JP2006293156A - プラスチック光ファイバの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 GI−POFの屈折率分布を、より簡素な工程で作製し、かつ、より安定なGI−POFを製造する手段を提供する。
【解決手段】
長手方向に垂直な面において、周辺部近傍よりも中心部の屈折率が高く、長手方向に平行で且つ長手方向中心線を含む平面において、長手方向中心線から該長手方向中心線と垂直方向の周辺部に向かって複屈折率が変化している光伝送領域を有する光ファイバの製造方法であって、前記光伝送領域の材料を、2層以上のダイであって、該ダイのうち、押出温度が最も高いダイと最も低いダイの温度差が20℃以上であるものを用いて押出成型する工程と、該押出成型したものを延伸した後冷却する工程を含み、さらに、前記光伝送領域の材料はいずれも同一材料を採用することを特徴とする、光ファイバの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、伝送周波数が10GHz・mを超える高周波信号伝送が可能なプラスチック光ファイバの製造方法に関する。詳しくは従来型の屈折率分布型マルチモードプラスティック光ファイバに比べて、製造コストを改良した屈折率分布型マルチモードプラスティック光ファイバの製造方法に関する。
マルチモード光ファイバは、大口径で接続できる技術としてガラスファイバの一種として多用されている。また、プラスチック光ファイバの分野でも、マルチモードが基本とされている。プラスチック光ファイバ(以下、「POF」と略記することがある)は、素線が全てプラスチックで構成されているため、伝送損失が石英系と比較してやや大きいという短所を有するものの、良好な可撓性を有し、軽量で、加工性がよい。さらに石英系光ファイバと比較して、口径の大きいファイバとしても製造し易く、低コストで製造可能である。従って、伝送損失の大きさが問題とならいない程度の短距離用の光通信伝送媒体として種々検討されている。
ここで、コア領域が同一の素材からなるPOF(コア領域の屈折率分布が一様であるPOF)(ステップインデックス型POF)は、市販されているものもあるが、いずれもその伝送周波数帯域は約10GHz・m以下である。
一方、屈折率分布型POF(Graded Index POF:以下、「GI−POF」という)は、一般的には、重合体をマトリックスとする有機化合物からなる芯(以下、「コア領域」と称する)と、該コア領域と屈折率が異なる、一般的には低屈折率の有機化合物からなる外殻(以下、「クラッド部」と称する)とから構成される。そして、GI−POFは、伝送する光信号の帯域をより大きくすることが可能なため、高い伝送容量を有する光ファイバとして最近注目されている(例えば、特許文献1および2参照)。この様なGI−POFの製法として、界面ゲル重合を利用し光学部材母材(以下、「プリフォーム」と称する)を作製し、その後、前記プリフォームを延伸する方法等が提案されている。この屈折率分布型光ファイバでは、マトリックス素材の中に屈折率の高い調整剤を含有させ、その含有率を断面の半径方向において徐々に変化させることによって所望の屈折率分布を得ている。
特開昭61−130904号公報 特許登録第3332922号公報
しかし、従来のGI−POFの作製方法は、プリフォームを作製する際に精密な成形制御が必要であり、生産上の条件制御が難しく、回分式となるため量産適性に劣る面がある。特に、特許文献1に記載されている作製方法は、界面ゲル重合を利用して断面方向に徐々に成長させるため、作製に時間がかかり、且つプリフォームのサイズ(長さ、太さ)が制限されてしまうという問題があった。そのためプリフォーム作製工程およびプリフォームの延伸工程においてコストを軽減することが困難であった。
また、GI−POFの屈折率分布は、様々な温湿度範囲で長期に崩れないことが、品質保証上求められる。しかし、本発明者が、実際に種々検討したところ、例えば、特許文献1に記載されているような屈折率の高い低分子とマトリックス素材との組み合わせの中、上記のような品質保証に耐え得るものには限りがあることが分かった。また、屈折率の異なる重合体を共重合させることにより屈折率分布を付与する場合は重合体の組合せによって界面不整合等が起きて高い損失を示す事もあり、材料の選択の幅を狭めることが分かった。
本願発明は上記課題を解決することを目的としたものであって、GI−POFの屈折率分布をより簡素に作製し、かつ、より安定なGI−POFを製造する手段を提供することにある。
本発明者は上記課題を鋭意検討した結果、下記手段により、本願発明を達成しうることを見出した。
(1)長手方向に垂直な面において、周辺部近傍よりも中心部の屈折率が高く、長手方向に平行で且つ長手方向中心線を含む平面において、長手方向中心線から該長手方向中心線と垂直方向の周辺部に向かって複屈折率が変化している光伝送領域を有する光ファイバの製造方法であって、光伝送領域の材料を、2層以上のダイであって、該ダイのうち、押出温度が最も高いダイと最も低いダイの温度差が20℃以上であるものを用いて押出成型する工程と、該押出成型したものを延伸した後冷却する工程を含み、さらに、前記光伝送領域の材料はいずれも同一材料を採用することを特徴とする、光ファイバの製造方法。
(2)光伝送領域の材料を第1のダイで押出成型し冷却してロッド状になったものに、さらに、これを被覆するように、光伝送領域の材料を第2のダイにて逐次押出する工程を含み、さらに、該押出成型したものが軟化した状態で延伸することを特徴とする、(1)に記載の光ファイバの製造方法。
(2−2)光伝送領域の材料を第1のダイで押出成型してロッド状になったものに、さらに、これを被覆するように、光伝送領域の材料を第2のダイにて逐次押出する工程を含み、さらに、該押出成型したものが軟化した状態で延伸することを特徴とする、(1)に記載の光ファイバの製造方法。
(3)最外層にクラッド部を押出成型にて付与する工程を含む、(1)または(2)に記載の光ファイバの製造方法。
(4)前記光伝送領域の材料は、一様な組成からなる(1)〜(3)のいずれかに記載の光ファイバの製造方法。
(5)前記光伝送領域の材料は、一様な組成からなる共重合体である、(4)に記載の光ファイバの製造方法。
