JP2006289997A - 記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】キャリッジを変位させてPG調整を行っても、主走査方向における移動位置の検出精度を低下せず、キャリッジガイド軸の接地を部品点数を増加することなく効率的に行える記録装置を提供すること。
【解決手段】記録ヘッド部を備えたキャリッジを支持し、主走査方向への移動を案内するキャリッジガイド軸2と、該ガイド軸2を軸支するサイドフレーム1と、前記キャリッジの主走査方向における移動位置検出手段であるリニアスケール4とを備え、前記ガイド軸2を変位させる機構を有する記録装置であって、前記ガイド軸2と一体的に変位可能な保持具10を設け、保持具にリニアスケールを取り付けることにより、リニアスケール4を前記ガイド軸2の変位に連動して変位可能に構成し、保持具10は前記ガイド軸2とサイドフレーム1とをアースする接地機能を兼ね備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、キャリッジガイド軸とリニアスケールとが連動して上下に変位可能な構造を備えたインクジェット式プリンタ等に代表される記録装置に関するものである。
インクジェット式プリンタ等の記録装置では、インクを吐出するノズルアレイを備えた記録ヘッド部がキャリッジに搭載され、このキャリッジが支持部材であるキャリッジガイド軸に沿って主走査方向へ往復移動することにより、被記録材への印刷が行われる。このキャリッジの主走査方向における動作は、前記キャリッジガイド軸と平行に(すなわち、主走査方向に)主走査方向にテープ状に設けられたキャリッジの位置検出手段であるリニアスケールを基準にして制御される。すなわち、リニアスケールにはスリットが等間隔で形成されており、通過スリット数を光学的に検出する光学検出部とからなるリニヤエンコーダユニットにより行われる。
ところで、キャリッジに搭載された前記記録ヘッド部(より具体的にはノズルアレイ)と被記録材との間隔(いわゆるペーパーギャップ、以下「PG」と記す)は、被記録材である印刷用紙の厚みによって微小ではあるが変化するため、精度の高い印刷を行うためには、被記録材の厚みに応じてPGを調整する必要がある。ここで、PGは、前記記録ヘッドと、この記録ヘッドに対向して設けられた用紙位置規制部材であるプラテンとの間の距離によって規定されるため、通常、PGの調整は前記プラテンに対する記録ヘッドの位置を変化させることにより行われている。
通常、キャリッジガイド軸の支持部に偏心軸や偏心ブッシュなどの偏心機構を採用し、キャリッジガイド軸の軸芯線周りの回動を前記偏心機構を介してキャリッジガイド軸の上下方向(PG調整方向)の変位に変えている。すなわち、前記偏心機構を利用して、水平に延びるキャリッジガイド軸の高さ方向の位置を変え、このようにしてキャリッジを上下に移動させることにより、記録ヘッドの位置を調節してPGの調整を図っている(特許文献1)。他の従来技術としては下記の特許文献2が挙げられる。
実開昭63−184756号公報 特開平5−147300号公報
しかし、従来の記録装置では、キャリッジを上下に移動させたとき、該キャリッジの主走査方向の移動位置を検出するためのリニアスケールが固定されているため、PGを調整した場合に主走査方向での位置検出精度を損なうことが考えられる。特にインクジェット式プリンタにおいては、最近では、被記録材の厚みに関わらず高い印刷品質(高画質)を維持するために、PG調整の際のキャリッジの移動量が大きくなる傾向にあるため、リニアスケールによる検出精度を維持する重要性が高くなっている。
また、キャリッジ及び/又はキャリッジガイド軸に静電気がたまることは、当然さけなければならないが、偏心機構にはプラスチック等の非導電性の材料が用いられているため、キャリッジガイド軸の接地にはそれ専用の接地部材が必要となり、部品点数及びコスト低減の障害となっていた。
