JP2006303348A - 化学的機械的研磨用研磨剤、研磨方法および半導体集積回路装置の製造方法 - Google Patents

化学的機械的研磨用研磨剤、研磨方法および半導体集積回路装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 半導体集積回路装置の製造において二酸化ケイ素系材料層の被研磨面を研磨する際に研磨速度のパターン依存性が極めて小さく、高平坦化を実現することのできる研磨技術を提供する。
【解決手段】 本研磨剤は、化学的機械的研磨用研磨剤であって、酸化セリウム粒子、水および、水溶性有機高分子化合物およびアニオン界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上からなる添加剤を含んでなる。25℃における研磨剤のpHは3.5〜6の範囲にある。研磨剤中の添加剤の合計の濃度は0.01〜0.5質量%の範囲にあり、研磨剤はその作製中に1回以上水で希釈される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、半導体集積回路装置の製造工程に用いられる研磨技術に関する。
より詳しくは、二酸化ケイ素系材料層を含む半導体集積回路装置の製造工程に用いられる研磨技術に関する。
近年、半導体集積回路装置の高集積化・高機能化にともない、微細化・高密度化のための微細加工技術の開発が求められている。特に、化学的機械的研磨法(Chemical Mechanical Polishing:以下CMPという)による平坦化技術の重要性が高まっている。
たとえば、半導体集積回路装置の微細化や配線の多層化が進むにつれ、製造工程における各層での表面の凹凸(段差)が大きくなりやすいが、この段差がフォトリソグラフィの焦点深度を越え、十分な解像度が得られなくなるという問題を防ぐために、CMPは不可欠の技術となっている。
CMPは、具体的には、層間絶縁膜(ILD膜:Inter−Level Dielectrics)の平坦化、シャロートレンチ分離(STI:Shallow Trench Isolation)、タングステンプラグ形成、銅と低誘電率膜とからなる多層配線形成工程などで用いられている。また最近では、従来は熱処理によるリフロー法が用いられていたメタル配線形成前に行う絶縁膜(PMD:Pre−Metal Dielectrics)の平坦化にも適用され始めている。
ILD、STIやPMD等の絶縁膜には二酸化ケイ素系のものが使用されることが多い。従来、半導体集積回路装置の製造工程において、このような二酸化ケイ素系の絶縁膜の平坦化を行う際には、CMP用研磨剤に用いられる砥粒としてシリカ粒子が一般的であった。
しかしながら、このシリカ粒子については、二酸化ケイ素系膜の研磨に適用すると、研磨速度は充分であるが、半導体集積回路装置の研磨対象となる膜(以下、被研磨膜ともいう)の表面がその下にある配線等の凹凸の影響を受けて凹凸パターンを形成する結果、表面凹凸のパターン密度(凸部パターン部分と凹部との和に対する凸部パターン部分の割合:たとえばストライプ状の凸部パターンの場合は、パターン幅とパターン間隔との和に対するパターン幅の割合)および凸部パターンサイズの大小により、凸部の研磨速度のパターン依存性が大きいこと、更に凸部パターンの低密度部および大きなサイズの凹部(たとえば、広い配線間の上部にある部分)の研磨が進行し易いことといった特性のため、高平坦化を実現することが困難であるという技術的課題があった。本明細書では、このように研磨速度が、表面凹凸のパターン密度やパターンサイズに影響されることを、研磨速度にパターン依存性があると言う。
また、シリカ粒子を用いた二酸化ケイ素系膜の平坦化では、平坦化までに必要な研磨量が大きいため、被研磨膜を大きな膜厚で成膜する必要がある場合が多く、半導体集積回路装置製造における成膜コスト上昇とスループット低下の問題をもたらしていた。たとえば、PMD工程では硬度の低いホウリンケイ酸塩ガラス(BPSG)、ホウケイ酸塩ガラス(BSG)、リンケイ酸塩ガラス(PSG)等が用いられており、これらの膜の研磨速度が他の材料に比べ非常に大きいため、あらかじめ大きな膜厚で成膜し、これを研磨することで平坦化の実現に努めている。
この様子を図1を用いて例示的に説明する。図1の(a)は、シリコン基板1上に二酸化ケイ素膜2、ポリシリコン膜3およびBPSG膜4を積層し、ポリシリコン膜3の影響でBPSG膜4の表面に凸部5と凹部6とが生じた様子を示す半導体集積回路装置の部分的横断面図である。これは研磨前の状態である。
このような構成においてBPSG膜面を研磨する場合、BPSG膜は、凸部に比べ凹部の研磨も進行し易く、その結果、面の平坦化を実現し難く、図1の(b)のようになることが多い。そこで、現状では、BPSG膜4の膜厚を大きく取り、これを研磨することで凹凸の低減につとめているのである。
このように、二酸化ケイ素系材料層を含む半導体集積回路装置、特に、一般的に他の材料に比較して研磨速度が大きいBPSG膜、BSG膜およびPSG膜のいずれかを含む半導体集積回路装置には、被研磨面の平坦化が難しいという問題点があった。
CMP用研磨剤に使用される砥粒として、近年、酸化セリウム粒子が検討されている。酸化セリウムを使用した研磨剤は、被研磨面でのSiOとの化学反応により、高い研磨速度を持ち、半導体集積回路装置の製造工程において、スループット向上が期待されており、この酸化セリウムを砥粒として使用した研磨剤に、界面活性剤や水溶性ポリマー、水溶性低分子等を添加し、研磨剤の分散性と被研磨面の平坦性とを向上させる技術が開発されつつある。