本発明の製造方法によれば、コア領域には同一の材料を採用するため、例えば、重合釜にて一気に重合できるため製造時間が短縮できる。また、中心部と周辺部との温度差も押出機にて容易にコントロールできるので、特殊な過熱・冷却が不要であり、連続製造形態となるので、著しいコストダウンが可能となる。
以下、本発明の光ファイバの製造方法の好ましい実施形態について説明するが、本発明の光ファイバの製造方法は以下の方法に限定されるものではない。特に、コア領域とクラッド部とを有する態様について説明するが、これらに限られるものではない。
尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明の光ファイバの製造方法は、少なくとも2層以上の押出温度の違う重層ダイから同一材料を押出すことによって光伝送領域を成型することを特徴とするものである。このように光伝送領域の中心部と周辺部の押出温度を変えることにより、光伝送領域の中心部と周辺部の高分子配向に差をつけるものである。
ここで、2層以上のダイは、押出温度が最も高いダイと最も低いダイの温度差が20℃以上となっている。押出温度の温度差は好ましくは、50℃以上であり、より好ましくは80℃以上である。ダイが3層以上の場合は、押出温度が最も高いダイと最も低いダイの温度差が上記要件を満たせばよく、その間の領域を成型するダイは、より中心部を成型するダイから、順に、温度が段階的に高くまたは低くなっていればよい。
本発明の光ファイバの製造方法では、上述のとおり、光伝送領域(以下、「コア部」と言うことがある)の材料(以下、「コア材」ということがある)は、同一のものを採用している。ここで、同一のコア材とは、一成分からなることのみを意味するのではなく、複数成分からなり、組成が領域によって偏りのない一様な態様も含む意味で用いるものとする。
このような手段を採用することにより、コア材を、重合釜にて一気に重合でき、製造時間を短縮することができる。また、各ダイの温度差は押出機にて容易にコントロールできるので、特殊な過熱・冷却が不要となる。さらに、連続製造形態となるので、著しいコストダウンが可能となる。
以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。
まず、コア材を作製する。コア材を重層押出機に流すには、コア材を重合後、一旦ペレットにしておいてから押出機に投入する形式が製造工程管理上好ましいが、特開平合公報に記載されているような重合溶融状態から連続的に押出機に流れる形式でも構わない。
この後、複数のダイを用い、上述の温度差を設けた状態で押出す。押出方法は、同時押出であってもよいし、逐次押出であってもよい。
同時押出の場合、各ダイからの押出を同時に行う。このとき、ダイとしては中央に押出す1層目のダイとその外周に同心円状に2層目用の管状のダイが配置されたものを用いる。3層以上の構成では同様に同心円状に外周に層を形成するための管状のダイが配置される。これらダイより温度調整された原料ポリマーが各層ごとに共押出しされてコア部を形成する。このとき各層の温度が異なるため、張力によって形成する配向の度合いが変化し、それに応じた複屈折の分布が形成される。ダイの層数は2層以上であれば特に定めるものではないが、3〜5層が好ましい。
なお、このときの温度制御はコア材によって異なるものの、下限は押出しをするために流動する温度以上であるが、上限はコア材のポリマーが変質しない限りにおいて、前述より大きく取ることができる。例えば、PMMAの場合には、下限は200℃以上、上限は300℃以下であるように設定して製造することが好ましい。
一方、逐次押出の場合、各ダイからの押出しを逐次的に行う。この方法は、芯材となる線条体の周囲に押出し被覆をしてより太い線条体を形成させる工程を逐次的に行うものである。
用いるダイは芯材となる中央部について円柱状の押出しダイを用い、外層形成に用いられるダイは、外層を形成するための樹脂を導入するダイの他に、ニップル等の線条体が通過するための経路を有する部位とからなっている。
この方法は工程長が必要となったり、層間の空気巻きこみなど懸念があるが、その一方で、重合体が温度の影響を強く受け、上記の共押出しでは制御が困難である場合に有利であるほか、ダイスおよびそこに供給されるコア材の温度の制御がより容易となり、それぞれのダイスから繰り出される径が異なるため受ける張力を変化させることも可能であるなどの設計に幅を持たせることが可能となる。
この場合、押出機に流し、280〜340℃で溶融混練し、一層押出ダイより押出し冷却することが好ましい。ここで、ここで、ストランドは巻き取る形態やニップローラー等で送り出す形態などの送り出し機構を採用するとよい。この様な機構を設けることでストランドの送り出し速度をコントロールすることができ、 その後の操作(延伸)がより行ないやすくなる。
本発明の製造方法では、二層以上のコア層を押出した後に延伸する(追加の延伸工程を設けて延伸することが好ましい)。延伸することによりコア領域に、周辺部から中心部に向かって屈折率が高くなる配向分布を付与させることができる。また、素材の物性によっては特開平8−106015号公報に記載されているように、延伸の際に予備加熱工程を実施する方法などを採用することもできる。
延伸は、好ましくは、ストランドを採用し、ストランドの送出速度および引取速度によって調整することができる。すなわち、ストランドが一方から引出され、他方から引き取るように設置された装置を採用し、ストランドの周囲を被覆するように、二層以上の押出ダイによってコア材を押出す。このとき、引取側の速度を、例えば、送出側の速度の2〜1000倍の速度にすることにより、ストランドとともにその周辺部となるコア領域部分も延伸される。延伸は、延伸前の3〜100倍とすることが好ましい。
さらにまた、二層以上の押出ダイを通った後の延伸前の全体の直径は、1〜10mmであることが好ましく、ストランド径/スランド径以外のコア領域/クラッド部厚みは、0.3〜4.0mm/0.3〜3.0mm/0.1〜1.0mmであることが好ましい。
本発明では、さらに、延伸後には配向状態を保存するために冷却することが好ましい。この場合の冷却方法は、公知の方法を採用することができ、水冷、空冷、ガス冷却等の方法を採用できる。冷却温度は、室温程度(例えば、10〜30℃)程度とすればよい。このように本発明では特殊な冷却を必要としないため、操作が容易である。
