JP2006287158A - 気体供給装置、露光装置、及びデバイスの製造方法 - Google Patents

気体供給装置、露光装置、及びデバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 振動的な温度変動が抑制された気体を供給することができる気体供給装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 気体供給装置100a,100bは、気体供給源により供給される気体Aが通過する流路の一部を構成し、流路を通過する気体Aとの間で熱交換を行う熱交換部120と、熱交換部120よりも低い熱伝導率を有し、熱交換部120に接合する温度緩衝部130と、温度緩衝部130を介して熱交換部120を所定の温度に調整する温度調整部110と、を備える。
【選択図】 図2

Description

本発明は、気体供給装置に係り、更に詳しくは、半導体素子、液晶表示素子等を製造する際にリソグラフィ工程で用いられる露光装置、及びその露光装置に好適に用いることができる気体供給装置に関する。
半導体素子、液晶表示素子等を製造するリソグラフィ工程では、ステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)や、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ)などの露光装置が用いられている。
これらの露光装置では、半導体素子等の高集積化に伴って、感光基板上に形成する回路パターンの微細化が要請されている。回路パターンの微細化を実現するためには、非常に精密な装置である露光装置の温度状態を一定に制御して、所望の性能を発揮させる必要がある。
このため、例えば、特許文献1に示すように、露光装置では、露光装置本体をチャンバ内に収容し、そのチャンバ内部の空間が均一な温度分布となるように制御している。
国際公開第02/101804号パンフレット
しかしながら、露光装置に要求される露光精度が更に厳しくなってきているため、上述した技術を用いた場合であっても、要求される露光精度の実現が困難となりつつある。
すなわち、チャンバ内部に高精度に温調された気体を供給するためには、チャンバ内に送り込まれる気体との間で行われる熱交換の効率を高める必要がある。ところが、熱交換の効率が高まると、熱交換を行う熱交換器が微小に振動する温度変化を伴うために、チャンバ内に送り込まれる気体も微小に振動する温度変化を有するようになってしまう。このため、気体にゆらぎが発生して、露光装置における感光基板等の位置決め精度を悪化させてしまうという問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、振動的な温度変動が抑制された気体を供給することができる気体供給装置を提供することを目的とする。また、露光装置本体の少なくとも一部が収容された露光室内における気体の温度変動を抑制することができる露光装置、及びデバイス製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る気体供給装置、露光装置、及びデバイスの製造方法では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
第一の発明は、気体供給装置(100a,100b)が、気体供給源(70)により供給される気体(A)が通過する流路(66a,66b)の一部を構成し、流路を通過する気体との間で熱交換を行う熱交換部(120)と、熱交換部よりも低い熱伝導率を有し、熱交換部に接合する温度緩衝部(130)と、温度緩衝部を介して熱交換部を所定の温度に調整する温度調整部(110)と、を備えるようにした。
この発明によれば、熱交換部と温度調整部との間に、熱交換部よりも低い熱伝導率を有する温度緩衝部を設けたので、温度調整部の温度変化が温度緩衝部により緩和されて熱交換部に伝わるようになる。これにより、熱交換部に急激な温度変化が発生することを防止することができる。
また、温度緩衝部(130)が、温度調整部(110)における温度変動の周期と温度変動幅との少なくとも一方に基づいて、熱伝導率が規定されているものでは、温度緩衝部の熱伝導率が、温度調整部において発生する温度変動の程度に応じて規定されるので、熱交換部における急激な温度変化の発生が確実に防止できる。
また、温度緩衝部(130)が、温度調整部(110)における温度変動の周期と温度変動幅との少なくとも一方に基づいて、温度調整部と熱交換器(120)との間の距離を規定するものでは、温度緩衝部の厚みが、温度調整部において発生する温度変動の程度に応じて規定されるので、熱交換部における急激な温度変化の発生が確実に防止できる。
また、温度緩衝部(130)が、高分子材料からなるものでは、温度緩衝部の熱伝導率を容易に調整することが可能となる。
