JP2006301147A - 光ビーコンフィルター用樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】外線レーザーの分光光線透過率が高く、且つ、可視光線の分光光線透過率が低く、成形加工時のガス発生を抑えた、光ビーコンフィルター用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】22種類以上の染料を含む透明な熱可塑性樹脂であり、一つの染料(a)は、ポリカーボネート樹脂に50ppmの濃度で配合して厚さ3mmに成形されたシートで測定した分光光線透過率が750nmでは40%以下であり且つ850nmでは80%以上であり、他の一つの染料(b)は、上記と同様に調製されたシートで測定した分光光線透過率が650nmでは40%以下であり且つ850nmでは80%以上であり、熱可塑性樹脂中の染料(a)の濃度が5〜500重量ppm、染料(b)の濃度が50〜3000重量ppmである。
【選択図】 なし

Description

本発明は光ビーコンフィルター用組成物に関する。
近年、各種の車両情報通信システム(VICS)について検討され、その1つとして、目には見えない近赤外線を使用し、車載機との双方向通信を行う光ビーコンがある。光ビーコンを使用したVICSの場合、一般道路に設置した光ビーコンから、VICS対応の車載機(カーナビ等)へ交通情報などが提供される。斯かる光ビーコンの実用化には、誤動作防止の観点から、可視光の遮光性および近赤外線の透過性に優れる近赤外線吸収フィルター、具体的には870nmのレーザーを選択的に透過させるフィルターが必要とされている。
従来より、近赤外線吸収フィルターとして、特定の構造式で表されるアントラキノン化合物またはナフタロシアニン化合物を含有するフィルムが提案されている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、上記の各種のアントラキノン化合物またはナフタロシアニン化合物では、赤外線レーザーの分光光線透過率が高く且つ可視光線の分光光線透過率が低い近赤外線吸収フィルターの実現は困難である。
特開昭60−43605号公報
勿論、前記の選択的な吸収スペクトルは、適切な吸収スペクトルの化合物を選択して組み合わせるならば、ある程度の選択性で達成し得るが、組み合わせによっては、染料の使用量が増加し、その結果、成形加工の際にガスが発生し、金型を汚染する等の問題がある。
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、赤外線レーザーの分光光線透過率が高く、且つ、可視光線の分光光線透過率が低く、成形加工時のガス発生を抑えた、光ビーコンフィルター用樹脂組成物および光ビーコンフィルターを提供することにある。
すなわち、本発明の第1の要旨は、2種類以上の染料を含む透明な熱可塑性樹脂であり、一つの染料(a)は、ポリカーボネート樹脂に50ppmの濃度で配合して厚さ3mmに成形されたシートで測定した分光光線透過率が750nmでは40%以下であり且つ850nmでは80%以上であり、他の一つの染料(b)は、上記と同様に調製されたシートで測定した分光光線透過率が650nmでは40%以下であり且つ850nmでは80%以上であり、熱可塑性樹脂中の染料(a)の濃度が5〜500重量ppm、染料(b)の濃度が50〜3000重量ppmであることを特徴とする光ビーコンフィルター用樹脂組成物に存する。そして、本発明の第2の要旨は、シボ加工された金型を使用し、上記の樹脂組成物を射出成形して成ることを特徴とする光ビーコンフィルターに存する。
本発明によれば、赤外線レーザーの分光光線透過率が高く、且つ、可視光線の分光光線透過率が低く、機械的性質、熱的性質、電気的性質、耐候性に優れ、成形加工時のガス発生をおさえた、光ビーコンフィルターに有用な樹脂組成物が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の光ビーコンフィルター用樹脂組成物は透明な熱可塑性樹脂に特定の2種類以上の染料を配合して調製される。
