JP2006291372A - 繊維構造物の撥水加工方法および当該方法により撥水加工された繊維構造物 - Google Patents

繊維構造物の撥水加工方法および当該方法により撥水加工された繊維構造物 Download PDF

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Abstract

【課題】 加工安定性の高い、耐久性に優れた撥水性を有する繊維構造物を製造するに適した撥水加工方法を提供する。
【解決手段】 繊維構造物を、撥水剤を含有する処理液が入れられた処理浴中に浸漬させ、当該撥水剤を吸尽させて撥水加工を行うに際し、撥水加工における前記処理液の初期pH値を5以下とし、その後、撥水加工の進行と共にアルカリ剤を徐々に添加することによって処理液の初期pH値を徐々に大きくし、当該処理液の最終pH値が9以下の範囲である時点で繊維構造物を取り出すことを特徴とする。この際、処理液の初期pH値はpH3〜5の酸性範囲であり、最終pH値は6〜9の範囲である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、繊維構造物の撥水性を付与する撥水加工(浴中処理方法、浴中浸漬処理法)に関する。詳しくは、これらの繊維構造物が撥水性に優れ、撥水処理における加工ムラが起こりにくく、耐久性に優れ、より再現性が高く、かつ堅牢度の良好な繊維構造物を得る処理方法に関する。
従来、繊維に撥水性を付与する方法には、化学構造中にポリフルオロアルキル基を含むフッ素系撥水撥油剤、化学構造中にシロキサン結合を有するシリコーン系撥水剤もしくは、炭化水素系撥水剤をパッドキュアする方法やスプレー加工する方法が採用されている。しかし、これらの加工手段で多くはパッドキュア法にて行われるが、パッドキュア法では浸漬・絞液が極めて短時間に行われるために、撥水剤が繊維構造物表面の限られた部分に被覆されるため、撥水性やその耐久性という点では必ずしも十分であるとは言い難い。またパッドキュア法でのマングルによる絞りムラに起因する付着ムラや、エンディングの発生といった問題、スプレー法でのスプレームラに起因する付着ムラがあり、撥水処理剤を繊維表面に均一に付着させることが難しく、全体として耐久性の優れた繊維を得ることが困難である。更に、織編物や不織布などのシート状形態の繊維構造物の加工法としてはパッドキュア法やスプレー法が採用できるが、非シート状形態の繊維構造物である縫製品や筒状のストッキング、タイツ、ソックス、手袋などのピース状形態の繊維製品への適用は不可能であり、全体として耐久性の優れた撥水繊維構造物を得ることは不可能であった。
また、これらパッドキュア法やスプレー法では撥水処理剤の乳化剤などによる染料の泣き出しによって堅牢度を低下させたり、撥水処理剤の過剰付着によって風合の粗硬化を引き起こしたりすることがあり、堅牢度の低下が少なく、風合変化の少ない繊維構造物を得ることは難しいことであった。
その改善策として、これらの方法に代わり、浸漬処理(浴中吸尽処理)による方法(下記特許文献1〜3)も提案されている。
特開昭58−149385号公報 特開昭60−2780号公報 特開昭60−88178号公報
しかし、従来行われていた浸漬処理(浴中吸尽処理)法とよばれる浴中処理法の場合は、撥水剤の安定的付与が難しくムラを発生しやすいという欠点をもっている。これは、撥水剤の繊維への急激な吸着が起こり、加工ムラが発生しやすく、またエマルションが破壊された場合には繊維構造物や染色機などの処理装置の缶体を汚染する問題もある。一方、エマルションを安定化させる方法も行われたが、その場合、吸尽性が劣り、撥水性が低くなるという問題が残っている。
さらに、これらの手段により撥水性は向上するが、撥水性の向上にともない、撥水性のドライクリーニングや洗濯による低下や、染色堅ろう度低下などが起こりやすいといった問題があった。
このように繊維構造物表面に撥水剤を付与する方法は合成繊維や天然繊維などの機能性向上に不可欠のものであり、より高い撥水性が継続して求められてきている。
ここで上記のフッ素系撥水撥油剤、シリコーン系撥水剤、炭化水素系撥水剤を用いて、パッドキュア法にて処理する場合に、撥水効果が不足する要因の一つは、このような処理方法では、その撥水剤の主成分が繊維構造物の表面のみに存在しているために繊維構造物と加工剤界面が剥離しやすいことや、同じ加工剤が繊維構造物の表面を部分的にしか被覆できていないこと、さらに不均一な付着であることによると考えられる。
また、従来の浸漬処理(浴中吸尽処理)法とよばれる方法は、限られたpH条件下での浴中処理となるため、撥水剤の吸着速度をコントロールすることが困難となり、安定的付与が難しく、ムラを発生しやすいという欠点をもっている。これは、撥水剤の繊維への急激な吸着が起こりやすく、また、加工ムラが起こり易い条件下での加工処方になっているからであり、逆に、エマルションが安定なpH条件下での加工処方では十分な撥水性が得られない。更に、エマルションが破壊された場合には繊維構造物や処理装置などの缶体を汚染する問題もある。
