JP2006302780A - 自動車用放電ランプ - Google Patents

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誠 出口
Koji Tanabe
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Hiroyuki Kato
啓幸 加藤
Shigekatsu Yasunaga
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Abstract

【課題】 クラックリークの発生を抑制する。
【解決手段】本発明の自動車用放電ランプは、気密容器1の発光管部11の内部に形成された放電空間13に放電媒体が封入され、発光管部11の両端には第1、第2の封止部121、122が形成されており、第1、第2の封止部121、122には、電極31、32、外部リード線51、52が接続された金属箔21、22が封着されている。気密容器1には、外管7がその両端の第1、第2の溶着部71、72を第1、第2の封止部121、122に溶着することで接続されており、その第2の溶着部72は、金属箔22端部から0.5mm以上、2.0mm以下の距離に形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車の前照灯等に使用される放電ランプに関するものである。
自動車用放電ランプは、気密容器の内部に放電のための放電媒体が封入され、その両端に形成された封止部に、電極および外部リード線をそれぞれ両端に溶接によって接続した金属箔を封止し、電極は気密容器内の放電空間内で対向して配置される構造とするのが一般的である。さらに、自動車前照灯等に使用する場合は、その外側に外管が取り付けられ、2重管の構造となる。
そして、この放電ランプの中で、比較的高い負荷がかけられる水銀を用いないメタルハライドランプ等では、金属箔と外部リード線の溶接部分付近の封止部でリークが発生することが知られている。(例えば、特許文献1)
上記特許文献1では、外部リード線の封着金属箔への溶接部と気密容器の包囲部および封止部の境界との間の距離が5〜25mmであることにより、気密容器の最高温度が500℃以上になっても、外管の端部を封着金属箔に対向する位置の封止部に支持させているので、溶接部が冷却されやすくなり、封止部にクラックやリークが生じにくくなると記載されている。
特開2004−253362号公報(第12頁、図5〜7)
発明者等は、封止部に発生するクラックによるリーク(以後、クラックリーク)を抑制するために、さまざまな実験を行った結果、外管の溶接部の位置と封止部等の温度とは大きく関連しており、特に溶接部の発光部側で最も温度が高くなり、クラックリークの発生に影響することを発見した。なお、この発見によると、上記特許文献1では、金属箔と電極との溶接部が高温になってしまい、その部分付近でクラックリークが起こってしまう恐れがある。
本発明の目的は、クラックリークの発生を抑制した自動車用放電ランプを提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の自動車用放電ランプは、放電媒体が封入される放電空間を内部に形成する発光管部、該発光管部の両端に形成された第1および第2の封止部とを有する透光性の気密容器と、前記封止部の内部に封着された金属箔と、一端は前記金属箔に接続され、他端は前記放電空間内で対向配置された一対の電極と、一端は前記金属箔に接続され、他端は前記気密容器の外部に導出された外部リード線と、前記発光管部を少なくとも包囲するとともに、前記第1および第2の封止部にそれぞれ溶着固定される第1および第2の溶着部を有する外管と、前記第1の封止部側を固定するソケットとを具備し、前記第2の溶着部は、前記外部リード線接続側の前記金属箔端部から前記ソケットに対して反対方向に、0.5mm以上、2.0mm以下の距離に形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、クラックリークの発生を抑制することができる。
(第1の実施の形態)
以下に、本発明の実施の形態の自動車用放電ランプについて図面を参照して説明する。図1は、本発明の自動車用放電ランプの第1の実施の形態について説明するための全体図、図2は本発明の気密容器と外管について説明するための図である。
気密容器1は、例えば、耐火性で透光性の石英ガラスからなり、中央部に位置し、軸方向の形状が略楕円形の発光管部11と、その両端部に位置する板状の第1の封止部121、第2の封止部122とで構成されている。発光管部11の内部には、軸方向の形状が略円筒状で、内容積は0.1cc以下、自動車用としては特に0.01cc〜0.03cc程度である放電空間13が形成されている。その放電空間13には、放電媒体として金属ハロゲン化物のヨウ化ナトリウム、ヨウ化スカンジウム、ヨウ化亜鉛、および希ガスのキセノンが封入されている。
封入された放電媒体について説明すると、ヨウ化ナトリウムに含有されている金属ナトリウムおよびヨウ化スカンジウムに含有されている金属スカンジウムは、主に発光金属として作用し、ヨウ化亜鉛に含まれている金属亜鉛は、主に水銀に代わるランプ電圧形成媒体として作用する。これらの金属には、他のハロゲン化物よりも反応性が低いヨウ素と結合されているが、その他に臭素や塩素などを使用したり、複数のハロゲン化物を組み合わせて使用したりしてもよい。キセノンは、始動直後の発光効率が高いため、主に始動ガスとして作用する。
