液晶表示装置は薄型、軽量であり、従来のブラウン管に代替するものとして、近年一層用途が拡大されてきた。しかし、現在広く使用されているTN(Twisted Nematic)配向液晶表示パネルは視野角が狭く、また応答速度が遅く、動画表示時には尾を引くように見える等、ブラウン管より画質が劣る。
これに対して、近年、高速応答、高視野角という特徴を有するOCB(Optically Compensated Birefringence)モードを用いた液晶表示装置が用いられるようになってきている。この液晶表示装置は、液晶をベンド配向させて視覚補償を行い、さらにこれに光学位相補償フィルムを組み合わせることにより広い視野角を得るようにしたものである。
図12(a)、図12(b)、及び図12(c)にOCBモードを用いた液晶表示装置を構成する液晶表示パネルの概略断面図を示す。図12(a)、及び図12(b)は、OCBモードを用いた液晶表示装置を構成する液晶表示パネルの電圧印加状態の概略断面図であり、図12(c)は、OCBモードを用いた液晶表示装置を構成する液晶表示パネルの電圧無印加状態の概略断面図である。
OCBモードを用いた液晶表示装置を構成する液晶表示パネルのガラス基板51の間には、図12(a)等に液晶分子52として示すように、ネマチック液晶が注入されている。そして、電圧を印加していない液晶の配向状態は、スプレイ状態53と呼ばれている。液晶表示装置の電源投入時には転移駆動と呼ばれる駆動を行う必要がある。すなわち、転移駆動とは、液晶表示装置の電源投入時にこの液晶層に20ボルトから25ボルト程度の比較的大きな電圧を印加することにより、図12(c)に示すスプレイ状態53から図12(a)、図12(b)に示すベンド状態54a、54bに転移させる駆動のことである。このベンド状態54a、54bを用いて表示を行うのが、OCBモードの特徴であり、電圧の大きさを変化させることでパネルの透過率を変化させるものである。
図12(a)に示すベンド状態54aは、白表示をしている場合のベンド状態を示し、図12(b)のベンド状態54bは、黒表示をしている場合のベンド状態を示している。
また、OCBモードを用いた液晶表示装置では、その液晶表示パネルに2ボルト以下の電圧を印加し続けると、液晶表示パネルは、ベンド状態54a、54bからスプレイ状態53に序々に移行してしまう(以下この移行を逆転移と呼ぶ)。このような逆転移を防止するために、OCBモードを用いた液晶表示装置では、逆転移防止駆動と呼ばれる駆動が行われる。
つまり、OCBモードを用いた液晶表示装置が、比較的低い電圧が印加されているときに白表示を行い、比較的高い電圧が印加されているときに黒表示を行うノーマリホワイトモードの場合、逆転移防止駆動とは、逆転移を防止するために、各画素に周期的に表示する映像信号とは別に黒色に対応する電圧を印加することにより、逆転移を防止する駆動である。逆転移防止駆動には、逆転移の防止のために画素に黒色に対応する電圧を印加する動作と、映像信号を印加する動作とを交互に行う2倍速変換と呼ばれる逆転移防止駆動がある。従って、OCBモードを用いた液晶表示装置では、1フレーム(または1フィールド)の映像を表示する期間には、映像信号を画素に印加している表示期間と、逆転移防止のために黒色に対応する電圧を画素に印加している黒挿入期間とが設けられている。
図13に、従来のOCBモードを用いた液晶表示装置101の構成を示す(例えば特許文献1を参照)。
液晶表示装置101は、液晶表示パネル102、バックライトユニット103、温度センサ104、温度検出手段105、黒挿入率設定手段107、及び液晶表示パネル駆動処理手段112を備えている。
液晶表示パネル102は、OCBモードを用いた液晶表示パネルである。
バックライトユニット103は、液晶表示パネルを照明する装置であり、例えば冷陰極管などから構成されている。
温度センサ104は、液晶表示パネル102の温度を検知して、液晶表示パネル102の温度に対応する電流等の信号を出力する手段である。
温度検出手段105は、温度センサ104から出力されてきた信号に基づいて液晶表示パネル102の温度を検出する手段である。
黒挿入率設定手段107は、温度検出手段105から通知される液晶表示パネル102の温度に応じて黒挿入期間の比率を設定する手段である。
バックライト制御手段111は、バックライトユニット103の明るさを例えば、PWM(Pluse Wave Modulation)制御を用いて制御する手段である。
液晶表示パネル駆動処理手段112は、黒挿入率設定手段107で設定された黒挿入期間の比率で液晶表示パネル102を駆動する手段である。
図14に、液晶表示装置101のうち、液晶表示パネル駆動処理手段112と、バックライトユニット103と、液晶表示パネル102との詳細な構成を示す。
ここで、図14に示すゲートドライバ127及びソースドライバ126は、図13に示す液晶表示パネル駆動処理手段112を構成しており、図14に示す液晶表示パネル102は、図13の液晶表示パネル102に相当している。
液晶表示パネル102は、TFT(Thin Film Transistor)タイプの表示パネルである。液晶表示パネル102は、内面に共通電極(図示せず)が形成された対向基板(図示せず)と、内面に画素電極122、走査線123、信号線124、画素電極122、及びスイッチング素子125が形成されたTFT基板(図示せず)とが、液晶層を挟んで対向するように配置されている。走査線123と信号線124は、TFT基板上でマトリックス状に配設されており、その走査線123と信号線124とで区画された各画素毎に、画素電極122及びスイッチング素子125が形成されている。そして、各走査線123はゲートドライバ126に接続されており、各信号線124は、ソースドライバ126に接続されている。また、液晶表示パネル102の背面にはバックライトユニット103が設けられている。
次に、このような従来の液晶表示装置の動作を説明する。
液晶表示装置101の電源が入れられた際には、液晶表示パネル102の液晶層は、図12(c)に示すスプレイ状態53のようにスプレイ状態のままであるので、図12(a)のベンド状態や図12(b)のベンド状態に転移させる必要がある。そこで、液晶表示装置101の電源が入れられた際には、液晶表示装置101は、液晶層をスプレイ状態からベンド状態に転移させるために転移駆動を行う。すなわち、液晶表示パネル駆動処理手段112のソースドライバ126は、画素電極122と共通電極との間の電圧が所定の時間だけ20ボルトから25ボルトという映像を表示する際の電圧よりも高い電圧になるように、転移駆動のための電圧として、信号線124に20ボルトから25ボルトの電圧を印加する。従って、液晶層には転移駆動のための電圧が所定時間印加されることになるので、液晶表示パネル102の液晶層は、スプレイ状態からベンド状態に転移し、液晶表示装置の表示動作が可能となる。
上記のように転移駆動が完了し、表示動作が可能になると、液晶表示装置101は表示動作を開始する。
