JP2006283704A - エンジンのバルブタイミング制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 良好な冷間始動と静粛で低振動な温間始動を両立させることができる技術を提供する。
【解決手段】 カムシャフトをクランクシャフトに対して相対回転させることにより、吸気バルブの作動タイミングを、最進角位相から当該最進角位相より吸気圧縮比が低くなる最遅角位相まで変更可能な可変バルブタイミング機構と、吸気バルブの作動タイミングを最進角位相にロックするロック機構とを備え、イグニッションスイッチがOFFの場合にはエンジン停止時の吸気バルブの作動タイミングをロック機構にて最進角位相にロックさせ、イグニッションスイッチがONの状態でのエンジン停止時の吸気バルブの作動タイミングを最遅角位相にさせる。
【選択図】 図7

Description

本発明は、カムシャフトをクランクシャフトに対して相対回転させることにより吸気バルブの作動タイミングを変更可能なバルブタイミング制御装置に関するものである。
近年、出力向上、ドライバビリティ向上、低エミッション化等を意図して、クランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相を変更してエンジン(内燃機関)の吸気バルブの作動タイミングを変更するバルブタイミング制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このバルブタイミング制御装置は、クランクシャフトと同期して回転するハウジングと、カムシャフトに結合されハウジングに対して相対的に回転可能なベーンを有するロータと、オイルの流入によってその体積を広げてベーンのクランクシャフトに対する回転位相を進角させる進角側油圧室と、オイルの流入によってその体積を広げてベーンのクランクシャフトに対する回転位相を遅角させる遅角側油圧室とを備え、両油圧室へのオイルの流入を制御することにより、吸気バルブを駆動するカムシャフトのクランクシャフトに対する回転位相を可変とし、これによって吸気バルブの作動タイミングを変更できるようになっている。
このように構成されたバルブタイミング制御装置を備えたエンジンにおいて、暖機完了後の通常運転時などに、吸気バルブの作動タイミングが最遅角位相あるいはそれに近い位置まで遅らされて運転され、そのまま停止したとしても、エンジン一時停止後の始動時には、エンジンはまだ暖機状態にあるので、そのままの吸気圧縮比を下げた状態にてクランキングが行われてよく、かかる低圧縮比によるクランキングにより、振動の少ない静かな始動を達成することができる。これに対し、車両の運行開始時、あるいは車両運行途中のエンジン一時停止の場合にもそれが長引いたときにはエンジンは冷えた状態となるので、吸気圧縮比を上げた状態でクランキングを行うべく、吸気バルブの作動タイミングを進角位相に進めてからクランキングを行うと、その始動はより容易となる。
ただし、両油圧室へオイルを流入させて油圧を高めるために、エンジンの駆動力からその駆動力を得る機械式のオイルポンプを利用するのでは、エンジン始動前にはその駆動力を得ることができずに、吸気バルブの作動タイミングを進角位相に進めることができない。そのため、クランキング開始前に電動発電機MG1、MG2の一方または両方によりエンジンのクランクシャフトを一時逆回転方向に回動させて、カムシャフトと共に停止しているロータに対しハウジングを逆転させる。これにより、ロータをハウジングに対し相対的に最進角位相へもたらし、ここで両者をロックピンにより機械的に係止して吸気バルブの作動タイミング最進角位相にロックすることが行なわれる。こうしてクランキング開始前に吸気圧縮比を高める制御が行なわれることで、冷間時の始動はより容易且つ確実となる。
特開2003−13758号公報 特開2003−201872号公報 特開2000−320356号公報 特開平11−218009号公報 特開2003−278566号公報
しかしながら、−25℃以下の極冷間時を含めた冷間時には、オイル粘度が高いこともあり、クランクシャフトを逆回転方向に回動させても、ハウジングとロータが共回りして、ロックピンにて吸気バルブの作動タイミングを最進角位相にロックすることができないおそれがある。そしてかかる場合には、クランキング開始前に吸気圧縮比を上げることができないので、容易且つ確実に始動させることが困難となる。