本発明は、高い撥水性を繊維構造物に安定的に付与するのに適した方法(撥水加工方法)を提供することを目的とする。又は、本発明の目的は、高い撥水性が安定的に付与された繊維構造物を提供することでもある。
本発明は、繊維構造物に撥水剤を含有する処理液を用いて撥水加工を行うに際し、浴中浸漬処理方法(浴中吸尽処理法)で撥水剤を吸尽処理させる過程で、pHの低い状態、即ちエマルションの安定な状態からpHの高い状態、即ちエマルションの不安定な状態に時間とともに徐々に変化させることによって、撥水性に優れた繊維構造物を提供するだけでなく、ピース状形態の繊維製品のように一般的なパッドキュア法では良好な撥水性が得られにくい繊維構造物に対しても加工ムラのない撥水性及び堅ろう度に優れた撥水性を有する繊維構造物を再現性良く提供するものである。
また、吸尽処理は処理浴の環境条件を変化させることで、含有された化合物の溶解性やエマルションの安定性を大きく変化させることが容易であり、この性質を利用して撥水性を示す成分をより効率的に繊維構造物に付与することもできる。すなわち、処理工程の初期にはできる限り多量の撥水剤を処理浴中に含有できる条件を用い、処理工程の後期にはできる限り撥水剤が処理浴中に存在しにくい条件に変化させる。このような方法の例としては、処理工程の後期に初期よりもpHを上昇させて、撥水剤を含有する成分の処理浴への溶解性やエマルションの安定性を低下させて繊維構造物内部への移行を促進する方法を挙げることができる。さらに、上記pH変動を緩やかに行えば、処理液中に残留した撥水剤を安定的に繊維構造物表面上に付与でき、繊維構造物を撥水剤で効率的かつ完全に被覆することもできる。
撥水剤を含有する処理液を用いて繊維構造物の撥水加工を行うに際し、浴中浸漬処理法(浴中吸尽処理法)で撥水剤を吸尽処理させ、その過程で処理浴のpHを時間とともに徐々に変化させることを特徴とする本発明の繊維構造物の撥水加工方法によれば、撥水性を大きく向上することができ、撥水処理における加工ムラが起こりにくく、より再現性の高い、かつ堅牢度の良好な繊維構造物を得ることができる。
さらに、上記の加工方法によれば繊維構造物に対して乳化体で処理する撥水性以外の仕上げ加工についても、加工ムラが起こりにくく、より再現性の高い、かつ堅牢度の良好な繊維構造物を得ることができる。例としてはシリコーン系化合物、ポリエチレン系化合物、ワックス系化合物、酢酸ビニル系化合物などによる風合調整加工やシリコーン系化合物、ポリエチレン系化合物などによる縫製性向上加工、シリコーン系化合物、ポリエチレン系化合物、アクリル系化合物などによる摩擦堅牢度向上加工などが挙げられる。
繊維構造物を、撥水剤を含有する処理液が入れられた処理浴中に浸漬させ、当該撥水剤を吸尽処理して撥水加工を行うことにより、当該繊維構造物の撥水性を高める際、撥水加工における処理液の初期pHを5以下とし、その後、撥水加工の進行とともにアルカリ剤を徐々に添加することによって処理液の初期pHを徐々に高くし、処理液の最終pHが9以下の範囲である時点で撥水加工を終了することを特徴とする。
本発明においては、処理浴中での撥水剤含有成分の構造物への浸透性向上並びに加工性改善のために浸透剤として界面活性剤および/または溶剤を併用することも可能である。
本発明における繊維構造物の繊維素材としては、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリプロピレン、アラミド、ポリ乳酸繊維などの合成繊維、アセテート(トリアセテート)などの半合成繊維、レーヨン(ビスコースレーヨン)、キュプラ(銅アンモニアレーヨン)などの再生繊維、木綿、麻、羊毛、絹などの天然繊維が挙げられる。また、繊維構造物の形状としては、ワタ状、フィラメント、スライバー、糸状、織物、編物などの布帛、不織布、敷物、縫製品などいずれであっても良い。とりわけ、非シート状の形態を有する繊維製品である縫製品やストッキング、タイツ、靴下、手袋などの筒状またはピース状形状を有するものや、立毛を有する繊維製品などのようにパッドキュア法では毛倒れが発生するもの、さらに処理剤の均一付与が著しく困難なものに本発明を適用した場合にも特に顕著な効果を発揮できるものである。
なかでも、撥水性が求められる繊維であるポリエステル繊維、ポリアミド繊維やセルロース繊維が最も実用面で重要であるため、これらの繊維を含有する繊維構造物を用いることがより有効である。ポリエステル繊維、ポリアミド繊維またはセルロース繊維を含有する繊維構造物としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維またはセルロース繊維のみからなるもの以外に、他の天然繊維、半合成繊維、再生繊維、合成繊維のうち少なくとも一つと混紡または交撚、交織、交編などしたものなどが含まれる。
