JP2006288400A - 耐熱性リボヌクレアーゼh - Google Patents

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Abstract

【課題】遺伝子工学において利用価値の高いRNaseH活性を有するポリペプチド、該ポリペプチドをコードする遺伝子、ならびに該ポリペプチドの遺伝子工学的製造方法を提供すること。
【解決手段】特定のアミノ酸配列を有する耐熱性リボヌクレアーゼH活性を有するポリペプチド、該ポリペプチドをコードする遺伝子、組換えDNAにより形質転換されてなる形質転換体、ならびに形質転換体を培養することを特徴とする耐熱性リボヌクレアーゼH活性を有するポリペプチドの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明はポリペプチド、さらに詳しくは、遺伝子工学において利用価値の高いリボヌクレアーゼH活性を有するポリペプチドに関する。また、本発明は該ポリペプチドの遺伝子工学的生産に有用な遺伝子に関する。さらに、本発明は該ポリペプチドの遺伝子工学的な製造方法に関する。
リボヌクレアーゼ(RNA分解酵素)にはエンド型とエキソ型が存在し、基質特異性も多様で、複雑な生理活性に関与している。リボヌクレアーゼ活性を有する酵素としては、リボヌクレアーゼT1、リボヌクレアーゼT2、リボヌクレアーゼH、リボヌクレアーゼP、リボヌクレアーゼI、リボヌクレアーゼII、リボヌクレアーゼIII、リボヌクレアーゼIV、リボヌクレアーゼL等の酵素が知られている。
リボヌクレアーゼH(本明細書に於いては、RNaseHと称する場合もある)は1969年にW.H.ステイン及びP.ハウゼンにより仔ウシ胸腺から初めて単離された。現在、RNaseHは種々の動物細胞、酵母等の真核生物及び大腸菌等の原核生物に広く存在する細胞性RNaseHと、RNA腫瘍ウイルスに存在するウイルス性RNaseHとに分けられている。1種の細胞に数種のRNaseH活性が存在しており、Mg2+、Mn2+等の2価金属イオン要求性である。
大腸菌由来RNaseHは155アミノ酸からなる分子量約17kDaの加水分解酵素であって、DNA/RNAハイブリッドのRNA鎖のみを特異的にエンド型で切断するという基質特異性を有する。生成したオリゴマーは5’末端にリン酸基を、3’末端に水酸基を有する。
大腸菌由来RNaseHとしては、RNaseHIとRNaseHIIが同定されている。RNaseHIの生理的機能として、Col E1プラスミドの複製において、1)正常な複製開始点ではない箇所に結合したRNAを分解し、正常な複製開始点を確保する、2)正常な複製開始点に特異的なRNAプライマーの合成をすることが示されている。しかしながら、RNaseHIIの機能は未だ不明である。
RNaseHの重要性は遺伝子工学の発展に伴ってますます増大すると思われるが、この酵素は、大腸菌内での発現量が極めて低いことから、組換えDNA技術による該酵素の生産が試みられており、既にBRL、アマシャム ファルマシア バイオテク及び宝酒造等から、組換えDNA技術により生産されたRNaseHが供給されている。
これらの市販の組換えRNaseHは、大腸菌を宿主として生産されるものである〔非特許文献1〕。また、大腸菌由来RNaseHよりも極めて高い安定性を有する好熱菌由来RNaseHの大腸菌による製造法も報告されている〔非特許文献2〕が、大腸菌を用いて産生された好熱菌RNaseHの酵素活性は大腸菌由来RNaseHよりも低いものであった。
RNaseHは、その基質特異性に基づき、下記に例示される様な用途を有し、極めて利用価値の高い酵素として注目されている。
1)cDNAのクローニングの際の鋳型mRNAの除去。
2)mRNAのポリA領域の除去。
3)RNAの断片化。
しかしながら、上述のように耐熱性を有するRNaseHは大腸菌由来RNaseHよりも生産性及び酵素活性が低いものしかなく、RNaseHの用途拡大のため、大腸菌と同等もしくはそれ以上の生産性及び酵素活性を有する耐熱性RNaseHの開発が望まれていた。
金谷ら、ザ ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(The Journal of Biological Chemistry)、第264巻、第11546−11549頁(1989) 金谷ら、第2回日本蛋白工学会年会プログラム・要旨集(1990)、69頁;特許第2533671号公報
本発明の目的は、遺伝子工学において利用価値の高いRNaseH活性を有するポリペプチド、該ポリペプチドをコードする遺伝子ならびに該ポリペプチドの遺伝子工学的製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の事情を鑑み、耐熱性RNaseHを得るために鋭意研究及び探索を行った結果、高いRNaseH活性を有する耐熱性RNaseHポリペプチドを見出した。更に、得られた耐熱性RNaseHは遺伝子工学的手法による製造においても生産性がよいことも見出し、本発明を完成するに至った。
本発明を概説すれば、本発明の第1の発明は、耐熱性リボヌクレアーゼHポリペプチドに関し、下記の群より選択され、かつ、耐熱性リボヌクレアーゼH活性を有することを特徴とするポリペプチドに関する。
(a)配列表の配列番号9、17、23、32,37、47、57又は59のいずれか1つに示されるアミノ酸配列又はその一部を有するポリペプチド;
(b)配列表の配列番号9、17、23、32,37、47、57又は59のいずれか1つに示されるアミノ酸配列において、少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失、付加、挿入又は置換を有するポリペプチド;
(c)配列表の配列番号9、17、23、32、37、47、57又は59のいずれか1つに示されるアミノ酸配列と少なくとも71%の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド。
本発明の第2の発明は、耐熱性リボヌクレアーゼHをコードする核酸に関し、下記の群より選択され、かつ、耐熱性リボヌクレアーゼH活性を有するポリペプチドをコードする核酸に関する。
(a)配列表の配列番号9、17、23、32、37、47、57又は59のいずれか1つに示されるアミノ酸配列又はその一部を有するポリペプチドをコードする核酸;
(b)配列表の配列番号9、17、23、32、37、47、57又は59のいずれか1つに示されるアミノ酸配列において、少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失、付加、挿入又は置換を有するポリペプチドをコードする核酸;
(c)配列表の配列番号8、16、22、31、36、46、56又は58のいずれか1つに示される塩基配列を有する核酸;
(d)配列表の配列番号8、16、22、31、36、46、56又は58のいずれか1つに示される塩基配列において、少なくとも1つの塩基がアミノ酸配列に翻訳される形での欠失、付加、挿入又は置換を有する塩基配列からなる核酸;
(e)前記(a)〜(d)のいずれか記載の核酸又はその相補鎖とストリンジェントな条件下にハイブリダイズしうる核酸;
(f)配列表の配列番号8、16、22、31、36、46、56又は58のいずれか1つに示される塩基配列に少なくとも69%の相同性を有する塩基配列である核酸。
本発明の第3の発明は組換えDNAに関し、第2の発明の核酸を含んでなることを特徴とする。
本発明の第4の発明は形質転換体に関し、第3の発明の組換えDNAにより形質転換されてなることを特徴とする。
本発明の第5の発明は耐熱性リボヌクレアーゼH活性を有するポリペプチドの製造方法に関し、第4の発明の形質転換体を培養し、該培養物中より耐熱性リボヌクレアーゼH活性を有するポリペプチドを採取することを特徴とする。
第6の発明はプラスミドpRHB11、pBCA3Nd2、pPFU220、pTM−RNH、pPHO238、pAFU204、pTLI204又はpTCE207のいずれか1つを導入した形質転換体を培養して得られる、耐熱性リボヌクレアーゼH活性を有するポリペプチドに関する。なお、これらのプラスミドを有する大腸菌株は、ブダペスト条約の下、それぞれFERM BP−7655、FERM BP−7653、FERM BP−7654、FERM BP−7652、FERM BP−7692、FERM BP−7691、FERM BP−7693およびFERM BP−7694の受託番号の下、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託されている。
遺伝子工学において利用価値の高いRNaseH活性を有するポリペプチド、該ポリペプチドをコードする遺伝子ならびに該ポリペプチドの遺伝子工学的製造方法が提供される。
以下、本発明に関して具体的に説明する。
本明細書において、RNaseHとは、DNA/RNAハイブリッドのRNA鎖のみを特異的にエンド型で切断するという基質特異性を有する加水分解酵素であって、生成したオリゴマーが5’末端にリン酸基を、3’末端に水酸基を有するものをいう。
本発明において、ポリペプチドが耐熱性のRNaseH活性を有するとは、特に限定するものではないが、60℃以上の温度で15分間保持した後においてもRNaseH活性を有することを意味する。
耐熱性RNaseH活性は、例えば、次のようにして測定することができる。
ポリ(rA)及びポリ(dT)(ともにアマシャム ファルマシア バイオテク製)1mgをそれぞれ1mM EDTAを含む40mMトリス−HCl(pH7.7)1mlに溶解し、ポリ(rA)溶液及びポリ(dT)溶液を調製する。
次に、4mM MgCl2、1mM DTT、0.003%BSA、4%グリセロールを含む40mMトリス−HCl(pH7.7)に、終濃度20μg/mlとなるようにポリ(rA)溶液を、終濃度30μg/mlとなるようにポリ(dT)溶液を加え、37℃で10分間反応後、4℃に冷却し、ポリ(rA)−ポリ(dT)溶液を調製する。
このポリ(rA)−ポリ(dT)溶液100μlに酵素液1μlを加え、40℃で10分間反応させ、0.5M EDTA 10μlを加えて反応を停止させた後、260nmの吸光度を測定する。対照として、上記反応液に0.5M EDTA 10μlを加えた後、40℃で10分間反応させ、吸光度を測定する。その後、EDTA非添加で反応させ求めた吸光度から対照の吸光度を引いた値(吸光度差)を求めることにより、酵素反応によってポリ(rA)−ポリ(dT)ハイブリッドから遊離したヌクレオチドの濃度を吸光度差から求め、本発明の耐熱性RNaseH活性を測定することができる。
また、活性測定しようとする酵素液1μlに40℃であらかじめインキュベーションした反応液〔20mMヘペス−水酸化カリウム(pH8.5)、0.01%牛血清アルブミン(宝酒造社製)、1%ジメチルスルホキシド、4mM酢酸マグネシウム、20μg/mlポリ(dT)(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)、30μg/mlポリ(rA)(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)〕100μlを添加し、40℃で10分間反応させた後、0.5M EDTA(pH8.0)10μlで反応を停止し、260nmの吸光度を測定することにより、本発明の耐熱性RNaseH活性を測定することもできる。
RNaseHの1単位(ユニット)は、1nmolのリボヌクレオチドが遊離したのに相当するA260を10分間に増加させる酵素量とし、下記の式に従って算出することができる。
単位(unit)=〔吸光度差×反応液量(ml)〕/0.0152
本発明のポリペプチドは、耐熱性RNaseH活性を示す限りにおいて、配列表の配列番号9、17、23、32、37、47、57又は59のいずれか1つに示されるアミノ酸配列に1個以上のアミノ酸残基の欠失、付加、挿入もしくは置換の少なくとも1つがなされたアミノ酸配列で示されるポリペプチドを包含する。
すなわち、天然に存在するポリペプチドにはそれをコードするDNAの多型や変異の他、生成後のポリペプチドの生体内および精製中の修飾反応などによってそのアミノ酸配列中にアミノ酸の欠失、挿入、付加、置換等の変異が起こりうる。しかし、このような変異が該ポリペプチドの活性や構造の保持に関して重要でない部分に存在する場合には、変異を有しないポリペプチドと実質的に同等の生理、生物学的活性を示すものがあることが知られている。
人為的にポリペプチドのアミノ酸配列に上記のような変異を導入した場合も同様であり、この場合にはさらに多種多様の変異体を作製することが可能である。例えば、ヒトインターロイキン2(IL−2)のアミノ酸配列中のあるシステイン残基をセリンに置換したポリペプチドがインターロイキン2活性を保持することが知られている〔サイエンス(Science)、第224巻、1431頁(1984)〕。
また、ある種のポリペプチドは、活性には必須でないペプチド領域を有していることが知られている。例えば、細胞外に分泌されるポリペプチドに存在するシグナルペプチド、プロテアーゼの前駆体等に見られるプロ配列あるいはプレ・プロ配列などがこれにあたり、これらの領域のほとんどは翻訳後、あるいは活性型ポリペプチドへの転換に際して除去される。このようなポリペプチドは一次構造上は異なった形で存在しているが、最終的には同等の機能を発現するポリペプチドである。
本発明により単離された、配列表の配列番号8、16、22、31、36、46、56又は58に示される塩基配列の遺伝子には、それぞれ配列表の配列番号9、17、23、32、37、47、57又は59記載のアミノ酸配列を持つポリペプチドがコードされており、該ポリペプチドは耐熱性RNaseH活性を有している。そこから、活性には必須でないペプチド領域が削除さらたポリペプチドも、本願のポリペプチドに含まれる。
遺伝子工学的にポリペプチドの生産を行う場合には、目的のポリペプチドのアミノ末端、あるいはカルボキシル末端に該ポリペプチドの活性とは無関係のペプチド鎖が付加されることがある。例えば、目的のポリペプチドの発現量を上げるために、使用される宿主中で高発現されているポリペプチドのアミノ末端領域の一部を目的のポリペプチドのアミノ末端に付加した融合ポリペプチドが作製されることがある。あるいは、発現されたポリペプチドの精製を容易にするために、特定の物質に親和性を有するペプチドを目的のポリペプチドのアミノ末端またはカルボキシル末端に付加することも行われている。これらの付加されたペプチドは目的ポリペプチドの活性に悪影響をおよぼさない場合には付加されたままであってもよく、また、必要であれば適当な処理、例えば、プロテアーゼによる限定分解などによって目的ポリペプチドから除去できるようにすることもできる。
従って、本発明によって開示されたアミノ酸配列(配列番号9、17、23、32、37、47、57又は59)に1個以上のアミノ酸残基の欠失、挿入、付加又は置換が生じたアミノ酸配列によって示されるポリペプチドであっても、耐熱性RNaseH活性を有していれば本発明の範囲内に属するものである。
また、本発明によって開示されたアミノ酸配列(配列番号9、17、23、32、37、47、57又は59)に少なくとも71%、好ましくは80%、さらに好ましくは90%の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、耐熱性RNaseH活性を有していれば本発明の範囲内に属するものである。
上記相同性は、例えばコンピュータープログラムDNASIS−Mac(宝酒造社製)、コンピュータアルゴリズムFASTA(バージョン3.0;パーソン(Pearson,W.R.)ら、Pro.Natl.Acad.Sci.,85:2444-2448,1988)、コンピューターアルゴリズムBLAST(バージョン2.0;Altschulら、Nucleic Acids Res. 25:3389-3402,1997)によって測定することができる。
例えば、上記アミノ酸配列の相同性が、バチルス カルドテナックス(Bacillus caldotenax)由来のリボヌクレアーゼHII(配列表の配列番号9)と少なくとも44%、バチルス カルドテナックス由来のリボヌクレアーゼHIII(配列表の配列番号17)と少なくとも47%、ピロコッカス フリオサス(Pyrococcus furiosus)由来リボヌクレアーゼH(配列表の配列番号23)と少なくとも69%、サーモトガ マリティマ(Thermotoga maritima)由来リボヌクレアーゼH(配列表の配列番号59)と少なくとも53%、アルカエオグロバス フルギダス(Archaeoglobus fulgidus)由来リボヌクレアーゼH(配列表の配列番号37)と少なくとも51%、サーモコッカス リトラリス(Thermococcus litoralis)由来リボヌクレアーゼH(配列表の配列番号47)と少なくとも65%、サーモコッカス セラー(Thermococcus celer)由来リボヌクレアーゼH(配列表の配列番号57)と少なくとも71%、ピロコッカス ホリコシイ(Pyrococcus horikoshii)由来リボヌクレアーゼH(配列表の配列番号32)と少なくとも71%であるアミノ酸配列を有するポリペプチドは、耐熱性RNaseH活性を有していれば本発明の範囲内に属するものである。
本発明のポリペプチドは、例えば、(1)本発明のポリペプチドを生産する微生物の培養物からの精製、(2)本発明のポリペプチドをコードする核酸を含有する形質転換体の培養物からの精製、等の方法により製造することができる。
(1)本発明のポリペプチドを生産する微生物の培養物からの精製
