JP2006289946A - 画像形成装置 - Google Patents

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勉 杉本
Masaki Hachisuga
正樹 蜂須賀
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琢 福原
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信一郎 藤森
Tsukasa Inao
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Abstract

【課題】濃度ムラの少ない良好な画像が得られる画像形成装置を提供する。
【解決手段】少なくとも、導電性支持体及び該導電性支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体107と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置108と、帯電した前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成させる露光装置110と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成させる現像装置111と、前記トナー像を前記電子写真感光体から被転写媒体に転写する転写装置112と、を備える画像形成装置100であって、前記露光装置が、発光素子アレイと結像素子レンズアレイとを有し、前記電子写真感光体が、光拡散層を有することを特徴とする画像形成装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、画像形成装置に関し、特に、発光素子アレイと結像素子レンズアレイとを備えた露光装置を有する画像形成装置に関する。
従来より、複写機やプリンタ等の画像形成装置では、感光体を画像に応じて露光することにより静電潜像を形成し、該静電潜像をトナー現像することにより感光体上に形成されたトナー像を被転写媒体に転写することで画像を形成している。
感光体に静電潜像を形成するための光源としては、従来からLD(Laser Diode)が用いられてきたが、近年ではLED(Light Emitting Diode)素子などの発光素子を各画素に対応して一列に配置した発光素子アレイと、各発光素子から出力された光を感光体表面に結像させるようセルフォックレンズなどの結像レンズを配置した結像素子レンズアレイとを備える露光装置が用いられている。
このような露光装置を用いた画像形成装置では、発光素子アレイの各LED素子を画像データに基づいて駆動させ、画像データに基づく光を出力し、結像レンズによって出力された光を感光体表面に結像させることにより、感光体を画像データに基づいて露光すると共に、感光体と露光装置とを相対移動させる(この移動方向を「副走査方向」という)ことにより、露光位置を移動させて感光体上に画像を形成する。
しかしながら、かかる露光装置を備える画像装置では、複数の発光素子を搭載するLED素子毎の性能のばらつきや、各発光素子のばらつき、結像素子レンズアレイの屈折率分布のばらつき、レンズの配列乱れ、発光素子アレイと結像素子レンズアレイの組み立て誤差、LED素子の焦点位置や発光光量のばらつきなどにより、濃度ムラが発生しやすい。この濃度ムラは画質低下の原因となる。
濃度ムラを低減するための技術として、光量センサによって各発行素子の発光強度分布を測定し各発光素子の光量を補正する方法(例えば、特許文献1参照。)や、実際の画像濃度を測定して補正する方法(例えば、特許文献2参照。)などが提案されている。
しかし、これらの技術は、光量や画像濃度を実際に測定し、得られた値から露光方法を補正する煩雑な方法であり、他の方法による濃度ムラの低減が望まれていた。
特開平11−227254号公報 特開2003−182151号公報
本発明は上記課題を解決することを目的としたものであって、本発明の第一の課題は、濃度ムラの少ない良好な画像が得られる画像形成装置を提供することである。
また、本発明の第二の課題は、解像度を向上させつつ、濃度ムラの発生を抑えた画像形成装置を提供することである。
かかる状況のもと、発明者が鋭意検討した結果、下記手段を採用することにより、本発明の課題を解決しうることを見出した。
<1> 少なくとも、導電性支持体及び該導電性支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、
帯電した前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成させる露光装置と、
前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成させる現像装置と、
前記トナー像を前記電子写真感光体から被転写媒体に転写する転写装置と、を備える画像形成装置であって、
前記露光装置が、発光素子アレイと結像素子レンズアレイとを備え、
前記電子写真感光体が、光拡散層を有することを特徴とする画像形成装置である。
上記<1>の発明によれば、電子写真感光体に光拡散層を設けて、露光ビームを適度に散乱させることで、焦点位置がずれた深度においてビームプロファイルが変化しても、潜像の形状の変化を少なくさせることで、濃度ムラの発生を抑えることができる。
<2> 前記結像素子レンズアレイの開口角が9度以上18度以下であることを特徴とする前記<1>に記載の画像形成装置である。
上記<2>の発明によれば、前記結像素子レンズアレイの開口角は9度以上18度以下となり、従来のものよりも開口角は狭くなる。したがって、露光ビームの広がりが小さくなり、像の崩れが抑えられ、結果として焦点深度が広がる。すなわち、広い焦点深度に対して高い解像度が得られるため、上記<1>に記載の光拡散層を設けて露光ビームを適度に散乱させても、従来の画像形成装置よりも広範な焦点深度において高い解像度を得ることができる。
<3> 前記光拡散層のヘイズ値が、5%以上であることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の画像形成装置である。
上記<3>の発明によれば、実用上要求される焦点深度を確保することができる。LPH露光装置の取り付けの位置決めを行う際、約±85μmの取り付け誤差が発生するため、焦点深度としては±85μm以上なければならない。本発明では、光拡散層のヘイズ値を5%以上とすることで、±85μm以上の焦点深度を確保できることを明らかにしたのである。
<4> 前記光拡散層の厚さが、14μm以上32μm以下であることを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
上記<4>の発明によれば、長期使用によって光拡散層が磨耗した場合であっても、光拡散層としての機能を充分に発揮させることができる。
<5> 前記光拡散層が、前記感光層である、又は前記感光層よりも露光光源に近い側に設けられる層であることを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
上記<5>の発明によれば、露光ビームを効率的に散乱させることができる。
<6> 前記光拡散層が、透明樹脂バインダー中に微粒子を分散させてなることを特徴とする前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の画像形成装置。
<7> 前記微粒子の屈折率が、透明樹脂バインダーの屈折率よりも高いことを特徴とする前記<6>に記載の画像形成装置。
<8> 前記光拡散層が、前記微粒子として、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、及びポリオレフィン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする前記<6>又は<7>に記載の画像形成装置。
<9> 前記光拡散層が、前記微粒子として、金属酸化物を少なくとも1種含有することを特徴とする前記<6>又は<7>に記載の画像形成装置。
本発明によって、濃度ムラの少ない、更には解像度も高い、良好な画像が得られる画像形成装置を提供することができる。
本発明の画像形成装置は、少なくとも、導電性支持体及び該導電性支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、帯電した前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成させる露光装置と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成させる現像装置と、前記トナー像を前記電子写真感光体から被転写媒体に転写する転写装置と、を備える画像形成装置であって、前記電子写真感光体が光拡散層を有し、前記露光装置が、発光素子アレイと結像素子レンズアレイとを備えることを特徴とする。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[画像形成装置の全体構成]
図1は、本発明の画像形成装置の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。図1に示す画像形成装置100は、本発明にかかる電子写真感光体107と、電子写真感光体107を帯電させるコロトロンやスコロトロンなどの帯電装置108と、帯電装置108に接続された電源109と、帯電装置108により帯電される電子写真感光体107を露光して静電潜像を形成する発光素子アレイと結像素子レンズアレイとを備えた露光装置110と、露光装置110により形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置111と、現像装置111により形成されたトナー像を被転写媒体500に転写する転写装置112と、転写後に電子写真感光体107に残留しているトナーを除去するクリーニング装置113と、除電器114と、定着装置115とを備える。なお、本発明においては、除電器114が設けられていない画像形成装置であってもよい。