本発明においては、ポリエステル系繊維構造物、ポリアミド系繊維構造物、またはセルロース系繊維構造物が特にその対象の中心となる。ここで、ポリエステル系繊維構造物とは、染色の有無を問わず、染色されたものとしては、ポリエステル用の染料を用いて染色されたものをいい、染色方法としては浸染、サーモゾール、捺染のいずれの方法でも良い。また、これらの繊維構造物には起毛加工など表面変化加工が行われたものであってもよい。また、ポリアミド系繊維構造物とは、染色の有無を問わず、染色されたものとしてはポリアミド系繊維用の染料を用いて染色されたものをいい、染色方法としては先染、浸染、捺染のいずれの方法でも良い。また、セルロース系繊維構造物とは染色の有無を問わず、染色されたものとしてはセルロース系繊維用の染料を用いて染色されたものをいい、染色方法としては先染、浸染、捺染のいずれの方法でも良い。また、これらの繊維には起毛加工などの表面変化加工が行われたものであってもよい。
本発明において、染色された繊維構造物の場合には、染色後に十分に洗浄がなされていなければならない。洗浄が不充分の場合、堅ろう度の低下、さらに撥水加工処理中に洗浄後にも残存した未固着染料が泣き出して撥水加工剤のエマルションを破壊し、加工ムラを引き起す可能性がある。
本発明において、使用する撥水剤はフッ素系化合物、シリコーン系化合物、炭化水素系化合物を用いるが、必要に応じてそれらの配合物であってもよい。また、これらの化合物は通常自己乳化体または乳化剤の配合による水系エマルションとして使用される。
本発明においてフッ素系化合物とは、化学構造中にポリフルオロアルキル基を含むフッ素系化合物をいう。ポリフルオロアルキル基(Rf基と記す)とはアルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基をいう。Rf基の炭素数は2〜20が好ましく、特に6〜16が好ましい。Rf基は、直鎖構造であっても分岐構造であってもよく、直鎖構造が特に好ましい。分岐構造である場合には、分岐部分がRf基の末端部分に存在し、かつ、炭素数1〜4程度の短鎖であるのが好ましい。なかでもRf基は、アルキル基の水素原子がすべてフッ素原子に置換された基(すなわちパーフルオロアルキル基)が好ましい。フッ素系化合物としては、上記パーフルオロアルキル基を含有する重合体と重合可能な他の重合性単量体を公知ないしは周知の重合方法によって重合した共重合体を用いることができる。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、塩化ビニルなどのビニル化合物、との共重合体の形で使用されても良く、アクリル系化合物、酢酸ビニル化合物、メラミン系化合物などをブレンドしたものでもかまわない。これらの共重合ポリマーとしてはフッ素系撥水撥油剤として市販されており、旭硝子社製の「アサヒガード」などが知られている。これらのフッ素系化合物は、通常水溶性のエマルションの形態で使用される。
本発明においてシリコーン系化合物とは、化学構造中にシロキサン結合を有する化合物をいう。例としては、ポリジメチルシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、第4級アンモニウム塩変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンなどの各種変性シリコーン、上記シリコーンと親水基を結合させたシリコーン系界面活性剤、シリコーンゴム、シリコーン系熱可塑性エラストマーなどを挙げることができる。
本発明においては、繊維構造物への浸透の容易さから、なかでもポリジメチルシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、アミノ変性シリコーンのうちの少なくとも一つを用いることが好ましい。これらのシリコーン系化合物は、通常水溶性のエマルションの形態で使用される。
本発明において炭化水素系化合物とは、化学構造中に長鎖アルキル基を有する化合物をいう。例としては高分子ワックスエマルションの金属塩、オクタデシルエチレン尿素、脂肪酸エステル、ポリアミド化合物などが挙げられる。これらの炭化水素系化合物は、通常水溶性のエマルションの形態で使用される。
本発明において、使用する撥水剤は1種類のみであっても異なる内容のものを2種類以上使用してもよい。2種類以上使用する場合は、それぞれの撥水剤を混合して同時に添加しても2回以上に分けて、場合によっては別浴で添加してもよい。
本発明において、使用される浸透剤は特定の界面活性剤であり、カチオン系、ノニオン系、両性系活性剤およびその配合物で良いが、なかでも好ましいものは、ノニオン系の活性剤である。
