JP2006291752A - 増音装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 内部に気体が存在する吸気ダクト2と、吸気ダクト2内の気体に複数の周波数の吸気脈動から構成される吸気脈動を発生させるエンジン4と、第一取り付け点P1に取り付けられるとともに、選択した第一周波数を増幅する第一圧力変動増幅手段6と、第二取り付け点P2に取り付けられるとともに、選択した第二周波数を増幅する第二圧力変動増幅手段8とを備えた吸気音増音装置1において、第一圧力変動増幅手段6を、第一連通管20と、第一振動板22と、第一追加管24とから形成し、第二圧力変動増幅手段8を、第二連通管26と、第二振動板28と、第二追加管30とから形成し、第一取り付け点P1及び第二取り付け点P2の位置を、第一周波数の吸気脈動の位相と、第二周波数の吸気脈動の位相が逆位相となる位置に設定する。
【選択図】 図1
Description
ここで、この問題を解決するために、以下に示す構成の吸気音増音装置が考えられる。この吸気音増音装置は、吸気ダクトの外周面に、吸気ダクトと連通する連通管を取り付け、その連通管の開口端を、第一振動板及び第二振動板によって閉塞する。そして、この閉塞された開口端に、第一振動板を間に挟んで第一追加管を連結するとともに、第二振動板を間に挟んで第一追加管と長さが異なる第二追加管を連結するものである。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、第一連通管内で発生する圧力変動の位相を、第二連通管内で発生する圧力変動の位相と逆位相又は逆側の位相にすることにより、吸気音の増音が可能な吸気音増音装置を提供することを課題とする。
前記通気管の外周面に取り付けられるとともに前記複数の周波数の圧力変動のうち選択した第一周波数の圧力変動を増幅する第一圧力変動増幅手段と、前記通気管の外周面に取り付けられるとともに前記複数の周波数の圧力変動のうち選択した第二周波数の圧力変動を増幅する第二圧力変動増幅手段と、を備え、
前記第一圧力変動増幅手段が増幅した第一周波数の圧力変動の位相は、前記第二圧力変動増幅手段が増幅した第二周波数の圧力変動の位相と逆側の位相であることを特徴とする増音装置を提供するものである。
まず、図1及び図2を参照して、本発明の第一実施形態の構成を説明する。
図1中に示すように、本発明の第一実施形態の吸気音増音装置1は、吸気ダクト2と、エンジン4と、第一圧力変動増幅手段6と、第二圧力変動増幅手段8とを備えている。
吸気ダクト2は、内部に気体が存在する通気管によって形成されており、エアクリーナ10とスロットルチャンバ12とを備えている。吸気ダクト2の一方の開口端は、後述するサージタンク14及び各インテークマニホールド16を介して、エンジン4が有する各シリンダー18に連結されており、他方の開口端は、外気中に開放されている。エアクリーナ10は、例えば、オイルフィルター等のフィルター部を有しており、吸気ダクト2の他方の開口端から流入した気体を、フィルター部を通過させることにより清浄化する。スロットルチャンバ12は、エアクリーナ10とサージタンク14との間に取り付けられ、アクセルペダル(図示せず)と連結されており、アクセルペダルの踏み込み量に応じて、エアクリーナ10からサージタンク14への通気量を増減させる。
第一振動板22は、第一連通管20及び第一追加管24の開口端を閉塞可能な形状の板であり、第一連通管20の開口端及び第一追加管24の一方の開口端を閉塞している。また、第一振動板22は、第一周波数の吸気脈動によって、第一連通管20の面外方向に振動する。
ここで、例えば、第一追加管24の開口面積が第一連通管20の開口面積と等しい場合、第一追加管24の共鳴周波数は、第一追加管24の長さをL1とし、音速をCとすると、以下の計算式(1)によって求められる。
第一追加管24の共鳴周波数(Hz)=(2n−1)C/(4L1)…(1)
但し、nは正の整数である。
第二振動板28は、第二連通管26及び第二追加管30の開口端を閉塞可能な形状の板であり、第二連通管26の開口端及び第二追加管30の一方の開口端を閉塞している。また、第二振動板28は、第二周波数の吸気脈動によって、第二連通管26の面外方向に振動する。
ここで、例えば、第二追加管30の開口面積が第二連通管26の開口面積と等しい場合、第二追加管30の共鳴周波数は、第二追加管30の長さをL2とし、音速をCとすると、以下の計算式(2)によって求められる。
第二追加管30の共鳴周波数(Hz)=(2n−1)C/(4L2)…(2)
但し、nは正の整数である。