本発明のポリペプチドを生産する微生物としては、例えば、ドイッチェ・ザムルンク・フォン・ミクロオルガニスメン・ウント・ツェルクルツレンGmbH(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)より購入可能なバチルス カルドテナックス(DSM406)、ピロコッカス フリオサス(DSM3638)やサーモトガ マリティマ(DSM3109)、アルカエオグロバス フルギダス(DSM4139)、サーモコッカス リトラリス(DSM5473)、サーモコッカス セラー(DSM2476)又は理化学研究所より購入可能なピロコッカス ホリコシイ(JCM9974)等が挙げられる。微生物の培養は、その微生物の生育に適した条件で行えばよく、好ましくは、目的のポリペプチドの発現量が高くなるような培養条件が用いられる。かくして菌体あるいは培養液中に生産された目的のポリペプチドは、通常のタンパク質の精製に用いられる方法によって精製することができる。
上記菌株の培養にあたっては、通常、耐熱菌の培養に用いられる方法が利用でき、培地に加える栄養源は該菌株が利用しうるものであればよい。炭素源としては、例えば、デンプン等が利用でき、窒素源としては、例えば、トリプトン、ペプトン、酵母エキス等が利用できる。培地中には、マグネシウム塩、ナトリウム塩、鉄塩等の金属塩を微量元素として加えてもよい。また、例えば、海洋性の耐熱菌の場合、培地の調製に人工海水を用いることが有利である。
培養は静置培養又は撹拌培養で行なうことができるが、例えば、アプライド アンド エンバイロンメンタル マイクロバイオロジー(Applied and Environmental Microbiology)、第55巻、第2086−2088頁(1992)に記載のように、透析培養法を用いてもよい。培養条件や培養時間は、使用する菌株、培地組成に応じ、ポリペプチドの生産量が最大になるように設定するのが好ましい。
ポリペプチドを採取するに当たっては、まず、無細胞抽出液を調製する。無細胞抽出液は、例えば、培養液から遠心分離、ろ過などによって菌体を集め、ついで菌体を破砕することにより調製できる。菌体の破砕方法としては、超音波破砕、ビーズ破砕、溶菌酵素処理等のうちから目的酵素の抽出効果の高い方法を選べばよい。また、培養液上清中に該ポリペプチドが分泌されている場合には、硫安塩析法や限外濾過法等によって培養液上清中のポリペプチドを濃縮し、これを無細胞抽出液とする。かくして得られた無細胞抽出液からポリペプチドを単離するにあたっては、通常のタンパク質の精製に用いられる方法を使用できる。例えば、硫安塩析処理、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー等の方法を組み合わせて使用できる。
(2)本発明のポリペプチドをコードする核酸を含む組換えDNAにより形質転換された形質転換体の培養物からの精製
本発明のポリペプチドをコードする核酸、例えば配列番号8、16、22、31、36、46、56又は58に示される塩基配列を有する核酸を含む組換えDNAで形質転換された形質転換体より、本発明のポリペプチドを取得することができる。配列番号8に示される塩基配列からは配列番号9に示されるアミノ酸配列のポリペプチドが、配列番号16に示される塩基配列からは配列番号17に示されるアミノ酸配列のポリペプチドが、配列番号22に示される塩基配列からは配列番号23に示されるアミノ酸配列のポリペプチドが、配列番号31に示される塩基配列からは配列番号32に示されるアミノ酸配列のポリペプチドが、配列番号36に示される塩基配列からは配列番号37に示されるアミノ酸配列のポリペプチドが、配列番号46に示される塩基配列からは配列番号47に示されるアミノ酸配列のポリペプチドが、配列番号56に示される塩基配列からは配列番号57に示されるアミノ酸配列のポリペプチドが、配列番号58に示される塩基配列からは配列番号59に示されるアミノ酸配列のポリペプチドが、それぞれ生成する。
さらに、本発明のプラスミドpRHB11、pBCA3Nd2、pPFU220、pTM−RNH、pPHO238、pAFU204、pTLI204又はpTCE207のいずれか1つを導入した形質転換体を培養して得られる培養物から本発明のポリペプチドを精製してもよい。
形質転換される宿主には特に限定はなく、例えば、大腸菌、枯草菌、酵母、糸状菌、植物、動物、植物培養細胞、動物培養細胞等、組換えDNAの分野で通常使用されている宿主が挙げられる。
例えば、本発明のポリペプチドは、lacプロモーターやT7ファージプロモーターの下流に本発明の核酸を連結したプラスミドを保持する大腸菌を通常の培養条件、例えば、100μg/mlのアンピシリンを含むLB培地(トリプトン10g/リットル、酵母エキス5g/リットル、NaCl 5g/リットル、pH7.2)中、37℃で対数増殖期まで培養後、1mMとなるようイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシドを添加し、さらに37℃で培養することにより、培養菌体中にポリペプチドを発現させることができる。
培養終了後、遠心分離によって集めた菌体を超音波で破砕し、さらに遠心分離して上清を集め、無細胞抽出液とする。該無細胞抽出液は耐熱性RNaseH活性を示す。さらにイオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過、疎水クロマトグラフィー、硫安沈殿等の公知の方法を用いることにより該無細胞抽出液から本発明のポリペプチドを精製することができる。上記の精製過程において得られる部分精製品も、当然ながらRNaseH活性を示す。なお、本発明の核酸を連結したプラスミドを保持する大腸菌で発現される本発明のポリペプチドは耐熱性を有しているため、精製手段として培養菌体及び/又は無細胞抽出液に対して、例えば、40℃以上の温度で、約10分間の熱処理を行って熱変性して不溶化した宿主由来のタンパク質を除去してもよい。また、この熱処理の温度や時間は、適宜、最適な温度及び時間を選択すればよい。
上記のように本発明のポリペプチドを、当該ポリペプチドをコードする核酸を保持する形質転換体を用いて常温、例えば、37℃で発現させた場合でも、得られた発現産物はその活性、耐熱性などを保持している。すなわち、本発明のポリペプチドは、その本来の生産菌が生育する温度とは離れた温度において発現された場合にも、その固有の高次構造を形成し得る。
本発明の核酸は、本発明のポリペプチドをコードする核酸であり、具体的には、配列表の配列番号9、17、23、32、37、47、57又59のいずれか1つに記載のアミノ酸配列、または該配列において1個以上のアミノ酸残基の欠失、付加、挿入もしくは置換の少なくとも1つがなされたアミノ酸配列で示され、かつ、耐熱性RNaseH活性を示すポリペプチドをコードする核酸(1)、配列表の配列番号8、16、22、31,36、46、56又は58のいずれか1つに記載の塩基配列で示される核酸(2)、および上記核酸(1)または(2)にストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能であるか、(1)または(2)の塩基配列に少なくとも69%、好ましくは80%、さらに好ましくは90%の相同性を有する塩基配列で、かつ耐熱性RNaseH活性を示すポリペプチドをコードする核酸(3)等である。
上記塩基配列の相同性は、コンピュータープログラムDNASIS−Mac、コンピュータアルゴリズムFASTA(バージョン3.0)、BLAST(バージョン2.0)によって測定することができる。
本明細書における核酸とは、1本鎖または2本鎖のDNAまたはRNAを意味する。上記核酸(2)がRNAである場合は、例えば配列表の配列番号8記載の塩基配列においてTをUで置換した塩基配列で示される。
本発明の核酸は、例えば、次のようにして得ることができる。
まず、配列表の配列番号8、16、22、31,36、46、56又は58のいずれか1つに記載の塩基配列で示される核酸(2)は、本発明のポリペプチドの説明中に記載した方法で培養したバチルス カルドテナックス(DSM406)、ピロコッカス フリオサス(DSM3638)、サーモトガ マリティマ(DSM3109)、アルカエオグロバス フルギダス(DSM4139)、サーモコッカス リトラリス(DSM5473)、サーモコッカス セラー(DSM2476)又はピロコッカス ホリコシイ(JCM9974)より常法にしたがってゲノムDNAを調製し、それを用いて作製したDNAライブラリーから単離することができる。またこのゲノムDNAを鋳型としたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、配列表の配列番号8、16、22、31,36、46、56又は58のいずれか1つに記載の塩基配列で示される核酸を増幅することによっても取得できる。
また、本発明により提供される、本発明のポリペプチドをコードする核酸の塩基配列、例えば配列表の配列番号8、16、22、31,36、46、56又は58のいずれか1つに記載の塩基配列を基に、本発明のポリペプチドと同様の耐熱性RNaseH活性を有するポリペプチドをコードする核酸を取得することも可能である。すなわち、本発明のポリペプチドをコードする核酸、またはその塩基配列の一部をハイブリダイゼーションのプローブに用いることにより、耐熱性RNaseH活性を有するポリペプチドをコードするDNAを、細胞から抽出したDNA、該DNAを鋳型として得られたPCR産物等からスクリーニングすることができる。あるいは上記の塩基配列から設計されたプライマーを使用したPCR等の遺伝子増幅法を用いることにより、耐熱性RNaseH活性を有するポリペプチドをコードするDNAを増幅することができる。また、耐熱性RNaseH活性を有するポリペプチドをコードするDNAを化学的に合成することも可能である。かかる方法により、上記核酸(1)または(3)を得ることができる。
上記の方法では目的の核酸の一部のみを含む核酸断片が得られることがあるが、その際には得られた核酸断片の塩基配列を調べて、それが目的の核酸の一部であることを確かめた上、該核酸断片、あるいはその一部をプローブとしてハイブリダイゼーションを行うか、または該核酸断片の塩基配列に基づいて合成されたプライマーを用いてPCRを行うことにより、目的の核酸全体を取得することができる。
上記の「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」とは、1989年、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー発行、T.マニアティス(T. Maniatis)ら編集、モレキュラー クローニング:ア ラボラトリー マニュアル第2版(Molecular Cloning : A Laboratory Manual 2nd ed.)等に記載された条件でハイブリダイズ可能なことを意味し、例えば、以下の条件でハイブリダイズ可能なことをいう。すなわち、核酸を固定したメンブレンを0.5%SDS、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.1%ポリビニルピロリドン、0.1%フィコール400、0.01%変性サケ精子核酸を含む6×SSC(1×SSCは0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.0を示す)中で、50℃にて12〜20時間、プローブとともにインキュベートする。インキュベーション終了後、0.5%SDSを含む2×SSC中、37℃での洗浄から始めて、SSC濃度は0.1倍までの範囲で、また、温度は50℃までの範囲で変化させ、固定された核酸由来のシグナルがバックグラウンドと区別できるようになるまでメンブレンを洗浄したうえ、プローブの検出を行う。また、こうして得られた新たな核酸について、そこにコードされているタンパクの有する活性を上記同様の方法によって調べることにより、得られた核酸が目的とするものであるかどうかを確認することができる。
また、オリゴヌクレオチドプローブを使用する場合、前記「ストリンジェントな条件」としては、特に限定されないが、例えば、6×SSC、0.5%SDS、5×デンハルト、0.01%変性サケ精子核酸を含む溶液中、〔Tm−25℃〕の温度で一晩保温する条件などをいう。
オリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーのTmは、例えば、下記の式により求められる。
Tm=81.5−16.6 (log10[Na+])+0.41 (%G+C)−(600/N)
(式中、Nはオリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーの鎖長であり、%G+Cはオリゴヌクレオチドプローブまたはプライマー中のグアニンおよびシトシン残基の含有量である。)
また、オリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーの鎖長が18塩基より短い場合、Tmは、例えば、A+T(アデニン+チミン)残基の含有量と2℃との積と、G+C残基の含有量と4℃との積との和〔(A+T)×2+(G+C)×4〕により推定することができる。
本発明においては、本発明のポリペプチドをコードする核酸にストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能な核酸は、本明細書に開示された塩基配列と同一の塩基配列ではなくとも、それが耐熱性RNaseH活性を示すポリペプチドをコードする限り本発明の範囲に含まれるものであることは上記したとおりである。
すなわち、遺伝子上でアミノ酸を指定するコドン(3つの塩基の組み合わせ)はアミノ酸の種類ごとに1〜6種類ずつが存在することが知られている。したがって、あるアミノ酸配列をコードする核酸はそのアミノ酸配列にもよるが多数存在することができる。核酸は自然界において決して安定に存在しているものではなく、その塩基配列に変異が起こることはまれではない。核酸上に起こった変異がそこにコードされるアミノ酸配列には変化を与えない場合(サイレント変異と呼ばれる)もあり、この場合には同じアミノ酸配列をコードする異なる核酸が生じたといえる。したがって、ある特定のアミノ酸配列をコードする核酸が単離されても、それを含有する生物が継代されていくうちに同じアミノ酸配列をコードする多種類の核酸ができていく可能性は否定できない。さらに同じアミノ酸配列をコードする多種類の核酸を人為的に作製することは種々の遺伝子工学的手法を用いれば困難なことではない。
例えば、遺伝子工学的なタンパク質の生産において、目的のタンパク質をコードする本来の核酸上で使用されているコドンが宿主中では使用頻度の低いものであった場合には、タンパク質の発現量が低いことがある。このような場合にはコードされているアミノ酸配列に変化を与えることなく、コドンを宿主で繁用されているものに人為的に変換することにより、目的タンパク質の高発現を図ることが行われている(例えば、特公平7−102146号公報)。このように特定のアミノ酸配列をコードする多種類の核酸は人為的に作製可能なことは言うまでもなく、自然界においても生成されうるものである。
本発明のポリペプチドをコードする核酸、例えば、配列表の配列番号7記載の塩基配列を有する核酸を適当なベクターに連結して組換えDNAを作成することができる。該組換えDNAの作成に使用されるベクターには特に限定はなく、例えば、プラスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター等を使用することができ、組換えDNAの使用目的に応じて適当なベクターを選択すれば良い。
さらに、当該組換えDNAを適当な宿主に導入して形質転換体を作成することができる。形質転換体の作成に使用される宿主にも特に限定はなく、細菌、酵母、糸状菌等の微生物の他、動物、植物、昆虫等の培養細胞等を使用することができる。当該形質転換体を培養して培養物中に本発明のポリペプチドを産生させることにより、本発明のポリペプチドを大量に製造することが可能となる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
好熱菌バチルス カルドテナックス由来のRNaseHの調製
トリプトン(ディフコラボラトリーズ社製)0.2%、酵母エキス(ディフコラボラトリーズ社製)1.5%を含む培地(pH6.5)100mlにバチルス カルドテナックスYT−G株(Bacillus caldotenax YT-G、ドイッチェ ザムルンク フォン ミクロオルガニスメンより購入:DSM406)を植菌し、60℃で140分間振とう培養し、この培養液を前培養液とした。ついで、同組成の培地3lに前培養液30mlを接種し、通気量2.5l/分、攪拌数250回転/分、温度60℃で5時間培養した。
培養液を遠心分離(5000×g、15分)し、集菌した。湿菌重量402gの菌体を10mMメルカプトエタノール、0.5M NaCl、1mM EDTA、20μM PAPMSFを含む50mMトリス−HCl緩衝液(pH7.5)1000mlに懸濁し、MINI−Lab(APV GAULIN/RANNIE社製)にて菌体を破砕後、遠心分離で細胞残渣を除き、上清を回収した。
得られた上清液に終濃度が0.1%となるようにポリエチレンイミン溶液を加え、攪拌後、1時間放置し、遠心分離にて上清を回収した。この上清液に50%飽和となるように硫酸アンモニウムを加え、遠心分離で得られた沈殿を10mMメルカプトエタノール、0.1mM EDTA、50mM NaCl、10%グリセロールを含む20mMトリス−HCl緩衝液(pH7.5)に溶解し、同緩衝液に対して透析した。同緩衝液で平衡化した280mlのDE52カラム(ワットマン社製)に透析試料を負荷し、非吸着画分を集めた。
さらに平衡化に用いた緩衝液420mlで洗浄し、洗浄画分を集めた。DE52カラムクロマトグラフィーでの非吸着画分と洗浄画分を混合し、10mMメルカプトエタノール、0.1mM EDTA、50mM NaCl、10%グリセロールを含む20mMトリス−HCl緩衝液(pH7.5)で平衡化した240mlのP−11カラム(ワットマン社製)に負荷した。その後、0〜0.5M NaClを含む平衡化緩衝液で溶出させた。
