JP2006299912A - ガスエンジン装置の運転方法及びガスエンジン装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高いエネルギー効率を維持し、且つ、メタン、窒素酸化物及び一酸化炭素の放出を抑制することができるガスエンジン装置の運転方法を提供する。
【解決手段】メタンを含む燃料ガスと酸素を含むガスとを含む混合気をガスエンジンで燃焼させ、生じた燃焼排ガスを、ジルコニアを主成分とする耐火性無機酸化物にイリジウムを担持した排ガス浄化用触媒で処理するに際し、 前記混合気の空燃比を調整して前記ガスエンジンの燃焼状態を希薄燃焼状態と理論空燃比状態との間で切り替え、前記希薄燃焼状態及び前記理論空燃比状態の両方において前記排ガス浄化触媒で前記燃焼排ガスを処理するガスエンジン装置の運転方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、メタンを含む燃料ガスと酸素を含むガスとを含む混合気をガスエンジンで燃焼させ、生じた燃焼排ガスを排ガス浄化用触媒で処理するガスエンジン装置の運転方法に関する。
エンジン等の内燃機関の排ガス中には、窒素酸化物や一酸化炭素、さらには炭化水素が含まれる。これらの成分は大気中にそのまま放出すると環境等の観点から問題があるので、従来、三元触媒法を用いて排ガスから上記3成分を除去して排ガスを放出していた。三元触媒法とは、排ガスの空燃比を制御して排ガス中の酸化性成分と還元性成分とを釣り合わせた上で、白金やロジウムを含む触媒(三元触媒)に排ガスを通じて、窒素酸化物、一酸化炭素、および炭化水素の同時除去を図るものである。
三元触媒を用いた排ガスの浄化方法は、ガソリン自動車の排ガス浄化に適用され、自動車排ガスからの窒素酸化物低減に多大な効果をもたらした。三元触媒法をガソリン自動車排ガスに適用した場合、空燃比λ=1.000及びその近辺では、窒素酸化物、一酸化炭素、および炭化水素のいずれの成分も良好に除去できる。
近年、エンジンのエネルギー効率が高い希薄燃焼状態、即ち、λ=1.000よりもリーン(酸素過剰)側の空燃比(例えば、λ=1.3〜2.5)で燃焼させる希薄燃焼機関の採用が増えている。この希薄燃焼状態においても、窒素酸化物、一酸化炭素、及び炭化水素を含む排ガスが排出される。希薄燃焼した排ガスに含まれる窒素酸化物は理論空燃比で燃焼したときの排ガスに比べて低い。一酸化炭素及び炭化水素は、例えば、白金やパラジウムを活性成分とする酸化触媒で除去される(例えば、特許文献1参照。)。
ここで、燃料の主成分がメタンである場合、化学安定性が高いため反応が進まず、除去は容易ではない。そのため、かかる組成の燃料ガスに特化した排ガスの浄化方法が提案されてきた。例えば、都市ガスの希薄燃焼排ガス中に含まれるメタンを、白金及びパラジウムを担持したアルミナ触媒で酸化除去することが試みられている(非特許文献1参照。)。しかしながら、この触媒では、浄化開始から100時間程度経過後に、メタン除去能が顕著に低下した。これに対して、パラジウムを担持したアルミナ触媒を用いて希薄燃焼排ガスに含まれるメタンを除去するにあたって、希薄燃焼時の温度より高温にした状態で理論空燃比、又はλ=1.000よりもリッチ(燃料過剰)側の空燃比で燃焼させると、希薄燃焼状態のみを継続する場合に比べてメタン除去能を高く維持することができることが開示されている(非特許文献2及び特許文献2参照。)。
又、特許文献3には、メタンを含有し酸素を大過剰に含む燃焼排ガス(体積基準として約2%以上であって且つ炭化水素などからなる還元性成分の酸化当量の約5倍以上の酸素が存在)中のメタンを、酸化ジルコニウムにイリジウムや白金を担持した触媒が除去可能であることが開示されている。
山本、内田、「担持貴金属触媒による微量炭化水素の酸化除去」、平成8年度触媒研究発表会第78回触媒討論会(A)講演予稿集、触媒学会、平成8年9月、p96 ジョルダン K.ランパート(Jordan K Lampert)他、「リーンバーン天然ガス車排ガスからのメタン排出削減:触媒性能に対する硫黄の影響」、(米国)、SAEテクニカル・ペーパー・シリーズ(SAE TECHNICAL PAPER SERIES)961971、p15−20 特開昭51−106691号公報 特開2002−122033号公報 WO 2002/040152号国際公開公報
しかしながら、理論空燃比で都市ガスのようなメタンを主成分とするガスを燃焼させた場合、排ガスに希薄燃焼時に比べて高濃度の窒素酸化物が含まれている。前掲のパラジウム系の三元触媒では、触媒再生のために空燃比を変更して運転した際に高濃度の窒素酸化物が浄化できず、大気中に放出されるおそれがあった。又、酸化ジルコニウムにイリジウムや白金を担持した触媒では、希薄燃焼状態の燃焼排ガス中でのメタン除去能が高いことは明らかにされていたが、理論空燃比状態の燃焼排ガス中での一酸化炭素や窒素酸化物の除去能力については明らかにされていなかった。
従って、本発明の目的は、上記問題点に鑑み、高いエネルギー効率を維持し、且つ、メタン、窒素酸化物及び一酸化炭素の放出を抑制することができるガスエンジン装置の運転方法を提供することにある。