本発明の目的は、キャリッジを変位させてPG調整を行っても、主走査方向における移動位置の検出精度を低下せず、また、キャリッジ及び/又はキャリッジガイド軸の接地を部品点数を増加することなく効率的に行える記録装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る記録装置は、被記録材への記録を行う記録ヘッド部を備え、主走査方向に往復移動可能なキャリッジと、該キャリッジを支持し、かつ主走査方向への移動を案内するキャリッジガイド軸と、前記キャリッジガイド軸を軸支する構造部材であるサイドフレームと、前記キャリッジの主走査方向における移動位置検出手段であるリニアスケールとを備え、前記キャリッジガイド軸を変位させる機構を有する記録装置であって、前記キャリッジガイド軸と一体的に変位可能な保持具を設け、該保持具に前記リニアスケールを取り付けることにより、該リニアスケールを前記キャリッジガイド軸の変位に連動して変位可能に構成し、前記保持具は前記キャリッジガイド軸とサイドフレームとをアースする接地機能を兼ね備えていることを特徴とするものである。
この特徴によれば、前記リニアスケールを、保持具を介して前記キャリッジガイド軸の変位に連動して一体的に変位可能に取り付けたため、PG調整のためにキャリッジを上下移動させた場合には、リニアスケールもキャリッジと同調して一緒に上下に変位する。従って、キャリッジに対するリニアスケールの相対的な位置は変化しないため、キャリッジの主走査方向における位置検出の精度が損なわれることがない。
そして、前記保持具は前記キャリッジガイド軸とサイドフレームとをアースする接地機能を兼ね備えているので、キャリッジ及び/又はキャリッジガイド軸の接地を部品点数を増加することなく効率的に行うことができる。
また、本発明の第2の態様に係る記録装置は、第1の態様において、前記保持具のうち、少なくとも一方に板バネを設け、該板バネに前記リニアスケールを取り付けたことを特徴とするものである。
この特徴によれば、前記保持具に設けられた板バネにリニアスケールを取り付けたため、テープ状のリニアスケールは板バネにより付勢され、張力が付与された状態で保持され、主操作方向におけるキャリッジの位置制御の正確性が確保できる。
また、本発明の第3の態様に係る記録装置は、第1または第2の態様において、前記保持具は、前記キャリッジガイド軸が係合する係合部が該保持具の外縁側から係入可能な一部開放の略半円形状に形成され、前記キャリッジガイド軸は、前記略半円形状の係合部に係入した後その軸芯線周りに所定量回すことで前記開放側に対して抜け出し不能となる断面形状に形成されていることを特徴とするものである。
この特徴によれば、簡単な構造でキャリッジガイド軸の保持具に対する組付け作業を簡単化することができ、組み付け作業効率を向上することができる。
また、本発明の第4の態様に係る記録装置は、第1から第3のいずれかの態様において、前記保持具と前記キャリッジガイド軸との間に付勢部材が設けられ、該付勢部材は前記保持具を前記サイドフレームに押し付けるように構成されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、付勢部材が保持具を前記サイドフレームに押し付けるように構成されているので、該保持具をフレームにしっかりと接触させることができ、その接地機能を一層確実なものにすることができる。さらに、保持具ががたつき無く安定化し、キャリッジガイド軸とリニアスケールとの一体性を強固なものにすることができ、もってPG調整を行っても、リニアスケールによる位置検出精度を高く維持することができる。
本発明の第5の態様に係る記録装置は、第1から第4のいずれかの態様において、前記保持具に、リニアスケールの高さ方向の位置決め部を形成したことを特徴とする。
この特徴によれば、前記保持具にリニアスケールの高さ方向の位置決め部を形成したため、リニアスケールの高さ方向の僅かなずれも防止でき、キャリッジに対する相対的な位置の確保を高い精度で実現できる。
本発明の第6の態様に係る記録装置は、第1から第5のいずれかの態様において、さらに、キャリッジガイド軸の変位軌跡と一致する軌跡で保持具の移動を案内するガイド構造を設けたことを特徴とする。
この特徴によれば、ガイド構造は、キャリッジガイド軸の変位軌跡と一致する軌跡で保持具の移動を案内するため、キャリッジガイド軸の移動の軌跡と保持具の移動の軌跡とが常に一致することになり、延いてはキャリッジとリニアスケールの変位の軌跡も一致することになる。従って、キャリッジに対するリニアスケールの相対的位置を常に同じ状態に維持できる。