得られた活性画分を透析チューブに入れ、固体のポリエチレングリコール20000上に置き、4℃で脱水濃縮した。次に、5mMメルカプトエタノール、0.5mM EDTA、30mM NaCl、10%グリセロールを含む25mMトリス−HCl緩衝液(pH7.5)で平衡化した300mlのSuperdex G−200カラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に、この酵素濃縮液を負荷した。平衡化に用いた緩衝液で溶出させ、活性画分を得た。10mMメルカプトエタノール、0.1mM EDTA、50mM NaCl、10%グリセロールを含む20mMトリス−HCl緩衝液(pH7.5)で平衡化した15mlのHeparin−Sepharoseカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に活性画分を負荷し、0〜0.5M NaClを含む平衡化緩衝液で溶出させた。
得られた活性画分を10mMメルカプトエタノール、0.1mM EDTA、50mM NaCl、10%グリセロールを含む20mMトリス−HCl緩衝液(pH7.5)で平衡化した5mlのHitrap−SPカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に負荷し、0〜0.5M NaClを含む平衡化緩衝液で溶出させた。得られた活性画分を、再度5mMメルカプトエタノール、0.5mM EDTA、30mM NaCl、10%グリセロールを含む25mMトリス−HCl緩衝液(pH7.5)で平衡化した300mlのSuperdex G−200カラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に負荷し、得られた活性画分をRNaseH標品(酵素液)とした。
耐熱性RNaseH活性は、次の方法により測定した。
ポリ(rA)及びポリ(dT)(ともにアマシャム ファルマシア バイオテク製)1mgをそれぞれ1mM EDTAを含む40mMトリス−HCl(pH7.7)1mlに溶解し、ポリ(rA)溶液及びポリ(dT)溶液を調製した。
次に、4mM MgCl2、1mM DTT、0.003%BSA、4%グリセロールを含む40mMトリス−HCl(pH7.7)に、終濃度20μg/mlとなるようポリ(rA)溶液を、終濃度30μg/mlとなるようポリ(dT)溶液を加え、37℃で10分間反応後、4℃に冷却し、ポリ(rA)−ポリ(dT)溶液を調製した。
ポリ(rA)−ポリ(dT)溶液100μlに酵素液1μlを加え、40℃で10分間反応させ、0.5M EDTA 10μlを加えて反応を停止させた後、260nmの吸光度を測定した。対照として、上記反応液に0.5M EDTA10μlを加えた後、40℃で10分間反応させ、吸光度を測定した。その後、EDTA非存在下で反応させ求めた吸光度から対照の吸光度を引いた値(吸光度差)を求めた。すなわち、酵素反応によってポリ(rA)−ポリ(dT)ハイブリッドから遊離したヌクレオチドの濃度を吸光度差から求めた。RNaseHの1単位は、1nmolのリボヌクレオチドが遊離したのに相当するA260を10分間に増加させる酵素量とし、下記の式に従って算出した。なお、酵素液を希釈した場合は、下記式の値を希釈率で補正した。
単位(unit)=〔吸光度差×反応液量(ml)〕/0.0152
実施例2
バチルス カルドテナックス RNaseHII遺伝子のクローニング
(1)バチルス カルドテナックス ゲノムDNAの調製
バチルス カルドテナックス YT−G株(DSM406)を60mlのLB培地(1%トリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl、pH7.2)に植菌し、65℃、20時間培養した。培養終了後、培養液を遠心分離し集菌した。得られた菌体を2mlの25%ショ糖、50mMトリス−HCl(pH8.0)に懸濁し、0.2mlの10mg/ml塩化リゾチーム(ナカライテスク社製)水溶液を加えて、20℃で1時間反応させた。反応終了後、この反応液に12mlの150mM NaCl、1mM EDTA、20mMトリス−HCl(pH8.0)、0.1mlの20mg/mlプロテイナーゼK(宝酒造社製)及び1mlの10%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を加え、37℃で1時間保温した。
次いで2.1mlの5M NaClと2mlのCTAB−NaCl溶液〔10%セチルトリメチルアンモニウムブロミド(ナカライテスク社製)、0.7M NaCl〕を加えてよく混合し、65℃で10分間保温した。これに等量のクロロホルム/イソアミルアルコール混合液(24:1、v/v)を加えて10分間緩やかに混合した後、10分間遠心(10000×g)を行った。遠心終了後、得られた上清に等量の100mMトリス−HCl(pH8.0)飽和フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール混合液(25:24:1、v/v)を加えて10分間緩やかに混合した後、更に10分間遠心(10000×g)を行った。遠心終了後、得られた上清に0.6容の2−プロパノールを加え、生じた糸状の沈殿をガラス棒で巻き取った。これを70%エタノール水溶液で洗浄し、風乾した後に0.5mlのTE緩衝液に溶解してゲノムDNA溶液を得た。
(2)RNaseHII遺伝子中央部のクローニング
様々な生物由来のRNaseHIIのアミノ酸配列の間で保存されている部分の内、モチーフIとモチーフIII〔バイオケミストリー(Biochemistry)、第38巻、第605−608頁(1999)〕をもとにしてオリゴヌクレオチドBsuII−3(配列番号1)とオリゴヌクレオチドBsuII−6(配列番号2)を合成した。
上記実施例2−(1)で調製したバチルス カルドテナックス ゲノムDNA溶液1μlを鋳型にして、100pmolのBsuII−3及び100pmolのBsuII−6をプライマーに用い、100μlの容量でPCRを行った。PCRでのDNAポリメラーゼはタカラ タック(宝酒造社製)を添付のプロトコールに従って用い、PCRは94℃で30秒、45℃で30秒、72℃で1分を1サイクルとして、50サイクル行った。反応終了後、反応液にフェノール処理とエタノール沈殿を行ってDNAを精製した。得られたDNAをT4 DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)を用いてDNAの末端を平滑化した後、アガロースゲル電気泳動を行い、増幅された約0.4kbのDNA断片をゲルから回収した。得られた約0.4kbのDNA断片を、SmaI(宝酒造社製)で消化したpUC119(宝酒造社製)にT4 DNAリガーゼ(宝酒造社製)を用いて連結し、大腸菌JM109を形質転換した。
この形質転換体を培養し、約0.4kbのDNA断片が挿入されたプラスミド21−12を得た。
(3)RNaseHII遺伝子上流部分のクローニング
上記実施例2−(2)で得たプラスミド21−12の約0.4kbの挿入断片の塩基配列を決定し、それをもとにオリゴヌクレオチドRNII−S1(配列番号3)とオリゴヌクレオチドRNII−S2(配列番号4)を合成した。
実施例2−(1)で調製したバチルス カルドテナックス ゲノムDNAをBamHI(宝酒造社製)で消化し、得られたBamHI消化物とSau3AIカセット(宝酒造社製)をT4 DNAリガーゼで連結し、これを鋳型としRNII−S2を1次PCRのプライマー、RNII−S1を2次PCRのプライマーとして、タカラ LA PCR イン ビトロ クローニング キット(宝酒造社製)に添付のプロトコールに従って操作を行った。フェノール処理とエタノール沈殿によって2次PCR液からDNAを精製し、T4 DNAポリメラーゼを用いてこのDNAの末端を平滑化し、その後、アガロースゲル電気泳動を行い、増幅した約1.5kbのDNA断片をゲルから回収した。得られた約1.5kbのDNA断片を、SmaIで消化したpUC119にT4 DNAリガーゼを用いて連結し、大腸菌JM109を形質転換した。
この形質転換体を培養し、約1.5kbのDNA断片が挿入されたプラスミドB25N16を得た。
(4)RNaseHII遺伝子全域のクローニング
実施例2−(3)で決定したプラスミド21−12の約0.4kbの挿入断片の塩基配列をもとにオリゴヌクレオチドRNII−S5(配列番号5)とオリゴヌクレオチドRNII−S6(配列番号6)を合成した。
実施例2−(2)で調製したプラスミド21−12を鋳型に、RNII−S5とRNII−S6をプライマーとしてPCRを行った。PCRでのDNAポリメラーゼはタカラExタック(宝酒造社製)を添付のプロトコールに従って用い、PCRは94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で30秒を1サイクルとして、25サイクル行った。反応終了後、アガロースゲル電気泳動を行い、増幅した約0.3kbのDNA断片をゲルから回収した。得られた約0.3kbのDNA断片をDIGハイプライム(ロシュ ダイアグノスティックス社製)でジゴキシゲニン標識した。
上記のジゴキシゲニン標識DNAをプローブとして、実施例2−(1)で調製したバチルス カルドテナックス ゲノムDNAをHindIII(宝酒造社製)、SacI(宝酒造社製)による消化、及びHindIIIとSacIの2重消化をそれぞれ行い、得られた消化物とサザンハイブリダイゼーションを行った。
ハイブリダイゼーションと検出はDIGルミネッセント デテクションキット(ロシュ ダイアグノスティックス社製)を添付のプロトコールに従って用いた。
その結果、HindIII消化では約4.5kbのDNA断片、SacI消化では約5.8kbのDNA断片、HindIIIとSacIの2重消化では約1.3kbのDNA断片がプローブとハイブリダイズした。
上記結果に基づき、バチルス カルドテナックス ゲノムDNAをHindIII消化してアガロースゲル電気泳動を行い、約4.5kb付近のDNA断片をゲルから回収した。得られたDNA断片をSacIで消化し、アガロースゲル電気泳動を行い、1.3kb付近のDNA断片をゲルから回収した。このDNA断片を、HindIIIとSacIで消化したpUC19(宝酒造社製)にT4 DNAリガーゼを用いて連結し、大腸菌HB101を形質転換した。
得られた形質転換体をハイボンドN(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)にレプリカし、上記のジゴキシゲニン標識プローブを用いて、常法に従ってコロニーハイブリダイゼーションを行った。こうして得られた陽性クローンからプラスミドpRHB1を調製した。
次に、pRHB1に挿入されたDNAの塩基配列を決定し、それから予想されるアミノ酸配列を枯草菌のRNaseHIIのアミノ酸配列と比較したところ、pRHB1中のDNAは開始コドンから約40bpを欠いていることが予想された。そこで以下のようにして完全長のRNaseHII遺伝子を構築した。
実施例2−(3)で調製したB25N16をHindIIIで消化し、アガロースゲル電気泳動を行った後、約160bpのDNA断片をゲルから回収した。得られた約160bpのDNA断片を、上記で調製したpRHB1のHindIII消化物にT4 DNAリガーゼを用いて連結し、大腸菌HB101を形質転換した。得られた形質転換体からプラスミドを調製した。
次に、予想される開始コドン周辺の塩基配列をもとにしてオリゴヌクレオチドRNII−Nde(配列番号7)を合成し、上記で得られた形質転換体から調製したプラスミドを鋳型とし、RNII−NdeとRNII−S6をプライマーとして、PCRを行った。この時に約0.7kbのDNA断片が増幅するプラスミドを選択し、このプラスミドをpRHB11とした。
こうして得られたプラスミドpRHB11に挿入されたDNA断片の塩基配列を決定した。その結果を解析したところ、RNaseHIIをコードすると考えられるオープンリーディングフレーム(Open reading frame;ORF)が見出された。このオープンリーディングフレームの塩基配列を配列表の配列番号8に示す。また、該塩基配列から推定されるRNaseHIIのアミノ酸配列を配列表の配列番号9に示す。
なお、プラスミドpRHB11で形質転換された大腸菌HB101は、Escherichia coli HB101/pRHB11と命名、表示され、平成12年9月5日(原寄託日)より日本国〒305−8566茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM BP−7655として寄託されている。
(5)バチルス カルドテナックス RNaseHII遺伝子の発現
pRHB11又はpRHB1で形質転換された大腸菌HB101を100μg/mlのアンピシリンを含む5mlのLB培地に植菌し、37℃で1晩振盪培養した。培養終了後、遠心分離によって集めた菌体を0.5mlのTE緩衝液に懸濁して超音波破砕し、遠心分離によって上清を得、これを菌体粗抽出液とした。
10mMトリス−HCl(pH8.0)、1mM DTT(ナカライテスク社製)、0.003%BSA(フラクションV、シグマ社製)、4%グリセロール、20μg/mlポリ(dT)(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)、30μg/mlポリ(rA)(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)を混合し、37℃で10分間保温した。これをRNaseH活性を測定するための基質液として使用した。
100μlの基質液に1μlの1M MnCl2を加えて40℃で保温し、これに10μlの10倍希釈した菌体粗抽出液を加えて反応を開始した。40℃で30分間反応を行った後、10μlの0.5M EDTAを加えて反応を停止し、260nmにおける吸光度を測定した。
その結果、pRHB1を保持する大腸菌HB101から調製した菌体粗抽出液で反応させたときに比べて、pRHB11を保持する大腸菌HB101から調製した菌体粗抽出液で反応させたときに明らかに260nmにおける吸光度の値が高かった。よって、pRHB11はRNaseHII遺伝子を含んでおり、このpRHB11を保持する大腸菌でRNaseH活性を発現することが明らかになった。
(6)精製RNaseHII標品の調製
実施例2−(4)で得られたpRHB11で形質転換された大腸菌HB101を100μg/mlのアンピシリンを含む1lのLB培地に植菌し、37℃で16時間振盪培養した。培養終了後、遠心分離によって集めた菌体を52.3mlのソニケーションバッファー〔50mMトリス−HCl(pH8.0)、2mM 2−メルカプトエタノール、10%グリセロール、2mMフェニルメタンスルフォニルフルオライド〕に懸濁し、超音波破砕機にかけた。この破砕液を12000rpmで10分間の遠心分離を行い、得られた上清を60℃、15分間の熱処理にかけた。その後、再度12000rpmで10分間の遠心分離を行い、上清を集め、50.0mlの熱処理上清液を得た。
この溶液をバッファーC〔50mMトリス−HCl(pH8.0)、2mM 2−メルカプトエタノール、10%グリセロール〕で平衡化したRESOURSE Qカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)を用いてクロマトグラフィーを行なった。その結果、RNaseHIIはRESOURSE Qカラムを素通りした。
素通りしたRNaseHII画分51mlをバッファーCで平衡化したRESOURSE Sカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステムを用いて0〜500mM NaCl直線濃度勾配により溶出し、約240mM NaClのところに溶出されたRNaseHII画分を得た。
このRNaseHII画分3.0mlを2回に分けて50mM NaClを含むバッファーCで平衡化したPD−10カラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、得られた溶出液7.0mlを50mM NaClを含むバッファーCで平衡化したHiTrap−heparinカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステムを用いて50〜550mM NaCl直線濃度勾配により溶出し、約310mM NaClのところに溶出されたRNaseHII画分を得た。
このRNaseHII画分4.4mlをセントリコン−10(アミコン社製)を用いた限外ろ過により濃縮し、280μlの濃縮液を100mM NaCl、0.1mM EDTAを含む50mMトリス−HCl(pH8.0)で平衡化したSuperdex200ゲルろ過カラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、同じバッファーで溶出を行った結果、RNaseHIIは、35キロダルトンの分子量に相当する位置に溶出された。この分子量は、RNaseHIIが1量体として存在する場合に相当する。
こうして溶出されたRNaseHIIをBcaRNaseHII標品とした。
上記で得られたBcaRNaseHII標品を用いて、以下の方法により酵素活性を測定した。
BcaRNaseHII標品1μlに40℃であらかじめインキュベーションした反応液〔20mMヘペス−水酸化カリウム(pH7.8)、0.01%牛血清アルブミン(宝酒造社製)、1%ジメチルスルホキシド、10mM塩化マンガン、20μg/mlポリ(dT)(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)、30μg/mlポリ(rA)(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)〕100μlを添加し、40℃で10分間反応さた後、0.5M EDTA(pH8.0)10μlで反応を停止し、260nmの吸光度を測定した。
その結果、BcaRNaseHII標品にRNaseH活性が認められた。
実施例3
バチルス カルドテナックス RNaseHIII遺伝子のクローニング