この目的を達成するための本発明のガスエンジン装置の運転方法の特徴手段は、請求項1に記載されているように、メタンを含む燃料ガスと酸素を含むガスとを含む混合気をガスエンジンで燃焼させ、生じた燃焼排ガスを、ジルコニアを主成分とする耐火性無機酸化物にイリジウムを担持した排ガス浄化用触媒で処理するに際し、前記混合気の空燃比を調整して前記ガスエンジンの燃焼状態を希薄燃焼状態と理論空燃比状態との間で切り替え、前記希薄燃焼状態及び前記理論空燃比状態の両方において前記排ガス浄化触媒で前記燃焼排ガスを処理する点にある。
尚、本明細書において、「理論空燃比状態」とは、空気量が理論空気量の0.990倍〜1.005倍(λ=0.990〜1.005)程度の範囲をいい、「希薄燃焼状態」とは、空気量が理論空気量の1.2倍〜3.0倍(λ=1.2〜3.0)程度の範囲をいう。
上記特徴手段において、請求項2に記載されているように、前記ガスエンジンの負荷に応じて前記ガスエンジンの燃焼状態を選択し、選択した燃焼状態にない場合に前記ガスエンジンの燃焼状態を選択した燃焼状態に切り替えることが好ましい。
又、上記特徴手段において、請求項3に記載されているように、前記排ガス浄化用触媒の触媒能を指標に、前記ガスエンジンの燃焼状態を切り替えることが好ましい。
又、上記特徴手段において、請求項4に記載されているように、希薄燃焼状態で前記ガスエンジンを運転している場合に、前記排ガス浄化用触媒による処理前後における前記燃焼排ガスの温度差が所定値以下となったときは、前記ガスエンジンの燃焼状態を理論空燃比状態に切り替えることが好ましい。
又、上記特徴手段において、請求項5に記載されているように、希薄燃焼状態における前記ガスエンジンの運転時間が連続して所定時間経過した場合、前記ガスエンジンの燃焼状態を理論空燃比状態に切り替えることが好ましい。
又、上記特徴手段において、請求項6に記載されているように、前記排ガス浄化触媒による処理温度が400〜550℃であることが好ましい。
又、上記特徴手段において、請求項7に記載されているように、前記排ガス浄化触媒が、更に白金を担持したものであることが好ましい。
更に、この目的を達成するための本発明のガスエンジン装置の特徴構成は、請求項8に記載されているように、メタンを含む燃料ガスと酸素を含むガスとを含む混合気を燃焼させるガスエンジンと、前記燃料ガスと前記酸素を含むガスとの混合比を調整して前記ガスエンジンに導入する混合気の空燃比を制御する空燃比制御手段と、排ガス浄化用触媒を内装し前記ガスエンジンの燃焼排ガスが導入される触媒部とを備えたガスエンジン装置において、前記排ガス浄化用触媒が、ジルコニアを主成分とする耐火性無機酸化物にイリジウムを担持した排ガス浄化触媒であり、ガスエンジンの燃焼状態を前記空燃比制御手段が希薄燃焼状態と理論空燃比状態との間で可逆的に切り替え、前記理論空燃比状態で前記排ガス浄化用触媒の再生処理を行う点にある。
発明者はガスエンジン装置の排ガス浄化用触媒について鋭意検討を進めた結果、WO 2002/040152号国際公開公報に開示された、酸化ジルコニウムを主成分とする無機酸化物にイリジウムを担持して構成された触媒が、メタン及び酸素を含むガスを希薄燃焼状態で燃焼して生じた燃焼排ガス中のメタンの除去に優れるのみならず、理論空燃比状態で燃焼して生じた燃焼排ガス中ではメタンを還元剤として消費して窒素酸化物を浄化可能であり、理論空燃比状態で燃焼して生じた燃焼排ガスを処理する場合にも低温性能に優れることを見出した。この触媒は、特に、反応性が低い炭化水素であるメタンであっても還元力として利用可能であるので、ガスエンジンの燃焼排ガスを処理するのに適している。尚、排ガス浄化に関する技術常識では、浄化対象ガスの酸素濃度が大きく異なる、即ち、空燃比が大きく異なる状態では、触媒機能を司る金属元素の酸化還元状態が変化するため、同様の触媒活性は期待できないと通常考えられている。従って、三元触媒では、理論空燃比領域と酸素大過剰の空燃比領域の何れかで高い活性を発揮する場合、他方では高活性を維持しないと考えるのが従来の技術思想としては妥当であり、本発明で用いる酸化ジルコニウムを主成分とする無機酸化物にイリジウムを担持して構成された三元触媒が、希薄燃焼状態と理論空燃比状態の何れの燃焼状態において生じた燃焼排ガス処理にも使用可能であることは、本願発明者が見出した新知見である。
前記ジルコニアを主成分とする耐火性無機酸化物にイリジウムを担持してなる前記排ガス浄化触媒の性質を利用することによって、請求項1に記載したように、メタンを含む燃料ガスと酸素を含むガスとを含む混合気をガスエンジンで燃焼させ、生じた燃焼排ガスを排ガス浄化用触媒で処理するに際し、前記混合気の空燃比を調整して前記ガスエンジンの燃焼状態を希薄燃焼状態と理論空燃比状態との間で切り替えても、前記希薄燃焼状態及び前記理論空燃比状態の両方において前記排ガス浄化触媒で前記燃焼排ガスを処理可能となる。これにより、高いエネルギー効率を維持し、且つ、メタン、窒素酸化物及び一酸化炭素の放出を抑制することができる。
そして、請求項2に記載してあるように、前記ガスエンジンの負荷に応じて前記ガスエンジンの燃焼状態を選択し、選択した燃焼状態にない場合に前記ガスエンジンの燃焼状態を切り替えることができる。例えば、前記ガスエンジンを低負荷運転する場合には、ガスエンジンの燃焼状態としてエネルギー消費が少ない希薄燃焼状態を選択し、選択した時点でガスエンジンの燃焼状態が理論空燃比状態にある場合には、希薄燃焼状態に切り替える。また、前記ガスエンジンを高負荷運転する場合には、ガスエンジンの燃焼状態として高い出力が得られる理論空燃比状態を選択し、選択した時点でガスエンジンの燃焼状態が希薄燃焼状態にある場合には、理論空燃比状態に切り替える。何れの場合にも、触媒処理を施すことによって、燃焼排ガスに含まれる窒素酸化物、メタン及び一酸化炭素を低濃度にまで低減することができる。
