JP2006294485A - 有機エレクトロルミネッセンス素子、その製造方法及び表示装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子、その製造方法及び表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 画素電極上への位置精度が高められた液滴吐出法による有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも第1画素電極、第1有機化合物層、第2有機化合物層、第2画素電極より構成される有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、
第1画素電極および第1有機化合物層が形成されている基板上に第2有機化合物層を形成する際に、
第1有機化合物層の帯電を除去する工程と、第1有機化合物層を一様に帯電させる工程と、
第2有機化合物層形成領域以外の第1有機化合物層表面を選択的に露光する工程と、
第2有機化合物層塗布液を未露光部の第1有機化合物層表面電位と逆極性に帯電させ、液滴吐出法により未露光部の第1有機化合物層上に第2有機化合物層塗布液を選択吐出する工程、
を連続して行うことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、有機半導体膜を用いたディスプレイ、表示光源などに用いられる電気的発光素子である有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子およびその製造に適した薄膜パターニング基板の形成技術に関する。
近年液晶ディスプレイに替わる自発光型ディスプレイとして有機物を用いた発光素子の開発が加速している。有機物を用いた有機EL素子としては、Appl.Phys.Lett.51(12)、21 September 1987の913ページから示されているように低分子を蒸着法で成膜する方法と、Appl.Phys.Lett.71(1)、7 July 1997の34ページから示されているように高分子を塗布する方法が主に報告されている。
カラー化の手段としては低分子系材料の場合、マスク越しに異なる発光材料を所望の画素上に蒸着し形成する方法が行われている。一方、高分子系材料については、微細かつ容易にパターニングができることからインクジェット法を用いたカラー化が注目されている。インクジェット法による有機EL素子の形成としては以下の公知例が知られている。特開平7−235378号、特開平10−12377号、特開平10−153967号、特開平11−40358号、特開平11−54270号、特開平11−339957号等。
しかしながら、インクジェット法は、飛行曲がりなどの吐出不良が存在するため、有機エレクトロルミネッセンスで要求される高精度な微細パターンを直接描画するには十分なレベルにあるとは言えない。したがって、現実的なところは、そのような電子デバイスに液滴吐出法が応用される場合は、液滴吐出法の吐出精度をカバーするために、基板上に開口部を有する隔壁を形成し、この隔壁に形成された開口部に対して液滴を吐出することにより機能材料のパターニングを行う技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
隔壁は一般的にフォトリソグラフィー法により形成される。方法としては、基板上に感光性を有する合成樹脂をコーティングして感光性材料層(絶縁層)を設けた後、前記開口部に対応するパターンを有するマスクを露光光で照明し、マスクを透過した露光光により感光性材料層を露光し、次いで現像処理することにより隔壁が得られる。
この隔壁の形成方法は、マスクを透過した露光光を感光性材料層に露光する構成であるため、感光性材料層の所望の位置に露光光を照射するために、感光性材料層が設けられた基板とマスクとのアライメント処理が必要となる。このように、アライメント処理のための工程が必要となるためスループットが低下するとともに、アライメント装置を備えた露光装置、いわゆるステッパが必要となる。更に、ステッパは複数のショット領域に対してステップ・アンド・リピートしながら順次露光処理する構成であるが、基板の大型化に伴ってショット数も多くなりスループットが低下する。
また、隔壁に用いられる材料は感光性が低いため長時間露光しなくてはならず、ステッパに負荷がかかり、高価なステッパにおいて光学系のメンテナンスが頻繁に必要になったりステッパが故障するおそれが高くなるなど、コスト面においても不利になる。
このような液滴吐出法の位置精度の課題に対して以下のような手法による改善が試みられている。
基板を親液化するとともに、隔壁を撥液化し、液滴吐出法の吐出精度のカバーをする技術がある(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この技術では吐出精度をカバーする為の隔壁が依然必要となっており、上述のように隔壁を作るためにフォトリソグラフィー法を利用している。フォトリソグラフィーの工程は製造工程が煩雑であり、スループットの低下が問題である。
一方、基板面に撥液化処理を行い、基板面に対する液滴接触角を規定することにより、基板面上でのぬれ広がりを抑制し、所定位置に液滴を留まらせるという技術がある(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、この技術の撥液化方法は、基板面へのプラズマ処理やフッ化アルキルシランカップリング剤塗布を全面に行うものであり、画素領域上に着弾したものについては有効であるが、画素領域外に着弾した液滴には隔壁のような位置補正機能はないため画素領域外に留まると思われる。また、マスクなどを使用することで画素領域のみ撥液化を行うことも可能であるが、その場合、画素領域とマスクの位置合わせが必要になり、生産性の低下が懸念される。
又、下部電極および隔壁上補助配線とノズルの間に電圧を印加し、その印加電圧の大小により引力および斥力を調整し、帯電液滴を下部電極上に導くという技術がある(例えば、特許文献4参照。)。しかしながら、この技術では、画素毎に数種類の電圧印加が必要となるため、スループットの低下と言う問題がある。
特開2000−353594号公報 特開2002−334782号公報 特開2002−124381号公報 特開2003−59660号公報
本発明は、隔壁を形成することなく、画素電極上への位置精度が高められた液滴吐出法による有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供することにある。
上記課題は、以下の構成により解決することができた。
(請求項1)
少なくとも第1画素電極、第1有機化合物層、第2有機化合物層、第2画素電極より構成される有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、
第1画素電極および第1有機化合物層が形成されている基板上に第2有機化合物層を形成する際に、
第1有機化合物層の帯電を除去する工程と、第1有機化合物層を一様に帯電させる工程と、
第2有機化合物層形成領域以外の第1有機化合物層表面を選択的に露光する工程と、
第2有機化合物層塗布液を未露光部の第1有機化合物層表面電位と逆極性に帯電させ、液滴吐出法により未露光部の第1有機化合物層上に第2有機化合物層塗布液を選択吐出する工程、
を連続して行うことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
(請求項2)
第1画素電極と同時に形成されたアライメントマークを有する基板を用い、アライメントマーク検出に応じて、第1有機化合物層表面の選択露光および第2有機化合物層塗布液の選択吐出を行うことを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
(請求項3)
露光がレーザにより行われることを特徴とする請求項1又は2記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
(請求項4)
基板が可撓性基板より構成されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
(請求項5)
一方でロール状に巻かれた帯状連続シートの可撓性基板を送り出し、他方でロール状に巻き取ることにより行われることを特徴とする請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
(請求項6)
