JP2006292558A - 全反射蛍光x線分析方法および全反射蛍光x線分析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】気相分解−全反射蛍光X線法における分析精度、感度を高める。
【解決手段】複数の波長を用いた気相分解−全反射蛍光X線分析において、あらかじめ校正用試料の乾燥痕に対して求められた複数の内標準元素の定量値の相関関係である感度校正直線を利用することによって、被測定試料の乾燥痕中に添加される内部標準用元素を1種類とした場合においても、高い精度で被測定試料の乾燥痕中の元素の定量分析を可能とするものである。
【選択図】図1
【解決手段】複数の波長を用いた気相分解−全反射蛍光X線分析において、あらかじめ校正用試料の乾燥痕に対して求められた複数の内標準元素の定量値の相関関係である感度校正直線を利用することによって、被測定試料の乾燥痕中に添加される内部標準用元素を1種類とした場合においても、高い精度で被測定試料の乾燥痕中の元素の定量分析を可能とするものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、半導体ウエハ表面の微量不純物を分析するための表面分析装置である全反射蛍光X線分析装置を用いた高感度の分析方法および気相分解処理装置に関するものである。
近年の半導体デバイスの微細化に従い、半導体ウエハ表面の微量不純物の分析が非常に重要になっている。これは、ごく微量の金属不純物であってもゲート酸化膜の耐圧不良、キャパシタ絶縁膜のリーク電流の増大や経時誘電破壊、接合リークの増大、コンタクト抵抗の増大などの不良の原因となるためである。従って、半導体デバイスの電気特性を向上するには、ウエハ表面の不純物を出来る限り低減する必要がある。そのため、ウエハ表面の不純物量を高感度かつ正確に分析する必要がある。
高感度なウエハ表面の組成分析法として、ウエハ表面の微量不純物を濃縮・回収したのちに全反射蛍光X線分析装置で測定する方法がある(例えば特許文献1および特許文献2)。この分析方法は気相分解−全反射蛍光X線分析法と呼ばれている。
まず全反射蛍光X線装置の構成について図7を用いて説明する。図7において、6はX線発生源、7はX線発生源6から放出されたX線、8はX線7を単色化するためのモノクロメータ、9は単色化された一次X線、10は試料ステージ、11は試料ステージ10に保持されているウエハ、12はウエハ11表面で励起された蛍光X線、13は蛍光X線12を検出する検出器、14は装置を制御するとともにデータを収集・処理するコンピュータである。
全反射蛍光X線は、X線発生源6から放出されたX線7をモノクロメータ8で単色化して、一次X線9として試料ステージ10上に保持されているウエハ11表面に入射される。この際、全反射臨界角より浅い角度で一次X線9をウエハ11に入射することによって、ウエハ11表面に存在する原子の蛍光X線12が発生し、この蛍光X線12を検出器13で検出し、コンピュータ14でデータ処理される。このようにして全反射蛍光X線装置はウエハ11表面の高感度分析を実現している。
次にこの全反射蛍光X線でより高感度に分析する方法として用いられている気相分解−全反射蛍光X線分析法の測定方法のフローチャートを図8に示し、気相分解処理を説明するための模式図を図9に示す。
図8及び図9に示すように、気相分解−全反射蛍光X線分析法は、以下の順序で行なわれる。
ステップS1において、図9(a)に示すように、密閉容器19中に置かれたウエハ20表面の薄膜または自然酸化膜を、フッ酸蒸気導入口21から導入されるフッ酸蒸気22によってフッ酸蒸気中で気相分解する。
次に、ステップS2において、図9(b)に示すように、回収液支持棒23の先端に保持された回収液24を、ウエハ20表面に対して走査することにより、回収液24中に、ステップS1で気相分解されたウエハ20表面の分解物を回収する。