また、熱交換部(120)が、気体(A)に比べて熱伝導率が高い部材で形成された仕切部材(126)によって仕切られた多数の小空間を有し、当該多数の小空間が気体の流路を構成するものでは、熱交換部が気体と接触する面積を熱伝導率が高い部材により増大させることにより、熱交換部と気体との間の熱伝導率を高めることができる。これにより、気体供給源により供給される気体を高精度に温度調整することが可能となる。
また、温度調整部(130)が、熱交換部(120)の外周の少なくとも一部に設けられ、内部を流動する温調用媒体(C)によって温度が調整されるものでは、温度調整部を高精度に温度調整することができる。
第二の発明は、エネルギビーム(EL)を感光基板(W)に照射して、所定パターンを感光基板上に形成する露光部(10)と、露光部の少なくとも一部を収容する露光室(42)と、露光室内に温度制御された気体(A)を供給する気体供給部(100a,100b)と、を備える露光装置(EX)において、気体供給部として第一の発明の気体供給装置を用いるようにした。
この発明によれば、露光室に供給される気体が高精度に温調され、また、急激な温度変化を伴わないので、露光部を略一定温度に維持することができる。
第三の発明は、リソグラフィ工程を含むデバイスの製造方法において、リソグラフィ工程において第二の発明の露光装置(EX)を用いるようにした。
この発明によれば、露光装置が高精度に稼働するので、微細な回路パターンを有するデバイスを効率よく製造することができる。
なお、上記各発明をわかりやすく説明するために一実施例を表す図面の符号に対応づけて説明したが、本発明が実施例に限定されるものではないことは言うまでもない。
本発明によれば以下の効果を得ることができる。
第一の発明によれば、熱交換部に急激な温度変化が発生することを防止されるので、気体供給源により供給される気体を、高精度であっても緩やかに、温度調整することが可能となる。
第二の発明によれば、露光室内が略一定温度に維持されるので、精密な装置である露光部が所望の性能を発揮することが可能となる。
第三の発明によれば、微細な回路パターンを有するデバイスが効率よく製造されるので、高性能かつ高品質なデバイスを実現することが可能となる。
以下、本発明の気体供給装置、露光装置、及びデバイスの製造方法の実施形態について図を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る露光装置EXの構成を示す模式図である。
露光装置EXは、レチクルRとウエハWとを一次元方向に同期移動しつつ、レチクルRに形成されたパターンを投影光学系16を介してウエハW上の各ショット領域に転写するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置、すなわち、いわゆるスキャニング・ステッパである。
露光装置EXは、露光装置本体10と、クリーンルーム内の床面F上に設置されると共に露光装置本体10を収容する本体チャンバ40と、本体チャンバ40に隣接して配置された機械室70とを備える。
露光装置本体10は、露光光ELによりレチクルRを照明する照明光学系12、レチクルRを保持して移動可能なレチクルステージ14、レチクルRから射出される露光光ELをウエハW上に投射する投影光学系16、ウエハWを保持して移動可能なウエハステージ20と、投影光学系16等を保持すると共にウエハステージ20が搭載される本体コラム30、露光装置EXを統括的に制御する不図示の制御装置等を備える。
照明光学系12は、レチクルステージ14に支持されているレチクルRを露光光ELで照明するものであり、不図示の露光用光源から射出された露光光ELの照度を均一化するオプティカルインテグレータ、コンデンサレンズ、リレーレンズ系、レチクルR上の露光光ELによる照明領域をスリット状に設定する可変視野絞り等(いずれも不図示)を有している。これらの光学部材は、照明系ハウジング12a内に所定の位置関係で収容される。
また、照明光学系12は、不図示の引き回し光学系(リレー光学系)を介して、露光用光源に接続されている。なお、引き回し光学系は、その少なくとも一部にビーム・マッチング・ユニットと呼ばれる光軸調整用の光学系を含む。
このような構成により、照明光学系12は、レチクルR上の所定の照明領域を、より均一な照度分布の露光光ELで照明可能となっている。
なお、照明系ハウジング12a、引き回し光学系が収容される筐体(不図示)は、それぞれ内部が不活性ガス(例えば窒素、ヘリウムなど)でパージされ、清浄度が極めて良好に維持されるようになっている。
また、照明系ハウジング12aの少なくとも一部は、サポートコラム36により支持される。
露光用光源から射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)等の紫外光が用いられる。