液滴吐出法にて成膜される第2有機化合物層以外の有機化合物層を蒸着法、湿式成膜法から選ばれる方法で成膜することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
(請求項7)
第1有機化合物層、第2有機化合物層が、正孔注入、正孔輸送、発光、電子輸送、電子注入の何れかもしくはそれら複数の機能を有することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
(請求項8)
請求項1〜7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法により形成されたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
(請求項9)
有機エレクトロルミネッセンス素子の発光機構が燐光に基づくものであることを特徴とする請求項8に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(請求項10)
請求項8又は9に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする表示装置。
本発明は、有機EL素子の製造方法において、塗布対象面の所定位置に電荷付与を行い、塗布対象面とは逆極性の電荷を付与した塗布液を液滴吐出法により塗布するときに、電気的クーロン力により、電荷を付与した塗布液の自己制御性により所定位置に液滴を導くようにしたものである。これにより液滴吐出法の機械精度およびノズル精度に起因するパターニング精度の課題を解決したものである。この際に、基板の前処理として帯電除去を行うことでより効果的なものとなる。また、基板の電荷パターン形成に際して、基板全面帯電、レーザ露光といった技術を用いているので、ロールツーロールのような連続搬送基板プロセスにも容易に適用可能であり、生産性の改善が達成される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の機構について、図をもって説明する。
図1は、本発明の有機EL素子の製造方法において、液滴吐出法で塗布したときに、液滴が精度よく所定位置に着弾する機構を示した図である。
図1(a)は、基板1の一方の面にITO(インジウムチンオキシド)からなる第1画素電極2、その上に第1有機化合物層が形成されている。図1(b)は、第1有機化合物層の全面に帯電除去を行った後、一様に帯電させ、アライメントマーク(不図示)に従い、第2有機化合物層形成領域以外を露光し、形成領域以外の帯電を除去している。図1(c)は、第2有機化合物層形成領域とは逆極性に帯電させた第2有機化合物層塗布液を吐出している。この際、若干吐出方向がずれて矢印方向に吐出された場合においても、所定領域の第1有機化合物層の電荷により、自己制御性が働き、所定位置に液滴を着弾することが可能となる。
図2は、本発明の有機EL素子の製造方法による工程を示す模式図である。本発明はこれに限られるものではない。
図2(a)は正孔輸送層(第1有機化合物層)の形成工程を示し、基板1は矢印方向に搬送されている。基板1上には予め第1画素電極2及びアライメントマーク15が形成されている。アライメントマーク15が形成された両端を除く基板全面に、蒸着法あるいは湿式成膜法により第1有機化合物層3(正孔輸送層)が形成される。
図2(b)においては、上記で形成された正孔輸送層表面を適宜帯電除去処理を行った後、正孔輸送層全面に帯電処理を行い、続けて選択露光処理を行うことで正孔輸送層に電荷パターンを形成する。そして、発光層(第2有機化合物層)を形成する塗布液を液滴吐出法により所定領域に吐出し発光層5を形成する。図2(b−1)、(b−2)、(b−3)により、BGRの各発光層5B,5G,5Rを順次形成する。
次に、図2(c)では、発光層5(第2有機化合物層)が形成された上に電子輸送層16を、蒸着或いは塗布によりアライメント領域以外の全面に形成する。図2(d)では、電子輸送層16上に第2画素電極17としてAl陰極を蒸着により形成した。尚、蒸着法を用いる場合は、真空系を用いて形成した。
以上のようにして、パッシブマトリックスの有機EL素子の製造方法を示したが、薄膜トランジスタ回路か形成された基板を用いてアクティブマトリクスの形態の有機EL素子を形成しても良い。
〈第1有機化合物層表面への電荷付与〉
第1有機化合物層表面への電荷付与は、防塵の観点から、液滴吐出による選択塗布直前の工程で行われることが好ましい。
第1有機化合物層表面に電荷を付与する方法としては、特に制限はないが、マスク越しにイオナイザー等のイオン風を発生させて帯電する非接触式のものや、帯電ロール等の接触部材を接触させて帯電する接触式のものが使用可能である。イオナイザーの種類については特に制限はなく、イオン発生方式はAC方式、DC方式どちらでも構わない。ACタイプ、ダブルDCタイプ、パルスACタイプ、軟X線タイプが用いる事が出来る。
本実施態様のような連続搬送プロセスに用いる際には、工程が容易である点からコロナ帯電による帯電方法を用いることが好ましい。
〈液体材料への電荷付与〉
液滴吐出法によりパターニングする第2有機化合物層を形成する塗布液材料に電荷付与する方法としては、塗布液材料のタンク及びパターニング装置の吐出ノズルが導電性材料から形成されている場合は、塗布液材料タンクに電圧発生装置を接続して電荷付与することが可能である。電圧発生装置としては、高圧直流発生回路、高圧交流発生回路、高圧矩形電流発生回路、高圧台形波発生回路等が使用できる。
塗布液材料タンク及びノズルが絶縁性材料から形成されている場合は、電圧印加方法としては、塗布液材料タンク内部に電圧印加電極を設け、該電極に電圧発生装置で電圧を印加することにより電荷付与させることができる。電圧印加電極は、各種金属材料や炭素材料により形成することができる。電荷付与させるのは直流印加による電圧印加が好ましいが、商用交流の様な正弦波を印加しても良く、矩形波及び台形波等、各種波形を有する電流を印加しても良い。
《有機化合物層の形成》
第1有機化合物層の上に第2有機化合物層を形成する場合は、第1有機化合物層に電荷パターンを付与し、液滴吐出法により第2有機化合物層塗布液の液滴を第1有機化合物層の上に吐出し、第2有機化合物層を形成する方法を用いる。
有機化合物層が発光色の異なる発光層の場合には、個々に発光層を形成するインクを用いて液滴吐出法により第1電極が形成されている領域に形成することが好ましく、発光層以外の機能層であるときは蒸着法あるいは湿式成膜法により全面に機能層を形成することが好ましい。
本発明に用いられる各塗布方法を下記に示す。
〈液滴吐出法〉
液滴吐出法としては、ピエゾ素子の電気−機械変換により液滴を圧力吐出させる方式、電気−熱変換により気泡を発生させて液滴を圧力吐出させる方式、静電力により液滴を吸引吐出させる方式等が通常、用いられている。
〈湿式成膜法〉
湿式成膜法としてはディッピング法、スプレーコート法、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法、インクジェット法等が使用可能である。これらの成膜法は有機化合物層の材料に応じて適宜選択できる。
〈蒸着、プラズマ、CVD等による成膜法〉
発光層以外の有機化合物層を全面に形成する場合は、湿式成膜法以外の方法として、蒸着、プラズマ、CVD等のドライ成膜法を用いることができる。
本発明の有機EL素子の形成に用いられる材料について以下に説明する。
以下、本発明に係る各構成要素の詳細について順次説明する。
〈第1画素電極が形成された基板〉
本発明の有機EL素子の製造方法に用いられる第1画素電極が形成された基板は通常の方法により得ることができる。
基板上に電極パターンを付与する方法としては、蒸着やスパッタリング等の方法を用いて導電性薄膜を形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写する方法、導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、金属微粒子を含有する分散液等を直接インクジェット法によりパターニング等の種々の方法を用いることが出来る。また、第1画素電極を形成する際に、第1画素電極の位置を示すアライメントマークを同時に形成しておくことが好ましい。
〈基板〉
本発明の有機EL素子に用いることのできる基板(以下、基体、支持基板、基材、支持体等ともいう)としては、光透過性のものであっても光不透過性の物であっても良い。