なお、放電空間13には、本質的に水銀は含まれていない。この「本質的に水銀を含まない」とは、水銀を全く含まないか、または1ccあたり2mg未満、好ましくは1mg以下の水銀量が存在していても許容するという意味である。この量は、従来のショートアーク形の水銀入りメタルハライドランプに封入されていた1ccあたり20〜40mgの水銀量(場合によっては50mg以上封入されることもある)と比較すれば、本実施の形態の自動車用放電ランプで許容する2mg未満の水銀量は圧倒的に少なく、本質的に水銀が含まれないと言えるからである。
第1、第2の封止部121、122の内部には、例えば、モリブデンからなる金属箔21、22が、その平坦面がそれぞれの封止面と平行するように封止されている。金属箔21、22の一端には、例えば、タングステンに酸化トリウムを混合し形成されたトリエーテッドタングステン電極31、32がその基端側にコイル41、42が巻回された状態で、抵抗溶接によって接続されている。なお、電極31、32は、先端側が基端側よりも大径に形成された段付きの形状となっており、その大径の先端側は、放電空間13内で所定の電極間距離を保って、互いの先端同士が対向するように配置されている。ここで、上記「所定の電極間距離」は、ショートアーク形ランプでは5mm以下が好適であり、さらに自動車の前照灯に使用する場合は4.2mm程度であるのが望ましい。
金属箔21、22の他端には、例えば、モリブデンからなる外部リード線51、52の一端が抵抗溶接等により接続されている。外部リード線51、52の他端側は、第1、第2の封止部121、122の外部に延出しており、第2の封止部122の外部方向に延出した外部リード線52には、例えば、ニッケルからなるL字状に形成された給電端子53の一端が接続されている。そして、給電端子53の一部には、外部リード線52部分の電位が影響を与えないように、セラミック等からなる絶縁チューブ6が被覆されている。
これらを備えた気密容器1の外側には、例えば、石英ガラスに酸化アルミナや酸化チタンを添加することにより透光性かつ紫外線遮断性を有するように形成された筒状の外管7が、その長手方向に沿って気密容器1の全体を覆うように設けられている。この外管7の長手方向の端部には、第1の溶着部71、第2の溶着部72が形成されており、第2の溶着部72は、外部リード線52接続側の金属箔22端部からソケット9に対して反対方向に0.5mm以上、2.0以下の位置で、第2の封止部122と溶着されている。第1、第2の溶着部71、72により、気密に保たれた外管7の内部空間には、例えば、アルゴンや窒素等の不活性ガスが封入されている。
気密容器1を内部に覆った状態の外管7の外周面には、外管固定具81が取り付けられる。そして、第1の封止部121と側機械的に接続されるソケット9に取着された係止具82により、外管固定具81を係止することで外管7がソケット9に固定される。このソケット9の端部には、点灯回路からの電力を供給するための金属端子91がその外周面に沿って形成されており、金属端子91は外部リード線52に給電端子53を介して電気的に接続されている。また、図示していないが、外部リード線51側と電気的に接続される他方の端子は、ソケット9の底部部分に形成されている。
なお、外管7の回転防止等、機械的な固定力を高める目的で、外管固定具81と外管7、および、外管固定具81と係止具82のそれぞれの接触部分に、梨地加工などを行なうことにより、粗面を形成しても良い。
これらで構成された自動車用放電ランプは、安定時は約35W、始動時は光束の立ち上がりを早めるために安定時の2倍程度の電力の約75Wで点灯される。
図3は、図1の自動車用放電ランプの仕様等について説明するための拡大図である。放電空間12の体積は0.03cc、発光管部11の内径Aは2.6mm、外径Bは6.3mm、長手方向の最大長Cは7.8mm、電極間距離Dは4.2mm、発光管部11と外管7とが最も接近する部分間の距離は0.35mmである。電極31、32の大径部311、321の直径は0.38mm、小径部312、322の直径は0.30mm、外部リード線51、52の直径は0.40mmである。発光管部11には、放電媒体として金属ハロゲン化物であるヨウ化スカンジウム−ヨウ化ナトリウム−ヨウ化亜鉛が0.5mgと希ガスであるキセノンが11atmそれぞれ封入されており、水銀は一切含まれていない。また、発光管部11の最大直径部と外管7との距離は0.35mmであり、気密容器1と外管7により形成されている空間には、不活性ガスのアルゴンが0.7atm封入されている。
図2のランプ仕様において、金属箔端部から第2の溶着部までの距離Eが2.0mmのときの点灯中の外部リード線の温度を測定した。外部リード線52の温度測定地点は、金属箔22との溶接部分X、第2の封着部72の発光管部11側Y、第2の封着部72の発光管部11の反対側Zの3点とした。
測定の結果は、通常であれば、点灯中に最も温度が高くなる発光管部11に近いほど温度が高くなっていると予想されたが、測定地点Y、X、Zの順で温度が高くなっていることがわかった。