液晶表示装置101が表示動作を行う際には、液晶表示パネル駆動処理手段112は、外部から入力される映像信号に応じて、ゲートドライバ127、ソースドライバ126にそれぞれ制御信号を送る。その結果、ゲートドライバ127は、走査線123に走査信号電圧を印加して各画素のスイッチング素子125を順次オンさせる。
表示期間には、ソースドライバ126は、ゲートドライバ127が走査線123に走査信号電圧を印加するタイミングに合わせて、信号線124を通じて映像信号に応じた電圧を各画素の画素電極122に印加する。これにより液晶表示パネル102の液晶分子52が変調され、バックライトユニット103から出射される光の透過率が変化する。その結果、ユーザの目に映像信号に対応する画像が映る。
また、黒挿入期間には、ソースドライバ126は、ゲートドライバ127が走査線123に走査信号電圧を印加するタイミングに合わせて、信号線124を通じて黒色に対応する電圧を各画素の画素電極122に印加する。これにより液晶表示パネル102の液晶分子52が変調され、バックライトユニット103から出射される光の透過率が変化する。その結果ユーザの目に黒色の映像が映る。
図15は、従来の液晶表示装置101の動作の一例を示すタイミングチャートである。(a)は、各走査線123に印加される電圧であり、各走査線123に対する走査のタイミングを示している。また、(b)は、各信号線124を介して画素電極122に印加される電圧の変化を示している。また、(c)は、バックライトユニット103が液晶表示パネル102を照明する明るさを示している。また、図15において、Nは液晶表示パネル102が有している走査線123の本数を示している。また、T1は、1フレーム期間(または1フィールド期間)を示している。また、T2は映像信号電圧を画素電極122に印加する期間である表示期間を示し、T3は、黒色に対応する電圧を画素電極122に印加する期間である黒挿入期間を示している。
図15に示すように、1フレーム期間T1は、表示期間T2と黒挿入期間T3とから構成されている。そして、図15の(a)に示すように、これらの表示期間T2と黒挿入期間T3とのそれぞれにおいて、全ての走査線123に対して順次的に走査が行われる。また、液晶表示パネル102はドット反転駆動されるため、図15の(b)に示すように、表示期間T2と黒挿入期間T3とのそれぞれにおいて、書き込まれる信号の電圧極性がドット毎に反転するように、画素電極122に印加される電圧が変化する。
また、図15の(c)に示すように、バックライトユニット103は、バックライト制御手段111の制御に従って、点灯と消灯とを交互に繰り返している。すなわち、バックライト制御手段111は、PWM(Pluse Wave Modulation)制御を用いてバックライトユニット103の点灯と消灯との比率を調整することにより、バックライトユニット103が液晶表示パネル102を照明する際の明るさを制御する。
一方、温度センサ104は、液晶表示パネル102の温度を検知して、液晶表示パネル102の温度に対応する電流等の信号を出力する。温度検出手段105は、温度センサ104から出力されてきた信号に基づいて液晶表示パネル102の温度を検出する。温度検出手段105で検出された温度は、黒挿入率設定手段107に送られる。
黒挿入率設定手段107は、図16に示す温度と黒挿入期間の比率を示す黒挿入率とを対応付けるテーブルを利用して、温度検出手段105から通知された液晶表示パネル102の温度に応じた黒挿入期間の比率を設定する。
すなわち、図16は、黒挿入率設定手段107が、温度に応じてどのような黒挿入率を設定するかを示すものである。図16から明らかなように、温度が増加するにつれて黒挿入率設定手段107が設定する黒挿入率が増加している。そして、温度が摂氏0度から摂氏60度まででは、黒挿入率は比較的ゆっくり増加しているが、摂氏60度以上では、黒挿入率は温度の増加に応じて急激に増加している。
液晶表示装置101を高温下で使用した場合では、液晶分子が動きやすくなるために、ベンド配向からスプレイ配向への逆転移が発生しやすくなる。図16は、その逆転移を防止して、ベンド配向を安定して維持することが出来るような黒挿入率を特定するために、液晶表示パネル102の表面付近の温度と適切な黒挿入率との関係を予め調べることによって求めたものである。つまり、図16は、液晶表示パネル102の表面付近の温度と黒挿入率とを変化させながら画像表示を行い、ベンド状態を安定して維持することが出来、しかも良好な表示を得るために必要な精度との関係を主観評価により求めたものである。
例えば、黒挿入率設定手段107は、図16を参照して、例えば温度が摂氏40度の場合、黒挿入率を17パーセントに設定し、温度が摂氏60度の場合、黒挿入率を23パーセントに設定する。
液晶表示パネル駆動処理手段は、黒挿入率設定手段107が設定した黒挿入期間で、液晶表示パネル102を駆動する。
このように、従来の液晶表示装置101は、図16に示すように、温度が上昇するとともに黒挿入率も増加させるので、高温下でも低温下でも良好な表示を維持することが出来る。
また、上記のように黒挿入期間を設けることにより、黒表示により表示された映像の残像が消去されるので、動画表示時に発生する画像のぼけを防止することも出来る。従って、OCBモードを用いた液晶表示装置では、逆転移を防止することを目的とするのみならず、動画表示時に発生する画像のぼけを防止することをも目的として黒挿入期間が設けられ、またその期間の長さが予め調整される場合もある。
また、TN配向液晶を用いた液晶表示装置等、OCBモードを用いた液晶表示装置以外の液晶表示装置では、逆転防止駆動を行う必要はないので、表示期間とは別に黒挿入期間を設ける必要がない。しかしながら、このような液晶表示装置であっても、動画表示時に発生する画像のぼけを防止することを目的として表示期間とは別に、上述したような黒挿入期間が設けられることもある。
特開2003−295156
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
まず、第1の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態では、常温よりも高い温度で使用した場合に、液晶表示パネルのさらなる温度上昇を極力抑えることが出来る、OCBモードを用いた液晶表示装置について説明する。
図1に、第1の実施の形態のOCBモードを用いた液晶表示装置1の構成を示す。
液晶表示装置1は、液晶表示パネル2、バックライトユニット3、温度センサ4、温度検出手段5、黒挿入抑制手段6、黒挿入率設定手段7、液晶表示パネル駆動処理手段12、及びオン時間抑制手段13を備えている。
液晶表示パネル2は、OCBモードを用いた液晶表示パネルである。
バックライトユニット3は、液晶表示パネルを照明する装置であり、例えば冷陰極管などから構成されている。
温度センサ4は、液晶表示パネル2の温度を検知して、液晶表示パネル2の温度に対応する電流等の信号を出力する手段である。