本発明は、上記した事項に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、良好な冷間始動と静粛で低振動な温間始動を両立させることができる技術を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係るエンジンのバルブタイミング制御装置は、カムシャフトをクランクシャフトに対して相対回転させることにより、吸気バルブの作動タイミングを、最進角位相から当該最進角位相より吸気圧縮比が低くなる最遅角位相まで変更可能な可変バルブタイミング機構と、吸気バルブの作動タイミングを前記最進角位相にロックするロック機構と、を備えるエンジンのバルブタイミング制御装置において、イグニッションスイッチがOFFの場合にはエンジン停止時の吸気バルブの作動タイミングを前記ロック機構にて前記最進角位相にロックさせ、イグニッションスイッチがONの状態でのエンジン停止時の吸気バルブの作動タイミングを前記最遅角位相にさせることを特徴とする。
信号待ちなどの車両一時停止時にエンジンを一時停止させるエコラン運転を行う車両やエンジンによる駆動と電動機による駆動とを適宜織り交ぜて駆動力を得るハイブリッド車両においては、イグニッション(以下、「IG」という場合もある。)スイッチがONの状態でエンジンが自動的に停止し、当該車両の使用者によりアクセルが踏込まれて車両に対して加速要求がなされることなどを条件に、エンジンが自動的に始動される。ゆえに、かかる車両においては、エンジンが温まった状態(例えば、冷却水の温度が40℃以上の状態)で始動される、温間始動が頻繁に行われる。ただし、IGスイッチがOFFにされた場合には、次回の始動までにエンジンが冷え、気温が10℃より低い場合などにおいては、次回の始動は、エンジンが冷えた状態(例えば、冷却水の温度が10℃以下の状態)で始動される、冷間始動となる可能性が高い。
また、一般的に、冷間始動時には、吸気圧縮比を上げることで容易に始動させることができ、一方、温間始動時には、吸気圧縮比を下げ、高めのクランキング回転数とすることにより、低振動にて静粛に始動させることができる。
ゆえに、本発明に係るバルブタイミング制御装置がこれらの車両に搭載される場合においては、IGスイッチがOFFにされてエンジンが停止している時には、次回の冷間始動に備えるべく、エンジン停止時の吸気バルブの作動タイミングを最進角位相にさせ、IGスイッチがONの状態でエンジンが停止する場合には、次回の温間始動に備えるべく、エンジン停止時の吸気バルブの作動タイミングを最遅角位相にさせるので、良好な冷間始動性と頻繁に行われる温間始動時には静粛で低振動な始動を実現させることができる。
ここで、可変バルブタイミング機構が、クランクシャフトと同期して回転するハウジングと、カムシャフトに結合されハウジングに対して相対的に回転可能なベーンを有するロータと、流体の流入によってその体積を広げてベーンのハウジングに対する回転位相を変化させる進角側および遅角側の圧力室とを備え、両圧力室への流体の流入を制御することにより、カムシャフトのクランクシャフトに対する回転位相を可変とし、これによって吸気バルブの作動タイミングを変更できるような構造である場合、始動時などいずれの圧力室にも流体の圧力が生じていないときには、エンジン停止時の位相にかかわらず、クラン
クシャフトと同期して回転するハウジングとベーンとの接触力により、カムシャフトが回転駆動することから、始動時には吸気バルブの作動タイミングは最遅角位相となる。
ゆえに、冷間始動時の吸気バルブの作動タイミングを最進角位相にさせるためには、エンジン停止時に最進角位相にロックしておくことが好ましい。そこで、本発明に係るエンジンのバルブタイミング制御装置は、最進角位相にロックするロック機構を備え、IGスイッチがOFFの場合にはロック機構にて最進角位相にロックさせるようにする。これにより、精度よく良好な冷間始動を実現することができる。
また、本発明に係るエンジンのバルブタイミング制御装置においては、クランクシャフトの回転により駆動力を得て流体を供給する機械式ポンプと、バッテリ電力により駆動力を得て流体を供給する電動式ポンプとをさらに備え、前記可変バルブタイミング機構は、前記機械式ポンプにて供給された流体と前記電動式ポンプにて供給された流体の圧力によりカムシャフトをクランクシャフトに対して相対回転させるものであり、エンジン停止および始動時には、前記電動式ポンプを駆動することにより前記可変バルブタイミング機構に流体を供給することが好適である。