(1)RNaseHIII遺伝子断片のクローニング
バチルス サブチリス(Bacillus subtilis)のRNaseHIIIのアミノ酸配列〔Otani Nら、バイオケミストリー、第38巻、第605―608頁(1999)〕について、他の生物由来のRNaseHIIIのアミノ酸配列とのホモロジーを調べ、これらの間でよく保存されている領域のアミノ酸配列からRNaseHIIIをコードする遺伝子を探索するためのプライマーBsuIII−1(配列番号10)、BsuIII−3(配列番号11)、BsuIII−6(配列番号12)、BsuIII−8(配列番号13)を合成した。
実施例2−(1)で調製したバチルス カルドテナックス ゲノムDNA 200ngを鋳型にし、100pmolのBsuIII−1及び100pmolのBsuIII−8をプライマーにして、50μlの容量で1回目のPCRを行った。更にその反応液1μlを鋳型として100pmolのBsuIII−3及び100pmolのBsuIII−6をプライマーに用いて100μlの容量で2回目のPCRを行った。この2回のPCRでのDNAポリメラーゼには、タカラタック(宝酒造社製)を添付のプロトコールに従って用い、1回目のPCRは94℃で30秒、45℃で30秒、72℃で1分を1サイクルとして、25サイクル行い、2回目は30サイクル行なった。
増幅して得られた約450bpのDNA断片をT4 DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)を用いて末端を平滑化した後、アガロースゲル電気泳動を行い、約450bpのDNA断片を回収した。得られた約450bpのDNA断片を、SmaI(宝酒造社製)で消化したpUC119(宝酒造社製)にT4 DNAリガーゼ(宝酒造社製)を用いて連結し、大腸菌JM109を形質転換した。
形質転換体を培養し、約450bpのDNA断片が挿入されたプラスミドpBCA3204を得た。
(2)サザンハイブリダイゼーション法によるRNaseHIII遺伝子のクローニング
実施例3−(1)で得られたpBCA3204に挿入されたDNA断片の塩基配列を決定し、得られた配列もとにプライマーRNIII−S3(配列番号14)及びBcaRNIII−3(配列番号15)を合成した。このプライマーRNIII−S3及びBcaRNIII−3を用いて、pBCA3204を鋳型にし、100μlの容量でPCRを行なった。PCRでのDNAポリメラーゼはタカラZタック(宝酒造社製)を添付のプロトコールに従って用い、PCRは98℃で0秒、55℃で0秒、72℃で20秒を1サイクルとして、30サイクル行った。反応終了後、フェノール−クロロホルム抽出、続いてエタノール沈殿を行った。そして、アガロースゲル電気泳動を行い、約0.4kbのDNA断片をゲルから回収した。得られた約0.4kbのDNA断片をDIG DNA標識キット(ベーリンガー マンハイム社製)で標識し、プローブを調製した。
実施例2−(1)で調製したバチルス カルドテナックス ゲノムDNA 20μgをBamHI、EcoRI、HindIII、PstI、XbaI(すべて宝酒造社製)で、それぞれ完全消化した後、その半分量をアガロース電気泳動した。アガロースゲルからDNAを0.4N NaOHをもちいてナイロンメンブレンにトランスファーした後、120℃で30分間固定した。次に、メンブレンを30mlのハイブリダイゼーションバッファー〔43.4g/l塩化ナトリウム、17.6g/lクエン酸ナトリウム、1%ブロッキング剤(ベーリンガー マンハイム社製)、0.1%N−ラウロイルサルコシン、0.02%ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)〕の入ったシールドバック中で、60℃、4時間プレインキュベーションした後、プローブを含むハイブリダイゼーションバッファー5mlの入ったシールドバック中で、60℃、16時間インキュベーションした。
次に、メンブランを50mlの0.1%SDSをふくむ2×SSC(17.5g/l NaCl、7.7g/lクエン酸ナトリウム)中、室温で2回、50mlの0.1%SDSを含む0.5×SSC(4.4g/l塩化ナトリウム、1.9g/lクエン酸ナトリウム)中、45℃で2回洗浄した後、DIG核酸検出キット(ベーリンガーマンハイム社製)を用いて、プローブと相補的な配列を持った約8kbのEcoRI断片、約4.5kbのPstI断片、約1kbのHindIII断片を検出した。
PstIで完全消化したバチルス カルドテナックス ゲノムDNAの残り半分量をアガロース電気泳動し、約4.5kbのPstI断片をゲルから回収した。次に、このDNA断片と、PstI消化した後アルカリフォスファターゼ(宝酒造社製)を用いて脱リン酸化したプラスミドベクターpTV119Nとをライゲーションし、大腸菌JM109を形質転換した。
プライマーRNIII−S3及びBcaRNIII−3を用いて、コロニーを鋳型にし、50μlの容量でPCRを行ない、RNaseHIII遺伝子を持つと考えられるコロニーを選択した。このPCRには、タカラZタック(宝酒造社製)を添付のプロトコールに従って用い、PCRは98℃で0秒、55℃で0秒、72℃で20秒を1サイクルとして、30サイクル行った。この結果、No.88のコロニーに目的の遺伝子が含まれていることがわかった。
次に、このNo.88のコロニーからプラスミドを調製し、これを鋳型にプライマーRV−N(宝酒造社製)およびBcaRNIII−3又はプライマーM4(宝酒造社製)及びRNIII−S3を用いてPCRを行い、RNaseHIII遺伝子の全長が含まれているかどうかを調べた。その結果、増幅産物の鎖長よりRNaseHIIIの全長が含まれていることが予想された。このプラスミドをpBCA3P88とした。
(3)RNaseHIII遺伝子を含むDNA断片の塩基配列の決定
実施例3−(2)で得られたプラスミドpBCA3P88の挿入DNA断片の塩基配列をジデオキシ法によって決定した。
得られた塩基配列の結果を解析したところ、RNaseHIIIのN末端アミノ酸配列を有するオープンリーディングフレームが見出された。このオープンリーディングフレームの塩基配列を配列表の配列番号16に、また、該塩基配列から推定されるRNaseHIIIのアミノ酸配列を配列表の配列番号17にそれぞれ示す。
(4)RNaseHIIIを発現させるためのプラスミドの構築
実施例3−(2)に記載のプラスミドpBCA3P88を鋳型にし、上記で得られたRNaseHIIIのオープンリーディングフレームの周辺の配列を参考として設定したBcaRNIIINde(配列番号18)及びM13プライマーM4(宝酒造社製)を用いて、100μlの容量でPCRを行なった。PCRでのDNAポリメラーゼはパイロベストDNAポリメラーゼ(宝酒造社製)を添付のプロトコールに従って用い、PCRは94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で3分を1サイクルとして、30サイクル行った。この結果増幅した約4kbのDNA断片をNdeI(宝酒造社製)で消化し、アガロース電気泳動を行い、約1.4kbのNdeI断片をゲルから回収した。得られた約1.4kbのDNA断片を、NdeI消化した後アルカリフォスファターゼ(宝酒造社製)を用いて脱リン酸化したpTV119Nd(pTV119NのNcoIサイトをNdeIサイトに変換したもの)とライゲーションを行い、大腸菌JM109を形質転換した。
次に、NdeI断片中のRNaseHIII遺伝子がpTV119Ndベクターのlacプロモーター下流につながったプラスミドをスクリーニングするため、コロニーを鋳型にし、プライマーRV−N(宝酒造社製)およびBcaRNIII−3(配列番号15)を用いて、50μlの容量でPCRを行ない、RNaseHIII遺伝子を持つと考えられるコロニーを選択した。PCRでのDNAポリメラーゼはタカラZタック(宝酒造社製)を添付のプロトコールに従って用い、PCRは98℃で0秒、55℃で0秒、72℃で20秒を1サイクルとして、30サイクル行った。この結果、No.2のコロニーがNdeI断片中のRNaseHIII遺伝子がpTV119Ndベクターのlacプロモーター下流につながったプラスミドを持つことが分かり、このプラスミドをpBCA3Nd2とした。
さらに該プラスミド中の挿入DNA断片の塩基配列をジデオキシ法で確認したところ、開始コドンをGTGからATGに変換したこと以外、PCRに起因する変異のないことを確認した。
なお、プラスミドpBCA3Nd2で形質転換された大腸菌JM109は、Escherichia coli JM109/pBCA3Nd2と命名、表示され、平成12年9月5日(原寄託日)より日本国〒305−8566茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM BP−7653として寄託されている。
(5)精製RNaseHIII標品の調製
実施例3−(4)で得られたpBCA3Nd2で形質転換された大腸菌JM109を100μg/mlのアンピシリンを含む2lのLB培地に植菌し、37℃で16時間振盪培養した。培養終了後、遠心分離によって集めた菌体を39.6mlのソニケーションバッファー〔50mMトリス−HCl(pH8.0)、1mM EDTA、2mMフェニルメタンスルフォニルフルオライド〕に懸濁し、超音波破砕機にかけた。この破砕液を12000rpmで10分間の遠心分離を行い、得られた上清を60℃、15分間の熱処理にかけた。その後、再度12000rpmで10分間の遠心分離を行い、上清を集め、39.8mlの熱処理上清液を得た。
この熱処理上清液をバッファーA〔50mMトリス−HCl(pH8.0)、1mM EDTA〕で平衡化したRESOURSE Qカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)を用いてクロマトグラフィーを行なった。その結果、RNaseHIIIはRESOURSE Qカラムを素通りした。
素通りしたRNaseHIII画分45mlをバッファーB〔50mMトリス−HCl(pH7.0)、1mM EDTA〕2lを外液として、2時間の透析を3回行なった。透析後の酵素液55.8mlをバッファーBで平衡化したRESOURSE Sカラム(ファルマシア ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステムを用いて0〜500mM NaCl直線濃度勾配により溶出し、約105mM NaClのところに溶出されたRNaseHIII画分を得た。
この画分7.0mlにNaCl濃度が150mMになるように1M NaClを含むバッファーBを添加し、150mM NaClを含むバッファーBで平衡化したHiTrap−heparinカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供した。その結果、RNaseHIIIはHiTrap−heparinカラムを素通りした。
素通りしたRNaseHIII画分7.5mlをセントリコン−10(ミリポア社製)を用いた限外ろ過により濃縮し、190μlの濃縮液を100mM NaCl、0.1mM EDTAを含む50mMトリス−HCl(pH7.0)で平衡化したSuperdex200ゲルろ過カラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、同じバッファーで溶出を行った結果、RNaseHIIIは、33キロダルトンの分子量に相当する位置に溶出された。この分子量は、RNaseHIIIが1量体として存在する場合に相当する。
こうして溶出されたRNaseHIIIをBcaRNaseHIII標品とした。
上記で得られたBcaRNaseHIII標品を用いて、以下の方法により酵素活性を測定した。
BcaRNaseHIII標品1μlに40℃であらかじめインキュベーションした反応液〔20mMヘペス−水酸化カリウム(pH7.8)、0.01% 牛血清アルブミン(宝酒造社製)、1%ジメチルスルホキシド、4mM酢酸マグネシウム、20μg/mlポリ(dT)(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)、30μg/mlポリ(rA)(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)〕100μlを添加し、40℃で10分間反応さた後、0.5M EDTA(pH8.0)10μで反応を停止し、260nmの吸光度を測定した。
その結果、BcaRNaseHIII標品にRNaseH活性が認められた。
実施例4
ピロコッカス フリオサスのRNaseHII遺伝子のクローニング
(1)ピロコッカス フリオサス ゲノムDNAの調製
トリプトン(ディフコラボラトリーズ社製)1%、酵母エキス(ディフコラボラトリーズ社製)0.5%、可溶性でんぷん(ナカライテスク社製)1%、ジャマリンS・ソリッド(ジャマリンラボラトリー社製)3.5%、ジャマリンS・リキッド(ジャマリンラボラトリー社製)0.5% 、MgSO4 0.003%、NaCl 0.001%、FeSO4・7H2O 0.0001%、CoSO4 0.0001%、CaCl2・7H2O 0.0001%、ZnSO4 0.0001%、CuSO4・5H2O 0.1ppm、KAl(SO4)2 0.1ppm、H3BO4 0.1ppm、Na2MoO4・2H2O 0.1ppm、NiCl2・6H2O 0.25ppmの組成の培地2lを2l容のメジュウムボトルにいれ、120℃、20分間殺菌した後、窒素ガスを吹き込み、溶存酸素を除去し、これにピロコッカス フリオサス(Pyrococcus furiosus、ドイッチェ ザムルンク フォン ミクロオルガニスメンより購入:DSM3638)を接種して、95℃、16時間静置培養した後、遠心分離によって菌体を得た。
次に、得られた菌体を4mlの25%ショ糖、50mMトリス−HCl(pH8.0)に懸濁し、0.4mlの10mg/ml塩化リゾチーム(ナカライテスク社製)水溶液を加えて、20℃で1時間反応させた。反応終了後、この反応液に24mlの150mM NaCl、1mM EDTA、20mMトリス−HCl(pH8.0)、0.2mlの20mg/mlプロテイナーゼK(宝酒造社製)及び2mlの10%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を加え、37℃で1時間保温した。
反応終了後、フェノール−クロロホルム抽出、続いてエタノール沈殿を行い、約1mgのゲノムDNAを調製した。
(2)RNaseHII遺伝子のクローニング
ピロコッカス ホリコシ(Pyrococcus horikoshii)の全ゲノム配列が公開されており〔Kawarabayasi,Yら、DNA リサーチ(DNA Research)、第5巻、第55−76頁(1998)〕、RNaseHIIのホモログをコードする遺伝子(PH1650)が1つ存在することが明らかになっている(配列番号19、日本国 独立行政法人 製品評価技術基盤機構 ホームページ:http://www.nite.go.jp/)。
そこで、このPH1650遺伝子(配列番号19)と一部公開されているピロコッカス フリオサスのゲノム配列(University of Utah, Utah Genome Centerホームページ:http://www.genome.utah.edu/sequence.html)でホモロジー検索をおこなった。その結果、非常にホモロジーの高い配列が見つかった。
得られた配列をもとにプライマー1650Nde(配列番号20)及び1650Bam(配列番号21)を合成した。
実施例4−(1)で得たピロコッカス フリオサスDNA 200ngを鋳型にして、20pmolの1650Nde及び20pmolの1650Bamをプライマーに用い、100μlの容量でPCR行った。PCRでのDNAポリメラーゼはタカラExタック(宝酒造社製)を添付のプロトコールに従って用い、PCRは94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で1分を1サイクルとし、30サイクル行った。増幅した約0.7kbのDNA断片をNdeI及びBamHI(ともに宝酒造社製)で消化し、得られたDNA断片をプラスミドベクターpET3a(ノバジェン社製)のNdeI及びBamHI間に組込んだプラスミドpPFU220を作製した。
(3)RNaseHII遺伝子を含むDNA断片の塩基配列の決定
実施例4−(2)で得られたpPFU220の挿入DNA断片の塩基配列をジデオキシ法によって決定した。
得られた塩基配列の結果を解析したところ、RNaseHIIをコードすると考えられるオープンリーディングフレームが見出された。このオープンリーディングフレームの塩基配列を配列表の配列番号22に示す。また、該塩基配列から推定されるRNaseHIIのアミノ酸配列を配列表の配列番号23に示す。
なお、プラスミドpPFU220で形質転換された大腸菌JM109は、Escherichia coli JM109/pPFU220と命名、表示され、平成12年9月5日(原寄託日)より日本国〒305−8566茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM BP−7654として寄託されている。
(4)精製RNaseHII標品の調製
実施例4−(2)で得られたpPFU220で大腸菌HMS174(DE3)(ノバジェン社製)を形質転換し、得られたpPFU220を含む大腸菌HMS174(DE3)を100μg/mlのアンピシリンを含む2lのLB培地に植菌し、37℃で16時間振盪培養した。培養終了後、遠心分離によって集めた菌体を66.0mlのソニケーションバッファー〔50mMトリス−HCl(pH8.0)、1mM EDTA、2mMフェニルメタンスルフォニルフルオライド〕に懸濁し、超音波破砕機にかけた。この破砕液を12000rpmで10分間の遠心分離を行い、得られた上清を80℃、15分間の熱処理にかけた。その後、再度12000rpmで10分の遠心分離を行い、上清を集め、61.5mlの熱処理上清液を得た。