図2は本発明の画像形成装置の他の実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。図2に示す画像形成装置200は中間転写方式のカラー画像形成装置である。
画像形成装置200は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、各色について、感光体ドラム107の周面に沿って、帯電装置108、露光装置(LED Printer Head(LPH))110、現像装置111、1次転写ロール112、クリーニング装置113、除電器114が配置されている。
なお、図番に示すY、M、C、K、は、各色に係る部分であることを示す。
また、帯電装置108において、K色については帯電コロトロンを用い、Y、M及びC色では帯電ロールを用いて図示する。
転写ベルト150は、各色の感光体ドラム107と1次転写ロール112との間に挟持され、2次転写ロールに巻きかけられている。そして、2次転写ロールに巻きかけられた外側に用紙500は配置され、画像が転写されるようになっている。
画像形成装置200では、Y、M、C、K各色各々に、帯電、露光、現像、1次転写、除電、クリーニングのプロセスを行ない、転写ベルト上に、4色重ねあわせてフルカラー画像を形成し、2次転写ロールの位置で用紙に一括して転写し、図示しない定着プロセスを経て用紙上にフルカラー画像を得るものである。機械の小型化のためには、感光体ドラム107の直径を小さくすることが必要となるため、LPH110の感光体ドラム107上の占有幅を小さくする必要がある。本実施の形態で説明したLPH110は、本体内の基板には自己走査型LEDチップだけが搭載され、ドライバ130は本体外部にハーネス接続しているため、LPH本体の幅を6mm〜10mm程度に薄くすることができる。また、チップの繋ぎ目が各色重ならないようにずらすことで、フルカラー画像印字時の画像筋の低減を図ることができる。
以下、画像形成装置における各装置の構成について、詳細に説明する。
[露光装置の構成]
図3に露光装置110の概略断面図を示す。図3に示すように、露光装置110は、発光チップが配列された発光素子アレイ40と、発光素子アレイ40を支持するとともに、発光素子アレイ40の駆動を制御する各種信号を供給するための回路が形成されたプリント基板42と、発光素子アレイ40から出射した光を電子写真感光体107上に結像させるための結像素子レンズアレイ(例えば、セルフォックレンズアレイ)44と、を備えている。
発光素子アレイ40は、複数のLEDが一列に配置された複数のLEDチップにより構成されており、発光素子アレイ40全体では、LEDは、解像度に応じた画素(ドット)
数分が設けられている。
セルフォックレンズアレイ(以下、「SLA」(SELFOC Lens Alley)と称する場合がある。)などの結像素子レンズアレイ44は、結像レンズとして、屈折率分布型のプラスチックロッドレンズが解像度に応じた各画素(ドット)に対応して配列されて構成されており、各LEDから出射された光ビームを電子写真感光体107上に結像させる。
プリント基板42は、発光素子アレイ40の取り付け面を感光体に対向させてハウジング50内に配設されている。このプリント基板42には、発光素子アレイ40の他に、1ライン分の画像データを格納するシフトレジスタ(図示せず)、ラッチ回路(図示せず)、発光素子アレイ40の各LEDを駆動するために各々のLEDに対して設けられたドライバ(図示せず)、及びEEPROM(図示せず)を備えている。シフトレジスタ、ラッチ回路、及びドライバは、制御装置(図示せず)と接続されており、制御装置により各々の作動は制御されている。
図4に図3のSLAを拡大した概略図を示す。
従来、LPH用のSLAとしては、光ビームの開口角θが20度のものを多く使用していた。この場合フォーカスをずらしたときのビームの広がりが大きく、図5に示すように、実使用上の焦点深度はグレード1(G1)レベルの画像で±30μm程度でしかなかった(図5中、許容値G1の場合のヘイズ値0における焦点深度を参照。)。なお、G1レベルの画像とは、筋グレードを5段階に分け、もっとも筋が軽微なレベルであり、注意深く見ると筋がわずかに認識できるレベルをいう。なお、筋がまったく認識できないレベルはG0である。
ここで、感光体にLPHを位置決めする方法として、例えば図6(図6は感光体の軸方向から観察した図である。)のように、感光体両端に支持したベアリングに、LPH両端に設けた位置決めピンを突き当てる方法がある。
この方法において、感光体とLPH間の焦点距離精度に影響を与える因子としては、ベアリング公差、感光体公差、LPH取り付けピン精度等の累積誤差があり、これらを勘案すると、概ね±85μmのLPH取り付け位置変動が予想される。したがって、焦点深度が±85μm以上であれば、逐次、焦点調整や取り付け位置の微調整をすることなく、良好な画像を得ることができる。好ましくは、焦点調整や取り付け位置の微調整にゆるみを持たせて、焦点深度±100μm以上の場合である。
しかしながら、上述のように、これまでのLPH用のSLAと感光体とを組み合わせでは、焦点深度としては±30μmしか許容できない。そのため、機械ごとにLPHの取り付け位置の微調整を行い、筋のない画像を実現していたが、調整機構を備えたり、調整作業を行ったりすることによるコストアップが生じていた。
ここで、図5に示すように、画像の筋の許容範囲を広げ、写真やグラフィックスや出力する際は許容されないグレード2(G2)レベルの筋も許容するならば、±100μm以上の焦点深度となり(図5中、許容値G2の場合のヘイズ値0における焦点深度を参照。)、画質は悪いながら、無調整で線画像などでは問題にならないレベルの画質は達成できる。このように従来は、調整コストとの兼ね合いから、G2程度の画質で焦点深度を確保していたのが実状である。なお、G2とは筋グレードを5段階に分け、二番目に筋が軽微なレベルであり、注意深く見なくても筋が認識できるレベルをいう。
このような状況の下、本発明では焦点深度を広げるために、従来よりも開口角の小さいSLAを適用することが好ましい。図4に示すように開口角を小さくすると(図中、Aで示す線)、開口角が大きい場合(図中、Bで示す線)に比べて、フォーカスをずらした場合のビームの広がりが小さくなり、ビームの崩れが小さく焦点深度が広がる。しかし一方で、開口角が小さくなると光量が低下する。ここで、開口角とは、SLAの光軸上の発光点から入射瞳の直径に対し張る角、もしくは光軸上の像点から射出瞳の直径に対して張る角をいう。
したがって、焦点深度と光量との兼ね合いから、開口角としては9度以上18度以下であることが好適であり、12度以上18度以下であることがより好適であり、15度以上17度以下であることが更に好適である。
図7は、開口角17度のSLAの場合のヘイズ値(%)に対する焦点深度(μm)又は解像度を示すグラフである。図7に示すように、例えば開口角17度のSLAの場合であっても光拡散層を設けなければ、G1で評価した場合の焦点深度は約±60μmである(図7中、許容値G1の場合のヘイズ値0における焦点深度を参照。)。このため、開口角17度のSLAにおいても、±85μmの取り付け誤差を許容することができない。
しかし本発明においては、上記開口角を有するSLAと前記光拡散層との組み合わせによってヘイズ値が5%以上となるため、G1において±100μm以上の焦点深度を達成でき、無調整で筋のない良好な画質を達成できる。
図示しないが、開口角が18度のSLAを用い、ヘイズ値が5%以上の光拡散層を設けると、焦点深度は凡そ±85μmとなり、取り付け誤差を許容することができる。上述のように実用上望ましくは±100μm以上の焦点深度を有する場合であるため、開口角17度のSLAを用いてヘイズ値が5%以上の拡散層を設ける場合がより好適である。
一方、開口角が9度未満の場合には光量が著しく低下してしまうため、画像を形成し難い。開口角が12度以上であれば画像を形成することはできるが、光量が少ないため露光時間を多く要する。したがって、露光を含めた画像形成の迅速化を図るためには、開口角は15度以上であることがより好ましい。
なお、焦点深度(DOF:Depth of Focus)とは、LEDの光量ムラを補正した後、感光体との距離が変動したことにより発生する筋ムラにおいて、そのムラが許容レベル内である変動幅である。
[電子写真感光体の構成]
図8〜図11はそれぞれ本発明の電子写真感光体の好適な一実施形態を示す模式断面図であり、電子写真感光体107を導電性支持体2及び感光層3の積層方向に対して垂直な平面で切断したものである。図8〜図11に示した電子写真感光体107はいずれも機能分離型感光体であり、各感光体が備える感光層3には電荷発生層5と電荷輸送層6とが別個に設けられている。
より詳しくは、図8に示した電子写真感光体107においては、導電性支持体2上に電荷発生層5及び電荷輸送層6がこの順で積層されて感光層3が構成されており、図9に示した電子写真感光体107においては、導電性支持体2上に下引き層4及び感光層3がこの順で積層され、該感光層3は電荷発生層5及び電荷輸送層6で構成されている。図10に示した電子写真感光体107においては、導電性支持体2上に下引き層4、感光層3、及び保護層7がこの順で積層され、該感光層3は、電荷発生層5及び電荷輸送層6で構成されている。図11に示した電子写真感光体107においては、導電性支持体2上に下引き層4、中間層8、及び感光層3がこの順で積層され、該感光層3は電荷発生層5及び電荷輸送層6で構成されている。
