JP2006286373A - マイクロ波透過性部材、および電子レンジ - Google Patents

マイクロ波透過性部材、および電子レンジ Download PDF

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Abstract

【課題】簡単な構造で製造コストを抑えながら、被加熱物を均一にマイクロ波加熱する。
【解決手段】電子レンジ10を、被加熱物を収容する加熱室12と、加熱室12内にマイクロ波を放射可能に形成されたマイクロ波発生手段14と、加熱室12内の底面上に設けられ被加熱物を載置するマイクロ波透過性部材1とを備えてなり、加熱室12内に載置された被加熱物をマイクロ波加熱するように構成する。マイクロ波透過性部材1を、マイクロ波透過性材料からなる基材3に、マイクロ波吸収膜層およびマイクロ波反射膜層を部分的に設けて構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、マイクロ波透過性材料を有してなる基材に、マイクロ波吸収膜層、または/および、マイクロ波反射膜層を設けてなるマイクロ波透過性部材、およびそのマイクロ波透過性部材を設けてなる電子レンジに関する。
電子レンジは、現代の食生活における必需品であり、一般家庭あるいはコンビニエンスストアなどで大いに使用されている。従来、電子レンジに用いられている被調理物の載置台としては、ターンテーブル式が主流であった。ターンテーブル式電子レンジは、加熱室内において、載置台と共に被調理物を回転させマイクロ波加熱するように構成されている。このターンテーブル式電子レンジによれば、被調理物に対してマイクロ波を均一に照射可能となり、被調理物をほぼ均一に加熱できる利点がある。
しかしながら、ターンテーブル式電子レンジには、被調理物を載せることのできるスペースが回転軌跡内に制限される構造上、加熱室の底板面積に対して有効面積が小さいという大きな欠点があった。特にコンビニエンスストアなど営業用に用いる場合、短時間で調理数をより多くすることが重要であるが、ターンテーブル式電子レンジでは、例えば2つの弁当を配置できる底板面積があったとしても、1つの弁当分の有効面積しか確保できず、電子レンジを多数保有することが必要となり、その導入コスト、設置場所、保守管理、また使用電力の面などからも改善が求められていた。
そこで、現在では底板式の電子レンジ(以下、ノンターン式電子レンジ)が見直され、被調理物へのマイクロ波照射が不均一になりやすいという問題点を解決する技術が案出されている。例えば、このような技術として、特許文献1に記載された複合加熱装置や特許文献2に記載されたマルチ給電型電子レンジがある。これら両者はノンターン式電子レンジによる加熱機能を備えるものであり、従って、マイクロ波照射時に被調理物が回転移動することはない。さらに、前者においては、被加熱物に対向する面に上下動可能な反射材を含む加熱ユニットを配して構成され、被加熱物を含む領域内にマイクロ波を閉じ込め領域を形成することに効率よく被加熱物をマイクロ波加熱するものである。また後者においては、加熱室にマイクロ波反射撹拌羽を取り付けて、載置台に対し、マイクロ波を拡散させるように構成され、ターンテーブル式電子レンジに比べ、有効使用面積を格段に増加できると共に、均一なマイクロ波加熱が可能である。
特開2005−032646号公報 特開平08−138862号公報
しかし、特許文献1の電子レンジでは、加熱ユニットの上下動によって反射材によりマイクロ波の反射方向を変化させ、また、特許文献2の複合加熱装置では、マイクロ波反射撹拌羽の動作によって反射方向を変化させ、マイクロ波加熱の効率を向上させるものであり、共に構造が複雑になり、製造コストが多く掛かる点で問題があった。
