JP2006283822A - 電動ブレーキシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡易な構成で、回転位置検出器の位置設定を良好に果たすことができる電動ブレーキシステムを提供する。
【解決手段】 U相コイルcoU に+電圧、V相コイル及びW相コイルに−電圧を印加し、V相コイルcoV、W相コイルcoWには等分に電流が流れるようにし(ステップS2)、ロータ停止角度(レゾルバ角度)をレゾルバで検出する。モータの制御に用いるロータ回転位置データを、レゾルバ33が検出したロータ停止角度に基づいて補正する。補正されたロータ回転位置データに基づいてモータ11を制御することにより、モータ11が効率よく運転される。
【選択図】 図7

Description

本発明は、電動モータの回転力によって制動力を発生させる電動ブレーキシステムに関する。
従来の電動ブレーキシステムの一例として特許文献1に示される装置がある。特許文献1の電動ブレーキシステムは、固定子に回転磁界を発生させることにより、回転子を回転させる電動モータを有している。
そして、近時、電動モータとしては、効率面の向上などの点からブラシレス同期モータ等の適用が考えられている。
ブラシレス同期モータでは、回転子の回転をレゾルバなどの回転位置検出器により検出し、回転子位置に応じた界磁が固定子に発生するように制御する。効率よくモータを回転させるためには、理想的な界磁を作る必要があり、精度の高い回転位置検出器を用いること及び位置検出器について可動部を含め、予め定めた目標位置への設定を正確に行うことが要求されている。
上述した電動ブレーキシステムでは一般に、電動モータの回転位置検出器の取付け位置を調整できる構造とし、モータ組立て後にモータを回転させ、回転位置検出器の位置が最適になるよう調整してケーシングに固定されている。
特開2000−304076号公報
上述した従来技術では、電動モータの回転位置検出器の位置調整を行うため、調整作業が必要となり、電動ブレーキシステムの生産上、工数が多くなる。さらに、電動ブレーキシステムを位置調整可能な構造とするために、構造の大型化、複雑化を招き、その分、設計上の制約が多くなるという欠点を有していた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、回転位置検出器の位置設定を良好に果たすことができる電動ブレーキシステムを提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、ステータに複数相コイルを有しロータに2の倍数個の磁極を有するモータ、該モータの回転を直線運動に変換する回転−直動変換機構、及び前記回転−直動変換機構からの伝達力によりブレーキパッドをディスクロータに押圧して制動力を発生させるキャリパと、前記モータのロータの回転位置を検出するロータ位置検出器と、前記ロータ位置検出器が検出した前記ロータ回転位置から得られるロータ回転位置データを用いて前記モータを制御するコントローラと、を有する電動ブレーキシステムにおいて、前記コイルの電流位相を示す通電電気角及び前記ロータの回転位置を示すロータ位置角度を対応して記憶する記憶手段を有し、前記コントローラは、前記ロータの回転位置を、前記記憶手段に記憶される所定の通電電気角に対応するロータ位置角度にした状態における前記3相コイルに対する予め定めた基準電流の通電によるロータの回転後のロータ停止位置に対応するロータ停止角度を前記ロータ位置検出器に検出させ、前記ロータ回転位置データについて前記コントローラが用いる前に前記ロータ停止角度からなるロータ停止角度データに基づいて補正することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電動ブレーキシステムにおいて、前記モータは、3相コイルを有してY結線されていることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の電動ブレーキシステムにおいて、前記基準電流の通電は、前記3相コイルのうち一つのコイルから互いに接続された残り二つのコイルに対して行なわれることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項2記載の電動ブレーキシステムにおいて、前記基準電流の通電は、前記3相コイルのうち二つのコイルに対して行なわれることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項2から4のいずれかに記載の電動ブレーキシステムにおいて、前記コントローラは、通電電気角とロータ位置との間に角度差を持たせるように設けられる戻しばねによる前記ロータの回転トルク、前記モータヘの供給電流、及び前記モータのトルク定数に基づいて、前記戻しばねのばね力によるロータのずれ分に相当する戻しばね補正角を求め、該戻しばね補正角を前記ロータ回転位置データの補正に用いることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1記載の電動ブレーキシステムにおいて、ロータ停止角度データは、前記ロータ位置検出器に検出される2つのロータ停止角度を平均して得られ、前記2つのロータ停止角度のうち一方は、前記ロータが一方向に回転するように前記ロータの回転位置を変えた状態で検出され、前記2つのロータ停止角度のうち他方は、前記ロータが他方向に回転するように前記ロータの回転位置を変えた状態で検出されることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の電動ブレーキシステムにおいて、前記モータは3相コイルを有してY結線されたものであって、前記ロータの一方向の回転は、前記3相コイルのうち二つのコイルに対する通