JP2006299156A - 導電性樹脂成形品および導電性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 衝撃吸収性、帯電防止性、耐摩耗性、および摺動性の良好な導電性樹脂成形品、ならびに導電性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 曲げ弾性率が7000MPa以下、表面抵抗値が10000Ω・cm以下、スラスト摩耗試験での比摩耗量が1.5mg/(N・km)以下、動摩擦係数が0.4以下である樹脂成形品、並びに、ポリエステルエラストマー(a1)およびフッ素含有重合体(a2)を含有する熱可塑性樹脂(A)70〜93質量%、並びに炭素繊維(B)7〜30質量%を含有する樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電気・電子部品に用いられる導電性樹脂成形品および導電性樹脂組成物に関するものである。
コンピュータなどに代表される電気電子機器の高性能化は近年とくに目覚ましく、以前にもまして非常に早い勢いで高集積化が進んでいる。最近では、コンピュータなどの記憶媒体として使用されるハードディスクの高密度・大容量化に伴い、100円玉程度のディスク面積で数ギガバイトの記憶容量を有する小型ハードディスクドライブ(小型HDD)が商品化されるにいたっている。ハードディスクの用途については、従来、パソコンの記憶媒体としての用途がおもであったが、小型化により携帯型の音楽鑑賞機器に使用されるまでになっている。
このような用途の広がりに伴い、ハードディスクの使用される環境も変化し、これに対応するため小型HDDには樹脂製のバンパーが取り付けられるようになってきた。この樹脂製バンパーは落下等の衝撃から内部機構部品を保護すること、および衣類などから発生する静電気から内部の電気回路の破壊を防止するために取り付けられており、樹脂製バンパーに用いられる樹脂材料には衝撃吸収性と導電性が要求される。
樹脂製バンパーに用いられる樹脂材料としては、衝撃吸収の点でポリエステルエラストマーなどのエラストマー樹脂が有効であり、帯電防止のために導電性を付与したエラストマー材料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、ポリエステルエラストマーにカーボンブラックを添加して導電性を付与したエラストマー組成物が記載されている。しかし、ここに記載されているような導電性のレベル(表面抵抗値が10Ω・cm以下)とするためには、カーボンブラックを多量に添加する必要がある。このようにカーボンブラックを多量に添加した場合には、成形品の機械的な物性(特に耐摩耗性)が低下し、小型HDDを機器本体に着脱するときに摩耗し、バンパーの破損等が起こるという不具合が生じる。このように従来の技術では衝撃吸収性、帯電防止性、耐摩耗性の全てを満足させるには至っていなかった。
特開平11−106626特開平号公報
本発明の目的は、衝撃吸収性、帯電防止性、耐摩耗性、および摺動性の良好な導電性樹脂成形品、ならびに導電性樹脂組成物を提供することにある。
本発明は、曲げ弾性率が9000MPa以下、表面抵抗値が10000Ω・cm以下、スラスト摩耗試験による比摩耗量が1.5mg/(N・km)、動摩擦係数が0.4以下である樹脂成形品に関するものであり、また、ポリエステルエラストマー(a1)およびフッ素含有重合体(a2)を含有する熱可塑性樹脂(A)70〜93質量%、並びに炭素繊維(B)7〜30質量%を含有する樹脂組成物に関するものである。
本発明の熱可塑性樹脂成形品は、曲げ弾性率が特定の値以下であるために衝撃吸収性が良好で、さらに導電性を有するために外部からの電流をアースすることに有効で、摩耗量が少なく動摩擦係数が低いためにHDDの脱着等による破損が抑制され、摺動性が良好である。従って、これらの特性が要求される電気電子用途に好適に用いることができ、特に小型HDDの樹脂バンパー用樹脂などに好適な材料である。
本発明の樹脂成形品は、曲げ弾性率が7000MPa以下である。なお、本発明において、曲げ弾性率とは、ISO178により測定したものである。
衝撃吸収は材料の変形により発現する。このため変形の少ない硬い材料(弾性率の高い材料)では衝撃吸収がほとんどなく、柔らかい材料(弾性率の低い材料)で衝撃吸収が良好となる。
樹脂成形品の曲げ弾性率が9000MPa以下である場合に、衝撃吸収が十分となり、小型HDDのバンパーに用いても、内部の機構部品が破壊されない傾向にある。
本発明の樹脂成形品の曲げ弾性率の上限値は、8000MPa以下が好ましく、7000MPa以下が特に好ましい。