更に、発明者は、酸化ジルコニウムを主成分とする無機酸化物にイリジウムを担持して構成された三元触媒が希薄燃焼条件下で使用し続けるとメタン除去能が経時的に低下するが、一時的に周辺雰囲気を理論空燃比条件に変更することでメタン除去能が回復し再生されることを見出した。当該作用機構は明らかではないが、おそらく、前記三元触媒周辺雰囲気の酸化還元状態が変化することによって、触媒表面の酸化還元状態が変化すると推測される。但し、実施例に示すように、本発明においては触媒のメタン除去能を回復させる際に触媒周辺雰囲気の温度を上昇させる必要がないことから、600℃程度にまで昇温することによって触媒表面に付着した硫黄成分を脱離させる前掲の特許文献2に記載の発明の作用機構とは異なると考えられる。
そして、通常の運転条件と異なる空燃比(実質的には温度)で触媒再生を図る工程を有する従来の技術(例えば、特許文献2に開示)と、本発明との相違において特筆すべきは、表8に示すように、本発明では酸素に対する燃料の比率を上昇させたときに増加する窒素酸化物を充分除去できるので、触媒を再生している最中にもガスエンジン装置から排出される排ガスに高濃度の窒素酸化物が残らない点である。このようにして、本発明に係るガスエンジン装置の運転方法では、請求項3に記載してあるように、前記排ガス浄化用触媒の触媒能を指標に前記ガスエンジンの燃焼状態を切り替えることで、高いエネルギー効率を長期間に亘って維持し、且つ、メタン、窒素酸化物及び一酸化炭素の放出を抑制することができる。
例えば、希薄燃焼状態で前記ガスエンジンを運転している場合に、前記排ガス浄化用触媒による処理前後における前記燃焼排ガスの温度差が所定値以下となったときは、触媒活性の低下によって反応熱の発生が低下していると考えられる。このようなときに、請求項4に記載してあるように、前記ガスエンジンの燃焼状態を希薄燃焼状態から理論空燃比状態に切り替えると、燃焼排ガスに含まれる窒素酸化物、炭水化物、一酸化炭素の無害化を同時に行いながら、排ガス浄化用触媒を再生することができる。
或いは、希薄燃焼状態における前記ガスエンジンの運転時間が連続して所定時間経過すると、排ガス浄化用触媒の触媒活性が要求される水準を満たさなくなると予見できる場合には、請求項5に記載してあるように、希薄燃焼状態における前記ガスエンジンの運転時間が連続して所定時間経過した後、前記ガスエンジンの燃焼状態を理論空燃比状態に切り替えて、燃焼排ガスに含まれる窒素酸化物、炭水化物、一酸化炭素の無害化を同時に行いながら、排ガス浄化用触媒を再生することができる。
又、本法は、請求項6に記載してあるように、前記排ガス浄化触媒による処理温度が400〜550℃であっても充分に上述した効果を奏しうるものであるので、触媒の熱劣化(凝集による粒子径増大、触媒能の低下等)を抑制することができる。また、低温で運転されるガスエンジン等では排ガスの温度がこの範囲にあるので、排ガスを温度調整することなく浄化することができるという利点がある。
ここで、請求項7に記載されているように、上記排ガス浄化用触媒が、前記イリジウムに加え白金を担持したものであると、硫黄被毒による性能低下が少ないので寿命が長く、長期間に亘ってメタンを含むガスの浄化を行うことができる。更に、低温性能および希薄燃焼状態で生じた燃焼排ガスのメタン除去性能に非常に優れるので、本法で用いる触媒として適している。
そして、請求項8に記載してあるように、メタンを含む燃料ガスと酸素を含むガスとを含む混合気を燃焼させるガスエンジンと、前記メタンを含む燃料ガスと前記酸素を含むガスとの混合比を調整して前記ガスエンジンに導入する混合気の空燃比を制御する空燃比制御手段と、排ガス浄化用触媒を内装し前記ガスエンジンの燃焼排ガスが導入される触媒部とを備えたガスエンジン装置において、前記排ガス浄化用触媒が、ジルコニアを主成分とする耐火性無機酸化物にイリジウムを担持した排ガス浄化触媒であり、ガスエンジンの燃焼状態を前記空燃比制御手段が希薄燃焼状態と理論空燃比状態との間で可逆的に切り替え、前記理論空燃比状態で前記排ガス浄化用触媒の再生処理を行うものであると、上述したガスエンジン装置の運転方法を実現することができる。尚、前記ガスエンジンの燃焼状態の切り替えは、前記排ガス浄化用触媒の再生処理を目的として行われるものであってもよいが、前記ガスエンジンの負荷に応じて切り替えた場合であっても、前記排ガス浄化用触媒に再生処理が施されるのは言うまでもない。
以下に本発明の実施の形態を説明する。
本発明は、メタン及び酸素を含むガスをガスエンジンで燃焼させ、生じた燃焼排ガスを排ガス浄化用触媒で処理するガスエンジン装置の運転方法に関するものである。係る発明を実施するにあたって、例えば、酸素を含むガス(空気等)とメタンを主成分として含む燃料ガス(都市ガス等)とを混合して得られる混合気を燃焼させるガスエンジンと、前記燃料ガスと前記酸素との混合比を調整して前記ガスエンジンに導入する混合気の空燃比を制御する空燃比制御手段と、排ガス流路を通じて前記ガスエンジンの燃焼排ガスが導入される触媒部とを備えたガスエンジン装置を採用することができる。
