JP2006291372A - 繊維構造物の撥水加工方法および当該方法により撥水加工された繊維構造物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 繊維構造物を、撥水剤を含有する処理液が入れられた処理浴中に浸漬させ、当該撥水剤を吸尽させて撥水加工を行うに際し、撥水加工における前記処理液の初期pH値を5以下とし、その後、撥水加工の進行と共にアルカリ剤を徐々に添加することによって処理液の初期pH値を徐々に大きくし、当該処理液の最終pH値が9以下の範囲である時点で繊維構造物を取り出すことを特徴とする。この際、処理液の初期pH値はpH3〜5の酸性範囲であり、最終pH値は6〜9の範囲である。
【選択図】 なし
Description
本発明においては、繊維構造物への浸透の容易さから、なかでもポリジメチルシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、アミノ変性シリコーンのうちの少なくとも一つを用いることが好ましい。これらのシリコーン系化合物は、通常水溶性のエマルションの形態で使用される。
また、上記処理剤で処理するときにpHを上昇させるpH変化速度としては0.5/分以下が好ましく、さらに好ましくは0.3/分以下の条件である。pH変化速度が0.5/分を超えると吸着ムラが起こりやすくなり、撥水ムラが発生する。また、pH変化速度が0.05/分以下の場合は撥水性には問題ないが、加工処理時間が長くなり加工コストに問題を残す。
JIS L‐1092のスプレー法により評価した。評価基準として下記の表1に記載の評価等級数字を用いた。なお撥水性に+印を付したものは性能がそれよりもわずかに良好であることを示し、−印を付したものは性能がそれよりわずかに劣ることを示す。
AATCC Test Method‐118法に準じ、撥油性は下記表2に示された試験溶液を試料布の上に、5ヵ所滴下(直径約5mm)し、30秒後の浸透状態により判定する。評価基準として下記の表2に記載の撥油性評価等級数字を用いた。
JIS L1018に規定するユニフォーム型試験機を用い、以下に示す操作方法によって100回摩擦した後、JIS L‐1092のスプレー法により撥水性を評価する。
1)直径10cmの大きさの試験片を試料ホルダーに取り付ける。
2)摩擦子側の摩擦子用ホルダーに、装着可能な大きさに裁断した試験片と共に同じ大きさのろ紙2枚を内側にして取り付ける。
3)試験側ホルダーの試験片の摩擦される面上に水0.1mLを噴霧した後、摩擦子側のホルダーを降ろし、4.5Nの押圧加重で多方向に100回摩擦させる。
4)摩擦子側の試験片をはずし、標準状態に調整した後、撥水性の評価を行う。ただし、評価は摩擦部についてのみ行うこととする。
JIS L‐0217の103法による洗濯を所定回数行って、自然乾燥(風乾)する。その後性能を評価する。
加工反を目視により判断した。
加工反の各反を測色計にて測色(L*、a*、b*)して、そのバラツキの絶対値を下式により△E*として評価した。△E*値が大きいほど反間色相差が大きいことを示す。
△E*=[(△L*)2+(△a*)2+(△b*)2]1/2
JIS L−0849 II形法(学振形法)にて評価を行った。
<加工風合い>
加工反をハンドリングにより判断した。
ポリエステルウーリー加工糸111デシテックス/24フィラメント双糸を経緯に用いた、経密度68本/吋、緯密度68本/吋のトロピカル織物を使用し、常法により前処理(リラックス、精練、乾燥、プレセット)を実施して目付け130g/m2の織物を得た。この織物を常法により染色・還元洗浄を行ない、染色したポリエステルトロピカル織物を得た。
アサヒガード AG−7000 60部
(旭硝子社製フッ素系撥水撥油剤)
浸透剤
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキル基の炭素数=10〜13)) 3部
溶剤(ジプロピレングリコール) 2部
水 35部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
100部
実施例1と同じ染色した織物4反を用いて、酢酸を添加せず、pHスライド処理をしないで、上記処方による撥水撥油処理剤を8%(o.m.f.)加え40℃で25分間処理し実施例1と同じく水洗、脱水、乾燥(110℃×2分)し、熱処理(170℃×1分)を行った。撥水撥油処理剤添加後の浴pHは6.94であり、加工終了時のpHは7.14であった。
実施例1と同じ染色した織物4反を用いて酢酸(90%品)を0.25g/Lの濃度になるように添加し5分循環させた後、pHスライド処理をしないで、上記処方による撥水撥油処理剤を8%(o.m.f.)加え40℃で25分間処理し実施例1と同じく水洗、脱水、乾燥(110℃×2分)し、熱処理(170℃×1分)を行った。撥水撥油処理剤添加後の浴pHは4.19であり、終了時のpHは4.01であった。
実施例1と同じ染色した織物5反を用いて、パッドキュア法にて上記処方による撥水撥油処理剤の8質量%処理液に浸漬し、マングルにてピックアップ量70質量%になるように絞り、110℃で2分間乾燥した後170℃で1分間熱処理した。パディング処理浴のpHは6.88であった。
経糸にナイロンフィラメント糸78デシテックス/12フィラメント、緯糸にナイロンフィラメント糸78デシテックス/24フィラメントを用いた、経密度108本/吋、緯密度82本/吋のナイロンタフタ織物を使用し、常法により前処理(精練、乾燥、プレセット)を実施して目付け70g/m2の織物を得た。この織物を常法により染色、洗浄、フィックス処理を行い、染色したナイロンタフタ織物を得た。
アサヒガード AG−7000 60部
(旭硝子社製フッ素系撥水撥油剤)
浸透剤
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキル基の炭素数=10〜13)) 3部
溶剤(ジプロピレングリコール) 2部