図示しないが、感光層3が機能分離型感光体でない場合、すなわち感光層3が単層からなる電子写真感光体107であってもよい。感光層3が単層の場合、上記下引き層4、中間層8、及び保護層7を適宜設けることも可能である。例えば、導電性支持体2上に下引き層4及び単層からなる感光層3がこの順で積層されて電子写真感光体107を構成する場合や、導電性支持体2上に下引き層4、単層からなる感光層3及び保護層7がこの順で積層される、又は導電性支持体2に下引き層4、中間層8、及び単層からなる感光層3がこの順で積層される電子写真感光体107、等であってもよい。
本発明では、電子写真感光体は光拡散層を有する。光拡散層とは、ヘイズ値が5%以上の層をいう。本発明におけるヘイズ値は、JIS K7150に準拠した方法によって測定した値を指す。
前記発光素子アレイと結像素子レンズアレイとを備えた露光装置を光源として用いる場合、感光体の偏心等により、LPHと感光体の距離が変動すると、濃度ムラ(筋)が発生する。これは、結像点からの焦点位置のずれによる露光ビームのプロファイルが変化することに起因する。
図12は、結像点からの焦点位置ずれによる露光ビームのプロファイル変化を、CCDカメラによって観察したものである。焦点位置では、発光チップの発光プロファイルに則したビームプロファイルとなっているが、焦点位置から+方向(露光装置から離れる方向)、−方向(露光装置に近づく方向)、どちらにずれた場合でも、ビームが複数に割れ、全体的にプロファイルが大きくぼけていることがわかる。
そこで本発明では、電子写真感光体に光拡散層を設け、露光ビームを適度に散乱させて、焦点位置がずれた深度においてビームプロファイルが変化しても、潜像の形状の変化を少なくさせることで、濃度ムラの発生を抑える。
光拡散層のヘイズ値について説明する。
上記図5は、開口角20度のSLAの場合のヘイズ値(%)に対する焦点深度(μm)又は解像度を示すグラフであり、図7は、開口角17度のSLAの場合のヘイズ値(%)に対する焦点深度(μm)又は解像度を示すグラフである。
ここで、図5及び図7において、解像度(CTF:Contrast Transfer Function)とは、書き込む線画像データの濃度コントラストを1.0とした時の、用紙上のトナー画像の濃度コントラストの相対値であり、CTFが1.0とは画像が劣化していない状態であり、CTFが0.5とは濃度コントラストが半分になり、ぼけた状態を示している。実用上は0.4以上の解像度が要求されており、好ましくは0.5以上である。
まず、ヘイズ値と解像度との関係について説明する。
図5及び図7では、ヘイズ値に対する解像度は特に変わらず、ヘイズ値が大きくなるほど光の散乱が大きくなるため解像度が低下する。ヘイズ値が5%の場合には解像度は約0.6であり、高い解像度を示していることがわかる。また、実用上望まれる解像度は0.4以上であり、解像度0.4に対するヘイズ値は約20%であることから、ヘイズ値として実用上は20%程度以下であることが好ましい。
次に、ヘイズ値と焦点深度との関係を説明する。
また、上述のように、図5に示す20度のSLAの場合には、ヘイズ値が5%の場合には、G2において焦点深度が約±150μmであり、G1においては約±85μmである。図7に示す17度のSLAの場合には、ヘイズ値が5%の場合には、G1であっても焦点深度が約±100μmである。
このように本発明において光拡散層のヘイズ値は、焦点深度及び解像度によって決定されることが好ましい。したがって、好ましい光拡散層のヘイズ値は、5%〜40%であり、好ましくは10%〜30%であり、より好ましくは15%〜20%である。ヘイズ値が5%未満の場合には、実用上望ましい焦点深度を確保することができず、40%を超えるヘイズ値では、解像度が低すぎ実用し難くなる。
なお、上述ではSLAの開口角を17度及び20度の場合でヘイズ値の説明を行ったが、これら以外の開口角を有するSLAの場合でも、ヘイズ値が5%以上であれば実用上望ましい焦点深度を確保することができる。
本発明において、光拡散層は、感光層3とは別に設けても良いし、感光層3が光拡散層であってもよい。
感光層3とは別に光拡散層を設ける場合には、膜厚を0.5〜20μmとすることが好ましく、1〜10μmとすることがより好ましく、2〜5μmとすることがさらに好ましい。膜厚が、2μm以上の場合には、長期使用において光拡散層が磨耗した場合であっても、光拡散層としての本発明の機能を充分に発揮することができる。
また、感光層3とは別に光拡散層を設ける場合には、感光層よりも光源に近い側に光拡散層を設けることが、露光ビームを散乱させるのに効率的であり、焦点位置がずれた深度におけるビームプロファイルの変化に対して潜像の形状の変化を少なくさせることができる。したがって、保護層が光拡散層であることが好ましい。
また、感光層3が光拡散層であって、かつ機能分離型感光体の場合には、いずれかの層が光拡散層であればよいが、好ましくは電荷輸送層が光拡散層となる場合である。電荷輸送層の膜厚は通常20μm程度であるのに対し、電荷発生層は1μm程度であるため、電荷輸送層を光拡散層とした場合の方が、本発明の効果を得やすいからである。
電荷輸送層を光拡散層とする場合の電荷輸送層の膜厚は、電荷輸送能を発揮するためには好ましくは、14μm以上32μm以下である。
感光層3が光拡散層であって、かつ単層からなる場合であっても、感光層3を光拡散層とすることができる。
以下、電子写真感光体107の各構成要素について詳述する。
1.光拡散層
本発明にかかる光拡散層は、入射した光が拡散し5%以上のヘイズ値を有すれば、組成としては特に制限はないが、透明樹脂バインダー中に微粒子を分散させてなることが光拡散層生成時の品質安定性の観点から好ましい。微粒子としては、有機微粒子であっても無機微粒子であってもよい。
有機微粒子としては、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などをもちいることができる。
フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレンパーフルオロビニルエーテル共重合体(PFA)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、四フッ化エチレン−エチレン共重合(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、三フッ化塩化エチレン樹脂(PCTFE)が好ましく、より好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、である。
シリコーン系樹脂としては、メチルシリコーン、フェニルシリコーン、フェニルメチルシリコーンが好ましく、具体的には、東芝シリコーン製トスパール等である。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体等である。
有機微粒子としてフッ素系樹脂を用いると、フッ素系樹脂の有する潤滑性の効果により、感光体の磨耗率が低下して感光体の寿命が長くなるため、より好ましい態様である。
有機微粒子を用いる場合、光の拡散性と得られる画像の解像度との関係から好ましい粒子サイズは、0.01〜2μmであり、より好ましくは0.1〜1μmである。ここで、粒子サイズは、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)で測定した値を指す。
無機微粒子としては、金属酸化物、炭酸塩、金属硫化物が好ましく、具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料や、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料等である。
無機微粒子を用いる場合、好ましい粒子サイズは、光の拡散性と得られる画像の解像度との関係から0.01〜2μmであり、より好ましくは0.1〜1μmである。
前記微粒子は、透明樹脂バインダーの屈折率よりも高い屈折率を有することが、得られる画像の解像度の観点から好ましい。本発明において、微粒子の屈折率は、液浸法により測定したものを指す。液浸法は、分散液の屈折率を変え、光を照射して分散液中の微粒子による散乱光が目視により見えなく
なった時の屈折率を微粒子の屈折率とする方法である。
透明樹脂バインダーの屈折率は、以下の方法で測定した値をいう。
ガラス基板に、ディッピング法によりCTL(Charge Transport Layer)膜を作製する。ガラス基板上に成膜されたCTLについて下記の屈折率の測定を行う。
サンプルを分光光度計(日立製作所製330型)にセットし、各波長(400nm〜2600nm)に対する透過率を測定した。透過率をT%とすると、屈折率との間には下記の式(1)の関係が成り立つため、式(1)式より屈折率nを計算する。
式(1) T/100=n(1+ng)/(n+ng)
n:サンプルの屈折率、ng:ガラスの屈折率(1.530)
透明樹脂バインダーとは、上記方法によって測定した屈折率値が、1.8以下のバインダーをいう。このようなバインダーとしては、下記の電荷輸送層や保護層で挙げる結着樹脂を適用できるが、ポリカーボネート樹脂が好ましい。
2.導電性支持体
導電性支持体2としては、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、ニッケル等の金属製;シート、紙、プラスチック、ガラス等の導電性支持体上にアルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属を蒸着したもの;酸化インジウム、酸化スズ等の導電性金属化合物を上記導電性支持体に蒸着したもの;金属箔を上記導電性支持体にラミネートしたもの;カーボンブラック、酸化インジウム、酸化スズ−酸化アンチモン粉、金属粉、ヨウ化銅等を結着樹脂に分散し、上記導電性支持体に塗布することによって導電処理したもの等が挙げられる。また、導電性支持体2の形状は、ドラム状、シート状、プレート状のいずれであってもよい。
