な構成のマグネットカップリング構造体を提供すること。
【解決手段】 アウター磁石3を有し、駆動側回転軸2に設けられたアウター部材2cと、アウター磁石3にラジアル方向に対向するインナー磁石4を有し、従動側回転軸12に設けられたインナー部材12aと、アウター磁石3とインナー磁石4との間の隔壁8と、を具備したマグネットカップリング構造体1であって、アウター部材2cと隔壁8により形成される空間Sに気体を噴出し環流させるための気体環流機構が、駆動側回転軸2の所定位置に設けられている。
【選択図】 図1
【解決手段】 アウター磁石3を有し、駆動側回転軸2に設けられたアウター部材2cと、アウター磁石3にラジアル方向に対向するインナー磁石4を有し、従動側回転軸12に設けられたインナー部材12aと、アウター磁石3とインナー磁石4との間の隔壁8と、を具備したマグネットカップリング構造体1であって、アウター部材2cと隔壁8により形成される空間Sに気体を噴出し環流させるための気体環流機構が、駆動側回転軸2の所定位置に設けられている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、モータ等の回転力を非接触で回転装置に導入するマグネットカップリング構造体に関し、特に、回転導入装置が低温等の特殊環境でも用いられる場合に、その特殊環境の影響がマグネットカップリング構造体に及ぶのを軽減するための改良に関するものである。
マグネットカップリングは、回転装置に非接触で回転力を導入する構造体として公知であり、ケミカルポンプを中心として各種のポンプ、真空機器等に多く用いられている。
このマグネットカップリングは、一般に、アウター磁石を有し、モータの回転を伝達する回転軸の一端部に設けられたアウター部材と、このアウター磁石にラジアル方向に対向配置されたインナー磁石を有し、回転を導入する装置の回転軸の一端部に設けられたインナー部材と、前記アウター磁石とインナー磁石との間に配設されたシールド隔壁と、を具備した構成である。
このアウター磁石とインナー磁石はN極とS極を含む多極構造を有しているので、これらの磁石の吸引力と反発力により、駆動側の回転軸を介してアウター部材に加えられたトルクが、インナー部材を介して非接触で従動側の回転軸に伝達可能となっている。
このマグネットカップリング(以後、カップリング部と言う)において、高トルクを伝達する機能を維持しつつ、小型化を達成する技術ついて、例えば、特許文献1に示されており、その構成を図2に示している。同図において、カップリング部20は、インナー磁石4を有するインナー部材12aと、隔壁8を介してインナー磁石4とラジアル方向に対向配置されたアウター磁石3を有するアウター部材2aを備えており、このインナー磁石4とアウター磁石3の間隔をLg、インナー磁石4の各磁極(N,S)の外周面幅と、これに対向するアウター磁石3の各磁極(N,S)の内周面幅の平均幅寸法をWとすると、2Lg<W<5Lgの関係を満足するというものである。
しかし、回転が導入される側の装置(以後、回転導入装置と略記する)が冷却槽を有する低温体である場合は、その低温がカップリング部にも伝達されて、シールド隔壁等に凍結が生じることがある。このような不具合に対する対策は、特許公報等の先行技術には見当たらないが、一般的な方法としては、ヒータを巻く等の対策が考えられる。
このような温度の影響に関する問題は、回転導入装置が冷却槽を有する場合だけでなく、逆に高温体である場合にも発生することがある。これは、カップリング部のような真空容器の部分では熱の対流が生じないで輻射熱だけになることから、カップリング部の熱伝導の効率や熱膨張の差が生じることが原因している。
また、特許文献2では、エキシマレーザ装置のカップリング部(図2に示したものと略同様の構成)において、シールド隔壁を強度を保つために金属製にすると、モータ駆動時に回転磁界によって過電流が生じて高熱化し、モータ駆動に不利な影響が生じるのを防止するため、このシールド隔壁をセラミックス材とすることが提案されている。
特開2000−125541号公報
特開2001−77446号公報
しかしながら、従来の上記マグネットカップリング構造体、特に、冷却槽を有する回転導入装置にトルクを伝達するカップリング部においては、上記の如く、インナー磁石4とアウター磁石3の間にシールド隔壁8を設けているが、冷却槽の低温の影響で、隔壁8の大気側には空気中の水分が結露して氷結し、隔壁8を破損してしまうことがあるという問題点があった。
このようなカップリング部においては、シールド隔壁8と永久磁石3,4の間は狭いため、ヒータ等を配設することは困難であるだけではなく、回転体であるカップリング部に電力を供給しなければならないので、構成が複雑になってしまう。
そこで、本発明では、上述した従来の不都合を改善して、回転導入装置にトルクを伝達する機能を維持しつつ、回転導入装置からの温度の影響が隔壁やカップリング部に及ぶのを最小限に抑えることができる、特に、回転導入装置が冷却槽を有する場合に、隔壁やカップリング部が氷結するのを防止することができる、簡単な構成のマグネットカップリング構造体を提供することを課題としている。