たとえば特許文献1では、SiO2、SiON、SiOF、ホウ素リンケイ酸ガラス、およびリンケイ酸ガラスなどの絶縁膜の平坦化に適する添加剤として、カルボキシル基あるいはカルボキシル基の塩からなる親水基を有する有機化合物が提案されている。
また、特許文献2では、カチオン性を示し、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンまたは第4級アンモニウム化合物といった水溶性有機低分子から選ばれる低分子添加剤が提案され、ILD膜、STI用絶縁膜を平坦化するCMP技術において、研磨を、高効率で、高速に、かつプロセス管理上も容易に、行うことができると言われている。
また、特許文献3では、水溶性含窒素化合物と水溶性アニオン性有機化合物からなる2種類以上の添加剤を含むことが提案されており、この研磨剤は被研磨面を傷なく高速に高平坦化でき、保存安定性に優れ、プロセス管理の容易な、ILD膜、STI用絶縁膜等の研磨に適したCMP用研磨剤であると言われている。水溶性含窒素化合物は、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム、ポリビニルピロリドン、N−アルキル−2−ピロリドン、脂肪族ラクタムおよび脂肪族ジカルボン酸イミドであり、水溶性アニオン性有機化合物は、遊離の−COOM基、フェノール性−OH基、−SO3M基、−OSO3M基、−PO42基または−PO32基(ただし、Mは水素原子、NH4または金属原子)を有する化合物である。
ところが、これらの特許文献では二酸化ケイ素膜の研磨例が示されているのみで、平坦化が難しいBPSG膜、BSG膜、PSG膜については例示がない。特許文献1の添加剤はアニオン型であるため、水中でマイナスに帯電する二酸化ケイ素膜、BPSG膜、BSG膜、PSG膜には吸着せず、十分な被膜を形成できない。硬い二酸化ケイ素膜では平坦化が可能であっても、軟質のBPSG膜、BSG膜、PSG膜では、実際には研磨速度が著しく大きく、パターン形成された半導体集積回路装置を平坦化することはできない。また、特許文献2の添加剤はカチオン性の添加剤であり、被膜形成は可能であるが低分子添加剤であるため被膜性が十分ではなく、やはりBPSG膜、BSG膜、PSG膜の半導体集積回路装置を平坦化することはできない。特許文献3では水溶性含窒素化合物と水溶性アニオン性有機化合物の2種類以上の添加剤が提案されているが、水溶性含窒素化合物は特許文献2の低分子添加剤と実質的に同等であり、やはりBPSG膜、BSG膜、PSG膜の研磨速度が著しく大きく、半導体集積回路装置を平坦化することはできない。また、このCMP用研磨剤のpHは、安定性、選択研磨性、作業性、取り扱い性等の観点から、3〜9であることが好ましく、7.0〜9.0であることがより好ましいとされているが、このpH領域ではBPSG膜、BSG膜、PSG膜の研磨速度を効果的に制御することができないという問題点がある。
特許第3278532号公報(特許請求の範囲) 特開2001−7061号公報(特許請求の範囲) 特開2001−185514号公報(特許請求の範囲) 特開平11−12561号公報(段落番号0011) 特開2001−35818号公報(段落番号0020)
本発明は、上記問題点を解決し、半導体集積回路装置の製造において二酸化ケイ素系材料層の被研磨面を研磨する際に研磨速度のパターン依存性が極めて小さく、凹部の研磨を抑制しながら凸部を優先的に研磨することにより、高平坦化を実現することのできる研磨技術を提供することを目的としている。本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
本発明の態様1は、半導体集積回路装置の製造において被研磨面を研磨するための化学的機械的研磨用研磨剤であって、当該研磨剤が、酸化セリウム粒子、水および添加剤を含んでなり、当該添加剤が、水溶性有機高分子化合物およびアニオン界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上を含み、25℃における当該研磨剤のpHが3.5〜6の範囲にあり、当該研磨剤中の当該添加剤の合計の濃度が0.01〜0.5質量%の範囲にあり、当該研磨剤が1回以上水で希釈されたものである、研磨剤を提供する。
態様2は、前記希釈における合計希釈倍率が10〜200の範囲にある、態様1に記載の研磨剤を提供する。
態様3は、前記研磨剤中の前記酸化セリウム粒子の濃度が0.05〜0.9質量%の範囲にある、態様1または2に記載の研磨剤を提供する。
態様4は、酸化セリウム粒子と水とを含む第一液と、水溶性有機高分子化合物およびアニオン界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上からなる添加剤と水とを含む第二液とを混合することを含む方法で作製されたものである、態様1〜3のいずれかに記載の研磨剤を提供する。
態様5は、前記水溶性有機高分子化合物が、カルボン酸基またはカルボン酸塩基を有する水溶性有機高分子化合物である、態様1〜4のいずれかに記載の研磨剤を提供する。
態様6は、前記水溶性有機高分子化合物が、ポリアクリル酸またはポリアクリル酸アンモニウムである、態様1〜5のいずれかに記載の研磨剤を提供する。
態様7は、前記水溶性有機高分子化合物の分子量が、数平均分子量で1,000〜500,000の範囲にある、態様1〜6のいずれかに記載の研磨剤。を提供する。
態様8は、無機酸および無機酸塩の少なくともいずれか一方をさらに含有する、態様1〜7のいずれかに記載の研磨剤を提供する。
態様9は、被研磨面が、ホウリンケイ酸塩ガラス(BPSG)層、ホウケイ酸塩ガラス(BSG)層またはリンケイ酸塩ガラス(PSG)層の表面である、態様1〜8のいずれかに記載の研磨剤を提供する。