また、導電性支持体2として金属製パイプ導電性支持体を用いる場合、当該パイプ導電性支持体の表面は素管のままのものであってもよいが、予め表面処理により導電性支持体表面を粗面化しておくことも可能である。表面処理としては、鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニング等が挙げられる。
3.下引き層
下引き層4に用いられる材料としては、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤等の有機ジルコニウム化合物;チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤等の有機チタン化合物;アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物;アンチモンアルコキシド化合物;ゲルマニウムアルコキシド化合物;インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物等の有機インジウム化合物;マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物等の有機マンガン化合物;スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物等の有機スズ化合物;アルミニウムシリコンアルコキシド化合物;アルミニウムチタンアルコキシド化合物;アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物、などの有機金属化合物が挙げられる。これらの中でも、有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物は、残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましく使用される。
また、下引き層4には、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。さらに、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。
また、本発明においては、下引き層4に金属酸化物微粒子を含有せしめることも可能である。金属酸化物微粒子としては、所望の電子写真感光体特性が得られるものであれば、公知の金属酸化物より任意に選択できるが、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛から選ばれる1種以上の金属酸化物微粒子が好ましく用いられる。また、これらの金属酸化物微粒子は、少なくとも1種以上のカップリング剤で被覆されていることがより好ましく、カップリング剤としてはシランカップリング剤がより好ましい。
また、下引き層4中には電子輸送性顔料を混合/分散して使用することもできる。電子輸送性顔料としては、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子求引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が上げられる。これらの顔料の中ではペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料と多環キノン顔料が、電子移動性が高いので好ましく使用される。電子輸送性顔料は多すぎると下引き層の強度が低下し、塗膜欠陥を生じるため95質量%以下、好ましくは90質量%以下で使用される。
下引き層4は、上記材料を所定の有機溶剤に混合/分散した塗布液を導電性支持体2上に塗布し、乾燥により溶剤を除去することにより形成される。下引き層用塗布液を調製する際の混合/分散方法としては、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等が挙げられる。また、有機溶剤としては、有期金属化合物や樹脂を溶解し、電子輸送性顔料を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであればいかなるものも使用できる。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。塗布液の乾燥は、溶剤を蒸発させ、製膜可能な温度で行われる。このようにして得られる下引き層4の厚みは、金属酸化物微粒子を含有しない場合は、0.1〜10μmであることが好ましく、さらに、0.5〜5.0μmであることがより好ましい。また、金属酸化物微粒子を含有する場合には、15μmを超えることが好ましく、15〜50μmであることがより好ましい。下引き層4の膜厚が上記条件を満たすと、電子写真感光体における局所的な絶縁破壊(感光体リーク)をより確実に防止することができる。また、長期連続使用においても、安定した特性を得ることができる。
4.中間層
中間層8に用いられる材料としては、前記下引き層4に用いられる材料と同様に、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤等の有機ジルコニウム化合物;チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤等の有機チタン化合物;アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物;アンチモンアルコキシド化合物;ゲルマニウムアルコキシド化合物;インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物等の有機インジウム化合物;マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物等の有機マンガン化合物;スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物等の有機スズ化合物;アルミニウムシリコンアルコキシド化合物;アルミニウムチタンアルコキシド化合物;アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物、などの有機金属化合物が挙げられる。これらの中でも、有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物は、残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましく使用される。
また、中間層8には、前記下引き層4と同様に、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン
、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。さらに、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。
また、中間層8中には、前記下引き層4と同様に、電子輸送性顔料を混合/分散して使用することもできる。電子輸送性顔料としては、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子求引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が上げられる。これらの顔料の中ではペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料と多環キノン顔料が、電子移動性が高いので好ましく使用される。電子輸送性顔料は多すぎると下引き層の強度が低下し、塗膜欠陥を生じるため95質量%以下、好ましくは90質量%以下で使用される。
中間層8は、前記下引き層4と同様に、上記材料を所定の有機溶剤に混合/分散した塗布液を導電性支持体2上に塗布し、乾燥により溶剤を除去することにより形成される。下引き層用塗布液を調製する際の混合/分散方法としては、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等が挙げられる。また、有機溶剤としては、有期金属化合物や樹脂を溶解し、電子輸送性顔料を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであればいかなるものも使用できる。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。塗布液の乾燥は、溶剤を蒸発させ、製膜可能な温度で行われる。このようにして得られる中間層8の厚みは、0.1〜10μmであることが好ましく、さらに、0.5〜5μmであることがより好ましい。中間層8の膜厚が上記条件を満たすと、電子写真感光体を、長期連続使用した場合においても、安定した特性を得ることができる。
5.電荷発生層