上記課題を達成するために、多極構造のアウター磁石を有し、モータの回転を伝達する駆動側回転軸の一端部に設けられたアウター部材と、このアウター磁石にラジアル方向に対向配置された多極構造のインナー磁石を有し、回転を導入する装置の従動側回転軸の一端部に設けられたインナー部材と、前記アウター磁石とインナー磁石との間に配設された隔壁と、を具備したマグネットカップリング構造体において、前記アウター部材と前記隔壁により形成される空間に、気体を噴出し環流させるための気体環流機構を備えていることを特徴としている。
また、前記気体は乾燥した圧縮空気であって、前記気体環流機構は、前記駆動側回転軸の所定位置に設けられ、気体導入孔を有する気体導入部と、この気体導入部に連通するもので、当該回転軸内の軸方向に設けられ、前記アウター部材側に開口する気体孔と、から構成されていることを特徴としている。
本発明は、以上のような構成を有しているため、マグネットカップリングの回転導入装置へのトルク伝達機能を維持しながら、アウター部材と隔壁間に噴出する気体によって、回転導入装置からの温度の影響が隔壁やアウター部材に及ぶのを最小限に抑えることができる。
特に、回転導入装置が低温槽を有する場合、噴出する気体を圧縮した乾燥空気にすることにより、空気中の水分が隔壁やアウター磁石の表面に付着することはなくなるので、低温の影響で隔壁に結露した水分が氷結して隔壁を破損してしまうのを防止することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態を示す低温槽に具備されたマグネットカップリング構造体の軸方向断面図である。
本発明の実施形態として、特に、従動側の回転導入装置が低温槽(冷却槽)を具備したマグネットカップリング構造体について説明する。
図1において、駆動側の回転軸2は、軸受17,18によりハウジング5の一部である支持部6a,6aに支持されており、モータ14の回転力がプーリ16a,16b及びベルト15を介して伝達されるようになっている。
一方、従動側の回転軸12は、回転導入装置の低温槽9内に固定された2つのアンギュラ玉軸受11と、負荷装置13を介して低温槽9内に固定された円筒ころ軸受10により支持されている。したがって、この回転軸12は、負荷される荷重が負荷装置13により制御可能な状態で揺動・回転自在に支持されている。
上記回転軸2の一端部に設けられたアウター部材2cには、円筒形状で多極構造のアウター磁石3が内嵌・固定されており、且つ、回転軸12の一端部に設けられたインナー部材12aには、同じく円筒形状で多極構造のインナー磁石4が、前記アウター磁石3に対してラジアル方向に対向配置されるように外嵌・固定されている。このインナー磁石4とアウター磁石3の間には、隔壁(シールド隔壁)8がこれらの磁石3,4に非接触の状態で介在するように回転導入装置側に固定されている。このインナー部材12aを有する回転軸12、インナー磁石4、隔壁8、アウター部材2cを有する回転軸2、アウター磁石3によりマグネットカップリング構造体1が構成されている。
さらに、駆動側の回転軸2の、軸受17と軸受18の略中間位置にはハウジング5に取り付けた円筒形状の気体導入部であるオイルシール6bが設けられ、このハウジング5には空気導入孔(気体導入孔)5aが設けられている。回転軸2の、ハウジング5によりシールされる環状室5bの部分には、軸心からラジアル方向に形成した複数の空気穴2aが、軸2の周方向に等間隔に設けられ、且つ、回転軸2には、この空気穴2aに連通する軸心穴2bが軸心に沿って軸方向に設けられており、回転軸2のアウター部材2c側(カップリング部のカップ底中央部)に開口している。
空気穴2aは、少なくとも2本、回転軸2の軸心からラジアル方向に放射状に設けられていれば良い。空気孔2aと軸心孔2bが気体孔になっている。また、ハウジング5、オイルシール6b、空気孔2a、軸心孔2bにより気体環流機構が構成されている。
上記構成において、モータ14の回転が、プーリ16a,16b及びベルト15を介して回転軸2に伝達され、回転軸2のアウター部材2cが回転するのに伴って、インナー部材12aを介して回転軸12が回転する。この動作は、アウター部材2cのアウター磁石3とインナー部材12aのインナー磁石4は多極構造を有しているので、これらの磁石3,4の吸引力と反発力により、アウター部材2cに加えられたトルクがインナー部材12aに非接触で伝達されるために可能となっている。
一方、回転導入装置の低温槽9では、導入口9aから冷風が矢印のように導入され、排出口9bから冷風が矢印のように排出されることにより、低温槽9内は常に所定の低温が維持されている。
この時、ハウジング5の空気導入孔5aから圧縮した乾燥空気が矢印のように環状室5b内に導入され、この空気が環状室5bから回転軸2の空気孔2a及び軸心孔2bを通過して、隔壁8とアウター部材2c(及びアウター磁石3)によって形成される空間S内に噴出される。噴出された空気は、圧力でアウター部材2cと回転導入装置の隙間から外部(矢印方向)へ排出されることにより環流する。
このため、空間S内は空気圧が高まり大気よりも気圧が高くなるので、空気中の水分が隔壁8とアウター磁石3の表面に付着することはない。したがって、低温槽9の低温の影響で、隔壁8に結露した水分が氷結して隔壁8を破損してしまうのを防止することができる。
また、低温槽9内に設置された円筒ころ軸受10は、隔壁8により大気とは完全に遮断された状態になっているので、低温状態でも霜がついたり氷結したりすることはない。