温度検出手段5は、温度センサ4から出力されてきた信号に基づいて液晶表示パネル2の温度を検出する手段である。
黒挿入抑制手段6は、温度検出手段5で検出された温度が常温よりも高い場合(例えば摂氏60度よりも高い場合)、抑制した黒挿入期間の比率を出力することによって、黒挿入率設定手段7が設定する黒挿入期間の比率を抑制する手段である。
黒挿入率設定手段7は、温度検出手段5から通知される液晶表示パネル2の温度に応じて黒挿入期間の比率を設定する手段である。また、黒挿入率設定手段7は、動画用黒挿入率設定手段8、逆転移防止用黒挿入率設定手段9、黒挿入率決定手段10とから構成される。
動画用黒挿入率設定手段8は、動画表示時に発生する画像のぼけを防止するための黒挿入期間の比率を設定する手段である。
逆転移防止用黒挿入率設定手段9は、液晶表示パネル2の液晶層がベンド状態からスプレイ状態に逆転移することを防止するための黒挿入期間の比率を設定する手段である。
黒挿入率決定手段10は、黒挿入抑制手段6から出力された抑制された黒挿入期間の比率と、動画用黒挿入率設定手段8が設定した黒挿入期間の比率と、逆転移防止用黒挿入率設定手段9が設定した黒挿入期間の比率とを考慮して、最終的な黒挿入期間の比率を設定し、設定した黒挿入期間の比率を液晶表示パネル駆動処理手段12に出力する手段である。
バックライト制御手段11は、バックライトユニット3の明るさを例えば、PWM(Pluse Wave Modulation)制御を用いて制御する手段である。
液晶表示パネル駆動処理手段12は、黒挿入率設定手段7で設定された黒挿入期間の比率で液晶表示パネル2を駆動する手段である。
オン時間抑制手段13は、温度検出手段5で検出された温度が常温よりも高い場合(例えば摂氏60度よりも高い場合)、バックライト制御手段11に、バックライトユニット3の明るさを抑制するよう指示する手段である。
図2に、液晶表示装置1のうち、液晶表示パネル駆動処理手段12と、バックライトユニット3と、液晶表示パネル2との詳細な構成を示す。
ここで、図2に示すゲートドライバ27及びソースドライバ26は、図1に示す液晶表示パネル駆動処理手段12を構成しており、図2に示す液晶表示パネル2は、図1の液晶表示パネル2に相当している。
液晶表示パネル2は、TFT(Thin Film Transistor)タイプの表示パネルである。液晶表示パネル2は、内面に共通電極(図示せず)が形成された対向基板(図示せず)と、内面に画素電極22、走査線23、信号線24、画素電極22、及びスイッチング素子25が形成されたTFT基板(図示せず)とが、液晶層を挟んで対向するように配置されている。走査線23と信号線24は、TFT基板上でマトリックス状に配設されており、その走査線23と信号線24とで区画された各画素毎に、画素電極22及びスイッチング素子25が形成されている。そして、各走査線23はゲートドライバ27に接続されており、各信号線24は、ソースドライバ26に接続されている。また、液晶表示パネル2の背面にはバックライトユニット3が設けられている。
次に、このような第1の実施の形態の液晶表示装置の動作を説明する。
液晶表示装置1の電源が入れられた際には、液晶表示パネル2の液晶層は、図12(c)に示すスプレイ状態53のようにスプレイ状態のままであるので、図12(a)のベンド状態や図12(b)のベンド状態に転移させる必要がある。そこで、液晶表示装置1の電源が入れられた際には、液晶表示装置1は、液晶層をスプレイ状態からベンド状態に転移させるために転移駆動を行う。すなわち、液晶表示パネル駆動処理手段12のソースドライバ26は、画素電極22と共通電極との間の電圧が所定の時間だけ20ボルトから25ボルトという映像を表示する際の電圧よりも高い電圧になるように、転移駆動のための電圧として、信号線24に20ボルトから25ボルトの電圧を印加する。従って、液晶層には転移駆動のための電圧が所定時間印加されることになるので、液晶表示パネル2の液晶層は、スプレイ状態からベンド状態に転移し、液晶表示装置の表示動作が可能となる。
上記のように転移駆動が完了し、表示動作が可能になると、液晶表示装置1は表示動作を開始する。
液晶表示装置1が表示動作を行う際には、液晶表示パネル駆動処理手段12は、外部から入力される映像信号に応じて、ゲートドライバ27、ソースドライバ26にそれぞれ制御信号を送る。その結果、ゲートドライバ27は、走査線23に走査信号電圧を印加して各画素のスイッチング素子25を順次オンさせる。
表示期間には、ソースドライバ26は、ゲートドライバ27が走査線23に走査信号電圧を印加するタイミングに合わせて、信号線24を通じて映像信号に応じた電圧を各画素の画素電極22に印加する。これにより液晶表示パネル2の液晶分子が変調され、バックライトユニット3から出射される光の透過率が変化する。その結果、ユーザの目に映像信号に対応する画像が映る。
また、黒挿入期間には、ソースドライバ26は、ゲートドライバ27が走査線23に走査信号電圧を印加するタイミングに合わせて、信号線24を通じて黒色に対応する電圧を各画素の画素電極22に印加する。これにより液晶表示パネル2の液晶分子が変調され、バックライトユニット3から出射される光の透過率が変化する。その結果ユーザの目に黒色の映像が映る。
図3は、液晶表示装置1の動作の一例を示すタイミングチャートである。(a)は、各走査線23に印加される電圧であり、各走査線23に対する走査のタイミングを示している。また、(b)は、各信号線24を介して画素電極22に印加される電圧の変化を示している。また、(c)は、バックライトユニット3が液晶表示パネル2を照明する明るさを示している。また、図3において、Nは液晶表示パネル2が有している走査線23の本数を示している。また、T1は、1フレーム期間(または1フィールド期間)を示している。また、T2は映像信号電圧を画素電極22に印加する期間である表示期間を示し、T3は、黒色に対応する電圧を画素電極22に印加する期間である黒挿入期間を示している。
図3に示すように、1フレーム期間T1は、表示期間T2と黒挿入期間T3とから構成されている。そして、図3の(a)に示すように、これらの表示期間T2と黒挿入期間T3とのそれぞれにおいて、全ての走査線23に対して順次的に走査が行われる。また、液晶表示パネル2はドット反転駆動されるため、図3の(b)に示すように、表示期間T2と黒挿入期間T3とのそれぞれにおいて、書き込まれる信号の電圧極性がドット毎に反転するように、画素電極22に印加される電圧が変化する。
また、図3の(c)に示すように、バックライト3は、バックライト制御手段11の制御に従って、点灯と消灯とを交互に繰り返している。すなわち、バックライト制御手段111は、PWM(Pluse Wave Modulation)制御を用いてバックライトユニット3の点灯と消灯との比率を調整することにより、バックライトユニット3が液晶表示パネル2を照明する際の明るさを制御する。