電と、該通電後に実施される前記二つのコイルと異なる二つのコイルに対する通電により行なわれることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1記載の電動ブレーキシステムにおいて、ロータ停止角度データは、前記ロータが一回転するように前記ロータの回転位置を複数箇所変えた状態で検出される複数個のロータ停止角度を平均して得られることを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の電動ブレーキシステムにおいて、前記モータは3相コイルを有してY結線されたものであって、前記複数個のロータ停止角度のそれぞれは、前記3相コイルのうち二つのコイルに対する通電後に実施される前記二つのコイルと異なる二つのコイルに対する通電後に検出されることを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項6から9のいずれかに記載の電動ブレーキシステムにおいて、前記コントローラは、通電電気角とロータ位置との間に角度差を持たせるように設けられる戻しばねによる前記ロータの回転トルク、前記モータヘの供給電流、及び前記モータのトルク定数に基づいて、前記戻しばねのばね力によるロータのずれ分に相当する戻しばね補正角を求め、該戻しばね補正角を前記ロータ回転位置データの補正に用いることを特徴とする。
請求項1から10に記載の発明によれば、ロータ位置検出器の位置調整のためにモータのロータを外部より回転させる必要が無く、キャリパを組み立てた後に、ソフト的に位置調整ができるため、キャリパの組立て、調整工数が低減する。機械的なロータ位置検出器の位置調整を伴わないため、調整機構を省くことができ、小型化および設計の自由度が増す効果がある。
本発明の第1実施の形態に係る電動ブレーキシステムを、図1〜図7に基づいて説明する。図1において、2は、キャリア1にディスクロータDの軸方向へ浮動可能に支持されたキャリパである。キャリア1には、ディスクロータDの軸方向に移動可能にブレーキパッド3,4が支持されている。キャリパ2は、ケーシング部5とこのケーシング部5からディスクロータDを跨いで車両外側へ延ばされたキャリパ爪部6とからなるキャリパ本体部7を備えており、キャリパ爪部6の爪片6aが車両外側のブレーキパッド4の背面に近接して配置されている。なお、ケーシング部5の内面は段付き形状となっており、その後部開口は蓋板8により被蓋されている。
キャリパ本体部7のケーシング部5内には、車両内側のブレーキパッド3の背面に当接可能なピストン10と、モータ11と、このモータ11の回転を直線運動に変換してピストン10に伝えるボールランプ機構12(回転−直動変換機構)と、モータ11の回転を減速してボールランプ機構12に伝える減速機構13と、ブレーキパッド3,4の摩耗に応じてピストン10の位置を変更してパッド摩耗を補償するパッド摩耗補償機構14と、駐車ブレーキを確立する駐車ブレーキ機構16と、戻しばね15(コイルスプリング)と、が配設されている。戻しばね15は後述する第1ディスク37及び第2ディスク39の間に介在され、第2ディスク39が後退する方向に第1ディスク37を回転させる力が働くようにしている。そして、戻しばね15は、キャリパ2の故障時にピストン10の推力を下げる機能を有し、不要な制動力が発生しないようにするようになっている。
ピストン10は、カップ形状の本体部20と小径の軸部21とを連設してなっており、本体部20が、キャリパ本体部7に形成したシリンダ部22にシール部材(符号省略)を介して摺動可能に嵌挿されている。モータ11は、キャリパ本体部7のケーシング部5に嵌合固定されたステータ24と、ステータ24内に配置された中空のロータ25とを備えている。
ステータ24は、ケーシング部5内にその後部開口から嵌入された支持筒27により段部に押圧固定されている。ロータ25は、その一端部がキャリパ本体部7のシリンダ部22に軸受28を介して支持される一方、その他端部が、後述の回転体29に軸受30を介して支持されている。
モータ11は、図5に示される後述するモータドライバ用マイコン(以下、適宜、マイコンという。)100〔コントローラ〕からの指令でロータ25を所望トルクで所望角度だけ回転させるように作動し、そのロータ25の回転角は、ケーシング部5に保持されるレゾルバステータ33aとロータ25の外周面に固定したレゾルバロータ33bとからなるレゾルバ33によって検出されるようになっている。
また、ケーシング部5内の、蓋板8に隣接する箇所には、輪状の支持板34と後述の歯車部材35とが一体的に配設されており、両者の間には、回転体29を支持する軸受36が挟持されている。
ボールランプ機構12は、回転体29の軸穴にスプライン結合された第1ディスク37とこの第1ディスク37に複数のボール38を介して合わされた第2ディスク39とを備えている。ボール38は、第1ディスク37及び第2ディスク39の対向面に、それぞれ円周方向に沿って円弧状に形成された3つのボール溝40の間に介装されている。第2ディスク39は、パッド摩耗補償機構14を構成する後述の円筒状アジャスタ41に遊嵌されている。このアジャスタ41とキャリパ本体部7のシリンダ部22に装着したばね受42との間にはコイルスプリング43が介装されており、第2ディスク39は、常時はこのコイルスプリング43の付勢力をアジャスタ41を介して受けて第1ディスク37側へ押圧されている。
第2ディスク39は図1右側から見て反時計方向の回転(以下、この方向を正転とする)が規制されている。これにより、第2ディスク39が原位置に位置決めされている状態から第1ディスク37が反時計方向へ回転すると、各ボール38が各ボール溝40の溝底の傾斜面上で転動し、第2ディスク39がディスクロータDに対して進退動するようになる。