第一周波数の吸気脈動の位相と、第二周波数の吸気脈動の位相が同位相の場合、図2に示すように、第一共鳴周波数と第二共鳴周波数との間の周波数帯域(図中にRで示した範囲)において、第一周波数の吸気脈動の位相と、第二周波数の吸気脈動の位相が逆位相となる。これは、第一共鳴周波数より高い周波数帯域では、第一追加管24内における吸気脈動の位相が反転し、第二共鳴周波数より低い周波数帯域では、第二追加管30内における吸気脈動の位相が変化しないためである。なお、図2中では、第一周波数の周波数(Hz)と位相(deg)及び音圧レベル(db)との関係を実線で示しており、第二周波数の周波数(Hz)と位相(deg)及び音圧レベル(db)との関係を破線で示している。
したがって、第一取り付け点P1及び第二取り付け点P2の位置は、図3に示すように、第一周波数の吸気脈動の位相と、第二周波数の吸気脈動の位相が逆位相、すなわち、両者の位相差が180°となる位置に設定する。なお、図3中では、第一取り付け点P1の位置をIで示し、第二取り付け点P2の位置をIIで示している。
エンジン4を駆動させると、エンジン4の吸気動作に伴って発生する吸気脈動は、各インテークマニホールド16及びサージタンク14を介して、吸気ダクト2内に存在する気体に伝播する。
そして、第一周波数の吸気脈動が、第一取り付け点P1の位置において、第一連通管20を介して第一振動板22へ伝播される。第一周波数の吸気脈動が伝播された第一振動板22は、第一連通管20の面外方向に振動して、第一周波数の吸気脈動を第一追加管24に伝播させる。
また、第二周波数の吸気脈動が、第二取り付け点P2の位置において、第二連通管26を介して第二振動板28へ伝播される。第二周波数の吸気脈動が伝播された第二振動板28は、第二連通管26の面外方向に振動して、第二周波数の吸気脈動を第二追加管30に伝播させる。
したがって、本実施形態の吸気音増音装置であれば、第一追加管24及び第二追加管30の他方の開口端から放射される吸気音が増音され、スポーティなサウンドを演出することが可能となる。
また、本実施形態の吸気音増音装置であれば、第一連通管20が第一追加管24よりも短尺であるため、第一連通管20の共鳴周波数は、第一共鳴周波数より高い周波数帯に存在する。同様に、第二連通管26が第二追加管30よりも短尺であるため、第二連通管26の共鳴周波数は、第二共鳴周波数より高い周波数帯に存在する。そのため、吸気脈動を増幅した周波数帯域において、第一連通管20及び第二連通管26がサイドブランチとして作用することはなく、吸気ダクト2内を通って大気に開放される吸気音が低減されることもない。
また、本実施形態の吸気音増音装置では、圧力変動を発生させる圧力源をエンジン4としたが、これに限定されるものではなく、圧力変動を発生させる圧力源は、例えばポンプであってもよい。また、圧力変動は、吸気脈動に限定されるものではなく、排気脈動であってもよい。
図5中に示されているように、本実施形態の吸気音増音装置1は、以下の点で上述した第一実施形態と構成が異なっている。すなわち、第一圧力変動増幅手段6が第一連通管20のみで構成されており、第二圧力変動増幅手段8が第二連通管26のみで構成されている。
第一連通管20は、円筒形状をなす中空管であり、吸気ダクト2の外周面のうち第一取り付け点P1の位置に、吸気ダクト2と連通して取り付けられている。また、第一連通管20は、第一周波数と一致する第一共鳴周波数を有する構成となっている。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
エンジン4を駆動させると、エンジン4の吸気動作に伴って発生する吸気脈動は、各インテークマニホールド16及びサージタンク14を介して、吸気ダクト2内に存在する気体に伝播する。
そして、第一周波数の吸気脈動が、第一取り付け点P1の位置において、第一連通管20へ伝播される。このとき、第一連通管20に伝播された第一周波数の吸気脈動は、第一連通管20の有する第一共鳴周波数の吸気脈動と一致しているため、第一周波数の吸気脈動が増幅され、第一連通管20の開口端から、増音された吸気音が放射される。
したがって、本実施形態の吸気音増音装置であれば、第一連通管20及び第二連通管26の開口端から放射される吸気音が増音され、スポーティなサウンドを演出することが可能となる。
また、本実施形態の吸気音増音装置1では、第一圧力変動増幅手段6が第一連通管20のみで構成されており、第二圧力変動増幅手段8が第二連通管26のみで構成されているため、装置の構造が簡易なものとなり、製造コストが低減される。
その他の作用・効果は、上述した第一実施形態と同様である。
図6中に示されているように、本実施形態の吸気音増音装置1は、以下の点で上述した第一実施形態と構成が異なっている。すなわち、第一追加管24の他方の開口端と、第二追加管30の他方の開口端が、開口方向を同一方向に向けて近接配置されている。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