本発明の第7の態様に係る記録装置は、第6の態様において、前記ガイド構造は、前記保持具に形成した突起部と、該突起部を嵌め込み可能に、かつ前記キャリッジガイド軸の変位軌跡と一致する形状で前記サイドフレームに設けられたガイド穴と、からなることを特徴とする。
この特徴によれば、ガイド構造として、保持具に形成した突起部とキャリッジガイド軸の変位軌跡と一致する形状のガイド穴との係合構造を採用したため、構造簡単にして装設が容易であるとともに、ガイド穴はキャリッジガイド軸の変位軌跡と一致する形状であるため確実に同じ軌跡で突起を導くことができる。また、ガイド穴を強度の高い構造部材であるサイドフレームに設けたことにより、確実に保持具を案内できる。
また、本発明の第8の態様に係る記録装置は、第7の態様において、前記突起部に前記サイドフレームのガイド穴から抜けることを防止するための抜け止め作用部を設けたことを特徴とする。
この特徴によれば、突起部に、前記サイドフレームのガイド穴から抜けることを防止するための抜け止め作用部を設けたことにより、突起部がガイド穴から外れることを防止でき、保持具を確実に案内することができる。
以下、図1から図7に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、保持具を装着した本発明に係る記録装置の一実施態様の要部斜視図であり、図2は、図1の保持具周辺の要部断面図である。
キャリッジガイド軸2は、左右のサイドフレーム1に偏心機構30を介して上下方向に変位可能に支持されている。偏心機構30としては、偏心軸を採用することも可能であるが、ここでは、偏心機構30として、偏心ブッシュが用いられている。この偏心ブッシュを用いることにより、キャリッジガイド軸2として、断面同心円状の軸体を使用できるとともに、キャリッジガイド軸2自体の径を大きくすることなくキャリッジガイド軸2の変位距離を長くすることができるので、キャリッジの変位幅を広げることが可能になり、PG調整の自由度が高くなる。
本発明において保持具10の形状は、キャリッジガイド軸2とリニアスケール4とを連動させることが可能な限り任意であるが、この態様では平板状の部材を使用しており、やや幅広に形成した下部においてキャリッジガイド軸2と係合し、上部にリニアスケール4の取り付け部13を設け、両部位の中間は略垂直に下方から上方へ立ち上がり、サイドフレーム1の壁面と面で当接する立ち上がり部12を有している。
この保持具10は、図7(A)(B)に示したように、キャリッジガイド軸2との係合部70において、キャリッジガイド軸2の小径軸3の外周に対応する略半円状の軸受形状部を有し、この軸受形状部(係合部70)にキャリッジガイド軸2の断面略D形状の小径軸3を嵌装するようにして該キャリッジガイド軸2と係合している。図7(A)(B)は、図2の右方向から見た側面図であり、説明を解りやすくするため偏心機構30とサイドフレーム1は図示を省略してある。保持具10の前記軸受形状部(係合部70)は、キャリッジガイド軸2の回動を妨げない程度にキャリッジガイド軸2の小径軸3の外周より大きく、かつキャリッジガイド軸2の変位動作中に保持具10が外れることなくキャリッジガイド軸2と同調して移動できるように形成されている。
すなわち、保持具10は、キャリッジガイド軸2が係合する係合部70が、該保持具10の外縁側から係入可能な一部開放の略半円形状に形成され、前記キャリッジガイド軸2は、前記略半円形状の係合部70に係入した後、その軸芯線回りに所定量回す(図7の(A)状態から(B)の状態まで回す)ことで前記開放側に対して抜け出し不能となる断面形状に形成されている。具体的には、キャリッジガイド軸2の断面略D形状の小径軸3の中心を通る最小長さをh1、小径軸3の直径をh2、係合部70への係入口の最小寸法をh3として、それらの大小関係は以下のように設定されている。
h1<h3<h2
従って、簡単な構造でキャリッジガイド軸2の保持具10に対する組付け作業を簡単化することができ、組み付け作業効率を向上することができる。
更に、前記保持具10は、導電性材料で形成され、キャリッジガイド軸2と板金製のサイドフレーム1とをアースする接地機能を兼ね備えて構成されている。この実施の形態では、図2に矢印60で示したように、キャリッジガイド軸2から保持具10を経てサイドフレーム1の静電気が放電されるように構成されている。これにより、キャリッジ及び/又はキャリッジガイド軸2の接地を専用接地部材を用いることなく、すなわち部品点数を増加することなく効率的に行うことができる。
