JP2006284880A - 光反射膜および光反射板 - Google Patents

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Abstract

【課題】 Agの結晶粒の成長や凝集が起り難く、高い光反射率を維持することができ、かつ、黄色化の度合いを表す指標であるb* が3以下である光反射膜(Ag基合金膜)、及び、このような光反射膜を用いた光反射板を提供する。
【解決手段】 (1) 希土類元素の1種以上を合計で0.05〜0.75at%含有し、かつ、Au、Pd、Ptの1種以上を合計で0.5〜2.0at%含有するAg基合金よりなることを特徴とする光反射膜、(2) 前記光反射膜での希土類元素の1種以上がNdおよび/またはYであるもの、(3) 前記光反射膜でのAg基合金がBi、Sbの1種以上を合計で0.01〜0.7at%含有するもの、(4) 前記光反射膜のいずれかを備えることを特徴とする光反射板。
【選択図】 図なし

Description

本発明は、光反射膜および光反射板に関する技術分野に属し、特には、照明用の光反射膜、即ち、室内や屋外の照明または輸送機の灯具等に使用され、ランプやLED等の光源から発せられる光を反射する光反射膜、および、照明用の光反射板に関する技術分野に属するものである。
室内や屋外の照明機器、輸送機の灯具の反射板には、Alの蒸着膜やスパッタリング膜が使用されている。近年、ランプの消費電力を低減するために、Alよりも反射率が高いAgの膜が照明機器の反射膜として使用されるようになっている。Agの膜は、大気中の硫黄分や塩分によって容易に変色するため、Agの膜の上に樹脂の保護皮膜をコーティングして使用される。
しかし、Ag薄膜は、反射板の製造工程で長時間空気中に曝された場合や、高温高湿下に曝された場合等に、大気中のハロゲン元素とAgが反応することにより、Agの結晶粒が成長したり、Ag原子が凝集する等の様々な要因によって、反射率が低下してしまうという問題があり、Ag本来の高い反射率が得られないことがあった。
また、近年では、照度が高いランプが使用されてきており、これに伴いランプの温度も高くなることにより反射膜の温度も高くなり、耐熱性が要求されている。Agの膜は、熱によりAg原子が拡散することにより凝集を起こし、膜の表面が粗くなることにより、反射率が低下したり変色を起こすという問題があった。
このため、Ag薄膜の耐久性を向上するために、特開2002−323611号公報に示されるような希土類元素を含むAg基合金よりなる光反射膜が開発されている。この膜は、耐久性や反射率については優れた特性を示すが、純Ag膜に比べて黄色くなるという問題があった。照明用の反射膜では、意匠性の観点からシルバー色が好まれ、色差で言うと、黄色化の度合いを表す指標であるb* が3以下であることが要求される。
特開2002−323611号公報
本発明はこのような事情に着目してなされたものであって、その目的は、Agの結晶粒の成長や凝集が起り難くて、高い光反射率を維持することができ、かつ、黄色化の度合いを表す指標であるb* が3以下である光反射膜(Ag基合金膜)、および、このような光反射膜を用いた光反射板を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意研究を行なった結果、本発明を完成するに至った。本発明によれば上記目的を達成することができる。
このようにして完成され上記目的を達成することができた本発明は、光反射膜および光反射板に係わり、特許請求の範囲の請求項1〜3記載の光反射膜(第1〜3発明に係る光反射膜)、請求項4記載の光反射板(第4発明に係る光反射板)であり、それは次のような構成としたものである。
即ち、請求項1記載の光反射膜は、希土類元素の1種以上を合計で0.05〜0.75at%含有し、かつ、Au、Pd、Ptの1種以上を合計で0.5〜2.0at%含有するAg基合金よりなることを特徴とする光反射膜である〔第1発明〕。
請求項2記載の光反射膜は、前記希土類元素の1種以上がNdおよび/またはYである請求項1記載の光反射膜である〔第2発明〕。
請求項3記載の光反射膜は、前記Ag基合金がBi、Sbの1種以上を合計で0.01〜0.7at%含有する請求項1または2記載の光反射膜である〔第3発明〕。
請求項4記載の光反射板は、請求項1〜3のいずれかに記載の光反射膜を備えることを特徴とする光反射板である〔第4発明〕。