減速機構13は、ロータ25と一体をなす偏心軸46と、この偏心軸46に軸受47を介して回動可能に嵌装され、外周部に第1、第2歯車48,49(外歯歯車)を有する偏心車50と、回転体29を支持する歯車部材35の内周に設けられ、偏心車50の第1歯車48に噛合する固定歯車51(内歯歯車)と、回転体29に設けられ、第2歯車49に噛合する可動歯車52(内歯歯車)とからなっている。偏心車50は、固定歯車51及び可動歯車52との噛合により偏心軸46(ロータ25)の回転に応じて公転し、この時、固定歯車51の歯数と可動歯車52の歯数とが異っていることから、第1ディスク37はロータ25と一定の回転比(減速比)をもって回転する。
パッド摩耗補償機構14は、前記円筒状アジャスタ41と、このアジャスタ41とボールランプ機構12の第2ディスク39との間に介装されたワンウエイクラッチ53とを備えている。アジャスタ41は、その内面に形成されためねじと前記ピストン10の軸部21の外周に形成されたおねじとからなるねじ部54を介してピストン10に作動連結されている。ワンウエイクラッチ53は、ここでは、コイルスプリングからなっており、ボールランプ機構12の第2ディスク39の正転にはアジャスタ41を追従させるが、該第2ディスク39の逆転には該アジャスタ41をスリップさせる機能を有している。
パッド摩耗補償機構14を構成するアジャスタ41及びワンウエイクラッチ53は、通常制動時(電動ブレーキ時)には、第2ディスク39がシリンダ部22の溝45の端部(溝端)に当接する原位置を維持していることから、該第2ディスク39と一体にディスクロータDに対して進退動し、その動きにピストン10が追従する。一方、第2ディスク39が前記原位置から逆転する場合には、アジャスタ41は回転せずにその位置を維持し、したがってその後に第2ディスク39が正転すると、その正転にアジャスタ41が追従して回転する。アジャスタ41が回転すると、これにねじ部54を介して作動連結されているピストン10が前進し、第2ディスク39に対するピストン10の位置が変位し、これによってパッド摩耗が補償される。
ここで、ピストン10とブレーキパッド3との間には、通常、所定のパッドクリアランスが確保されており、ピストン10の前進に応じて、先ずこのパッドクリアランスが解消される。そして、パッドクリアランスが解消されると、ブレーキパッド3がディスクロータDに押付けられると共に、その押付反力でキャリパ2がキャリア1に対して移動する(図1の右側)。この結果、ディスクロータDが一対のブレーキパッド3,4の間に挟持されて制動が開始され、これに応じてピストン10に推力が発生する。
戻しばね15は、ボールランプ機構12を構成する第1ディスク37と第2ディスク39との間に介装されている。この戻しばね15は、所定の予荷重を発生するように両者の間に介装されており、これにより、第2ディスク39は、常時キャリパ本体部7のシリンダ部22の溝端に当接する原位置を維持する。一方、この状態から、第1ディスク37が制動方向(ピストン推進方向)に回転すると、第2ディスク39が位置固定されていることから、戻しばね15にトルクが蓄えられ、万一、制動中にモータ11が故障した場合には、戻しばね15に蓄えられたトルクによって第1ディスク37が初期位置に復帰する。
駐車ブレーキ機構16は、モータ11のロータ25の外周面に一体に形成されたつめ車60と、このつめ車60に係脱可能な係合つめ(符号省略)を先端に有する揺動アーム62及びソレノイド68を備えた駆動ユニット63とからなっている。
また、キャリパ2内には、図5に示すように、前記レゾルバ33が検出するアナログのロータ回転角度をデジタルのロータ回転角度に変換するR−Dコンバータ101と、R−Dコンバータ101からのデータに基づいて演算を行う演算回路102と、演算回路102に接続された通信回路103と、R−Dコンバータ101からのデータを記憶するメモリ104と、が配置されている。
後述するU、V、W相コイルcoU、coV、coWには、電源線105を介して直流電源106が接続されるようになっている。図5は、キャリパとモータドライバとが別体となっているものを示しており、通信回路103には通信線107を介して、キャリパの外部に設けられたモータドライブ用マイコン100が接続されている。キャリパ2内の制御部材には、制御電源線108を介して制御用電源109が接続されるようになっている。メモリ104に接続されたメモリ接続線110には図6に示すように、メモリ書込み用スイッチ111が介装されている。
マイコン100は、通常制動操作時などにおいて、レゾルバ33が検出したロータ回転位置からR−Dコンバータ101を介して得られるロータ回転位置データを用いてモータ11を制御するようにしている。また、本実施の形態では、モータ11の制御においてロータ回転位置データを用いる前に、必要に応じて後述するロータ停止角度に基づいてロータ回転位置データを補正し、モータ11を良好に制御するようにしている。
また、キャリパ2には、コネクタ112が設けられている。コネクタ112には、通信線107のうちキャリパ2側部分、制御電源線108のうちキャリパ2側部分、及びメモリ接続線110のうちキャリパ2側部分が接続されている。このコネクタ112には位置合せ用コネクタ113が着脱可能に設けられている。位置合せ用コネクタ113には、通信線107のうち外部側の部分、制御電源線108のうち外部側の部分及びメモリ接続線110のうち外部側の部分が接続されている。
位置合せ用コネクタ113がコネクタに接続されることにより、通信線107、制御電源線108、及びメモリ接続線110を介した上記接続を行えるようになっている。