尚、上記実施形態では、本発明の構成を低温槽9を有する回転導入装置に適用し、乾燥した圧縮空気を用いたが、これに限らず、回転軸2の回転を非接触で伝達する種々の回転導入装置に適用可能であって、他の種類の気体を用いることもできる。例えば、回転導入装置が高温を発生するものでは、隔壁8の発熱を防止するために、ハウジング5の空気導入孔5aから圧縮した冷風を導入する、等の構成にすることもできる。
したがって、本発明のマグネットカップリング構造体は、広い意味では、マグネットカップリングの回転導入装置へのトルク伝達機能を維持しながら、アウター部材と隔壁間に噴出する気体によって回転導入装置からの温度の影響が隔壁やアウター部材に及ぶのを最小限に抑えることができるという効果を奏するものである。
1:マグネットカップリング構造体
2:回転軸(駆動側)
2a:空気孔
2b:軸心孔
2c:アウター部材
3:アウター磁石
4:インナー磁石
5:ハウジング(気体導入部)
6a:ハウジングの一部
6b:オイルシール
8:隔壁
9:低温槽(冷却槽)
10:円筒ころ軸受
11:アンギュラ玉軸受
12:回転軸(従動側)
13:負荷装置
14:モータ
15:ベルト
16:プーリ
2:回転軸(駆動側)
2a:空気孔
2b:軸心孔
2c:アウター部材
3:アウター磁石
4:インナー磁石
5:ハウジング(気体導入部)
6a:ハウジングの一部
6b:オイルシール
8:隔壁
9:低温槽(冷却槽)
10:円筒ころ軸受
11:アンギュラ玉軸受
12:回転軸(従動側)
13:負荷装置
14:モータ
15:ベルト
16:プーリ
Claims (3)
- 多極構造のアウター磁石を有し、モータの回転を伝達する駆動側回転軸の一端部に設けられたアウター部材と、
前記アウター磁石にラジアル方向に対向配置された多極構造のインナー磁石を有し、回転を導入する装置の従動側回転軸の一端部に設けられたインナー部材と、
前記アウター磁石とインナー磁石との間に非接触で配設された隔壁と、
を具備したマグネットカップリング構造体において、
前記アウター部材と前記隔壁により形成される空間に、気体を噴出し環流させるための気体環流機構を備えていることを特徴とするマグネットカップリング構造体。 - 前記気体は、乾燥した圧縮空気であることを特徴とする請求項1記載のマグネットカップリング構造体。
- 前記気体環流機構は、前記駆動側回転軸の所定位置に設けられ、気体導入孔を有する気体導入部と、当該回転軸内の軸方向に設けられ、該気体導入部に連通し、前記アウター部材側に開口する気体孔と、から構成されていることを特徴とする請求項1記載のマグネットカップリング構造体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005120165A JP2006304433A (ja) | 2005-04-18 | 2005-04-18 | マグネットカップリング構造体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005120165A JP2006304433A (ja) | 2005-04-18 | 2005-04-18 | マグネットカップリング構造体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2006304433A true JP2006304433A (ja) | 2006-11-02 |
Family
ID=37472078
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2005120165A Withdrawn JP2006304433A (ja) | 2005-04-18 | 2005-04-18 | マグネットカップリング構造体 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2006304433A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011033166A (ja) * | 2009-08-05 | 2011-02-17 | Mitsubishi Electric Corp | 磁気ギヤおよびそれを搭載した車両 |
CN107191234A (zh) * | 2017-05-11 | 2017-09-22 | 重庆博峻渊科技有限公司 | 管道流动介质径流式磁力联接压差驱动器 |
WO2018196338A1 (zh) * | 2017-04-27 | 2018-11-01 | 天津吉玄节能技术股份有限公司 | 一种轴向移动磁屏蔽式永磁调速器 |
-
2005
- 2005-04-18 JP JP2005120165A patent/JP2006304433A/ja not_active Withdrawn
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WO2018196338A1 (zh) * | 2017-04-27 | 2018-11-01 | 天津吉玄节能技术股份有限公司 | 一种轴向移动磁屏蔽式永磁调速器 |
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