態様10は、研磨剤を研磨パッドに供給し、半導体集積回路装置の被研磨面と研磨パッドとを接触させて、両者間の相対運動により研磨する被研磨面の研磨方法であって、当該被研磨面が二酸化ケイ素系材料層の被研磨面であり、
当該研磨剤として態様1〜9のいずれかに記載の研磨剤を使用する
研磨方法を提供する。
態様11は、態様10に記載の研磨方法により、被研磨面を研磨する工程を有する、半導体集積回路装置の製造方法を提供する。
本発明により、半導体集積回路装置の製造において二酸化ケイ素系材料層の被研磨面を研磨する際に研磨速度のパターン依存性が極めて小さく、高平坦化を実現することのできる研磨技術が得られる。
以下に、本発明の実施の形態を図、表、実施例等を使用して説明する。なお、これらの図、表、実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得る。図中、同一の符号は同一の要素を表す。
本発明に適用される研磨剤は、半導体集積回路装置(以下、単に半導体デバイスともいう)の被研磨面を研磨するためのCMP用研磨剤であって、酸化セリウム粒子と水と添加剤とを含有し、本添加剤が、水溶性有機高分子化合物およびアニオン界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上を含み、25℃における研磨剤のpHが3.5〜6の範囲にあり、研磨剤中における本添加剤の合計濃度が0.01〜0.5質量%の範囲にあり、当該研磨剤が1回以上水で希釈されたものである。
この研磨剤を使用すると、半導体デバイスが二酸化ケイ素系材料層を含む場合に、その製造工程において、二酸化ケイ素系材料層の被研磨面を研磨して、平坦な表面を有する層を容易に形成することができる。この二酸化ケイ素系材料層は、一つの半導体デバイスに二以上含まれていてもよい。なお、本発明において、「被研磨面」とは、半導体デバイスを製造する過程で現れる中間段階の表面を意味する。
その様子を図2に例示する。図2の(a)は、図1の(a)と同様な構成を示す半導体デバイスの模式的側断面図である。このような場合に本発明に係る研磨剤を採用すると、二酸化ケイ素系材料層の研磨面を研磨する場合の研磨速度のパターン依存性が極めて小さいため、凹部の研磨の進行を抑制しながら凸部を優先的に研磨することにより、図2の(b)に示すように、少ない研磨量で被研磨面の凹凸の高平坦化を実現できるようになる。すなわち、図1の(a)のBPSG膜の膜厚と図2の(a)のBPSG膜の膜厚とに模式的に示したように、少ない膜厚の研磨で被研磨面の凹凸の高平坦化を実現できるようになる。しかも研磨後の表面7は非常に平坦であり、かつ、残った膜厚を厚くすることも容易にできる。このようにして、半導体デバイス製造における成膜コストの低減とスループットの改善が可能となる。このほか、本研磨剤は砥粒の凝集が無いため、分散安定性にも優れ、研磨欠陥に対しても有利である。
本発明に係る二酸化ケイ素系材料とは、一般的に二酸化ケイ素に他の元素を含有する材料である。この場合における含有とは他の元素を均一に含んでいることを意味する。これらの場合における、「他の元素」としては任意の元素を使用することができる。例えばホウ素、リン、炭素、窒素およびフッ素を挙げることができる。
本発明に係る二酸化ケイ素系材料は、ホウ素とリンの少なくともいずれか一方を含有する場合、その含有濃度により研磨速度が著しく異なるため、本発明の効果が発揮されやすい。リンまたはホウ素またはリンとホウ素の両方を含有する二酸化ケイ素系材料としては、二酸化ケイ素系材料中のリン濃度またはホウ素濃度またはリンとホウ素の濃度がそれぞれ0.1〜20質量%の範囲にある場合に効果が大きい。リンまたはホウ素またはリンとホウ素を含有する二酸化ケイ素系材料は、SiO2−CVD(化学的気相成長法)において、原料ガスにSiH4(シラン),O2の他にB26(ジボラン)、PH3(ホスフィン)等の無機ガスやB(OCH33(トリメトキシボラン)、P(OCH33(トリメトキシホスフィン)等の有機ガスを同時に添加し、成膜することができる。
リンまたはホウ素またはリンとホウ素を含有する二酸化ケイ素系材料としてよく知られたものに、ホウリンケイ酸塩ガラス(BPSG)、ホウケイ酸塩ガラス(BSG)およびリンケイ酸塩ガラス(PSG)があり、本発明はこれらの材料を使用した場合に効果が特に大きい。
なお、BPSGとは、ケイ素とリンとホウ素と酸素とを主成分とするガラスである。リンとホウ素とは、それぞれ、0.1〜20質量%の範囲で変更することができる。BSGとは、ケイ素とホウ素と酸素とを主成分とするガラスである。ホウ素は、0.1〜20質量%の範囲で変更することができる。また、PSGとは、ケイ素とリンと酸素とを主成分とするガラスである。リンは、0.1〜20質量%の範囲で変更することができる。
なお、本発明に係る二酸化ケイ素系材料の範疇には、二酸化ケイ素そのものも含まれる。すなわち、本発明は、被研磨面が二酸化ケイ素層の面である場合にも有用である。
本発明では、研磨剤中の研磨砥粒として酸化セリウム粒子を用いる。従来より、二酸化ケイ素系材料の研磨においては、酸化セリウム粒子が特異的に大きい研磨速度を示すことが知られている。これは、酸化セリウムと被研磨膜表面のSi−Oとが接触することにより、両者の間に化学的な結合が生じ、単なる機械的作用以上の研削力を生ずるためである。したがって、酸化セリウム粒子を用いた研磨においては、砥粒と被研磨面の接触の制御が重要である。