そこで、本発明は、構造を簡単にして製造コストを抑えながら、マイクロ波の吸収特性や反射特性を変化させることができるマイクロ波透過性部材、および被加熱物を均一にマイクロ波加熱できる電子レンジの提供を課題とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明に係るマイクロ波透過性部材は、マイクロ波透過性材料を有してなる基材に、マイクロ波吸収膜層、または/および、マイクロ波反射膜層を、部分的に設けて構成される。
請求項2の発明に係るマイクロ波透過性部材は、マイクロ波吸収膜層、または/および、マイクロ波反射膜層を、パターン模様状に設けて構成される。
請求項3の発明に係るマイクロ波透過性部材は、マイクロ波吸収膜層を200μm以下の膜厚さ、または/および、マイクロ波反射膜を50μm以下の膜厚さで設けて構成される。
請求項4の発明に係るマイクロ波透過性部材は、マイクロ波吸収膜層、または/および、マイクロ波反射膜層を、少なくとも単層で設けて構成される。
請求項5の発明に係るマイクロ波透過性部材は、マイクロ波吸収膜層がその膜上の少なくとも2点において異なるマイクロ波吸収特性を備え、または/および、マイクロ波反射膜層がその膜上の少なくとも2点において異なるマイクロ波反射特性を備えて構成される。
請求項6の発明に係る電子レンジは、加熱室内の被加熱物を、マイクロ波加熱するように構成された電子レンジであって、請求項1乃至5のいずれかに記載のマイクロ波透過性部材を、加熱室内面のうち少なくとも一つの面上に設けて構成される。
請求項7の発明に係る電子レンジは、加熱室内面が、加熱室の底面であるように構成される。
請求項8の発明に係る電子レンジは、加熱室内に出し入れ可能に設けたトレイ上の被加熱物を、マイクロ波加熱するように構成された電子レンジであって、請求項1乃至5のいずれかに記載のマイクロ波透過性部材を、トレイに設けて構成される。
請求項1の発明によれば、基材における特定部分について、マイクロ波の吸収特性や反射特性を変化させることができる。
請求項2の発明によれば、基材における特定部分について、設けるパターン模様の形状を調整でき、マイクロ波の吸収特性や反射特性を容易に変化させることができる。
請求項3の発明によれば、マイクロ波の吸収特性および反射特性の劣化を防止可能となる。
請求項4の発明によれば、基材における特定部分について、設ける層数を調整でき、マイクロ波の吸収特性や反射特性を容易に変化させることができる。
請求項5の発明によれば、基材における特定部分について、少なくとも2点におけるマイクロ波の吸収特性や反射特性を変化させることができる。
請求項6〜8の発明によれば、加熱室内の被加熱物に対して、マイクロ波が不均一に照射される場合であっても、基材における特定部分について、マイクロ波の吸収特性や反射特性を変化させることができ、被加熱物を均一にマイクロ波加熱できる。
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1、2に示す電子レンジ10は、被加熱物を収容する加熱室12と、加熱室12内にマイクロ波を放射可能に形成されたマイクロ波発生手段14と、加熱室12内の底面上に設けられ被加熱物を載置するマイクロ波透過性部材1とを備えてなり、加熱室12内に載置された被加熱物をマイクロ波加熱するように構成されている。
加熱室12は、室内空間がほぼ立方体形状に形成され、空間内に放射されたマイクロ波を各内面側で反射するとともに室外への漏洩を防止可能に金属材料等で形成されている。またマイクロ波発生手段14としては、いわゆるマグネトロンが使用されている。
図3に示すように、マイクロ波透過性部材1は、マイクロ波透過性材料を有してなる基材3に、マイクロ波吸収膜層5およびマイクロ波反射膜層7を、部分的に設けて構成されている。