レチクルステージ14は、レチクルRを支持しつつ、投影光学系16の光軸AXに垂直な平面内の2次元移動及び微小回転を行うものである。なお、レチクルRは、レチクルステージ14に形成された矩形開口の周囲に設けられたレチクル吸着機構により真空吸着等される。
そして、レチクルステージ14上のレチクルRの2次元方向の位置及び回転角は、不図示のレーザ干渉計によりリアルタイムで計測され、その計測結果は制御装置に出力される。そして、制御装置がレーザ干渉計の計測結果に基づいてリニアモータ等を駆動することで、レチクルステージ14に支持されているレチクルRの位置決めが行われる。
なお、レチクルステージ14は、サポートコラム36により支持される。
投影光学系16は、レチクルRに形成されたパターンを所定の投影倍率でウエハWに投影露光するものであって、複数の光学素子で構成される。これら光学素子は鏡筒16aで支持される。本実施形態において、投影光学系16は、投影倍率βが例えば1/4あるいは1/5の縮小系である。なお、投影光学系16は等倍系及び拡大系のいずれでもよい。
なお、鏡筒16aは、内部が不活性ガス(例えば窒素、ヘリウムなど)でパージされ、清浄度が極めて良好に維持されるようになっている。
また、投影光学系16は、メインコラム34の天板に設けられた不図示の穴部に挿入されて、支持される。
ウエハステージ20は、ウエハWを保持しつつ、不図示のリニアモータ等の駆動装置によって、光軸AXに垂直な平面内の2次元移動及び微小回転を行うものである。ウエハWは、ウエハステージ20の上面に、真空吸着等によって保持されている。
また、ウエハステージ20上には移動鏡22が設けられ、これに対向する位置にはレーザ干渉計24が設けられる。そして、ウエハステージ20の2次元方向の位置及び回転角は、レーザ干渉計24によりリアルタイムで計測され、計測結果が制御装置に出力される。そして、制御装置がレーザ干渉計24の計測結果に基づいてリニアモータ等を駆動することで、ウエハステージ20に保持されているウエハWの位置決めが行われる。
なお、ウエハステージ20は、メインコラム34の底板を構成するステージベース上に支持される。
本体コラム30は、本体チャンバ40の底面上に設置されたベースプレート38の上方に、複数の防振台32を介して支持されている。本体コラム30は、防振台32によって支持されたメインコラム34と、このメインコラム34上部に立設されたサポートコラム36とを有している。
そして、メインコラム34の天井部となるメインフレームには、投影光学系16が支持されている。また、サポートコラム36には、レチクルステージ14、照明光学系12が支持されている。
本体チャンバ40は、環境条件(清浄度、温度、圧力等)がほぼ一定に維持された露光室42と、この露光室42の側部に配置された不図示のレチクルローダ室及びウエハローダ室とを有するように形成されている。なお、露光室42は、その内部に露光装置本体10が配置される。
露光室42の上部側面には、本体チャンバ40内に温調した空気(気体)Aを供給する機械室70に接続される噴出口50が設けられる。そして、機械室70から送気される温調された空気Aが噴出口50からサイドフローにて露光室42の上部空間42aに送り込まれるようになっている。
また、露光室42の底部には、リターン部52が設けられ、このリターン部52の下方には、リターンダクト54の一端が接続される。そして、リターンダクト54の他端は、機械室70に接続される。すなわち、露光室42内の空気Aがリターン部52からリターンダクト54を介して機械室70に戻されるようになっている。
露光室42の側面には、機械室70に接続された給気管路60が接続され、更に、露光室42内に延設されている。その内部には、ヒータ62、送風機64、ケミカルフィルタCF、フィルタボックスAFが順次配置されている。
更に、給気管路60は、2つの分岐路66a,66bに分岐される。一方の分岐路66aは、温度安定化流路装置100aを介して気体噴出ユニット102aに接続されている。他方の分岐路66bは、温度安定化流路装置100bを介して気体噴出ユニット102bが接続されている。
気体噴出ユニット102a,102bは、メインコラム34の天板の下面に、断熱部材104を介して、それぞれ固定されている。気体噴出ユニット102a,102bの下面側には、温調された空気Aを下方に向かって噴き出す不図示の噴出口がそれぞれ多数形成されている。
これにより、機械室70から送気される温調された空気Aが気体噴出ユニット102a、102bを経由した後に、気体噴出ユニット102a,102bからダウンフローにてメインコラム34の内側空間42bに送り込まれるようになっている。
また、メインコラム34の下端側面(或いは底面)には、リターンダクト56が接続され、このリターンダクト56の他端は機械室70に接続されている。なお、図示は省略されているが、リターンダクト56は複数の分岐路を備え、それぞれの分岐路がメインコラム34の底部(或いは底面)の複数箇所に接続されている。