本発明における光ファイバの製造方法においては、コア領域の外側にクラッド部となるクラッド材料で覆うように3段目の押出を行うとよい。また、クラッド部の作製手段としては、コア材ロッド単体を延伸した後に、クラッドとなる様な、低屈折率媒体を塗布する手法を採用することもできる(塗布型クラッドの例としては、Addison Clear Wave 社 「AC R220B」塗布UV硬化型などがある)。また、特開平8−54521号公報のような低屈折率層を周辺に設けて、さらに伝送性能や機械性能を向上させることもできる。以上の方法によって得られるファイバについては、得られる素線の破断伸びや硬度について特開平7−244220号公報に記載の様に規定することでファイバの曲げや側圧特性を改善することができる。
本発明の光ファイバの構造や光伝送の機構は、例えば、国際公開WO2005/006037号パンフレットに記載された複屈折の分布した光ファイバの原理に従うものである。以下、本発明の光ファイバの詳細について説明する。
本発明で用いるコア材は、いずれのダイから押出すものについても同一素材であれば、その種類等は特に定めるものではなく、単重合体および共重合体のいずれであってもよい。好ましくは、共重合体である。これらは、単一の重合性モノマーまたは2種類以上の重合性モノマーを重合することにより製造することができる。
本発明で採用する光ファイバにおける長手方向に垂直な面上の屈折率分布と、長手方向に平行な面における複屈折率分布との関係について説明する。
一般に、固有複屈折を有する材料は、無配向状態では3次元的屈折率成分(nx、ny、nz)で表されるいわゆる屈折率楕円体が真球状を保持している。即ち、nx=ny=nzの関係が成立する。この時の屈折率をn0とする。これがバルクとして任意の方向に配向すると3次元的屈折率成分(nx、ny、nz)が異なる状態、つまり複屈折が発現する。
固有複屈折が正の材料は、分子がx方向のみに配向すると、配向方向に振幅を持つ光の屈折率(nx)がn0より大きくなるのに対し、それに垂直な方向に振幅を持つ光の屈折率(ny=nz)がn0より小さくなる。一方、固有複屈折が負の材料は、分子がx方向のみに配向すると、配向方向に振幅を持つ光の屈折率(nx)がn0より小さくなるのに対し、それに垂直な方向に振幅を持つ光の屈折率(ny=nz)がn0より大きくなる。
ここで、長尺状の光ファイバのコア領域を、図1に示す様に、直交座標(x、y、z)に、長手方向をx軸に平行にして配置したモデルを考える。図1中、面Py-zは光ファイバの長手方向に垂直な面であり、面Px-yは長手方向中心線Lcを含み長手方向に平行な面である。図2〜図4に、種々の光ファイバの、Py-z面上の屈折率楕円分布およびPx-y面上の屈折率楕円分布を模式的に示した図をそれぞれ示す。なお、光ファイバの長手方向中心線Lcを含み長手方向に平行な他の面である面Px-z上の屈折率楕円体は、Px-y面上の屈折率楕円体と同様になるので省略する。
まず、図2は、特許登録3332922号公報等に記載されている様な公知のGI−POFのコア領域の、Py-z面上のnzおよびny成分からなる屈折率楕円体(図2(a))、およびPx-y面(図2(b))上のnxおよびny成分からなる屈折率楕円体を模式的に示した図である。図2に示す公知の光ファイバは、例えば、マトリックス中に含有される高屈折率低分子化合物の濃度分布等に基づいて、Py-z面上に屈折率分布構造が形成されている。従って、図2(a)に示す様に、Py-z面上の屈折率楕円体は円になるが、その大きさは中心部が大きく、周辺部に向かって小さくなっている。また、図2(b)に示す様に、Px-y面上の屈折率楕円体の分布も、Py-z面と同様に、中心部と周辺部近傍の屈折率楕円体が相似し、中心部が大きく、周辺部に向かうにつれて小さくなっている。
一方、図3は、本発明の光ファイバのコア領域の一例のPy-z面上のnzおよびny成分からなる屈折率楕円体分布(図3(a))、およびPx-y面(図3(b))上のnxおよびny成分からなる屈折率楕円体分布を模式的に示した図である。図3に示す光ファイバは、固有複屈折が正の材料からなるとともに、コア中心部からコア周辺部に向かう(y軸に平行な方向に向かう)に従って、分子が長手方向(x方向)に強く配向している光ファイバの例である。Px-y面上において、分子の配向度は、長手方向中心線Lcから外側に向かって高くなり、その配向度の変化に応じて、nx成分が大きくなるので、図3(b)に示す様に、屈折率楕円体は、外側になるにつれてx方向に伸びたラグビーボール状になっていく。その結果、図3(a)に示す様に、Py-z面上には、相対的にコア中心部からコア周辺部に向かって屈折率が減少する状態が形成されている。つまり、光の進行方向に関して従来の屈折率等方性材料において屈折率差に分布をつけた一般的なGI−POFと同等な状態にあると言える。
また、図4は、本発明の光ファイバのコア領域の他の例のPy-z面上のnzおよびny成分からなる屈折率楕円体分布(図4(a))、およびPx-y面(図4(b))上のnxおよびny成分からなる屈折率楕円体分布を模式的に示した図である。図4に示す光ファイバは、固有複屈折が負の材料からなり、コア周辺部からコア中心部に向かう(y軸と平行な方向に向かう)に従って、分子が長手方向(x方向)に強く配向している光ファイバの例である。Px-y面上において、分子の配向度は、外側から長手方向中心線Lcに向かって高くなり、その配向度の変化に応じて、nx成分が小さくなるので、図4(b)に示す様に、屈折率楕円体は、中心に近づくにつれてy方向に伸びた円盤状になっていく。その結果、図4(a)に示す様に、Py-z面上には、相対的にコア中心部からコア周辺部に向かって屈折率が減少する状態が形成されている。つまり、光の進行方向に関して従来の屈折率等方性材料において屈折率差に分布をつけた一般的なGI−POFと同等な状態にあると言える。