上記の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、非晶質ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。これらの中ではポリカーボネート樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂の使用により、機械的性質、熱的性質、電気的性質、耐候性に優れた光ビーコンフィルター用樹脂組成物を調製することが出来る。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、公知の方法により製造することが出来、例えば、界面重合法、ピリジン法、エステル交換法、環状カーボネート化合物の開環重合法を始めとする各種製造方法が挙げられる。具体的には、芳香族ジヒドロキシ化合物またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物とカルボニル系化合物とを反応させることによって得られる、直鎖状または分岐状の重合体または共重合体である。そして、上記のカルボニル系化合物としては、一般にホスゲンとして知られている塩化カルボニルの他、ジメチルカーボネートやジフェニルカーボネートに代表される炭酸ジエステル、一酸化炭素や二酸化炭素などが挙げられる。
原料の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジエトキシジフェニルエーテル等が挙げられ、好ましくはビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類であり、更に好ましくは2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]である。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は2種以上を混合して使用することも出来る。
分岐したポリカーボネートを得るには、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等で示されるポリヒドロキシ化合物、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチンビスフェノール、5,7−ジクロルイサチンビスフェノール、5−ブロムイサチンビスフェノール等を前記の芳香族ジヒドロキシ化合物の一部として使用すればよく、その使用量は、通常0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜2モル%である。
界面重合法による場合は、反応に不活性な有機溶媒とアルカリ水溶液の存在下、通常pHを10以上に保ち、芳香族ジヒドロキシ化合物および適宜分子量調整剤(末端停止剤)、必要に応じ、芳香族ジヒドロキシ化合物の酸化防止のための酸化防止剤を使用し、ホスゲンと反応させた後、第三級アミン、第四級アンモニウム塩などの重合触媒を添加し、界面重合を行う。分子量調節剤の添加はホスゲン化時から重合反応開始時までの間であれば特に限定されない。なお、一般に、反応温度は0〜35℃で、反応時間は数分ないし数時間である。
ここで、反応に不活性な溶媒としては、ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。分子量調節剤または末端停止剤としては、一価のフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられ、具体的には、m−及p−メチルフェノール、m−及びp−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール及びp−長鎖アルキル置換フェノール等が挙げられる。分子量調節剤の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物100モルに対し、通常50〜0.5モル、好ましくは30〜1モルである。重合触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン、ピリジン等の第三級アミン類、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
エステル交換反応は、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応である。この場合、通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率や反応時の減圧度を調整することにより、所望のポリカーボネートの分子量と末端ヒドロキシル基量が決められる。より積極的な方法として、反応時に別途、末端停止剤を添加する調整方法も周知である。この際の末端停止剤としては、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類が挙げられる。末端ヒドロキシル基量は、製品ポリカーボネートの熱安定性、加水分解安定性、色調などに大きな影響を及ぼし、実用的な物性を持たせる観点から、通常1,000ppm以下、好ましくは700ppm以下である。また、エステル交換法で製造するポリカーボネートの末端ヒドロキシル基量は、少なくなりすぎると、分子量が上がらず、色調も悪くなるため、100ppm以上が好ましい。従って、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対する炭酸ジエステルの使用量は、通常は等モル量以上、好ましくは1.01〜1.30モルである。