電荷発生層5は既知の電荷発生材料及び結着樹脂から構成される。電荷発生材料は、金属フタロシアニン顔料、特にその中でも以下に説明している特定の結晶を有するヒドロキシガリウムフタロシアニンが好ましい。本発明に用いるヒドロキシガリウムフタロシアニンは、特開平5−263007号公報及び、特開平5−279591号公報に開示されるように、公知の方法で製造されるクロロガリウムフタロシアニン結晶を、酸又はアルカリ性溶液中での加水分解又はアシッドペースティングを行って、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を合成し、直接溶剤処理を行うか、或いは、合成によって得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を溶剤と共にボールミル、乳鉢、サンドミル、ニーダー等を用いて湿式粉砕処理を行うか、溶剤を用いずに乾式粉砕処理を行った後に溶剤処理することによって製造することができる。上記の処理において使用される溶剤は、芳香族類(トルエン、クロロベンゼン等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)、脂肪族アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、脂肪族多価アルコール類(エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等)、芳香族アルコール類(ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等)、エステル類(酢酸エステル、酢酸ブチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、ジメチルスルホキサイド、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、さらには数種の混合系、水とこれら有機溶剤の混合系などである。使用される溶剤は、ヒドロキシガリウムフタロシアニンに対して、1〜200部、好ましくは10〜100部の範囲で用いる。処理温度は、0〜150℃、好ましくは室温〜100℃の範囲で行う。また、粉砕の際に食塩、ぼう硝等の磨砕助剤を用いることもできる。磨砕助剤は顔料に対し0.5〜20倍、好ましくは1〜10倍用いる。
結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシランなどの有機光導電性ポリマーから選択することもできる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂をあげることができるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
電荷発生材料と結着樹脂の配合比は(重量比)は10:1〜1:10の範囲が好ましい。またこれらを分散させる方法としてはボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いることができるが、この際、分散によって該の結晶型が変化しない条件が必要とされる。ちなみに本発明で実施した前記の分散法のいずれについても分散前と結晶型が変化していないことが確認されている。さらにこの分散の際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下の粒子サイズにすることが有効である。またこれらの分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
また、本発明で用いる電荷発生層5の厚みは一般的には、0.1〜5μm、好ましくは0.2〜2.0μmが適当である。電荷発生層5を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。さらに、顔料の分散安定性や、光感度を増す目的、あるいは、電気特性を安定化させる目的で、顔料を処理したものを用いても良い。
6.電荷輸送層
電荷輸送層6は、電荷輸送物質及び結着樹脂を含んで構成される。かかる電荷輸送物質としては、具体的には、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニルピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N’−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニルN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル]−(1−ナフチル)−フェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリルキナゾリンなどのキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N’−ジフェニルアニリンなどのα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体等の正孔輸送物質が挙げられる。また、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送物質も使用可能である。さらに、上記化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体を用いることもできる。これらの電荷輸送物質は、1種を単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。
また、電荷輸送層6の結着樹脂としては、電気絶縁性のフィルム形成可能な樹脂が好ましい。このような樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−カルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルフォルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、フェノール樹脂、ポリアミド、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーワックス、ポリウレタン等が挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。結着樹脂と電荷輸送物質との配合比(重量比)はいずれの場合も任意に設定することができるが、電気特性低下、膜強度低下に注意しなくてはならない。
電荷輸送層6は、上記材料を含む電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層5上に塗布し、乾燥させることにより形成される。塗布液に用いる溶剤としては、所望の電子写真感光体特性が得られるものであれば、公知の有機溶剤より任意に選択できるが、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が好適に使用される。また、これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。電荷輸送層6の厚みは、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜40μmである。
電荷輸送層6には、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光・熱による感光体の劣化を防止する目的で、感光層中に酸化防止剤・光安定剤などの添加剤を添加することができる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’,−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
ヒンダードアミン系化合物としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等が挙げられる。
有機イオウ系酸化防止剤としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。
有機燐系酸化防止剤としては、トリスノニルフェニルフォスフィート、トリフェニルフォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−フォスフィート等が挙げられる。
有機硫黄系及び有機燐系酸化防止剤は、2次酸化防止剤と呼ばれ、フェノール系又はアミン系などの1次酸化防止剤と併用することにより相乗効果を得ることができる。
光安定剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テトラメチルピペリジン系などの誘導体が挙げられる。
ベンゾフェノン系光安定剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系光安定剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’,6’’−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’,−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’,−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
その他の化合物として2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケル ジブチル−ジチオカルバメート等がある。 また、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として少なくとも1種の電子受容性物質を含有せしめることができる。電子受容性物質としては、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニルキノン、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等が挙げられる。これらの中でも、フルオレノン系、キノン系や、Cl、CN、NO 等の電子求引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