上記説明した様に、本発明の光ファイバでは、従来型GI-POFの様にコア領域に屈折率の分布を付与するために、意図的に材料中の組成を不均一にする必要はなく、同一の材料からコア領域を形成することができる。本発明においては、コア領域は、例えば、固有複屈折を有するマトリックス材料のみからなっていても、固有複屈折が認められないマトリックスに固有複屈折を有するドーパントを均一分散した材料、または固有複屈折が認められないマトリックスに固有複屈折を有するドーパント(添加成分)を共重合した材料等の多数成分からなる材料からなっていてもよい。ここで、ドーパントは重合性を有しない低分子の化合物でもよいし、重合性を有するモノマー成分でもよい。
[コア材]
本発明で用いるコア材に用いることができるポリマーを得るため、重合性モノマーとしては、光透過性が高い熱可塑性の原料を選択するのが好ましい。光透過性が高い熱可塑性の原料としては例えば、(メタ)アクリル酸エステル類(フッ素不含(メタ)アクリル酸エステル、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル)、スチレン系化合物、ビニルエステル類、炭酸エステル類等を例示することができ、コア領域はこれらのホモポリマー、あるいはこれらモノマー2種以上または、これらモノマーと他のモノマーからなる共重合体、およびホモポリマー及び/または共重合体の混合物から形成することができる。
本発明では、容易に複屈折を発現しやすいものが好ましい。固有複屈折が正のものとしては、ポリカーボネート、メタクリル酸ベンジルなどが挙げられ、固有複屈折が負のものとしては、メタクリル酸メチル、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。固有複屈折はその素材を重合し、一軸延伸物を作製し、複屈折を計ることにより、知ることができる。複屈折を発現させる素材であれば本発明の手法にて使用できるので、上記素材に限定されるものではなく、モノマーの単独あるいは共重合体からなるポリマーの屈折率がクラッド部のそれに比べて同等かあるいはそれ以上になるように構成モノマーの種類、組成比を組むことが好ましい。
さらに、作製する光学部材を近赤外光用途に用いる場合は、構成するC−H結合に起因した吸収損失が起こるために、C−H結合の水素原子を重水素原子やフッ素などで置換した重合体(例えば、特許登録第3332922号公報などに記載されているような重水素化ポリメチルメタクリレート(PMMA−d8)、ポリトリフルオロエチルメタクリレート(P3FMA)、ポリヘキサフルオロイソプロピル−2−フルオロアクリレート(HFIP 2−FA)など)からコア領域を形成すると、この伝送損失を生じる波長域を長波長化することができ、伝送信号光の損失を軽減することができる。なお、原料モノマーは重合後の透明性を損なわないためにも、不純物や散乱源となる異物は重合前に充分に低減させることが望ましい。
本発明で用いる好ましい重合性モノマー原料としては、具体的には、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、4−メチルシクロヘキシルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、1−フェニルエチルメタクリレート、1−フェニルシクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート(BzMA)、フェニルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート(tBMA)、イソボルニルメタルリレート(IBXMA)、ノルボルニルメタクリレート(NBXMA)が挙げられる。
また、これらの重合性モノマー原料と共重合する場合の好ましいモノマーとしては、主鎖直結のベンゼン環を有するモノマー、ベンゼン環以外の芳香環を有するモノマー、ヘテロ環を有するモノマーが好ましい例として挙げられる。
主鎖直結のベンゼン環を有するモノマーとしては、スチレン類(例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン)などが挙げられる。
ベンゼン環以外の芳香環を有するモノマーとしては、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンが挙げられる。
ヘテロ環を有するモノマーとしては、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール、ビニルチオフェンが挙げられる。
さらに、上記モノマーから誘導される繰り返し単位を有し、かつ末端に重合性基を有する化合物(いわゆるマクロモノマー)も利用できる。具体的にはポリメチルメタクリレートマクロモノマー、ポリスチレンマクロモノマーなどが挙げられる。
これらの共重合体のうち好ましくは、主鎖直結のベンゼン環を有するモノマーとの組み合わせであり、メチルメタクリレートとスチレン類の共重合体がより好ましい。このような共重合体を用いることにより、負の複屈折異方性が発現しやすいという効果が得られる。
この場合、重合性モノマーと、該重合性モノマーと共重合させるモノマーの組成比は、70:30〜95:5が好ましい。
また、本発明では、コア材に低分子化合物を添加することもできる。低分子化合物を添加することにより、マトリクスの屈折率が変化したり、可塑性の変化による配向性が変化などによって、延伸工程で付与される複屈折値を大きくすることができる。
このような重合性モノマー原料と組み合わせて採用する好ましい低分子化合物としては、ジベンジルエーテル、 フェノキシトルエン、 1、1ビス−(3、4、ジメチルフェニル)エタン、ジフェニルエーテル、ビフェニル、ジフェニルスルフィド、ジフェニルメタン、フタル酸ジオクチル、フタル酸ベンジル−n−ブチル、1−メトキシフェニル−1−フェニルエタン、安息香酸ベンジル、ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、1,2−ジブロモベンゼン、3−フェニル−1−プロパノールが好ましい例として挙げられる。
周辺部および中心部を構成するポリマー成分の分子量は、重量平均分子量で1万〜100万の範囲であることが好ましく、3万〜50万であることがさらに好ましい。さらに延伸性の観点で分子量分布(MWD:重量平均分子量/数平均分子量)も影響する。したがって、好ましい範囲としては、MWDが4以下であることが好ましく、さらには3以下であることが好ましい。分子量は、重合性モノマーの重合速度および重合度を、重合開始剤または連鎖移動剤等によって調整することができる。