前記触媒部は、ジルコニアを主成分とする耐火性無機酸化物にイリジウムを担持した排ガス浄化用触媒を内装する。前記排ガス浄化触媒は、希薄燃焼状態の燃焼排ガス中にあっては一酸化炭素及びメタンの除去に高い性能を示し、理論空燃比状態の燃焼排ガス中にあっては一酸化炭素、メタン及び窒素酸化物の除去に高い性能を示す。
この排ガス浄化用触媒は、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)に、イリジウムのイオンを含む溶液を含浸し、乾燥、焼成することによって得られる。イリジウムの含浸に用いる金属イオンを含む溶液としては、水溶液で行う場合には、塩化イリジウム酸などの水溶性の化合物を純水に溶解すればよい。また、トリス(アセチルアセトナト)イリジウムなどの有機金属化合物をアセトンなどに溶解した有機溶媒系で行っても良い。また、必要に応じて水に水溶性の有機溶媒を加えた混合溶媒としてもよい。イリジウムに加え白金を担持する場合には、イリジウム塩および白金塩の両方を溶解する水溶液を用いて一度に担持することもでき、この場合、塩化イリジウム酸と塩化白金酸との混合溶液を用いることができる。また、イリジウムと白金とを分けて逐次的に担持しても良く、このとき、次の担持までの間に、適宜乾燥や仮焼などの工程を経ても良い。
酸化ジルコニウムの比表面積は、あまりに低いとイリジウムを高分散に保つことができなくなる一方、あまりに高表面積でも、不安定となって使用中に担体の焼結が進行するおそれがある。従って、2〜90m/gの範囲とするのがよく、より好ましくは、5〜60m/gの範囲である。このような酸化ジルコニウムとしては、市販の触媒担体用酸化ジルコニウムを用いても良く、または市販の水酸化ジルコニウムを600〜1000℃で焼成して用いても良い。また、前記酸化ジルコニウム担体は、その比表面積を2〜90m/gの範囲とするのがよく、5〜60m/gの範囲であることがより好ましい。酸化ジルコニウムには、調製条件や前記したような添加物の有無およびその量により、単斜晶、正方晶、立方晶のものが存在することが知られている。本発明の排ガス浄化用触媒には、これらのいずれのものでも使用できるが、単斜晶のものを用いることが好ましい。
イリジウムの担持量は、少なすぎると排ガス浄化用触媒活性が低く、また多すぎるとイリジウムの粒径が大きくなり担持量に見合った性能が得られなくなり、経済性に劣る。よって、好ましくは酸化ジルコニウムの重量に対して0.5〜20%、より好ましくは1〜5%とする。白金を用いる場合には、少なすぎると効果がなく、また多すぎるとイリジウムの活性を阻害するので、好ましくはイリジウムの重量に対して5〜100%、より好ましくは10〜50%とする。
活性金属の担持後、これを焼成して触媒が完成する。焼成時に流通するガスは、通常の空気でよいが、空気あるいは酸素と、窒素などの不活性ガスとを適宜混合したガスを用いても良く、この他水蒸気や二酸化炭素などを添加しても良い。焼成温度は高すぎると、担持された貴金属の粒成長が進んで高い活性が得られない。逆に低すぎても焼成の効果が無く排ガス浄化用触媒の使用中に貴金属の粒成長が進んで安定した活性が得られないおそれがある。従って、安定して高い活性をうるためには、焼成の温度は450℃〜650℃の範囲とするのがよく、より好ましくは500℃〜600℃の範囲とするのがよい。
本発明の排ガス浄化用触媒は、その形状を、ペレット状やハニカム状など任意の形状に成型して用いても良い。例えば、コージェライトなどの耐火性ハニカム上にウオッシュコートしたりして用いてもよく、このようにすることで、圧力損失を低減することができる。耐火性ハニカム上にウオッシュコートする場合には、上記の方法で調製した排ガス浄化用触媒に必要に応じて酸化ジルコニウムゾルなどを加えてスラリー状にしてウオッシュコートしても、あらかじめ酸化ジルコニウムを同様の方法で耐火性ハニカム上にウオッシュコートしてから上記の方法に従ってイリジウムおよび必要に応じて白金などを担持してもよい。コージェライトにウオッシュコートする場合の排ガス浄化用触媒のコート量は、コージェライト1リットルあたり、酸化ジルコニウムとして50〜300g、イリジウムとして0.5〜30gとするのが良く、より好ましくは、酸化ジルコニウムとして100〜250g、イリジウムとして5〜20gの範囲とする。白金を担持する場合、イリジウムに対する重量比で5〜100%、より好ましくは10〜50%とする。
本発明の排ガス浄化用触媒は、上述したジルコニアを主成分とする耐火性無機酸化物にイリジウムを担持した排ガス浄化触媒に、必要に応じて公知の触媒を混合併用することを許容する。本発明の排ガス浄化用触媒と公知の触媒の混合の方法は、両粉体を混合粉砕しても良く、またウオッシュコート触媒とする場合は、両粉体を混合粉砕して得た混合粉体をウオッシュコートしても良く、2またはそれ以上の層に分けて別々にあるいは混合比を変えてコートしても良い。
使用する触媒の量は、少なすぎると有効な酸化性能が得られないので、ガス時間当たり空間速度(GHSV)として200,000h−1以下となる条件で使用するのが望ましい。ガス時間当たり空間速度(GHSV)を低くするほど触媒量が多くなるため、触媒性能は向上するが、例えば1000h−1以下で用いるような場合には経済性の問題に加えて、触媒層での圧力損失が大きくなる問題が生じるおそれがある。GHSVとして10,000〜60,000h−1の範囲となるように触媒量を調整すると、性能と経済性を両立する上で特に好ましい。