可変バルブタイミング機構が、潤滑油(オイル)あるいはエンジン冷却用の冷却水である流体の圧力によりカムシャフトをクランクシャフトに対して相対回転させるものである場合、クランクシャフトの回転により駆動力を得てその流体を供給する機械式ポンプのみを備えてその流体を供給する場合には、エンジン停止および始動時には、カムシャフトをクランクシャフトに対して相対回転させるのに十分な流体が供給され難い。ゆえに、バッテリ電力により駆動力を得て流体を供給する電動式ポンプを備え、エンジン停止および始動時には、当該電動式ポンプを駆動することにより可変バルブタイミング機構に流体を供給することで、エンジン停止および始動時においても、吸気バルブの作動タイミングを任意の位相に制御することができる。
また、本発明に係るエンジンのバルブタイミング制御装置においては、バッテリ電力により駆動力を得て流体を供給する電動式ポンプをさらに備え、前記可変バルブタイミング機構は、当該電動式ポンプにて供給された流体の圧力によりカムシャフトをクランクシャフトに対して相対回転させるものであり、イグニッションスイッチがOFFからONになりエンジンが始動する際の冷却水の温度が所定温度以上の場合は、前記電動式ポンプを駆動することにより前記ロック機構によるロックを解除した後にクランキングを開始させることが好適である。なお、所定温度は、始動時の振動および音と、始動性とのバランスを考慮して定められる温度である。
IGスイッチがOFFにされた場合であっても、エンジンが温間状態から冷間状態になる前に、再度エンジン始動が行われる場合がある。また、IGスイッチがOFFにされてエンジンが停止しているとしても、季節が夏である場合など外気温が高い場合には、次回のエンジン始動が冷間始動とならない場合がある。ゆえに、かかる場合においては、IGスイッチがOFFからONになりエンジンが始動する場合においても、吸気圧縮比を下げ、高めのクランキング回転数とすることにより、低振動にて静粛に始動させることができる。
そこで、IGスイッチがOFFからONになりエンジンが始動する際の冷却水の温度が所定温度以上の場合は、電動式ポンプを駆動することによりロック機構によるロックを解除した後にクランキングを開始させることで、遅角側の位相で始動させることができ、ロックさせたまま始動するよりは、より低振動にて静粛に始動させることができる。
また、本発明に係るエンジンのバルブタイミング制御装置においては、 バッテリ電力
により駆動力を得て流体を供給する電動式ポンプと、当該電動式ポンプにて供給された流体の圧力によりカムシャフトをクランクシャフトに対して相対回転させることにより、吸気バルブの作動タイミングを、最進角位相から当該最進角位相より吸気圧縮比が低くなる最遅角位相まで変更可能な可変バルブタイミング機構と、吸気バルブの作動タイミングを前記最進角位相にロックするロック機構と、を備えるエンジンのバルブタイミング制御装置において、エンジン停止時の吸気バルブの作動タイミングを前記ロック機構にて前記最進角位相にロックさせ、再度エンジンが始動する際の冷却水の温度が所定温度以上の場合は、前記電動式ポンプを駆動することにより前記ロック機構によるロックを解除した後にクランキングを開始させることを特徴とする。
このように、エンジンが始動する際の冷却水の温度が所定温度以上の場合は、電動式ポンプを駆動することによりロック機構によるロックを解除した後にクランキングを開始させ、所定温度より低い場合は、最進角位相にロックしたままクランキングを開始させることにより、良好な冷間始動性と静粛で低振動な温間始動を両立させることができる。
以上説明したように、本発明によれば、良好な冷間始動と静粛で低振動な温間始動を両立させることができる。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を以下の実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は、本実施例に係るハイブリッドシステム1を搭載したハイブリッド車両100の概略構成図である。図1に示すように、ハイブリッドシステム1は、内燃機関(エンジン)2、第1の電動発電機(以下、「MG1」と称し、図中においても「MG1」と記す。)、第2の電動発電機(以下、「MG2」と称し、図中においても「MG2」と記す。)、動力分割機構3、減速機4、インバータ5、バッテリ6、電子制御装置(ECU)7等を主要な構成要素として含む。