次に、ステップS3において、図9(c)に示すように、ウエハ20上に回収液24を滴下し、回収液24を乾燥する。
最後に、ステップS4において、回収液を乾燥した痕(乾燥痕)を全反射蛍光X線分析で測定する。
以上のように、気相分解−全反射蛍光X線分析法では、ウエハ表面のほぼ全面の汚染物を回収液により一箇所に集めて測定することによって高感度分析を実現している。
一般的に全反射蛍光X線分析では、測定対象部の形状によって定量分析値が変動することが知られている(特許文献3および特許文献4)。気相分解−全反射蛍光X線分析法においては、ウエハ表面の汚染物を回収した後に乾燥しているため、ウエハ表面の薄膜の厚さ、回収・乾燥条件などによって乾燥痕の形状が変化して、定量分析値が変化する問題がある。
そこで、回収液中に既知量の元素を添加する内部標準法が提案されている(非特許文献1)。内部標準法は乾燥痕中に含まれる添加元素定量分析値と既知量である添加量とのズレ量によって、被測定試料中に含まれる元素の定量値を補正するものである。
特開2000−9615号公報
特開2001−201442号公報
特開平6−207889号公報
特開平8−327566号公報
第45回応用物理学関係連合講演会29a-F-11(1998,p807)
しかし上記の内部標準法を用いた場合、複数の波長の一次X線を有する全反射蛍光X線装置では以下に示すような問題がある。
蛍光X線の励起効率は一次X線の波長、すなわち一次X線のエネルギーによって変化して、入射X線のエネルギーが元素のエネルギー吸収端に近いほどX線励起効率が高くなり、高感度な蛍光分析が可能となる。そのため軽元素、遷移金属、重金属の幅広い元素の蛍光X線を高感度に分析するためには複数の一次X線が必要で、近年の全反射蛍光X線では3種類程度の波長の一次X線が用いられる。
このため内部標準法においても、軽元素、遷移金属、重金属の蛍光X線測定に適した複数種類の内標準元素が必要になる。しかし一般的に全反射蛍光X線分析装置に用いられているエネルギー分散型X線分析装置のエネルギー分解能は低いため、内部標準元素と被測定元素とによるピークの重なりが問題となる。高感度な全反射蛍光X線分析装置ではわずかなピークの重なりが生じた場合においても、極微量な元素の定量分析には重要な問題となる。そのためできる限り添加する内部標準元素の数は少なくすること、できれば内標準元素は1種類とすることが望ましい。
しかし従来の全反射蛍光X線分析方法および分析装置では、複数の波長の一次X線を用いた場合、1種類の内標準元素の添加では高い精度で定量分析することはできなかった。
したがって、この発明の目的は、上記課題に鑑みて、複数の一次X線を用いた気相分解−全反射蛍光X線分析法において1種類の内標準元素の添加で、より高感度、高精度の定量測定を可能とする全反射蛍光X線分析方法および全反射蛍光X線分析装置を提供することである。
上記目的を達成するために本発明の全反射蛍光X線分析方法は、ウエハ表面に形成された薄膜または自然酸化膜を、フッ酸気相中で分解する工程と、フッ酸気相中において分解により生じた分解物を回収するための回収液をウエハ表面に接触させながら、ウエハ表面に対して走査する工程と、回収液をウエハ表面上で乾燥させることにより乾燥痕を形成する工程と、乾燥痕を全反射蛍光X線により分析する工程とを含む、気相分解−全反射蛍光X線分析法において、第1の波長の一次X線により定量値の測定が可能な第1の内標準元素と第2の波長の一次X線により定量値の測定が可能な第2の内標準元素とを添加した校正用試料の乾燥痕に含まれる第1の内標準元素の定量値と第2の内標準元素の定量値を、第1の波長の一次X線と第2の波長の一次X線とにより測定する工程と、第1の内標準元素の定量値と第2の内標準元素の定量値の相関関係を求める工程と、第1の内標準元素を含む被測定試料の乾燥痕における第1の内標準元素の定量値を、第1の波長の一次X線で測定する工程と、被測定試料の乾燥痕に含まれる、第2の波長の一次X線により定量値の測定が可能な元素の定量値を、当該