具体的には、ガラス、石英、樹脂フィルムなどを用いることができるが、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムが好ましく、更に、本発明の有機EL素子の製造方法として連続搬送される帯状可撓性連続シート状基板であることが好ましい。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル或いはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)或いはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、水蒸気透過度が0.01g/m2・day・atm以下のバリア性フィルムであることが好ましく、更には、酸素透過度10-3g/m2/day以下、水蒸気透過度10-5g/m2/day以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
該バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素など素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素などを用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
該バリア膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザCVD法、熱CVD法、コーティング法などを用いることができるが、特開2004−68143号に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
次に、第1画素電極の上に形成する有機化合物層の形成について説明する。
本発明の有機EL素子の基板上に形成された第1画素電極上に形成する有機化合物層(機能層)の構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)基板/第1画素電極(透明電極)/発光層/電子輸送層/第2画素電極
(ii)基板/第1画素電極(透明電極)/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/第2画素電極
(iii)基板/第1画素電極(透明電極)/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/第2画素電極
(iv)基板/第1画素電極(透明電極)/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/第2画素電極
(v)基板/第1画素電極(透明電極)/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/第2画素電極
上記の構成は基板上に第1画素電極(透明電極)から順に各層を形成するボトムエミッションタイプの有機EL素子の構成を示すものであるが、上記記載と全く逆順の基板上に右から順に(第1画素電極とは基板側にある電極を指す。)各層を形成するトップエミッションタイプの有機EL素子であっても良い。
ここで、発光層としては、発光極大波長が各々430〜480nm(青)、510〜550nm(緑)、600〜640nm(赤)の範囲にある少なくとも3種の発光層である。
支持基板上に形成された画素電極について説明する。
各画素電極は下記の陽極或いは陰極材料から適宜選択して用いることができる。
《陽極》
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及び金属との混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In23−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式など湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
《陰極》
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
次に、本発明の有機EL素子の機能層として用いられる、注入層、阻止層、電子輸送層等について説明する。
《注入層:電子注入層、正孔注入層》
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記の如く陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
阻止層は、上記の如く、有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係わる正孔阻止層として用いることができる。
本発明の有機EL素子の正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
《発光層》
本発明に係る発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
(ホスト化合物)
本発明の有機EL素子の発光層には、以下に示すホスト化合物とリン光性化合物(リン光発光性化合物ともいう)が含有されることが好ましい。これにより、より一層発光効率を高くすることができる。また、ホスト化合物として下記の化合物以外の化合物を含有してもよい。
Figure 2006294485
Figure 2006294485
ここで、本発明においてホスト化合物とは、発光層に含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であり、かつ室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物と定義される。好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。
更に公知のホスト化合物を複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、リン光性化合物を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
これらの公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ発光の長波長化を防ぎ、なお且つ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられる。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等。
(リン光性化合物(リン光発光性化合物))
発光層に使用される材料(以下、発光材料という)としては、上記のホスト化合物を含有すると同時に、リン光性化合物を含有することが好ましい。これにより、より発光効率の高い有機EL素子とすることができる。
本発明に係るリン光性化合物は、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物である。リン光量子収率は好ましくは0.1以上である。上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に用いられるリン光性化合物は、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率が達成されればよい。
リン光性化合物の発光は原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光性化合物に移動させることでリン光性化合物からの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つはリン光性化合物がキャリアトラップとなり、リン光性化合物上でキャリアの再結合が起こりリン光性化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、リン光性化合物の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
リン光性化合物は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。
本発明で用いられるリン光性化合物としては、好ましくは元素の周期表で8族〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
以下に、リン光性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。これらの化合物は、例えば、Inorg.Chem.40巻、1704〜1711に記載の方法等により合成できる。