また、図2に示したように、保持具10の係合部70とキャリッジガイド軸2との間には、皿バネ51が挟持され、保持具10をサイドフレーム1に押し付けるように付勢している。具体的には、キャリッジガイド軸2の小径軸3に縮径するその境界部分と保持具10との間に、付勢部材と成る皿バネ51が設けられ、キャリッジガイド軸2の小径軸3がサイドフレーム1に軸支された状態で、該皿バネ51はその弾性力によって前記保持具10を前記サイドフレーム1に押し付けるように構成されている。
このように皿バネ51が保持具10を前記サイドフレーム1に押し付けるように構成されているので、該保持具10をサイドフレーム1にしっかりと接触させることができ、当該保持具10の接地機能を一層確実なものにすることができる。さらに、保持具10ががたつき無く安定化し、キャリッジガイド軸2とリニアスケール4との一体性を強固なものにすることができ、もってPG調整を行っても、リニアスケール4による位置検出精度を高く維持することができる。
また、キャリッジガイド軸2と係合する周辺の保持具10の形状は、断面略逆コの字型に形成されており、当該逆コの字状の上側と下側はサイドフレーム1に当接するが、該係合部分周囲の板状平面はサイドフレーム1の壁面から離間するように離間形状部11を形成している。この離間形状部11により、サイドフレーム1に嵌合した偏心機構30を跨ぐような形でキャリッジガイド軸2に係る負荷をサイドフレーム1に逃がし、偏心機構30への負担を軽減するように構成されている。
すなわち、キャリッジガイド軸2にはキャリッジの主走査方向への往復移動にともなう水平方向の負荷と、キャリッジの自重および偏心機構30による上下変位にともなう垂直方向の負荷がかかり、これらの負荷はキャリッジガイド軸2を両端で軸支する偏心機構30に集中してしまうため、前記保持具10の離間形状部11により負荷を構造部材であるサイドフレーム1に逃がすことにより、偏心機構30にかかる負担を軽減している。
リニアスケール4の取り付け部13は、下方から立ち上がるように装着された保持具10の上部において、保持具10の平板面に対し略直角をなすように(すなわち、テープ状のリニアスケール4と平行になるように)折り曲げて形成した部分であり、当該折り曲げて設けた取り付け部の一部分をさらに略直角に2回折り曲げることによって、いわゆるフック形状のリニアスケール4係合用の鉤部14を形成している。この鉤部14を、リニアスケール4端部の係合用穴に引っ掛けるようにして、リニアスケール4を取りつけている。
図3は同じ実施態様の記録装置における、図1とは反対側のサイドフレーム1部分に装着した保持具10の状態を示す要部斜視図である。この保持具10の基本的な構成は、図3では簡略して示されているが、保持具10の接地機能、略半円形状の係合部70及び皿バネ51を含めて、図1および図2のものと同様である。該保持具10も平板状の部材を用いて形成され、下部にサイドフレーム1と離間する離間形状部11(こちらの側では、断面略コの字形である)が設けられ、この部分でキャリッジガイド軸2と係合している。図3では図1と異なり、リニアスケール4は保持具10に直接取りつけるのではなく、保持具10に装着した板バネ20に取り付けている。すなわち、保持具10の中央付近には、開口穴が形成されており、この開口穴に板バネ20が挿着されている。
この板バネ20は、下部において図示しない手段によって保持具10に係止されており、キャリッジガイド軸2および保持具10と同じ軌跡で上下に変位可能に取り付けられている。板バネ20の上部には、板バネ20の平板面に対し略直角をなすように(すなわち、テープ状のリニアスケール4と平行になるように)折り曲げて形成したリニアスケール4の取り付け部が設けてあり、図1のリニアスケール4の取り付け部13と同様に、リニアスケール4取り付け用の鉤部を形成してあり、この鉤部をリニアスケール4端部の係合用穴に引っ掛けるようにして、リニアスケール4を取りつけている。
このように保持具10に挿着した板バネ20にリニアスケール4の取り付け部を設け、この取り付け部にリニアスケール4を取り付けることにより、板バネ20の付勢力を利用して張力を付与したままリニアスケール4を保持できる。この態様では、板バネ20は保持具10と別部品で形成したが、保持具10の一部分を弾性変形可能に設けて、板バネ20と同じ付勢作用を得ることも可能である。