エステル交換法によりポリカーボネートを製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒としては、主として、アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物が使用され、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用することも可能である。前記の原料を使用したエステル交換反応では、100〜320℃の温度で、最終的には2mmHg以下の減圧下、芳香族ヒドロキシ化合物などの副生成物を除去しながら溶融重縮合反応を行う。溶融重縮合は、バッチ式または連続的に行うことが出来るが、製品の安定性などから連続式で行うことが好ましい。エステル交換法ポリカーボネート中の触媒の失活剤として、当該触媒を中和する化合物、例えばイオウ含有酸性化合物またはそれより形成される誘導体を使用することが好ましく、その量は、触媒のアルカリ金属に対し、通常0.5〜10当量、好ましくは1〜5当量の範囲であり、ポリカーボネートに対し、通常1〜100ppm、好ましくは1〜20ppmの範囲である。
本発明におけるポリカーボネートの分子量は、粘度平均分子量(Mv)として、通常13,000〜50,000、好ましくは16,000〜40,000、更に好ましくは19,000〜30,000である。粘度平均分子量が13,000より小さいと、機械的強度が低下し、用途によっては要求性能を満たさない恐れがある。一方、粘度平均分子量が50,000より大きいと、流動性が悪くなり、成形性に問題がある。
なお、本発明における粘度平均分子量(Mv)は、溶媒として塩化メチレンを使用し、ウベローデ粘度計によって25℃の温度で測定した溶液粘度より求めた極限粘度[η]から、次式により算出した値である。
Figure 2006301147
本発明で使用する一つの染料(a)は、ポリカーボネート樹脂に50ppmの濃度で配合して厚さ3mmに成形されたシートで測定した分光光線透過率が750nmでは40%以下であり且つ850nmでは80%以上である。
上記の染料(a)の具体例としては、例えば、日本化薬社製のアントラキノン系化合物「KAYASORB IR−750」(商品名)がある。この染料の上記と同様にシートで測定した分光光線透過率チャートは図1に示す通りであり、公表されたデータによれば、融点は194℃付近、最大吸収波長は755nm(24mg/L,DMF)、有効吸収波長域は650〜800nm、分子吸光係数(ε)は17,500である。また、アビシア社製の赤外線吸収剤「アビシア800PN」(商品名)も好適に使用することが出来る。「アビシア800PN」の前記と同様にシートで測定した分光光線透過率チャートは図2に示す通りである。更に、H.W.SANDS社製の「SDB7611」(商品名)も好適に使用することが出来る。この染料の分光光線透過率チャートの特徴は上記の各染料と同じであり、公表されたデータによれば、融点は253℃、最大吸収波長は780nm(MeOH)、分子吸光係数(ε)は3.0×10である。
本発明で使用する他の一つの染料(b)は、前記と同様に調製されたシートで測定した分光光線透過率が650nmでは40%以下であり且つ850nmでは80%以上(好ましくは90%以上)である。斯かる染料の分光光線透過率は、実際的には750nmにおいても80%以上(好ましくは90%以上)である。
上記の染料(b)の具体例としては、例えば、三菱化学社製の「ダイヤレジンブルー−H3G」(商品名)がある。この染料の前記と同様にシートで測定した分光光線透過率チャートは図3に示す通りであり、公表されたデータによれば、融点は300℃、分解温度は355℃である。また、住友カラー社製の「スミプラストシアニンブルーLBGN−2」(商品名)も好適に使用することが出来る。この染料の前記と同様にシートで測定した分光光線透過率チャートは図4に示す通りである。
染料(a)は、前述の分光光線透過率から明らかな様に、何れも、870nmでの分光光線透過率が極めて大きく、しかも、700〜800nmの領域に分光光線透過率の低い谷領域を有するが、可視領域側に移行するに従って分光光線透過率が漸次大きくなるという、共通の性質を有している。
