JP2006300897A - ランフラット耐久性評価試験方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 中子式ランフラットタイヤの走行試験を適切に行うことができるように、タイヤへの入力を一般路に近づけたランフラット走行耐久性評価試験方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 中央で交差する二本の直線状舗装路と、前記直線状舗装路の両端を接続する円弧状舗装路と、を有する8の字型コースを、80km/hの範囲内の一定速度で、200kmでランフラット走行させる。これにより、従来のようにオーバル形状が主流で同一旋回方向となることが回避される。すなわち、タイヤサイドの一部への変形・接触の集中が回避される。従って、中子式ランフラットタイヤの走行試験を適切に行うことができるように、タイヤへの入力を一般路に近づけたランフラット走行耐久性評価試験方法とすることができる。
【選択図】 図2
【解決手段】 中央で交差する二本の直線状舗装路と、前記直線状舗装路の両端を接続する円弧状舗装路と、を有する8の字型コースを、80km/hの範囲内の一定速度で、200kmでランフラット走行させる。これにより、従来のようにオーバル形状が主流で同一旋回方向となることが回避される。すなわち、タイヤサイドの一部への変形・接触の集中が回避される。従って、中子式ランフラットタイヤの走行試験を適切に行うことができるように、タイヤへの入力を一般路に近づけたランフラット走行耐久性評価試験方法とすることができる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、タイヤのパンク時耐久性を評価するランフラット耐久性評価試験方法に関する。
空気入りタイヤでランフラット走行が可能なタイヤとしては、タイヤサイドを補強するサイド補強式タイヤと、中子を設ける中子式タイヤとが知られている(例えば特許文献1、2参照)。
近年では、このサイド補強式タイヤと中子式タイヤのどちらかを用いた、パンクしても一定速度で一定距離を走行可能なランフラットシステムが、その安全性のメリットから普及拡大の方向にある。
ランフラットシステムは、その機能上パンク時の走行可能距離をある範囲内で確保する必要がある。この走行可能距離が短すぎると品質問題となり、走行可能距離が長すぎるとオーバークオリティで採算性が悪化する。
従来、ランフフラットシステムのパンク時耐久性の評価試験方法としては、(1)図4に示すように、既存のオーバル型テストコース(以下、オーバルコースという)80を用いる実車評価、(2)実車評価結果との相関性を確認できている前提での耐久ドラム評価、の2種類の方法が取られていた。
しかし、(1)の方法では、既存コースで他の評価車両と混走せざるを得ない為、同一方向に周回することとなる。
また、既存コースでは、旋回部分にはバンク(路面カント)を持つことが多く、直進状態を維持すると遠心力により過度の荷重を受けることがある。このような環境下では、図5に示すように、タイヤのサイド部の一部分Pに、荷重時の繰り返し変形による発熱・劣化と、路面への接触による摩耗と、が集中発生し、早期故障に至ることがあり、市場で起こるタイヤ故障を精度良く再現できていない。
また、ランフラット走行の耐久試験においては、速度を80km/h以上の一定速度で最低200kmのランフラット走行を行う必要がある。言い換えれば、200km走行後でもサイド接地部が破壊されていない状態でなければ、200kmのランフラット走行の耐久性を試験することができない。しかしながら、オーバルコースで80km/h以上の一定速度で同一方向に走行すると、サイド接地部に負荷掛かり、同部分が偏摩耗し破壊されるおそれがある。そのまま走行を継続すると、60kmも満たない走行距離でトレッド面がずれ、走行不能となり、ランフラット試験を継続することができない。中子式ランフラットタイヤによる走行時では、タイヤのサイドウォールからショルダー部が垂れてサイド接地した状態で走行する場合があり、このことは、上記の走行不能となることや早期故障を一層助長している。
更に、一般路におけるランフラット走行では、オーバルコースのようにタイヤの一方側サイドのサイド接地部に偏摩耗が生じるような走行は実際にはない。このため、一般路の走行条件に近くてサイド接地部が破壊されないような条件で十分な距離を走行可能なランフラット走行試験を行い、中子の耐久性などの試験を適切に行える試験方法を検討する必要がある。
(2)の方法では、荷重や速度を自由に設定できるため、中子自体の耐久性評価には有効であるが、ドラム表面がスチールなどの金属で平滑に作られているため、タイヤの摩耗や発熱(表面の摩擦係数μの違いでトレッド面の変形が一般路面と異なるため)によるタイヤ故障を精度良く再現できない。
特開平6−191243号公報
特開2003−326925号公報
本発明は、上記事実を考慮して、中子式ランフラットタイヤの走行試験を適切に行うことができるように、タイヤへの入力を一般路に近づけたランフラット走行耐久性評価試験方法を提供することを課題とする。
請求項1に記載の発明は、中央で交差する二本の直線状舗装路と、前記直線状舗装路の両端を接続する円弧状舗装路と、を有する8の字型コースを、60〜120km/hの範囲内の一定速度又は一定の速度モードで、20〜500kmの範囲内の設定距離でランフラット走行させる、ことを特徴とする。
走行速度については80〜110km/hの範囲内、設定距離としては200km程度、とすることが多い。
請求項1に記載の発明では、このように、同一コースを周回するテストコース内での実車走行によるいわゆるランフラット耐久テストで、コース形態を8の字型としている。そして、速度、距離を上記のように規定している。