モータ11には永久磁石同期モータを使用しており、ステータ24には、図2及び図5に示すように、U、V、W相コイルcoU、coV、coWがY結線されている。モータ11のロータ25は、モータロータ鉄心115を備え、モータロータ鉄心115にはN極及びS極の2つの磁極からなる永久磁石116がロータ25を間に対向して配置されている。ステータ24のU、V、W相コイルcoU、coV、coWに回転磁界を発生させると、回転磁界及び永久磁石116間に生じる電磁力によりロータ25は回転する。
そして、U、V、W相コイルcoU、coV、coWに120°位相のずれた電流(すなわち、位相が均等にずれた電流。基準電流)を流すと、電流位相を示す通電電気角に応じてロータ25が定まる位置(ロータ25の回転位置ひいてはロータ位置角度)がある。例えば、電流位相を示す通電電気角とロータ位置角度(ロータ25の回転位置)との間には、図3(a)、(b)に示す関係がある。
この例では、U相コイルcoU にS極が対面して配置されるロータ25の回転位置〔図3(a)の(i)〕において、U相コイルcoU に流れ込む電流が、V、W相コイルcoV、coWに等分に分配される電流位相の時、ロータ25の定まる位置を通電電気角〔電流位相(電流位相角)〕0°位置〔図3(b)の横軸に示す。〕としている。
図3(b)は、電気角2π(360°)の範囲(極数が2つの磁極を有するロータ25では1回転)におけるU、V、W相コイルcoU、coV、coWに流れる電流について、横軸を通電電気角、縦軸を電流の大きさで表している。ロータ25の1回転における通電電気角0°位置は、図3(b)の左右方向中心に示してあり、ロータ25の回転位置は、図3(a)の(i)に示す位置にあり、そのロータ位置角度は0°とされている。そして、通電電気角が0°位置から大きくなる(通電電気角が図3(b)右方向になる)と、ロータ25は図3(a)(v)、(vi)、(vii)に示すように反時計方向に回転(右回転)することになる。図3(a)(v)、(vi)、(vii)では、ロータ位置角度はそれぞれ、+30°、+90°、+150°になっている。また、通電電気角が0°位置から小さくなる(通電電気角が図3(b)左方向になる)と、上記と同様に、ロータ25は図3(a)(iv)、(iii)、(ii)の順に時計方向に回転(左回転)し、ロータ位置角度はそれぞれ、−30°、−90°、−150°になっている。
図3(a)、(b)においては、通電電気角及びロータ位置角度は一致している。例えば図3(a)(v)、(vi)、(vii)でロータ位置角度はそれぞれ、+30°、+90°、+150°であるが、通電電気角も一致した値になっている。
また、通電電気角0°位置は、上述したように、U相コイルcoU に流れ込む電流が、V、W相コイルcoV、coWに等分に分配される電流位相に対応したものになっている。また、これと同様に、例えば図3(a)(iv)〔通電電気角30°〕では、U相コイルcoU 、W相コイルcoW間への通電〔U相コイルcoU に+電極、W相コイルcoWに−電極を接続〕又はU相コイルcoU に+電流、W相コイルcoWに−電流、V相コイルcoVに0Aの電流が通電されたことに対応したものになっている。換言すれば、U、W相コイルcoU、coW間への通電は、図3において通電電気角+30°の位置に相当する。
上述したロータ25の回転位置(ロータ位置角度)及び通電電気角の相対角と、モータ11が発生するトルクとの間には、図4に示すように、通電電気角に対してロータ位置角度がずれている(相対角が0°でない)ことに対応して、略正弦波状に変化するトルクを発生する〔ただし、ずれ量が180°である(相対角が180°である)場合は除く。〕関係がある。
そして、通電電気角に対するロータ位置角度のずれ量(前記相対角)が+90°又は−90°において最大の大きさのトルク値を発生する。モータ11の運転制御は、回転方向(正回転、逆回転)を変えた場合にも、それぞれの回転方向で最大のトルクを発生するように(すなわち、ずれ量(前記相対角)が+90°又は−90°の位置で)制御することが望まれる。すなわち、ずれ量(前記相対角)が+90°又は−90°から外れる(ずれる)と、発生するトルクは小さくなり、モータ11の運転効率がその分、低下することになる。このような相対角が+90°又は−90°位置からのずれは、モータ11の制御上、避けたいものである。なお、上述したように、「ずれ」には、相対角が+90°又は−90°位置のような目標位置から外れることを示す「ずれ」と、通電電気角に対するロータ位置角度のずれ(前記相対角)とがあるが、本願発明が解決しようとする対象となる「ずれ」は、前者の「ずれ」(相対角が目標位置から外れることに相当する「ずれ」)であり、この前者の「ずれ」を、便宜上、適宜、目標位置に対するずれという。
目標位置に対するずれに対して、上述したように従来技術では、一般に、レゾルバ33の取付け位置を変更できる構造にし、レゾルバ33の位置を調整することにより対処するようにしており、機械的に構造の複雑化を招き改善が要望されているところであるが、本実施の形態では、上記目標位置に対するずれを、後述するように、ソフト的に補正して、構造の複雑化を防止している。
本実施の形態では、メモリ104は、図3に示す内容(3相コイルに位相が均等にずれた相電流をそれぞれ供給したときに得られる電流位相を示す通電電気角及び前記ロータ25の回転位置を示すロータ位置角度)、及び図4に示す内容(モータ11のロータ位置角度及び通電電気角の相対角に対するモータ11が発生するトルク特性)を予め記憶している。
この電動ブレーキシステム1では、(1a)通常制動作動、(1b)通常制動解除時、(2a)駐車ブレーキ作動、(2b)駐車ブレーキ解除は、概略、以下のように行なわれる。
(1a)通常制動作動