上記の第1発明に係る光反射膜については、希土類元素は、熱によるAgの凝集を起り難くする作用、即ち、熱に対する耐凝集性を向上する作用がある。Au、Pd、Pt(以下、貴金属元素ともいう)は、ハロゲン元素によるAgの結晶粒成長を抑制すると共に、Agの凝集を起り難くする作用、即ち、ハロゲン元素に対する耐凝集性を向上する作用がある。このため、希土類元素と貴金属元素とを同時に添加することにより、高温に対する耐凝集性とハロゲン元素に対する耐凝集性とを向上する効果が発揮されて、反射率の経時低下の少ない光反射膜を得ることができる。しかし、希土類元素や貴金属元素は入れすぎるとAg合金膜を黄色化する作用があるため、それらの添加量を押さえる必要がある。このため、b*を3以下とするためには、希土類元素の添加量を合計で0.05〜0.75at%(原子%)にすると共に、貴金属元素の添加量を0.5〜2.0at%にする必要がある。即ち、高温に対する耐凝集性を改善するには、希土類元素を0.05at%以上添加する必要があり、黄色化抑制の観点(b*を3以下とする点)からは0.75at%以下にする必要がある。一方、ハロゲン元素に対する耐凝集性を改善するには、貴金属元素を0.5at%添加する必要があり、黄色化抑制の観点(b*を3以下とする点)からは2.0at%以下にする必要がある。
上記の第2発明に係る光反射膜については、希土類元素としては、Ndおよび/またはYが好ましく使用できるというものである。
上記の第3発明に係る光反射膜については、Ag基合金が更にBiおよび/またはSbを合計で0.01〜0.7at%含有するものであり、これによれば、黄色化に殆ど影響を与えずに、ハロゲン元素に対する耐凝集性や高温に対する耐凝集性を更に向上することができる。
上記の第4発明に係る光反射板については、光反射膜として上記第1〜3発明に係る光反射膜のいずれかを用いたものである。
本発明に係る光反射膜(Ag基合金膜)は、Agの結晶粒の成長や凝集が起り難くて耐凝集性に優れ、高い光反射率を維持することができ、かつ、黄色化の度合いを表す指標であるb* が3以下であり、色調が良好である。このため、照明用の光反射膜として好適に用いることができ、それらの耐久性(寿命)を向上することができる。本発明に係る光反射板は、このような光反射膜を備えているので、色調が良好であると共に耐久性(寿命)に優れている。このため、照明用の光反射板として好適に用いることができる。
本発明者等は、AgやAg合金よりなる膜(Ag膜やAg合金膜)の黄色化を調べるために、膜の分光反射率の測定からb*を計算した。また、反射膜製造工程で空気中に光反射膜が曝された場合に起きる現象を促進的に把握するため、0.5Mの食塩水に1時間浸漬し、膜表面の変色を目視検査するとともに、AFM(原子間力顕微鏡)でAgの結晶粒の粗大化の有無を調べた(塩水浸せき試験)。また、ランプ点灯時の熱による凝集を評価するために、160℃の真空加熱炉で1時間放置後の膜表面の変色を目視で調べるとともに、上記と同様にAFM(原子間力顕微鏡)でAgの結晶粒の粗大化の有無を調べた(耐熱試験)。これらの試験(b*の測定、塩水浸せき試験、耐熱試験)をAg膜やAg合金膜について行った。この結果を以下説明する。
スパッタリング法でガラス基板上に成膜した膜厚100nmのAgの薄膜については、b*は0.3であって問題ないが、食塩水浸せき後の表面は白く変色しており、AFM測定ではAg粒子の粗大化が認められた。また、高温加熱後の試験においても表面の白色化が見られ、AFM測定でもAg粒子の粗大化が認められた(図1)。
Agに希土類元素であるNdを1.0at%(原子%)添加したAg−Nd合金膜(膜厚:100nm)については、b*は3.7を示し、膜が黄色くなっていた。この膜について塩水浸せき試験を行うと、膜の表面は白く変色し、凝集が発生していることが分かった。一方、耐熱試験では、表面の変色は認められず、AFMによる調査でもAgの凝集は認められなかった。
Ag−1at%Au合金膜(膜厚100nm)については、b*は0.7であって問題なく、塩水浸せき後も表面の変化は認められなかったが、耐熱試験では、表面が白く変色し、凝集が認められた。
このように純Ag膜では色調は問題ないが、凝集が生じて表面が変色しており、Ag−希土類合金膜では、黄色化や塩水に対する凝集が問題であり、Ag−貴金属合金膜では熱による凝集が生じているため、Ag本来の高反射率を維持しながら、反射率の経時低下を抑制するためには、合金成分の種類や添加量が非常に重要である。