[クラッド部]
クラッド部は、コア領域を伝送する光がそれらの界面で全反射するために、コア領域の屈折率より低い屈折率を有し、非晶性であり、コア領域との密着性が良好な材料を用いるのが好ましい。コア領域とクラッド部の界面が不整状態となると光学性能が低下するため、前述のコア領域用素材の中で、コア領域素材よりも低い屈折率を有する素材を選ぶことが好ましい。但し、素材の選択によってコア領域とクラッド部との界面の不整が起こりやすい、または、図3や図4の様な理想的な屈折率分布からずれた場合などにおいては、コア領域とクラッド部との間にさらに1以上の層を設けてもよい。例えば、コア領域との界面(即ち、中空管の内壁面)に、コア領域のマトリックスと同一組成のポリマーからなるアウターコア層を形成することにより、コア領域とクラッド部との界面状態を矯正することができる。アウターコア層の詳細については後述する。勿論、アウターコア層を形成せずに、クラッド部そのものを、コア領域のマトリックスと同一組成のポリマーから形成することもできる。またアウターコア層を回転重合で作成することによってその部分の高分子鎖は周辺の円筒表面と平行な円筒曲面状に面配向するので、それによる屈折率楕円体が形成される。これを伝送光波の乱れ補正に使うこともできる。
クラッド部の素材としては、前述のコア領域用素材のものを使うことでできるが、それらの素材の中でも、タフネスに優れ、耐湿熱性にも優れているものが好ましく用いられるため、これらの観点から、クラッド部は、フッ素含有モノマーの単独重合体または共重合体からなるのが好ましい。フッ素含有モノマーとしてはフッ化ビニリデンが好ましく、フッ化ビニリデンを10質量%以上含有する1種以上の重合性モノマーを重合させて得られるフッ素樹脂を好ましく用いることができる。
また、後述の溶融押出し法により重合体を成形して、クラッド部を作製する場合は、重合体の溶融粘度が適当であることが必要である。この溶融粘度については、相関する物性として分子量が用いられ、重量平均分子量が1万〜100万の範囲であることが適当であり、より好ましくは5万〜50万の範囲であり、さらに好ましくは3万〜50万の範囲である。さらに延伸性の観点で分子量分布(MWD:重量平均分子量/数平均分子量)も影響する。したがって、好ましい範囲としては、MWDが4以下が好ましく、さらには3以下が好ましい。分子量は、重合性モノマーの重合速度および重合度を、重合開始剤または連鎖移動剤等によって調整することができる。
さらに、できるだけコア領域へ水分が浸入することを防ぐことが好ましく、そのためには、ポリマーの吸水率が低いポリマーをクラッド部の素材(材料)として用いてもよい。すなわち飽和吸水率(以下、吸水率と称する)が1.8%未満のポリマーを用いてクラッド部を作製するのが好ましい。より好ましくは1.5%未満のポリマー、さらに好ましくは1.0%未満のポリマーを用いてコアを作製するのが好ましい。ここで本発明における吸水率(%)は、ASTMD570試験法に従い、23℃の水中に試験片を1週間浸漬し、そのときの吸水率を測定することにより算出することができる。
[重合開始剤]
重合開始剤としては、用いるモノマーや重合方法に応じて適宜選択することができ、例えば、過酸化ベンゾイル(BPO)、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−tert−ブチルパーオキシド(PBD)、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PBI)、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バラレート(PHV)などのパーオキサイド系化合物や、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2'−アゾビス(2−メチルブタン)、2,2'−アゾビス(2−メチルペンタン)、2,2'−アゾビス(2,3−ジメチルブタン)、2,2'−アゾビス(2−メチルヘキサン)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルペンタン)、2,2'−アゾビス(2,3,3−トリメチルブタン)、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、3,3'−アゾビス(3−メチルペンタン)、3,3'−アゾビス(3−メチルヘキサン)、3,3'−アゾビス(3,4−ジメチルペンタン)、3,3'−アゾビス(3−エチルペンタン)、ジメチル−2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジ−tert−ブチル−2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系化合物が挙げられる。
なお、重合開始剤は勿論これらに限定されるものではなく、2種類以上を併用してもよい。
[連鎖移動剤]
コア材の作製時には、重合性モノマーを連鎖移動剤の存在下で重合するのが好ましい。前記連鎖移動剤は、主に重合体の分子量を調整するために用いられる。連鎖移動剤を用いると、重合性モノマーからポリマーを形成する際に、重合速度および重合度を前記連鎖移動剤によってより制御することができ、重合体の分子量を所望の分子量に調整することができる。例えば、得られたプリフォームを延伸により線引きして光ファイバとする際に、分子量を調整することによって延伸時における機械的特性を所望の範囲とすることができ、生産性の向上にも寄与する。
前記連鎖移動剤については、併用する重合性モノマーの種類に応じて、適宜、種類および添加量を選択することができる。各モノマーに対する連鎖移動剤の連鎖移動定数は、例えば、ポリマーハンドブック第3版(J.BRANDRUPおよびE.H.IMMERGUT編、JOHN WILEY&SON発行)を参照することができる。また、該連鎖移動定数は大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊を参考にして、実験によっても求めることができる。