水系分散媒中の酸化セリウム表面は、中性から酸性においては正に帯電している。このような環境下、本発明に係る添加剤は、水溶性有機高分子化合物およびアニオン界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上を含むため、電気的作用を介して、酸化セリウム粒子の表面に吸着して被研磨面との直接の接触を妨げ、研磨を抑制する働きを有していると考えられている。このようになっていると、被研磨面の凸部では、研磨時の圧力が加わることにより、酸化セリウム粒子の表面に吸着した添加剤が剥れ、被研磨面との接触が生じ、研磨が進む一方、被研磨面の凹部では、研磨時の圧力が加わりにくく、従って酸化セリウム粒子の表面に吸着した添加剤が剥れにくく、研磨が抑制され、この結果、凸部を優先して研磨することが可能となるものと思われる。
本発明に係る添加剤は、いわゆる分散剤と呼ばれる剤の中から選択することが好ましく、水溶性有機高分子化合物のみからなっていても、アニオン界面活性剤のみからなっていても、両者のみからなっていても、さらに他の剤を含んでいてもよい。水溶性有機高分子化合物のみからなっていること、アニオン界面活性剤のみからなっていること、または両者のみからなっていることが好ましい。水溶性有機高分子化合物やアニオン界面活性剤以外の他の剤が共存する場合には、水溶性有機高分子化合物やアニオン界面活性剤の機能を妨げないよう、その量は5質量%以下であることが好ましい。
このような水溶性有機高分子化合物としては、公知のどのようなものを使用してもよい。ポリビニルアルコール等の水溶性有機高分子化合物類でもよいが、カルボン酸基またはカルボン酸塩基を有する水溶性有機高分子化合物が実用的であり、好ましい。具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等のカルボン酸基を有するモノマーのポリマー、これらポリマーのカルボン酸基の一部または全部がアンモニウム塩等の塩となっているポリマーが挙げられる。また、カルボン酸基を有するモノマーとカルボン酸塩基を有するモノマーとからなるポリマーや、カルボン酸塩基を有するモノマーとカルボン酸のアルキルエステル等の誘導体とからなるポリマーも好ましい。これらのポリマーがコポリマーである場合には、ランダムコポリマーでもブロックコポリマーでも、その他の形式のコポリマーでもよい。
特に、カルボン酸基またはその塩を有するポリマーが好ましい。具体的には、ポリアクリル酸、またはポリアクリル酸のカルボン酸基の少なくとも一部がカルボン酸アンモニウム塩基に置換されたポリマー(本発明では、ポリアクリル酸アンモニウムと称する)等が挙げられる。
水溶性有機高分子化合物を添加剤として使用する場合、その分子量としては、数平均分子量で1,000〜500,000の範囲にあることが好ましく、2,000〜30,000の範囲にあることがより好ましい。1,000未満では、酸化セリウム粒子の表面に吸着して研磨を抑制する効果が不十分となる場合があり、500,000より大きいと、研磨剤中への溶解度が不足したり、粘度が高くなりすぎる場合がある。
本発明に係るアニオン界面活性剤としては、特に制限はなく、公知のものから選択することができる。オレイン酸アンモニウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアニオン界面活性剤を好適なものの例として挙げることができる。
このような添加剤と研磨剤の組み合わせを使用した場合、従来知られているCMP用研磨剤では、凸部を選択的に研磨し、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜の研磨速度に選択性を発現させるには、添加剤濃度を2〜3質量%の範囲とし、研磨剤のpHを7〜8程度すなわち中性付近にすることが望ましいと考えられてきた。しかし、この条件では添加剤による砥粒の凝集が著しく、研磨による平坦化特性は優れていても砥粒の分散安定性が不十分であった。
検討の結果、従来では、必要とされる研磨特性を発現させるには不十分であると考えられてきた研磨剤中0.01〜0.5質量%という低い添加剤の濃度範囲でも、研磨剤のpHが25℃において3.5〜6であると、十分な研磨特性が発現でき、さらには添加剤濃度が減少することにより、砥粒の凝集が発生し難くなるため、分散安定性も改善され、研磨による平坦化特性と砥粒の分散安定性を両立できることが判明した。
この理由は、本発明におけるpH範囲では、中性付近に比べて、酸化セリウム表面の正の電位が高まるため、添加剤が酸化セリウム表面に吸着しやすくなり、この結果、添加剤濃度が低くても、酸化セリウム粒子の表面に添加剤が十分吸着するため、研磨の平坦化特性を発現できるようになるためであろうと考えられている。また、添加剤の負電荷が多い場合には、添加剤同士の電気的反発により添加剤が酸化セリウム表面に多重に吸着するのが困難になる場合もあるが、このpH領域では、添加剤自体の解離度が小さくなり、これに伴い負の電荷量が少なくなるので、多重に吸着することが容易になる。このことも、酸化セリウム粒子の表面に添加剤が十分吸着することに寄与し得る。さらに、添加剤として例えばカルボン酸基を有する水溶性有機高分子化合物を使用する場合には、該水溶性有機高分子化合物が未解離であると、水素結合により水溶性有機高分子化合物同士が、酸化セリウム表面上で絡み合い、多重に吸着しやすくなる。このことも有利に作用しているであろう。本発明の研磨剤のpHは、特にpH4〜5が好ましい。
pHが低すぎると、負に帯電している被研磨面の帯電量が減り、このため、酸化セリウム表面上に吸着した添加剤との反発が減少して、被研磨面の表面保護が不十分になる。また、添加剤の電荷が小さくなるため、添加剤の酸化セリウム粒子に対する吸着力も弱まる。さらに、酸化セリウム表面に吸着した添加剤の電荷も小さくなるため、酸化セリウム同士の電気的な反発が減り、研磨剤の分散安定性が悪くなる傾向がある。また逆に、pHが高すぎると、平坦化特性を発現するために多量の添加剤が必要となるため、酸化セリウム粒子の分散性が悪くなり、研磨剤の凝集、沈降が進みやすい。