図2〜図4は、温度安定化流路装置100a,100bの構成を示す模式図であって、図2は断面図、図3は分解図、図4は外観図である。
温度安定化流路装置100a,100bは、全体として直方体状の形状を有し、2つのアルミニウム製の筐体110,120と、筐体110,120の間に配置された温度緩衝部材130とから構成される。
筐体110は、直方体状の形状を有し、内部に密閉空間を形成する。そして、筐体110の密閉空間には、アルミニウム製のプレートフィン116が配置される。
プレートフィン116は、その表面積を増大するように波形状に曲折された板状部材からなり、これにより、後述する温調用媒体Cが流通する細い流路が形成される。なお、プレートフィン116のピッチ(フィンピッチ)は、温調用媒体Cとの熱交換を効率良く行うことができるように設定されており、例えば、高さ方向の寸法が10mm〜15mm程度、ピッチが1mm〜1.5mm程度のものが用いられる。
なお、プレートフィン116は、筐体110の天板、底板、側板に対して、ろう付けされる。
そして、筐体110の側板には、供給管142の一端が接続され、この供給管142の他端は温調装置140の吐出口に接続されている。同様に、対向する側板には、排出管144の一端が接続され、この排出管144の他端は温調装置140の戻り口に接続されている。このようにして、温調装置140、供給管142、筐体110、排出管144とからなる温調用媒体Cの循環経路が構成される。
なお、温調用媒体Cとしては、例えばフロリナート(登録商標)が用いられ、温調装置140により略一定温度に温度調整される。これにより、プレートフィン116は、その温度が所定温度に維持される。なお、温調用媒体Cとして、気体を用いても構わない。
筐体120は、角管形の形状を有し、その内側の空間は、アルミニウム製のセパレートシート124によって上下方向に並ぶ複数の空間に区画され、各空間内にはアルミニウム製のプレートフィン(仕切部材)126がそれぞれ配置される。
プレートフィン126としては、プレートフィン116と同様の構成のものが用いられる。また、プレートフィン126のピッチ(フィンピッチ)は、空気Aとの熱交換を効率良く行うことができるように設定される。なお、各プレートフィン126は、筐体120やセパレートシート124に対して、ろう付けされる。
そして、筐体120の一側には、取り付けフランジ68aが固定されており、この取り付けフランジ68aを介して分岐路66a,66bが接続される。同様に、筐体120の他側には、取り付けフランジ68bが固定されており、この取り付けフランジ68bを介して、分岐路66a,66bが接続されている。
すなわち、分岐路66a,66bを流通する空気Aは、筐体120内に導入され、プレートフィン126の細い隙間からなる流路を通過して、気体噴出ユニット102a、102に排出されるようになっている。そして、プレートフィン126の細い隙間からなる流路を通過する際に、空気Aの温度がプレートフィン126の温度と略同一になるようになっている。
温度緩衝部材130は、高分子材料、例えば、アクリル、ポリカーボネート、テフロン(登録商標)等からなる。すなわち、温度緩衝部材130は、筐体120よりも低い熱伝導率をする材料からなり、筐体110と筐体120との間に配置されることにより、筐体120を流通する温調用媒体Cからプレートフィン116及びプレートフィン126を介して筐体120を流通する空気Aへの熱の伝達が緩やかに行われるようにするものである。
筐体110と筐体120との間に、高分子材料等からなる温度緩衝部材130を配置するのは、以下の理由による。
すなわち、筐体110と筐体120とは、熱伝導率の高い金属であるアルミニウムからなり、更に、温調用媒体C等との熱交換を効率良く行うことができるように設定されている。そして、筐体110の温度は、プレートフィン116の間を流通する温調用媒体Cにより温調することにより、温調用媒体Cの温度が効率良く筐体110から筐体120に伝導し、プレートフィン126を通過する空気Aを温調するようになっている。
ところが、温調用媒体Cの温度は、温調装置140により略一定となるように制御されているが、微視的には周期的な温度変化を有したものとなっている。このため、プレートフィン126を通過する空気Aに、温調用媒体Cの周期的な温度変化が伝わってしまう。そして、このような空気Aの周期的な温度変化は、空気のゆらぎとなって、ウエハステージ20の位置を計測するレーザ干渉計24等による計測に誤差を発生させてしまう。
現在、レーザ干渉計24には、高い位置検出精度が求められており、そのために空気Aには厳しい温度安定性(例えば、±0.005℃以下)が要求されている。しかしながら、これに対応するように温調用媒体Cの温度を±0.005℃以下に制御するのは非常に困難である。一例として、従来の温調装置140においては、制御定数の最適化(チューニング)を行った場合であっても、温調用媒体Cの温度には、温度振幅0.03℃程度、温度変動周波数0.1〜0.3Hz程度の変動が残存してしまう。