また、電荷輸送層6には、磨耗を低減する目的で、固形潤滑剤や金属酸化物を分散させることができる。固形潤滑剤としては、フッ素含有樹脂粒子(四フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン及びそれらの共重合等)、ケイ素含有樹脂粒子等を挙げることができる。また、金属酸化物としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化スズ等を挙げることができる。固形潤滑剤を分散すると、電荷輸送層表面の摩擦係数が減少するため、摩耗を抑制することができる。また、金属酸化物を分散すると、電荷輸送層の機械的硬度が上昇するため、摩耗を抑制することができる。また、フッ素含有樹脂粒子は難分散粒子のためフッ素含有高分子系分散助剤を用いると分散性が向上される。上記固形潤滑剤や金属酸化物を分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー、ホモジナイザー、高圧処理式ホモジナイザー等の方法を用いることができる。この分散の際、分散粒子を1.0μm以下、好ましくは0.5μm以下にすることが有効である。
また、塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。
電荷輸送層を光拡散層とする場合、上記ヘイズ値の範囲となるよう微粒子を含有させれば、その含有量は特に制限は無いが、有機微粒子を用いる場合には、電荷輸送層に含有される結着樹脂に対して、有機微粒子を1〜10質量%含有させることが好ましく、より好ましくは2〜8質量%であり、更に好ましくは3〜5質量%である。無機微粒子を用いる場合には、結着樹脂に対して、有機無機微粒子を1〜10質量%含有させることが好ましく、より好ましくは2〜8質量%であり、更に好ましくは3〜5質量%である。
7.保護層
電荷輸送層6の上に、さらに保護層7を設けることもできる。保護層7は、積層構造からなる電子写真感光体107では帯電時の電荷輸送層の化学的変化を防止し、また感光層の機械的強度をさらに改善する為に用いられる。
この保護層7は、硬化性樹脂、電荷輸送性化合物を有する樹脂硬化膜、導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させて形成された膜などから成る。硬化性樹脂としては公地の樹脂であれば何でも使用できるが、例えばフェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シロキサン樹脂等が挙げられる。電荷輸送性樹脂硬化膜としては公知の電荷輸送性化合物から誘導される有機機を有する樹脂硬化膜であればいかなるものも使用できる。導電性材料としては、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタンなどの導電性金属酸化物が挙げられる。
保護層を光拡散層とする場合、上記ヘイズ値の範囲となるよう微粒子を含有させれば、その含有量は特に制限は無いが、有機微粒子を用いる場合には、保護層に含有される結着樹脂に対して、有機微粒子を1〜10質量%含有させることが好ましく、より好ましくは2〜8質量%であり、更に好ましくは3〜5質量%である。無機微粒子を用いる場合には、結着樹脂に対して、無機微粒子を1〜10質量%含有させることが好ましく、より好ましくは2〜8質量%であり、更に好ましくは3〜5質量%である。
保護層7には、塗布を容易にするため、必要に応じて溶剤を添加して用いることができる。具体的には、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、ジメチルエーテル、ジブチルエーテル、等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
保護層7の形成において、塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
保護層7の膜厚は0.5〜20μm、特に2〜10μmであることが望ましい。
本発明により得られた電子写真感光体は高解像度を得るための電荷発生層より上層の機能層の膜厚は50μm以下、好ましくは40μm以下が好ましく用いられる。
以上では、感光層が機能分離型の場合について説明を行ったが、感光層が単層の場合においても、感光層を光拡散層としてもよいし、保護層を光拡散層としてもよい。
なお、単層からなる感光層を光拡散層とする場合には、上記ヘイズ値の範囲となるよう微粒子を含有させれば、その含有量は特に制限は無いが、有機微粒子を用いる場合には、保護層に含有される結着樹脂に対して、有機微粒子を1〜10質量%含有させることが好ましく、より好ましくは2〜8質量%であり、更に好ましくは3〜5質量%である。無機微粒子を用いる場合には、結着樹脂に対して、無機微粒子を1〜10質量%含有させることが好ましく、より好ましくは2〜8質量%であり、更に好ましくは3〜5質量%である。
[帯電装置]
帯電装置108としては、芯材の外周面に弾性層、抵抗層、保護層等を設けたものが好適に用いられる。
芯材の材質としては、導電性を有するもの、例えば、鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等が用いられる。また、導電性粒子等を分散した樹脂成形品等を用いることができる。
弾性層の材質としては、導電性あるいは半導電性を有するもの、例えば、ゴム材に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散したものが使用可能である。ゴム材としてはEPDM、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソブチレン、SBR、CR、NBR、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、SBS、熱可塑性エラストマー、ノルボーネンゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンオキシドゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、エポキシゴム等が用いられる。導電性粒子あるいは半導電性粒子としてはカーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属、ZnO−Al、SnO−Sb、In−SnO、ZnO−TiO、MgO−Al、FeO−TiO、TiO、SnO、Sb、In、ZnO、MgO等の金属酸化物が用いることができる。これらの材料は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
抵抗層および保護層の材質としては結着樹脂に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散し、その抵抗を制御したものである。結着樹脂としてはアクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリチオフェン樹脂、PFA、FEP、PET等のポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂等が用いられる。導電性粒子あるいは半導電性粒子としては弾性層と同様のカーボンブラック、金属、金属酸化物が用いられる。また必要に応じてヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の酸化防止剤、クレー、カオリン等の充填剤や、シリコーンオイル等の潤滑剤を添加することができる。これらの層を形成する手段としてはブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、溶融成形法、注入成形法等を用いることができる。
これらの帯電装置を用いて感光体を帯電させる際には、帯電装置に電圧が印加されるが、かかる印加電圧は直流電圧、直流電圧に交流電圧を重畳したもののいずれでもよい。
帯電装置の形状としては、図1ではローラー型を示しているが、ローラーのほかブレード、ベルト等のいずれの形状であってもよく、画像形成装置の仕様や形態に合わせて、任意に選択することができる。
本発明の電子写真感光体に用いられる帯電方式には、特に制限はない。しかし、近年は、オゾンの発生量が少なく、環境負荷性の小さい接触帯電方式が好ましく用いられる傾向にある。一般に、接触帯電方式は、スコロトロンやコロトロンなどの非接触式帯電方式と比較して帯電能力が弱く、特に高速応答が必要な画像形成装置においては問題となりやすい。帯電能力が弱い場合、電子写真感光体の感光層中に残留している電荷が、カブリなどの画質欠陥を引き起こす原因となる。しかし、本発明にかかる電子写真感光体によれば、電荷発生層中に存在する、電荷を残留させる要因となる結晶型の崩れたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料粒子が少ないため、前記のような画質欠陥が生じにくく、接触式帯電方式との組み合わせで、好適に使用することができる。
[現像装置]
現像装置111としては、一成分系、二成分系等の正規または反転現像剤を用いた従来より公知の現像装置等を用いることができる。
現像装置111に使用されるトナーの形状については、特に制限はなく、不定形、球形あるいは他の特定の形状のものであっても、使用することができる。しかし、高画質化、エコロジーの観点から球形トナーが好ましく用いられる。球形トナーとは、高転写効率を達成するために、平均形状係数(ML/A)100〜145、好ましくは100〜140の範囲で表される球形状を有するトナーである。この平均形状係数(ML/A)が145より大きくなると転写効率が低下してしまい、プリントサンプルの画質の低下が目視で確認できてしまう。
球形トナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤を含有してなる。この球形トナーは、好ましくは体積平均粒子径で2〜12μmの粒子、より好ましくは3〜9μmの粒子を用いることができる。
結着樹脂としては、スチレン類、モノオレフィン類、ビニルエステル類、α―メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類等の単独重合体および共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等も挙げられる。