この熱処理上清液をバッファーA〔50mMトリス−HCl(pH8.0)、1mM EDTA〕で平衡化したRESOURSE Qカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)を用いてクロマトグラフィーを行なった。その結果、RNaseHIIはRESOURSE Qカラムを素通りした。
素通りしたRNaseHII画分60.0mlをバッファーAで平衡化したRESOURSE Sカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステムを用いて0〜500mM NaCl直線濃度勾配により溶出し、約150mM NaClのところに溶出されたRNaseHII画分を得た。
このRNaseHII画分2.0mlをセントリコン−10(ミリポア社製)を用いた限外ろ過により濃縮し、250μlの濃縮液を100mM NaCl、0.1mM EDTAを含む50mMトリス−HCl(pH8.0)で平衡化したSuperdex200ゲルろ過カラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、同じバッファーで溶出を行った結果、RNaseHIIは、17キロダルトンの分子量に相当する位置に溶出された。この分子量は、RNaseHIIが1量体として存在する場合に相当する。
こうして溶出されたRNaseHIIをPfuRNaseHII標品とした。
上記で得られたPfuRNaseHII標品を用いて、実施例3−(5)に記載の方法により酵素活性を測定した結果、PfuRNaseHII標品にRNaseH活性が認められた。
実施例5
サーモトガ マリティマ RNaseHII遺伝子のクローニング
(1)サーモトガ マリティマ ゲノムDNAの調製
トリプトン1%、酵母エキス0.5%、可溶性でんぷん1%、ジャマリンS・ソリッド3.5%、ジャマリンS・リキッド0.5%、MgSO4 0.003%、NaCl 0.001%、FeSO4・7H2O 0.0001%、CoSO4 0.0001%、CaCl2・7H2O 0.0001%、ZnSO4 0.0001%、CuSO4・5H2O 0.1ppm、KAl(SO42 0.1ppm、H3BO3 0.1ppm、Na2MoO4・2H2O 0.1ppm、NiCl2・6H2O 0.25ppmの組成の培地2lを2l容のメディウムボトルにいれ、120℃、20分間殺菌した後、窒素ガスを吹き込み、溶存酸素を除去し、これにサーモトガ マリティマ(Thermotoga maritima、ドイッチェ ザムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルツレンGmbHより購入:DSM3109)を接種して、85℃、16時間静置培養した。
次に、遠心分離によって培地300ml相当分の菌体を集め、3mlのTE緩衝液〔10mMトリス−HCl(pH7.5)、1mM EDTA〕に懸濁し、150μlの10%ラウリル硫酸ナトリウム(ナカライテスク社製)水溶液及び15μlの20mg/mlプロテイナーゼK(宝酒造社製)を加えて37℃で1時間保温した。
反応終了後、0.5mlの5M NaClを加えてよく混合した後、0.4mlのCTAB−NaCl溶液〔10%セチルトリメチルアンモニウムブロミド(ナカライテスク社製)、0.7M NaCl〕を加えてよく混合し、65℃で10分間保温した。これに1.5mlのクロロホルム/イソアミルアルコール混合液(24:1、v/v)を加えて10分間緩やかに混合した後、5分間遠心(20000×g)を行った。遠心終了後、得られた上清に等量の100mMトリス−HCl(pH8.0)飽和フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール混合液(25:24:1、v/v)を加えて10分間緩やかに混合した後、更にで5分間遠心(20000×g)を行った。遠心終了後、得られた上清に0.6容の2−プロパノールを加え、で5分間遠心(10000×g)して得られた沈殿を、70%エタノール水溶液で洗浄し、風乾した後に200μlのTEに溶解してゲノムDNA溶液を得た。
(2)RNaseHII遺伝子のクローニング
サーモトガ マリティマ ゲノムDNAを鋳型としたPCRを行うことによりRNaseHII遺伝子を含む増幅DNA断片を得るため、サーモトガ マリティマ ゲノムDNAの塩基配列(http://www.tigr.org/tdb/CMR/btm/htmls/SplashPage.html)のうちRNaseHII遺伝子と同定されている部分の塩基配列をもとにして、オリゴヌクレオチド915−F1(配列番号24)、915−F2(配列番号25)、915−R1(配列番号26)及び915−R2(配列番号27)を合成した。
上記実施例5−(1)で調製したサーモトガ マリティマ ゲノムDNAを鋳型として、915−F1と915−R1、915−F1と915−R2、915−F2と915−R1又は915−F2と915−R2をプライマー対とし、それぞれPCRを行った。PCRでのDNAポリメラーゼはタカラExタック(宝酒造社製)を添付のプロトコールに従って用い、PCRは95℃で0.5分、55℃で0.5分、72℃で1.5分を1サイクルとして、25サイクル行った。反応終了後、各PCR反応物をアガロースゲル電気泳動に供し、約0.7kbの増幅されたDNA断片を抽出精製した。
915−F1と915−R1及び915−F1と915−R2のプライマー対で増幅したDNAはHindIIIとXbaI(ともに宝酒造社製)で消化し、HindIIIとXbaIで消化したpUC19(宝酒造社製)にT4 DNAリガーゼ(宝酒造社製)を用いて連結し、大腸菌JM109を形質転換した。
この形質転換体を培養し、約0.7kbのDNA断片が挿入されたプラスミドDNAを調製した。その結果、915−F1と915−R1から増幅したDNA断片が挿入されたプラスミドNo.1とNo.2、915−F1と915−R2から増幅したDNAが挿入されたプラスミドNo.3とNo.4を得た。
また、915−F2と915−R1及び915−F2と915−R2のプライマー対で増幅したDNAをNcoI(宝酒造社製)とXbaIで2重消化し、NcoIとXbaIで2重消化したpTV119N(宝酒造社製)にT4 DNAリガーゼを用いて連結し、大腸菌JM109を形質転換した。
この形質転換体を培養し、約0.7kbのDNA断片が挿入されたプラスミドDNAを調製した。その結果、915−F2と915−R1から増幅したDNA断片が挿入されたプラスミドNo.5とNo.6、915−F2と915−R2から増幅したDNAが挿入されたプラスミドNo.7を得た。
なお、プラスミドNo.7で形質転換された大腸菌JM109は、Escherichia coli JM109/pTM-RNHと命名、表示され、平成12年9月5日(原寄託日)より日本国〒305−8566茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM BP−7652として寄託されている。
(3) サーモトガ マリティマ RNaseHII遺伝子の発現
プラスミドNo.1〜7又はpUC19で形質転換された大腸菌JM109を100μg/mlのアンピシリンを含む5mlのLB培地(トリプトン10g/l、酵母エキス5g/l、NaCl 5g/l、pH7.2)に植菌し、37℃で振盪培養した。660nmにおける吸光度が0.5になったときに終濃度が1mMになるようにイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシドを加え、更に1晩振盪培養した。培養終了後、遠心分離によって菌体を集め、1mlのTE緩衝液に懸濁し、超音波破砕した。これを80℃で10分間熱処理し、遠心によって得た上清を菌体粗抽出液とした。
得られた菌体粗抽出液を用いて、実施例2−(5)に記載の方法で吸光度を測定した。
その結果、pUC19を保持する大腸菌JM109から調製した粗抽出液で反応させたときに比べて、プラスミドNo.3、5、6及び7を保持する大腸菌JM109から調製した菌体粗抽出液は、MnCl2存在下で反応させたとき、明らかに260nmにおける吸光度の値が高かった。よって、プラスミドNo.3、5、6及び7はRNaseHII遺伝子を含んでおり、これらのプラスミドを保持する大腸菌でRNaseH活性を発現することが明らかになった。
こうして大腸菌内でRNaseH活性が発現していることが明らかとなったプラスミドに挿入されたDNA断片の塩基配列を決定した。得られた塩基配列の結果を解析したところ、RNaseHIIをコードすると考えられるオープンリーディングフレームが見出された。このオープンリーディングフレームの塩基配列を配列表の配列番号58に示す。また、該塩基配列から推定されるRNaseHIIのアミノ酸配列を配列表の配列番号59に示す。このプラスミドNo.7に挿入されたDNA断片の塩基配列にはPCR時に生じたと思われる塩基置換が1箇所みとめられ、その箇所のアミノ酸残基が変化していることが分かった。
(4)精製RNaseHII標品の調製
実施例5−(2)で得られたプラスミドNo.7(プラスミドpTM−RNH)で大腸菌JM109を形質転換し、得られたpTM−RNHを含む大腸菌JM109を100μg/mlのアンピシリンを含む1lのLB培地に植菌し、37℃で16時間振盪培養した。培養終了後、遠心分離によって集めた菌体を31.0mlのソニケーションバッファー〔50mMトリス−HCl(pH8.0)、2mM 2−メルカプトエタノール、10%グリセロール、2mMフェニルメタンスルフォニルフルオライド〕に懸濁し、超音波破砕機にかけた。この破砕液を12000rpmで10分間の遠心分離を行い、得られた上清を70℃、15分間の熱処理にかけた。その後、再度12000rpm、10分の遠心分離を行い、上清を集め、32.0mlの熱処理上清液を得た。
この熱処理上清液をバッファーC〔50mMトリス−HCl(pH8.0)、2mM 2−メルカプトエタノール、10%グリセロール〕で平衡化したRESOURSE Qカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)を用いてクロマトグラフィーを行なった。その結果、RNaseHIIはRESOURSE Qカラムを素通りした。
素通りしたRNaseHII画分32.5mlをバッファーCで平衡化したRESOURSE Sカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステムを用いて0〜500mM NaCl直線濃度勾配により溶出し、約240mM NaClのところに溶出されたRNaseHII画分を得た。
このRNaseHII画分2.0mlを50mM NaClを含むバッファーCで平衡化したPD−10カラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、得られた溶出液3.5mlを50mM NaClを含むバッファーCで平衡化したHiTrap−heparinカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステムを用いて50〜550mM NaCl直線濃度勾配により溶出した。その結果、約295mM NaClのところに溶出されたRNaseHII画分を得た。
このようにして溶出されたRNaseHIIをTmaRNaseHII標品とした。
上記で得られたTmaRNaseHII標品を用いて、実施例2−(6)に記載の方法で酵素活性を測定した結果、TmaRNaseHII標品にRNaseH活性が認められた。
実施例6
ピロコッカス ホリコシイのRNaseHII遺伝子のクローニング
(1)ピロコッカス ホリコシイ ゲノムDNAの調製
トリプトン(ディフコラボラトリーズ社製)1%、酵母エキス(ディフコラボラトリーズ社製)0.5%、可溶性でんぷん(ナカライテスク社製)1%、ジャマリンS・ソリッド(ジャマリンラボラトリー社製)3.5%、ジャマリンS・リキッド(ジャマリンラボラトリー社製)0.5%、MgSO4 0.003%、NaCl 0.001%、FeSO4・7H2O 0.0001%、CoSO4 0.0001%、CaCl2・7H2O 0.0001%、ZnSO4 0.0001%、CuSO4・5H2O 0.1ppm、KAl(SO4)2 0.1ppm、H3BO4 0.1ppm、Na2MoO4・2H2O 0.1ppm、NiCl2・6H2O 0.25ppmの組成の培地2lを2l容のメジュウムボトルにいれ、120℃、20分間殺菌した後、窒素ガスを吹き込み、溶存酸素を除去し、これにピロコッカス ホリコシイOT3(Pyrococcus horikoshii、理化学研究所より購入:JCM9974)を接種して、95℃、16時間静置培養した後、遠心分離によって菌体を得た。
次に、得られた菌体を4mlの25%ショ糖、50mMトリス−HCl(pH8.0)に懸濁し、0.4mlの10mg/ml塩化リゾチーム(ナカライテスク社製)水溶液を加えて、20℃で1時間反応させた。反応終了後、この反応液に24mlの150mM NaCl、1mM EDTA、20mMトリス−HCl(pH8.0)、0.2mlの20mg/mlプロテイナーゼK(宝酒造社製)及び2mlの10%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を加え、37℃で1時間保温した。
反応終了後、フェノール−クロロホルム抽出、続いてエタノール沈殿を行い、約1mgのゲノムDNAを調製した。
(2)RNaseHII遺伝子のクローニング
ピロコッカス ホリコシイ(Pyrococcus horikoshii)は全ゲノム配列が公開されており〔DNA リサーチ(DNA Research)、第5巻、第55−76頁(1998)〕、RNaseHIIのホモログをコードする遺伝子(PH1650)が1つ存在することが明らかになっている(配列番号28、日本国 独立行政法人 製品評価技術基盤機構 ホームページ:http://www.nite.go.jp/)。
そこで、このPH1650遺伝子(配列番号28)の配列をもとにプライマーPhoNde(配列番号29)及びPhoBam(配列番号30)を合成した。
実施例6−(1)で得たピロコッカス ホリコシイDNA 100ngを鋳型にして、20pmolのPhoNdeNde及び20pmolのPhoBamをプライマーに用い、100μlの容量でPCR行った。PCRでのDNAポリメラーゼはタカラExタック(宝酒造社製)を添付のプロトコールに従って用い、PCRは94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で1分を1サイクルとし、40サイクル行った。増幅した約0.7kbのDNA断片をNdeI及びBamHI(ともに宝酒造社製)で消化し、得られたDNA断片をプラスミドベクターpET3a(ノバジェン社製)のNdeI及びBamHI間に組込んだプラスミドpPHO238を作製した。
(3)RNaseHII遺伝子を含むDNA断片の塩基配列の決定
実施例6−(2)で得られたpPHO238の挿入DNA断片の塩基配列をジデオキシ法によって決定した。
得られた塩基配列の結果を解析したところ、RNaseHIIをコードすると考えられるオープンリーディングフレームが見出された。このオープンリーディングフレームの塩基配列を配列表の配列番号31に示す。また、該塩基配列から推定されるRNaseHIIのアミノ酸配列を配列表の配列番号32に示す。
なお、プラスミドpPHO238で形質転換された大腸菌JM109は、Escherichia coli JM109/pPHO238と命名、表示され、平成13年2月22日(原寄託日)より日本国〒305−8566茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM BP−7692として寄託されている。
(4)精製RNaseHII標品の調製
実施例6−(2)で得られたpPHO238で大腸菌HMS174(DE3)(ノバジェン社製)を形質転換し、得られたpPHO238を含む大腸菌HMS174(DE3)を100μg/mlのアンピシリンを含む1lのLB培地に植菌し、37℃で16時間振盪培養した。培養終了後、遠心分離によって集めた菌体を34.3mlのソニケーションバッファー〔50mMトリス−HCl(pH8.0)、1mM EDTA、2mMフェニルメタンスルフォニルフルオライド〕に懸濁し、超音波破砕機にかけた。この破砕液を12000rpmで10分間の遠心分離を行い、得られた上清を80℃、15分間の熱処理にかけた。その後、再度12000rpmで10分の遠心分離を行い、上清を集め、33.5mlの熱処理上清液を得た。
この熱処理上清液をバッファーA〔50mMトリス−HCl(pH8.0)、1mM EDTA〕で平衡化したRESOURSE Qカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)を用いてクロマトグラフィーを行なった。その結果、RNaseHIIはRESOURSE Qカラムを素通りした。
素通りしたRNaseHII画分35.0mlををバッファーB〔50mMトリス−HCl(pH7.0)、1mM EDTA〕2Lを外液として、2時間の透析を3回行なった。透析後の酵素液34.5mlをバッファーBで平衡化したRESOURSE Sカラム(ファルマシア ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステムを用いて0〜500mM NaCl直線濃度勾配により溶出し、約155mM NaClのところに溶出されたRNaseHII画分を得た。
この画分4.0mlにNaCl濃度が50mMになるようにバッファーBを添加し、50mM NaClを含むバッファーBで平衡化したHiTrap−heparinカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステムを用いて50〜550mM NaCl直線濃度勾配により溶出した。その結果、約160mM NaClのところに溶出されたRNaseHII画分を得た。