そこで、筐体110と筐体120との間に、筐体120よりも熱伝導率の低い材料からなる温度緩衝部材130を配置する。これにより、筐体110と筐体120への熱伝達が緩やかに行われるようになり、急激な熱伝達が緩和される。
温度緩衝部材130の熱伝導率は、筐体110(温調用媒体C)の温度変動の周期と温度変動幅との少なくとも一方に基づいて規定される。また、温度緩衝部材130の厚みは、筐体110(温調用媒体C)の温度変動の周期と温度変動幅との少なくとも一方に基づいて規定される。
すなわち、温度緩衝部材130の厚みをδ(m)、熱伝導率をα(m/秒)と表す。
また、筐体110(温調用媒体C)の温度を、
θ−θ=A・sin(2πft+Φ)
と表す(なお、θは、温調用媒体Cの温度の時間平均値である。)。
そして、温度緩衝部材130の筐体110側と筐体120側の温度の振幅比を、
η=A´/A
とする(なお、A´は筐体120側の温度振幅)と、
η=exp(−√(πf/α)δ)
と表される。
このように、温度緩衝部材130の厚みδ、及び熱伝導率αを調整することにより、筐体110から筐体120への熱伝導を規定することが可能となる。具体的には、温度緩衝部材130の厚みδが大きい程、また熱伝導率αが低い程、温調用媒体Cの温度変化がプレートフィン126に伝わりづらくなる。
なお、温調用媒体Cの温度変化の周波数が低い場合には、その温度変化の振幅は減衰せずに伝達しやすい。一方、周波数が高い場合には、その温度変化の振幅は減衰して伝達しやすいという特徴がある。つまり、温度緩衝部材130は、周期的な温度変動に対して一種のローパスフィルタとして機能する。したがって、筐体110(温調用媒体C)の周期的な温度変化のうち、筐体120への熱伝導を抑制したい周波数に応じて、温度緩衝部材130の厚みδ、及び熱伝導率αを規定すればよい。
温度振幅の減衰と、温度緩衝部材130の熱伝導率及び厚さとの関係について、図5を参照してより具体的に説明する。
図5は、温度緩衝部材130の厚さδ及び熱伝導率αによって、温度振幅がどの程度減衰するかを表したグラフである。グラフの縦軸は、筐体120、すなわち空気Aの温度振幅を示し、横軸は、温度緩衝部材130の厚さδを示す。また、グラフは、温調用媒体Cの温度変動周波数が0.33Hz(周期約3秒)と0.11Hz(周期約9秒)とのそれぞれの場合において、温度緩衝部材130としてポリカーボネート(熱伝導率0.23W/m・K)を使用した場合と、アルミニウム(熱伝導率237W/m・K)を使用した場合の、計4条件での温度振幅の減衰の様子を示している。なお、ここでは、筐体110、すなわち温調用媒体Cの温度振幅は、0.05℃とする。
空気Aの温度安定性の目標値を0.005℃とすると、グラフからわかる通り、温調用媒体Cの温度変動周波数が0.33Hzの場合、温度緩衝部材130として、厚さ1mm程度のポリカーボネートを使用すれば、空気Aの温度振幅は0.005℃以下となり、目標とする温度安定性を達成することができる。
また、温度変動周期が0.11Hzの場合には、厚さ2mmのポリカーボネートを温度緩衝部材130として使用すれば、目標とする温度安定性を達成することができる。
一方、温度緩衝部材130として、プレートフィン116,126と同材料のアルミニウムを用いた場合には、温度変動周波数0.33Hz、0.11Hzに対して、それぞれ23mm、39mmの厚さが必要となる。つまり、温度変動幅を減衰させるために、筐体110と筐体120との距離を変えてもよく、一方、アルミニウムよりも熱伝導率の小さい材料を温度緩衝部材130として用いれば、これらよりも薄い部材で同様の効果を得ることができる。
以上のように、筐体110と筐体120との間に、温度緩衝部材130を設け、その熱伝導率及び厚さを適宜選択することにより、温調装置140を高性能化し温調用媒体Cの温調制御を厳しく行わなくても、従来の温調装置140を用いたままで空気Aの温度安定性を高めることができる。
また、以上説明した通り、温度緩衝部材130の材質(熱伝導率)及び厚さのいずれか一方又は両方を、温調装置140による温調用媒体Cの温度変動周波数及び/又は温度振幅に基づいて決定することができる。
次に、露光装置EXの作用、特に空調方法について説明する。
まず、制御装置により機械室70が作動され、温調された空気Aが、露光室42に向けて送気される。これにより、露光室42内では、噴出口50から露光室42の上部空間42aに、温調された空気Aが均一なサイドフローにて送り込まれる。また、気体噴出ユニット102a,102bからメインコラム34の内側空間42bに、温調された空気Aが均一なダウンフローにて送り込まれる。
そして、露光室42及びメインコラム34の内側空間42bに送り込まれた空気Aは、それぞれリターンダクト54,56に排気され、機械室70に戻される。