このような結果になった原因を推測する。まず、測定地点X、YとZとを比較すれば、外管7内外の雰囲気の違いにより、外管7の内部にあるX、Yの方が、温度が高くなるものと推測できる。また、測定地点XとYを比較すれば、通常では、最も温度が高くなる発光管部11に近いXの方が高くなると予想される(図中のaのような伝熱)が、実際には、XよりもYの方が温度が高かったことから、発光管部11からの距離ではなく、溶着部72までの距離が最も温度上昇に関係すると推測できる。なお、溶着部72までの距離によって温度が上昇する原因は、発光管部11で発生した熱が外管7の内側等を介して流動し、溶着部72に到達したためではないかと考えられる(図中のbのような伝熱)。したがって、外管7の内部、かつ溶着部72に近接していた測定地点Yでは、他の部分よりも温度が高くなったのではないかと結論される。
上記知見から溶着部72の溶着位置に注目し、その溶着位置を変化させたランプを作り、温度測定の実験を行なった。図4は、図1のランプ仕様において、金属箔端部から溶着部までの距離Eと、金属箔に溶接された外部リード線部分の温度との関係を説明するための図、図5は、図1のランプ仕様において、金属箔端部から溶着部までの距離Eと、金属箔と外部リード線の溶接部付近の封止部のクラックリーク発生率との関係を説明するための図である。なお、図4における外部リード線の温度の計測には、熱電対を使用した。
図4では、金属箔22の端部から外管7の第2の封着部72までの距離E=0mmの場合は、温度が約460℃で最も高く、距離Eが長くなるにつれて温度は低下しているのがわかる。特に、0mm≦E≦0.5mmでは、急激な温度低下が見られ、60℃近く温度が低下している。
図5においても、E≦2.0mmでは、図4に示した温度低下に比例してクラックリーク発生率が低下し、0.5mm≦E≦2.0mmでは0%を維持している。しかし、E>2.0mmになると、点灯中の温度は低くなっているにもかかわらず、クラックリーク発生率は増加する傾向が見られる。このE>2.0mmのランプでのクラックリークは、ランプ始動直後、またはランプ点灯状態から消灯に転じたときに発生していることが判明した。このことから、金属箔22の端部から外管7の第2の封着部72までの距離が離れすぎると、ランプ消灯直後の外部リード線52と第2の封止部122との間に急激な温度変化が発生、すなわち、それらの熱膨張差が大きくなってしまうため、クラックリークが増加したと考えられる。
以上から、第2の封止部122のクラックリークを防止するためには、金属箔22端部から第2の溶着部までの距離Eを、0.5mm以上、2.0mm以下であるのが好適である。
本実施の形態では、放電空間12に本質的に水銀を含まない自動車用放電ランプにおいて、第2の溶着部72を、外部リード線52接続側の金属箔22端部からソケット9の反対方向に、0.5mm以上、2.0mm以下の距離に形成することで、金属箔22と外部リード線52の接続部付近におけるクラックリークを防止することができる。
本発明の自動車用放電ランプの第1の実施の形態について説明するための全体図。 本発明の気密容器と外管について説明するための。 図1の自動車用放電ランプの仕様等について説明するための拡大図。 図1のランプ仕様において、金属箔端部から溶着部までの距離Eと、金属箔に溶接された外部リード線部分の温度との関係を説明するための図。 図1のランプ仕様において、金属箔端部から溶着部までの距離Eと、金属箔と外部リード線の溶接部付近のクラックリーク発生率の関係を説明するための図。
符号の説明
1 気密容器
11 発光管部
12 放電空間
131、132 第1、第2の封止部
21、22 金属箔
31、32 電極
41、42 コイル
51、52 外部リード線
53 給電端子
6 絶縁チューブ
7 外管
71、72 第1、第2の溶着部
81 外管固定具
82 係止具
9 ソケット

Claims (2)

  1. 放電媒体が封入される放電空間を内部に形成する発光管部、該発光管部の両端に形成された第1および第2の封止部とを有する透光性の気密容器と、
    前記封止部の内部に封着された金属箔と、
    一端は前記金属箔に接続され、他端は前記放電空間内で対向配置された一対の電極と、
    一端は前記金属箔に接続され、他端は前記気密容器の外部に導出された外部リード線と、
    前記発光管部を少なくとも包囲するとともに、前記第1および第2の封止部にそれぞれ溶着固定される第1および第2の溶着部を有する外管と、
    前記第1の封止部側を固定するソケットとを具備し、
    前記第2の溶着部は、前記外部リード線接続側の前記金属箔端部から前記ソケットに対して反対方向に、0.5mm以上、2.0mm以下の距離に形成されていることを特徴とする自動車用放電ランプ。
  2. 前記発光管部と前記外管との間の空間には、不活性ガスが封入されていることを特徴とする請求項1記載の自動車用放電ランプ。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010521771A (ja) * 2007-03-12 2010-06-24 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ 高効率の低電力放電ランプ

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