このRNaseHII画分6.9mlをセントリコン−10(ミリポア社製)を用いた限外ろ過により濃縮し、250μlの濃縮液を2回に分けて100mM NaCl、0.1mM EDTAを含む50mMトリス−HCl(pH7.0)で平衡化したSuperose6ゲルろ過カラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、同じバッファーで溶出を行った結果、RNaseHIIは、24.5キロダルトンの分子量に相当する位置に溶出された。この分子量は、RNaseHIIが1量体として存在する場合に相当する。
こうして溶出されたRNaseHIIをPhoRNaseHII標品とした。
上記で得られたPhoRNaseHII標品を用いて、実施例3−(5)に記載の方法により酵素活性を測定した結果、PhoRNaseHII標品にRNaseH活性が認められた。
実施例7
アルカエオグロバス フルギダスのRNaseHII遺伝子のクローニング
(1)アルカエオグロバス フルギダス ゲノムDNAの調製
アルカエオグロバス フルギダス(Archaeoglobus fulgidus、ドイッチェ ザムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルツレンGmbHより購入:DSM4139)8ml相当分の菌体を集め、100μlの25%ショ糖、50mMトリス−HCl(pH8.0)に懸濁し、20μlの0.5M EDTA、10μlの10mg/ml塩化リゾチーム(ナカライテスク社製)水溶液を加えて、20℃で1時間反応させた。反応終了後、この反応液に800μlの150mM NaCl、1mM EDTA、20mMトリス−HCl(pH8.0)、10μlの20mg/mlプロテイナーゼK(宝酒造社製)及び50μlの10%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を加え、37℃で1時間保温した。反応終了後、フェノール−クロロホルム抽出、エタノール沈殿、風乾した後に50μlのTEに溶解してゲノムDNA溶液を得た。
(2)RNaseHII遺伝子のクローニング
アルカエオグロバス フルギダス(Archaeoglobus fulgidus)は全ゲノム配列が公開されており〔Klenk,HPら、ネイチャー(Nature)、第390巻、第364−370頁(1997)〕、RNaseHIIのホモログをコードする遺伝子(AF0621)が1つ存在することが明らかになっている(配列番号33、http://www.tigr.org/tdb/CMR/btm/htmls/SplashPage.html)。
そこで、このAFO621遺伝子(配列番号33)の配列をもとにプライマーAfuNde(配列番号34)及びAfuBam(配列番号35)を合成した。
実施例7−(1)で得たアルカエオグロバス フルギダス 30ngを鋳型にして、20pmolのAfuNde及び20pmolのAfuBamをプライマーに用い、100μlの容量でPCRを行なった。PCRでのDNAポリメラーゼはパイロベストDNAポリメラーゼ(宝酒造社製)を添付のプロトコールに従って用い、PCRは94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で1分を1サイクルとし、40サイクル行った。増幅した約0.6kbのDNA断片をNdeI及びBamHI(ともに宝酒造社製)で消化し、得られたDNA断片をプラスミドベクターpTV119Nd(pTV119NのNcoIサイトをNdeIサイトに変換したもの)のNdeI及びBamHI間に組込んだプラスミドpAFU204を作製した。
(3)RNaseHII遺伝子を含むDNA断片の塩基配列の決定
実施例7−(2)で得られたpAFU204の挿入DNA断片の塩基配列をジデオキシ法によって決定した。
得られた塩基配列の結果を解析したところ、RNaseHIIをコードすると考えられるオープンリーディングフレームが見出された。このオープンリーディングフレームの塩基配列を配列表の配列番号36に示す。また、該塩基配列から推定されるRNaseHIIのアミノ酸配列を配列表の配列番号37に示す。
なお、プラスミドpAFU204で形質転換された大腸菌JM109は、Escherichia coli JM109/pAFU204と命名、表示され、平成13年2月22日(原寄託日)より日本国〒305−8566茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM BP−7691として寄託されている。
(4)精製RNaseHII標品の調製
実施例7−(2)で得られたpAFU204で大腸菌JM109を形質転換し、得られたpAFU204を含む大腸菌JM109を100μg/mlのアンピシリンを含む2lのLB培地に植菌し、37℃で16時間振盪培養した。培養終了後、遠心分離によって集めた菌体を37.1mlのソニケーションバッファー〔50mMトリス−HCl(pH8.0)、1mM EDTA、2mMフェニルメタンスルフォニルフルオライド〕に懸濁し、超音波破砕機にかけた。この破砕液を12000rpmで10分間の遠心分離を行い、得られた上清を70℃、15分間の熱処理にかけた。その後、再度12000rpmで10分の遠心分離を行い、上清を集め、40.3mlの熱処理上清液を得た。
この熱処理上清液をバッファーA〔50mMトリス−HCl(pH8.0)、1mM EDTA〕で平衡化したRESOURSE Qカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)を用いてクロマトグラフィーを行なった。その結果、RNaseHIIはRESOURSE Qカラムを素通りした。
バッファーAで平衡化したRESOURSE Sカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)を用いてクロマトグラフィーを行なった。その結果、RNaseHIIはRESOURSE Sカラムを素通りした。
素通りしたRNaseHII画分40.0mlを50mM NaClを含むバッファーB〔50mMトリス−HCl(pH7.0)、1mM EDTA〕2lを外液として、2時間の透析を3回行なった。透析後の酵素液40.2mlを50mM NaClを含むバッファーBで平衡化したHiTrap−heparinカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステムを用いて50〜550mM NaCl直線濃度勾配により溶出した。その結果、約240mM NaClのところに溶出されたRNaseHII画分を得た。
このRNaseHII画分7.8mlをセントリコン−10(ミリポア社製)を用いた限外ろ過により濃縮し、約600μlの濃縮液を4回に分けて100mM NaCl、0.1mM EDTAを含む50mMトリス−HCl(pH7.0)で平衡化したSuperose6ゲルろ過カラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、同じバッファーで溶出を行った結果、RNaseHIIは、30.0キロダルトンの分子量に相当する位置に溶出された。この分子量は、RNaseHIIが1量体として存在する場合に相当する。
こうして溶出されたRNaseHIIをAfuRNaseHII標品とした。
上記で得られたAfuRNaseHII標品を用いて、実施例3−(5)に記載の方法により酵素活性を測定した結果、AfuRNaseHII標品にRNaseH活性が認められた。
実施例8
サーモコッカス リトラリス RNaseHII遺伝子のクローニング
(1)サーモコッカス リトラリス ゲノムDNAの調製
サーモコッカス リトラリス(Thermococcus litoralis、ドイッチェ ザムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルツレンGmbHより購入:DSM5473)11ml相当分の菌体を集め、500μlの25%ショ糖、50mMトリス−HCl(pH8.0)に懸濁し、100μlの0.5M EDTA、50μlの10mg/ml塩化リゾチーム(ナカライテスク社製)水溶液を加えて、20℃で1時間反応させた。反応終了後、この反応液に4mlの150mM NaCl、1mM EDTA、20mMトリス−HCl(pH8.0)、50μlの20mg/mlプロテイナーゼK(宝酒造社製)及び250μlの10%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を加え、37℃で1時間保温した。反応終了後、フェノール−クロロホルム抽出、エタノール沈殿、風乾した後に100μlのTEに溶解してゲノムDNA溶液を得た。
(2)RNaseHII遺伝子中央部のクローニング
様々な耐熱性RNaseHIIのアミノ酸配列の間で保存されている部分をもとにしてオリゴヌクレオチドRN−F1(配列番号38)とオリゴヌクレオチドRN−R0(配列番号39)を合成した。
上記実施例8−(1)で調製したサーモコッカス リトラリス ゲノムDNA溶液5μlを鋳型にして、100pmolのRN−F1及び100pmolのRN−R0をプライマーに用い、100μlの容量でPCRを行った。PCRでのDNAポリメラーゼはタカラタック(宝酒造社製)を添付のプロトコールに従って用い、PCRは94℃で30秒、45℃で30秒、72℃で1分を1サイクルとして、50サイクル行った。反応終了後、マイクロコン−100(宝酒造社製)で、プライマーを除去すると同時に濃縮した。
(3)RNaseHII遺伝子上流および下流部分のクローニング
上記実施例8−(2)で得た約0.5kbの断片TliF1R0の塩基配列を決定し、それをもとに上流をクローニングするための特異的なオリゴヌクレオチドTliRN−1(配列番号40)と下流をクローニングするための特異的なオリゴヌクレオチドTliRN−2(配列番号41)を合成した。さらに、表1に示す48種類のプライマーを合成した。表1中のタグ配列を配列表の配列番号60に示す。
Figure 2006288400
実施例8−(1)で調製したサーモコッカス リトラリス ゲノムDNA溶液1μlを鋳型にして20pmolのTliRN−1または20pmolのTliRN−2と各20pmolの表1記載の48種類のプライマーとの組み合わせで20mM トリス酢酸(pH8.5)、50mM酢酸カリウム、3mM酢酸マグネシウム、0.01%BSA、各30μM dNTP混合物、2.5単位のタカラExTaq DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)を含む反応液中でPCRをおこなった。PCRは94℃で3分インキュベートした後、98℃で10秒、50℃で10秒、72℃で40秒を1サイクルとし、40サイクル行った。得られたPCR産物の一部をアガロース電気泳導し、シングルバンドになったものを選び出し、それらの反応液をマイクロコン−100(宝酒造社製)で、プライマーを除去すると同時に濃縮し、ダイレクトシークエンスをおこない、RNaseHIIの上流または下流を含む断片をスクリーニングした。その結果、約450bpのPCR増幅断片TliN7にRNaseHII遺伝子の上流が、約600bpのPCR増幅断片TliC25、約400bpのPCR増幅断片TliC26に下流が含まれていることがわかった。
(4)RNaseHII遺伝子全域のクローニング
TliRNaseHIIを含む遺伝子の塩基配列を配列表の配列番号42に示す。また、該塩基配列から推定されるRNaseHIIのアミノ酸配列を配列表の配列番号43に示す。上記塩基配列をもとにプライマーTliNde(配列番号44)及びTliBam(配列番号45)を合成した。
実施例8−(1)で得たサーモコッカス リトラリス ゲノムDNA溶液1μlを鋳型にして、20pmolのTliNde及び20pmolのTliBamをプライマーに用い、100μlの容量でPCRを行なった。PCRでのDNAポリメラーゼはExTaq DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)を添付のプロトコールに従って用い、PCRは94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で1分を1サイクルとし、40サイクル行った。増幅した約0.7kbのDNA断片をNdeI及びBamHI(ともに宝酒造社製)で消化し、得られたDNA断片をプラスミドベクターpTV119Nd(pTV119NのNcoIサイトをNdeIサイトに変換したもの)またはpET3a(ノバジェン社製)のNdeI及びBamHI間に組込み、プラスミドpTLI223NdおよびpTLI204を作製した。
(5)RNaseHII遺伝子を含むDNA断片の塩基配列の決定
実施例8−(4)で得られたpTLI223NdおよびpTLI204の挿入DNA断片の塩基配列をジデオキシ法によって決定した。
得られた塩基配列の結果を解析したところ、RNaseHIIをコードすると考えられるオープンリーディングフレームが見出された。pTLI204のオープンリーディングフレームの塩基配列を配列表の配列番号46に示す。また、該塩基配列から推定されるRNaseHIIのアミノ酸配列を配列表の配列番号47に示す。pTLI223Ndのオープンリーディングフレームの塩基配列は、pTLI204とくらべて484番目のTがCに置きかわっていた。また、アミノ酸配列では162番目のフェニルアラニンがロイシンに置きかわっていた。
なお、プラスミドpTLI204で形質転換された大腸菌HMS174(DE3)は、Escherichia coli HMS174(DE3)/pTLI204と命名、表示され、平成13年2月22日(原寄託日)より日本国〒305−8566茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM BP−7693として寄託されている。
(6)サーモコッカス リトラリス RNaseHII遺伝子の発現
pTLI223Ndで形質転換された大腸菌JM109を100μg/mlのアンピシリンおよび1mM IPTGを含む10mlのLB培地に植菌し、37℃で1晩振盪培養した。培養終了後、遠心分離によって集めた菌体を196μlのバッファーAに懸濁し、超音波破砕機にかけた。この破砕液を12000rpmで10分間の遠心分離を行い、得られた上清を70℃、10分間の熱処理にかけた。その後、再度12000rpmで10分の遠心分離を行い、上清を集め、熱処理上清液を得た。同様にpTLI204で形質転換された大腸菌HMS174(DE3)を100μg/mlのアンピシリンを含む10mlのLB培地に植菌し、37℃で1晩振盪培養し、培養終了後、遠心分離によって集めた菌体を上記の方法で処理し、熱処理上清液を得た。
上記で得られた熱処理上清液を、実施例3−(5)に記載の方法により酵素活性を測定した結果、いずれの形質転換体においてもRNaseH活性が認められた。すなわち、塩基配列あるいはアミノ酸配列において置換があった場合でも本発明のポリヌクレオチドの活性があることが確認できた。
(7)精製RNaseHII標品の調製
実施例8−(4)で得られたpTLI223Ndで大腸菌JM109を形質転換し、得られたpTLI223Ndを含む大腸菌JM109を100μg/mlのアンピシリンを含む2lのLB培地に植菌し、37℃で16時間振盪培養した。培養終了後、遠心分離によって集めた菌体を38.7mlのソニケーションバッファー〔50mMトリス−HCl(pH8.0)、1mM EDTA、2mM フェニルメタンスルフォニルフルオライド〕に懸濁し、超音波破砕機にかけた。この破砕液を12000rpmで10分間の遠心分離を行い、得られた上清を70℃、15分間の熱処理にかけた。その後、再度12000rpmで20分の遠心分離を行い、上清を集め、37.2mlの熱処理上清液を得た。
この熱処理上清液をバッファーA〔50mMトリス−HCl(pH8.0)、1mM EDTA〕で平衡化したRESOURSE Qカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)を用いてクロマトグラフィーを行なった。その結果、RNaseHIIはRESOURSE Qカラムを素通りした。
バッファーAで平衡化したRESOURSE Sカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)を用いて0〜500mM NaCl直線濃度勾配により溶出した。その結果、約220mM NaClのところに溶出されたRNaseHII画分を得た。
このRNaseHII画分3mlにNaCl濃度が50mMになるようにバッファーAを添加し、50mM NaClを含むバッファーAで平衡化したHiTrap−heparinカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステムを用いて50〜550mM NaCl直線濃度勾配により溶出した。その結果、約320mM NaClのところに溶出されたRNaseHII画分を得た。
このRNaseHII画分6mlをセントリコン−10(ミリポア社製)を用いた限外ろ過により濃縮し、約198μlの濃縮液を100mM NaCl、0.1mM EDTAを含む50mMトリス−HCl(pH8.0)で平衡化したSuperose6ゲルろ過カラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、同じバッファーで溶出を行った結果、RNaseHIIは、26.5キロダルトンの分子量に相当する位置に溶出された。この分子量は、RNaseHIIが1量体として存在する場合に相当する。こうして溶出されたRNaseHIIをTliRNaseHII標品とした。
上記で得られたTliRNaseHII標品を用いて、実施例3−(5)に記載の方法により酵素活性を測定した結果、TliRNaseHII標品にRNaseH活性が認められた。
実施例9
サーモコッカス セラー RNaseHII遺伝子のクローニング
(1)サーモコッカス セラー ゲノムDNAの調製