エンジン2のクランクシャフト21と、MG1の回転軸と、MG2の回転軸とは、動力分割機構3を介して相互に連結される。動力分割機構3は、周知の遊星歯車(プラネタリーギア)を利用して、エンジン2からの動力(クランクシャフト21の回転力)をMG1の回転軸とMG2の回転軸とに分割して伝達する。また、MG2の回転軸とクランクシャフト21とは、適宜連結することや、切り離すことが可能である。
また、MG2の回転軸は、減速機4を介して駆動輪8,9の回転軸8a,9aに連結されている。ゆえに、MG2の回転軸とクランクシャフト21とが連結されている状態では、エンジン2が出力する動力(エンジン動力)が、駆動輪8,9の回転力として伝達されるとともに、MG1を駆動して電力を発生させる。
また、MG2は、バッテリ6あるいはMG1から電力の供給を受けて駆動輪8,9に回転力を付与するように機能する場合と、逆に駆動輪8,9から回転力を付与されることで発電を行いバッテリ6に充電用の電力を供給するように機能する場合とがある。
ECU7は、ハイブリッドコントロールコンピュータ(以下、「HVCC」という。)と、エンジンコントロールコンピュータ(以下、「ECC」という。)を備えている。こ
れらHVCCおよびECCは、CPU、ROM、RAM、バックアップRAMなどからなる算術論理演算回路である。
HVCCには、ハイブリッド車両100に取り付けられたアクセルポジションセンサ(図示省略)、シフトポジションセンサ(図示省略)等の各種センサが電気配線を介して接続され、各種センサの出力信号がHVCCに入力されるようになっている。また、HVCCには、バッテリコンピュータからバッテリ充電状態(SOC)が入力される。そして、HVCCは、各種センサの検出値あるいはSOCに基づいて必要なエンジンパワーを求めてECCに要求値を出力するとともに、必要なトルクを求めてMG1およびMG2を制御する。
一方、上記したECCには、クランクポジションセンサ(図示省略)、カムポジションセンサ(図示省略)、水温センサ(図示省略)、外気温センサ(図示省略)等の各種センサが電気配線を介して接続され、各種センサの出力信号がECCに入力されるようになっている。また、ECCには、燃料噴射弁(図示省略)、スロットル(図示省略)等が電気配線を介して接続され、各種センサからの出力信号よりエンジンの運転状態(エンジン回転数等)を判定し、判定した運転状態、HVCCから出力される要求値および予め作成されROMに記憶されたマップに基づいて燃料噴射弁およびスロットルを制御する。
そして、ハイブリッドシステム1においては、ECU7が実行する制御に基づいてエンジン2及びMG2の発生する動力(トルク)を適宜使い分けて車両の駆動輪8,9に伝達する他、適宜、エンジン2の発生するエネルギーや車両の減速に伴って発生するエネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリ6を充電する。
以下、ハイブリッドシステム1の作動について、具体例を挙げて説明する。
図2は、エンジン2及びMG2の発生する動力やバッテリ6に蓄えられた電力が、ハイブリッドシステム1の状態に応じてどのように活用されるのかを、動力や電力の伝達経路を中心に説明する模式図である。なお、図2において、実線の矢印は動力の伝達経路を示し、破線の矢印は電力の伝達経路を示す。
(1)システム起動時
ハイブリッドシステム1の起動時には、エンジンのスターターとしての機能を持つMG1に通電し、エンジン2を始動させ、暖機を行う。この際、エンジン2の発生するエネルギーの一部はMG1を介して電気エネルギーに変換され、バッテリ6に蓄えられる(図2(a))。SOC低下時以外、エンジン2の暖機が完了すると、エンジン2の運転を停止する。
なお、システムの起動は、車両100の使用者が、キーをキースロットに挿入した状態でブレーキペダルを踏み、パワースイッチを押すことによって行われる。ブレーキペダルを踏まずにパワースイッチが押されると、OFF→ACC→IG→OFFの順に電源ポジションが切替わるだけで、システムは起動しない。また、システムが起動すると、IGスイッチはONとなる。
(2)発進・軽負荷走行時
ハイブリッド車両100が発進する際、あるいは低速走行を行う際等、エンジン2の熱効率が低くなる条件下においては、MG2が発生する動力を優先的に活用して車両(駆動輪8,9)を駆動する(図2(b))。かかる場合においては、エンジン2は停止したままとなる。
ただし、SOC低下時は基本的にMG2の駆動力により発進・軽負荷走行を行い、エン