連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類(例えば、n−ブチルメルカプタン、n−ペンチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等)、チオフェノール類(例えば、チオフェノール、m−ブロモチオフェノール、p−ブロモチオフェノール、m−トルエンチオール、p−トルエンチオール等)などを用いることが好ましい。特に、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンのアルキルメルカプタンを用いるのが好ましい。また、C−H結合の水素原子が重水素原子やフッ素原子で置換された連鎖移動剤を用いることもできる。なお、前記連鎖移動剤は、2種類以上を併用してもよい。勿論、これらに限定されるものではなく、これら連鎖移動剤は2種類以上を併用してもよい。
[その他の添加剤]
その他、コア領域およびクラッド部には、光伝送性能を低下させない範囲で、前述の低分子化合物の様なその他の添加剤を添加することができる。またコア領域およびクラッド部の耐候性や耐久性などを向上させる目的で、安定剤を添加することができる。また、光伝送性能の向上を目的として、光信号増幅用の誘導放出機能化合物を添加することもできる。該化合物を添加することにより、減衰した信号光を励起光により増幅することができ、伝送距離が向上するので、例えば、光伝送リンクの一部にファイバ増幅器として使用することができる。これらの添加剤も、前記原料モノマーに添加した後、重合することによって、コア領域およびクラッド部に含有させることができる。
本発明の製造方法で製造されたGI−POFは、例えば、下記のような条件を満たすものが得られるという点で好ましい。
伝送周波数帯域:0.5〜10GHz/50m
中心部のレターデーション値(中心から半径20%以内の値)と周辺部(クラッド・コア界面の半径において外側半径20%の値)の差:150nm以上
伝送損失ロバストネス:1〜20dB/km
本発明の製造方法で製造されたGI−POFは、そのままの形態で種々の用途に供することができる。また、保護や補強を目的として、その外側に被覆層を有する形態、繊維層を有する形態、および/または複数のファイバを束ねた状態で、種々の用途に供することができる。被覆工程は、例えばファイバ素線の通る穴を有する対向したダイスにファイバ素線を通し、対向したダイス間に溶融した被覆用の樹脂を満たし、ファイバ素線をダイス間に移動することで被覆されたファイバを得ることができる。被覆層は可撓時に内部のファイバへの応力から保護するため、ファイバ素線と融着していないことが望ましい。さらにこのとき、溶融した樹脂と接することでファイバ素線に熱的ダメージが加わるので、極力ダメージを押さえるような移動速度や低温で溶融できる樹脂を選ぶことも望ましい。このとき、被覆層の厚みは被覆材の溶融温度や素線の引き抜き速度、被覆層の冷却温度による。その他にも、光部材に塗布したモノマーを重合させる方法やシートを巻き付ける方法、押出成形した中空管に光部材を通す方法などが知られている。
素線を被覆することにより、GI−POFケーブル製造が可能となる。その際にその被覆の形態として、被覆材とGI−POF素線の界面が全周にわたって接して被覆されている密着型の被覆と、被覆材とGI−POF素線の界面に空隙を有するルース型被覆がある。ルース型被覆では、たとえばコネクタとの接続部などにおいて被覆層を剥離した場合、その端面の空隙から水分が浸入して長手方向に拡散されるおそれがあるため、通常は密着型が好ましい。しかし、ルース型の被覆の場合、被覆と素線が密着していないので、ケーブルにかかる応力や熱とはじめとするダメージの多くを被覆材層で緩和させることができ、素線にかかるダメージを軽減させることができるため、使用目的によっては好ましく用いることができる。水分の伝播については、空隙部に流動性を有するゲル状の半固体や粉粒体を充填することで、端面からの水分伝播を防止でき、かつ、これらの半固体や粉粒体に耐熱や機械的機能の向上などの水分伝播防止と異なる機能を併せ持つようにすることでより高い性能の被覆を形成できる。
ルース型の被覆を製造するには、クロスヘッドダイの押出し口ニップルの位置を調整し減圧装置を加減することで空隙層を作製することができる。空隙層の厚みは前述のニップル厚みと空隙層を加圧/減圧することで調整が可能である。
さらに、必要に応じて被覆層(1次被覆層)の周辺にさらに被覆層(2次被覆層)を設けても良い。2次被覆層に難燃剤や紫外線吸収剤、酸化防止剤、ラジカル捕獲剤、昇光剤、滑剤などを導入してもよく、耐透湿性能を満足する限りにおいては、1次被覆層にも導入は可能である。なお、難燃剤については臭素を始めとするハロゲン含有の樹脂や添加剤や燐含有のものがあるが、毒性ガス低減などの安全性の観点で難燃剤として金属水酸化物を加えることが主流となりつつある。金属水酸化物はその内部に結晶水として水分を有しており、またその製法過程での付着水が完全に除去できないため、金属水酸化物による難燃性被覆は本発明の対透湿性被覆(1次被覆層)の外層被覆(2次被覆層)として設けることが望ましい。
また、複数の機能を付与させるために、様々な機能を有する被覆を積層させてもよい。例えば、本発明のような難燃化以外に、素線の吸湿を抑制するためのバリア層や水分を除去するための吸湿材料、例えば吸湿テープや吸湿ジェルを被覆層内や被覆層間に有することができ、また可撓時の応力緩和のための柔軟性素材層や発泡層等の緩衝材、剛性を挙げるための強化層など、用途に応じて選択して設けることができる。樹脂以外にも構造材として、高い弾性率を有する繊維(いわゆる抗張力繊維)および/または剛性の高い金属線等の線材を熱可塑性樹脂に含有すると、得られるケーブルの力学的強度を補強することができることから好ましい。抗張力繊維としては、例えば、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維が挙げられる。また、金属線としてはステンレス線、亜鉛合金線、銅線などが挙げられる。いずれのものも前述したものに限定されるものではない。その他に保護のための金属管の外装、架空用の支持線や、配線時の作業性を向上させるための機構を組み込むことができる。
また、ケーブルの形状は使用形態によって、素線を同心円上にまとめた集合ケーブルや、一列に並べたテープ心線と言われる態様、さらにそれらを押え巻やラップシースなどでまとめた集合ケーブルなど用途に応じてその形態を選ぶことができる。