一方、温度センサ4は、液晶表示パネル2の温度を検知して、液晶表示パネル2の温度に対応する電流等の信号を出力する。温度検出手段5は、温度センサ4から出力されてきた信号に基づいて液晶表示パネル2の温度を検出する。温度検出手段5で検出された温度情報は、オン時間抑制手段、黒挿入抑制手段6及び黒挿入率設定手段7に送られる。
オン時間抑制手段13は、温度検出手段5で検出された温度情報を受け取ると、検出された温度に応じて、バックライトユニット3が液晶表示パネル2を照明する明るさを所定の値の何倍にするかを示す倍率情報をバックライト制御手段11に出力する。
具体的には、オン時間抑制手段13は、温度検出手段5で検出された液晶表示パネル2の温度が常温より高い場合(例えば液晶表示パネル2の温度が摂氏60度よりも高い場合)、バックライトユニット3が液晶表示パネル2を照明する明るさを常温と常温よりも高い温度との境界の温度である摂氏60度におけるバックライトユニット3の明るさのK倍(Kは0より大きく、1以下の数)にすることを示す倍率情報をバックライト制御手段11に出力する。ここで、摂氏60度におけるバックライトユニット3が液晶表示パネル2を照明する明るさとは、液晶表示装置1に設けられた図示していない画質調整ボリュームなどをユーザが走査することにより摂氏60度の温度において設定されている明るさのことを意味している。
バックライト制御手段11は、オン時間抑制手段13から倍率情報を受け取ると、バックライトユニット3が液晶表示パネル2を照明する明るさを摂氏60度における明るさのK倍になるようにバックライトユニット3を制御する。
従って、温度検出手段5で検出された液晶表示パネル2の温度が常温より高い場合(例えば液晶表示パネル2の温度が摂氏60度よりも高い場合)、バックライトユニット3は液晶表示パネル2を摂氏60度における明るさのK倍の明るさで照明する。ここで、Kは、0よりも大きく、1より小さい数であることは上述した通りである。従って、温度検出手段5で検出された液晶表示パネル2の温度が常温より高い場合(例えば液晶表示パネル2の温度が摂氏60度よりも高い場合)には、バックライトユニット3が液晶表示パネル2を照明する明るさは、温度検出手段5で検出された液晶表示パネル2の温度が摂氏60度である場合にバックライトユニット3が液晶表示パネル2を照明する明るさよりも暗くなる。
また、オン時間抑制手段13は、温度検出手段5で検出された液晶表示パネル2の温度が常温である場合(例えば、液晶表示パネル2の温度が摂氏60度以下の温度である場合)、バックライトユニット3が液晶表示パネル2を照明する明るさを常温と常温よりも高い温度との境界の温度である摂氏60度におけるバックライトユニット3の明るさの1倍にすることを示す倍率情報をバックライト制御手段11に出力する。ここで、摂氏60度におけるバックライトユニット3が液晶表示パネル2を照明する明るさについては上述した通りである。
バックライト制御手段11は、オン時間抑制手段13から倍率情報を受け取ると、バックライトユニット3が液晶表示パネル2を照明する明るさを摂氏60度における明るさの1倍になるようにバックライトユニット3を制御する。
従って、温度検出手段5で検出された液晶表示パネル2の温度が常温である場合(例えば、液晶表示パネル2の温度が摂氏60度以下の温度である場合)、バックライトユニット3は、液晶表示パネル2を摂氏60度における明るさの1倍の明るさで照明する。つまり、バックライトユニット3は、液晶表示パネル2を摂氏60度における明るさと等しい明るさで照明する。
一方、黒挿入率設定手段7は、温度検出手段5で検出された温度情報を受け取ると、検出された温度に応じた黒挿入期間の比率を設定する。
そのために、動画用黒挿入率設定手段8は、動画表示時に発生する画像のぼけを防止するための黒挿入期間の比率を設定し、逆転移防止用黒挿入率設定手段9は、逆転移を防止するための黒挿入期間の比率を設定する。
図4に、動画用黒挿入率設定手段8が設定する黒挿入期間の比率と、逆転移防止用黒挿入率設定手段9が設定する黒挿入期間の比率とを示す。図4に示す31は、動画用黒挿入率設定手段8が設定する黒挿入期間の比率を示す。31は、温度に依存せず、10パーセントの定数となっている。従って、動画用黒挿入率設定手段8は、動画表示時に発生する画像のぼけを防止するための黒挿入期間の比率として10パーセントを設定する。32は、逆転移防止用黒挿入率設定手段9が設定する黒挿入期間の比率を示す。32は、温度に依存しており、温度が上昇するにつれて増加している。
また、黒挿入抑制手段6は、液晶表示パネル2の温度が常温より高い場合(例えば液晶表示パネル2の温度が摂氏60度よりも高い場合)、抑制された黒挿入期間の比率として、摂氏60度における黒挿入期間の比率よりも小さい値を出力する。また、黒挿入抑制手段6は、液晶表示パネル2の温度が常温である場合(例えば、液晶表示パネル2の温度が摂氏60度以下の場合)、抑制された黒挿入期間の比率として100パーセントを出力する。
黒挿入率決定手段10は、動画用黒挿入率設定手段8が設定した黒挿入期間の比率と、逆転移防止用黒挿入率設定手段9が設定した黒挿入期間の比率とを比較し、値が大きい方の黒挿入期間の比率を、黒挿入期間の比率の候補とする。そして、黒挿入率決定手段10は、このようにして決定された黒挿入期間の比率と、黒挿入抑制手段6から送られてきた抑制された黒挿入期間の比率とを比較し、値が小さい方の黒挿入期間の比率を最終的な黒挿入期間の比率として決定し、液晶表示パネル駆動処理手段12に出力する。
図5の33は、上記のようにして黒挿入率決定手段19が最終的に決定された黒挿入率の比率である。また、点線で示した31及び32は、それぞれ図4の32及び31と同一のものを理解を容易にするために点線で示したものである。すなわち、図5の31は、動画用黒挿入率設定手段8が設定した、動画表示時に発生する画像のぼけを防止するための黒挿入期間の比率であり、32は、逆転移防止用黒挿入率設定手段9が設定した、逆転移を防止するための黒挿入期間の比率である。
図5から明らかなように、黒挿入率設定手段7から液晶表示パネル駆動処理手段12に出力される、最終的に設定された黒挿入期間の比率は、常温(例えば摂氏60度以下の温度)では、32と一致する。すなわち、逆転移防止用黒挿入率設定手段9が設定した黒挿入率の比率に一致する。また、最終的に設定された黒挿入期間の比率は、常温より高い温度(例えば摂氏60度より高い温度)の場合、摂氏60度における黒挿入率の比率より小さく設定される。
具体的には、黒挿入率決定手段10で最終的に決定され、液晶表示パネル駆動処理手段12に出力される黒挿入期間の比率は、液晶表示パネル2の温度が摂氏40度の場合には、16パーセントであり、摂氏60度の場合は、20パーセントである。そして摂氏80度では、20パーセントである。
例えば、黒挿入率設定手段107は、図16を参照して、例えば温度が摂氏40度の場合、黒挿入期間の比率を17パーセントに設定し、温度が摂氏60度の場合、黒挿入期間の比率を24パーセントに設定し、摂氏80度の場合は、黒挿入期間の比率を17.5パーセントに設定している。