相関関係に基づいて算出する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の全反射蛍光X線分析方法によれば、内部標準法を用いた気相分解−全反射蛍光X線分析による定量分析において、複数波長の一次X線を用いた場合においても、あらかじめ校正用試料の乾燥痕に対して求められた複数の内標準元素の定量値の相関関係である感度校正直線を利用することによって、被測定試料の乾燥痕中に添加される内部標準用元素を1種類とした場合においても、高い精度で被測定試料の乾燥痕中の元素の定量分析が可能となる。
本発明の全反射蛍光X線分析方法における校正用試料の乾燥痕に含まれる第1の内標準元素の定量値と第2の内標準元素の定量値を測定する工程において、第1の波長の一次X線の入射方向と第2の波長の一次X線の入射方向とが校正用試料の乾燥痕に対して実質的に同一であることが好ましい。
このようにすると、乾燥痕の形状に依存することなく、上記の感度校正直線を求めることができ、被測定試料の乾燥痕中の元素の定量分析がより高い精度で可能となる。
本発明の全反射蛍光X線分析方法において、校正用試料の乾燥痕に含まれる第1の内標準元素の定量値と第2の内標準元素の定量値を測定する工程は、校正用試料の乾燥痕の形状を拡大観察して、拡大観察像をもとに第1の波長の一次X線及び第2の波長の一次X線の入射方向に対する校正用試料の乾燥痕の位置および回転方向を調整すること工程を含むことが好ましい。
このようにすると、容易に、第1の波長の一次X線の入射方向と第2の波長の一次X線の入射方向とを校正用試料の乾燥痕に対して実質的に同一にすることができる。
上記目的を達成するために本発明の全反射蛍光X線分析装置は、異なる波長のX線を発生させる複数のX線発生源と、複数のX線発生源のうちのそれぞれのX線発生源から特定波長の一次X線を抽出するモノクロメータと、試料を保持するとともに試料を平面的に移動させることが可能であり且つ試料に対する一次X線の入射角度を任意に設定することが可能な試料台と、試料台の上方にあって試料の表面からの蛍光X線を検出するためのX線検出器と、X線検出器で検出された信号の収集およびデータ処理を行うためのデータ処理用演算装置とを備えた全反射蛍光X線分析装置において、データ処理用演算装置は、複数のX線発生源のうちの一のX線発生源から抽出された第1の波長の一次X線により定量値の測定が可能な第1の内標準元素と複数のX線発生源のうちの他のX線発生源から抽出され第2の波長の一次X線により定量値の測定が可能な第2の内標準元素とを添加した校正用試料の乾燥痕に含まれる第1の内標準元素の定量値と第2の内標準元素の定量値の相関関係を求める手段と、第1の波長の一次X線により測定された被測定試料の乾燥痕における第1の内標準元素の定量値を求める手段と、被測定試料の乾燥痕に含まれる、第2の波長の一次X線により定量値の測定が可能な元素の定量値を、当該相関関係に基づいて算出する手段を有することを特徴とする。
本発明の全反射蛍光X線分析装置は、複数の波長のX線発生源から抽出された複数の一次X線が被測定試料の乾燥痕に対して入射する方向を一定の方向とする調節手段を有することが好ましい。更に、当該調節手段は、被測定試料の乾燥痕の拡大観察像をもとに、試料台の位置及び回転角度を調整する手段を有することが好ましい。
本発明の全反射蛍光X線分析装置によれば、本発明の全反射蛍光X線分析方法を容易に実現することができる。
本発明の全反射蛍光X線分析方法および全反射蛍光X線装置によれば、内部標準法を用いた気相分解−全反射蛍光X線分析による定量分析において、複数波長の一次X線を用いた場合においても、あらかじめ校正用試料の乾燥痕に対して求められた複数の内標準元素の定量値の相関関係である感度校正直線を利用することによって、被測定試料の乾燥痕中に添加される内部標準用元素を1種類とした場合においても、内部標準定量分析で高い精度で、被測定試料の乾燥痕中の元素の定量分析が可能となる。これによって、半導体デバイス製造工程における適切な汚染評価が可能となり、安定した半導体デバイスの生産ができる。