基材3は、加熱室12の底面にほぼ一致する縦横寸法の平板状に形成され、直接マイクロ波の照射を受けるように底面上に配設されている。また、基材3は、マイクロ波透過性を備えると共に、低い熱膨張係数を有する材料を用いて高い耐熱性を備えるように、いわゆるガラスやセラミックス等から形成されている。ガラスとしては、例えば石英ガラス、バイコールガラス等から選択して使用でき、セラミックスとしては、例えばβ−スポジュメン、コージェライト等から選択して使用できる。
マイクロ波吸収膜層5およびマイクロ波反射膜層7は、基材3の裏面側、すなわち加熱室12の底面に対する配設面側に、それぞれがパターン模様状に部分的に設けられている。パターン模様の形状は、例えば図3(a)〜(c)のように、四角形、丸形、T字形、コの字形、十字形等から選択して使用できる。さらに、図3(d)、(e)のように、これらのパターン模様は、ベタ塗りによって、形状、サイズ、間隔、数を変えて複数設けても良く、またベタ塗り膜に、前述のパターン模様の穴を同様に設けて形成可能である。
マイクロ波吸収膜層5は、フェライト、SiC、酸化スズ、チタン酸バリウムなど公知のマイクロ波吸収材を材料として構成されている。マイクロ波吸収膜層5は、単独種類の材料を用いて膜状に形成しても良いし、その他、熔化材料を含んだ合成材料を用いて膜状に形成しても良い。
また、マイクロ波透過性部材1にマイクロ波吸収膜層5を設ける方法としては、溶射、印刷焼き付け、接着、蒸着など公知の方法が使用される。
また、図3(f)のように、マイクロ波吸収膜層5を場所により単膜あるいは複数段層にすることで、吸収特性を場所によって変化させることもできる。また、例えば、異種類のマイクロ波吸収材料からなる膜層を用いた膜層パターンとしたり、熔化材料との混合比を変えることによっても実現可能である。
また、マイクロ波吸収膜層5の膜層厚さは、200μm以下が有効である。それは膜層厚さが200μm以上の場合、基材3との熱膨張係数の違いが問題となるからである。例えば基材3として、代表的な低熱膨張性セラミックスであるβ−スポジュメンを使用した時、その熱膨張係数は5×10−6/℃である。これに対し、マイクロ波吸収膜層5として、例えばフェライトを使用した時、その熱膨張係数は約100×10−6/℃という非常に高い値を持つ。このように膨張特性が大きく異なる2種類の材料が接する状態で加熱されると、特にマイクロ波吸収膜層5は、熱膨張の差による熱歪みを受けることで、亀裂が入り易く、また剥離し易くなる。ここで、マイクロ波吸収膜層5の膜層厚さを200μm以下とした場合には、熱歪みの影響が緩和され、亀裂・剥離現象は起き難くなる。また経済的にも有効である。
次に、マイクロ波反射膜層7は、鉄、ステンレス、アルミニウムなどの金属材料など公知のマイクロ波反射材料から構成されている。マイクロ波反射膜層7は、単独種類の材料を用いて膜状に形成しても良いし、その他、熔化材料を含んだ合成材料を用いて膜状に形成しても良い。
また、基材3にマイクロ波反射膜層7を設ける方法としては、スパッタ法、溶射法、メタライズ法、金属箔貼り付けなど公知の方法が使用できる。
また、マイクロ波反射膜層7は、基材3にパターン模様状に設けることができる。図3のように、パターン模様の形状は、マイクロ波吸収膜層5と同様に形成できる。また、マイクロ波反射膜層7についても、膜層厚さをあまり厚くすると、マイクロ波反射膜層5と同様に、熱歪みによる亀裂・剥離が発生する恐れがあるので、50μm以下であるのが経済的にも有効である。
なお、マイクロ波透過性部材1は、電子レンジの加熱室12において、底面に限らず、、他の左右側壁面、天井面、背壁面のうち少なくとも一つの面に設けることができる。その場合、各面においてその全面を覆うように全面的に設けても良いし、部分的に設けても良い。