本発明において、ノニオン系の浸透剤としては、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンモノアルケニルエーテルからなるノニオン性界面活性剤が好ましく、アルキル基、アルケニル基は、それぞれ炭素数が4〜26であるのが好ましい。また、アルキル基、アルケニル基はそれぞれ、直鎖構造であっても分岐構造であってもよく、そのアルコールは一級、二級、三級のいずれであっても良い。アルキル基、アルケニル基の具体例としては、オクチル基、デシル基、ドデシル基、2−エチルへキシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、オレイル基などが挙げられる。カチオン系の浸透剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩などが挙げられる。両性系の浸透剤としては、アルキルアミンオキサイドやアルキルベタインなどが挙げられる。
本発明において、浸透剤として使用する溶剤は、水系媒体中の水に溶解可能な有機溶剤としては、水100gに対する溶解度が10g以上であれば特に限定されないが、例えば、アセトンなどの低級ケトン、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどの一価アルコールとそれらのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの飽和多価アルコールから選ばれる1種以上が好ましい。
本発明において、撥水剤または併用剤は現物をそのまま、または適当な濃度に希釈して処理浴中に添加する。繊維構造物に付与される撥水剤の有効成分量は繊維に対して0.05〜10質量%が好ましく、さらに好ましくは0.2〜5質量%である。撥水加工剤量が多すぎると、処理残として無駄になるだけでなく、得られる撥水性は低下、さらには摩擦堅ろう度が低下、風合いが変化するなどの問題が生じるようになる。また、0.05質量%以下では十分な撥水性が得られない。
本発明において使用される浸透剤の使用量は、処理布に対し0.01〜5質量%、さらに好ましくは0.05〜1質量%である。浸透剤濃度が高いと、処理浴の繊維への浸透性は良くなるが起泡性が高くなり、さらには撥水剤のエマルションを安定化、撥水剤の繊維への吸着量の低下から十分な撥水性が得られなくなる。また、浸透剤濃度が低いと十分な浸透性が得られず、加工ムラが起こりやすくなる。
本発明において、処理浴中、および撥水剤溶液中には撥水性をより高めるため、または加工性向上および加工安定化のため、別の添加剤を併用してもよい(架橋剤、堅ろう度向上剤、消泡剤、キレート剤、均染剤、安定剤、無機塩等)。
本発明において、撥水剤による処理温度は5℃〜100℃で処理され、好ましくは、30℃〜60℃である。処理温度が低すぎる場合は撥水加工剤の繊維への吸着量が少なく、十分な撥水性が得られないばかりか、夏季と冬季における水温差が撥水性の差となってしまうことが考えられる。また、染色物の場合、処理温度が高すぎる場合は、繊維から染料が泣き出して堅ろう度を低下させ、さらに撥水剤のエマルションが壊れやすくなるため、繊維に不均一に付着して均一な撥水性を有する繊維構造物が得られなくなる。
本発明において、pHスライド用アルカリ剤の処理浴への添加開始は加工処理の開始直後から所定温度到達後までのいずれの段階でもかまわないが、最も好ましいのは、所定温度到達後からの添加であり、10〜60分の時間をかけて連続的分割添加するのが良い。
本発明において、繊維構造物を上記処理剤で処理する形態は、繊維構造物を液流染色機などの装置に入れ、その装置内で所定の温度、時間処理する。その処理浴に撥水剤と浸透剤としての界面活性剤、溶剤を併用させて導入するなどすればよい。
本発明においては、撥水剤の付与をより効率的に行うために、繊維構造物を処理する装置は液を循環させる装置、繊維構造物を循環させる装置、またはその両者を備えていることが好ましい。一例としては液流染色機やチーズ染色機などが挙げられる。ここでpHスライド用のアルカリ剤の導入には、ドージング装置とも呼ばれる薬液自動注入装置またはそれに類する装置にて繊維構造物処理装置に媒体を注入するか、又は定量ポンプにて注入するなどすればよい。また、繊維構造物を循環させるには、繊維構造物を充填する容器中で液体を流動させて繊維構造物を回転させるなどすればよい。また、非シート状の形態を有する繊維製品である縫製品などの場合はパドル染色機などにドージング装置とも呼ばれる薬液自動注入装置またはそれに類する装置を付属させた処理装置が望ましい。
本発明において、繊維構造物を上記処理剤で処理するときに初期pHを3〜5に調整するために酸を用いるが、その酸としては、蟻酸、酢酸、マレイン酸などの有機酸を用いるのが好ましい。初期pHが5を越えた条件で撥水処理を行うと撥水剤の吸尽にムラが発生し易くなり、品位が劣るので好ましくない。