サーモコッカス セラー(Thermococcus celer、ドイッチェ ザムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルツレンGmbHより購入:DSM2476)11ml相当分の菌体を集め、実施例8−(1)の記載の方法によりゲノムDNA溶液を得た。
(2)RNaseHII遺伝子中央部のクローニング
様々な耐熱性RNaseHIIのアミノ酸配列の間で保存されている部分をもとにしてオリゴヌクレオチドRN−F1(配列番号48)とオリゴヌクレオチドRN−R0(配列番号49)を合成した。
上記実施例9−(1)で調製したサーモコッカス セラー ゲノムDNA溶液5μlを鋳型にして、100pmolのRN−F1及び100pmolのRN−R0をプライマーに用い、100μlの容量でPCRを行った。PCRでのDNAポリメラーゼはタカラタック(宝酒造社製)を添付のプロトコールに従って用い、PCRは94℃で30秒、45℃で30秒、72℃で1分を1サイクルとして、50サイクル行った。反応終了後、増幅して得られた約500bpのDNA断片をT4 DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)を用いて末端を平滑化した後、アガロースゲル電気泳動を行い、増幅された約500bpのDNA断片を回収した。得られた約500bpDNA断片を、SmaI(宝酒造社製)で消化したpUC119(宝酒造社製)にT4 DNAリガーゼ(宝酒造社製)を用いて連結し、大腸菌JM109を形質転換した。
形質転換体を培養し、約500bpのDNA断片が挿入されたプラスミドpTceF1R0を得た。
(3)RNaseHII遺伝子上流および下流部分のクローニング
上記実施例9−(2)で得られたプラスミドpTceF1R0塩基配列を決定し、それをもとに上流をクローニングするための特異的なオリゴヌクレオチドTceRN−1(配列番号50)と下流をクローニングするための特異的なオリゴヌクレオチドTceRN−2(配列番号51)を合成した。
実施例9−(1)で調製したサーモコッカス セラー ゲノムDNA溶液1μlを鋳型にして20pmolのTliRN−1または20pmolのTliRN−2と各20pmolの48種類のプライマー(実施例8表1記載)との組み合わせで20mMトリス酢酸(pH8.5)、50mM酢酸カリウム、3mM酢酸マグネシウム、0.01%BSA、各30μMdNTP混合物、2.5単位のタカラExTaq DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)を含む反応液中でPCRをおこなった。PCRは94℃で3分インキュベートした後、98℃で10秒、50℃で10秒、72℃で40秒を1サイクルとし、40サイクル行った。得られたPCR産物のうちシングルバンドになったものを選び出し、それらの反応液をマイクロコン−100(宝酒造社製)で、プライマーを除去すると同時に濃縮し、ダイレクトシークエンスをおこない、RNaseHIIの上流または下流を含む断片をスクリーニングした。その結果、約450bpのPCR増幅断片TceN24にRNaseHII遺伝子の上流が、約400bpのPCR増幅断片TceC29に下流が含まれていることがわかった。
(4)RNaseHII遺伝子全域のクローニング
TceRNaseHIIを含む遺伝子の塩基配列を配列表の配列番号52に示す。また、該塩基配列から推定されるRNaseHIIのアミノ酸配列を配列表の配列番号53に示す。上記塩基配列をもとにプライマーTceNde(配列番号54)及びTceBam(配列番号55)を合成した。
実施例9−(1)で得たサーモコッカス セラー ゲノムDNA溶液1μlを鋳型にして、20pmolのTceNde及び20pmolのTceBamをプライマーに用い、100μlの容量でPCRを行なった。PCRでのDNAポリメラーゼはパイロベストDNAポリメラーゼ(宝酒造社製)を添付のプロトコールに従って用い、PCRは94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で1分を1サイクルとし、40サイクル行った。増幅した約0.7kbのDNA断片をNdeI及びBamHI(ともに宝酒造社製)で消化し、得られたDNA断片をプラスミドベクターpTV119Nd(pTV119NのNcoIサイトをNdeIサイトに変換したもの)またはpET3a(ノバジェン社製)のNdeI及びBamHI間に組込み、プラスミドpTCE265NdおよびpTCE207を作製した。
(5)RNaseHII遺伝子を含むDNA断片の塩基配列の決定
実施例9−(4)で得られたpTCE265NdおよびpTCE207の挿入DNA断片の塩基配列をジデオキシ法によって決定した。
得られた塩基配列の結果を解析したところ、RNaseHIIをコードすると考えられるオープンリーディングフレームが見出された。pTCE207のオープンリーディングフレームの塩基配列を配列表の配列番号56に示す。また、該塩基配列から推定されるRNaseHIIのアミノ酸配列を配列表の配列番号57に示す。pTCE265Ndのオープンリーディングフレームの塩基配列は、pTCE207とくらべて14番目のAがGに置きかわっており、693から696番目が欠失していた。また、アミノ酸配列では5番目のグルタミン酸がグリシンに置きかわっており、231番目のフェニルアラニンが欠失していた。
なお、プラスミドpTCE207で形質転換された大腸菌HMS174(DE3)は、Escherichia coli HMS174(DE3)/pTCE207と命名、表示され、平成13年2月22日(原寄託日)より日本国〒305−8566茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM BP−7694として寄託されている。
(6)サーモコッカス セラー RNaseHII遺伝子の発現
pTCE265Ndで形質転換された大腸菌JM109を100μg/mlのアンピシリンおよび1mM IPTGを含む10mlのLB培地に植菌し、37℃で1晩振盪培養した。培養終了後、遠心分離によって集めた菌体を203μlのバッファーAに懸濁し、超音波破砕機にかけた。この破砕液を12000rpmで10分間の遠心分離を行い、得られた上清を70℃、10分間の熱処理にかけた。その後、再度12000rpmで10分の遠心分離を行い、上清を集め、熱処理上清液を得た。同様にpTCE207で形質転換された大腸菌HMS174(DE3)を100μg/mlのアンピシリンを含む10mlのLB培地に植菌し、37℃で1晩振盪培養し、培養終了後、遠心分離によって集めた菌体を上記の方法で処理し、熱処理上清液を得た。
上記で得られた熱処理上清液を、実施例3−(5)に記載の方法により酵素活性を測定した結果、いずれの形質転換体においてもRNaseH活性が認められた。すなわち、塩基配列あるいはアミノ酸配列において置換、欠失があった場合でも本発明のポリヌクレオチドの活性があることが確認できた。
(7)精製RNaseHII標品の調製
実施例9−(4)で得られたpTCE265Ndで大腸菌JM109を形質転換し、得られたpTCE265Ndを含む大腸菌JM109を100μg/mlのアンピシリンを含む2lのLB培地に植菌し、37℃で16時間振盪培養した。培養終了後、遠心分離によって集めた菌体を39mlのソニケーションバッファー〔50mM トリス−HCl(pH8.0)、1mM EDTA、2mMフ ェニルメタンスルフォニルフルオライド〕に懸濁し、超音波破砕機にかけた。この破砕液を12000rpmで10分間の遠心分離を行い、得られた上清を70℃、15分間の熱処理にかけた。その後、再度12000rpmで20分の遠心分離を行い、上清を集め、37.5mlの熱処理上清液を得た。
この熱処理上清液をバッファーA〔50mMトリス−HCl(pH8.0)、1mM EDTA〕で平衡化したRESOURSE Qカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)を用いてクロマトグラフィーを行なった。その結果、RNaseHIIはRESOURSE Qカラムを素通りした。
バッファーAで平衡化したRESOURSE Sカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)を用いて0〜500mM NaCl直線濃度勾配により溶出した。その結果、約220mM NaClのところに溶出されたRNaseHII画分を得た。
このRNaseHII画分3mlにNaCl濃度が50mMになるようにバッファーAを添加し、50mM NaClを含むバッファーAで平衡化したHiTrap−heparinカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステムを用いて50〜550mM NaCl直線濃度勾配により溶出した。その結果、約415mM NaClのところに溶出されたRNaseHII画分を得た。
このRNaseHII画分6mlをセントリコン−10を用いた限外ろ過により濃縮し、約178μlの濃縮液を100mM NaCl、0.1mM EDTAを含む50mMトリス−HCl(pH8.0)で平衡化したSuperose6ゲルろ過カラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、同じバッファーで溶出を行った結果、RNaseHIIは、29.5キロダルトンの分子量に相当する位置に溶出された。この分子量は、RNaseHIIが1量体として存在する場合に相当する。こうして溶出されたRNaseHIIをTceRNaseHII標品とした。
上記で得られたTceRNaseHII標品を用いて、実施例3−(5)に記載の方法により酵素活性を測定した結果、TceRNaseHII標品にRNaseH活性が認められた。
実施例10
実施例2から実施例9において得られたバチルス カルドテナックス(以下BCAとする)、ピロコッカス フリオサス(PFU)、サーモトガ マリティマ(TMA)、アルカエオグロバス フルギダス(AFU)、サーモコッカス リトラリス(TLI)、サーモコッカス セラー(TCE)、ピロコッカス ホリコシイ(PHO)のアミノ酸配列と塩基配列について、ホモロジー検索を行なった。検索プログラムは、DNASIS−Mac(宝酒造社製)のMaximum MatchingとコンピュータアルゴリズムFASTA(バージョン3.0;パーソン(Pearson,W.R.)ら、Pro.Natl.Acad.Sci.,85:2444-2448,1988)で算出した。
まず、DNASISによりPFUに対するPHO、AFU、TLI、TCEのアミノ酸配列の相同性はそれぞれ69%、45%、65%、58%、塩基配列の相同性はそれぞれ68%、60%、65%、61%であった。
次にコンピュータアルゴリズムFASTAで遺伝子データベースをPHO、AFU、TMAに関して検索した。その結果、PHOのアミノ酸配列に対して、リボヌクレアーゼであると推定されているアミノ酸配列で最も相同性の高かったものは70%、最も低かったものは20%の相同性を有していた。また、AFUとは50%、TMAとは35%の相同性を有していた。同様に、AFUのアミノ酸配列に対して行なったところ、高かったものは50%、低かったものは25%、TMAとは32%の相同性を有していた。同様に、TMAのアミノ酸配列に対して行なったところ、高かったものは52%、低かったものは22%の相同性を有していた。
コンピューターアルゴリズムBLASTで遺伝子データベースをBCA、PFU、TCE、TLIに関して検索した。その結果、BCAのリボヌクレアーゼHIIのアミノ酸配列に対して、リボヌクレアーゼであると推定されているアミノ酸配列で最も相同性の高かったものは43%、BCAのリボヌクレアーゼHIIIのアミノ酸配列で46%であった。同様に、PFUのアミノ酸配列では68%、TCEのアミノ酸配列では70%、TLIのアミノ酸配列では64%であった。
また、DNASISによってPHOとAFUのアミノ酸配列の相同性を調べたところ50%であった。上記のようにコンピュータアルゴリズムFASTAでも50%であったため、DNASISとコンピュータアルゴリズムFASTAでは
相同性として表示される数値に大きな違いがないことがわかった。
実施例11
各種RNaseHの作用機作と性質
(1)Bca RNaseHIIIの作用機作
Bca RNaseHIIIとE.coli RNaseHIの切断様式を比較するため以下のように基質を調製した。大腸菌O157熱抽出物を鋳型に3’側から3塩基がRNAである5’端FITC標識キメラプライマーVT2−R280N3−I7(配列番号61)とDNAプライマーVT2−F110(配列番号62)を用いてPCRを行い、2本鎖の一方の鎖にRNAを3つ含むDNA断片を得た。PCR産物よりマイクロコンー100(ミリポア社製)によりプライマーを除去してRNaseHによる切断の基質とした。
次に、上記の基質0.3pmolを含む反応バッファー(20mM Hepes−KOH(pH7.8)、1% ジメチルスルホオキシド、0.01% ウシ血清アルブミン、100mM 酢酸カリウム、4mM 酢酸マグネシウム、0.002% プロピレンジアミン)39.2μlを調製した。これにE.coliRNaseHI 30U/μl(宝酒造社製)または、実施例3−(5)で得られたBca RNaseHIII精製標品をバッファーAで10倍希釈した溶液を0.8μl加え、55℃で5分間及び10分間で反応した。反応後、反応液の2μlを10%変性アクリルアミドゲルで電気泳動し、切断されたDNA断片のサイズを確認した。
E.coli RNaseHIの場合、18baseと19baseの位置にシグナルが現われ、経時的に19baseのシグナルは減少した。また、プライマーが完全に除けていないために現われる20baseのバックグランドも経時的に減少した。一方、Bca RNaseHIIIの場合、19baseの位置にシグナルが現われ、プライマーのバックグランドの減少は見られなかった。
以上のことより、E.coli RNaseHIは、2ケ所のRNA間で切断した。また、3’側のRNAの5’側を切断した後、RNAがDNAに結合しない状態で、さらに3’側のRNAの5’側を切断する活性を有すると考えられる。一方、Bca RNaseHIIIは3’側のRNAの5’側のみを切断し、RNAの3’側にDNAが結合していない時には切断しないと考えられる。E.coli RNaseHIに比べ切断位置の選択性が高いと考えられる。
(2)Pfu、Pho、Afu RNaseHIIの作用機作
Pfu(パイロコッカス フリオサス)、Pho(パイロコッカス ホリコシイ)、Afu(アルカエオグロバス フルギダス)のRNaseHIIの切断様式を解析するため、以下のように基質を調製した。大腸菌O157熱抽出物を鋳型に3’側から3塩基がRNAである5’端FITC標識キメラプライマーVT2−IF20N3(配列番号63)、2塩基がRNAである5’端FITC標識キメラプライマーVT2−IF19N2(配列番号64)、1塩基がRNAである5’端FITC標識キメラプライマーVT2−IF18N1(配列番号65)とDNAプライマーVT2IR20(配列番号66)を用いてPCRを行い、2本鎖の一方の鎖にRNAを3つ、2つ、あるいは、1つ含むDNA断片、VFN3、VFN2、VFN1を得た。これらのPCR産物よりマイクロコンー100によりプライマーを除去してRNaseHによる切断の基質とした。
次に、上記の基質0.3pmolを含む反応バッファー(20mM Hepes−KOH(pH7.8)、1% ジメチルスルホオキシド、0.01% ウシ血清アルブミン、100mM 酢酸カリウム、4mM 酢酸マグネシウム、0.002% プロピレンジアミン)39μlを調製した。これに、各RNaseHの精製標品37.2U/μlを1μl加え、55℃で5分間及び10分間反応した。反応後、反応液の2μ1を10%変性アクリルアミドゲルで電気泳動し、切断されたDNA断片のサイズを確認した。
VFN3を基質にした場合、Pfu、Pho、AfuのRNaseHIIに関して、19baseの位置にシグナルが得られ、VFN2を基質にした場合、Pfu、Pho、AfuのRNaseHIIに関して、18baseの位置にシグナルが得られ、VFN1を基質にした場合、Pfu、PhoのRNaseHIIに関して、17baseの位置にシグナルが得られた。
以上のことより、Pfu、Pho、AfuのRNaseHIIは3’側のRNAの5’側を切断した。PfuとPhoのRNaseHIIはRNAが1つの場合でもRNAの5’側を切断した。RNAが1つでも切断するRNaseHは報告されていない。切断された場合のシグナル強度はRNAの数にかかわらず同様の強さを示し、RNAの数による切断効率に差がないことが示された。また、一旦現われたシグナルが経時的に減少したり、さらに短いシグナルが現われないことより、RNAの3’側にDNAが結合していないと切断されないことが示された。
(3)BcaとTma RNaseHIIのイオン要求性
実施例1で記載したRNaseH活性測定法においてMn2+要求性でMg2+では全く活性を示さないBca RNaseHIIとTma RNaseHIIに関して、実施例11−(2)に記載のVFN3を基質としてMg2+あるいは、Mn2+存在下での切断を比較した。
基質0.3pmolを含む反応バッファー(20mM Hepes−KOH(pH7.8)、1% ジメチルスルホオキシド、0.01% ウシ血清アルブミン、100mM 酢酸カリウム、4mM 酢酸マグネシウム、0.002% プロピレンジアミン)39.2μl及び、基質0.3pmolを含むMn+反応バッファー(20mM Hepes−KOH(pH7.8)、1% ジメチルスルホオキシド、0.01% ウシ血清アルブミン、100mM 酢酸カリウム、10mM 塩化マンガン、0.002% プロピレンジアミン)39.2μlを調製した。これらにE.coliRNaseHI 30U/μl(宝酒造社製)または、実施例2−(6)で得られたBca RNaseHII精製標品をバッファーAで10倍希釈した溶液、または、実施例5−(3)で得られたTma RNaseHII菌体粗抽出液をバッファーAで25倍希釈した溶液を0.8μl加え、55℃で5分間及び10分間で反応した。反応後、反応液の2μlを10%変性アクリルアミドゲルで電気泳動し、切断されたDNA断片のサイズを確認した。