本発明で使用する排ガス浄化用触媒は、高い活性を有するが、あまりに低温では活性が下がり、所望の酸化性能が得られないおそれがあるので、触媒層温度が400℃以上に保たれるようにするのが好ましい。また600℃を超えるような温度での使用では、排ガス浄化用触媒の耐久性が悪化するおそれがある。また、600℃以上の温度で長時間空気を流通するなどした場合には活性金属の凝集(粒成長)が促進されるため、排ガス浄化用触媒劣化の懸念がある。より好ましくは400〜550℃の燃焼排ガスを触媒に接触させる。この温度域は、通常、低温運転のガスエンジンから排出された燃焼排ガスの温度に合致するので燃焼排ガスの温度を調整せずに触媒部に導入することができる。燃焼排ガス温度がこれより低い場合には、触媒部にヒータを設けて燃焼排ガスを加温する。
ここで、燃料ガスには、天然ガスや付臭剤に由来する二酸化硫黄などの硫黄成分が含まれることがある。ところが、実施例から明らかなように、本発明の排ガス浄化用触媒は硫黄被毒に対する抵抗性が高いので、このような場合にも高い浄化性能が維持される。この他、燃料ガス中にはメタン以外の炭化水素やその他の有機成分が含まれることがある。このような場合にも、前記排ガス浄化用触媒は不活性なメタンも利用できるほどの高い酸化活性を有するので、表8に示すように、メタン以外の炭化水素やその他の有機成分も有効に除去でき、浄化性能を阻害されることはない。
前記空燃比制御手段は、前記ガスエンジンに供給する混合気の空燃比を制御するものである。例えば、燃焼排ガスの酸素濃度を測定可能に燃焼排ガス流路に設けた酸素センサ(ジルコニア酸素センサ等)と、酸素を含むガスに混合する前記燃料ガスの流量を調節する為の燃料弁(電磁弁等)と、前記酸素センサの測定結果等の情報に基づいて前記燃料弁を制御する燃料弁制御手段(CPU等)と備えた空燃比制御手段を採用することができる。尚、安定した空燃比制御を行うために、前記酸素センサを前記触媒部の前後夫々に設けてもよい。また、燃料弁は、粗調整のための主燃料弁と微調整のための副燃料弁とを備えるものであってもよい。
前記燃料弁制御手段は、予め設定された燃焼排ガス中の酸素濃度の目標値と、燃焼排ガスに含まれる酸素濃度の測定値とを比較し、測定値が目標値より低い場合には燃料ガスの供給量が減じるように、又、測定値が目標値より高い場合には燃料ガスの供給量を増加するように、前記燃料弁の開度を調節する。例えば、ガスエンジンの燃焼状態を希薄燃焼状態にする場合の空燃比の目標値はλ=1.3〜2.5であり、理論空燃比状態にする場合の空燃比の目標値はλ=0.99〜1.00である。好ましくは、λ=0.998〜1.000の空燃比にあるメタン含有ガスを、本発明に係る排ガス浄化用触媒に接触させる。このようにすると、非常に高い浄化能を発揮することができる。実用上、空燃比を数10ミリ秒〜数秒単位で振動させる場合においては、時間平均の空燃比が上記の範囲に入っていればよい。酸素を含むガスとして通常は空気が用いられるが、酸素富化空気等の酸素濃度の異なるガスを用いる場合であっても、酸素含有量に応じて理論ガス量は計算できる。
前記ガスエンジンの燃焼状態の切り替えは、ガスエンジンの負荷に応じて、又は、前記排ガス浄化触媒の触媒能を指標に行われる。例えば、通常、エネルギー効率の良い希薄燃焼状態でガスエンジンを運転し、高出力が求められる場合に、理論空燃比状態に切り替える。切り替え基準として、定格出力に対する出力の比が一定比率(例えば、定格出力に対する出力の比が90%)を超えた場合等が挙げられる。希薄燃焼状態でガスエンジンを高負荷運転させると、燃焼排ガスに窒素酸化物が多く含まれる。このような場合には、理論空燃比状態でガスエンジンを運転し、酸素含有率が低い燃焼排ガスを得て、これを排ガス浄化用触媒で処理する方が窒素酸化物の除去率を高めることができ、窒素酸化物の放出が抑制される。
又、希薄燃焼状態でガスエンジンを長時間運転すると前記排ガス浄化用触媒のメタン除去能が低下することがあるので、このような場合、理論空燃比状態の燃焼排ガスを触媒部に通じて再生処理を施し、排ガス浄化用触媒による燃焼排ガス処理を継続しつつ、当該触媒のメタン除去能を回復させる。触媒のメタン除去能の低下の有無については、例えば、触媒部前後又は触媒部内部の入口側と出口側に燃焼排ガスの温度を測定する温度計を設け、これらの温度測定値の差が所定範囲内にあるか否かにより判定可能である。設定される温度差は、ガスエンジンの規模や触媒部の温度に基づいて適宜設定可能である。又、触媒部の前後に設けた酸素センサで検出された酸素濃度の差が所定値を下回る、又は、触媒部後段にメタンセンサを設けメタン濃度の実測値が所定値を上回るか否かによっても判定することができる。
或いは、これらの判定に基づいて、触媒性能が劣化すると予測される希薄燃焼状態における連続運転時間を推測し、この連続運転時間を経過した後に、理論空燃比状態にガスエンジンの運転状態を切り替えて再生処理を施すことで、触媒の劣化に対応することができる。理論空燃比状態での運転時間、即ち、再生処理に要する時間は、短すぎると触媒活性の回復が充分に起こらず、又、特段の事情がなければ触媒活性が回復した後速やかに希薄燃焼状態に復帰することが望ましい。従って、希薄燃焼状態で1〜100時間、好ましくは2〜10時間連続運転した後に、例えば、30秒〜30分、好ましくは、3〜10分程度、理論空燃比状態での運転を挿入して再生処理を施す。