ジン2を始動させ、MG1を駆動して発電し、その電力を使ってMG2を駆動させると同時にバッテリを充電する。
(3)定常走行時
エンジン2の機関効率のよい運転領域では、主にエンジン2が発生する動力を用いて走行する。エンジン動力は動力分割機構3で2経路に分割され、一方は動力として駆動輪8,9に伝達される。もう一方はMG1を駆動して発電を行い、その電力によりMG2を駆動することでエンジン動力を補助する。そして、エンジン2が発生する動力と、MG2が発生する動力とが最適な比率で協動して車両(駆動輪8,9)を駆動するように制御を行う(図2(c))。
ただし、SOC低下時などバッテリ6の充電が必要な場合には、エンジン出力を上げることでMG1での発電も同時に行い、この電力を使ってMG2を駆動するのと同時にバッテリ6を充電する。
(4)加速時
加速を行う場合、エンジン2の回転数を上げるとともにMG1による発電量を増加する。そして、MG1の発電による電力(発電電力)とバッテリ6による電力(バッテリ電力)を使ってMG2に動力を発生させ、その駆動力とエンジン動力とで加速する(図2(d))。
(5)システムの停止
使用者が、システム起動中にブレーキペダルを踏みながらパワースイッチを押すことによって、システムが停止する。そして、システムが停止すると、IGスイッチはOFFとなる。なお、使用者が、システム起動中にPポジションスイッチを押すことで、システム起動状態を保持したまま車両を停止させることができる。
ここで、エンジン2は、4サイクルエンジンであり、当該エンジンには、吸気バルブの作動タイミングをクランクシャフト21の回転角度に対して連続的に変更することができるバルブタイミング制御装置22が設けられている。
バルブタイミング制御装置22は、吸気側カムシャフトをクランクシャフト21に対して相対回転させることにより、吸気バルブの作動タイミングを図3に示す如く変更可能に制御することを実現している。そして、特にその閉じ位相をピストンの往復動位相に対し相対的に進めたり遅らせたりすることにより、吸気弁が閉じられる瞬間にシリンダ室内に吸入される吸気の量を増減して吸気の圧縮比を可変に制御するものである。
このバルブタイミング制御装置22は、図4に示すように、可変バルブタイミング機構30、オイルコントロールバルブ(OCV)60、及びロック機構70を備えている。
次に、図4,5,6を用いてバルブタイミング制御装置22について説明する。
吸気側カムシャフト31は、シリンダヘッドに回転可能に支持されている。吸気側カムシャフト31の端部には、内部ロータ32がボルト33によって一体回転可能に取付けられている。カムシャフト31の端部外周にはスプロケット34が嵌合されており、このスプロケット34とクランクシャフト21側のスプロケットとにチェーン(図示省略)が掛け渡されている。このようにして、カムシャフト31及びクランクシャフト21が、スプロケット34、チェーン等を介して駆動連結されている。スプロケット34には、ハウジング35がボルト36によって一体回転可能に取付けられている。ハウジング35は円環形状をなしており、その内周面の周方向に互いに離間した箇所には複数の突部37が形成されている。
一方、内部ロータ32は、その中央部に位置する円筒状のボス38と、そのボス38の外周の互いに離間した箇所に設けられた複数のベーン39とを備えている。そして、ボス38の外周面が各突部37の先端に摺動可能に接触した状態で、各ベーン39が隣合う突部37間に位置し、ハウジング35の内周面に摺動可能に接触している。
内部ロータ32は、流体の圧力をベーン39で受けることによりハウジング35に対し相対回転する。この相対回転により、クランクシャフト21に対するカムシャフト31の回転位相が変化する。内部ロータ32の回転位相は、図5に示すように、少なくとも1つのベーン39が、カムシャフト31の回転方向(図では時計回り方向)についての前側の突部37に接触したとき「最も進んだ位相(最進角位相)」になる。また、同回転位相は、図6に示すように、少なくとも1つのベーン39がカムシャフト31の回転方向についての後ろ側の突部37に接触したとき「最も遅い位相(最遅角位相)」になる。
内部ロータ32を相対回転させるための流体の圧力として、エンジン2のオイル(潤滑油)の油圧が利用されている。詳しくは、ハウジング35内の隣合う突部37間の空間は、ベーン39によって2つの空間に区画されている。これらのうち、カムシャフト31の回転方向についてベーン39よりも後側の空間は進角側油圧室40を構成し、前側の空間は遅角側油圧室41を構成している。