第一追加管24及び第二追加管30の他方の開口端から吸気音が放射されるまでの作用・効果は、上述した第一実施形態と同様であるため省略する。
したがって、本実施形態の吸気音増音装置1では、第一追加管24の他方の開口端と、第二追加管30の他方の開口端が、開口方向を同一方向に向けて近接配置されている。このため、第一追加管24の他方の開口端から放射される吸気音と、第二追加管30の他方の開口端から放射される吸気音を、効率よく重畳させることが可能となり、吸気音の増音効果を更に向上させることが可能となる。
なお、本実施形態の吸気音増音装置1では、第一追加管24の他方の開口端と、第二追加管30の他方の開口端を、開口方向を同一方向に向けて近接配置したが、これに限定されるものではない。すなわち、吸気音の増音効果を向上させることが可能であれば、第一追加管24の他方の開口端と、第二追加管30の他方の開口端を、開口方向を略同一方向に向けて近接配置してもよい。また、第一追加管24の他方の開口端と、第二追加管30の他方の開口端を、隣接させてもよい。
図7中に示されているように、本実施形態の吸気音増音装置1は、以下の点で上述した第一実施形態と構成が異なっている。すなわち、第一圧力変動増幅手段6を、第一連通管20と、第一振動板22と、大容積部32と、小容積部34から構成したものである。
大容積部32は、円筒形状をなしており、第一連通管20及び小容積部34よりも、中空部分の容積が大きく形成されている。小容積部34は、円筒形状をなしており、大容積部32よりも中空部分の容積が小さく形成され、一方の開口端が大容積部32と連通している。
また、大容積部32と小容積部34は、第一振動板22と、大容積部32と、小容積部34とから構成される第一共鳴周波数が、第一周波数と一致するように形成されている。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
エンジン4を駆動させると、エンジン4の吸気動作に伴って発生する吸気脈動は、各インテークマニホールド16及びサージタンク14を介して、吸気ダクト2内に存在する気体に伝播する。
そして、第一周波数の吸気脈動が、第一取り付け点P1の位置において、第一連通管20を介して第一振動板22へ伝播される。第一周波数の吸気脈動が伝播された第一振動板22は、第一連通管20の面外方向に振動して、第一周波数の吸気脈動を大容積部32及び小容積部34に伝播させる。
なお、第二追加管30の他方の開口端から放射される吸気音に関する説明は、上述した第一実施形態の作用・効果と同様であるため省略する。
したがって、本実施形態の吸気音増音装置であれば、小容積部34及び第二追加管30の他方の開口端から放射される吸気音が増音され、スポーティなサウンドを演出することが可能となる。
なお、本実施形態の吸気音増音装置1では、第一圧力変動増幅手段6のみを、第一連通管20と、第一振動板22と、大容積部32と、小容積部34から構成したが、これに限定されるものではない。すなわち、第一圧力変動増幅手段6と共に、第二圧力変動増幅手段8の構成を、第一圧力変動増幅手段6と同様の構成に変更してもよく、第二圧力変動増幅手段8のみの構成を変更してもよい。
図8中に示されているように、本実施形態の吸気音増音装置1は、以下の点で上述した第一実施形態と構成が異なっている。すなわち、吸気ダクト2の外周面において、第一圧力変動増幅手段6及び第二圧力変動増幅手段8が、エアクリーナ10よりも、吸気ダクト2の他方の開口端側に取り付けられている。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
第一追加管24及び第二追加管30の他方の開口端から吸気音が放射されるまでの作用・効果は、上述した第一実施形態と同様であるため省略する。
したがって、本実施形態の吸気音増音装置1では、上述した第一実施形態の構成、すなわち、第一圧力変動増幅手段6及び第二圧力変動増幅手段8が、エンジン4に近い位置に取り付けられている構成で生じるおそれのある問題が解決される。この問題は、第一振動板22及び第二振動板28を振動させる吸気脈動が減少する反共鳴周波数帯域が発生し、吸気音の増音効果が低減するという問題である。
しかしながら、本実施形態の吸気音増音装置1では、エンジン4から遠い位置に、第一圧力変動増幅手段6及び第二圧力変動増幅手段8が取り付けられているため、吸気脈動が減少する反共鳴周波数帯域が少なくなり、吸気音の増音効果を更に向上させることが可能となる。
その他の作用・効果は、上述した第一実施形態と同様である。