Figure 2006294485
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本発明においては、リン光性化合物のリン光発光極大波長としては特に制限されるものではなく、原理的には中心金属、配位子、配位子の置換基等を選択することで得られる発光波長を変化させることができる。
《正孔輸送層》
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような所謂p型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号、特開2000−196140号、特開2001−102175号、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)などに記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の素子を作成することができるため好ましい。
《電子輸送層》
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合
物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様に、n型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたn性の高い電子輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開平10−270172号公報、特開2000−196140号公報、特開2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)などに記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなn性の高い電子輸送層を用いることがより低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
《封止》
本発明に用いられる封止手段としては、例えば封止部材と、電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも、平板状でもよい。また、透明性、電気絶縁性は特に問わない。
具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウムおよびタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属または合金からなるものが挙げられる。本発明においては、素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。更には、ポリマーフィルムは、酸素透過度10-3g/m2/day以下、水蒸気透過度10-5g/m2/day以下のものであることが好ましい。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化および熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステルなどの湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系などの熱および化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、有機層を挟み支持基板と対向する側の電極の外側に、該電極と有機層を被覆し、支持基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。この場合、該膜を形成する材料としては、水分や酸素など素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素などを用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザCVD法、熱CVD法、コーティング法などを用いることができる。
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相および液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体や、フッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては例えば金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等があげられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物および過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
《保護膜、保護板》
有機層を挟み支持基板と対向する側の前記封止膜あるいは前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために保護膜、あるいは保護板を設けてもよい。特に、封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
《光取出し》
有機エレクトロルミネッセンス素子は、空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として、光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(米国特許第4774435)。基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795号)。素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394号)。基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691号)。基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(特開2001−202827号)。基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751)などがある。
本発明においては、これらの方法を本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子と組み合わせて用いることができるが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、あるいは基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。
本発明は、これらの手段を組み合わせることにより、更に高輝度あるいは耐久性に優れた素子を得ることができる。
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど、外部への取り出し効率が高くなる。
低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマーなどが挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は、屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。またさらに1.35以下であることが好ましい。
また、低屈折率媒質の厚みは、媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは、低屈折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
全反射を起こす界面もしくはいずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は、回折格子が1次の回折や、2次の回折といったいわゆるブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち、層間での全反射等により外に出ることができない光を、いずれかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは、発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