本発明において、繊維構造物を上記処理剤で処理するときにpHを上昇させるアルカリ剤としては、炭酸ソーダ、リン酸ソーダ、苛性ソーダ、アンモニアなどの無機アルカリ剤やアルキルアミン、アルカノールアミンなどの有機アミンを用いることができるが、アルキルアミン、アルカノールアミンなどの有機アミンを用いるのが好ましく、さらに好ましくはジエタノールアミン、トリエタノールアミンが挙げられる。この理由はpHの上昇が急激でなく直線的であり、これが加工の安定化に寄与するからである。急激にpHが上昇するアルカリ剤を使用したり、アルカリ剤を一度に添加したりしてpH上昇が急激におこると、繊維構造物への撥水剤の吸尽にムラが発生し、品位が劣った最終製品が得られる。なお、処理液の最終pHが6以下であった場合は、撥水剤の繊維への吸着量が不十分で十分な撥水性が得られなくなる。また、最終pHが9を越えた場合には、撥水性は得られるが、繊維構造物の強力低下や染色堅牢度への悪影響を与える可能性がある。
また、上記処理剤で処理するときにpHを上昇させるpH変化速度としては0.5/分以下が好ましく、さらに好ましくは0.3/分以下の条件である。pH変化速度が0.5/分を超えると吸着ムラが起こりやすくなり、撥水ムラが発生する。また、pH変化速度が0.05/分以下の場合は撥水性には問題ないが、加工処理時間が長くなり加工コストに問題を残す。
本発明においては、撥水剤処理後、撥水剤が繊維表面に均一な皮膜を形成させるために乾燥・熱処理を行なう。乾燥条件は80〜130℃で、また熱処理条件は120〜200℃で30秒間〜3分間で行うのが好ましい。
次に、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
なお、実施例および比較例における測定は以下の方法で行った。
<撥水性の評価方法>
JIS L‐1092のスプレー法により評価した。評価基準として下記の表1に記載の評価等級数字を用いた。なお撥水性に+印を付したものは性能がそれよりもわずかに良好であることを示し、−印を付したものは性能がそれよりわずかに劣ることを示す。
Figure 2006291372
<撥油性の評価方法>
AATCC Test Method‐118法に準じ、撥油性は下記表2に示された試験溶液を試料布の上に、5ヵ所滴下(直径約5mm)し、30秒後の浸透状態により判定する。評価基準として下記の表2に記載の撥油性評価等級数字を用いた。
Figure 2006291372
<摩耗後の撥水性の評価方法>
JIS L1018に規定するユニフォーム型試験機を用い、以下に示す操作方法によって100回摩擦した後、JIS L‐1092のスプレー法により撥水性を評価する。
1)直径10cmの大きさの試験片を試料ホルダーに取り付ける。
2)摩擦子側の摩擦子用ホルダーに、装着可能な大きさに裁断した試験片と共に同じ大きさのろ紙2枚を内側にして取り付ける。
3)試験側ホルダーの試験片の摩擦される面上に水0.1mLを噴霧した後、摩擦子側のホルダーを降ろし、4.5Nの押圧加重で多方向に100回摩擦させる。
4)摩擦子側の試験片をはずし、標準状態に調整した後、撥水性の評価を行う。ただし、評価は摩擦部についてのみ行うこととする。
<洗濯耐久性の評価方法>
JIS L‐0217の103法による洗濯を所定回数行って、自然乾燥(風乾)する。その後性能を評価する。
<加工ムラ>
加工反を目視により判断した。
<反間色相差>
加工反の各反を測色計にて測色(L*、a*、b*)して、そのバラツキの絶対値を下式により△E*として評価した。△E*値が大きいほど反間色相差が大きいことを示す。
△E*=[(△L*)+(△a*)+(△b*)]1/2
<摩擦堅牢度>
JIS L−0849 II形法(学振形法)にて評価を行った。
<加工風合い>
加工反をハンドリングにより判断した。
[実施例1]
ポリエステルウーリー加工糸111デシテックス/24フィラメント双糸を経緯に用いた、経密度68本/吋、緯密度68本/吋のトロピカル織物を使用し、常法により前処理(リラックス、精練、乾燥、プレセット)を実施して目付け130g/mの織物を得た。この織物を常法により染色・還元洗浄を行ない、染色したポリエステルトロピカル織物を得た。
この染色した織物4反(200m)を自動薬液添加装置を取り付けた高圧液流染色機(日阪製作所製)に投入した後(浴比1:20)、40℃まで昇温(2℃/分)し、まず、酢酸(90%品)を0.25g/Lの濃度になるように添加し5分循環させた後、下記組成にて調整した撥水撥油処理剤を8%(o.m.f.)添加し、5分間循環させた。撥水撥油処理剤添加後の浴pHは4.19であった。
(撥水撥油処理剤組成)
アサヒガード AG−7000 60部
(旭硝子社製フッ素系撥水撥油剤)
浸透剤