本発明では、希土類元素と貴金属元素(Au、Pd、Pt)を併用して添加したAg基合金を使用することによって、Ag本来の高反射率を維持しながら、Agの凝集を抑制することに成功した。
従来から、光反射膜として純AgだけではなくAg基合金を使用する検討が行われているが、黄色化まで検討したものは認められない。例えば、先に挙げた特開2002−323611号公報には、Agに希土類元素を添加し、Agの凝集や結晶粒の成長を抑制しようとすることが開示されているが、黄色化までは記載されていない。一方、本発明では、Agに希土類元素と貴金属元素とを同時に添加して、更にそれらの元素の添加量を調整することにより、Agの結晶粒の成長や凝集が起り難くて耐凝集性に優れ、高い光反射率を維持することができるようにするだけでなく、膜の色調をb*(黄色化の度合いを表す指標)で3以下に押さえることができるようにするものである。以下、本発明について更に詳細に説明する。
本発明者等は、光反射膜が希土類元素の少なくとも1種を合計で0.05〜0.75at%(原子%)含有し、かつ、貴金属元素(Au、Pd、Pt)の少なくとも1種を合計で0.5〜2.0at%含有するAg基合金から形成されると、Agの結晶粒の成長やAgの凝集が抑制され、この結果、反射率の経時低下を著しく抑制できることを見出した。特にスパッタリング法で形成される薄膜は、原子空孔等の多くの欠陥を含むため、Ag原子が移動・拡散しやすく、熱を加えると凝集するものと考えられるが、希土類元素はAgよりも大きな原子半径を有するため、Ag原子の拡散を抑制し、結晶粒の成長を抑制するものと考えられる。また、貴金属元素はAgのハロゲン元素との反応を抑制する働きがあるため、ハロゲンによる凝集を抑制すると考えられる。
希土類元素とは、3A族に属する元素で、Sc、Yおよびランタノイド15元素、アクチノイド15元素が挙げられる。上記希土類元素は、1種類または2種類以上を用いることができ、コストや工業的流通量等を考慮すると、特にNdおよび/またはYの使用が推奨される。また、Ceも使用可能である。
希土類元素を合計で0.05at%以上含有することにより、Agの結晶粒の成長やAgの凝集を抑制する効果が発現する。ただし、0.75at%よりも多量に添加すると、黄色化の問題が生じ、b*(黄色化の度合いを表す指標)が3を越える。
一方、貴金属元素とは、Au、Pd、Ptを指す。貴金属元素を合計で0.5at%以上含有することにより、ハロゲンによるAgの結晶粒の成長やAgの凝集を抑制する効果が発現する。ただし、2.0at%よりも多量に添加すると、黄色化の問題が生じ、b*が3を越える。
本発明に係る光反射膜においてAg基合金が更にBi、Sbの1種以上を含有すると、ハロゲンによる凝集をより高水準で抑制して、反射率の経時低下をより高水準で抑制することができる。
このとき、Bi、Sbの1種以上の含有量としては、Agと希土類元素と貴金属元素との三元系合金の場合、四元系以上の合金の場合のいずれにおいても、0.01〜0.7at%が好ましい。0.01at%より少ないと、耐凝集性向上効果が小さく、結果的に、光反射膜の反射率の経時低下をより高水準で抑制することができ難くなる。しかし、含有量を増大させると、黄色化が進むため、0.7%以下に抑えることが好ましい。
本発明に係る光反射膜においてAg基合金は希土類元素及び貴金属元素(Au、Pd、Pt)を含有し、必要に応じてBiおよび/またはSbを含有し、残部は実質的にAgであることが、色調の点、初期反射率の点および耐凝集性の点から好ましい実施形態であるが、本発明の作用効果を損なわない範囲であれば、上記成分以外の他の成分を添加してもよい。例えば、Cu等の遷移金属(前述したものを除く)を硬度向上等の特性付与を目的として積極的に添加しても良い。また、O2 、N2 等のガス成分や、溶解原料であるAg基合金に含まれている不純物の含有も、許容される。
照明用反射板の基板には樹脂やAl板が使用される。これらの基板または基材上に反射膜を形成するには、スパッタリング法が好ましい。希土類元素は、平衡状態ではAgに対する固溶限が極めて小さい(なお、Auは全率固溶する)が、スパッタリング法により形成された薄膜では、スパッタリング法固有の気相急冷によって非平衡固溶が可能になるので、その他の薄膜形成法でAg基合金薄膜を形成した場合に比べ、上記合金元素がAgマトリックス中に均一に存在し易い。その結果、熱に対するAgの凝集抑制効果が発揮される。