液晶表示パネル駆動処理手段は、黒挿入率設定手段107が設定した黒挿入期間で、液晶表示パネル102を駆動する。
このように、第1の実施の形態の液晶表示装置1は、液晶表示パネル2の温度が所定の温度(例えば摂氏60度)以下の場合、前記黒挿入期間の比率を温度の増加に対応して増加させ、液晶表示パネル2の温度がその所定の温度より高い場合、バックライトユニット3の明るさを、液晶表示パネル2の温度がその所定の温度である場合に設定されるバックライトユニット3の明るさと等しいかまたはその明るさより暗い明るさにする。従って、液晶表示パネル2の温度が常温よりも高い場合(例えば摂氏60度よりも高い場合)、バックライトユニット3の明るさが、液晶表示パネル2が摂氏60度である場合のバックライトユニット3の明るさに等しいかまたは暗くなるので、バックライトユニット3からの放熱量も少なくなり、液晶表示パネル2のさらなる温度上昇を抑えることが出来る。
なお、液晶表示パネル2の温度が所定の温度(例えば摂氏60度)より高い場合には、図5の32と33に示すように、逆転移防止のため必要な黒挿入期間の比率よりも、実際の黒挿入期間の比率が小さくなっている。従って、このような温度の場合には、液晶表示パネル2において逆転移が実際に発生して表示画像の画質が劣化する可能性も無視できない。しかしながら、液晶表示パネル2の温度が異常に上昇した場合でも、液晶表示装置1が動作不良を起こさないように、設計及び製造段階で予め多くのコストをかけて液晶表示装置1を製造する必要もないので、このような画質劣化が多少起こったとしても、液晶表示装置1の製造コストを削減することが出来ることの利点は大きい。
なお、第1の実施の形態では、オン時間抑制手段13は、温度検出手段5が検出した温度に応じてバックライトユニット3の明るさを抑制するとして説明したが、これに限らない。オン時間抑制手段13が温度検出手段5が検出した温度ではなく、黒挿入率設定手段7が設定した黒挿入期間の比率に応じてバックライトユニット3の明るさを抑制することも出来る。
すなわち、この場合、温度検出手段5は、オン時間抑制手段13には、検出した液晶表示パネル2の温度を送らない。その代わりに黒挿入率決定手段10が決定した黒挿入期間の比率をオン時間抑制手段13に送る。
そして、オン時間抑制手段13は、黒挿入率決定手段10から送られてきた黒挿入期間の比率に応じた倍率情報をバックライト制御手段11に出力する。具体的には、黒挿入期間の比率が変化しても液晶表示パネル2の画面の明るさが変化しないようにオン時間抑制手段13は、バックライト制御手段11に倍率情報を出力する。従って、黒挿入期間の比率が増加した場合には、オン時間抑制手段13は、液晶表示パネル2の画面の明るさが一定になるような倍率情報をバックライト制御手段11に出力する。従って、バックライト制御手段11は、バックライトユニット3が液晶表示パネル2を照明する明るさを増加させる。逆に、黒挿入期間の比率が減少した場合には、オン時間抑制手段13は、液晶表示パネル2の画面の明るさが一定になるような倍率情報をバックライト制御手段11に出力する。従って、バックライト制御手段11は、バックライトユニット3が液晶表示パネル2を照明する明るさを減少させる。このようにオン時間抑制手段13とバックライト制御手段11とは、液晶表示パネル2の画面の明るさが変化しないように、バックライトユニット3が液晶表示パネル2を照明する明るさを制御する。そして、バックライト制御手段11は、このような制御をPWM制御により行う。
従って、図5において、液晶表示パネル2の温度が常温より高い温度の場合(例えば摂氏60度より高い温度の場合)、黒挿入抑制手段6を用いない場合には、黒挿入期間の比率は、図5の32のような曲線になるが、これに比べて黒挿入抑制手段6を用いている場合には、図5の33のような曲線になる。従って、黒挿入抑制手段6を用いる場合には、黒挿入抑制手段6を用いない場合に比べて黒挿入期間の比率は小さくなる。従って、表示期間が相対的に長くなるので、バックライトユニット3が液晶表示パネル2を照明する明るさは、暗くてもよい。つまり、バックライト制御手段11が上記のように液晶表示パネル2の画面の明るさが一定になるようにバックライトユニット3を制御することにより、常温より高い温度の場合(例えば摂氏60度より高い温度の場合)、バックライトユニット3が液晶表示パネル2を照明する明るさを摂氏60度の場合に比べて減少させる。従って、液晶表示パネル2が常温より高い温度の場合(例えば摂氏60度より高い温度の場合)、摂氏60度の場合に比べて、バックライトユニット3が消費する消費電力が少なくなり放熱量の少なくなり、液晶表示パネル2の温度上昇を少なくすることが出来る。ただし、液晶表示パネル2が常温より高い温度の場合(例えば摂氏60度より高い温度の場合)には、図5の32に示される逆転移防止のために必要な黒挿入期間の比率よりも、黒挿入期間の比率が小さく設定される。従って、液晶表示パネル2の表示画面には逆転移が発生する箇所も生じる可能性があり、液晶表示パネル2が表示する画質が劣化することも起こり得る。しかしながら、液晶表示パネル2の温度が異常に上昇した場合でも、液晶表示装置1が動作不良を起こさないように、設計及び製造段階で予め多くのコストをかけて液晶表示装置1を製造する必要もないので、このような画質劣化が多少起こったとしても、液晶表示装置1の製造コストを削減することが出来ることの利点は大きい。
従って、液晶表示パネルの温度が所定の温度(常温より高い温度、例えば摂氏60度)以下の場合、黒挿入期間の比率を温度の増加に対応して増加させ、液晶表示パネルの温度がその所定の温度より高い場合、黒挿入期間の比率を、検出された温度がその所定の温度である場合に設定される黒挿入期間の比率と等しいかまたはその比率より小さい比率とし、かつバックライトユニット3の明るさを、液晶表示パネル2の温度がその所定の温度である場合に設定されるバックライトユニット3の明るさと等しいかまたはその明るさより暗い明るさにするので、所定の温度より液晶表示パネル2の温度が高くなった場合に、液晶表示パネル2のさらなる温度上昇を極力抑えることが出来る。
また、第1の実施の形態における液晶表示装置1は、黒挿入抑制手段6を備えているとして説明したが、黒挿入抑制手段6を備えていない構成も可能である。図6にこのような液晶表示装置1aを示す。
この場合、黒挿入率決定手段10は、動画用黒挿入率設定手段8が設定した黒挿入期間の比率と逆転移防止用黒挿入率設定手段9が設定した黒挿入期間の比率とを比較し、比率が大きい方の黒挿入期間の比率を最終的な黒挿入期間の比率として決定し、その決定した黒挿入期間の比率を液晶表示パネル駆動処理手段12に出力する。
従って、この場合に、黒挿入率決定手段10が最終的に決定する黒挿入期間の比率は、図4の32のようになる。