本発明例の吸気音増音装置としては、図10(a)に示すような、本発明の第一実施形態で説明したものと同様の構成を有する吸気音増音装置1を用いた。
図9中に示されているように、第一比較例の吸気音増音装置は、増音可能な周波数の幅が狭く、500Hz付近のみで追加管の開口端から放射される吸気音が増音されている。また、第二比較例の吸気音増音装置は、500Hz付近に加え、350Hz付近においても、追加管の開口端から放射される吸気音が増音されているが、吸気ダクトの開口端から放射される吸気音は減少している。また、第三比較例の吸気音増音装置は、350Hz付近と500Hz付近との間の周波数帯域において、二つの追加管の開口端からそれぞれ放射される吸気音が打ち消しあってしまう。
以上の測定結果から、本発明例の吸気音増音装置は、吸気音の増音効果が高いことが確認された。
2 吸気ダクト
4 エンジン
6 第一圧力変動増幅手段
8 第二圧力変動増幅手段
10 エアクリーナ
12 スロットルチャンバ
14 サージタンク
16 インテークマニホールド
18 シリンダー
20 第一連通管
22 第一振動板
24 第一追加管
26 第二連通管
28 第二振動板
30 第二追加管
32 大容積部
34 小容積部
P1 第一取り付け点
P2 第二取り付け点
R 第一共鳴周波数と第二共鳴周波数との間の周波数帯域
Claims (8)
- 内部に気体が存在する通気管と、当該通気管の一方の開口端に連結されるとともに前記気体に圧力変動を発生させる圧力源と、を備え、前記圧力変動は複数の周波数の圧力変動から構成される増音装置において、
前記通気管の外周面に取り付けられるとともに前記複数の周波数の圧力変動のうち選択した第一周波数の圧力変動を増幅する第一圧力変動増幅手段と、前記通気管の外周面に取り付けられるとともに前記複数の周波数の圧力変動のうち選択した第二周波数の圧力変動を増幅する第二圧力変動増幅手段と、を備え、
前記第一圧力変動増幅手段が増幅した第一周波数の圧力変動の位相は、前記第二圧力変動増幅手段が増幅した第二周波数の圧力変動の位相と逆側の位相であることを特徴とする増音装置。 - 前記第一圧力変動増幅手段が増幅した第一周波数の圧力変動の位相は、前記第二圧力変動増幅手段が増幅した第二周波数の圧力変動の位相と逆位相であることを特徴とする請求項1に記載した増音装置。
- 前記第一圧力変動増幅手段及び第二圧力変動増幅手段のうち増幅する周波数が低い方を、前記圧力源に近い位置に取り付けたことを特徴とする請求項1又は2に記載した増音装置。
- 前記第一圧力変動増幅手段は、前記通気管と連通するとともに前記第一周波数と一致又は略一致する第一共鳴周波数を有する第一連通管であり、前記第二圧力変動増幅手段は、前記通気管と連通するとともに前記第二周波数と一致又は略一致する第二共鳴周波数を有する第二連通管であることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載した増音装置。
- 前記第一圧力変動増幅手段は、前記通気管と連通する第一連通管と、当該第一連通管の開口端を閉塞するとともに前記第一周波数の圧力変動により第一連通管の面外方向に振動する第一振動板と、当該第一振動板により一方の開口端を閉塞された状態で第一振動板を挟んで前記第一連通管と連結される第一追加管と、を備え、
前記第二圧力変動増幅手段は、前記通気管と連通する第二連通管と、当該第二連通管の開口端を閉塞するとともに前記第二周波数の圧力変動により第二連通管の面外方向に振動する第二振動板と、当該第二振動板により一方の開口端を閉塞された状態で第二振動板を挟んで前記第二連通管と連結される第二追加管と、を備え、
前記第一振動板及び第一追加管から構成される第一共鳴周波数は前記第一周波数と一致又は略一致し、前記第二振動板及び第二追加管から構成される第二共鳴周波数は前記第二周波数と一致又は略一致することを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載した増音装置。 - 前記第一追加管の他方の開口端及び第二追加管の他方の開口端は、開口方向を同一方向又は略同一方向に向けて近接配置されることを特徴とする請求項5に記載した増音装置。
- 前記第一追加管及び第二追加管のうち少なくとも一方は、開口面積及び長さのうち少なくとも一方が異なる複数の管で構成されることを特徴とする請求項5又は6に記載した増音装置。
- 前記圧力源はエンジンであり、前記通気管は前記エンジンへの吸気通路をなす吸気ダクトであり、前記圧力変動は前記吸気ダクト内で生じる吸気脈動であることを特徴とする請求項1から7のうちいずれか1項に記載した増音装置。
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