図3の保持具10の上部は、保持具10の平板面に対し略直角をなすように(すなわち、テープ状のリニアスケール4と平行になるように)折り曲げることにより、リニアスケール4の高さ方向の位置決め部15を設けてある。当該折り曲げて設けた位置決め部15には、その一部分をさらに略直角に折り曲げることによって突片16が形成され、この突片16をリニアスケール4に設けた高さ位置決め用穴に挿入することにより、上下位置がずれないようにリニアスケール4の高さを規定できるようにしている。
図2および図4に示すように、保持具10の、下方から略垂直に立ち上がる平板状の立ち上がり部12には突起部21が設けてあり、この突起部21は、サイドフレーム1に形成されたガイド穴41とともに、保持具10を上下に移動させる際の軌跡を規定するガイド構造を形成している。このガイド穴41の下半分の形状はキャリッジガイド軸2の変位軌跡と同じ軌跡になるように形成されているため、ガイド穴41に嵌め込まれた突起部21は、変位動作時にガイド穴41内をキャリッジガイド軸2と同じ軌跡で誘導される。従って、保持具10に取りつけたリニアスケール4がキャリッジガイド軸2、延いてはキャリッジと同じ軌跡で移動することになり、リニアスケール4とキャリッジとの相対的な位置を確保した状態での変位を可能にする。
また、突起部21の先端側は断面T字型に形成されており、ガイド穴41からの抜け止め作用部22として機能する。なお、ガイド穴41の上部は下部の軌跡形状に比べて広く形成してあり、保持具10を装着する時にこのガイド穴41上部より突起部21を挿入することにより、突起部21のガイド穴41への嵌め込みが容易にできるようになっている。さらに、突起部21は、ガイド穴41内でのガタを防止するためのガタ防止バネ52によってサイドフレーム1に連結してあり、安定した状態でガイド穴41内を案内される。
以上を踏まえ、本実施形態における記録装置の動作を説明する。
リニアスケール4は、保持具10(もしくは保持具10に装着された板バネ20)に取り付けられており、この保持具10は偏心機構30を備えたキャリッジガイド軸2の変位に同調して上下に変位するため、結果としてリニアスケール4はキャリッジガイド軸2と連動して上下に変位する。従って、キャリッジに対するリニアスケール4の相対的な位置は変化しないため、キャリッジの主走査方向における位置検出の精度が損なわれることがない。
そして、前記保持具10は前記キャリッジガイド軸2とサイドフレーム1とをアースする接地機能を兼ね備えているので、キャリッジ及び/又はキャリッジガイド軸2の接地を実現するために部品点数を増加することがない。
また、付勢部材である皿バネ51が保持具10を前記サイドフレーム1に押し付けるように構成されているので、該保持具10をサイドフレーム1にしっかりと接触させることができ、その接地機能を一層確実なものとなる。さらに、該皿歯円51は保持具10をがたつき無く安定化するので、キャリッジガイド軸2とリニアスケール4との一体性は強固なものとなり、もってPG調整を行っても、リニアスケール4による位置検出精度を高く維持することができる。
次に、本発明に係る記録装置に使用した偏心機構30は、図5および図6に示すように、キャリッジガイド軸2(キャリッジ)の上下位置を変位させてPG調整を行うためのPG調整ブッシュ31に加え、キャリッジの平行度を調整するための平行度調整ブッシュ32を備えている。サイドフレーム1には、平行度調整ブッシュ32の装着用穴部42が設けられており、平行度調整ブッシュ32がこの装着用穴部42に回転可能に嵌合されている。また、平行度調整ブッシュ32の内部には、PG調整ブッシュ31が挿着されている。
内側のPG調整ブッシュ31は、キャリッジガイド軸2の断面略D字形の小径軸3を軸支しており、外側の平行度調整ブッシュ32とは独立して回動可能な状態で当接している。PG調整用の操作レバー(図示せず)によって、PG調整ブッシュ31に軸支されたキャリッジガイド軸2は回転しつつ上下に変位する。すなわち、前記軸支部はPG調整ブッシュ31の中心から外れた位置に設けてあるため、PG調整ブッシュ31と小径軸3との回転中心が相違する結果、外側の平行度調整ブッシュ32を固定した状態で操作レバーを揺動すると、PG調整ブッシュ31に軸支されたキャリッジガイド軸2は回転しつつ変位し、キャリッジガイド軸2を上下に移動させることが可能になる。また、平行度調整ブッシュ32は、レバーを介してサイドフレーム1の他の部位において係止手段43(ここではネジ)により係止されており、PG調整ブッシュ31の操作レバーを固定した状態で、この係止部33の係止手段であるネジ43を緩めて平行度調整ブッシュ32を回転させることにより、キャリッジの平行度調整を行うことができる。