本発明の研磨剤のpHの調整方法には特に制限はなく、どのような方法から選択してもよい。たとえば、本発明に係る添加剤の種類と添加量を選択してpHを制御する方法も採用できる。添加剤としてカルボン酸とカルボン酸の塩とからなるコポリマーを使用する場合、カルボン酸とカルボン酸の塩との重合比率を制御することによりpH調整する方法がその一例である。
一般的には、無機酸および無機酸塩の少なくともいずれか一方を含有させることによってpHの調整を行うことが便利である。このような無機酸や無機酸塩としては、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、ホウ酸、炭酸およびそれらのアンモニウム塩またはカリウム塩等を例示することができる。本発明の研磨剤作製のどの段階にどれだけの量の無機酸や無機酸塩を添加するかについては、酸化セリウム粒子の分散性や研磨におけるパターン依存性を最適化するよう適宜決めることができる。
本発明における酸化セリウム粒子については特に制限はない。たとえば特許文献4または特許文献5に開示されている酸化セリウム粒子を好ましく使用できる。すなわち、硝酸セリウム(IV)アンモニウム水溶液にアルカリを加えて水酸化セリウムゲルを作製し、濾過、洗浄、焼成して得た酸化セリウム粉末を好ましく使用できる。また、高純度の炭酸セリウムを粉砕後焼成し、さらに粉砕、分級して得られる酸化セリウム粒子も好ましく使用できるが、特にこれらに限定されない。
酸化セリウム粒子の平均粒径(直径)は、研磨特性と分散安定性の面から、0.01〜0.5μm、特に0.02〜0.3μm、さらには0.05〜0.2μmが好ましい。平均粒径が大きすぎると、半導体基板表面にスクラッチなどの研磨キズが発生しやすくなるおそれがある。平均粒径が小さすぎると、研磨速度が低くなるおそれがある。また、単位体積あたりの表面積の割合が大きいため、表面状態の影響を受けやすい。pHや添加剤濃度等の条件によっては凝集しやすくなる場合がある。凝集が起きると半導体基板表面にスクラッチなどの研磨キズが発生しやすくなる。平均粒径の測定には、レーザー回折・散乱式、動的光散乱式、光子相関式などの粒度分布計を使用することができる。
本発明に係る水については、特に制限はないが、他の剤に対する影響、不純物の混入、pH等への影響から、純水、超純水、イオン交換水等を好ましく使用することができる。
本発明に係る研磨剤には、他の成分を共存させてもよい。代表的なものとしてpH緩衝剤等を挙げることができる。なお、pH緩衝剤を研磨剤のpHを調整するために使用してもよい。具体的には、たとえば研磨剤のpHが4.0の場合にはL−アスコルビン酸(pKa(酸解離定数)=4.03)、コハク酸(pKa=4)、d−酒石酸(pKa=3.96)などを使用できる。また、研磨剤のpHが4.5の場合には、酢酸(pKa=4.56)、R,R−酒石酸(pKa=4.4)などを使用でき、研磨剤のpHが5.0の場合には、アジピン酸(pKa=5.03)、グルタル酸(pKa=5.01)などを使用できる。さらに、研磨剤のpHが5.5の場合には、ベンズイミダゾール(pKa=5.47)、ピペラジン(pKa=5.59)などが使用でき、研磨剤のpHが6の場合には、ヒスチジン(pKa=6.02)、3−アミノピリジン(pKa=6.06)などが使用できる。なお、他の成分を使用する場合の添加量は本発明の趣旨に反しないように定めるべきである。
本発明に係る研磨剤は、上記の研磨材料を混合することによって得られるが、必ずしもこれらをあらかじめすべて混合したものとして研磨の場に供給する必要はない。たとえば、研磨の場に供給する際に研磨材料が混合されて初めて本発明に係る研磨剤の組成になってもよい。このようなやり方は、二酸化ケイ素系材料層中のホウ素やリンの濃度に応じて、研磨速度を調整する必要がある際には有用である。
本発明における研磨剤は、このような本発明に係る研磨剤の組成を得る中間段階で1回以上水で希釈されたものである。言い換えれば、これまでに説明してきた研磨剤の組成要件を満たし、かつ、本発明に係る研磨剤の組成を得るまでに、1回以上水で希釈されてなる研磨剤は、最終的に半導体デバイスの研磨に使用される研磨剤はもちろん、それ以前の任意の段階においても、本発明の範疇に属する。
研磨剤の希釈を経由することにより、酸化セリウム粒子の凝集、沈降を抑制し、良好な分散性を実現することができると共に、半導体デバイスの製造において二酸化ケイ素系材料層の被研磨面を研磨する際に研磨速度のパターン依存性を極めて小さくでき、凹部の研磨を抑制しながら凸部を優先的に研磨することにより、高平坦化を実現することができることが見出された。
水での希釈は、複数回行ってもよい。希釈の仕方には特に制限はなく、酸化セリウム粒子を水中に分散した後に、水のみまたは他の剤を含んだ水と混合する方法、酸化セリウム粒子を他の剤を含んだ水中に分散した後に、水のみまたは他の剤を含んだ水と混合する方法等を例示することができる。具体的には、酸化セリウム粒子と水とを含む第一液と、水溶性有機高分子化合物およびアニオン界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上からなる添加剤と水とを含む第二液とを混合し、必要ならその前後で希釈する方法を好ましい例として挙げることができる。希釈水には、本発明に係る添加剤や他の成分が含まれていてもよい。
本発明における研磨剤の希釈を希釈倍率の観点から見た場合には、合計で10〜200の範囲にあることが好ましい。例えば5倍の希釈と2倍の希釈とを組み合わせれば、合計希釈倍率が5×2=10となる。この範囲より小さいと、酸化セリウム粒子の最初の分散濃度が低くなり、上記高平坦化効果が発揮しにくくなる。この範囲より大きいと、酸化セリウム粒子の最初の分散濃度が高くなりすぎ、処理が困難になる場合がある。あるいは、逆に酸化セリウム粒子の最終濃度が低くなりすぎる場合もある。