染料(b)は、前述の分光光線透過率から明らかな様に、870nmでの分光光線透過率は極めて大きく、しかも、600〜700nmの領域に分光光線透過率の低い谷領域を有するが、可視領域側に移行するに従って分光光線透過率が漸次大きくなるという、共通の性質を有している。
本発明は、上記の様な特徴的な分光光線透過率を有する染料(a)及び(b)を巧みに組み合わせ、700〜800nmの領域と600〜700nmの領域とに分光光線透過率の低い谷領域を形成し、870nmのレーザーの選択的透過を実現せんとしたものである。
本発明の好ましい態様においては、ポリカーボネート樹脂に50ppmの濃度で配合して厚さ3mmに成形されたシートで測定した分光光線透過率が550nmでは65%以下であり且つ850nmでは90%以上である染料(c)を組み合わせることが出来る。斯かる染料の分光光線透過率は、実際的には750nm及び650nmにおいても80%以上(好ましくは90%以上)である。
上記の染料(c)の具体例としては、例えば、三菱化学社製の「ダイヤレジンレッドHS」(商品名)がある。この染料の上記と同様にシートで測定した分光光線透過率チャートは図5に示す通りである。また、バイエル社製の「クイクロレックスViolet3R」(商品名)も好適に使用することが出来る。この染料の前記と同様にシートで測定した分光光線透過率は図6に示す通りである。更に、バイエル社製の「クイクロレックスYELLOW−6G」(商品名)も好適に使用することが出来る。この染料の前記と同様にシートで測定した分光光線透過率は図7に示す通りである。
本発明において、熱可塑性樹脂中の上記の染料の濃度は次の通りである。すなわち、染料(a)の濃度は、5〜500重量ppm、好ましくは20〜100重量ppm%、染料(b)の濃度は、50〜3000重量ppm、好ましくは500〜2000重量ppmである。
染料(a)の濃度が500重量ppmを超える場合は、850nmの透過率が低いため、光ビーコンフィルターとして使用した場合、レーザーの送受信が出来なくなる。一方、染料(a)の濃度が5重量ppm未満の場合は、750nmの透過率が高いため、光ビーコンフィルターとして使用した場合、外光の影響による誤動作の他、レーザーの可視領域が透過することにより、乗車している人間を眩惑させる等の問題が起こる。
染料(b)の濃度が3000重量ppmを超える場合は、光ビーコンフィルターの成形の際、金型にガスが付着し、シボ金型の場合にはシボの転写不良などの外観不良が発生する。一方、染料(b)の濃度が50重量ppm未満の場合は、650nmの透過率が高いため、光ビーコンフィルターとして使用した場合、外光の影響による誤動作、眩惑などの問題が起こる。
任意成分である染料(c)の濃度は、染料(b)の場合と同様の趣旨により同様の濃度範囲から決定される。すなわち、熱可塑性樹脂中の濃度として、通常50〜3000重量ppm、好ましくは500〜2000重量ppmである。
上記の各染料における濃度の組み合わせは、特に制限されないが、、熱可塑性樹脂中の染料の合計濃度は、通常6000重量ppm以下、好ましくは4000重量ppm以下である。染料の合計濃度が余りに高い場合は、金型にガスが付着し、シボの転写不良などの外観不良が発生する。
本発明の光ビーコンフィルター用樹脂組成物の調製法(混合および混練)は、例えば、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ドラムタンブラー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機などを使用して行うことが出来る。混練温度は通常260〜300℃の範囲である。
光ビーコンフィルターの厚さは通常1〜3mmであり、その形状は、組み込まれる態様などにより、平板状、湾曲板状などに形成される。また、質感を出すためにシボ加工が施されることがある。本発明において、シボ加工は、化学エッチング等の一般的なシボ加工方法を採用することが出来、更に、ブラスト処理を組み合わせることもできるが、特に、シボ加工された金型を使用して成形する方法は、簡便であり、外観良好なシボ加工成形体が得られる点で好ましい。
ところで、一般に、シボ加工された金型を使用して成形する方法の場合、樹脂より発生したガスがガスベント部や金型パーティング面だけではなく、シボの凹凸の中に付着して蓄積する場合がある。シボの凹凸の中にガスが付着して蓄積した場合は、その部分のみに光沢を持つ不良(輝点)が発生する。ところが、本発明によれば、特定の染料を組み合わせて使用することにより、ガスの発生が抑えられて輝点の発生を抑制し得るという顕著な利点がある。
本発明によれば、厚さ3mmに成形されたシートで測定した分光光線透過率が350nm〜750nmでは5%以下であり且つ870nmでは70%以上であるビーコンフィルター用樹脂組成物を実現することが可能である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の諸例においては次の表1に記載の原材料を使用した。また、物性評価は後述の記載の様に行った。