図5は、偏心機構30がサイドフレーム1の装着用穴部42に嵌合した状態を詳細に示したものである。
偏心機構30は、平行度調整ブッシュ32の中心と同心円上に設けられた3つのフレーム取付部121と、縮径部124との計4つの部位が、それぞれ記録装置の本体サイドフレーム1に設けられた矩形形状を有する装着用穴部42の4つの各辺に接し、回転可能な状態で嵌合して、記録装置の本体サイドフレーム1に取り付けられる。この3つのフレーム取付部121は、第1の付勢手段122により符号aで示したように、装着用穴部42に押しつけられるように付勢力が作用するようになっている。これにより、第1の付勢手段122は、平行度調整ブッシュ32のガタツキを防止するとともに、PG調整ブッシュ31の第1の偏心孔123を符号bで示した方向に押しつけている。
そして、第1の偏心孔123が符号bで示した方向に押しつけられることで、薄い板状の壁構造である縮径部124は、該縮径部124を含めた平行度調整ブッシュ32がプラスチック等の柔らかい素材で形成されていることから、符号dで示した方向に押しつぶされて変形し、装着用穴部42の符号fで示した辺に沿って撓んだ状態になり、第1の偏心孔123を縮径する。これにより、PG調整ブッシュ31は、縮径部124に押されて第1の偏心孔123に押しつけられ、PG調整ブッシュ31のガタツキを防止することになる。
また、第2の偏心孔131に設けられた第2の付勢手段132により、第2の偏心孔131に嵌合される小径軸3は、符号eで示した方向に付勢され、第2の偏心孔131の符号gで示した面に押しつけられる。これにより、キャリッジガイド軸2のガタツキが防止される。
図6は、偏心機構30の正面図である。記録装置には、偏心機構30が、キャリッジガイド軸2の両端部にそれぞれ設けられている。また、偏心機構30のPG調整ブッシュ31は、被記録材と記録ヘッドのヘッド面との間のギャップを変更するためにPG調整ブッシュ31を回転させる回転力を伝達可能な形状を有している。従って、偏心機構30は、図6に仮想線で示したように、PG調整ブッシュ31が回転することで、被記録材と記録ヘッドのヘッド面との間のギャップが変更される。
このようにして、キャリッジガイド軸2に小径軸3を設け、その小径軸3が嵌合するPG調整ブッシュ31と、PG調整ブッシュ31が嵌合する平行度調整ブッシュ32による偏心機構30は、キャリッジガイド軸2の太さに依存しない偏心量を得ることが可能である。そして、さらに、この偏心機構30は、平行度の調整を正確かつ容易に行うために、キャリッジガイド軸2が垂直方向に上下動するような構造を有しつつ、PG調整ブッシュ31の摩耗による記録品質の低下と、平行度調整ブッシュ32とPG調整ブッシュ31との間のガタツキによる記録品質の低下を防止するものである。
また、他の実施の形態としては、記録ヘッドのヘッド面が垂直な面であり、被記録材が垂直方向に搬送されるような記録装置である場合においては、平行度調整ブッシュ32を回転させることで、キャリッジガイド軸2が左右水平方向に移動するような構成とすることも可能である。
さらに、他の実施の形態としては、キャリッジガイド軸2の小径軸3を偏心させ、より大きな偏心量が得られるように構成することも可能である。
以上説明したように、本発明では、偏心機構30を採用したキャリッジガイド軸2に、リニアスケール4の保持具10を同調可能に装着した結果、キャリッジガイド軸2とリニアスケール4とが連動して変位することになり、一つの切り換え操作のみで、PGの調整とリニアスケール4の位置を変化させることが可能になる。偏心機構30としては、上記の偏心ブッシュに限らず、偏心軸等の公知の機構を採用できる。
本発明によれば、リニアスケールを、保持具を介してキャリッジガイド軸の変位に連動して一体的に変位可能に取り付けたため、PG調整のためにキャリッジを上下移動させた場合には、リニアスケールもキャリッジと同調して一緒に上下に変位する。従って、キャリッジに対するリニアスケールの相対的な位置は変化しないため、キャリッジの主走査方向における位置検出の精度が損なわれることがない。