このようにして、露光室42及びメインコラム34の内側空間42bが空調される。
特に、メインコラム34の内側空間42bに送り込まれる空気Aは、機械室70において略一定の温度に温調された後に、更に温度安定化流路装置100a,100bを通過する際に、高精度に温調される。
そして、温度安定化流路装置100a,100bでは、筐体110と筐体120との間に、温度緩衝部材130を配置したことにより、筐体110内を流れる温調用媒体Cの微小な温度変化が、筐体120のプレートフィン126を通過する空気Aに伝達されることが緩和されるので、高精度に温調された空気Aをウエハステージ20の周辺に供給することができる。
これにより、ウエハステージ20の周辺は、温度のゆらぎのない空気Aに満たされるため、レーザ干渉計24等により、ウエハステージ20の位置を高精度に計測することが可能となる。
そして、このような温調を行った状態で、露光装置本体10による露光処理が行われる。具体的には、不図示の露光用光源から射出された露光光ELが、各種レンズやミラー等からなる照明光学系12において、必要な大きさ及び照度均一性に整形された後にパターンが形成されたレチクルRを照明し、このレチクルRに形成されたパターンが投影光学系16を介して、ウエハステージ20上に保持されたウエハW上の各ショット領域に、縮小転写される。これにより、高精度なパターンをウエハW上に形成することが可能となる。
このように、温度安定化流路装置100a,100bの筐体110と筐体120との間に、筐体120よりも低い熱伝導率を有する温度緩衝部材130を配置したので、筐体110(温調用媒体C)の温度変化が温度緩衝部材130により緩和されて筐体120に伝わるようになる。これにより、筐体120のプレートフィン126を通過する空気Aに振動的な温度変化が発生してしまうことを防止できる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
本発明は、例えば、以下のような変更をも含むものとする。
温度安定化流路装置100a,100bは、筐体110,120内のプレートフィン116,126に代えて、ハニカム状の多数の流路が設けられた部材を採用しても良い。この他、ポーラス体、すなわち乾燥した糸瓜(あるいはスポンジ)のような多孔質の発泡金属などにより流路を形成した部材を採用してもよい。
また、上記実施形態では、筐体110,120をアルミニウム製としたが、他の金属でも良いし、金属製ではなく熱伝導率が高い他の材料を用いても良い。
また、上記実施形態では、メインコラム34内部のウエハステージ20の移動空間内に、温度安定化流路装置100a,100bを経由した空気Aを供給する場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、レチクルステージ14が配置される空間等に、温度安定化流路装置を経由した温調気体を供給してもよい。これにより、例えば、レチクルステージ14の位置を計測する不図示のレーザ干渉計による計測誤差を抑制することが可能となる。なお、温調気体は、ダウンフローにて供給してもよい。
また、上記実施形態では、温度安定化流路装置100a,100bを経由した空気Aを上方から下方に供給する、すなわちダウンフロー空調を行う場合について説明したが、これに限らず、サイドフローにて温度安定化流路装置100a,100bを経由した空気Aを供給しても構わない。
上記実施形態では、光源としてKrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ等を用いる場合について説明したが、これに限らず、光源としてF2レーザ、Ar2レーザを用いても良く、あるいは金属蒸気レーザやYAGレーザを用い、これらの高調波を露光用照明光としても良い。あるいは、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(Er)(又はエルビウムとイッテルビウム(Yb)の両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を、露光用照明光として用いても良い。
また、上記実施形態ではステップ・アンド・スキャン方式の露光装置を例に挙げて説明したが、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置にも本発明を適用することができる。更に、本発明は半導体素子の製造に用いられる露光装置だけではなく、液晶表示素子(LCD)等を含むディスプレイの製造に用いられてデバイスパターンをガラスプレート上へ転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられてデバイスパターンをセラミックウエハ上へ転写する露光装置、及びCCD等の撮像素子の製造に用いられる露光装置等にも適用することができる。