光反射膜の膜厚は、500〜3000Åであることが好ましい。500Åより薄い膜では、光が通過し始めるため、反射率が低くなるとともに、透過光は波長が短い青色の光が多いため、反射光は黄色くなり、膜が黄色く見える。例えば、純Ag膜では、500Å以上では、b*は2.5以下だが、300Åになるとb*は8.5となり、急速に黄色化が進む。一方、3000Åを超えても反射率に関しては問題はないが、生産性、コスト面で不利となる。
本発明に係る光反射膜をスパッタリング法により形成する際、スパッタリングターゲットとして、形成しようとする組成のAg基合金を用いると、その組成の光反射膜を得ることができる。このターゲット(Ag基合金)としては、溶解・鋳造法で作製したAg基合金(溶製Ag基合金ターゲット)を使用することが好ましい。溶製Ag基合金ターゲットは、組織的に均一であり、スパッタ率や出射角度を一定にすることができるので、成分組成が均一な光反射膜を得ることができる。溶製Ag基合金ターゲットの酸素含有量を100ppm以下に制御すれば、膜形成速度を一定に保持し易くなり、光反射膜中の酸素量も低くなるため、反射率や耐酸化性、耐硫化性等が向上する。
本発明に係る光反射膜は、Agの結晶粒の成長や凝集が起り難くて耐凝集性に優れており、このため高い光反射率を維持することができ、かつ、黄色化の度合いを表す指標であるb* が3以下であり、このため色調が良好である。従って、照明用の光反射膜として好適に用いることができ、それらの耐久性(寿命)を向上することができる。本発明に係る光反射板は、このような本発明に係る光反射膜を備えているので、色調が良好であると共に光反射膜の耐久性(寿命)に優れている。従って、照明用の光反射板として好適に用いることができ、それらの耐久性(寿命)を向上することができる。なお、本発明に係る光反射板は、本発明に係る光反射膜を備えていればよく、その他の反射板としての構成は特に限定されず、反射板分野において公知のあらゆる構成を採用することができる。
上記照明用の光反射膜において、照明の種類は特には限定されず、照明にはランプ等の光源を有するものが全て含まれる。例えば、室内や屋外の照明の他、輸送機の灯具等が含まれる。即ち、上記照明用の光反射膜には、例えば、室内や屋外の照明用のものの他、自動車のヘッドランプやリアランプ用のもの等がある。
本発明の実施例および比較例について、以下説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
〔例1〕
AgとNdからなる二元系Ag基合金、AgとAuからなる二元系Ag基合金、及び、AgとNd及びAuからなる三元系Ag基合金におけるNdとAuの量が、黄色化に及ぼす影響を検討した。表1に示す成分組成からなるターゲットを用い、DCマグネトロンスパッタリングにより、ガラス基板上に厚さ1500Åの光反射膜を形成した。そして、これらの膜の分光反射率を、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光株式会社製)で測定し、b*(黄色化の度合いを表す指標)をJIS Z8729 色の表示方法−L* * * 表色系及びL* * * 表色系に従って計算した。その結果を表1に示す。
更に、これらの膜について、耐熱試験および塩水浸漬試験を行った。この耐熱試験は、真空加熱炉を用いて膜を160℃で1時間加熱し、冷却した後、膜表面の変色を目視で調べると共に、AFM(原子間力顕微鏡)でAgの結晶粒の粗大化の有無を調べるというものである。塩水浸漬試験は、膜を0.5Mの食塩水に1時間浸漬し、膜表面の変色を目視検査すると共に、AFMでAgの結晶粒の粗大化の有無を調べるというものである。これらの試験の結果を表1に示す。
表1からわかるように、純Agよりなる膜(No.7)は、耐熱試験で凝集が生じ、また、塩水浸漬試験で凝集が生じていた。Ag基合金よりなる膜において、Nd添加のみのもの(No.8〜12)は塩水浸漬試験で凝集が生じ、Au添加のみのもの(No.13 〜15)は耐熱試験で凝集が生じている。また、Nd及びAuの同時添加材でも、Nd添加量が0.05at%未満のもの(No.16 )は耐熱試験で凝集が生じ、Au添加量が0.5at%未満のもの(No.17)は塩水浸漬試験で凝集が生じ、Nd量が0.75at%を越え、Auが2.0at%を越えた膜(No.18)は色調b*が3を越えることがわかる。