これにより、従来のようにオーバル形状が主流で同一旋回方向となることが回避される。すなわち、タイヤサイドの一部への変形・接触の集中が回避される。従って、中子式ランフラットタイヤの走行試験を適切に行うことができるように、タイヤへの入力を一般路に近づけたランフラット走行耐久性評価試験方法とすることができる。
請求項2に記載の発明は、中央で交差する二本の直線状舗装路と、前記直線状舗装路の両端を接続する円弧状舗装路と、を有する8の字型コースを、前記直線状舗装路では80〜120km/hの範囲内の一定速度又は一定の速度モードで、前記円弧状舗装路では60〜120km/hの範囲内の一定速度又は一定の速度モードでランフラット走行させる、ことを特徴とする。
走行速度については、直線状舗装路では80〜90km/hの範囲内、円弧状舗装路では70km/h程度、とすることが多い。
請求項2に記載の発明により、円弧状路での速度を直線状路より若干低くすることにより、横方向の遠心力を低下させ、タイヤへの入力を一般路に近い条件とする耐久性評価を行うことが可能になる。
請求項3に記載の発明は、前記円弧状舗装路の曲率半径が100〜1000mの範囲内であり、前記直線状舗装路の長さが1000〜5000mの範囲内である、ことを特徴とする。
これにより、60〜120km/hの一定速度で走行ができ、かつ、走行時のタイヤへの入力が一般路に近い耐久性評価が可能になる。
請求項4に記載の発明は、前記直線状舗装路が、空中または地中にて立体交差している、ことを特徴とする。
これにより、走行中に交差地点での安全性が確保でき、かつ、複数車両による耐久性やその他の評価を行うことができるため、効率の良い走行路を提供できる。
請求項5に記載の発明は、前記円弧状舗装路は、バンク角が5°以下で平面状である、ことを特徴とする。
これにより、遠心力によるタイヤへの過度の荷重を軽減でき、より一般路に近い条件での耐久性評価を行うことが可能になる。
本発明によれば、中子式ランフラットタイヤの走行試験を適切に行うことができるように、タイヤへの入力を一般路に近づけたランフラット走行耐久性評価試験方法とすることができる。
以下、実施形態を挙げ、本発明の実施の形態について説明する。なお、第2実施形態以下では、既に説明した構成要素と同様のものには同じ符号を付してその説明を省略する。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。第1実施形態で評価試験に用いるタイヤリム組立体は、例えば図1に示すように、リム12と、リム12に取付けられた空気入りタイヤ14と、空気入りタイヤ14の内側に設けられた中子16と、を有するタイヤリム組立体10であり、ランフラット走行が可能にされている。
まず、第1実施形態について説明する。第1実施形態で評価試験に用いるタイヤリム組立体は、例えば図1に示すように、リム12と、リム12に取付けられた空気入りタイヤ14と、空気入りタイヤ14の内側に設けられた中子16と、を有するタイヤリム組立体10であり、ランフラット走行が可能にされている。
リム12は、空気入りタイヤ14のサイズに対応した標準リムである。本実施形態における空気入りタイヤ14は、一対のビード部18と、両ビード部18に跨がって延びるトロイド状のカーカス20と、カーカス20のクラウン部に位置する複数(本実施形態では2枚)のベルト層22と、ベルト層22の上部に形成されたトレッド部24とを備える。
中子16は、板状部材で構成されるリング状の支持部26と、リム12の外周面側に設けられて支持部26を支えるリング状の2つの係留部28と、を備えており、内圧低下により空気入りタイヤ14が潰れると空気入りタイヤ14のトレッド部24の内側が支持部26の外周面に当接し、係留部28を介してリム12に支えられるようになっている。
本実施形態では、このような空気入りタイヤ14を用い、図2に示すような8の字型コース30でランフラット走行の耐久性評価試験を行う。
この8の字型コース30は、中央で交差する二本の直線状舗装路32A、32Bと、直線状舗装路32A、32Bの両端を接続する円弧状舗装路34A、34Bと、で構成される。
本実施形態では、円弧状舗装路34A、34Bの曲率半径が何れも100〜1000mの範囲内であり、直線状舗装路32A、32Bの長さが何れも1000〜5000mの範囲内である。
本実施形態では、この8の字型コースを、80km/hの一定速度で、200kmの設定距離でランフラット走行させる。
これにより、従来のようにオーバル形状が主流で同一旋回方向となることが回避される。すなわち、タイヤサイドの一部への変形・接触の集中が回避される。従って、中子式ランフラットタイヤの走行試験を適切に行うことができるように、タイヤへの入力を一般路に近づけたランフラット走行耐久性評価試験とすることができる。
これによって、一般路の走行におけるパンク時の耐久性を精度良く評価することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、上記の8の字型コース30を用いて試験を行うが、第1実施形態に比べ、直線状舗装路では80〜90km/hの範囲内の一定速度で、円弧状舗装路では70km/hの一定速度でランフラット走行させて評価試験を行う。
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、上記の8の字型コース30を用いて試験を行うが、第1実施形態に比べ、直線状舗装路では80〜90km/hの範囲内の一定速度で、円弧状舗装路では70km/hの一定速度でランフラット走行させて評価試験を行う。