このように、黒挿入期間の比率が温度が増加するにつれて増加する場合であっても、オン時間抑制手段13は、液晶表示パネル2の温度が常温より高い温度(例えば摂氏60度よりも高い温度)である場合には、常温と常温より高い温度との境界の温度である摂氏60度におけるバックライトユニット3の明るさと等しいか暗くなるように制御するので、バックライトユニット3の放熱量が増加しない。従って、液晶表示パネル2の温度が常温より高い温度(例えば摂氏60度よりも高い温度)において、液晶表示パネル2の温度がさらに上昇することを抑制することが出来る。
つまり、黒挿入率決定手段10が黒挿入期間の比率を図4の32のように設定する場合には、上述したような液晶表示パネル2の表示画面の明るさを一定に保つような制御を行う場合には、温度が増加するにつれて黒挿入期間の比率が増加するので、温度が増加するにつれてバックライトユニット3の明るさも増加させる必要がある。従って、液晶表示パネル2の温度が常温より高い場合(例えば摂氏60度よりも高い場合)、バックライトユニット3により液晶表示パネル2の温度上昇がさらに加速されることになる。上述したように、液晶表示装置1に黒挿入抑制手段6を設けない構成は、このような液晶表示パネル2のさらなる温度情報を抑制することが出来るので、その利用価値は大きい。
なお、本実施の形態のバックライトユニット3は本発明の照明手段の例であり、本実施の形態のオン時間抑制手段13,バックライト制御手段11、黒挿入抑制手段6、黒挿入率設定手段7は本発明の制御手段の例である。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
図1に第2の実施の形態の液晶表示装置1を示す。第2の実施の形態の液晶表示装置1は、第1の実施の形態で説明したものと同一である。第2の実施の形態と第1の実施の形態との相違点は、動画用黒挿入率設定手段8が設定する黒挿入期間の比率と、逆転移防止用黒挿入率設定手段9が設定する黒挿入期間の比率とが、第1の実施の形態と第2の実施の形態とで異なっている点である。また、温度検出手段5で検出された液晶表示パネル2の温度が常温より高い場合(例えば液晶表示パネル2の温度が摂氏60度よりも高い場合)に、オン時間抑制手段13は、液晶表示パネル2を照明する明るさを常温と常温よりも高い温度との境界の温度である摂氏60度におけるバックライトユニット3の明るさのK倍(Kは0より大きく、1未満の数)にすることを示す倍率情報をバックライト制御手段11に出力する点が第1の実施の形態と異なっている。それ以外は、第1の実施の形態と同様である。
次に、第2の実施の形態の液晶表示装置の動作について、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
オン時間抑制手段13は、液晶表示パネル2の温度が常温より高い場合(例えば摂氏60度より下回場合)、バックライト制御手段11に倍率がK(Kは0より大きく1未満の数)であることを示す倍率情報を出力する。オン時間抑制手段13、バックライト制御手段11等のそれ以外の動作は第1の実施の形態と同様である。
また、黒挿入率設定手段7、黒挿入抑制手段6等が黒挿入期間の比率を設定するまでの動作は上記の倍率情報を除いて、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略し、黒挿入率設定手段7、黒挿入抑制手段6が、黒挿入期間の比率を設定する動作から説明する。
図7に、動画用黒挿入率設定手段8が設定する黒挿入期間の比率と、逆転移防止用黒挿入率設定手段9が設定する黒挿入期間の比率とを示す。図7に示す34は、動画用黒挿入率設定手段8が設定する黒挿入期間の比率を示す。34は、温度に依存せず、50パーセントの定数となっている。従って、動画用黒挿入率設定手段8は、動画表示時に発生する画像のぼけを防止するための黒挿入期間の比率として50パーセントを設定する。35は、逆転移防止用黒挿入率設定手段9が設定する黒挿入期間の比率を示す。35は、温度に依存しており、温度が上昇するにつれて増加している。
また、黒挿入抑制手段6は、液晶表示パネル2の温度が常温より高い場合(例えば液晶表示パネル2の温度が摂氏60度よりも高い場合)、抑制された黒挿入期間の比率として、摂氏60度における黒挿入期間の比率よりも小さい値を出力する。また、黒挿入抑制手段6は、液晶表示パネル2の温度が常温である場合(例えば、液晶表示パネル2の温度が摂氏60度以下の場合)、抑制された黒挿入期間の比率として100パーセントを出力する。
黒挿入率決定手段10は、動画用黒挿入率設定手段8が設定した黒挿入期間の比率と、逆転移防止用黒挿入率設定手段9が設定した黒挿入期間の比率とを比較し、値が大きい方の黒挿入期間の比率を、黒挿入期間の比率の候補とする。そして、黒挿入率決定手段10は、このようにして決定された黒挿入期間の比率と、黒挿入抑制手段6から送られてきた抑制された黒挿入期間の比率とを比較し、値が小さい方の黒挿入期間の比率を最終的な黒挿入期間の比率として決定し、液晶表示パネル駆動処理手段12に出力する。
図8の36は、上記のようにして黒挿入率決定手段19が最終的に決定した黒挿入率の比率である。また、点線で示した34及び35は、それぞれ図7の34及び35と同一のものを理解を容易にするために点線で示したものである。すなわち、図8の34は、動画用黒挿入率設定手段8が設定した、動画表示時に発生する画像のぼけを防止するための黒挿入期間の比率であり、35は、逆転移防止用黒挿入率設定手段9が設定した、逆転移を防止するための黒挿入期間の比率である。
図8から明らかなように、黒挿入率設定手段7から液晶表示パネル駆動処理手段12に出力される、最終的に設定された黒挿入期間の比率は、常温(例えば摂氏60度以下の温度)では、34と一致する。すなわち、逆転移防止用黒挿入率設定手段9が設定した黒挿入率の比率に一致する。また、最終的に設定された黒挿入期間の比率は、常温より高い温度(例えば摂氏60度より高い温度)の場合、摂氏60度における黒挿入率の比率より小さく設定される。
具体的には、黒挿入率決定手段10で最終的に決定され、液晶表示パネル駆動処理手段12に出力される黒挿入期間の比率は、液晶表示パネル2の温度が摂氏60度までの場合には、一律50パーセントであり、摂氏80度では、32パーセントである。
例えば、黒挿入率設定手段7は、図8を参照して、例えば温度が摂氏60度までの場合、黒挿入期間の比率を日値率50パーセントに設定し、温度が摂氏80度の場合、黒挿入期間の比率を32パーセントに設定している。
液晶表示パネル駆動処理手段は、黒挿入率設定手段7が設定した黒挿入期間で、液晶表示パネル2を駆動する。
このように、第2の実施の形態の液晶表示装置1は、液晶表示パネル2の温度が所定の温度以下の場合(常温と常温より高い温度との境界の温度、例えば摂氏60度以下の場合)、黒挿入期間の比率を温度に関して固定値とし、液晶表示パネル2の温度がその所定の温度よりも高い場合、バックライトユニット3の明るさを、液晶表示パネル2の温度がその所定の温度である場合に設定されるバックライトユニット3の明るさより暗い明るさにするので、バックライトユニット3からの放熱量も少なくなり、液晶表示パネル2のさらなる温度情報を抑えることが出来る。