また、この曲げ弾性率の下限値は、特に制限されないが、3000MPa以上が好ましく、4000MPa以上であることが特に好ましい。
本発明の樹脂成形品は、表面抵抗値が10000Ω・cm以下である。なお、本発明において表面抵抗値とは、プローブ型端子を使用し2点間抵抗値を測定したものである。
表面抵抗値が10000Ω・cmより高い場合には、外部からの電流をアースすることが不十分であり、本発明の樹脂成形品を小型HDDのバンパーに用いた場合には、HDDの内部の電子回路がショートする。
本発明の樹脂成形品の表面抵抗値の上限値は5000Ω・cm以下であることが好ましく、1000Ω・cm以下であることが特に好ましい。
また、本発明の樹脂成形品の表面抵抗値の下限値は、特に制限されないが、1Ω・cm以上であることが好ましく、10Ω・cm以上であることが特に好ましい。
本発明の樹脂成形品は、スラスト摩耗試験での比摩耗量が1.5mg/(N・km)である。なお、本発明においてスラスト摩耗とは、相手材料に試験材料と同じ材料を使用し、速度100mm/秒、荷重50Nで測定したものである。
比摩耗量が1.5mg/(N・km)の場合に、本発明の樹脂成形品を小型HDDのバンパーとして用いてバンパーを繰り返し脱着しても、表面の荒れや穴があく等の破損が起こらない傾向にある。
比摩耗量の上限値は、1.3mg/(N・km)以下が好ましく、1mg/(N・km)以下が特に好ましい。また、比摩耗量の下限値は特に制限されない。
また、上記のスラスト摩耗試験での動摩擦係数は0.4以下である。動摩擦係数が0.4以下の場合に、本発明の樹脂成形品を小型HDDのバンパーとして用いても、脱着がスムーズとなる傾向にあり、繰り返して脱着を行っても、表面の荒れや穴があく等の破損が起こらない傾向にある。
動摩擦係数の上限値は、0.3以下が好ましく、0.2以下が特に好ましい。また、動摩擦係数の下限値は特に制限されない。
このような物性を有する樹脂成形品は、ポリエステルエラストマー(a1)およびフッ素含有重合体(a2)を含有する熱可塑性樹脂(A)70〜93質量%、並びに炭素繊維(B)7〜30質量%を含有する樹脂組成物を成形することによって製造することができる。
熱可塑性樹脂(A)の含有量は、樹脂組成物全量中、70〜93質量%である。
熱可塑性樹脂(A)の含有量が70質量%以上の場合に、十分な衝撃吸収性が得られる傾向にあり、またこの含有量が93質量%以下の場合に、十分な導電性が得られる傾向にある。
(A)成分の含有量の下限値は、72質量%以上が好ましく、73質量%以上が特に好ましい。また、(A)成分の上限値は、92質量%以下が好ましく、90質量%以下が特に好ましい。
熱可塑性樹脂(A)は、ポリエステルエラストマー(a1)を含有する。
ポリエステルエラストマー(a1)としては、特に制限されないが、例えば、ポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体、ポリエステル−ポリエステルブロック共重合体等が挙げられる。中でも、衝撃吸収性の面からポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体が好ましい。
ポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体は、アルキレンテレフタレート単位から構成されるポリエステルセグメントをハードセグメントとし、アルキレンオキサイド単位から構成されるポリ(アルキレンオキサイド)グリコールセグメントをソフトセグメントとするブロック共重合体である。
ハードセグメントを構成するポリエステルセグメントは、テレフタル酸を主たる酸成分とし、炭素数2〜10の脂肪族グリコールを主たるジオール成分とするポリマーセグメント、または上記以外のジカルボン酸あるいはグリコールを任意の組合せで20モル%以下の範囲で共重合させたポリマーセグメントである。
ソフトセグメントを構成するポリ(アルキレンオキサイド)グリコールセグメントとしては、特に制限されないが、例えば、ポリ(エチレンオキサイド)グリコールセグメント、ポリ(プロピレンオキサイド)グリコールセグメント、ポリ(テトラメチレンオキサイド)グリコールセグメント等の単一ポリグリコール類のセグメント、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのランダム共重合またはブロック共重合のポリグリコール類のセグメント、20モル%以下の範囲で他の共重合成分を共重合させたポリグリコール類等のセグメントが挙げられる。これらのソフトセグメントは、単独あるいは2種以上のソフトセグメントを併用することができる。
ポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体の具体例としては、例えば、ポリテトラメチレンテレフタレート−ポリテトラメチレンオキサイドブロック共重合体、ポリテトラメチレンテレフタレート−ポリエチレンオキサイドブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレート−ポリテトラメチレンオキサイドブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレンオキサイドブロック共重合体等が挙げられる。中でも、衝撃吸収性の面から、ポリテトラメチレンテレフタレート−ポリテトラメチレンオキサイドブロック共重合体が好ましい。
ポリエステルエラストマー(a1)の含有量は、特に制限されないが、熱可塑性樹脂(A)全量中、20〜95質量%の範囲が好ましい。(a1)成分の含有量が20質量%以上の場合に、衝撃吸収性が十分となる傾向にあり、また、(a1)成分の含有量が95質量%以下の場合に耐摩耗性が十分となる傾向にある。
(a1)成分の含有量の下限値は、25質量%以上がより好ましく、30質量%以上が特に好ましい。また、(a1)成分の含有量の上限値は、93質量%以下がより好ましく、90質量%以下が特に好ましい。
また、ポリエステルエラストマー(a1)の製造法については、特に制限されず、通常用いられる直接エステル化法あるいはエステル交換法によるエステル化反応、これに続く重縮合反応により製造することができ、さらに固相重合により高分子量化することも可能である。
熱可塑性樹脂(A)は、フッ素含有重合体(a2)を含有する。
フッ素含有重合体(a2)とは、重合体中にフッ素原子を含有する重合体である。
フッ素含有重合体(a2)としては、特に制限されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、トリフルオロクロロエチレン−エチレン共重合体、ポリトリフルオロクロロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル樹脂等をあげることができる。これらの中では、耐摩耗性付与の面から、特にポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
これらのフッ素含有重合体(a2)は、市販品を使用することができ、ポリテトラフルオロエチレンとしては、三幸ファインマテリアル社製のSG−1000、SG−500、SA−60、ダイキン工業社製のルブロンL−5、三井デュポンフロロケミカル社製のゾニールMP1300、旭硝子社製G−169J等を挙げることができる。これらは1種を用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
フッ素含有重合体(a2)は、耐摩耗性を発現させる成分である。(a2)成分の含有量は、特に制限されないが、熱可塑性樹脂(A)全量中、5〜30質量%であることが好ましい。(a2)成分の含有量が5質量%以上である場合に、成形品をHDDのバンパーとして用いると脱着がスムーズとなる傾向にあり、繰り返して脱着した後も、成形品表面の荒れや成形品に穴があく等の破損が生じにくい傾向にある。また、(a2)成分の含有量が20質量%以下の場合に、成形時に十分な流動性が得られる傾向にある。
(a2)成分の含有量の下限値は、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上が特に好ましい。また、(a2)成分の含有量の上限値は、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が特に好ましい。
フッ素含有重合体(a2)の製造方法としては、特に制限されず、例えば、懸濁重合あるいは乳化重合により製造することができる。特に、懸濁重合により製造されたフッ素含有重合体は、摺動性が良好である傾向を有するため好ましい。
熱可塑性樹脂(A)は、ポリエステルエラストマー(a1)およびフッ素含有重合体(a2)を基本成分として含有するものであるが、これ以外にも、必要に応じて他の熱可塑性重合体を含有することができる。
(a1)成分および(a2)成分以外の熱可塑性重合体としては、例えば、各種のゴム成分を含有するグラフト重合体(a3)、ポリテトラメチレンテレフタレートなどの熱可塑性ポリエステル重合体(a4)等が挙げられる。