Bca RNaseHIIとTma RNaseHIIに関して、ともにMg2+、Mn2+存在下のどちらにおいても19baseの位置にシグナルが現われた。そのシグナルレベルは同レベルであった。
実施例1記載のRNaseH活性測定法では全く活性を示さないMg2+存在下でBca RNaseHIIとTma RNaseHIIはMn2+の場合と同等の切断活性を示した。
以上のことより、基質の形状によっては切断にMn2+を要求せず、Mg2+でも代替可能であり、Mn2+やMg2+を要求する酵素と同一反応液で作用させられる可能性が示された。
(4)RNaseHの耐熱性の検討
バチルス カルドテナックス RNaseHとして実施例2−(5)、実施例3−(4)で得られたpRHB11、pBCA3Nd2、ピロコッカス フリオサス RNaseHとして実施例4−(2)で得られたpPFU220、サーモトガ マリティマ RNaseHとして実施例5−(2)で得られたpTM−RNH、ピロコッカス ホリコシイ RNaseHとして実施例6−(2)で得られたpPHO238、アルカエオグロバス フルギダス RNaseHとして実施例7−(2)で得られたpAFU204、サーモコッカス リトラリス RNaseHとして実施例8−(4)で得られたpTLI204、pTLI223Nd、サーモコッカス セラー RNaseHとして実施例9−(4)で得られたpTCE207、pTCE265Ndでそれぞれ形質転換された大腸菌を用いて耐熱性を調べた。すなわち、上記大腸菌を培養し、培養液から調製した素酵素抽出液を60℃、15分の条件で熱処理を行ない、実施例1と同様の方法でRNaseH活性を調べた。その結果、どの菌株由来のRNaseHにおいてもRNaseH活性が確認できた。
本発明により、遺伝子工学において利用価値の高いRNaseH活性を有するポリペプチド、該ポリペプチドをコードする遺伝子ならびに該ポリペプチドの遺伝子工学的製造方法を提供される。また、本発明のRNaseHは耐熱性を有しており、工業的に有利なRNaseHの製造方法も提供される。
本発明によって、さまざまな用途で本発明のRNaseHを用いることが可能となった。
SEQ ID NO:1: PCR primer BsuII-3 for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Bacillus caldotenax.
SEQ ID NO:2: PCR primer BsuII-6 for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Bacillus caldotenax.
SEQ ID NO:3: PCR primer RNII-S1 for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Bacillus caldotenax.
SEQ ID NO:4: PCR primer RNII-S2 for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Bacillus caldotenax.
SEQ ID NO:5: PCR primer RNII-S5 for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Bacillus caldotenax.
SEQ ID NO:6: PCR primer RNII-S6 for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Bacillus caldotenax.
SEQ ID NO:7: PCR primer RNII-Nde for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Bacillus caldotenax.
SEQ ID NO:10: PCR primer BsuIII-1 for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHIII activity from Bacillus caldotenax.
SEQ ID NO:11: PCR primer BsuIII-3 for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHIII activity from Bacillus caldotenax.
SEQ ID NO:12: PCR primer BsuIII-6 for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHIII activity from Bacillus caldotenax.
SEQ ID NO:13: PCR primer BsuIII-8 for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHIII activity from Bacillus caldotenax.
SEQ ID NO:14: PCR primer RNIII-S3 for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHIII activity from Bacillus caldotenax.
SEQ ID NO:15: PCR primer BcaRNIII-3 for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHIII activity from Bacillus caldotenax.
SEQ ID NO:18: PCR primer BcaRNIIINde for amplifying a gene encoding a polypeptide having a RNaseHIII activity from Bacillus caldotenax.
SEQ ID NO:20: PCR primer 1650Nde for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Pyrococcus furiosus.
SEQ ID NO:21: PCR primer 1650Bam for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Pyrococcus furiosus.
SEQ ID NO:24: PCR primer 915-F1 for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Thermotoga maritima.
SEQ ID NO:25: PCR primer 915-F2 for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Thermotoga maritima.
SEQ ID NO:26: PCR primer 915-R1 for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Thermotoga maritima.
SEQ ID NO:27: PCR primer 915-R2 for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Thermotoga maritima.
SEQ ID NO:29: PCR primer PhoNde for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Pyrococcus horikoshii.
SEQ ID NO:30: PCR primer PhoBam for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Pyrococcus horikoshii.
SEQ ID NO:34: PCR primer AfuNde for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Archaeoglobus fulgidus.
SEQ ID NO:35: PCR primer AfuBam for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Archaeoglobus fulgidus.
SEQ ID NO:38: PCR primer RN-F1 for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Thermococcus litoralis.
SEQ ID NO:39: PCR primer RN-R0 for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Thermococcus litoralis.
SEQ ID NO:40: PCR primer TliRN-1 for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Thermococcus litoralis.
SEQ ID NO:41: PCR primer TliRN-2 for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Thermococcus litoralis.
SEQ ID NO:44: PCR primer TliNde for amplifying a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Thermococcus litoralis.
SEQ ID NO:45: PCR primer TliBam for amplifying a gene encoding a polypeptide having a RNaseHIII activity from Thermococcus litoralis.
SEQ ID NO:48: PCR primer RN-F1 for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Thermococcus celer.
SEQ ID NO:49: PCR primer RN-R0 for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Thermococcus celer.
SEQ ID NO:50: PCR primer TceRN-1 for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Thermococcus celer.
SEQ ID NO:51: PCR primer TceRN-2 for cloning a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Thermococcus celer.
SEQ ID NO:54: PCR primer TceNde for amplifying a gene encoding a polypeptide having a RNaseHII activity from Thermococcus celer.
SEQ ID NO:55: PCR primer TceBam for amplifying a gene encoding a polypeptide having a RNaseHIII activity from Thermococcus celer.
SEQ ID NO:61: Designed chimeric oligonucleotide primer as VT2-R280N3-I7 for amplifying a portion of vero toxin 2-encoding sequence from hemorrhagic Escherichia coli 0-157."Nucleotides 18 to 20 are ribonucleotides-other nucleotides are deoxyribonucleotides"
SEQ ID NO:62: Designed oligonucleotide primer as VT2-F110 for amplifying a portion of vero toxin 2-encoding sequence from hemorrhagic Escherichia coli 0-157.
SEQ ID NO:63: Designed chimeric oligonucleotide primer as VT2-IF20N3 for amplifying a VFN3 from hemorrhagic Escherichia coli 0-157."Nucleotides 17 to 19 are ribonucleotides-other nucleotides are deoxyribonucleotides"
SEQ ID NO:64: Designed chimeric oligonucleotide primer as VT2-IF19N2 for amplifying VFN2 from hemorrhagic Escherichia coli 0-157."Nucleotides 16 to 18 are ribonucleotides-other nucleotides are deoxyribonucleotides"
SEQ ID NO:65: Designed chimeric oligonucleotide primer as VT2-IF18N1 for amplifying a VFN1 from hemorrhagic Escherichia coli 0-157."Nucleotides 15 to 17 are ribonucleotides-other nucleotides are deoxyribonucleotides"
SEQ ID NO:66: Designed oligonucleotide primer as VT21R20 for amplifying a portion of vero toxin 2-encoding sequence from hemorrhagic Escherichia coli 0-157.

Claims (6)

  1. 下記の群より選択され、かつ、耐熱性リボヌクレアーゼH活性を有することを特徴とするポリペプチド:
    (a)配列表の配列番号9、17、47、57又は59のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド;
    (b)配列表の配列番号9、17、47、57又は59のいずれか1つに示されるアミノ酸配列において、少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失、付加、挿入又は置換を有するポリペプチド;
    (c)配列表の配列番号9、17、47、57又は59のいずれか1つに示されるアミノ酸配列と少なくとも71%の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド;
    (d)配列表の配列番号8、16、46、56又は58のいずれか1つに示される塩基配列を有する核酸、当該核酸又はその相補鎖とストリンジェントな条件下にハイブリダイズしうる核酸にコードされるポリペプチド。
  2. 下記の群より選択され、かつ、耐熱性リボヌクレアーゼH活性を有するポリペプチドをコードする核酸:
    (a)配列表の配列番号9、17、47、57又は59のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸;
    (b)配列表の配列番号9、17、47、57又は59のいずれか1つに示されるアミノ酸配列において、少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失、付加、挿入又は置換を有するポリペプチドをコードする核酸;
    (c)配列表の配列番号8、16、46、56又は58のいずれか1つに示される塩基配列を有する核酸;
    (d)配列表の配列番号8、16、46、56又は58のいずれか1つに示される塩基配列において、少なくとも1つの塩基がアミノ酸配列に翻訳される形での欠失、付加、挿入又は置換を有する塩基配列からなる核酸;
    (e)前記(c)記載の核酸又はその相補鎖とストリンジェントな条件下にハイブリダイズしうる核酸;
    (f)配列表の配列番号8、16、46、56又は58のいずれか1つに示される塩基配列に少なくとも69%の相同性を有する塩基配列である核酸。
  3. 請求項2記載の核酸を含んでなる組換えDNA。
  4. 請求項3記載の組換えDNAにより形質転換されてなる形質転換体。
  5. 請求項4記載の形質転換体を培養し、該培養物中より耐熱性リボヌクレアーゼH活性を有するポリペプチドを採取することを特徴とする耐熱性リボヌクレアーゼH活性を有するポリペプチドの製造方法。
  6. プラスミドpRHB11(FERM BP−7655として寄託)、pBCA3Nd2(FERM BP−7653として寄託)、pTM−RNH(FERM BP−7652として寄託)、pTLI204(FERM BP−7693として寄託)又はpTCE207(FERM BP−7694として寄託)のいずれか1つを導入した形質転換体を培養して得られる、耐熱性リボヌクレアーゼH活性を有するポリペプチド。
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