着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして挙げられる。
球形トナーには、帯電制御剤、離型剤、他の無機微粒子等の公知の添加剤を内添加処理や外添加処理してもよい。
離型剤としては低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして挙げられる。
帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプ等の帯電制御剤を用いることができる。
他の無機微粒子としては、粉体流動性、帯電制御等の目的で、平均1次粒径が40nm以下の小径無機微粒子を用い、更に必要に応じて、付着力低減の為、それより大径の無機あるいは有機微粒子を併用してもよい。これらの他の無機微粒子は公知のものを使用できる。
また、小径無機微粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性をあげる効果が大きくなるため有効である。
球形トナーは、特に製造方法により限定されるものではなく、公知の方法により得ることができる。具体的には、例えば混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法等が挙げられる。また上記方法で得られた球形トナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法を行ってもよい。外添剤を添加する場合、球形トナー及び外添剤をヘンシェルミキサーあるいはVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、球形トナーを湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
[転写装置]
転写装置112としては、ローラー状の接触帯電部材の他、ベルト、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、あるいはコロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等、が挙げられる。
[クリーニング装置]
クリーニング装置113は、転写工程後の電子写真感光体の表面に付着する残存トナーを除去するためのもので、これにより清浄面化された電子写真感光体は上記の画像形成プロセスに繰り返し供される。クリーニング装置としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、ロールクリーニング等を用いることができるが、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
また、本発明の画像形成装置は、図1に示したように、除電器(イレース光照射装置)114をさらに備えていてもよい。これにより、電子写真感光体が繰り返し使用される場合に、電子写真感光体の残留電位が次のサイクルに持ち込まれる現象が防止されるので、画像品質をより高めることができる。
[被転写媒体]
被転写媒体500は、電子写真感光体状に形成されたトナー像を転写する媒体であれば特に制限はない。
[中間転写体]
1.ベルト形状の中間転写体
ベルト状の中間転写体の場合、導電性支持体として用いる樹脂材料としては、従来公知の樹脂を用いることができる。例えば、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンテレフタレート(PAT)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド等の樹脂材料及びこれらを主原料としてなる樹脂材料が挙げられる。さらに、樹脂材料と弾性材料をブレンドして用いることができる。
弾性材料としては、ポリウレタン、塩素化ポリイソプレン、NBR、クロロピレンゴム、EPDM、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等を1種類、又は2種類以上をブレンドしてなる材料を用いることができる。これらの導電性支持体に用いる樹脂材料及び弾性材料に、必要に応じて、電子伝導性を付与する導電剤やイオン伝導性を有する導電剤を1種類又は2種類以上を組み合わせて添加する。この中でも、機械強度に優れる点で、導電剤を分散させたポリイミド樹脂を用いることが好ましい。上記の導電剤としては、カーボンブラック、金属酸化物、ポリアニリン等の導電性ポリマーを用いることができる。
中間転写体としてベルトの形状の構成を採用する場合、一般にベルトの厚さは50〜500μmが好ましく、60〜150μmがより好ましいが、材料の硬度に応じて適宜選択することができる。
例えば、導電剤を分散させたポリイミド樹脂からなるベルトは、特開昭63−311263号公報に記載されているように、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の溶液中に導電剤として5〜20質量%のカーボンブラックを分散させ、分散液を金属ドラム上に流延して乾燥した後、ドラムから剥離したフィルムを高温下に延伸してポリイミドフィルムを形成し、さらに適当な大きさに切り出してエンドレスベルトとすることにより製造することができる。
上記フィルム成形は、一般には、導電剤を分散したポリアミド酸溶液の成膜用原液を円筒金型に注入して、例えば、100〜200℃に加熱しつつ500〜2000rpmの回転数で円筒金型を回転させながら、遠心成形法によりフィルム状に成膜し、次いで、得られたフィルムを半硬化した状態で脱型して鉄芯に被せ、300℃以上の高温でポリイミド化反応(ポリアミド酸の閉環反応)を進行させて本硬化させることにより行うことができる。また、成膜原液を金属シート上に均一な厚みに流延して、上記と同様に100〜200℃に加熱して溶媒の大半を除去し、その後300℃以上の高温に段階的に昇温してポリイミドフィルムを形成する方法もある。また、中間転写体は表面層を有していても良い。
2.ドラム形状の中間転写体
図2においては、ベルト状の中間転写体を示したが、中間転写体はベルト状であっても、ドラム状であってもよい。
中間転写体としてドラム形状を有する構成を採用する場合、導電性支持体としては、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)、銅等で形成された円筒状導電性支持体を用いることが好ましい。この円筒状導電性支持体上に、必要に応じて弾性層を被覆し、該弾性層上に表面層を形成することができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例によって限定されるものではない。
<実施例1>
シランカップリング剤(KBM603:信越化学工業社製)で表面処理を行った酸化亜鉛(テイカ社製試作品:比表面積値16m/g、平均粒径70nm)60重量部と硬化剤 ブロック化イソシアネート スミジュール3175)(住友バイエルンウレタン社製):15重量部とブチラール樹脂 BM−1 (積水化学社製) 15重量部をメチルエチルケトン85重量部に溶解した溶液38重量部とメチルエチルケトン:25重量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート:0.005重量部を添加し、下引き層用塗布液を得た。得られた塗布液を浸漬塗布法にて直径30mm、長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウム導電性支持体上に塗布し、160℃、100分の乾燥硬化を行い厚さ20μmの下引き層を得た。
次に、下引き層上に感光層を形成した。まず、電荷発生物質としてのCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、ユニオンカーバイト社製)10部、n−酢酸ブチル200部からなる混合物を、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。
得られた分散液にn−酢酸ブチル175部、メチルエチルケトン180部を添加し、攪拌して電荷発生層用の塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、常温で乾燥して、厚みが0.2μmの電荷発生層を形成した。
さらに、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1、1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン4部と、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(分子量4万)6重量部と、ポリテトラフルオロエチレン(商品名;ルブロン、ダイキン化学社製)0.24重量部とをテトラフドロフラン80重量部を加えて溶解した塗布液を電荷発生層上に形成し、115℃、40分の乾燥を行うことにより膜厚15μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体−11を得た。用いたポリテトラフルオロエチレンの分子量は、架橋性樹脂のため測定できなかったが、粒子径は0.1μmであった。
ここで、該電荷輸送層のヘイズ値をJISK7150の方法により測定したところ、10%であった。
また、使用したビスフェノールZポリカーボネート樹脂とポリテトラフルオロエチレンの屈折率を膜透過率と液浸法の方法を用いて測定したところ、それぞれ、1.68と2.0であった。
電子写真感光体−11と同様の方法で、但し、電荷輸送層の膜厚が25μm、32μmとなるように電子写真感光体−12及び13を作製した。
また、電子写真感光体−11と同様の方法で、但し、ポリテトラフルオロエチレンをビスフェノールZポリカーボネート樹脂に対して、8質量%、16質量%、0質量%となるように添加して電子写真感光体−21、−31、及び−01を作製した。さらに電荷輸送層の膜厚が25μm、32μmとなるよう、表1に示す電子写真感光体を作製した。