ゴム成分を含有するグラフト共重合体(a3)としては、特に制限されないが、例えば、ポリブタジエン、ブタジエン−アクリル酸ブチル共重合体あるいはブタジエン−スチレン共重合体等をゴム成分として、アクリロニトリルと芳香族ビニルおよび/または(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合してなるジエン系共重合体、さらには、この共重合体にアクリロニトリル−芳香族ビニル系重合体を重合したものが挙げられる。
熱可塑性ポリエステル重合体(a4)とは、熱可塑性ポリエステルエラストマー(a1)でない熱可塑性ポリエステル重合体のことであり、特に制限されないが、例えば、ポリテトラメチレンテレフタレート、または、繰り返し単位中テトラメチレンテレフタレート単位を80質量%以上含有するポリエステル共重合体が挙げられる。共重合されるモノマーとしては、テレフタル酸およびその低級アルコールエステル以外の二塩基酸成分として、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、コハク酸等の脂肪族もしくは芳香族多塩基酸またはそれらのエステル等が挙げられる。また、1,4−ブタンジオール以外のグリコール成分としては、通常のアルキレングリコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,3−オクタンジーオール等の低級アルキレングリコール;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族アルコール;ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加体等のアルキレンオキサイド付加体芳香族アルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ化合物;またはそれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
熱可塑性ポリエステル重合体(a4)の還元粘度(ηsp/c)については、特に制限されないが、25℃の雰囲気で1,1,2,2−テトラクロロエタンとフェノールとの等質量混合液で測定した還元粘度が0.5〜2.0であることが好ましい。還元粘度が0.5以上の場合に、十分な強度の成形品が得られる傾向にあり、1.5以下の場合に、流動性が良好となり、充填性が十分となる傾向にある。この還元粘度の下限値は0.7以上がより好ましく、0.8以上が特に好ましい。また上限値は1.7以下がより好ましく、1.5以下が特に好ましい。
本発明の樹脂組成物は炭素繊維(B)を含有する。
(B)成分は、導電性を付与する成分であり、カーボンブラックと比較して摩耗量が少ないことと、少ない配合量で目標の導電性を得ることができる。
また、(B)成分を含有することにより、成形品をHDDのバンパーとして用いた場合に脱着がスムーズとなる傾向にあり、繰り返して脱着した後も、成形品表面の荒れや成形品に穴があく等の破損が生じにくい傾向にある。
炭素繊維(B)の含有量は、熱可塑性樹脂組成物全量中、7〜30質量%である。(B)成分の含有量が7質量%以上である場合に、十分な導電性が得られる傾向にあり、また(B)成分の含有量が30質量%以下である場合に、十分な衝撃吸収性が得られる傾向にある。
(B)成分の含有量の下限値は、10質量%以上が好ましい。また(B)成分の含有量の上限値は、25質量%以下が好ましい。
炭素繊維(B)としては、特に制限されず、PAN系、ピッチ系、または気相成長型の炭素繊維が挙げられ、例えば、長繊維タイプや短繊維タイプのチョプドストランド、ミルドファイバーなどが挙げられる。成形時などの繊維折損を抑えるため、高強度・高伸度タイプのものが好ましく、これらの特性を得ることのできるPAN系炭素繊維が好ましい。
炭素繊維(B)の弾性率は、特に制限されないが、成形時の繊維折損を抑える面から、195〜450GPaであることが好ましい。炭素繊維(B)の弾性率の下限値は、215GPa以上がより好ましく、上限値は390GPa以下がより好ましい。
また、炭素繊維(B)の直径については、特に制限されないが、3〜10μmであることが好ましい。炭素繊維(B)の直径の下限値は5μm以上がより好ましく、また、上限値は8μm以下がより好ましい。
炭素繊維(B)の表面処理については、特に制限されないが、表面酸化処理等の処理を行うことが好ましい。本発明では樹脂の表面抵抗値を所定値にするために炭素繊維を導電フィラーとして使用しているが、炭素繊維を過度に配合すると弾性率が高くなり衝撃吸収が不利になる。このため炭素繊維を少なく添加して所定の表面抵抗値に達することが好ましい。