通常の電動ブレーキとして作動する(通常制動作動する)場合は、運転者のブレーキ操作信号の入力によりモータ11のロータ25が図1右側から見て反時計方向に回転する。すると、このロータ25と一体の偏心軸46に軸受47を介して取付けられている偏心車50が公転し、これに応じてボールランプ機構12内の第1ディスク37(回動部材)がロータ25と一定の回転比でもって反時計回りに回転する。すると、ボールランプ機構12内のボール38がボール溝40の間で転動し、これにより第2ディスク39(直動部材)が前進し、その前進運動がパッド摩耗補償機構14を構成するアジャスタ41を介してピストン10に伝達される。そして、パッド摩耗がない場合は、ピストン10が原位置からパッドクリアランスを解消する位置を経て推進して、モータ11のトルクに応じた制動力が発生し、この間、ブレーキ解除機構としても機能する戻しばね15にトルクが蓄えられる。
(1b)通常制動解除
電動ブレーキの解除時には、運転者の解除操作に応じてモータ11のロータ25が図1右側から見て時計方向に回転し、これに応じてボールランプ機構12を構成するボール38がボール溝40の初期位置に戻る。この時、第2ディスク39にはコイルスプリング43の付勢力が作用しているので、第2ディスク39とパッド摩耗補償機構14を構成するアジャスタ41とは一体的に戻り、これに応じてピストン10が後退し、制動が解除される。この時、駐車ブレーキ機構16に対する通電が遮断されており、揺動アーム62の先端の係合つめは、モータ11のロータ25上のつめ車60からわずか係合離脱する状態を維持する。この結果、ロータ25は円滑に制動解除方向Rへ回転し、電動ブレーキの解除が保証される。
(2a)駐車ブレーキ作動
駐車ブレーキを作動させる場合は、運転者の駐車ブレーキ操作信号によりマイコン100が起動し、モータ11のロータ25が制動方向に回転し、上記した駐車ブレーキ作動時と同様にピストン10が推進して制動力が発生する。そして、制動力が所定値に達すると駐車ブレーキ機構16に対する短時間通電がなされ、続いてモータ11への通電が遮断される。そして、駐車ブレーキ機構16の揺動アーム62の先端の係合つめがモータ11のロータ25上のつめ車60の歯部(図示省略)に嵌合(係合)し、この結果、ロータ25は制動解除方向への回転が規制され、駐車ブレーキが確立する。なお、モータ11への通電を遮断した際、キャリパ2剛性の影響等によってモータ11のロータ25に図1右側から見て時計方向のトルクが発生するので、揺動アーム62の先端の係合つめはつめ車60の歯部に強く押付けられ、これにより駐車ブレーキはより安定して確立するようになる。
(2b)駐車ブレーキ解除
上記駐車ブレーキを解除する場合は、運転者の駐車ブレーキ解除操作によりモータ11への通電がなされ、電動ブレーキ作動時と同様にロータ25が制動方向へわずか回転し、駐車ブレーキ機構16のつめ車60もロータ25と一体に制動方向へわずか回転する。すると、揺動アーム62の先端の係合つめに作用していた押付力が解放される。この時、駐車ブレーキ機構16への通電が遮断されているので、前記押付力の解放に応じて図示しないねじりばねの付勢力で揺動アーム62が図1右側から見て時計方向へ揺動し、係合つめが、つめ車60の歯部から係合離脱する。その後、適宜タイミングでモータ11のロータ25を制動解除方向へ回転させれば、ロータ25は、そのつめ車60が係合つめと接触することなく制動解除方向へ回転し、これにより駐車ブレーキが解除される。
上述したように構成した電動ブレーキシステムの作用を、図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
まず、位置合わせ用コネクタ113を接続し(ステップS1)、直流電源106を用意し電源線105を介してU相コイルcoU に+電圧、V相コイル及びW相コイルに−電圧を印加し、V相コイルcoV、W相コイルcoWには等分に電流が流れるようにし(ステップS2)、通電に伴いロータ25が回転したならばその停止を待つ。
この通電は図3に示す電気角0°位置〔図(a)(i)〕における通電状況に対応している。ロータ25が実際に電気角0°位置〔図(a)(i)〕における回転位置にあり、ステップS2に示すように電流が流されるならば、通電電気角とロータ回転角度との間の相対角度は0°となるはずである。
続いて、メモリ書込み用スイッチ111をON、0FFする(ステップS3)ことにより、メモリ104には、レゾルバ33が検出したロータ25が停止した状態におけるロータ25の回転位置に対応するロータ停止角度(レゾルバ角度)が書き込まれる(ステップS4)。
ロータ25に、目標位置に対するずれが生じていないならば、図3(a)(i)のロータ25の回転位置(ロータ回転角度)及びこれに対応する図3(b)の通電電気角が0°であるが、ステップS4でメモリ104に書込まれたロータ停止角度(レゾルバ角度)が0°以外の数値である場合、その数値は、ずれ量(目標位置に対するずれ)を示すことになる。
マイコン100は、通常制動操作時などにおいてモータ11を制御する場合、レゾルバ33が検出したロータ25の回転位置に基づくロータ回転位置データを用いる。そして、マイコン100は、ロータ停止角度(レゾルバ角度)が0°以外の数値である場合、ロータ25の回転位置が目標位置になるように、ロータ回転位置データに対するロータ停止角度の加減算を行なって、ロータ回転位置データを補正し、補正されたロータ回転位置データに基づいてモータ11を制御する。
このように補正されたロータ回転位置データに基づいてモータ11を制御することにより、モータ11が効率よく運転されることになる。
第2実施の形態について図8及び図9に基づき、図1、図3、図4を参照して説明する。
第1実施の形態では、U相コイルcoU 、V相コイルcoV及びW相コイルcoWに通電しているが、第2実施の形態では、そのうち2つのコイル間への通電を行うことによりロータ回転位置データを補正するためのロータ停止角度(レゾルバ角度)を求めると共に、戻しばね15を設けていることによって生じるずれ量(目標位置に対するずれ)を補正するために戻しばね分補正値(戻しばね補正角)を算出し、ロータ停止角度及び戻しばね分補正値に基づいてロータ回転位置データを補正するようにしており、この点が、第1実施の形態と主に異なっている。