これらの電荷輸送層についてもヘイズ値を測定した。測定により得られた膜厚とヘイズ値の関係を図13に示す。
上記のように作製した電子写真感光体を用いるよう、フルカラーレーザープリンター(富士ゼロックス社製:DocuPrintColor1250)に、日本板硝子社製の開口角17度のSLAを備えるLPH(LED Print Head)を搭載できるように改造し、焦点(図3におけるZ方向)を−150μm〜+150μmの間でずらして、評価した。
濃度ムラの評価は、評価用の限度見本チャートによって筋グレードとして評価した。筋グレードが1のときの焦点深度(DOF)を図14に示す。ここで、筋グレード1とは、筋グレードを5段階に分け、もっとも筋が軽微なレベルであり、注意深く見ると筋がわずかに認識できるレベルをいう。
画質の評価は、評価用総合チャートによって行った。
また、解像度の評価は、解像度評価用のチャートを本発明を用いたプリンターから出力し、その濃度プロファイルをミクロ濃度計で測定することによって行った。
評価結果を下記表1に示す。
表1及び図14から明らかなように、光拡散層を有する電子写真感光体では、焦点深度が著しく大きくなり、濃度ムラが抑えられることがわかる。画質についても、本実施例においてはヘイズが5%〜44%の間では、実用に耐え得るものであった。
さらに、本実施例ではPTFEのような潤滑性を有する微粒子を添加した為、感光体の磨耗率が低減するという効果も得られた。
一方、比較例である感光体−01,02及び03では、焦点深度が±75μm以下であるため、LPHの取り次け等で生ずる約±85μmの誤差を許容することができない。
<実施例2>
実施例1では、電荷輸送層に有機微粒子であるポリテトラフルオロエチレンを用いたが、実施例2では、無機微粒子である酸化チタン微粒子に代えて実施した。以下に、詳細を説明する。
シランカップリング剤(KBM603:信越化学工業社製)で表面処理を行った酸化亜鉛(テイカ社製試作品:比表面積値16m/g、平均粒径70nm)60重量部と硬化剤 ブロック化イソシアネート スミジュール3175)(住友バイエルンウレタン社製):15重量部とブチラール樹脂 BM−1 (積水化学社製)15重量部をメチルエチルケトン85重量部に溶解した溶液38重量部とメチルエチルケトン:25重量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート:0.005重量部を添加し、下引き層用塗布液を得た。得られた塗布液を浸漬塗布法にて直径30mm、長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウム導電性支持体上に塗布し、160℃、100分の乾燥硬化を行い厚さ20μmの下引き層を得た。
次に、下引き層上に感光層を形成した。まず、電荷発生物質としてのCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、ユニオンカーバイト社製)10部、n−酢酸ブチル200部からなる混合物を、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。
得られた分散液にn−酢酸ブチル175部、メチルエチルケトン180部を添加し、攪拌して電荷発生層用の塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、常温で乾燥して、厚みが0.2μmの電荷発生層を形成した。
さらに、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1、1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン4部と、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(分子量4万)6重量部と、酸化チタン粒子0.24重量部とをテトラフドロフラン80重量部を加えて溶解した塗布液を電荷発生層上に形成し、115℃、40分の乾燥を行うことにより膜厚15μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体−101を得た。用いた酸化チタン粒子の粒子径は0.1μmであった。
ここで、該電荷輸送層のヘイズ値をJISK7150の方法により測定したところ、10%であった。
また、使用したビスフェノールZポリカーボネート樹脂と酸化チタン粒子の屈折率を膜透過率と液浸法の方法を用いて測定したところ、それぞれ、1.68と2.5であった。
電子写真感光体−101と同様の方法で、但し、電荷輸送層の膜厚が25μm、32μmとなるように電子写真感光体−102及び103を作製した。
また、電子写真感光体−101と同様の方法で、但し、酸化チタンをビスフェノールZポリカーボネート樹脂に対して、8質量%、16質量%、0質量%となるように添加して電子写真感光体−201、−301、及び−001を作製した。さらに電荷輸送層の膜厚が25μm、32μmとなるよう、表2に示す電子写真感光体を作製した。
これらの電荷輸送層についてもヘイズ値を測定した。
上記のように作製した電子写真感光体を用いるよう、フルカラーレーザープリンター(富士ゼロックス社製:DocuPrintColor1250)をLPH(LED Print Head)を搭載できるように改造し、焦点(図3におけるZ方向)を−150μm〜+150μmの間でずらして、実施例1と同様の方法で評価した。
表2から明らかなように、光拡散層を有する電子写真感光体では、焦点深度が著しく大きくなり、濃度ムラが抑えられることがわかる。画質についても、本実施例においてはヘイズが5%〜44%の間では、実用に耐え得るものであった。
さらに、本実施例では酸化チタン粒子のような樹脂に対して高硬度の微粒子を添加した為、感光体の磨耗率が低減するという効果も得られた。
一方、比較例である感光体−001,002及び003では、焦点深度が±75μm以下であるため、LPHの取り次け等で生ずる約±85μmの誤差を許容することができない。
本発明の画像形成装置の好適な一実施形態を示す概略構成図である。 本発明の画像形成装置の他の実施形態を示す概略構成図である。 本発明の電子写真式画像形成装置に使用される、露光装置の好適な一実施形態を示す模式断面図である。 SLAの概略拡大図である。 開口角20度のSLAの場合のヘイズ値(%)に対する焦点深度(μm)又は解像度を示すグラフである。 LPHの位置決め方法の一例を説明する図である。 開口角17度のSLAの場合のヘイズ値(%)に対する焦点深度(μm)又は解像度を示すグラフである。 本発明の電子写真式画像形成装置に使用される、電子写真感光体の好適な一実施形態を示す模式断面図である。 本発明の電子写真式画像形成装置に使用される、電子写真感光体の好適な一実施形態を示す模式断面図である。 本発明の電子写真式画像形成装置に使用される、電子写真感光体の好適な一実施形態を示す模式断面図である。 本発明の電子写真式画像形成装置に使用される、電子写真感光体の好適な一実施形態を示す模式断面図である。 結像点からの焦点位置ずれによる露光ビームのプロファイル変化を示す図である。 実施例において得られた、膜厚とヘイズ値との関係を示す図である。 実施例において得られた、膜厚と焦点深度との関係を示す図である。
符号の説明
2…導電性支持体
3…感光層
4…下引き層
5…電荷発生層
6…電荷輸送層
7…保護層
8…中間層
40…発光素子アレイ
42…プリント基板
44…結像素子レンズアレイ
50…ハウジング
100、200…画像形成装置
107…電子写真感光体
108…帯電装置
109…電源
110…露光装置(LED Printer Head(LPH))
111…現像装置
112…転写装置
113…クリーニング装置
114…除電器(イレース光照射装置)
115…定着装置
130…LPHドライバ
150…転写ベルト
500…被転写媒体

Claims (5)

  1. 少なくとも、導電性支持体及び該導電性支持体上に形成された感光層を有する電子写真
    感光体と、
    前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、
    帯電した前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成させる露光装置と、
    前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成させる現像装置と、
    前記トナー像を前記電子写真感光体から被転写媒体に転写する転写装置と、を備える画
    像形成装置であって、
    前記露光装置が、発光素子アレイと結像素子レンズアレイとを備え、
    前記電子写真感光体が、光拡散層を有することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記結像素子レンズアレイの開口角が、9度以上18度以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記光拡散層のヘイズ値が、5%以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記光拡散層の厚さが、14μm以上32μm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記光拡散層が、前記感光層である、又は前記感光層よりも露光光源に近い側に設けられる層であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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