上記可変バルブタイミング機構30では、両油圧室40,41内の油圧によって内部ロータ32がハウジング35に対して相対回転する。すなわち、進角側油圧室40内の油圧を遅角側油圧室41内の油圧に対して高くすると、内部ロータ32はハウジング35に対してカムシャフト31の回転方向に相対回転する。このとき、カムシャフト31の回転位相はクランクシャフト21の回転位相に対して進角される(図5の状態)。これとは逆に、遅角側油圧室41内の油圧を進角側油圧室40の油圧に対して高くすると、内部ロータ32はハウジング35に対してカムシャフト31の回転方向と逆方向に相対回転され、カムシャフト31の回転位相はクランクシャフト21の回転位相に対して遅角される(図6の状態)。そして、これらの回転位相の変更によって吸気バルブの作動タイミングを可変としている。
上記両油圧室40,41内に対するオイルの供給及び排出を行うために、シリンダヘッド、カムシャフト31、内部ロータ32等には、進角側油圧室40に繋がる進角側通路42と、遅角側油圧室41に繋がる遅角側通路43とが形成されている。両通路42,43には、オイルコントロールバルブ(OCV)60を介して供給通路44及び2つの排出通路45,46が接続されている。なお、OCV60は電磁駆動式の流量制御弁であり、ECU7によって制御される。
供給通路44は機械式オイルポンプ(以下、「MOP」と称し、図中においても「MOP」と記す。)および電動式オイルポンプ(以下、「EOP」と称し、図中においても「EOP」と記す。)を介してオイルパン10に繋がり、両排出通路45,46は直接オイルパン10に繋がっている。
MOPは、クランクシャフト21が回転することにより駆動され、オイルを圧送供給する機械式のオイルポンプであり、周知の4歯5葉トロコイド型ポンプを例示することができる。そして、このMOPの作用により、オイルパン10内に貯えられたオイルが、オイルストレーナを介して吸い上げられ、オイルフィルタ(図示省略)で異物が除かれた後、クランクジャーナル等のエンジンの各部位に供給される。
また、MOPにて吸い上げられたオイルがエンジン各部位至る経路は、図4に示したよ
うに途中で分岐しており、分岐点からOCV60へ至る経路の途中には、チェック弁11が設けられている。このチェック弁11は、MOP側からOCV60側にオイルが流れる場合に、オイルの圧力(油圧)が開弁圧以上の場合に開弁してオイルが流れることを許容し、他方、OCV60側からMOP側にオイルが流れるのを阻止するものである。
EOPは、クランクシャフト21の回転とは独立して駆動され、オイルパン10内に貯えられたオイルを吸い上げ、OCV60に圧送供給する電動式のオイルポンプである。このEOPは、バッテリ6を駆動源とするオイルポンプであり、ECU7の指令信号により電圧が印加されると、その印加電圧に応じた分の流量のオイルをOCV60に供給する。そして、EOPにて吸い上げられたオイルがOCV60へ至る経路の途中には、上記チェック弁11と同じ機能を有するチェック弁12が設けられている。
OCV60は、複数のポートが形成されたケーシング61を備えている。ポートには、進角側通路42、遅角側通路43、供給通路44及び両排出通路45,46が接続されている。ケーシング61の内部には、複数の弁部62を備え、かつばね63によって弾性付勢されたスプール64が往復動可能に収容されている。OCV60では、ECU7により電磁ソレノイド65への通電時間がデューティ制御される。この制御に応じてスプール64の軸方向における位置が変更され、弁部62によって各ポートが開閉される。
例えば、デューティ比が0%の場合には、図5に示すように、ばね63が伸張してスプール64が右端側に配置される。これにより、進角側通路42と供給通路44とが接続され、オイルパン10内のオイルが供給通路44、進角側通路42等を通って進角側油圧室40に供給される。また、遅角側通路43と一方の排出通路45とが接続され、遅角側油圧室41内のオイルが遅角側通路43、排出通路45等を通ってオイルパン10に戻される。その結果、ハウジング35に対し内部ロータ32がカムシャフト31の回転方向(進角方向)へ相対回転する。この相対回転は、図5に示すように、ベーン39がカムシャフト31の回転方向についての前側の突部37に接触することで止まる。