本発明における研磨剤の希釈を研磨剤中における酸化セリウム粒子の濃度の観点から見た場合には、その濃度が研磨剤中、0.05〜0.9質量%の範囲にあることが好ましい。この範囲より小さい値では、研磨時間が延びる傾向が顕著になる場合がある。この範囲を超えると、凹部の研磨を抑制しながら凸部を優先的に研磨できる選択性が低下する場合がある。なお、この濃度範囲は研磨時点で達成されれば充分である。
次に、本発明に係る研磨剤の作製方法を、酸化セリウム粒子と水とを含む第一液と、水溶性有機高分子化合物およびアニオン界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上からなる添加剤と水とを含む第二液とを混合する方法を例に説明する。
第一液の作製では、たとえば純水や脱イオン水に酸化セリウム粒子を分散させる。分散の際には超音波のエネルギーにより凝集体をほぐして砥粒を水中に分散させる超音波分散機、一般的なホモジナイザー、砥粒同士を衝突させ衝突の運動エネルギーにより凝集体をほぐして砥粒を水中に分散させるアルティマイザー(商品名、スギノマシン社製)、ナノマイザー(商品名、吉田機械興業社製)等を用いることが好ましい。その際に本発明に係る添加剤を同時に添加することができ、好ましい場合が多い。
第一液に本発明に係る添加剤を添加する場合、その濃度としては、酸化セリウム粒子の100質量部に対して0.1〜1.0質量部の範囲が好ましい。この濃度範囲より添加剤の濃度が低いと砥粒の分散性が不十分となりやすく、この範囲より添加剤の濃度が高いと砥粒の凝集が徐々に進む傾向が見られる場合が多い。0.3〜0.7質量部の範囲がより好ましい。
第二液の作製では、純水や脱イオン水に上述の添加剤を溶解させる方法を例示できる。また、第二液に無機酸および無機酸塩の少なくともいずれか一方を含有させ、あらかじめpH調整を行うことにより、第一液と第二液とを混合して作製されるCMP用研磨剤のpHを所定の値にすることもできる。さらに、混合後のCMP用研磨剤のpHを所定の値にする方法としては、既述のごとく本発明に係る添加剤のpHを制御する方法も採用できる。
第一液と第二液を、所定の質量比で混合し、所望の濃度の研磨剤を得ることができる。さらに必要であれば、第一液や第二液を水で希釈し、あるいは、第一液と第二液との混合時またはその後に水で希釈することも可能である。保管や輸送の利便性のためには、例えば第一液および第二液中の研磨材料の濃度を高く保ち、使用時に混合、希釈することが好ましい。
本発明の研磨剤を用いて半導体デバイスを研磨する場合には、研磨剤を研磨パッドに供給し、半導体デバイスの被研磨面と研磨パッドとを接触させて、両者間の相対運動により、二酸化ケイ素系材料層の被研磨面を研磨する。
研磨装置としては、一般的な研磨装置を使用できる。たとえば図3は、本発明の研磨方法に適用可能な研磨装置の一例を示す図である。研磨剤供給配管35から研磨剤36を供給しながら、研磨ヘッド32に半導体デバイス31を保持し、研磨定盤33表面に貼り付けた研磨パッド34に接触させ、かつ研磨ヘッド32と研磨定盤33を回転させ相対運動させる方式である。ただし、本発明に係る研磨装置はこれに限定されない。
研磨ヘッド32は回転だけでなく直線運動をしてもよい。研磨定盤33および研磨パッド34が半導体デバイス31と同程度またはそれ以下の大きさであってもよい。その場合は研磨ヘッド32と研磨定盤33とを相対的に移動させることにより、半導体デバイスの全面を研磨できるようにすることが好ましい。また研磨定盤33および研磨パッド34は回転式でなくてもよく、たとえばベルト式で一方向に移動するものでもよい。
研磨装置の研磨条件には特に制限はないが、研磨ヘッド32に荷重をかけ研磨パッド34に押しつけることにより研磨速度を向上できる。このときの研磨圧力は、0.5〜50kPa程度が好ましく、研磨速度の半導体デバイス内均一性、平坦性、スクラッチ等の研磨欠陥防止の観点から、3〜40kPa程度が特に好ましい。また研磨定盤、研磨ヘッドの回転数は、50〜500rpm程度が好ましいが、これらに限定されない。
研磨パッドとしては一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質樹脂、非多孔質樹脂等からなるものが使用できる。また、研磨パッドの表面に、研磨剤の供給を促進させたり、研磨剤が一定量溜まるようにするために、格子状、同心円状、らせん状などの溝加工がなされていてもよい。
このようにして、本発明の研磨剤を使用した研磨により、少量の研磨で、二酸化ケイ素系材料層の被研磨面の凹凸の高平坦化を実現できるようになる。研磨後の表面は非常に平坦であり、残った膜厚を厚くすることも容易にできる。成膜のコスト低減とそのスループットの改善も可能となる。従って、本研磨方法を使用した半導体デバイスの製造においては、その品質を向上でき、コストを低減でき、スループットを改善することができる。本発明は、特に、ILD、STIおよびPMDを採用する半導体デバイスに好適に使用することができる。
以下、本発明に係る例を説明する。例1〜3が実施例、例4が比較例である。実施例において「%」は、特に断らない限り質量%を意味する。特性値は下記の方法により評価した。
(pH)
横河電機社製のpH81−11で測定した。
(粒子の平均粒径)
レーザー散乱・回折装置(堀場製作所製、商品名:LA−920)を使用して求めた。
(研磨剤の安定性)
直径18mmのガラス製試験管に研磨剤を20mL入れて10日間静置し、2層に分離し上澄み層ができるまでの時間を凝集沈殿時間として求めた。