なお、第2の実施の形態では、オン時間抑制手段13は、温度検出手段5が検出した温度に応じてバックライトユニット3の明るさを抑制するとして説明したが、これに限らない。オン時間抑制手段13が温度検出手段5が検出した温度ではなく、黒挿入率設定手段7が設定した黒挿入期間の比率に応じてバックライトユニット3の明るさを抑制することも出来る。
すなわち、この場合、温度検出手段5は、オン時間抑制手段13には、検出した液晶表示パネル2の温度を送らない。その代わりに黒挿入率決定手段10が決定した黒挿入期間の比率をオン時間抑制手段13に送る。
そして、オン時間抑制手段13は、黒挿入率決定手段10から送られてきた黒挿入期間の比率に応じた倍率情報をバックライト制御手段11に出力する。具体的には、黒挿入期間の比率が変化しても液晶表示パネル2の画面の明るさが変化しないようにオン時間抑制手段13は、バックライト制御手段11に倍率情報を出力する。従って、黒挿入期間の比率が増加した場合には、オン時間抑制手段13は、液晶表示パネル2の画面の明るさが一定になるような倍率情報をバックライト制御手段11に出力する。従って、バックライト制御手段11は、バックライトユニット3が液晶表示パネル2を照明する明るさを増加させる。逆に、黒挿入期間の比率が減少した場合には、オン時間抑制手段13は、液晶表示パネル2の画面の明るさが一定になるような倍率情報をバックライト制御手段11に出力する。従って、バックライト制御手段11は、バックライトユニット3が液晶表示パネル2を照明する明るさを減少させる。このようにオン時間抑制手段13とバックライト制御手段11とは、液晶表示パネル2の画面の明るさが変化しないように、バックライトユニット3が液晶表示パネル2を照明する明るさを制御する。そして、バックライト制御手段11は、このような制御をPWM制御により行う。
従って、図8において、液晶表示パネル2の温度が常温より高い温度の場合(例えば摂氏60度より高い温度の場合)、黒挿入抑制手段6を用いない場合には、黒挿入期間の比率は、図7の34のような曲線になるが、これに比べて黒挿入抑制手段6を用いている場合には、図8の36のような曲線になる。従って、黒挿入抑制手段6を用いる場合には、黒挿入抑制手段6を用いない場合に比べて黒挿入期間の比率は小さくなる。従って、表示期間が相対的に長くなるので、バックライトユニット3が液晶表示パネル2を照明する明るさは、暗くてもよい。つまり、バックライト制御手段11が上記のように液晶表示パネル2の画面の明るさが一定になるようにバックライトユニット3を制御することにより、常温より高い温度の場合(例えば摂氏60度より高い温度の場合)、バックライトユニット3が液晶表示パネル2を照明する明るさを摂氏60度の場合に比べて減少させる。従って、液晶表示パネル2が常温より高い温度の場合(例えば摂氏60度より高い温度の場合)、摂氏60度の場合に比べて、バックライトユニット3が消費する消費電力が少なくなり放熱量が少なくなり、液晶表示パネル2の温度上昇を少なくすることが出来る。ただし、液晶表示パネル2が常温より高い温度の場合(例えば摂氏60度より高い温度の場合)には、図8の35に示される逆転移防止のために必要な黒挿入期間の比率よりも、黒挿入期間の比率が大きく設定されており、逆転移が発生しない。しかしながら、液晶表示パネル2が常温より高い温度の場合(例えば摂氏60度より高い温度の場合)には、動画表示時に発生する画像のぼけを防止するための黒挿入期間の比率は、図8の34に示すように、50パーセントであり、図8の36に示す黒挿入期間の比率は、図8の34に示す黒挿入期間の比率より小さい。従って、液晶表示パネル2が常温より高い温度の場合(例えば摂氏60度より高い温度の場合)には、図8の34に示す黒挿入期間の比率に比べて、動画表示時に発生する画像のぼけは増加することになる。このように、液晶表示パネル2が常温より高い温度の場合(例えば摂氏60度より高い温度の場合)には、液晶表示パネル2の表示画面では、動画表示時に発生する画像のぼけが増加する可能性がある。しかしながら、液晶表示パネル2の温度が異常に上昇しても、液晶表示装置1が動作不良を起こさないように、多くのコストをかけて液晶表示装置1を設計及び製造しなければならないような事態は回避することが出来るので、このような画質劣化が多少起こったとしても、液晶表示装置1の設計及び製造コストを削減することが出来ることの利点は大きい。
従って、液晶表示パネルの温度が所定の温度(常温より高い温度、例えば摂氏60度)以下の場合、黒挿入期間の比率を温度に関して固定値とし、液晶表示パネルの温度がその所定の温度より高い場合、バックライトユニット3の明るさを、液晶表示パネル2の温度がその所定の温度である場合に設定されるバックライトユニット3の明るさより暗い明るさにするので、所定の温度より液晶表示パネル2の温度が高くなった場合に、液晶表示パネル2のさらなる温度上昇を極力抑えることが出来る。
また、第2の実施の形態における液晶表示装置1は、黒挿入抑制手段6を備えているとして説明したが、黒挿入抑制手段6を備えていない構成も可能である。図6にこのような液晶表示装置1aを示す。
この場合、黒挿入率決定手段10は、動画用黒挿入率設定手段8が設定した黒挿入期間の比率と逆転移防止用黒挿入率設定手段9が設定した黒挿入期間の比率とを比較し、比率が大きい方の黒挿入期間の比率を最終的な黒挿入期間の比率として決定し、その決定した黒挿入期間の比率を液晶表示パネル駆動処理手段12に出力する。
従って、この場合に、黒挿入率決定手段10が最終的に決定する黒挿入期間の比率は、図7の34のようになる。
このように、黒挿入期間の比率が温度にかかわらず固定値である場合であっても、オン時間抑制手段13は、液晶表示パネル2の温度が常温より高い温度(例えば摂氏60度よりも高い温度)である場合には、常温と常温より高い温度との境界の温度である摂氏60度におけるバックライトユニット3の明るさよりも暗くなるように制御するので、バックライトユニット3の放熱量が増加しない。従って、液晶表示パネル2の温度が常温より高い温度(例えば摂氏60度よりも高い温度)において、液晶表示パネル2の温度がさらに上昇することを抑制することが出来る。
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。
図1に第3の実施の形態の液晶表示装置1を示す。第3の実施の形態の液晶表示装置1は、第1の実施の形態で説明したものと同一である。第3の実施の形態と第1の実施の形態との相違点は、動画用黒挿入率設定手段8が設定する黒挿入期間の比率と、逆転移防止用黒挿入率設定手段9が設定する黒挿入期間の比率とが、第1の実施の形態と第3の実施の形態とで異なっている点である。また、温度検出手段5で検出された液晶表示パネル2の温度が常温より高い場合(例えば液晶表示パネル2の温度が摂氏60度よりも高い場合)に、オン時間抑制手段13は、液晶表示パネル2を照明する明るさを常温と常温よりも高い温度との境界の温度である摂氏60度におけるバックライトユニット3の明るさのK倍(Kは0より大きく、1未満の数)にすることを示す倍率情報をバックライト制御手段11に出力する点が第1の実施の形態と異なっている。それ以外は、第1の実施の形態と同様である。