回折格子を導入する位置としては前述のとおり、いずれかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)でも良いが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。
このとき、回折格子の周期は、媒質中の光の波長の約1/2 〜 3倍程度が好ましい。
回折格子の配列は、正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状など、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
《集光シート》
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板の光取出し側に、例えばマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、あるいは、所謂集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10μm〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
集光シートとしては、例えば液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)などを用いることができる。プリズムシートの形状としては、例えば基板に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であっても良い。
また、発光素子からの光放射角を制御するために光拡散板・フィルムを、集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)などを用いることができる。
《ガスバリア層》
本発明に係る有機EL素子はガスバリア層により保護されていることが好ましく、酸素及び水蒸気の透過を阻止する層であれば、その組成等は特に限定されるものではない。本発明のガスバリア層を構成する材料として具体的には、無機酸化物が好ましく、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化窒化珪素、酸化窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ等を挙げることができる。また、本発明におけるガスバリア層の厚さは、用いられる材料の種類、構成により最適条件が異なり、適宜選択されるが、5〜2000nmの範囲内であることが好ましい。ガスバリア層の厚さが、上記の範囲より薄い場合には、均一な膜が得られず、ガスに対するバリア性を得ることが困難であるからである。また、ガスバリア層の厚さが上記の範囲より厚い場合には、ガスバリア性フィルムにフレキシビリティを保持させることが困難であり、成膜後に折り曲げ、引っ張り等の外的要因により、ガスバリア性フィルムに亀裂が生じる等のおそれがあるからである。
本発明に係るガスバリア層は、後述する原材料をスプレー法、スピンコート法、スパッタリング法、イオンアシスト法、後述するプラズマCVD法、後述する大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法等を適用して形成することができる。
しかしながら、スプレー法やスピンコート法等の湿式法では、分子レベル(nmレベル)の平滑性を得ることが難しく、また溶剤を使用するため、後述する基板が有機材料であることから、使用可能な基板または溶剤が限定されるという欠点がある。そこで、本発明においては、プラズマCVD法等で形成されたものであることが好ましく、特に大気圧プラズマCVD法は、減圧チャンバー等が不要で、高速成膜ができ生産性の高い成膜方法である点から好ましい。上記ガスバリア層を大気圧プラズマCVD法で形成することにより、均一かつ表面の平滑性を有する膜を比較的容易に形成することが可能となるからである。
プラズマCVD法、大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法であるが、特に好ましくは、大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法を用いて形成される。尚、プラズマCVD法の層形成条件の詳細については、後述する。
プラズマCVD法、大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法により得られるガスバリア層は、原材料(原料ともいう)である有機金属化合物、分解ガス、分解温度、投入電力などの条件を選ぶことで、金属炭化物、金属窒化物、金属酸化物、金属硫化物、金属ハロゲン化物、またこれらの混合物(金属酸窒化物、金属酸化ハロゲン化物、金属窒化炭化物など)も作り分けることができるため好ましい。
例えば、珪素化合物を原料化合物として用い、分解ガスに酸素を用いれば、珪素酸化物が生成する。また、亜鉛化合物を原料化合物として用い、分解ガスにニ硫化炭素を用いれば、硫化亜鉛が生成する。これはプラズマ空間内では非常に活性な荷電粒子・活性ラジカルが高密度で存在するため、プラズマ空間内では多段階の化学反応が非常に高速に促進され、プラズマ空間内に存在する元素は熱力学的に安定な化合物へと非常な短時間で変換されるためである。
このような無機物の原料としては、典型または遷移金属元素を有していれば、常温常圧下で気体、液体、固体いずれの状態であっても構わない。気体の場合にはそのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、バブリング、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用する。又、溶媒によって希釈して使用してもよく、溶媒は、メタノール,エタノール,n−ヘキサンなどの有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用出来る。尚、これらの希釈溶媒は、プラズマ放電処理中において、分子状、原子状に分解されるため、影響は殆ど無視することができる。
このような有機金属化合物としては、
ケイ素化合物として、シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘプタメチルジシラザン、ノナメチルトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、テトラキスジメチルアミノシラン、テトライソシアナートシラン、テトラメチルジシラザン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、トリエトキシフルオロシラン、アリルジメチルシラン、アリルトリメチルシラン、ベンジルトリメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)アセチレン、1,4−ビストリメチルシリル−1,3−ブタジイン、ジ−t−ブチルシラン、1,3−ジシラブタン、ビ
ス(トリメチルシリル)メタン、シクロペンタジエニルトリメチルシラン、フェニルジメチルシラン、フェニルトリメチルシラン、プロパルギルトリメチルシラン、テトラメチルシラン、トリメチルシリルアセチレン、1−(トリメチルシリル)−1−プロピン、トリス(トリメチルシリル)メタン、トリス(トリメチルシリル)シラン、ビニルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、Mシリケート51等が挙げられる。
チタン化合物としては、例えば、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンテトライソポロポキシド、チタンn−ブトキシド、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−エチルアセトアセテート)、チタンジ−n−ブトキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンアセチルアセトネート、ブチルチタネートダイマー等が挙げられる。
ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムn−プロポキシド、ジルコニウムn−ブトキシド、ジルコニウムt−ブトキシド、ジルコニウムトリ−n−ブトキシドアセチルアセトネート、ジルコニウムジ−n−ブトキシドビスアセチルアセトネート、ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムヘキサフルオロペンタンジオネート等が挙げられる。