尚、ガスエンジンの燃焼状態の切り替えタイミングの判定は、エネルギー効率(出力)、触媒活性の何れか一方に基づいて行ってもよいが、双方を考慮した上で判定することが好ましい。
以下、実施例および比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔排ガス浄化用触媒の作成例1〕
酸化ジルコニウム(日本電工(株)製、N−PC、比表面積 28m/g)を空気中800℃で6時間焼成した。この焼成酸化ジルコニウム40gに、塩化イリジウム酸(HIrCl)水溶液を含浸し、さらにエバポレーターで蒸発乾固した後、空気中550℃で6時間焼成して、酸化ジルコニウムに対してイリジウムを2重量%含有するイリジウム/酸化ジルコニウム排ガス浄化用触媒を得た。この排ガス浄化用触媒の比表面積は16m/gであった。
この排ガス浄化用触媒を打錠成型して粒径1〜2mmに整粒したものを用意し、この2mlをステンレス製反応管に充填した。排ガス浄化用触媒層温度を400〜550℃の所定の温度に保ち、表1に示す組成(λ=0.985〜1.005の燃焼排ガスを模擬している)の初期反応ガスを毎分1.5リットル(標準状態における体積;以下同様)の流量(GHSV:45,000h−1)で流通して、窒素酸化物、メタン及び一酸化炭素の浄化率を測定した。
引き続いて、表2に示す組成のガスを毎分1.5リットルの流量で20時間流通して劣化処理を行ったのち、表3に示す組成のガスを毎分1.5リットルの流量で流通して、窒素酸化物、メタン及び一酸化炭素の浄化率を再び測定した。尚、作成例1〜3並びに比較例1及び2に係る排ガス浄化用触媒の性能評価において、一酸化炭素、メタン及び酸素濃度の測定は、ガスクロマトグラフ法(ヤナコ計測製、AG−1)を用いて行った。又、窒素酸化物濃度の測定は、化学発光式NOx分析計(ヤナコ計測製)を用いて行った。
Figure 2006299912
Figure 2006299912
Figure 2006299912
なお、浄化率はいずれも 100×(1−(出口濃度)/(入口濃度))(%)で定義され、窒素酸化物については一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO)の合計濃度を用いている。
結果を表4に示す。空燃比がλ=1.000における窒素酸化物浄化率は、450℃以上では100%となり、窒素酸化物、メタン及び一酸化炭素の全てについて高い浄化率を示した。また、リーン側(λ=1.005)のメタン浄化率は、450℃で98%に達し、空燃比が希薄燃焼側に外れた場合もメタンの除去性能は高く維持した。また二酸化硫黄による劣化処理後でも、450℃で87%と高いメタン除去率を維持し、475℃以上ではλ=0.998及び1.000において窒素酸化物、メタン及び一酸化炭素の全てについて高い浄化率を維持していた。
Figure 2006299912
〔排ガス浄化用触媒の作成例2〕
排ガス浄化用触媒の作成例1と同じ焼成酸化ジルコニウム40gに、塩化イリジウム酸(HIrCl)および塩化白金酸(HPtCl)の混合水溶液を含浸して、さらにエバポレーターで蒸発乾固した後、空気中550℃で6時間焼成して、酸化ジルコニウムに対してイリジウムを2重量%、白金を0.5重量%含有するイリジウム−白金/酸化ジルコニウム排ガス浄化用触媒を得た。この排ガス浄化用触媒の比表面積は16m/gであった。
この排ガス浄化用触媒の性能を排ガス浄化用触媒の作成例1と同じ条件で評価した。結果を表5に示す。空燃比がλ=1.000における窒素酸化物浄化率は、450℃以上では100%となった。また、希薄燃焼側(λ=1.005)のメタン浄化率は、450℃以上ではほぼ100%となった。排ガス浄化用触媒では空燃比を制御して、いずれの成分も除去できるようにするが、例えば、窒素酸化物、メタン及び一酸化炭素のいずれをも90%除去することとした場合、初期では400℃で、劣化処理後でも450℃以上であれば、必要な浄化性能が得られた。しかも、二酸化硫黄による劣化処理後も、特にλ=0.998〜1.000で、非常に高い排ガス浄化用触媒活性を維持することができた。
Figure 2006299912
〔排ガス浄化用触媒の比較例1〕
アルミナ(サンゴバン−ノートン社製、SA6276)を破砕して粒径1〜2mmに整粒したもの12.8gに、硝酸セリウム(Ce(NO・6HO) 3.2gを18gの純水に溶解した水溶液を含浸した。これを蒸発乾固したのち、800℃で6時間焼成してアルミナに対して10%の酸化セリウム(CeO)を担持したCeO−Al担体を得た。この6gに、テトラアンミン白金硝酸塩(Pt(NH(NO)およびペンタアンミンアクアロジウム硝酸塩(Rh(NH(HO)(NO)を溶解する水溶液を含浸して、蒸発乾固し、さらに空気中550℃で焼成して担体に対して2重量%の白金と0.5重量%のロジウムを担持する白金−ロジウム/CeO−Al排ガス浄化用触媒を得た。
この排ガス浄化用触媒の性能を排ガス浄化用触媒の作成例1と同じ条件で評価した。結果を表6に示す。排ガス浄化用触媒の作成例1及び2に係る排ガス浄化用触媒と比較して、比較例1に係る排ガス浄化用触媒は希薄燃焼に近い空燃比(λ=1.000〜1.005)での浄化率が低い。硫黄被毒による劣化処理後はさらに浄化率が低下し、窒素酸化物、メタン及び一酸化炭素のいずれをも90%除去することとした場合、初期では400℃で可能だが、劣化処理後では500℃以上の温度でなければ必要な浄化性能が得らなかった。