また、投影光学系16は、屈折系、反射屈折系、及び反射系のいずれでも良いし、縮小系、等倍系、及び拡大系のいずれでも良い。
更には、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(遠紫外)光やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウム、又は水晶などが用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置、又は電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウエハなどが用いられる。
なお、このような露光装置は、WO99/34255号、WO99/50712号、WO99/66370号、特開平11−194479号、特開2000−12453号、特開2000−29202号等に開示されている。
また、本発明は、投影光学系と基板(ウエハ)との間に供給された液体を介して基板上に所定のパターンを形成する液浸露光装置にも、必要な液体対策を適宜施したうえで適用可能である。液浸露光装置の構造及び露光動作は、例えば、国際公開第99/49504号パンフレット、特開平6−124873号、及び特開平10−303号に開示されている。また、本発明は、ツインステージ型の露光装置にも適用できる。ツインステージ型の露光装置の構造及び露光動作は、例えば、特開平10−163099号、特開平10−214783号、特表2000−505958号或いは米国特許6,208,407号に開示されている。また、本発明は、特開平11−135400号に開示されているように、ウエハ等の被処理基板を保持して移動可能な露光ステージと、各種計測部材やセンサを備えた計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。
また、本発明が適用される露光装置は、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(または位相パターン・減光パターン)が形成された光透過型マスク、或いは光反射性の基板上に所定の反射パターンが形成された光反射型マスクを用いるものに限らず、例えば、米国特許第6,778,257号公報に開示されているような、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、或いは発光パターンを形成する電子マスクを用いる露光装置であってもよい。
レチクルステージの移動により発生する反力は、投影光学系に伝わらないように、特開平8−330224号公報(対応USP5,874,820)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
また、ウエハステージの移動により発生する反力は、投影光学系に伝わらないように、特開平8−166475号公報(対応USP5,528,126)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
次に、本発明の実施形態による露光装置及び露光方法をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法の実施形態について説明する。
図6は、マイクロデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートを示す図である。
まず、ステップS10(設計ステップ)において、マイクロデバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップS11(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスク(レチクル)を製作する。一方、ステップS12(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
次に、ステップS13(ウエハ処理ステップ)において、ステップS10〜ステップS12で用意したマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップS14(デバイス組立ステップ)において、ステップS13で処理されたウエハを用いてデバイス組立を行う。このステップS14には、ダイシング工程、ボンティング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。最後に、ステップS15(検査ステップ)において、ステップS14で作製されたマイクロデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にマイクロデバイスが完成し、これが出荷される。
図7は、半導体デバイスの場合におけるステップS13の詳細工程の一例を示す図である。