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキル基の炭素数=10〜13)) 3部
溶剤(ジプロピレングリコール) 2部
水 35部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
100部
続いて、40℃をキープしながら、ジエタノールアミンを0.5g/Lの濃度になるように自動薬液添加装置(ドージングマシン)にて20分間かけて分割添加する。添加終了時の浴pHは7.13であった。その後、常法により水洗、脱水した後、織物を取り出し、乾燥(110℃×2分)し、熱処理(170℃×1分)を行った。
処理後の繊維構造物について撥水撥油性などの性能評価を行った結果は表1の通りであり、非常に高い撥水撥油性が得られた。またその反間の△E*は0.13以内であり均一性に優れムラのないものであった。また、摩擦堅牢度(乾/湿)も4/4+級で良好であり、さらに、摩耗後の撥水撥油性は4+/5級であり、洗濯20回後の撥水撥油性は5−/4級で耐久性が認められた。
[比較例1]
実施例1と同じ染色した織物4反を用いて、酢酸を添加せず、pHスライド処理をしないで、上記処方による撥水撥油処理剤を8%(o.m.f.)加え40℃で25分間処理し実施例1と同じく水洗、脱水、乾燥(110℃×2分)し、熱処理(170℃×1分)を行った。撥水撥油処理剤添加後の浴pHは6.94であり、加工終了時のpHは7.14であった。
処理後の繊維構造物について撥水撥油性などの性能評価を行った結果は表1の通りであり、標準的な性能であった。またその反間の△E*は0.23であり均一性は良好であったが、加工ムラが多く認められた。また、摩擦堅牢度(乾/湿)も4/4+級で良好であり、さらに摩耗後の撥水撥油性も3/5級であり、洗濯20回後の撥水撥油性は4/4級で、ある程度の耐久性が認められた。
[比較例2]
実施例1と同じ染色した織物4反を用いて酢酸(90%品)を0.25g/Lの濃度になるように添加し5分循環させた後、pHスライド処理をしないで、上記処方による撥水撥油処理剤を8%(o.m.f.)加え40℃で25分間処理し実施例1と同じく水洗、脱水、乾燥(110℃×2分)し、熱処理(170℃×1分)を行った。撥水撥油処理剤添加後の浴pHは4.19であり、終了時のpHは4.01であった。
処理後の繊維構造物について撥水撥油性などの性能評価を行った結果は表1の通りであり、性能はやや劣る結果であった。またその反間の△E*は0.18であり均一性は良好であり、加工ムラも無かった。また、摩擦堅牢度(乾/湿)も4/4級と良好であったが、初期の撥水撥油性は4−/3級と不十分で、さらに、摩耗後の撥水撥油性も3−/2級であり、洗濯20回後の撥水撥油性は3/2級であり耐久性は良くなかった。
[比較例3]
実施例1と同じ染色した織物5反を用いて、パッドキュア法にて上記処方による撥水撥油処理剤の8質量%処理液に浸漬し、マングルにてピックアップ量70質量%になるように絞り、110℃で2分間乾燥した後170℃で1分間熱処理した。パディング処理浴のpHは6.88であった。
処理後の繊維構造物について撥水撥油性などの性能評価を行った結果は表1の通りであり、標準的な効果であった。またその加工反始と加工反末の色相差は△E*値で0.84であり均一性に劣り、加工ムラも少々認められた。また、摩擦堅牢度(乾/湿)も3/2級と劣っており、さらに、摩耗後の撥水撥油性も2/2級であり、洗濯20回後の撥水撥油性は3/2級で、耐久性が低いと判断された。
以上の結果をまとめると表3になる。
Figure 2006291372
[実施例2]
経糸にナイロンフィラメント糸78デシテックス/12フィラメント、緯糸にナイロンフィラメント糸78デシテックス/24フィラメントを用いた、経密度108本/吋、緯密度82本/吋のナイロンタフタ織物を使用し、常法により前処理(精練、乾燥、プレセット)を実施して目付け70g/mの織物を得た。この織物を常法により染色、洗浄、フィックス処理を行い、染色したナイロンタフタ織物を得た。
この染色した織物4反(200m)を自動薬液添加装置を取り付けた高圧液流染色機(日阪製作所製)に投入した後(浴比1:20)、40℃まで昇温(2℃/分)し、まず、酢酸(90%品)を0.25g/Lの濃度になるように添加し5分循環させた後、下記組成にて調整した撥水撥油処理剤を5%(o.m.f.)添加し、5分間循環させた。撥水撥油処理剤添加後の浴pHは4.10であった。
(撥水撥油処理剤組成)
アサヒガード AG−7000 60部
(旭硝子社製フッ素系撥水撥油剤)
浸透剤
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキル基の炭素数=10〜13)) 3部
溶剤(ジプロピレングリコール) 2部
水 35部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