また、本発明によって得られる大口径の光ファイバを用いたケーブルは、軸ずれに対して従来の光ファイバに比べて許容度が高いため突き合せによる接合でも用いることができるが、端部に接続用光コネクタを用いて接続部を確実に固定することが好ましい。コネクタとしては一般に知られている、PN型、SMA型、SMI型などの市販の各種コネクタを利用することも可能である。
本発明の光ファイバ、および光ファイバケーブルを用いて光信号を伝送するシステムには、種々の発光素子や受光素子、光スイッチ、光アイソレータ、光集積回路、光送受信モジュールなどの光部品を含む光信号処理装置等で構成される。また、必要に応じて他の光ファイバなどと組合わせてもよい。それらに関連する技術としてはいかなる公知の技術も適用でき、例えば、プラスティックオプティカルファイバの基礎と実際(エヌ・ティー・エス社発行)、日経エレクトロニクス2001.12.3号110頁〜127頁「プリント配線基板に光部品が載る,今度こそ」などを参考にすることができる。前記文献に記載の種々の技術と組み合わせることによって、コンピュータや各種デジタル機器内の装置内配線、車両や船舶などの内部配線、光端末とデジタル機器、デジタル機器同士の光リンクや一般家庭や集合住宅・工場・オフィス・病院・学校などの屋内や域内の光LAN等をはじめとする、高速大容量のデータ通信や電磁波の影響を受けない制御用途などの短距離に適した光伝送システムに好適に用いることができる。
さらに、IEICE TRANS.ELECTRON.,VOL.E84−C,No.3,MARCH 2001,p.339−344「High−Uniformity Star Coupler Using Diffused Light Transmission」,エレクトロニクス実装学会誌 Vol.3,No.6,2000 476頁〜480ページ「光シートバス技術によるインタコネクション」の記載されているものや、特開平10−123350号、特開2002−90571号、特開2001−290055号等の各公報に記載の光バス;特開2001−74971号、特開2000−329962号、特開2001−74966号、特開2001−74968号、特開2001−318263号、特開2001−311840号等の各公報に記載の光分岐結合装置;特開2000−241655号等の公報に記載の光スターカプラ;特開2002−62457号、特開2002−101044号、特開2001−305395号等の各公報に記載の光信号伝達装置や光データバスシステム;特開2002−23011号公報等に記載の光信号処理装置;特開2001−86537号公報等に記載の光信号クロスコネクトシステム;特開2002−26815号公報等に記載の光伝送システム;特開2001−339554号、特開2001−339555号等の各公報に記載のマルチファンクションシステム;や各種の光導波路、光分岐器、光結合器、光合波器、光分波器などと組み合わせることで、多重化した送受信などを使用した、より高度な光伝送システムを構築することができる。
以上の光伝送用途以外にも照明、エネルギー伝送、イルミネーション、センサ分野にも用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
[実施例1]
<紡糸>
先ず、PMMAペレット(アルドリッチ製)を図5に示す押出機のエクストルーダに挿入して300℃にて溶融混練を行い、金属メッシュフィルタを通してから、図6に示す断面を有する一層押出ダイにより280℃で押出し、直径2mmのストランドに調整し冷却した後に巻き取った。
次に図7に示すような二層押出ダイを有した押出機において、外側押出エクストルーダにはふっ化ビニリデン(PVDF)ペレット(クラレ製KF−850)を挿入し、300℃にて溶融混練を行い、内側押出エクストルーダにはPMMAペレット(アルドリッチ製)を挿入し、320℃にて溶融混練を行い、各々を金属メッシュフィルタに通してから、図8に示す断面を有する二層押出ダイに誘導し、280℃で押出し、前記直径2mmのストランドの周囲に被覆するようにして流した。この際、ストランドは送り出し速度がコントロールされており、二層押出ダイを通ってPVDF・PMMAの外皮を被った直後は、ストランド径2mm/外側PMMA厚み2mm/最外周PVDF厚み0.1mmに調整されており、そのまま引き取り側へと延伸された。
引取側の速度は、前記ストランドの送出側の速度に対し154倍速になっており、でき上がったファイバの直径は0.5mmであった。尚、延伸ゾーンの直後には配向状態を保存するための急冷装置を設けた。本実施例では水冷により急冷した。この工程により、延伸中にできている中心部から周辺部に向かっての延伸温度差による配向分布を保存することができた。
<特性評価>
《伝送周波数帯域評価》
光源として波長650nmの発光ダイオード(LED)を用い、半値幅100ピコセカンドのパルス光とし、出射パルス光を開口数0.5の対物レンズを用いて集光し、上記の各ファイバ試料を端面から入射させた。50m先のもう一方の端面から出射した光をサンプリングオシロスコープで検出した。その波形の半値幅から応答周波数に換算し、伝送周波数帯域を算出した。結果を表1に示した。
《複屈折率分布の評価》
各ファイバ試料の長手方向中心線から垂直方向周辺部に向かっての複屈折率の分布を以下の方法で調べた。なお、ここではレターデーション{Δn(複屈折率:nx−ny)×d(試料の厚み)}の分布を評価することで、複屈折率分布を評価した。
まず、図9に示すように、上記ファイバを10mm用意し、これを、1mm厚のガラス板上に置き、エポキシ樹脂によりガラス板上に包埋接着した。次に、エポキシ樹脂側から(図9中、上から)研磨機で削っていき、ファイバの中心線付近(図9中、破線L1)まで削る。次に、研磨面の上にもう一枚の1mm厚ガラス板を密着させてエポキシ樹脂で固める。および、研磨と反対側のガラス面側(図9中、下から)から研磨し、最初のガラス板を削りきって、さらにファイバを削っていき、サンプル厚みが0.1mmとなる(図9中、破線L2)まで削った。以上の工程により、ガラス板上に、厚さ0.1mmのファイバの長手方向に切り出したサンプルを作製した。