図9、10の電子レンジ11は、電子レンジ10と同様の形状、材料および機能となるように構成された加熱室13と、マイクロ波発生手段14とを備え、さらに左右側壁面に一対のガイド溝を設けると共に、その一対のガイド溝に沿って加熱室13内に出し入れ可能に設けたトレイ20に、マイクロ波透過性部材2を設けて構成されている。すなわちトレイ20は、マイクロ波透過性部材2の基材4を被加熱物を載置可能なトレイ形状に形成することで構成されている。そしてトレイ20の裏面には、マイクロ波吸収膜層5、マイクロ波反射膜層7が部分的に設けられている。この場合も、電子レンジ10と同様の作用効果を得ることができる。
なお、マイクロ波透過性部材1、2は、電子レンジ10,11と同様のマイクロ波加熱機能を備えるものであれば、オーブン機能等の他の加熱機能を付与されてなる複合加熱装置にも適用可能であり、同様の作用効果を得ることができる。
さらに、マイクロ波吸収膜層5とマイクロ波反射膜層7との共存させれば、マイクロ波照射不均一性がある場合であっても、吸収・反射の両方の特性を利用したこれらの膜層を用いることで、被加熱物のマイクロ波加熱をより効果的に均一に行うことが可能となる。
<実施例>
次に、図4の比較例1および図5〜8の実施例1〜4の加熱特性を調べるため、以下の実験1を行った。
実験1の環境は、次の通りである。
図1のノンターン式電子レンジ10を使用する。この加熱室12の内寸法(幅×奥行×高さ)は350×350×230(mm)である。また、定格出力は1200(W)である。被加熱物としては、冷やご飯26を使用する。この冷やご飯26は、容器寸法(縦×横×深さ)が335×335×31(mm)の合成樹脂製タッパ25に、ご飯26をほぼ満杯まで詰め、ラップをして一昼夜冷蔵庫に入れて作成されるものである。ご飯26を詰めたタッパ25は、比較例1、実施例1〜4に個別に使用可能となるように十分な個数を用意する。
実験1の手順は以下の通りである。
図2(a)に示すように、電子レンジ10の加熱室12の底面に、先ず比較例1の基材3、次に実施例1〜4のマイクロ波透過性部材101〜104を、順番に配置して行う。例えば比較例1の基材3を配置した状態で、タッパ25を冷蔵庫(庫内温度約10℃とする)から取り出し、配置した基材3上の中央位置に設置する。タッパ25内のご飯26の左前(LF)、左中(LM)、左奥(LB)、中前(MF)、中中(MM)、中奥(MB)、右前(RF)、右中(RM)、右奥(RB)の合計9箇所に接触式熱電対39を入れ、電子レンジ10を動作させ、マイクロ波加熱し経時温度測定を行う。加熱結果を記録する。
先ず、比較例1として、図4(a)、(b)に示すように、基材3を、熱膨張係数0.9×10−6/℃(50〜500℃)を有するβ−スポジュメン系低熱膨張性セラミックスを主成分とする平板から構成し、外形寸法を350×350×4(縦×横×厚さ)に形成して加熱室12の底面に配置する。経時温度測定し、その加熱結果を図4(c)に示す。
図4(c)の加熱結果から、前部左右部(LF、RF)の昇温が遅いことがわかる。また、ご飯を温め直した場合、一般的に美味しいといわれている温度は、70〜80℃くらいであるが、前部左右部では下限の70℃よりも低く、中央部(MM)では上限の80℃よりも高くなっており、温度差が著しく、均一に加熱されていないことがわかる。部分的に冷たいのはもちろんだが、熱すぎても水分が失われて硬くなり美味しくない。また電子レンジ加熱の場合、水分の蒸発を防ぐためラップなどをするが、結果のような温度差が出ると蒸気ムラが発生して、好ましい加熱状態を作るのは難しい。
次に、実施例1として、図5(a)、(b)に示すように、基材3を、比較例1と同様の平板から構成する。
基材3上のLF、RFにマイクロ波吸収膜層51を設けてマイクロ波透過性部材101を構成する。
マイクロ波吸収膜層51は、BaO・6FeO(バリウムフェライト)を用いて構成した。
バリウムフェライトは熔化材料と混合し、基材3の裏面に、図5(a)、(b)のパターン模様でスクリーン印刷し焼き付けた。マイクロ波吸収膜層51の厚さは45μmである。