酸化処理の方法には、通電処理による表面酸化、オゾンなどの酸化性ガス雰囲気中で酸化処理を行う方法があげられ、通電処理が好ましく用いられる。
さらにサイジング剤としてエポキシ系、ポリアミド系、ウレタン系、ポリエステル系等が挙げられる、エポキシ系を一次サイズ剤として用い、ポリアミド系あるいはウレタン系のサイジング剤を2次サイズ剤として使用することが好ましく、ポリアミド系を使用することがより好ましい。
炭素繊維(B)の形態は、特に制限されないが、数千から数十万本の炭素繊維の束からなるストランド状または粉砕したミルド状の形態で用いられる。ストランド状の形態についても、直接導入するロービング法、あるいは所定長さにカットしたチョップドストランドを使用することが可能である。
また、炭素繊維(B)として、表面を金属でコートした炭素繊維を使用してもよい。金属コート炭素繊維として好ましいものは、ニッケルコート炭素繊維である。
本発明の樹脂組成物は、前述の熱可塑性樹脂(A)と炭素繊維(B)とを含有するものであるが、必要に応じて、導電性フィラー(炭素繊維を除く)、難燃剤、各種フィラー、金属酸化物及びセラミックス等の粒状物、流動改質剤、離型剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤等の添加剤を加えることができる。
導電性フィラーとしては、特に制限されず、カーボン系導電性フィラー、金属系導電性フィラーがあげられる。
カーボン系導電性フィラーとしてはカーボンブラックやカーボンナノチューブ、燐片状黒鉛があげられるが、成形品の摩耗性の点から、熱可塑性樹脂組成物全量中、10質量%以下であることが好ましい。
金属系導電性フィラーとしては銅、スズ、真鍮、ステンレス、鉄、アルミニウムなどの粉末や繊維状充填剤が挙げられる。またこれらの中ではスズ系の低融点金属あるいは銅や黄銅の繊維あるいは粉体を併用することが好ましい。
難燃剤、各種フィラー、金属酸化物及びセラミックス等の粒状物、流動改質剤、離型剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤等の添加剤の含有量は、特に制限されないが、本発明の樹脂組成物全量中30質量%以下の範囲であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物の製造方法については、特に制限されず、従来の熱可塑性樹脂組成物の製造方法として一般に用いられる設備と方法により製造することができる。その内でも、溶融混練法が好ましい。溶融混練に用いる装置としては、特に制限されず、例えば、押出し機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダー等を挙げることができる。
押出機については、単軸押出機、二軸押出機があるが、短時間で混練を行うために二軸押出機であることが好ましい。
また、押出機への炭素繊維の投入方法としては、特に制限されないが、混練による繊維長の低下を抑制することができることから、スクリューの中間から添加するサイドフィード法が好ましい。
樹脂組成物の成形方法は、特に制限されない。例えば、射出成形、押出成形による棒状、中空状、シート状への成形、真空成形、ブロー成形などが挙げられ、これらの成形方法によって樹脂成形品を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(1)樹脂成形品の評価方法
樹脂成形品の評価については、次に述べる方法にしたがって測定した。
(1−1)曲げ弾性率
ISO178に準拠して曲げ試験を行い、曲げ弾性率を求めた。
(1−2)表面抵抗値
曲げ試験に使用したISOダンベル型の試験片について、プローブ型端子を使用し2点間での表面抵抗値を測定した。(アドバンテスト社製高抵抗率計を使用し、ダンベルの中央部を流動方向に沿って測定)
(1−3)比摩耗量
JIS K−7218 A法に準拠してスラスト摩耗試験を行った。実施例および比較例に記載した樹脂組成物を円筒中空状に射出成形し、相手材料に試験材料と同じ材料を使用して測定した。
試験機:MODEL EFM−III−F(オリエンテック社製)
速度100mm/秒、荷重50N、滑り距離1.8km(試験時間5時間)、接触面積2cm
比摩耗量 =摩耗量(mg)/{荷重(N)・滑り距離(km)}
(1−4)動摩擦係数
上記と同様のスラスト摩耗試験を実施し、試験開始から4時間30分から5時間の間の動摩擦係数の最大値と最小値の平均値を求めた。
(1−5)落下衝撃テスト
1インチHDDの樹脂バンパー形状に成形し、樹脂バンパーに絶縁シートを貼り付けて小型HDDに組み込んだ。この小型HDDを2mの高さからコンクリート床に落下させ、データを正常に読み出せるかどうかにより評価した。