(研磨特性)
(1)研磨条件
研磨は以下の装置および条件で行った。
研磨機:全自動CMP装置Mirra(Applied Materials社製)
研磨剤供給速度:200mL/分
研磨パッド:2層パッドIC−1400のK−groove(Rodel社製)
研磨パッドのコンディショニング:MEC100−PH3.5L(三菱マテリアル社製)
研磨定盤の回転数:77rpm(例1〜3の研磨剤の場合)
研磨定盤の回転数:93rpm(例4の研磨剤の場合)
研磨ヘッドの回転数:73rpm(例1〜3の研磨剤の場合)
研磨ヘッドの回転数:87rpm(例4の研磨剤の場合)
研磨圧:27.6kPa(例1〜3の研磨剤の場合)
研磨圧:20.7kPa(例4の研磨剤の場合)
(2)評価
膜厚の測定:光干渉式全自動膜厚測定装置UV−1280SE(KLA Tencor社製)を使用した。
表面段差の測定:プロファイラーHRP−100(KLA−Tencor社製)を使用した。
(3)被研磨物
次の被研磨物を使用した。
(3−1)ブランケットウエハ
International SEMATECH社製のホウ素とリンの濃度がそれぞれ3.52%、3.85%のBPSG膜(1μm厚)でシリコン面を全面被覆したブランケットウエハを使用した。ブランケットウエハの模式的側断面図を図4に示す。
(3−2)パターン付ウエハ
BPSG膜(ホウ素が3.52%、リンが3.85%)(1μm厚)でパターン間隔が100μmで数種類のパターン幅を含んだストライプパターンの溝を有するシリコン面を全面被覆したパターン付ウエハ(International SEMATECH社製のSTI864CMP000)を使用した。パターン付ウエハの模式的側断面図を図5に示す。符号51がシリコンウエハの溝を表す。なお、パターン付ウエハ表面の段差すなわちパターン溝深さ(図5のLに相当)はすべて350nmであったが、本発明はこの数値に限定されるものではない。
(4)研磨剤の特性評価方法
ブランケットウエハについては60秒研磨し、研磨前後の膜厚差を研磨速度とした。
パターンウエハについては、一つのチップ内における、20%、40%、60%、80%のデンシティパターンにおける凸部膜厚と凹部膜厚のデータを、各デンシティパターンの中央部について一点ずつ、研磨前後に測定し、これらを各デンシティにおける値として評価を行った。凸部の膜厚のばらつきは、研磨前後における各デンシティの凸部の膜厚差の最大値と最小値の差である。凹部の最大研磨量は、研磨前後における各デンシティの凹部の膜厚差の最大値である。最大段差は、研磨後における各デンシティの凸部と凹部の段差のうち最も大きい値である。
なお、デンシティの数値は、パターンウエハをその面に直交する方向から見た場合、凸部のパターンの幅と凹部のパターンの幅との合計に対する凸部のパターンの幅の割合を意味する。
[例1]
酸化セリウム粒子と、本発明に係る添加剤としての分子量5000のポリアクリル酸アンモニウムとを質量比で100:0.7となるようにして脱イオン水中で撹拌しながら混合し、超音波分散、フィルターリングを施して、酸化セリウム粒子の濃度が10%、添加剤濃度が0.07%の混合液を作製した。これを脱イオン水で5倍に希釈し、粒子濃度2%、添加剤濃度0.014%の砥粒混合液Aを作製した。砥粒混合液AのpHは7.6であり、平均粒径は0.18μmであった。
次に脱イオン水中に、本発明に係る添加剤である、分子量5000のポリアクリル酸アンモニウムを溶解させ、0.158%の硝酸水溶液でpHが4.4〜4.5となるようにpH調整を行い、ポリアクリル酸アンモニウム濃度0.34%の添加剤液Bを作製した。この砥粒混合液Aと添加剤液Bを撹拌しながら、質量比1:1で混合することにより、砥粒濃度1%、砥粒混合液Aへの添加剤として加えられたポリアクリル酸アンモニウムの濃度0.007%、添加剤液Bへの添加剤として加えられたポリアクリル酸アンモニウムの濃度0.17%、添加剤として加えられたポリアクリル酸アンモニウムの合計濃度が0.177%、pHが5.0のCMP用研磨剤Cを作製した。
次に、作製したCMP用研磨剤Cと脱イオン水とを質量比で1:3になるようにして混合することにより、砥粒濃度0.25%、砥粒混合液Aへの添加剤として加えられたポリアクリル酸アンモニウムの濃度が0.00175%、添加剤液Bへの添加剤として加えられたポリアクリル酸アンモニウムの濃度が0.0425%、添加剤として加えられたポリアクリル酸アンモニウムの合計濃度が0.04425%、pH5.3のCMP用研磨剤を作製した。研磨剤の作製において使用される水は、脱イオン水に限らず、純水または超純水でも良い。研磨剤の組成、pH、平均粒径および研磨剤が凝集沈殿するまでの時間を表1に、研磨特性の評価結果を表2に示す。
[例2]
例1と同様に、CMP用研磨剤Cと脱イオン水とを質量比で2:3になるようにして混合することにより、砥粒濃度0.40%、砥粒混合液Aへの添加剤として加えられたポリアクリル酸アンモニウムの濃度が0.0028%、添加剤液Bへの添加剤として加えられたポリアクリル酸アンモニウムの濃度が0.068%、添加剤として加えられたポリアクリル酸アンモニウムの合計濃度が0.0708%、pH5.2のCMP用研磨剤を作製した。研磨剤の組成、pH、平均粒径および研磨剤が凝集沈殿するまでの時間を表1に、研磨特性の評価結果を表2に示す。
[例3]
分子量5000のポリアクリル酸アンモニウムを溶解させ、0.252%の硝酸水溶液でpHが4.4〜4.5となるようにpH調整を行い、ポリアクリル酸アンモニウム濃度が0.68%の添加剤液Dを作製した。この添加剤液Dと砥粒混合液Aとを撹拌しながら、質量比1:1で混合することにより、砥粒濃度1%、砥粒混合液Aへの添加剤として加えられたポリアクリル酸アンモニウムの濃度が0.007%、添加剤液Dへの添加剤として加えられたポリアクリル酸アンモニウムの濃度が0.34%、添加剤として加えられたポリアクリル酸アンモニウムの合計濃度が0.347%、pHが5.0のCMP用研磨剤Eを作製した。