100部
続いて、40℃をキープしながら、ジエタノールアミンを0.5g/Lの濃度になるように自動薬液添加装置(ドージングマシン)にて20分間かけて分割添加する。添加終了時の浴pHは7.00であった。その後、常法により水洗、脱水した後、織物を取り出し乾燥(110℃×2分)し、熱処理(170℃×1分)を行った。
処理後の繊維構造物について撥水撥油性などの性能評価を行った結果は表4の通りであり、非常に高い撥水撥油性が得られた。また、摩耗後の撥水撥油性能は4/4級で良好であり、洗濯20回後の撥水撥油性能は3/3級であり耐久性が認められた。また、加工反の風合いをハンドリングで調査した結果、柔軟な風合いと判断された。
[比較例4]
実施例2と同じ染色した織物4反を用いて、酢酸を添加せず、pHスライド処理をしないで、上記処方による撥水撥油処理剤を5%(o.m.f.)加え40℃で25分間処理し実施例2と同じく水洗、脱水、乾燥(110℃×2分)し、熱処理(170℃×1分)を行った。撥水撥油処理剤添加後の浴pHは6.52であり、加工終了時のpHは6.98であった。
処理後の繊維構造物について撥水撥油性などの性能評価を行った結果は表4の通りであり、標準的な撥水撥油性であった。さらに摩耗後の撥水撥油性は4−/3級であり、洗濯20回後の撥水撥油性は3/2級で、ある程度の耐久性は認められた。また、加工反の風合いをハンドリングで調査した結果、柔軟な風合いと判断された。
[比較例5]
実施例2と同じ染色した織物4反を用いて酢酸(90%品)を0.25g/Lの濃度になるように添加し5分循環させた後、pHスライド処理をしないで、上記処方による撥水撥油処理剤を5%(o.m.f.)加え40℃で25分間処理し実施例2と同じく水洗、脱水、乾燥(110℃×2分)し、熱処理(170℃×1分)を行った。撥水撥油処理剤添加後の浴pHは4.10であり、加工終了時のpHは4.32であった。
処理後の繊維構造物について撥水撥油性などの性能評価を行った結果は表4の通りであり、撥水撥油性は劣る結果であった。初期の撥水撥油性は2+/1+級、さらに摩耗後の撥水撥油性も2/0級であり、洗濯20回後の撥水撥油性は1/0級で耐久性は良くなかった。また、加工反の風合いをハンドリングで調査した結果、柔軟な風合いと判断された。
[比較例6]
実施例2と同じ染色した織物5反を用いて、パッドキュア法にて上記処方による撥水撥油処理剤の10質量%処理液に浸漬し、マングルにてピックアップ量30質量%になるように絞り、110℃で2分間乾燥した後170℃で1分間熱処理した。パディング処理浴のpHは6.52であった。
処理後の繊維構造物について撥水撥油性の測定を行った結果は表4の通りであり、標準的な撥水撥油性であった。さらに、摩耗後の撥水撥油性も3/2級であり、洗濯20回後の撥水撥油性は1/0級で、耐久性が低いと判断された。また、加工反の風合いをハンドリングで調査した結果はやや粗硬であった。
以上の結果をまとめると表4になる。
Figure 2006291372
<実施例3>
経糸に綿糸1/40コーマ糸、緯糸に綿糸1/40コーマ糸を用いた、経密度130本/吋、緯密度70本/吋のブロード織物を使用し、常法により前処理(精練、漂白、シルケット)を実施して目付け120g/mの織物を得た。
この綿ブロード織物4反(200m)を自動薬液添加装置を取り付けた高圧液流染色機(日阪製作所製)に投入した後(浴比1:20)、40℃まで昇温(2℃/分)し、まず、酢酸(90%品)を0.25g/Lの濃度になるように添加し5分循環させた後、下記組成にて調整した撥水撥油処理剤を10%(o.m.f.)添加し、5分間循環させた。撥水撥油処理剤添加後の浴pHは4.21であった。
(撥水撥油処理剤組成)
アサヒガード AG−7600 55部
(旭硝子社製フッ素系撥水剤)
トーレシリコーンSM8702 5部
(東レダウ社製アミノ変性ジメチルポリシロキサン)
メイカネート MF 10部
(明成化学工業社製ブロックドイソシアネート架橋剤)
水 30部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
100部
続いて、40℃をキープしながら、ジエタノールアミンを0.5g/Lの濃度になるように自動薬液添加装置(ドージングマシン)にて20分間かけて分割添加する。添加終了時の浴pHは7.22であった。その後、常法により水洗、脱水した後、織物を取り出し乾燥(110℃×3分)し、熱処理(170℃×1分)を行った。
処理後の繊維構造物について撥水撥油性などの性能評価を行った結果は表5の通りであり、非常に高い撥水撥油性が得られた。また、摩擦堅牢度(乾/湿)も4/4級で良好であり、さらに、摩耗後の撥水撥油性も3/4級であり、洗濯20回後の撥水撥油性は4+/5級であり、耐久性が認められた。
[比較例7]