これに対し、本発明例に係る膜(No.1〜5 )は、b*が3以下であり、耐熱試験で凝集が生じず、また、塩水浸漬試験で凝集が生じておらず、b*、高温に対する耐凝集性、ハロゲン元素に対する耐凝集性の全てにおいて優れている。なお、No.1の膜についての成膜直後、塩水浸漬後、耐熱試験後のAFM測定結果を図1に示す。AFMでみても、純Ag膜(No.7)と異なり、Agの結晶粒の粗大化(凝集)は全く認められなかった。
〔例2〕
Agに表2に示す種々の希土類成分と貴金属成分を添加したターゲットを用いて、例1の場合と同様の方法により、同様の厚さの光反射膜を形成した。そして、これらの膜について、例1の場合と同様の方法により、b*の測定、耐熱試験および塩水浸漬試験を行った。この結果を表2に示す。
表2からわかるように、前述の例1のNd及びAuの同時添加材の場合と同様の傾向の結果が得られた。即ち、希土類元素および貴金属元素を含有するAg基合金よりなる膜において、希土類元素量が0.05at%未満のもの(No.26 、29)は耐熱試験で凝集が生じ、貴金属元素量が0.5at%未満のもの(No.28)は塩水浸漬試験で凝集が生じ、希土類元素量が0.75at%を越え、貴金属元素量が2.0at%を越えた膜(No.27)は色調b*が3を越えることがわかる。
これに対し、本発明例に係る膜(No.19 〜25)は、b*が3以下であり、耐熱試験で凝集が生じず、また、塩水浸漬試験で凝集が生じておらず、b*、高温に対する耐凝集性、ハロゲン元素に対する耐凝集性の全てにおいて優れている。
〔例3〕
Ag−0.1at%Nd−0.5at%Au(Nd:0.1at%、Au:0.5at%を含有するAg基合金)よりなるターゲット上にBiまたはSbのチップを置いて、DCマグネトロンスパッタリングにより、ガラス基板上に厚さ1500ÅのAg−Nd−Au−Bi(またはSb)合金膜を成膜した。Bi量やSb量は、上記ターゲット上に置くチップの数で調整し、膜中の組成をICP−質量分析法(セイコーインスツルメンツ社製SPQ−8000)を用いて同定した。具体的には、100mg以上の試料を前処理として硝酸:純水=1:1の溶液に溶かし、これを200℃のホットプレート上で加熱して試料が完全に溶解したことを確認した後、冷却し、分析を行った。
このようにして成膜したAg合金膜について、例1の場合と同様の方法により、b*の測定をした後、塩水噴霧試験を30分間実施した。この塩水噴霧試験はJIS Z2371 塩水噴霧試験方法に準じて行った。この結果を表3に示す。
表3からわかるように、Bi含有量が0.7at%を越えた膜(No.35 )は、b*が3を大幅に越えている。Biフリー(Bi含有量:0at%)の膜(No.34 )やSb含有量が0.01at%未満の膜(No.36 )の場合は、b*は3以下であるものの、塩水噴霧により若干白色になった。これに対し、Bi含有量が0.01at%以上0.7at%以下の膜(No.30 〜32)やSb含有量が0.65at%の膜(No.33 )は、b*が3以下であると共に、塩水噴霧による色の変化は見られなかった。
Figure 2006284880
Figure 2006284880
Figure 2006284880
本発明に係る光反射膜(Ag基合金膜)は、Agの結晶粒の成長や凝集が起り難くて耐凝集性に優れ、高い光反射率を維持することができ、かつ、黄色化の度合いを表す指標であるb* が3以下であり、色調が良好であるので、照明用の光反射膜として好適に用いることができ、それらの耐久性(寿命)を向上することができて有用である。
純AgおよびAg−0.1%Nd−0.5%Auについての成膜まま、塩水浸せき後、加熱試験後の表面状況(凝集度合い)を示す図である。

Claims (4)

  1. 希土類元素の1種以上を合計で0.05〜0.75at%含有し、かつ、Au、Pd、Ptの1種以上を合計で0.5〜2.0at%含有するAg基合金よりなることを特徴とする光反射膜。
  2. 前記希土類元素の1種以上がNdおよび/またはYである請求項1記載の光反射膜。
  3. 前記Ag基合金がBi、Sbの1種以上を合計で0.01〜0.7at%含有する請求項1または2記載の光反射膜。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の光反射膜を備えることを特徴とする光反射板。
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