アルミニウム化合物としては、アルミニウムエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムs−ブトキシド、アルミニウムt−ブトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、トリエチルジアルミニウムトリ−s−ブトキシド等が挙げられる。
硼素化合物としては、ジボラン、テトラボラン、フッ化硼素、塩化硼素、臭化硼素、ボラン−ジエチルエーテル錯体、ボラン−THF錯体、ボラン−ジメチルスルフィド錯体、三フッ化硼素ジエチルエーテル錯体、トリエチルボラン、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、トリ(イソプロポキシ)ボラン、ボラゾール、トリメチルボラゾール、トリエチルボラゾール、トリイソプロピルボラゾール、等が挙げられる。
錫化合物としては、テトラエチル錫、テトラメチル錫、二酢酸ジ−n−ブチル錫、テトラブチル錫、テトラオクチル錫、テトラエトキシ錫、メチルトリエトキシ錫、ジエチルジエトキシ錫、トリイソプロピルエトキシ錫、ジエチル錫、ジメチル錫、ジイソプロピル錫、ジブチル錫、ジエトキシ錫、ジメトキシ錫、ジイソプロポキシ錫、ジブトキシ錫、錫ジブチラート、錫ジアセトアセトナート、エチル錫アセトアセトナート、エトキシ錫アセトアセトナート、ジメチル錫ジアセトアセトナート等、錫水素化合物等、ハロゲン化錫としては、二塩化錫、四塩化錫等が挙げられる。
また、その他の有機金属化合物としては、例えば、アンチモンエトキシド、ヒ素トリエトキシド、バリウム2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオネート、ベリリウムアセチルアセトナート、ビスマスヘキサフルオロペンタンジオネート、ジメチルカドミウム、カルシウム2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオネート、クロムトリフルオロペンタンジオネート、コバルトアセチルアセトナート、銅ヘキサフルオロペンタンジオネート、マグネシウムヘキサフルオロペンタンジオネート−ジメチルエーテル錯体、ガリウムエトキシド、テトラエトキシゲルマン、テトラメトキシゲルマン、ハフニウムt−ブドキシド、ハフニウムエトキシド、インジウムアセチルアセトナート、インジウム2,6−ジメチルアミノヘプタンジオネート、フェロセン、ランタンイソプロポキシド、酢酸鉛、テトラエチル鉛、ネオジウムアセチルアセトナート、白金ヘキサフルオロペンタンジオネート
、トリメチルシクロペンタジエニル白金、ロジウムジカルボニルアセチルアセトナート、ストロンチウム2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオネート、タンタルメトキシド、タンタルトリフルオロエトキシド、テルルエトキシド、タングステンエトキシド、バナジウムトリイソプロポキシドオキシド、マグネシウムヘキサフルオロアセチルアセトナート、亜鉛アセチルアセトナート、ジエチル亜鉛、などが挙げられる。
また、これらの金属を含む原料ガスを分解して無機化合物を得るための分解ガスとしては、水素ガス、メタンガス、アセチレンガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、アンモニアガス、亜酸化窒素ガス、酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、酸素ガス、水蒸気、フッ素ガス、フッ化水素、トリフルオロアルコール、トリフルオロトルエン、硫化水素、二酸化硫黄、二硫化炭素、塩素ガスなどが挙げられる。
金属元素を含む原料ガスと、分解ガスを適宜選択することで、各種の金属炭化物、金属窒化物、金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属硫化物を得ることができる。
また、これらの金属を含む原料ガスを分解して無機化合物を得るための分解ガスとしては、水素ガス、メタンガス、アセチレンガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、アンモニアガス、亜酸化窒素ガス、酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、酸素ガス、水蒸気、フッ素ガス、フッ化水素、トリフルオロアルコール、トリフルオロトルエン、硫化水素、二酸化硫黄、二硫化炭素、塩素ガス、などが挙げられる。
金属元素を含む原料ガスと、分解ガスを適宜選択することで、各種の金属炭化物、金属窒化物、金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属硫化物を得ることができる。
これらの反応性ガスに対して、主にプラズマ状態になりやすい放電ガスを混合し、プラズマ放電発生装置にガスを送りこむ。このような放電ガスとしては、窒素ガスおよび/または周期表の第18属原子、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも特に、窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられる。
上記放電ガスと反応性ガスを混合し、混合ガスとしてプラズマ放電発生装置(プラズマ発生装置)に供給することで膜形成を行う。放電ガスと反応性ガスの割合は、得ようとする膜の性質によって異なるが、混合ガス全体に対し、放電ガスの割合を50%以上として反応性ガスを供給する。
本発明に係るガスバリア層においては、ガスバリア層が含有する無機化合物が、SiOx、SiNyまたはSiOxy(x=1〜2、y=0.1〜1)であることが好ましく、特に水分の透過性、光線透過性及び後述する大気圧プラズマCVD適性の観点から、SiOxであることが好ましい。
本発明に係る無機化合物は、例えば、上記有機珪素化合物に、更に酸素ガスや窒素ガスを所定割合で組み合わせて、O原子とN原子の少なくともいずれかと、Si原子とを含む膜を得ることができる。なお、SiO2は透明性が高いもののガスバリア性が少し低めで
水分をやや通すことから、N原子を含んだ方がより好ましい。すなわち、酸素原子と窒素原子の数の比をx:yとした場合に、x/(x+y)は0.95以下、さらに0.80以下であればより一層好ましい。よって、本発明に係るガスバリア層においては、光線透過率Tが、80%以上であることが好ましい。
なお、N原子の割合が多いと光透過性が低下し、x=0であるSiNではやや黄色みを呈する。そこで、具体的な酸素原子と窒素原子の割合は用途に応じて決めればよい。例え
ば、表示装置において発光素子に対して発光面側に膜を形成する場合のような、光透過性を要する用途であれば、x/(x+y)が0.4以上、0.95であれば、光透過性と防水性のバランスをとることができるので好ましい。また、表示装置の発光素子の後面に設けられる映り込み防止膜のように光を吸収あるいは遮光した方が好ましい用途であればx/(x+y)は0以上0.4未満であることが好ましい。
よって、本発明に係るガスバリア層は、透明であることが好ましい。上記ガスバリア層が透明であることにより、ガスバリア性フィルムを透明なものとすることが可能となり、有機EL素子の透明基板等の用途にも使用することが可能となるからである。
実施例1
本発明の有機EL素子の作製方法の一例として、基板/第1画素電極(陽極)/正孔輸送層/発光層ユニット/電子輸送層/第2画素電極(陰極)からなる有機EL素子の作製方法について説明する。
ここでは可撓性の基板を搬送している例であるが、この基板はある幅を持った可撓性のものだけではなく、いわゆる枚葉塗布とよばれる1枚ずつカットされたものでもかまわない。
〈透明性ガスバリア性フィルム基板の作製〉
基板として、厚さ100μmのポリエチレンナテレフタレートフィルム(帝人・デユポン社製フィルム、以下、PETと略記する)上に、下記の大気圧プラズマ放電処理装置及び放電条件で、低密度層、中密度層、高密度層、中密度層のユニットを3回積層した透明ガスバリア性フィルムを作製した。
(大気圧プラズマ放電処理装置)
図3の大気圧プラズマ放電処理装置は、対向電極としてロール回転電極35及び複数の角筒型電極36を有し、更に電界印加手段40、ガス供給手段50、電極温度調節手段60等を有している
誘電体で被覆したロール回転電極35及び複数の角筒型電極36のセットを以下のように作製した。