Figure 2006299912
希薄燃焼状態でガスエンジンを運転した場合、燃焼排ガスの温度は500℃以下、通常、400〜450℃であることが多い。よって、この比較例1に係る排ガス浄化用触媒を採用すると、理論空燃比燃焼状態にガスエンジンの運転状態を切り替た後、温度を上昇させなければ、窒素酸化物を除去しきれない。
〔排ガス浄化用触媒の比較例2〕
排ガス浄化用触媒の作成例1と同じ焼成酸化ジルコニウム15gに、硝酸パラジウム(Pd(NO)水溶液を含浸し、さらにエバポレーターで蒸発乾固した後、空気中550℃で6時間焼成して、酸化ジルコニウムに対してPdを2重量%担持するパラジウム/酸化ジルコニウム排ガス浄化用触媒を得た。
この排ガス浄化用触媒の性能を排ガス浄化用触媒の作成例1と同じ条件で評価した。結果を表7に示す。初期の浄化率は高く、空燃比がλ=1.000における窒素酸化物浄化率は、400℃で78%、450℃で100%に達し、また、希薄燃焼側(λ=1.005)のメタン浄化率は、400℃でも89%に達していた。しかしながら、二酸化硫黄による劣化処理後は浄化率が大きく低下し、空燃比がλ=1.000における窒素酸化物浄化率は、550℃で63%に過ぎず、400〜550℃の領域では、窒素酸化物、メタン及び一酸化炭素のいずれをも90%除去できる空燃比は存在しなかった。従って、この比較例2に係る触媒は硫黄被毒に非常に弱く、実用的には排ガス浄化用触媒として機能しないことが分かる。
Figure 2006299912
作成例1に係る排ガス浄化用触媒と比較例1に係る排ガス浄化用触媒とを比較すると、作成例1に係る排ガス浄化用触媒が比較例1に比べてより希薄燃焼状態に近い空燃比(λ=1.000)で窒素酸化物、メタン及び一酸化炭素のほとんどを除去可能であることが判る。また、作成例1に係る排ガス浄化用触媒と比較例2に係る触媒とを比較すると、作成例1に係る排ガス浄化用触媒が硫黄分を含むガスで劣化処理された後も高い活性を維持するのに対して、比較例2に係る触媒では窒素酸化物やメタンの浄化率が大幅に低下しているのが判る。このように、本発明に係る排ガス浄化用触媒は、硫黄被毒耐性を有しつつ、従来の理論空燃比状態で使用する触媒より希薄燃焼側の空燃比で除去能を発揮する点で優れているといえる。これらの排ガス浄化用触媒は、希薄燃焼状態で運転したガスエンジンの燃焼排ガスを浄化可能であり、触媒能、特にメタン除去能が劣化した場合には、理論空燃比状態でガスエンジンを運転し、希薄燃焼状態の燃焼排ガスとは組成の異なる燃焼排ガスを通じて再生処理を施すことで機能を回復する。
〔排ガス浄化用触媒の作成例3〕
酸化ジルコニウム(東ソー(株)製、TZ−0、比表面積 15m/g)15g、ジルコニアゾル(日産化学工業(株)製、NZS−30A:酸化ジルコニウムとして31重量%含有)30g、水45mlをボールミルで混合してスラリーを調製した。このスラリーに、1平方インチ当たり210の貫通口を有するコージェライトハニカムを浸漬して引き上げ、乾燥する工程を繰り返して酸化ジルコニウムでコーティングした。次いで、空気中800℃で4時間焼成し、コージェライトハニカム 1リットル当たり280gの酸化ジルコニウムを担持した焼成酸化ジルコニウムコートハニカムを得た。この焼成酸化ジルコニウムコートハニカムを、塩化イリジウム酸(HIrCl)と塩化白金酸(HPtCl)とを混合した混合水溶液に含浸し、さらにドライヤで乾燥した後、空気中550℃で4時間焼成して、コージェライトハニカム 1リットル当たり6gのイリジウム及び2gの白金を担持した排ガス浄化用触媒を得た。
〔実験例〕
定格出力3.75kWのガスエンジンの排ガス流路に、作成例3の排ガス浄化用触媒を50mm厚、75mm角に切り出したものを2段設置し触媒部を形成した。ヒータで触媒部入り口の温度を450℃に保ち、以下のような燃焼状態のパターンでガスエンジンを運転した。即ち、運転開始から600時間経過まで希薄燃焼状態(GHSV:32000h−1)で運転した後、理論空燃比状態(λ=0.99、燃焼排ガス量は18Nm/h、GHSV:32000h−1)に切り替えて10分間運転した。更に、希薄燃焼状態に切り替えて24時間運転し、再度、理論空燃比状態に切り替えて10分間運転した後、希薄燃焼状態に切り替えて運転した。夫々の燃焼状態において触媒部に導入された燃焼排ガスの組成は、表8に「触媒部入口」と記載された欄に示す通りである。尚、本実験例において、一酸化炭素濃度及びメタン濃度の測定は、赤外線式分析計(島津製作所製、CGT-7000)を用いて行った。全炭化水素濃度の測定は、全炭化水素計(堀場製作所製、FIA-510)を用いて行った。酸素濃度の測定は、ジルコニア酸素計(堀場製作所製、MPA-510)を用いて行った。窒素酸化物濃度の測定は、化学発光式NOx分析計(堀場製作所製、CLA-510SS)を用いて行った。
Figure 2006299912
メタン浄化率に着目すると、図1に示すように、ガスエンジン運転開始時のメタン除去率は95%であったが、600時間経過後には約17%にまで低下した。しかし、この後、ガスエンジンの運転状態を理論空燃比状態に切り替えて10分間運転すると、メタン除去率は57%にまで回復した。この後、再度、希薄燃焼状態に切り替え、メタン除去率は68%に上昇した。更に希薄燃焼状態でガスエンジンの運転を継続すると、24時間後にはメタン除去率は40%にまで低下した。ここで、またガスエンジンの運転状態を理論空燃比状態に切り替えて10分間運転すると、メタン除去率は64%にまで回復した。