実施例3と同じ染色した織物4反を用いて、酢酸を添加せず、pHスライド処理をしないで、上記処方による撥水撥油処理剤を10%(o.m.f.)加え40℃で25分間処理し実施例3と同じく水洗、脱水、乾燥(110℃×3分)し、熱処理(170℃×1分)を行った。撥水撥油処理剤添加後の浴pHは6.84であり、加工終了時のpHは7.05であった。
処理後の繊維構造物について撥水撥油性などの性能評価を行った結果は表5の通りであり、標準的な撥水撥油性であった。また、摩擦堅牢度(乾/湿)も4/4級で良好であり、さらに、摩耗後の撥水撥油性は3/4級であり、洗濯20回後の撥水撥油性は4/4級で、ある程度の耐久性が認められた。
[比較例8]
実施例3と同じ染色した織物4反を用いて酢酸(90%品)を0.25g/Lの濃度になるように添加し5分循環させた後、pHスライド処理をしないで、上記処方による撥水撥油処理剤を10%(o.m.f.)加え40℃で25分間処理し実施例1と同じく水洗、脱水、乾燥(110℃×3分)し、熱処理(170℃×1分)を行った。撥水撥油処理剤添加後の浴pHは4.21であり、終了時のpHは4.11であった。
処理後の繊維構造物について撥水撥油性などの性能評価を行った結果は表5の通りであり、撥水撥油性としては劣る結果であった。また摩擦堅牢度(乾/湿)も4/4級と良好であったが、初期の撥水撥油性は3/2級であり、さらに、摩耗後の撥水撥油性は1/0級であり、洗濯20回後の撥水撥油性は1/1級で、性能は良くなかった。
[比較例9]
実施例3と同じ染色した織物5反を用いて、パッドキュア法にて上記処方による撥水撥油処理剤の10質量%処理液に浸漬し、マングルにてピックアップ量70質量%になるように絞り、110℃で3分間乾燥した後170℃で1分間熱処理した。パディング処理浴のpHは6.88であった。
処理後の繊維構造物について撥水撥油性の測定を行った結果は表5の通りであり、摩擦堅牢度、撥水撥油性とも標準的であった。
以上の結果をまとめると表5になる。
Figure 2006291372
実施例1〜実施例3と比較例1〜比較例9から分かるように、本発明では、同じ撥水撥油加工を行った場合に洗濯試験および摩耗試験における撥水撥油性の耐久性が向上していることが分かる。

Claims (9)

  1. 繊維構造物を、撥水剤を含有する処理液が入れられた処理浴中に浸漬させ、当該撥水剤を吸尽させて撥水加工を行うことにより、当該繊維構造物に撥水性を付与する撥水処理方法において、前記撥水加工における前記処理液の初期pH値を5以下とし、その後、撥水加工の進行と共にアルカリ剤を徐々に添加することによって前記処理液の初期pH値を徐々に大きくし、当該処理液の最終pH値が9以下の範囲である時点で前記繊維構造物を取り出すことを特徴とする繊維構造物の撥水加工方法。
  2. 前記処理液の初期pH値が3〜5の範囲であり、しかも、前記処理液の最終pH値が6〜9の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の繊維構造物の撥水加工方法。
  3. 前記処理液にアルカリ剤を添加する手段として、定量ポンプ又は薬液自動添加注入装置を使用することを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維構造物の撥水加工方法。
  4. 前記撥水剤が、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、炭化水素系化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物を含む水系エマルションで構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維構造物の撥水加工方法。
  5. 前記繊維構造物に吸尽させる前記撥水剤の有効成分量が、当該繊維構造物に対して0.05〜10質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維構造物の撥水加工方法。
  6. 前記処理液の温度が5℃〜100℃の範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維構造物の撥水加工方法。
  7. 前記処理浴から繊維構造物を取り出した後、更に当該繊維構造物に対して100℃以上の熱処理を施すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の繊維構造物の撥水加工方法。
  8. 前記繊維構造物がシート状形態であることを特徴とする請求項7に記載の方法で加工された繊維構造物。
  9. 前記繊維構造物が非シート状形態であることを特徴とする請求項7に記載の方法で加工された繊維構造物。
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