ステップS21(酸化ステップ)おいては、ウエハの表面を酸化させる。ステップS22(CVDステップ)においては、ウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップS23(電極形成ステップ)においては、ウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップS24(イオン打込みステップ)においては、ウエハにイオンを打ち込む。以上のステップS21〜ステップS24のそれぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップS25(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップS26(露光ステップ)において、上で説明したリソグラフィシステム(露光装置)及び露光方法によってマスクの回路パターンをウエハに転写する。次に、ステップS27(現像ステップ)においては露光されたウエハを現像し、ステップS28(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップS29(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
また、半導体素子等のマイクロデバイスだけではなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置等で使用されるレチクル又はマスクの製造にも本発明を適用できる。
露光装置EXの構成を示す模式図である。 温度安定化流路装置100a,100bの構成を示す断面図である。 温度安定化流路装置100a,100bの構成を示す分解図である。 温度安定化流路装置100a,100bの構成を示す外観図である。 温度緩衝部材130の種類別の温度振幅減衰を示す図である。 マイクロデバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。 図6におけるステップS13の詳細工程の一例を示す図である。
符号の説明
EX…露光装置
A…空気(気体)
C…温調用媒体
W…ウエハ
EL…露光光
10…露光装置本体
42…露光室
66a,66b…分岐路
70…機械室
100a,100b…温度安定化流路装置
110…筐体
120…筐体
126…プレートフィン
130…温度緩衝部材


Claims (8)

  1. 気体供給源により供給される気体が通過する流路の一部を構成し、前記流路を通過する気体との間で熱交換を行う熱交換部と、
    前記熱交換部よりも低い熱伝導率を有し、前記熱交換部に接合する温度緩衝部と、
    前記温度緩衝部を介して前記熱交換部を所定の温度に調整する温度調整部と、
    を備えることを特徴とする気体供給装置。
  2. 前記温度緩衝部は、前記温度調整部における温度変動の周期と温度変動幅との少なくとも一方に基づいて、熱伝導率が規定されていることを特徴とする請求項1に記載の気体供給装置。
  3. 前記温度緩衝部は、前記温度調整部における温度変動の周期と温度変動幅との少なくとも一方に基づいて、前記温度調整部と前記熱交換器との間の距離を規定することを特徴とする請求項1に記載の気体供給装置。
  4. 前記温度緩衝部は、高分子材料からなることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の気体供給装置。
  5. 前記熱交換部は、前記気体に比べて熱伝導率が高い部材で形成された仕切部材によって仕切られた多数の小空間を有し、当該多数の小空間が前記気体の流路を構成することを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の気体供給装置。
  6. 前記温度調整部は、前記熱交換部の外周の少なくとも一部に設けられ、内部を流動する温調用媒体によって温度が調整されることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の気体供給装置。
  7. エネルギビームを感光基板に照射して、所定パターンを前記感光基板上に形成する露光部と、
    前記露光部の少なくとも一部を収容する露光室と、
    前記露光室内に温度制御された気体を供給する気体供給部と、
    を備える露光装置において、
    前記気体供給部として、請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の気体供給装置を用いることを特徴とする露光装置。
  8. リソグラフィ工程を含むデバイスの製造方法において、前記リソグラフィ工程において請求項6に記載の露光装置を用いることを特徴とするデバイスの製造方法。


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