次に作製したCMP用研磨剤Eと脱イオン水とを質量比で1:3になるようにして混合することにより、砥粒濃度0.25%、砥粒混合液Aへの添加剤として加えられたポリアクリル酸アンモニウムの濃度0.00175%、添加剤液Dへの添加剤として加えられたポリアクリル酸アンモニウムの濃度0.085%、添加剤として加えられたポリアクリル酸アンモニウムの合計濃度が0.08675%、pH5.3のCMP用研磨剤を作製した。研磨剤の組成、pH、平均粒径および研磨剤が凝集沈殿するまでの時間を表1に、研磨特性の評価結果を表2に示す。
[例4]
比較例としてヒュームドシリカと水と水酸化カリウムを含むCabot社製のSS−25を、水と質量比で1:1になるようにして混合し、CMP用研磨剤を作製した。研磨特性の評価結果を表2に示す。
Figure 2006303348
Figure 2006303348
例1〜3に記載の方法で作製した場合には、最終の研磨剤の平均粒径は、砥粒混合液Aと同様0.18μmで、いずれの場合も砥粒の凝集は進まなかった。これらのCMP用研磨剤を静置して分散安定性を評価したところ、10日間経過しても上澄み層が現れず分散が維持された。この分散状態は砥粒混合液Aと同程度であり、分散性は非常に良好であった。
研磨特性については、本発明の実施例である例1〜3は比較例である例4に対して、凸部のばらつきがかなり小さく均一性に優れており、段差も解消していることから、高平坦化できていることが理解できる。
このように、本発明の研磨技術は、被研磨面として軟質で削れ易いBPSG膜を使用するPMD−CMP工程でも使用することができ、従来PMD−CMP工程で使用されているシリカスラリーよりも被研磨面の高平坦化が可能となる。更に、組成の変更、特に酸化セリウム粒子の濃度の変更が容易であることから、一つの研磨剤で複数の工程に対応し易い。従って、研磨剤の共有化が可能になるメリットがあり、半導体デバイス集積回路装置の製造工程におけるプロセス材料の管理が容易となる。また、本研磨技術で使用する研磨剤は通常の研磨剤より濃度が小さく、砥粒の凝集が無く分散性に優れるため、研磨欠陥に対しても有利である。
従来の研磨剤により半導体デバイスを研磨する際の半導体デバイスの模式的な側断面図。 本発明の研磨剤により半導体デバイスを研磨する際の半導体デバイスの模式的な側断面図。 本発明の研磨方法に適用可能な研磨装置の一例を示す図。 ブランケットウエハの模式的側断面図。 パターン付ウエハの模式的側断面図。
符号の説明
1 シリコン基板
2 二酸化ケイ素膜
3 ポリシリコン膜
4 BPSG膜
5 凸部
6 凹部
7 研磨後の表面
31 半導体デバイス
32 研磨ヘッド
33 研磨定盤
34 研磨パッド
35 研磨剤供給配管
36 研磨剤
51 シリコンウエハの溝

Claims (11)

  1. 半導体集積回路装置の製造において被研磨面を研磨するための化学的機械的研磨用研磨剤であって、
    当該研磨剤が、酸化セリウム粒子、水および添加剤を含んでなり、
    当該添加剤が、水溶性有機高分子化合物およびアニオン界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上を含み、
    25℃における当該研磨剤のpHが3.5〜6の範囲にあり、
    当該研磨剤中の当該添加剤の合計の濃度が0.01〜0.5質量%の範囲にあり、
    当該研磨剤が1回以上水で希釈されたものである、
    研磨剤。
  2. 前記希釈における合計希釈倍率が10〜200の範囲にある、請求項1に記載の研磨剤。
  3. 前記研磨剤中の前記酸化セリウム粒子の濃度が0.05〜0.9質量%の範囲にある、請求項1または2に記載の研磨剤。
  4. 酸化セリウム粒子と水とを含む第一液と、水溶性有機高分子化合物およびアニオン界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上からなる添加剤と水とを含む第二液とを混合することを含む方法で作製されたものである、請求項1〜3のいずれかに記載の研磨剤。
  5. 前記水溶性有機高分子化合物が、カルボン酸基またはカルボン酸塩基を有する水溶性有機高分子化合物である、請求項1〜4のいずれかに記載の研磨剤。
  6. 前記水溶性有機高分子化合物が、ポリアクリル酸またはポリアクリル酸アンモニウムである、請求項1〜5のいずれかに記載の研磨剤。
  7. 前記水溶性有機高分子化合物の分子量が、数平均分子量で1,000〜500,000の範囲にある、請求項1〜6のいずれかに記載の研磨剤。
  8. 無機酸および無機酸塩の少なくともいずれか一方をさらに含有する、請求項1〜7のいずれかに記載の研磨剤。
  9. 被研磨面が、ホウリンケイ酸塩ガラス(BPSG)層、ホウケイ酸塩ガラス(BSG)層またはリンケイ酸塩ガラス(PSG)層の表面である、請求項1〜8のいずれかに記載の研磨剤。
  10. 研磨剤を研磨パッドに供給し、半導体集積回路装置の被研磨面と研磨パッドとを接触させて、両者間の相対運動により研磨する被研磨面の研磨方法であって、
    当該被研磨面が二酸化ケイ素系材料層の被研磨面であり、
    当該研磨剤として請求項1〜9のいずれかに記載の研磨剤を使用する
    研磨方法。
  11. 請求項10に記載の研磨方法により、被研磨面を研磨する工程を有する、半導体集積回路装置の製造方法。
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