これを偏光顕微鏡(オリンパス製、BX51)に厚肉ベレックコンペンセーターU−CTB(オリンパス)製を付けて、その色味からレターデーションの分布を評価した。どのサンプルも中心線付近から中心線に垂直にクラッド部との界面に向かって、レターデーションが変化していた。表1にそのレターデーション差を示す。ここで、レターデーション差は、中心部(中心から半径20%以内での測定値)と周辺部(クラッド・コア界面の半径において外側半径20%での測定値)との差を示している。表1に示した結果から、複屈折率変化が大きいものほど伝送周波数帯域が大きいことが分った。即ち、その変化の絶対値が大きいものほど、長手方向に垂直な面上の屈折率分布が大きく、光伝送性能に優れたGI−POFであることがわかった。
《温湿度耐久性評価》
作製した上記の各試料について製作した直後、および70℃90%相対湿度で1000時間保管した後に、650nm波長の光を使ってカットバック法により伝送損失を測定し、両者の差を伝送損失ロバストネスとした。この結果も表1に示した。
[実施例2]
PMMAの製造において、原料重量部のうち10%を重量平均分子量6000のスチレンマクロマーに変えて、ポリメチルメタクリレート−graft−ポリスチレンを作製し、これをコア用の原料とした以外は実施例1と同様に操作を行って、ファイバを得た。
〔比較例〕
特許登録第3332922号公報の実施例4の記載に従って、GI−POFを作製し、上記と同様に評価した。なお、この方法は、従来型のGI−POF製作手法で、屈折率調整剤を用い、屈折率調整剤の濃度分布に基づいて屈折率の分布を構築する方法である。
Figure 2006293156
光ファイバのコア領域の長手方向をx軸に平行にして配置したモデルを示す。 光ファイバのコア領域の屈折率楕円分布を模式的に示した図を示す。 光ファイバのコア領域の屈折率楕円分布を模式的に示した図を示す。 光ファイバのコア領域の屈折率楕円分布を模式的に示した図を示す。 本願実施例で採用した押出機のエクストルーダの概略図を示す。 本願実施例で採用した一層押出ダイの断面図である。 本願実施例で採用した二層押出ダイの概略図を示す。 本願実施例で採用したニ層押出ダイの断面図である。 本願実施例で行った複屈折率分布評価に用いた装置の概略図を示す。

Claims (5)

  1. 長手方向に垂直な面において、周辺部近傍よりも中心部の屈折率が高く、長手方向に平行で且つ長手方向中心線を含む平面において、長手方向中心線から該長手方向中心線と垂直方向の周辺部に向かって複屈折率が変化している光伝送領域を有する光ファイバの製造方法であって、光伝送領域の材料を、2層以上のダイであって、該ダイのうち、押出温度が最も高いダイと最も低いダイの温度差が20℃以上であるものを用いて押出成型する工程と、該押出成型したものを延伸した後冷却する工程を含み、さらに、前記光伝送領域の材料はいずれも同一材料を採用することを特徴とする、光ファイバの製造方法。
  2. 光伝送領域の材料を第1のダイで押出成型し冷却してロッド状になったものに、さらに、これを被覆するように、光伝送領域の材料を第2のダイにて逐次押出する工程を含み、さらに、該押出成型したものが軟化した状態で延伸することを特徴とする、請求項1に記載の光ファイバの製造方法。
  3. 最外層にクラッド部を押出成型にて付与する工程を含む、請求項1または2に記載の光ファイバの製造方法。
  4. 前記光伝送領域の材料は、一様な組成からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ファイバの製造方法。
  5. 前記光伝送領域の材料は、一様な組成からなる共重合体である、請求項4に記載の光ファイバの製造方法。

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DE102013009169A1 (de) 2013-05-28 2014-12-04 Freundes- und Förderkreis des Institutes für Textiltechnik der RWTH Aachen e.V. Schmelzspinnverfahren für die Herstellung von über den Querschnitt variierbaren Fasern (GI-Profil) und ihre Verwendung, insbesondere optische Polymerfasern und im speziellen auf Basis von Polymethylmethacrylat (PMMA), Polystyrol (PS) oder Polycarbonat (PC

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DE102013009169A1 (de) 2013-05-28 2014-12-04 Freundes- und Förderkreis des Institutes für Textiltechnik der RWTH Aachen e.V. Schmelzspinnverfahren für die Herstellung von über den Querschnitt variierbaren Fasern (GI-Profil) und ihre Verwendung, insbesondere optische Polymerfasern und im speziellen auf Basis von Polymethylmethacrylat (PMMA), Polystyrol (PS) oder Polycarbonat (PC
DE102013009169B4 (de) * 2013-05-28 2016-05-12 Freundes- und Förderkreis des Institutes für Textiltechnik der RWTH Aachen e.V. Verfahren zum Schmelzspinnen einer über ihren Querschnitt variierenden Faser sowie ihre Verwendung

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