この第2実施の形態では、図8に示すように、位置合わせ用コネクタを接続した(ステップS1)後、例えばU相コイルcoU に+電圧、V相コイルcoVに−電圧が加わるようにU相、V相コイルcoU、coV間に通電を行う(ステップS2A)。ステップS2Aの後、所定時間経過してロータ25が停止した状態でメモリ書込み用スイッチ111をON、0FFする(ステップS3)ことにより、ロータ停止角度(レゾルバ角度)をレゾルバ33に検出させて、R−Dコンバータ101を介して得られるロータ停止角度データをメモリ104に記憶させる(ステップS4)。
U相、V相コイルcoU、coV間通電は、図3に示すように通電電気角度は−30°であるため、ステップS4でメモリ104に記憶されるロータ停止角度は、電気角度−30°のときの値である。そのため、ずれ量(目標位置に対するずれ)を求めるためには、ステップS4でメモリ104に記憶されるロータ停止角度に電気角度30°を加算し、得られた値を新たなロータ停止角度(レゾルバ角度)とする。
そして、通常制動操作時などにおいて、ロータ回転位置データに対して前記新たなロータ停止角度の加減算を行なって、ロータ回転位置データを補正し、補正されたロータ回転位置データに基づいてモータ11を制御する。
本実施の形態では、さらに、ロータ回転位置データに対して戻しばね分補正値を用いた補正を行い、戻しばねに伴って生じるずれ量(目標位置に対するずれ)についても補正を行い(すなわち、位置合わせを行い)、ずれ量の補正精度が向上するようにしている。
なお、本実施の形態では、U相、V相コイルcoU、coV間(2相コイル間)に対して通電するようにしているので、W相コイルcoW(残りの1相のコイル)に電流を流さない。このため、電流センサの誤差等の影響を受けず、通電の電気角度誤差が無くなる利点がある。
なお、位置合わせ動作(ずれ量検出を含む補正動作)時、モータ11に通電することによりロータ25を通電電気角位置に固定しているが、図9に示すように、通電する電気角とロータ25の回転角は角度差が無ければ〔図9で相対角度0°参照〕トルクは発生しない。そのため、戻しばね15によりロータ25に回転力が加わっていると、ロータ25は戻しばね15のばね力により回転変位し、ロータ25の回転位置は通電電気角とずれを生じる。モータ11が正回転時にピストンが推進する場合、図9に示すように、逆回転側にずれる。戻しばね15によるモータ11の回転トルクをTB、モータ11の実行電流をIMとし、モータ11のトルク定数をKTとすると、戻しばねによるずれ分である補正角〔戻しばね補正角(戻しばね分補正値)〕は式(1)のようになる。
戻しばね補正角=sin-1{TB/(IM×KT)}…(1)
この戻しばね補正角〔式(1)〕がロータ回転位置データに対して用いられてロータ回転位置データの補正が行われる。このため、戻しばね15による角度ずれ(目標位置に対するずれ)をキャンセルすることができる。
この第2実施の形態によれば、さらに、ロータ回転位置データに対する補正をレゾルバ33で検出されるロータ停止角度と共に戻しばね補正角を用いて行うので、ずれ量(目標位置に対するずれ)の補正をより精度高く果たすことができ、効率よくモータ11の運転を行うことができる。
次に、本発明の第3実施の形態について図10及び図11に基づき、図1〜図9を参照して説明する。
第3実施の形態では、図10に示すように、マイコン100がキャリパ2に内蔵された電動ブレーキシステムとなっており、マイコン100は、CANにより上位のコントローラ120に接続されている。また、U、V、W相コイルcoU、coV、coWにそれぞれ接続されるU、V、W相FET組121、122、123を備えている。U、V、W相FET組121、122、123はキャリパ2内に配置されるパワー基板125に備えられている。U相 FET組121は、直列接続されたFET121U1、121U2からなっており、FET121U1、121U2の接続部がU相コイルcoU に接続されている。V、W相コイルcoV、coW FET組122、123も、U相 FET組121と同様に構成されている。
第3実施の形態では、位置合わせ動作は、コントローラ120より、レゾルバ位置合わせの実行指令をマイコン100に送り、レゾルバ33の位置合わせ作業を開始する。
レゾルバ33の位置合わせは、図11のフローにより実行される。
まず、FET121u1及びFET122V2をPWM制御して、電流がFET121u1からU相コイルcoU、V相コイルcoVを通してFET122V2へ流れさせる(ステップS11)。この場合、10Aの通電を1秒間行なうようにする。
次に、FET121u1及びFET123w2をPWM制御して、U相コイルcoU 及びW相コイルcoWに10Aの通電を開始する(ステップS12)。通電開始1秒後にレゾルバ33が検出する位置データを読み込む(ステップS13)。
モータ11の電流位相(通電電気角)に対しロータ25の定まる位置は図3に示される関係にあることは上述した通りであり、この対応関係は予め、マイコン100内のメモリに記憶されている。
図3に示すように、ロータ25の回転位置(ロータ回転角度)が30°位置はU相コイルcoU に+電流、W相コイルcoWに−電流、V相 coVは電流0Aであり〔図3(a(v))〕、これは、U相コイルcoU 及びW相コイルcoW(U相コイルcoUが+、W相コイルcoWが−)の2相コイル間に通電したのと同じ状態である。
例えばU相コイルcoU 及びW相コイルcoWの2相に通電した場合、V相コイルcoVには電流を流さないため、電流計測誤差は無く、通電の電気角30°に誤差は無くなる長所がある。