以下、本発明の全反射蛍光X線分析方法および全反射蛍光X線装置の実施形態について詳しく説明する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る全反射蛍光X線分析方法を図1〜図3を参照しながら説明する。図1は第1の実施形態である分析方法のフローチャート、図2はV(バナジウム)とSc(スカンジウム)との感度校正直線の例を示す図、図3は、図2の感度校正直線で校正して定量分析値を求めた結果である。
本発明の第1の実施形態に係る全反射蛍光X線分析方法を図1〜図3を参照しながら説明する。図1は第1の実施形態である分析方法のフローチャート、図2はV(バナジウム)とSc(スカンジウム)との感度校正直線の例を示す図、図3は、図2の感度校正直線で校正して定量分析値を求めた結果である。
図1のフローチャートに示されるフッ酸雰囲気中でSi酸化膜を分解するステップ11、ウエハ表面の分解物を回収するステップS12、回収液を乾燥するステップS13、全反射蛍光X線分析するステップS14で行なわれる処理は背景技術で説明したステップS1、S2、S3及びS4で行なわれる処理とそれぞれ同様の処理であるため、説明を省略する。但し、本実施形態では、ステップS12において、既知濃度の内標準元素(V)を回収液に滴下して分解物を回収している。V−kα線の蛍光X線のエネルギーは4.95keVでありW−Lβ線での測定に適している。ステップS12の後に回収液を乾燥させて得られる乾燥痕に対して、Cr−Kα線を一次X線とした全反射蛍光X線測定(ステップS14a)を実施し、続いてW−Lβ線を一次X線とした全反射蛍光X線測定(ステップS14b)を実施している。これらCr−Kα線による測定とW−Lβ線による測定で得られたデータを用い、次のように定量分析計算(ステップS15)を実施している。
まず、W-Lα線の測定については内部標準元素であるVによって定量分析が可能である。次に、W-Lα線で測定した内部標準元素(V)の強度を元に、あらかじめ用意している校正直線を用いて、Cr−Kα線の感度校正値を得る。そして、Cr−Kα線での測定した軽元素についても定量分析値を得る。
Cr−Kα線の感度校正値を得るための感度校正直線25を図2に示す。VはCr−Kα線を一次X線とした場合は測定できないので、Cr−kα線で測定できるScも添加した乾燥痕の測定で得られた感度校正直線25が図2に示されている。以下、感度校正直線25の求め方を説明する。
内標準元素としてVおよびScが所定量添加された回収液の乾燥痕に対して全反射蛍光X線測定(ステップS14a及びステップS14b)を行うことで得られる定量分析値と、回収液に添加された所定量との比で式(1)のように、VおよびScに対してそれぞれの感度校正値が求められる。
感度校正値=乾燥痕の定量分析値/添加した量 ---- (1)
VとScとでは一次X線の波長が異なり、蛍光X線のエネルギーも異なるため感度校正値は異なる。VおよびScの添加量が異なる乾燥痕に対して、それぞれ感度校正値を求め、Vの感度校正値とScの感度校正値の相関をプロットした結果が図2である。VおよびScの添加量を変えると乾燥痕の形状が変わるため感度校正値が変化するが、その変化の割合はVとScとで同様であるので、感度校正値の関係は図2に示すように直線25となる。
VとScとでは一次X線の波長が異なり、蛍光X線のエネルギーも異なるため感度校正値は異なる。VおよびScの添加量が異なる乾燥痕に対して、それぞれ感度校正値を求め、Vの感度校正値とScの感度校正値の相関をプロットした結果が図2である。VおよびScの添加量を変えると乾燥痕の形状が変わるため感度校正値が変化するが、その変化の割合はVとScとで同様であるので、感度校正値の関係は図2に示すように直線25となる。