水 35部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
100部
実施例2と同じ染色した織物4反を用いて、酢酸を添加せず、pHスライド処理をしないで、上記処方による撥水撥油処理剤を5%(o.m.f.)加え40℃で25分間処理し実施例2と同じく水洗、脱水、乾燥(110℃×2分)し、熱処理(170℃×1分)を行った。撥水撥油処理剤添加後の浴pHは6.52であり、加工終了時のpHは6.98であった。
実施例2と同じ染色した織物4反を用いて酢酸(90%品)を0.25g/Lの濃度になるように添加し5分循環させた後、pHスライド処理をしないで、上記処方による撥水撥油処理剤を5%(o.m.f.)加え40℃で25分間処理し実施例2と同じく水洗、脱水、乾燥(110℃×2分)し、熱処理(170℃×1分)を行った。撥水撥油処理剤添加後の浴pHは4.10であり、加工終了時のpHは4.32であった。
実施例2と同じ染色した織物5反を用いて、パッドキュア法にて上記処方による撥水撥油処理剤の10質量%処理液に浸漬し、マングルにてピックアップ量30質量%になるように絞り、110℃で2分間乾燥した後170℃で1分間熱処理した。パディング処理浴のpHは6.52であった。
経糸に綿糸1/40コーマ糸、緯糸に綿糸1/40コーマ糸を用いた、経密度130本/吋、緯密度70本/吋のブロード織物を使用し、常法により前処理(精練、漂白、シルケット)を実施して目付け120g/m2の織物を得た。
この綿ブロード織物4反(200m)を自動薬液添加装置を取り付けた高圧液流染色機(日阪製作所製)に投入した後(浴比1:20)、40℃まで昇温(2℃/分)し、まず、酢酸(90%品)を0.25g/Lの濃度になるように添加し5分循環させた後、下記組成にて調整した撥水撥油処理剤を10%(o.m.f.)添加し、5分間循環させた。撥水撥油処理剤添加後の浴pHは4.21であった。
アサヒガード AG−7600 55部
(旭硝子社製フッ素系撥水剤)
トーレシリコーンSM8702 5部
(東レダウ社製アミノ変性ジメチルポリシロキサン)
メイカネート MF 10部
(明成化学工業社製ブロックドイソシアネート架橋剤)
水 30部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
100部
実施例3と同じ染色した織物4反を用いて、酢酸を添加せず、pHスライド処理をしないで、上記処方による撥水撥油処理剤を10%(o.m.f.)加え40℃で25分間処理し実施例3と同じく水洗、脱水、乾燥(110℃×3分)し、熱処理(170℃×1分)を行った。撥水撥油処理剤添加後の浴pHは6.84であり、加工終了時のpHは7.05であった。
実施例3と同じ染色した織物4反を用いて酢酸(90%品)を0.25g/Lの濃度になるように添加し5分循環させた後、pHスライド処理をしないで、上記処方による撥水撥油処理剤を10%(o.m.f.)加え40℃で25分間処理し実施例1と同じく水洗、脱水、乾燥(110℃×3分)し、熱処理(170℃×1分)を行った。撥水撥油処理剤添加後の浴pHは4.21であり、終了時のpHは4.11であった。
実施例3と同じ染色した織物5反を用いて、パッドキュア法にて上記処方による撥水撥油処理剤の10質量%処理液に浸漬し、マングルにてピックアップ量70質量%になるように絞り、110℃で3分間乾燥した後170℃で1分間熱処理した。パディング処理浴のpHは6.88であった。
Claims (9)
- 繊維構造物を、撥水剤を含有する処理液が入れられた処理浴中に浸漬させ、当該撥水剤を吸尽させて撥水加工を行うことにより、当該繊維構造物に撥水性を付与する撥水処理方法において、前記撥水加工における前記処理液の初期pH値を5以下とし、その後、撥水加工の進行と共にアルカリ剤を徐々に添加することによって前記処理液の初期pH値を徐々に大きくし、当該処理液の最終pH値が9以下の範囲である時点で前記繊維構造物を取り出すことを特徴とする繊維構造物の撥水加工方法。
- 前記処理液の初期pH値が3〜5の範囲であり、しかも、前記処理液の最終pH値が6〜9の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の繊維構造物の撥水加工方法。
- 前記処理液にアルカリ剤を添加する手段として、定量ポンプ又は薬液自動添加注入装置を使用することを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維構造物の撥水加工方法。
- 前記撥水剤が、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、炭化水素系化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物を含む水系エマルションで構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維構造物の撥水加工方法。
- 前記繊維構造物に吸尽させる前記撥水剤の有効成分量が、当該繊維構造物に対して0.05〜10質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維構造物の撥水加工方法。
- 前記処理液の温度が5℃〜100℃の範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維構造物の撥水加工方法。
- 前記処理浴から繊維構造物を取り出した後、更に当該繊維構造物に対して100℃以上の熱処理を施すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の繊維構造物の撥水加工方法。
- 前記繊維構造物がシート状形態であることを特徴とする請求項7に記載の方法で加工された繊維構造物。
- 前記繊維構造物が非シート状形態であることを特徴とする請求項7に記載の方法で加工された繊維構造物。
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