ステップS12、S13のU相コイルcoU 及びW相コイルcoW間通電は、モータ11のステータ24、ロータ25の位置関係が30°の時のレゾルバ角度を求めたことになる。ステップS11でのU相コイルcoU 及びV相コイルcoV間通電は、図3に示す−30°位置に相当する。モータ11の発生トルクは、ロータ25の回転位置と電流の位相による角度の差により得られるが、位相差が180°ずれた場合には回転しない恐れがある。−30°位置、+30°位置に順次、通電することにより、ロータ25の初期位置がどこにあった場合でもU相コイルcoU 及びW相コイルcoW間通電時にロータ25を30°位置にすることができる。
ステップS13に続くステップS14では、レゾルバ33により得られたロータ停止角度から図3に示される通電電気角度(電流位相角)に対応するロータ25の理論位置を減算し、ロータ回転位置データを補正するための新たなロータ停止角度(レゾルバ33の位置ずれ角)とする。
次に、ステップS14で得た新たなロータ停止角度(レゾルバ位置ずれ角)をマイコン100内のメモリ(本実施の形態では、フラッシュROMが用いられている。)に記録する(ステップS15)。
マイコン100は、通常制動操作時などにおいてモータ11を制御する場合、レゾルバ33が検出したロータ25の回転位置に基づくロータ回転位置データを用いる。そして、ロータ回転位置データに対してステップS14で記録された新たなロータ停止角度を加算するようにしてロータ回転位置データを補正する。この補正により得られたロータ回転位置データを用いてモータ11が制御されることにより、モータ11の運転が効率よく行われることになる。
次に、本発明の第4実施の形態を図12に基づき、図1、図3及び図10を参照して説明する。
この第4実施の形態では、まず、図3に示すように、−90°位置に相当するW相コイルcoW-V相コイルcoVに10Aの通電を1秒間、また、−30°位置に相当するU相コイルcoU -W相コイルcoWに10Aの通電を1秒間同時に行う(ステップS21)。第1実施の形態と同様に、異なる角度の位置に通電したことにより、初期のロータ25の位置によらず−30°位置になる。
ステップS21に続くステップS22で+30°位置に相当するU相コイルcoU -W相コイルcoWに通電すると、モータ11のロータ25は+60°回転する。ステップS22の通電開始の1秒後にU相コイルcoU -W相コイルcoW通電時のロータ25の回転位置をレゾルバ33で読み(ステップS23)、さらに、90°位置に相当するV相コイルcoV-W相コイルcoWに10Aの通電を1秒間行った(ステップS24) 後、再び30°位置に相当するU相コイルcoU -W相コイルcoWに通電する(ステップS25)。ステップS25では、再び30°位置に戻しており、ロータ25は−60°回転(逆回転)したことになる。
ステップS25の通電開始の1秒後にU相コイルcoU -W相コイルcoW通電時のロータ25位置をレゾルバ33位置で検出し(ステップS26)、ステップS23とステップS26のレゾルバ33の読み値の平均を取り、ロータ回転位置データに対する補正値(レゾルバ位置ずれ角)とする(ステップS27)。これは、U相コイルcoU -V相コイルcoV通電位置に正回転で停止した位置と、U相コイルcoU -V相コイルcoV通電位置に逆回転で停止した位置の平均値である。電流の位相角とロータ位置角度差が小さい場合にはトルクが小さく、摺動抵抗等により、電流位相角位置にロータ25の回転位置が達しないときに誤差を減らすためである。
次に、ステップS27で得たレゾルバ位置ずれ角をマイコン100内のメモリ(本実施の形態では、フラッシュROMが用いられている。)に記録する(ステップS28)。
第4実施の形態によれば、位置調整時に回転方向を変えることにより、摺動抵抗等により発生する誤差を小さ<する効果がある。
本発明の第5実施の形態を図13に基づき図1〜図12を参照して説明する。
この第5実施の形態では、図13に示すように、U相コイルcoU -V相コイルcoVに10Aの通電を1秒間行った後、U相コイルcoU -W相コイルcoWに10Aの通電を1秒間行い、レゾルバ33により実測されたロータ回転角度と通電電流の位相角(通電電気角)〔図3参照〕からロータ回転位置データに対する補正値を求める(ステップS31)。次にV相コイルcoV-W相コイルcoWに10Aの通電を1秒間行い、レゾルバ33による実測したロータ回転角度と通電電流の位相角からロータ回転位置データに対する補正値を求める(ステップS32)。
続いて、V相コイルcoV-U相コイルcoU に10Aの通電を1秒間行い、レゾルバ33による実測したロータ回転角度と通電電流の位相角(通電電気角)から補正量を求める(ステップS33)。次に、W相コイルcoW - U相コイルcoUに10Aの通電を1秒間行い、レゾルバ33により実測されたロータ回転角度と通電電流の位相角から補正量を求める(ステップS34)。さらに、W相コイルcoW - V相コイルcoVに10Aの通電を1秒間行い、レゾルバ33により実測されたロータ回転角度と通電電流の位相角から補正量を求める(ステップS35)。
次に、U相コイルcoU -V相コイルcoVに10Aの通電を1秒間行い、レゾルバ33により実測されたロータ回転角度と通電電流の位相角から補正量を求める(ステップS36)。6箇所で得られたレゾルバ33の補正量を平均し最終的な補正量(レゾルバ位置ずれ角)と決め(ステップS37)、ステップS37で得たレゾルバ位置ずれ角をマイコン100内のメモリ(本実施の形態では、フラッシュROMが用いられている。)に記録する(ステップS38)。このようにモータ11の1回転中において、上記2相間通電によってロータ25が停止する6箇所全ての位置で得られる補正量の平均値を用いることにより、磁石の固定位置や、着磁のムラ等があった場合にも最適位置に補正することができる。