図2を用いることによって、内標準元素としてVだけを添加した乾燥痕の測定から得られるVの感度校正値と図2の感度校正直線25から、仮想的なScの感度校正値を知ることができる。
すなわち、図2の感度校正直線25を用いることによって図1に示す定量分析計算(ステップS15)が可能となる。例えば、Vの感度校正値が0.6の場合は、図2の感度校正直線25からScの感度校正値が約0.42と求められるので、Cr-kα線で測定された乾燥痕に含まれる元素の定量分析値に1/0.42を乗算することで、Cr-kα線での校正された正確な定量分析値を得ることが可能となる。
図3はCr−Kα線で定量値が測定できる軽元素であるK及びCaと、W−Lβ線で定量値が測定できる遷移金属であるFe及びCuをSiウエハ表面に塗布した試料について、気相分解−全反射蛍光X線分析法で分析した結果である。Fe及びCuは5×1010atoms/cm2相当量の塗布がされているが、内部標準法を用いていない定量分析法では、5×1010atoms/cm2より低い定量分析結果となっている(校正前)。
一方、図1のフローに示すように、ステップS12において、回収液に内標準元素であるVを加えて、Cr−KαおよびW−Lβ線で分析(ステップS14a及びステップS14b)後に、W−Lβ線によるK及びCaの測定データについては、Vの感度校正値((1)式)で校正後の定量値を求め、Cr−Kα線によるFe及びCuの測定データについては図2の校正直線で感度校正値を得て、校正後の定量値を求めた。この分析方法で求めたK、Ca、Fe及びCuの校正後の定量分析値を図3に示す(校正後)。図3に示すとおり、本発明の定量分析によって所定量(5×1010atoms/cm2)に近い値を得ることができた。すなわち、本実施形態によれば、Cr−KαおよびW−Lβ線等の複数波長の一次X線を用いた場合においても、あらかじめ校正用試料の乾燥痕に対して求められたVやSc等の複数の内標準元素の定量値の相関関係である感度校正直線を利用することによって、被測定試料の乾燥痕中に添加される内部標準用元素を例えばVの1種類とした場合においても、高い精度で被測定試料の乾燥痕中の元素の定量分析が可能となる。
特に、Cr−KαおよびW−Lβ線による分析を行なうステップS14a及びステップS14bにおいて、Cr−Kα線の入射方向とW−Lβ線の入射方向とを校正用試料の乾燥痕に対して実質的に同一とすることによって、乾燥痕の形状に依存することなく、感度校正直線を求めることができ、被測定試料の乾燥痕中の元素の定量分析がより高い精度で可能となる。
なお、上記説明では2つの波長のX線(Cr−KαおよびW−Lβ線)について説明したが、3つ以上のX線についても同様の方法によって定量分析が可能である。
(第2の実施形態)
この発明の第2の実施形態に係る全反射蛍光X線装置について図4〜6を参照しながら説明する。
この発明の第2の実施形態に係る全反射蛍光X線装置について図4〜6を参照しながら説明する。
図4は本実施形態に係る全反射蛍光X線装置の構成を説明する図である。背景技術で説明した全反射蛍光X線装置の構成(図7)と同一の構成要素については同一の符号を付しており、その説明は省略する。また、X線発生源6及びモノクロメータ8はそれぞれ1つしか記載されていないが、実際には複数組存在している。本実施形態では、Cr−Kα線とW−Lβ線の2つの波長の1次X線を試料ステージ10上に保持されているウエハ11表面に入射することができる。
本実施形態に係る全反射蛍光X線装置において特徴となる点は、乾燥痕を拡大観察するためのCCDカメラ15が加えられている点である。また、CCDカメラ15からの出力信号はコンピュータ14aに入力され、コンピュータ14aから試料ステージ10の回転角度や水平面内での位置を制御する信号が出力される。
以下、CCDカメラ15を用いて試料ステージ10を制御する方法について詳しく説明する。