そして、前記保持具は前記キャリッジガイド軸とサイドフレームとをアースする接地機能を兼ね備えているので、キャリッジ及び/又はキャリッジガイド軸の接地を部品点数を増加することなく効率的に行うことができる。
本発明の一実施の形態に係る記録装置の要部斜視図。 図1の要部断面図。 本発明の一実施の形態に係る記録装置の要部斜視図。 本発明の一実施の形態に係る記録装置のサイドフレーム外側の状態を示す側面図。 偏心機構の詳細を示す説明図。 偏心機構の平面図。 図2の右方向から見た要部概略の側面図であり、(A)はキャリッジガイド軸を係入する前の状態、(B)はキャリッジガイド軸を係入してそこから抜け出し不能になっている前の状態を示し、説明を解りやすくするため偏心機構とサイドフレームは図示を省略してある。
符号の説明
1 サイドフレーム、 2 キャリッジガイド軸、 3 小径軸、
4 リニアスケール、 10 保持具、 11 離間形状部、
12 立ち上がり部、 13 取り付け部、 14 鉤部、 15 位置決め部、
16 突片、 20 板バネ、 21 突起部、 22 抜け止め作用部、
30 偏心機構、 31 PG調整ブッシュ、 32 平行度調整ブッシュ、
33 係止部、 41 ガイド穴、 42 装着用穴部、 43 係止手段、
51 皿バネ、 52 ガタ防止バネ、 60 静電気の流れを示す矢印、
70 係合部、 121 フレーム取付部、 122 第1の付勢手段、
123 第1の偏心孔、 124 縮径部、 131 第2の偏心孔、
132 第2の付勢手段

Claims (6)

  1. 被記録材への記録を行う記録ヘッド部を備え、主走査方向に往復移動可能なキャリッジと、
    該キャリッジを支持し、かつ主走査方向への移動を案内するキャリッジガイド軸と、
    前記キャリッジガイド軸を軸支する構造部材であるサイドフレームと、
    前記キャリッジの主走査方向における移動位置検出手段であるリニアスケールとを備え、
    前記キャリッジガイド軸を変位させる機構を有する記録装置であって、
    前記キャリッジガイド軸と係合して当該キャリッジガイド軸と一体的に変位可能な保持具を設け、該保持具に前記リニアスケールを取り付けることにより、該リニアスケールを前記キャリッジガイド軸の変位に連動して変位可能に構成し、
    前記保持具のうち、少なくとも一方に板バネを設け、該板バネは、下部において前記保持具に係止されており、
    前記板バネの上部に設けられた、前記リニアスケールと平行になるように形成されたリニアスケールの取り付け部に該リニアスケールが取り付けられており、
    前記保持具は導電性材料で形成され、前記サイドフレームの壁面と面で当接する立ち上がり部を有し、前記キャリッジガイド軸とサイドフレームとをアースする接地機能を兼ね備えていることを特徴とする記録装置。
  2. 請求項1において、前記保持具は、前記キャリッジガイド軸が係合する係合部が該保持具の外縁側から係入可能な一部開放の略半円形状に形成され、前記キャリッジガイド軸は、前記略半円形状の係合部に係入した後その軸芯線周りに所定量回すことで前記開放側に対して抜け出し不能となる断面形状に形成されていることを特徴とする記録装置。
  3. 請求項1または2において、前記保持具に、リニアスケールの高さ方向の位置決め部を形成したことを特徴とする記録装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項において、さらに、キャリッジガイド軸の変位軌跡と一致する軌跡で保持具の移動を案内するガイド構造を設けたことを特徴とする記録装置。
  5. 請求項4において、前記ガイド構造は、前記保持具に形成した突起部と、該突起部を嵌め込み可能に、かつ前記キャリッジガイド軸の変位軌跡と一致する形状で前記サイドフレームに設けられたガイド穴と、からなることを特徴とする記録装置。
  6. 請求項5において、前記突起部に、前記サイドフレームのガイド穴から抜けることを防止するための抜け止め作用部を設けたことを特徴とする記録装置。
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