Figure 2006301147
(1)分光光線透過率:
射出成形機(日本製鋼所製「J−50EP」)を使用し、280℃で厚さ3mmのプレートを通常成形した。分光光度計(島津製作所製「UV−3100PC」)を使用し、JIS−K7361に準拠し、上記の成形品(プレート)の分光光線透過率を測定した。染料単体の分光光線透過率は、ポリカーボネート樹脂に各染料を50ppmの濃度で配合して厚さ3mmに成形されたシートで測定した分光光線透過率からポリカーボネート樹脂のみの分光光線透過率を引いた値を使用した。表2に分光光線透過率の測定結果を示す。また、実施例1〜5及び比較例1〜3において得られたプレートの可視領域(350〜750nm)の分光光線透過率は、350、450、550、650、750nmの分光光線透過率の平均値とした。
Figure 2006301147
(2)ガス付着評価:
射出成形機(住友重機械工業社製「ミニマット7」)(スクリュ−・バレル材質:耐磨耐食、スクリュ−径φ16mm、理論射出容量3.8cm)にて、しずく型(モルードデポジット評価用金型)を使用し、ガス付着評価を行った。シリンダーの設定温度は280℃、金型の設定温度は60℃とした。ガス付着評価は、次の基準によりアセトン溶媒で除去できるか否かを評価した。ガス付着量が少ない場合は○、ガス付着量は多いがアセトンで除去可能な場合は△、ガス付着量が多くアセトンでの除去も不可能な場合は×とした。
(3)シボ評価:
射出成形機(日本製鋼所製「J−50EP」)を使用し、厚さ3mm×100mm×50mmであり、表面の半分(50mm×50mm)に棚沢八光社製の「TH105」とブラスト処理を組み合わせたシボを施した成形品を280℃で100ショット成形した。欠陥数は1〜100ショット目に確認された長径1mm以上の欠陥(シボが潰れて輝点となっている欠陥)の増加量をカウントした。
実施例1〜5及び比較例1〜3:
表3〜4に示す配合処方で、原料を秤量し、タンブラーによって20分混合した後、40mmφ単軸押出機を使用し、シリンダー温度260℃でペレット化した。得られたペレットを使用し、射出成形機にて、シリンダー温度280℃で3mm厚さのプレートを成形し、前記の評価を行った。結果を表3〜4に示す。
Figure 2006301147
Figure 2006301147
本発明で使用する染料(a−1)の光光線透過率チャート 本発明で使用する染料(a−3)の分光光線透過率チャート 本発明で使用する染料(b−1)の分光光線透過率チャート 本発明で使用する染料(b−2)の分光光線透過率チャート 本発明で使用する染料(c−1)の分光光線透過率チャート 本発明で使用する染料(c−2)の分光光線透過率チャート 本発明で使用する染料(c−3)の分光光線透過率チャート

Claims (5)

  1. 2種類以上の染料を含む透明な熱可塑性樹脂であり、一つの染料(a)は、ポリカーボネート樹脂に50ppmの濃度で配合して厚さ3mmに成形されたシートで測定した分光光線透過率が750nmでは40%以下であり且つ850nmでは80%以上であり、他の一つの染料(b)は、上記と同様に調製されたシートで測定した分光光線透過率が650nmでは40%以下であり且つ850nmでは80%以上であり、熱可塑性樹脂中の染料(a)の濃度が5〜500重量ppm、染料(b)の濃度が50〜3000重量ppmであることを特徴とする光ビーコンフィルター用樹脂組成物。
  2. 染料(c)として、ポリカーボネート樹脂に50ppmの濃度で配合して厚さ3mmに成形されたシートで測定した分光光線透過率が550nmでは65%以下であり且つ850nmでは90%以上である染料を含み、熱可塑性樹脂中の染料(c)の濃度が50〜3000重量ppmである請求項1に記載の光ビーコンフィルター用樹脂組成物。
  3. 厚さ3mmに成形されたシートで測定した分光光線透過率が350nm〜750nmでは5%以下であり且つ870nmでは70%以上である請求項1又は2に記載の光ビーコンフィルター用樹脂組成物。
  4. 透明な熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂である請求項1〜3の何れかに記載の光ビーコンフィルター用樹脂組成物。
  5. シボ加工された金型を使用し、請求項1〜4の何れかに記載の樹脂組成物を射出成形して成ることを特徴とする光ビーコンフィルター。
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