これにより、円弧状路での速度を直線状路より若干低くすることにより、横方向の遠心力を低下させ、タイヤへの入力を一般路に近い条件とする耐久性評価を行うことが可能になる。
第1実施形態、第2実施形態では、直線状舗装路32A、32Bが、空中または地中にて立体交差してもよい。これにより、走行中に交差地点での安全性が確保でき、かつ、複数車両による耐久性やその他の評価を行うことができるため、効率の良い走行路を提供できる。
また、円弧状舗装路34は、バンク角θ(図3参照)が5°以下で平面状であってもよい。これにより、遠心力によるタイヤへの過度の荷重を軽減でき、より一般路に近い条件での耐久性評価を行うことが可能になる。
<試験例>
本発明の効果を確かめるために、本発明者は、同一条件の中子式ランフラットタイヤ(空気入りタイヤ)を用いて、第1実施形態の評価試験方法の二例(以下、実施例1の評価試験方法、実施例2の評価試験方法、という)、及び、従来の評価試験方法の二例(以下、従来例1の評価試験方法、従来例2の評価試験方法、という)を用意し、性能評価を行った。
本発明の効果を確かめるために、本発明者は、同一条件の中子式ランフラットタイヤ(空気入りタイヤ)を用いて、第1実施形態の評価試験方法の二例(以下、実施例1の評価試験方法、実施例2の評価試験方法、という)、及び、従来の評価試験方法の二例(以下、従来例1の評価試験方法、従来例2の評価試験方法、という)を用意し、性能評価を行った。
本試験例では、全てのタイヤで、タイヤサイズが225/60R17、リムサイズが6.5JJである。また、性能評価を行う際に用いた車両は、国産車で排気量が3000ccクラスのSUVである。また、本試験例では、全てのタイヤについて、リムに組み込み後、パンク状態として試験を行った。
本試験例における各評価試験方法を表1に示す。なお、本試験例では、円弧状舗装路34A、34Bの曲率半径を200mの同一にした。
表1には、各評価試験方法におけるランフラット走行可能距離(耐久距離)を併せて示す。表1から判るように、従来例1の評価試験方法では耐久距離が56kmであり、従来例2の評価試験方法では耐久距離が40kmであった。これに対し、実施例1の評価試験方法、実施例2の評価試験方法では、従来例1、2の評価試験方法に比べ、何れも耐久距離が長かった。また、実施例2の評価試験方法では300kmを完走してもタイヤに故障が発生しなかった。
なお、実施例1の評価試験方法では200km完走後、タイヤサイドの接地部に多少の偏摩耗が発生していたが、この接地部は破壊されていなかったため、中子の耐久性などの試験を適切に行うことができた。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。
30 8の字型コース
32A 直線状舗装路
32B 直線状舗装路
34A 円弧状舗装路
34B 円弧状舗装路
80 オーバル型テストコース
θ バンク角
32A 直線状舗装路
32B 直線状舗装路
34A 円弧状舗装路
34B 円弧状舗装路
80 オーバル型テストコース
θ バンク角
Claims (5)
- 中央で交差する二本の直線状舗装路と、前記直線状舗装路の両端を接続する円弧状舗装路と、を有する8の字型コースを、60〜120km/hの範囲内の一定速度又は一定の速度モードで、20〜500kmの範囲内の設定距離でランフラット走行させる、ことを特徴とするランフラット走行耐久性評価試験方法。
- 中央で交差する二本の直線状舗装路と、前記直線状舗装路の両端を接続する円弧状舗装路と、を有する8の字型コースを、前記直線状舗装路では80〜120km/hの範囲内の一定速度又は一定の速度モードで、前記円弧状舗装路では60〜120km/hの範囲内の一定速度又は一定の速度モードでランフラット走行させる、ことを特徴とするランフラット走行耐久性評価試験方法。
- 前記円弧状舗装路の曲率半径が100〜1000mの範囲内であり、
前記直線状舗装路の長さが1000〜5000mの範囲内である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のランフラット走行耐久性評価試験方法。 - 前記直線状舗装路が、空中または地中にて立体交差している、ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載のランフラット走行耐久性評価試験方法。
- 前記円弧状舗装路は、バンク角が5°以下で平面状である、ことを特徴とする請求項4に記載のランフラット走行耐久性評価試験方法。
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JP2005126951A JP2006300897A (ja) | 2005-04-25 | 2005-04-25 | ランフラット耐久性評価試験方法 |
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JP2012181104A (ja) * | 2011-03-01 | 2012-09-20 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | タイヤの耐久性評価方法 |
JP2015017874A (ja) * | 2013-07-10 | 2015-01-29 | 住友ゴム工業株式会社 | タイヤ評価方法 |
-
2005
- 2005-04-25 JP JP2005126951A patent/JP2006300897A/ja active Pending
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