○:データを正常に読み出すことができた。
×:データを正常に読み出すことができなかった。
(1−6)脱着テスト
上記(1−5)と同様の方法で作製した小型HDDについて、挿入と引抜きを100回繰り返し、バンパーに破損があるか無いかを目視により評価した。
◎:バンパーに特に変化は認められなかった。
○:バンパーの表面に若干荒れが認められたが、穴は認められなかった。
×:バンパーに穴が開いていた。
(2)使用した原料
(2−1)ポリエステルエラストマー(a1)
ペルプレンGP300(東洋紡績社製 ポリエーテル系ポリエステルエラストマー)
(2−2)フッ素含有重合体(a2)
エースフロンSG−1000(三幸ファインマテリアル社製 微粉砕PTFE: 懸濁重合により製造したPTFEを焼成し、放射線処理後に粉砕したもの)
(2−3)炭素繊維(B)
CF−1(TR06UB3E 三菱レイヨン社製 チョップド炭素繊維。繊維径7μm、一次サイズ剤 エポキシ系、二次サイズ剤 ポリウレタン系、引張り弾性率235GPa、繊維長6mm、収束本数12000本、体積固有抵抗値1.5×10-3Ωcm。)
CF−2(TR06UB3NE 三菱レイヨン社製 チョップド炭素繊維。繊維径7μm、一次サイズ剤 エポキシ系、二次サイズ剤 ポリアミド系、引張り弾性率235GPa、繊維長6mm、収束本数12000本、体積固有抵抗値1.5×10-3Ωcm。)
CF−3(TR06UB4E 三菱レイヨン社製 チョップド炭素繊維。繊維径7μm、一次サイズ剤 エポキシ系、二次サイズ剤 ポリウレタン系、引張り弾性率235GPa、繊維長6mm、収束本数12000本、体積固有抵抗値1.5×10-3Ωcm。)
CF−4(TR06NEB4E 三菱レイヨン社製 チョップド炭素繊維。繊維径7μm、一次サイズ剤 エポキシ系、二次サイズ剤 ポリアミド系、引張り弾性率235GPa、繊維長6mm、収束本数12000本、体積固有抵抗値1.5×10-3Ωcm。)
(2−4)その他
MUX−D (UMGABS社製 ブタジエンとブチルアクリレートからなるゴム成分にアクリロニトリルとスチレンをグラフトしたグラフト共重合体)
MRK−200(UMGABS社製 シリコンゴムにアクリロニトリルとスチレンをグラフトしたグラフト共重合体)
タフペットN1000(三菱レイヨン社製 ポリテトラメチレンテレフタレート、ηsp/C=1.26 )
コンダクテクス953(コロンビアンカーボン社製 導電性カーボンブラック)
タルクMP1052(スペシャリティーミネラルズ社製タルク)
アデカスタブAO-60(旭電化工業社製 ヒンダードフェノール系抗酸化剤)
アデカスタブ2112(旭電化工業社製 チオエーテル系抗酸化剤)
アデカスタブLA−36(旭電化工業社製 ベンゾトリアゾール系抗酸化剤)
LICOWAX−OP(クラリアントジャパン社製 離型剤 モンタン酸の部分ケン化エステル)
実施例1〜11および比較例1〜4
二軸押出機(池貝製作所製PCM−30)を用いて、表1に示す炭素繊維以外の成分を樹脂フィーダーから供給し、炭素繊維をサイドフィーダーから供給して、樹脂温度250℃の温度で溶融混練してポリエステルエラストマー(a1)およびフッ素含有重合体(a2)を含有する熱可塑性樹脂(A)、並びに炭素繊維(B)を含有する樹脂組成物のペレットを得た。なお、ここで、押出機の中間に設けられたベント口より減圧し水分を除去している。
次いでこのペレットを150℃で2時間の熱風による乾燥をし、射出成形機(日本製鋼所(JSW)製75T射出成形機J75SSII)を用いて、樹脂温度260℃、金型温度80℃の温度条件で試験片を成形した。成形品の評価結果を表1および表2に示す。
Figure 2006299156
Figure 2006299156
本発明の成形品は、衝撃吸収性、導電性、耐摩耗性、摺動性が要求される磁気ヘッド、IC、ハードディスクなどの電気電子分野に使用することが可能であり、中でも小型ハードディスクドライブの樹脂バンパーとして好適に使用することができる。

Claims (2)

  1. 曲げ弾性率が9000MPa以下、表面抵抗値が10000Ω・cm以下、スラスト型摩耗試験での比摩耗量が1.5mg/(N・km)以下、動摩擦係数が0.4以下である樹脂成形品。
  2. ポリエステルエラストマー(a1)およびフッ素含有重合体(a2)を含有する熱可塑性樹脂(A)70〜93質量%、並びに炭素繊維(B)7〜30質量%を含有する樹脂組成物。
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