第1電極となるロール回転電極35は、冷却水による冷却手段を有するチタン合金T64製ジャケットロール金属質母材に対して、大気プラズマ法により高密度、高密着性のアルミナ溶射膜を被覆し、ロール径1000mmφとなるようにした。一方、第2電極の角筒型電極36は、中空の角筒型のチタン合金T64に対し、上記同様の誘電体を同条件にて方肉で1mm被覆し、対向する角筒型固定電極群とした。
この角筒型電極36をロール回転電極35のまわりに、対向電極間隙を1mmとして24本配置した。角筒型固定電極群の放電総面積は、150cm(幅手方向の長さ)×4cm(搬送方向の長さ)×24本(電極の数)=14400cm2であった。
プラズマ放電中、第1電極(ロール回転電極35)及び第2電極(角筒型固定電極36群)が80℃になるように調節保温し、ロール回転電極35はドライブで回転させて薄膜形成を行った。上記24本の角筒型固定電極36中、上流側より4本を下記第1層(低密度層1)の成膜用に、次の6本を下記第2層(中密度層1)の成膜用に、次の8本を第3層(高密度層1)の成膜用に使用し、残りの6本を第4層(中密度層2)の成膜用にして、各条件を設定して1パスで4層を積層した。この条件を更に2回繰り返して、透明ガスバリア性フィルムを作製した。
(第1層:低密度層1)
下記の条件で、プラズマ放電を行って、厚さ約90nmの低密度層1を形成した。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 94.8体積%
薄膜形成性ガス:ヘキサメチルジシロキサン(以下、HMDSOと略記)
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化) 0.2体積%
添加ガス:酸素ガス 5.0体積%
〈電源条件:第1電極側の電源のみを使用した〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 10W/cm2
上記形成した第1層(低密度層)の密度は、マックサイエンス社製MXP21を用いたX線反射率法で測定した結果、1.90であった。
(第2層:中密度層1)
下記の条件で、プラズマ放電を行って、厚さ約90nmの中密度層1を形成した。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 94.9体積%
薄膜形成性ガス:ヘキサメチルジシロキサン(以下、HMDSOと略記)
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化) 0.1体積%
添加ガス:酸素ガス 5.0体積%
〈電源条件:第1電極側の電源のみを使用した〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 10W/cm2
上記形成した第2層(中密度層)の密度は、前述のマックサイエンス社製MXP21を用いたX線反射率法で測定した結果、2.05であった。
(第3層:高密度層1)
下記の条件で、プラズマ放電を行って、厚さ約90nmの高密度層1を形成した。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 94.9体積%
薄膜形成性ガス:ヘキサメチルジシロキサン(以下、HMDSOと略記)
(リンテック社製気化器にて窒素ガスに混合して気化) 0.1体積%
添加ガス:酸素ガス 5.0体積%
〈電源条件〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 10W/cm2
第2電極側 電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 10W/cm2
上記形成した第3層(高密度層)の密度は、前述のマックサイエンス社製MXP21を用いたX線反射率法で測定した結果、2.20であった。
(第4層:中密度層2)
上記第2層(中密度層1)の同様の条件で、中密度層2を形成した。
(第5層〜第12層)
上記第1層〜第4層(1ユニット)の形成と同条件で、これを2回繰り返して、透明ガスバリア性フィルムを作製した。
JISk7129Bに準拠した方法により水蒸気透過率を測定した結果、10-3g/m2/day以下であった。
JISk7126Bに準拠した方法により酸素透過率を測定した結果、10-3g/m2/day以下であった。
次いで、得られたガスバリア性フィルム基板上にITO(インジウムチンオキシド)をスパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法等の成膜法により120nm成膜した基板にパターニングを行った。
次いで、得られたガスバリア性フィルム基板上にITO(インジウムチンオキシド)をスパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法等の成膜法により120nm成膜した基板にパターニングを行った。これを第1画素電極とする。(図2(a)左端部参照)
〈第1有機化合物層:正孔輸送層の作製〉
前記、第1画素電極が形成されているロール状帯状可撓性シートを繰り出し洗浄表面改質処理工程、任意位置での帯電除去処理工程、塗布膜形成処理工程、溶媒除去処理工程、熱処理工程が連続して行われ、塗布膜として正孔輸送層が形成されロール状に巻き取られることを第一の工程とする。搬送速度は0.5m/minで実施した。
洗浄表面改質処理としては、ドライ洗浄装置を用い、低圧水銀ランプ、波長184.9nm、照射強度15mW/cm2、距離10mmにて実施した。この処理により有機汚染物除去と濡れ性向上の表面改質が行われる。洗浄表面改質処理としては低圧水銀ランプの他、エキシマランプ、プラズマ洗浄装置、などを利用可能である。
帯電除去処理としては大別して光照射方式とコロナ放電方式があり、光照射方式は微弱X線、コロナ放電方式はコロナ放電により空気イオンを生成する。この空気イオンは、帯電物体に引き寄せられて反対極性の電荷を補い、静電気を中和する。コロナ放電による除電器、軟X線による除電器が利用可能である。本発明では微弱X線による除電器を利用した。これにより、基板の帯電除去が図られる為、ゴミの付着や絶縁破壊が防止される為、素子の歩留まりの向上が図られる。
塗布膜形成処理としては、本実施例では塗布膜の正孔輸送層としてポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer社製 Bytron P AI 4083)を純水で65%メタノール5%で希釈した溶液をダイコート法により乾燥後の厚みが50nmになるように成膜を行い正孔輸送層を形成した。
搬送されるフレキシブル基板をバックアップロール上に密着搬送し、該バックアップロール上には塗膜形成の為のダイコータが基板から一定間隙を設け設置される。なお、バックアップロールには適宜クリーニング装置が装着されていても良い。
送液はタンク内に調製された溶液をギアポンプ等の精密ポンプを介し送液量を制御しダイコータへ送液される。送液された液はろ過フィルターを介しマニホールド内に充填されチャンバー内を一定圧力に保ちスリットを介し塗布ヘッドから幅手に塗液を均一に基板上へ成膜する。塗膜厚みは基板の搬送速度と送液量および溶液濃度により適宜調整される。なお、同時重層塗布をする際は同時供給可能なエクストルージョン塗布機やスライド塗布機が好適に使用される。
塗布膜形成時の搬送速度ムラは塗布平均速度に対し0.2以上10%以下が好ましい。更に好ましくは0.2%以上3%以下が好ましい。これにより、得られる有機EL素子の長手方向での厚み精度が保たれ発光特性の均一化が図られる。
塗布後は加熱された気流による乾燥処理工程にて溶媒を除去する。本実施例では、スリットノズル形式の噴出し口から成膜面に向け高さ100mm、噴出し風速1m/s、幅手分布5%であり、乾燥温度は100℃で実施した。乾燥炉は有機化合物層の材料に応じて適宜数ゾーンにして温度条件の変更や風速の変更等を行う事も可能である。
溶媒除去後、本実施例としては温度200℃のヒートロールを密に並べたロール間から吸引することにより支持体が吸着搬送され裏面伝熱による加熱で加熱処理を行なった。本例は1例でありこの例に限定されるものではなく、裏面より伝熱される形態であれば形式には拘らない。加熱処理はガラス転移点温度±50度でかつ分解温度を超えない温度かつ裏面伝熱で行う事が好ましい。加熱処理を行う事により膜の平滑性や残留溶媒の除去、塗膜の硬化が図られることにより、積層時の素子特性の向上が図られる。
以上の様にして、第1画素電極上に第1有機化合物層である正孔輸送層を形成した。
〈正孔輸送層の帯電、露光処理〉