実施例1のマイクロ波透過性部材101は、比較例1の加熱結果を受け、昇温の遅い部分LF、RFにマイクロ波吸収膜層51を設けたものである。パターン模様には、ベタ塗り上に4φの穴を等間隔で所定個数設けた。この穴を設けることで、マイクロ波吸収膜層51が過剰にマイクロ波を吸収し、被加熱物が過熱しすぎないようにする。
このマイクロ波透過性部材101を加熱室12の底面に配置する。経時温度測定し、その加熱結果を図5(c)に示す。
図5(c)の加熱結果から、標準偏差(ばらつき)が小さくなることがわかった。
次に、実施例2として、図6(a)、(b)に示すように、実施例1のマイクロ波透過性部材101のマイクロ波吸収膜層51に加え、さらにLF、RFにバリウムフェライトからなる第2のマイクロ波吸収膜層52を一部分だけ2重層にして、マイクロ波透過性部材102を構成する。2重層の部分の厚さは90μmである。このマイクロ波透過性部材102を加熱室12の底面に配置する。経時温度測定し、その加熱結果を図6(c)に示す。
図6(c)の加熱結果から、さらに標準偏差の改善がみられた。また、平均温度の上昇がみられた。この理由として、基材3上のLF、RFに設けたマイクロ波吸収膜層51、52に、適度にマイクロ波が吸収されることにより、出力ロスが少なくなったものと思われる。
次に、実施例3として、図7(a)、(b)に示すように、基材3を、比較例1と同様の平板から構成する。
基材3上のLF、RFに、第1のマイクロ波吸収膜層54と、その両側に第2のマイクロ波吸収膜層53とを設けて、マイクロ波透過性部材103を構成する。第1のマイクロ波吸収膜層54は、熔化材料にバリウムフェライトを75重量%混合して構成されている。また第2のマイクロ波吸収膜層53は、熔化材料にバリウムフェライトを60重量%混合して構成されている。層厚さは45μmである。このマイクロ波透過性部材103を加熱室12の底面に配置する。経時温度測定し、その加熱結果を図7(c)に示す。
実施例2と同様の改善がみられた。
次に、実施例4として、図8(a)、(b)に示すように、基材3を、比較例1と同様の平板から構成する。
基材3上のLB、MB、RB、MM、MFに、溶射法によってアルミニウムからなるマイクロ波反射膜層71を設けてマイクロ波透過性部材104を構成する。マイクロ波透過性部材104は、基材3の裏面に、T字状べた塗りのパターン模様で設けられる。マイクロ波反射膜層71の厚さは10μmである。
実施例4のマイクロ波透過性部材104は、比較例1の加熱結果を受け、昇温の早い部分にマイクロ波反射膜層7を設けたものである。このマイクロ波透過性部材104を加熱室12の底面に配置する。経時温度測定し、その加熱結果を図8(c)に示す。
上記実施例3、4と同様の改善がみられた。
次に、図11の比較例2および図12〜13に示す実施例5〜6の加熱特性を調べるため、以下の実験2を行った。
実験2の環境は、次の通りである。
図9のノンターン式電子レンジ11を使用する。この加熱室13の内寸法(幅×奥行×高さ)は410×320×250(mm)である。また、定格出力は1600(W)である。被加熱物としては、実験1と同様に、合成樹脂製タッパ27にほぼ満杯まで詰め込んだ冷やご飯28を使用する。タッパ27は、容器寸法(縦×横×深さ)が345×270×30(mm)で形成されている。ご飯28を詰めたタッパ27は、比較例2、実施例5〜6に個別に使用可能となるように十分な個数を用意する。
実験2の手順は以下の通りである。