次に、第3の実施の形態の液晶表示装置の動作について、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
オン時間抑制手段13は、液晶表示パネル2の温度が常温より高い場合(例えば摂氏60度より下回場合)、バックライト制御手段11に倍率がK(Kは0より大きく1未満の数)であることを示す倍率情報を出力する。オン時間抑制手段13、バックライト制御手段11等のそれ以外の動作は第1の実施の形態と同様である。
また、黒挿入率設定手段7、黒挿入抑制手段6等が黒挿入期間の比率を設定するまでの動作は上記の倍率情報を除いて、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略し、黒挿入率設定手段7、黒挿入抑制手段6が、黒挿入期間の比率を設定する動作から説明する。
図9に、動画用黒挿入率設定手段8が設定する黒挿入期間の比率と、逆転移防止用黒挿入率設定手段9が設定する黒挿入期間の比率とを示す。図9に示す37は、動画用黒挿入率設定手段8が設定する黒挿入期間の比率を示す。37は、温度に依存せず、20パーセントの定数となっている。従って、動画用黒挿入率設定手段8は、動画表示時に発生する画像のぼけを防止するための黒挿入期間の比率として20パーセントを設定する。38は、逆転移防止用黒挿入率設定手段9が設定する黒挿入期間の比率を示す。38は、温度に依存しており、温度が上昇するにつれて増加している。
また、黒挿入抑制手段6は、液晶表示パネル2の温度が常温より高い場合(例えば液晶表示パネル2の温度が摂氏60度よりも高い場合)、抑制された黒挿入期間の比率として、摂氏60度における黒挿入期間の比率よりも小さい値を出力する。また、黒挿入抑制手段6は、液晶表示パネル2の温度が常温である場合(例えば、液晶表示パネル2の温度が摂氏60度以下の場合)、抑制された黒挿入期間の比率として100パーセントを出力する。
黒挿入率決定手段10は、動画用黒挿入率設定手段8が設定した黒挿入期間の比率と、逆転移防止用黒挿入率設定手段9が設定した黒挿入期間の比率とを比較し、値が大きい方の黒挿入期間の比率を、黒挿入期間の比率の候補とする。そして、黒挿入率決定手段10は、このようにして決定された黒挿入期間の比率と、黒挿入抑制手段6から送られてきた抑制された黒挿入期間の比率とを比較し、値が小さい方の黒挿入期間の比率を最終的な黒挿入期間の比率として決定し、液晶表示パネル駆動処理手段12に出力する。
図10の39は、上記のようにして黒挿入率決定手段10が最終的に決定した黒挿入率の比率である。また、点線で示した37及び38は、それぞれ図9の37及び38と同一のものを理解を容易にするために点線で示したものである。すなわち、図10の37は、動画用黒挿入率設定手段8が設定した、動画表示時に発生する画像のぼけを防止するための黒挿入期間の比率であり、38は、逆転移防止用黒挿入率設定手段9が設定した、逆転移を防止するための黒挿入期間の比率である。
図10から明らかなように、黒挿入率設定手段7から液晶表示パネル駆動処理手段12に出力される、最終的に設定された黒挿入期間の比率は、常温(例えば摂氏60度以下の温度)では、37と一致する。すなわち、動画用黒挿入率設定手段8が設定した黒挿入期間の比率に一致する。また、最終的に設定された黒挿入期間の比率は、常温より高い温度(例えば摂氏60度より高い温度)の場合、摂氏60度における黒挿入率の比率より小さく設定される。
具体的には、黒挿入率決定手段10で最終的に決定され、液晶表示パネル駆動処理手段12に出力される黒挿入期間の比率は、液晶表示パネル2の温度が摂氏60度までの場合には、一律20パーセントであり、摂氏80度では、17パーセントである。
例えば、黒挿入率設定手段7は、図10を参照して、例えば温度が摂氏60度までの場合、黒挿入期間の比率を一律20パーセントに設定し、温度が摂氏80度の場合、黒挿入期間の比率を17パーセントに設定している。
液晶表示パネル駆動処理手段12は、黒挿入率設定手段7が設定した黒挿入期間で、液晶表示パネル2を駆動する。
このように、第3の実施の形態の液晶表示装置1は、液晶表示パネル2の温度が所定の温度以下の場合(常温と常温より高い温度との境界の温度、例えば摂氏60度以下の場合)、黒挿入期間の比率を温度に関して固定値とし、液晶表示パネル2の温度がその所定の温度よりも高い場合、バックライトユニット3の明るさを、液晶表示パネル2の温度がその所定の温度である場合に設定されるバックライトユニット3の明るさより暗い明るさにするので、バックライトユニット3からの放熱量も少なくなり、液晶表示パネル2のさらなる温度情報を抑えることが出来る。
なお、第3の実施の形態では、オン時間抑制手段13は、温度検出手段5が検出した温度に応じてバックライトユニット3の明るさを抑制するとして説明したが、これに限らない。オン時間抑制手段13が温度検出手段5が検出した温度ではなく、黒挿入率設定手段7が設定した黒挿入期間の比率に応じてバックライトユニット3の明るさを抑制することも出来る。なお、この場合は、黒挿入率設定手段7等が設定する黒挿入期間の比率が異なり点を除いて、第2の実施の形態において、オン時間抑制手段13が温度検出手段5が検出した温度ではなく、黒挿入率設定手段7が設定した黒挿入期間の比率に応じてバックライトユニット3の明るさを抑制する場合と同様であるので詳細な説明を省略する。
また、第3の実施の形態における液晶表示装置1は、黒挿入抑制手段6を備えているとして説明したが、黒挿入抑制手段6を備えていない構成も可能である。図6にこのような液晶表示装置1aを示す。
この場合、黒挿入率決定手段10は、動画用黒挿入率設定手段8が設定した黒挿入期間の比率と逆転移防止用黒挿入率設定手段9が設定した黒挿入期間の比率とを比較し、比率が大きい方の黒挿入期間の比率を最終的な黒挿入期間の比率として決定し、その決定した黒挿入期間の比率を液晶表示パネル駆動処理手段12に出力する。
従って、この場合に、黒挿入率決定手段10が最終的に決定する黒挿入期間の比率は、図11の40のようになる。
このように、黒挿入期間の比率が温度が増加するに従って、非減少な値をとる場合であっても、オン時間抑制手段13は、液晶表示パネル2の温度が常温より高い温度(例えば摂氏60度よりも高い温度)である場合には、常温と常温より高い温度との境界の温度である摂氏60度におけるバックライトユニット3の明るさよりも暗くなるように制御するので、バックライトユニット3の放熱量が増加しない。従って、液晶表示パネル2の温度が常温より高い温度(例えば摂氏60度よりも高い温度)において、液晶表示パネル2の温度がさらに上昇することを抑制することが出来る。
なお、第1の実施の形態から第3の実施の形態まででは、OCBモードを用いた液晶表示装置について説明したが、これに限らず、OCBモード液晶を利用した液晶表示装置以外にも本実施の形態を適用することが出来る。