正孔輸送層表面の帯電除去処理及び一様に帯電させる帯電処理を行った後、発光層の非形成領域に露光処理を行い、正孔輸送層上に電荷パターンを形成した。
本実施例では、コロナ放電により基板の両端を除いた全面に形成されている正孔輸送層が+50Vとなるように+3kVで帯電処理を行った。その後、正孔輸送層に発振波長830nm、出力100mWの半導体レーザで200mJ/cm2のエネルギー密度で発光層非形成領域の露光を行い、正孔輸送層上に電荷パターンを形成した。
〈第2有機化合物層:発光層の作製〉
続いて、適宜帯電処理を行った後、第1有機化合物層(正孔輸送層)上に第2有機化合物層である発光層の形成を行った。
R発光層として、ホスト材のポリビニルカルバゾール(PVK)に赤ドーパント材Ir−9を10質量%を1,2−ジクロロエタン中に溶解し10%溶液とした。本実施例では、発光層材料溶液の帯電量が−50Vとなるように正孔輸送層塗布液への電荷付与処理を直流印加方式により実施し、アライメントマークに従い、液滴吐出法により塗布液の吐出を行い、正孔輸送層上に乾燥後の厚みが100nmになる様にR発光層を形成した。続いて、正孔輸送層と同様な乾燥炉を用い60℃にて乾燥を行い連続して220℃にて加熱処理を連続して行った。同様に、緑ドーパント材をIr−1を5%、青ドーパント材Ir−12を3%、に適宜変更し、同様にしてG発光層、B発光層を形成した。搬送速度は0.5m/minで実施した。(図2(b)、(b−1)〜(b−3)参照)
本実施例では正孔輸送層の帯電及び露光により正孔輸送層への電荷パターンの付与を行っているため、連続搬送する基板に対しても高精度で電荷パターンを付与することができる。このようにすれば、塗布液材料が、所望位置と異なる位置に塗布されそうになった場合でも、クーロン力の働きにより塗布材料を所望位置に付着させることができる。また、塗布した塗布液材料が基板表面に沿って広がることも抑止できる。
加熱処理後は基板が室温と同じ温度になるまで冷却したのちロール状に巻き取った。ロール状に巻き取る際は通気性のある合紙や素子面に空間を持たせる巻き方が好ましい。
〈電子輸送層、陰極、封止膜の形成〉
発光層が形成されたフィルム基板を5×10-4Pa真空下にて有機EL層形成領域に厚さ0.5nmのLiF層を蒸着し電子輸送層を形成した。(図2(c)参照)
続いて、有機EL層領域および電極出し領域を含めた領域に厚さ100nmのアルミ層を蒸着し第2画素電極を形成した。(図2(d)参照)
電極端子部分となる領域以外にスパッタリング法、プラズマCVD法、イオンプレーティング法などを用いSiOxやSiNxもしくは複合膜などの無機膜を300nmの封止膜として形成し巻き取った。なお、無機膜形成前に応力緩和層を蒸着や蒸着重合を用いポリマー膜を形成したり、低応力無機膜をプラズマCVD等で形成しても良い。
また、別の形態として、封止接着材としてUV硬化性のエポキシ樹脂(ナガセケムテックス(株)製UVレジン XNR5570−B1)を電極端子部分を除く部分にダイコートにより塗布し、ガスバリア性の有する樹脂フィルムを圧着させ貼り合わせ後、UVランプを陰極側から照射し樹脂フィルムの接着を実施してもよい。この際、接着材のエポキシ樹脂は熱硬化型であっても良い。その場合は、貼り合わせ時にヒートロール間を通す事により加熱圧着を行う。また、封止接着材は発光部領域の外周のみにディスペンサー、スクリーン印刷等で形成しても良い。本例で用いられるガスバリアフィルムは透明電極が付いていない事を除いては有機EL層作製時の基板と同様である。
本実施例では、電子輸送層を上述のように蒸着で形成したが、湿式塗布により電子輸送層を形成するLiFの分散液やNaFの水溶液を一面に塗布し、乾燥処理および熱処理を行うことにより形成しても良い。この際、発光層の再溶解を防止するため、電子輸送層形成材料に用いる溶媒として、発光層に対して不溶な非極性溶媒を用いる。乾燥処理としては、200℃以下で加熱して乾燥蒸発させるのが好ましい。
接着封止後は、連続的巻き取り、次工程にて断裁してパネル化を行う方法、巻き取らず連続的に断裁してストッカーに収納する方法等、適宜選択可能である。
本発明では、有機El素子の製造方法において、塗布対象面の所定位置に電荷付与を行い、塗布対象面とは逆極性の電荷を付与した塗布液を液滴吐出法により塗布するときに、電気的クーロン力により、電荷を付与した塗布液の自己制御性により所定位置に液滴を導くようにしたものである。これにより液滴吐出法の機械精度およびノズル精度に起因するパターニング精度の課題を解決したものである。この際に、基板の前処理として帯電除去を行うことでより効果的なものとなる。また、基板の電荷パターン形成に際して、基板全面帯電、レーザ露光といった技術を用いているので、ロールツーロールのような連続搬送基板プロセスにも容易に適用可能であり、生産性の改善が達成される。
第1有機化合物層の表面より電荷パターンを付与し、液滴を精度良く所望位置に着弾させる機構を示した図である。 本発明の有機EL素子の製造方法による工程を示す模式図である。 大気圧プラズマ放電処理装置の構成断面図である。
符号の説明
1 基板
2 第1画素電極
3 第1有機化合物層
4 液滴
5,5B,5G,5R 発光層
7 電極端子部
15 アライメントマーク
16 電子輸送層
17 第2画素電極
35 ロール回転電極(第1電極)
36 角筒型固定電極群(第2電極)
40 電界印加手段
50 ガス供給手段
60 電極温度調節手段

Claims (10)

  1. 少なくとも第1画素電極、第1有機化合物層、第2有機化合物層、第2画素電極より構成される有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、
    第1画素電極および第1有機化合物層が形成されている基板上に第2有機化合物層を形成する際に、
    第1有機化合物層の帯電を除去する工程と、第1有機化合物層を一様に帯電させる工程と、
    第2有機化合物層形成領域以外の第1有機化合物層表面を選択的に露光する工程と、
    第2有機化合物層塗布液を未露光部の第1有機化合物層表面電位と逆極性に帯電させ、液滴吐出法により未露光部の第1有機化合物層上に第2有機化合物層塗布液を選択吐出する工程、
    を連続して行うことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  2. 第1画素電極と同時に形成されたアライメントマークを有する基板を用い、アライメントマーク検出に応じて、第1有機化合物層表面の選択露光および第2有機化合物層塗布液の選択吐出を行うことを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  3. 露光がレーザにより行われることを特徴とする請求項1又は2記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  4. 基板が可撓性基板より構成されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  5. 一方でロール状に巻かれた帯状連続シートの可撓性基板を送り出し、他方でロール状に巻き取ることにより行われることを特徴とする請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  6. 液滴吐出法にて成膜される第2有機化合物層以外の有機化合物層を蒸着法、湿式成膜法から選ばれる方法で成膜することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  7. 第1有機化合物層、第2有機化合物層が、正孔注入、正孔輸送、発光、電子輸送、電子注入の何れかもしくはそれら複数の機能を有することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  8. 請求項1〜7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法により形成されたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 有機エレクトロルミネッセンス素子の発光機構が燐光に基づくものであることを特徴とする請求項8に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  10. 請求項8又は9に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする表示装置。
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