図10(a)に示すように、電子レンジ11は、電子レンジ10の構成に加えて、加熱室13の左右側壁面に一対のガイド溝が設けられ、このガイド溝に沿って出し入れ可能な角トレイ20が設けられている。ここで比較例2、実施例5〜6の各基材4は、トレイ20と同一形状となるように形成されている。先ず比較例2の基材4、次に実施例5〜6のマイクロ波透過性部材105〜106を順番にトレイ20としてガイド溝に配置して行う。例えば比較例2の基材4を配置した状態で、タッパ27を冷蔵庫(庫内温度約10℃とする)から取り出し、配置した基材4上の中央位置に設置する。タッパ27内のご飯28の左前(LF)、左中(LM)、左奥(LB)、中前(MF)、中中(MM)、中奥(MB)、右前(RF)、右中(RM)、右奥(RB)の合計9箇所に接触式熱電対30を入れ、電子レンジ11を動作させ、マイクロ波加熱し経時温度測定を行う。加熱結果として記録する。
先ず、比較例2として、図11(a)、(b)に示すように、基材4は、熱膨張係数0.9×10−6/℃(50〜500℃)を有するβ−スポジュメン系低熱膨張性セラミックスを主成分とし、一対のガイド溝に沿って加熱室13内に出し入れ可能なトレイ形状にガイド溝にするトレイ形状に形成されている。外形寸法は、410×320×4(縦×横×厚さ)に形成され加熱室13のガイド溝に設置する。経時温度測定し、その加熱結果を図11(c)に示す。
図11(c)の加熱結果から、比較例1同様に、部分的に温度差が激しいことがわかる。
次に、実施例5として、図12(a)、(b)に示すように、基材4を、比較例2と同様のトレイ形状に形成する。基材4上のLM、LF、MFに亘ってL字状にマイクロ波吸収膜層55を設けてマイクロ波透過性部材105を構成する。
マイクロ波吸収膜層55は、バリウムフェライトを用いて構成した。バリウムフェライトは熔化材料と混合し、トレイ20の裏面に、図12(a)、(b)のパターン模様でスクリーン印刷し焼き付けた。吸収膜層の厚さは45μmである。
実施例5のマイクロ波透過性部材105は、比較例2の結果を受け、昇温の遅い部分にマイクロ波吸収膜層55を設けたものである。パターン模様には、ベタ塗り上に4φの穴を等間隔で所定個数設けた。この穴を設けることで、マイクロ波吸収膜層55が過剰にマイクロ波を吸収し、被加熱物が過熱しすぎないようにする。このマイクロ波透過性部材105をガイド溝に配置する。経時温度測定し、その加熱結果を図12(c)に示す。
図12(c)の加熱結果から、標準偏差(ばらつき)が小さくなることがわかった。
次に、次に、実施例6として、図13(a)、(b)に示すように、実施例5のマイクロ波透過性部材105のマイクロ波吸収膜層55に加え、さらにLB、RBに、溶射法により、アルミニウム反射膜層72を設けてマイクロ波透過性部材106を構成する。マイクロ波反射膜層72の厚さは10μmである。
図13(c)の加熱結果から、さらに標準偏差の改善がみられた。また、平均温度の上昇がみられた。
上記構成のマイクロ波透過性部材によれば、構造を簡単にして製造コストを抑えながら、基材における特定部分について、マイクロ波の吸収特性や反射特性を変化させることができる。また、基材における特定部分について、設けるパターン模様の形状を調整でき、マイクロ波の吸収特性や反射特性を容易に変化させることができる。さらに、マイクロ波の吸収特性および反射特性の劣化を防止可能となる。また、基材における特定部分について、設ける層数を調整でき、マイクロ波の吸収特性や反射特性を容易に変化させることができる。さらに、基材における特定部分について、少なくとも2点におけるマイクロ波の吸収特性や反射特性を変化させることができる。
また、上記構成の電子レンジによれば、加熱室内の被加熱物に対して、マイクロ波が不均一に照射される場合であっても、基材における特定部分について、マイクロ波の吸収特性や反射特性を変化させることができ、構造を簡単にして製造コストを抑えながら、被加熱物を均一にマイクロ波加熱できる。
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下列挙するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各部の形状並びに構成を適宜に変更して実施することも可能である。