上述したガスエンジンの運転時の窒素酸化物、一酸化炭素、メタン、全炭化水素、及び酸素濃度を、表8に示す。希薄燃焼状態では、窒素酸化物はほとんど除去されていなかったが、濃度が低いので問題とはならない。一方、理論空燃比状態で運転した場合、燃焼排ガスには高濃度(800ppm)の窒素酸化物が含まれていたが、排ガス浄化用触媒で処理することによって9ppmにまで減少した。従って、メタン除去能の回復や、ガスエンジン高負荷に対応するために理論空燃比状態でガスエンジンを運転しても、ガスエンジン装置外に高濃度の窒素酸化物が排出されないことがわかる。一酸化炭素については、触媒で処理することによって、何れの燃焼状態においても検出限界以下にまで低減することができた。触媒で処理した後の全炭化水素濃度は、何れの燃焼状態においてもメタン濃度と等しいか少し高い程度であり、メタン以外の炭化水素が触媒処理によってほとんど除去されていることがわかる。
従って、上記構成のガスエンジン装置に関して、メタン除去率の下限が40%まで許容される場合、24時間おきに10分間、理論空燃比状態に切り替えて運転し再生処理を施せば、排ガス浄化用触媒の機能が回復し、長期間に亘って運転することができるといえる。又、高出力が要求される場合に、理論空燃比状態に切り替える制御が組み合わせて行われてもよい。この場合、次回の理論空燃比状態への切り替えは、希薄燃焼状態に復帰して24時間後に行えばよい。
本発明のガスエンジン装置の運転方法は、ガスエンジンの負荷変動に応じて適切な燃焼状態を選択し、且つ燃焼排ガスに含まれる窒素酸化物、メタン及び一酸化炭素を除去可能である。しかも、硫黄被毒に対する高い耐性を併せ持つので、付臭剤としての硫黄化合物を含む一般に流通する天然ガス由来の排ガス(メタン含有ガス)をそのまま利用することができる。又、燃焼条件を希薄燃焼状態から理論空燃比状態に変えることによって触媒の再生が可能となる。従って、コージェネレーション用ガスエンジン、ガスエンジンヒートポンプ、天然ガス自動車等の天然ガスエンジンを利用した諸設備において、省エネルギーやメタン含有ガス処理コストの低減を可能とすると共に、環境改善にも資するところ大である。
本発明に係るガスエンジン運転方法を実施した際のメタン浄化率の推移を示すグラフ

Claims (8)

  1. メタンを含む燃料ガスと酸素を含むガスとを含む混合気をガスエンジンで燃焼させ、生じた燃焼排ガスを、ジルコニアを主成分とする耐火性無機酸化物にイリジウムを担持した排ガス浄化用触媒で処理するに際し、
    前記混合気の空燃比を調整して前記ガスエンジンの燃焼状態を希薄燃焼状態と理論空燃比状態との間で切り替え、前記希薄燃焼状態及び前記理論空燃比状態の両方において前記排ガス浄化触媒で前記燃焼排ガスを処理するガスエンジン装置の運転方法。
  2. 前記ガスエンジンの負荷に応じて前記ガスエンジンの燃焼状態を選択し、
    選択した燃焼状態にない場合に前記ガスエンジンの燃焼状態を選択した燃焼状態に切り替える請求項1に記載のガスエンジン装置の運転方法。
  3. 前記排ガス浄化用触媒の触媒能を指標に、前記ガスエンジンの燃焼状態を切り替える請求項1又は2に記載のガスエンジン装置の運転方法。
  4. 希薄燃焼状態で前記ガスエンジンを運転している場合に、前記排ガス浄化用触媒による処理前後における前記燃焼排ガスの温度差が所定値以下となったときに、前記ガスエンジンの燃焼状態を理論空燃比状態に切り替える請求項3に記載のガスエンジン装置の運転方法。
  5. 希薄燃焼状態における前記ガスエンジンの運転時間が連続して所定時間経過した場合、前記ガスエンジンの燃焼状態を理論空燃比状態に切り替える請求項3に記載のガスエンジン装置の運転方法。
  6. 前記排ガス浄化触媒による処理温度が400〜550℃である請求項1〜5の何れか1項に記載のガスエンジン装置の運転方法。
  7. 前記排ガス浄化触媒が、更に白金を担持したものである請求項1〜6の何れか1項に記載のガスエンジン装置の運転方法。
  8. メタンを含む燃料ガスと酸素を含むガスとを含む混合気を燃焼させるガスエンジンと、前記燃料ガスと前記酸素を含むガスとの混合比を調整して前記ガスエンジンに導入する混合気の空燃比を制御する空燃比制御手段と、排ガス浄化用触媒を内装し前記ガスエンジンの燃焼排ガスが導入される触媒部とを備えたガスエンジン装置において、
    前記排ガス浄化用触媒が、ジルコニアを主成分とする耐火性無機酸化物にイリジウムを担持した排ガス浄化触媒であり、
    ガスエンジンの燃焼状態を前記空燃比制御手段が希薄燃焼状態と理論空燃比状態との間で可逆的に切り替え、前記理論空燃比状態で前記排ガス浄化用触媒の再生処理を行うガスエンジン装置。
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JP2022078489A (ja) * 2020-11-13 2022-05-25 栗田工業株式会社 pH・酸化還元電位調整水の製造装置
CN115977818A (zh) * 2022-12-30 2023-04-18 杭州纳瑙新材料科技有限公司 发动机控制方法及控制系统

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