第5実施の形態において、さらに第4実施の形態と同様に、逆回転方向に6箇所の通電を行ってそれぞれロータ回転位置データに対する補正値を求め、これらを平均して最終的なロータ回転位置データに対する補正値とし、この補正値を用いて、ロータ回転位置データを補正するようにしてもよい。このように構成することより、ずれ量の補正をより精度高く果たすことができる。
本発明の第1実施形態に係る電動ブレーキシステムを模式的に示す断面図である。 図1のモータを模式的に示す断面図である。 図1のモータの通電電気角及びロータ回転角度を対応して示す図である。 図1のモータのトルクー相対角度特性を示す図である。 図1の電動ブレーキシステムのモータの制御に係る回路構成を模式的に示す図である。 図5のコネクタを模式的に示す図である。 第1実施形態の作用を説明するためのフローチャートである。 本発明の第2実施形態を説明するためのフローチャートである。 図4に対応して示す、戻しばねのトルクを考慮したモータのトルクー相対角度特性を示す図である。 本発明の第3実施形態の回路図である。 図10の第3実施形態の作用を説明するためのフローチャートである。 本発明の第4実施形態を説明するためのフローチャートである。 本発明の第5実施形態を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
11…モータ、25…ロータ、33…レゾルバ、100…マイコン(コントローラ)、104…メモリ(記憶手段)、coU、coV、coW…U、V、W相コイル。

Claims (10)

  1. ステータに複数相コイルを有しロータに2の倍数個の磁極を有するモータ、該モータの回転を直線運動に変換する回転−直動変換機構、及び前記回転−直動変換機構からの伝達力によりブレーキパッドをディスクロータに押圧して制動力を発生させるキャリパと、前記モータのロータの回転位置を検出するロータ位置検出器と、前記ロータ位置検出器が検出した前記ロータ回転位置から得られるロータ回転位置データを用いて前記モータを制御するコントローラと、を有する電動ブレーキシステムにおいて、
    前記コイルの電流位相を示す通電電気角及び前記ロータの回転位置を示すロータ位置角度を対応して記憶する記憶手段を有し、
    前記コントローラは、前記ロータの回転位置を、前記記憶手段に記憶される所定の通電電気角に対応するロータ位置角度にした状態における前記3相コイルに対する予め定めた基準電流の通電によるロータの回転後のロータ停止位置に対応するロータ停止角度を前記ロータ位置検出器に検出させ、
    前記ロータ回転位置データについて前記コントローラが用いる前に前記ロータ停止角度からなるロータ停止角度データに基づいて補正することを特徴とする電動ブレーキシステム。
  2. 前記モータは、3相コイルを有してY結線されていることを特徴とする請求項1記載の電動ブレーキシステム。
  3. 前記基準電流の通電は、前記3相コイルのうち一つのコイルから互いに接続された残り二つのコイルに対して行なわれることを特徴とする請求項2記載の電動ブレーキシステム。
  4. 前記基準電流の通電は、前記3相コイルのうち二つのコイルに対して行なわれることを特徴とする請求項2記載の電動ブレーキシステム。
  5. 前記コントローラは、通電電気角とロータ位置との間に角度差を持たせるように設けられる戻しばねによる前記ロータの回転トルク、前記モータヘの供給電流、及び前記モータのトルク定数に基づいて、前記戻しばねのばね力によるロータのずれ分に相当する戻しばね補正角を求め、該戻しばね補正角を前記ロータ回転位置データの補正に用いることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の電動ブレーキシステム。
  6. ロータ停止角度データは、前記ロータ位置検出器に検出される2つのロータ停止角度を平均して得られ、
    前記2つのロータ停止角度のうち一方は、前記ロータが一方向に回転するように前記ロータの回転位置を変えた状態で検出され、
    前記2つのロータ停止角度のうち他方は、前記ロータが他方向に回転するように前記ロータの回転位置を変えた状態で検出されることを特徴とする請求項1記載の電動ブレーキシステム。
  7. 前記モータは3相コイルを有してY結線されたものであって、
    前記ロータの一方向の回転は、前記3相コイルのうち二つのコイルに対する通電と、該通電後に実施される前記二つのコイルと異なる二つのコイルに対する通電により行なわれることを特徴とする請求項6記載の電動ブレーキシステム。
  8. ロータ停止角度データは、前記ロータが一回転するように前記ロータの回転位置を複数箇所変えた状態で検出される複数個のロータ停止角度を平均して得られることを特徴とする請求項1記載の電動ブレーキシステム。
  9. 前記モータは3相コイルを有してY結線されたものであって、
    前記複数個のロータ停止角度のそれぞれは、前記3相コイルのうち二つのコイルに対する通電後に実施される前記二つのコイルと異なる二つのコイルに対する通電後に検出されることを特徴とする請求項8記載の電動ブレーキシステム。
  10. 前記コントローラは、通電電気角とロータ位置との間に角度差を持たせるように設けられる戻しばねによる前記ロータの回転トルク、前記モータヘの供給電流、及び前記モータのトルク定数に基づいて、前記戻しばねのばね力によるロータのずれ分に相当する戻しばね補正角を求め、該戻しばね補正角を前記ロータ回転位置データの補正に用いることを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載の電動ブレーキシステム。


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