(1)マイクロ波透過性部材1のマイクロ波吸収膜層5およびマイクロ波反射膜層7を含む面上には、さらにセラミック保護膜等を設けて各層を保護しても良い。
(2)マイクロ波吸収膜層5およびマイクロ波反射膜層7は基材の上面側に設けても良い。
本発明に係る電子レンジの一実施形態を示す要部説明図である。 (a)は図1のA−A線断面図、(b)は温度測定箇所の名称対照図である。 マイクロ波透過性部材の変更例を示す説明図である。 実験1の比較例1を示し、(a)は基材の平面図、(b)は基材の正面図、(c)は加熱結果を示す表である。 実験1の実施例1を示し、(a)は基材の平面図、(b)は基材の正面図、(c)は加熱結果を示す表である。 実験1の実施例2を示し、(a)は基材の平面図、(b)は基材の正面図、(c)は加熱結果を示す表である。 実験1の実施例3を示し、(a)は基材の平面図、(b)は基材の正面図、(c)は加熱結果を示す表である。 実験1の実施例4を示し、(a)は基材の平面図、(b)は基材の正面図、(c)は加熱結果を示す表である。 本発明に係る電子レンジの他の実施形態を示す要部説明図である。 (a)は図9のB−B線断面図、(b)は温度測定箇所の名称対照図である。 実験2の比較例2を示し、(a)は基材の平面図、(b)は基材の正面図、(c)は加熱結果を示す表である。 実験2の実施例5を示し、(a)は基材の平面図、(b)は基材の正面図、(c)は加熱結果を示す表である。 実験1の実施例6を示し、(a)は基材の平面図、(b)は基材の正面図、(c)は加熱結果を示す表である。
符号の説明
1,2・・マイクロ波透過性部材、3,4・・基材、5・・マイクロ波吸収膜層、7・・マイクロ波反射膜層、10,11・・電子レンジ、12,13・・加熱室、14・・マイクロ波発生手段、20・・トレイ。

Claims (8)

  1. マイクロ波透過性材料を有してなる基材に、
    マイクロ波吸収膜層、または/および、マイクロ波反射膜層を、
    部分的に設けてなる、
    ことを特徴とするマイクロ波透過性部材。
  2. マイクロ波吸収膜層、または/および、マイクロ波反射膜層を、
    パターン模様状に設けてなる、
    請求項1記載のマイクロ波透過性部材。
  3. マイクロ波吸収膜層を200μm以下の膜厚さ、または/および、マイクロ波反射膜を50μm以下の膜厚さで設けてなる、
    請求項1または2に記載のマイクロ波透過性部材。
  4. マイクロ波吸収膜層、または/および、マイクロ波反射膜層を、
    少なくとも単層で設けてなる、
    請求項1乃至3のいずれかに記載のマイクロ波透過性部材。
  5. マイクロ波吸収膜層がその膜上の少なくとも2点において異なるマイクロ波吸収特性を備え、または/および、マイクロ波反射膜層がその膜上の少なくとも2点において異なるマイクロ波反射特性を備えてなる、
    請求項1乃至4のいずれかに記載のマイクロ波透過性部材。
  6. 加熱室内の被加熱物を、マイクロ波加熱するように構成された電子レンジであって、
    請求項1乃至5のいずれかに記載のマイクロ波透過性部材を、
    加熱室内面のうち少なくとも一つの面上に設けてなる、
    ことを特徴とする電子レンジ。
  7. 加熱室内面が、加熱室の底面である、
    請求項6に記載の電子レンジ。
  8. 加熱室内に出し入れ可能に設けたトレイ上の被加熱物を、マイクロ波加熱するように構成された電子レンジであって、
    請求項1乃至5のいずれかに記載のマイクロ波透過性部材を、
    トレイに設けてなる、
    ことを特徴とする電子レンジ。
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