図5及び図6は、乾燥痕の拡大観察像の模式図であり、試料ステージ10の調整方法を説明する図である。乾燥痕16に対して、Cr−Kα線が矢印17の方向から入射しており、W−Lβ線が矢印18の方向から入射している。
以下、Cr−Kα線で測定した後にW−Lβ線で測定する場合について説明する。図5はCr−Kα線で測定した際の乾燥痕16の光学顕微鏡像を模式的に示す図である。Cr−Kα線の入射方向17とW−Lβ線の入射方向18とのなす角度は既知であることから、W−Lβ線で測定する際に、2つの一次X線の乾燥痕16に対する入射方向が等しくなるように、試料ステージ10を回転させて、図6のように調整する。この際、必要であれば、試料ステージ10の平面方向の直交2軸の位置調整も行なう。これにより、図5に示すCr−Kα線の入射方向17と乾燥痕16の位置関係と図6に示すW−Lβ線の入射方向18と乾燥痕16の位置関係がほぼ等しくなる。本実施形態では、2つの一次X線のなす角度が30度であるため、試料ステージ10を右方向に30度回転させることになる。乾燥痕16は試料ステージ10の中心に存在していない場合は多いことから、CCDカメラ15により乾燥痕16を観察しながら、試料ステージ10を回転させると共に、平面方向の直交2軸の位置調整を行う。
このように本実施形態に係る全反射蛍光X線装置では、乾燥痕の形状を拡大観察して乾燥痕に対する複数の一次X線の入射方向を等しくしているので、高い精度で気相分解−全反射蛍光X線分析が可能となる。
本発明に係る全反射蛍光X線分析方法及び全反射蛍光X線分析装置は、半導体ウエハ表面の微量不純物を分析する手段として有用である。
6 X線発生源
7 X線
8 モノクロメータ
9 一次X線
10 試料ステージ
11 ウエハ
12 蛍光X線
13 X線検出器
14、14a コンピュータ
15 CCDカメラ
16 乾燥痕
17 Cr−Kα線の入射方向
18 W−Lβ線の入射方向
19 密閉容器
20 ウエハ
21 フッ酸蒸気導入口
22 フッ酸蒸気
23 回収液支持棒
24 回収液
25 感度校正直線
7 X線
8 モノクロメータ
9 一次X線
10 試料ステージ
11 ウエハ
12 蛍光X線
13 X線検出器
14、14a コンピュータ
15 CCDカメラ
16 乾燥痕
17 Cr−Kα線の入射方向
18 W−Lβ線の入射方向
19 密閉容器
20 ウエハ
21 フッ酸蒸気導入口
22 フッ酸蒸気
23 回収液支持棒
24 回収液
25 感度校正直線
Claims (6)
- ウエハ表面に形成された薄膜または自然酸化膜を、フッ酸気相中で分解する工程と、前記フッ酸気相中において分解により生じた分解物を回収するための回収液をウエハ表面に接触させながら、前記ウエハ表面に対して走査する工程と、前記回収液をウエハ表面上で乾燥させることにより乾燥痕を形成する工程と、前記乾燥痕を全反射蛍光X線により分析する工程とを含む、気相分解−全反射蛍光X線分析法において、
第1の波長の一次X線により定量値の測定が可能な第1の内標準元素と第2の波長の一次X線により定量値の測定が可能な第2の内標準元素とを添加した校正用試料の乾燥痕に含まれる前記第1の内標準元素の定量値と前記第2の内標準元素の定量値を、前記第1の波長の一次X線と前記第2の波長の一次X線とにより測定する工程と、
前記第1の内標準元素の定量値と前記第2の内標準元素の定量値の相関関係を求める工程と、
前記第1の内標準元素を含む被測定試料の乾燥痕における前記第1の内標準元素の定量値を、前記第1の波長の一次X線で測定する工程と、
前記被測定試料の乾燥痕に含まれる、前記第2の波長の一次X線により定量値の測定が可能な元素の定量値を、前記相関関係に基づいて算出する工程とを含むことを特徴とする全反射蛍光X線分析方法。 - 前記校正用試料の乾燥痕に含まれる前記第1の内標準元素の定量値と前記第2の内標準元素の定量値を測定する工程において、
前記第1の波長の一次X線の入射方向と前記第2の波長の一次X線の入射方向とが前記校正用試料の乾燥痕に対して実質的に同一であることを特徴とする請求項1に記載の全反射蛍光X線分析方法。 - 前記校正用試料の乾燥痕に含まれる前記第1の内標準元素の定量値と前記第2の内標準元素の定量値を測定する工程は、
前記校正用試料の乾燥痕の形状を拡大観察して、拡大観察像をもとに前記第1の波長の一次X線及び前記第2の波長の一次X線の入射方向に対する前記校正用試料の乾燥痕の位置および回転方向を調整すること工程を含むことを特徴とした請求項1あるいは請求項2に記載の全反射蛍光X線分析方法。 - 異なる波長のX線を発生させる複数のX線発生源と、前記複数のX線発生源のうちのそれぞれのX線発生源から特定波長の一次X線を抽出するモノクロメータと、試料を保持するとともに前記試料を平面的に移動させることが可能であり且つ前記試料に対する前記一次X線の入射角度を任意に設定することが可能な試料台と、前記試料台の上方にあって前記ウエハの表面からの蛍光X線を検出するためのX線検出器と、前記X線検出器で検出された信号の収集およびデータ処理を行うためのデータ処理用演算装置とを備えた全反射蛍光X線分析装置において、
前記データ処理用演算装置は、前記複数のX線発生源のうちの一のX線発生源から抽出された第1の波長の一次X線により定量値の測定が可能な第1の内標準元素と前記複数のX線発生源のうちの他のX線発生源から抽出され第2の波長の一次X線により定量値の測定が可能な第2の内標準元素とを添加した校正用試料の乾燥痕に含まれる前記第1の内標準元素の定量値と前記第2の内標準元素の定量値の相関関係を求める手段と、前記第1の波長の一次X線により測定された被測定試料の乾燥痕における前記第1の内標準元素の定量値を求める手段と、前記被測定試料の乾燥痕に含まれる、前記第2の波長の一次X線により定量値の測定が可能な元素の定量値を、前記相関関係に基づいて算出する手段を有することを特徴とする全反射蛍光X線分析装置。 - 前記複数の波長のX線発生源から抽出された複数の一次X線が前記被測定試料の乾燥痕に対して入射する方向を一定の方向とする調節手段を有することを特徴とする請求項4に記載の全反射蛍光X線分析装置。
- 前記調節手段は、前記被測定試料の乾燥痕の拡大観察像をもとに、前記試料台の位置及び回転角度を調整する手段を有することを特徴とした全反射蛍光X線分析装置。
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JP2005114161A Pending JP2006292558A (ja) | 2005-04-12 | 2005-04-12 | 全反射蛍光x線分析方法および全反射蛍光x線分析装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2006292558A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109964119A (zh) * | 2016-06-02 | 2019-07-02 | 维卡科技简易股份公司 | 用于校准传感器的过程、用于在线监测液体的变化的自动方法和相关传感器 |
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2005
- 2005-04-12 JP JP2005114161A patent/JP2006292558A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109964119A (zh) * | 2016-06-02 | 2019-07-02 | 维卡科技简易股份公司 | 用于校准传感器的过程、用于在线监测液体的变化的自动方法和相关传感器 |
CN109964119B (zh) * | 2016-06-02 | 2022-01-18 | 维卡科技简易股份公司 | 用于校准传感器的过程及在线监测液体变化的自动方法 |
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