また、デューティ比が100%の場合には、図6に示すように、スプール64がばね63を圧縮させて左側に配置される。これにより、遅角側通路43と供給通路44とが接続され、オイルパン10内のオイルが供給通路44、遅角側通路43等を通って遅角側油圧室41に供給される。また、進角側通路42と他方の排出通路46とが接続され、進角側油圧室40内のオイルが進角側通路42、排出通路46等を通ってオイルパン10に戻される。その結果、ハウジング35に対し内部ロータ32がカムシャフト31の回転方向とは反対方向(遅角方向)へ相対回転する。この相対回転は、図6に示すように、ベーン39がカムシャフト31の回転方向についての後側の突部37に接触したところで止まる。
そして、デューティ比を0〜100%の間で任意に変更することにより、進角側油圧室40及び遅角側油圧室41へのオイルの供給・排出を行い、各油圧室40,41内の油圧を調整することができる。この調整により、内部ロータ32の回転位相を最遅角位相から最進角位相までの範囲で任意に変更することができる。
以下にロック機構70について説明する。
内部ロータ32のベーン39の1つには、カムシャフトに平行にピン挿入孔71が形成されており、ロックピン72がこの挿入孔71内に往復摺動可能に収容されている。ロックピン72はばね73によって常にハウジング35側へ弾性付勢されている。一方、ハウジング35において挿入孔71に対応する箇所には係止孔74が形成されており、内部ロータ32の相対回転に伴い挿入孔71が係止孔74に合致したとき、ばね73によって弾性付勢されたロックピン72の先端が係止孔74に挿入される。この挿入により、ハウジング35に対する内部ロータ32の相対回転が規制され、相対回動位置関係を維持した状態
で吸気カムシャフト31とスプロケット34とが一体に回転する。なお、挿入孔71に対応する箇所とは、カムシャフト31の回転位相が最進角位相となったときに挿入孔71に合致する箇所である。
ロックピン72を係止孔74から抜き出してロックを解除するために、挿入孔71を有するベーン39には油路が設けられている。この油路は遅角側油圧室41及び係止孔74に連通しており、遅角側油圧室41に供給された油圧が係止孔74にも導入される。また、ロックピン72のフランジ部分と挿入孔71の段差部分との間には環状油空間が形成されている。この環状油空間は、進角側油圧室40と連通しており、同進角側油圧室40に供給された油圧が環状油空間にも導入される。そして、両油圧がばね73の付勢力に打ち勝つと、ロックピン72が係止孔74から外れ、ロックピン72の係止が解除される。この解除に伴い、ハウジング35及び内部ロータ32間の相対回転が許容され、進角側油圧室40及び遅角側油圧室41に供給される油圧に基づいて、ハウジング35に対する内部ロータ32の回転位相の調整が可能となる。
ここで、エンジンの冷却水の温度が10℃以下の時(冷間時)にエンジンを容易に始動させるためには、吸気圧縮比をできるだけ高くする必要があり、図3に示す変更可能な範囲においては、吸気バルブの作動タイミング(以下、単に「吸気バルブタイミング」という場合もある。)をできる限り進角位相にしてからクランキングを行うことが好ましい。
一方、エンジンの冷却水の温度が40℃以上の時(温間時)には、吸気圧縮比を低くしても容易に始動させることができることから、吸気バルブタイミングをできるかぎり遅角位相にしてエンジンを始動させることが好ましい。これは、クランキング時に、吸気バルブタイミングが遅角側の位相になるほど、高めのクランキング回転数とすることができ、低振動にて静粛に始動させることができるからである。
また、車両100の使用者がブレーキを踏みながらパワースイッチを押す場合など、IGスイッチがOFFになる場合には、次回のエンジン始動は冷間始動となる可能性が高い。一方、ハイブリッド車両100においては、ハイブリッドシステム1の起動中にエンジンの自動停止・始動が頻繁に繰り返され、IGスイッチがONにされたままエンジンが自動的に停止された後の始動の際には、温間始動である可能性が高い。
かかる事項に鑑み、本実施例に係るハイブリッド車両100においては、IGスイッチがOFFになる場合には、ロック機構70により吸気バルブタイミングを最進角位相に固定(以下、単に「進角ロック」という場合もある。)し、IGスイッチがONのままエンジンが自動的に停止(以下、単に「エンジン自動停止」という場合もある。)される場合には、吸気バルブタイミングが最遅角位相となるようにエンジンを停止させるようにする、エンジン停止時吸気バルブタイミング制御を実行する。
なお、IGスイッチがOFFになる際に、進角ロックする手段としては、エンジン停止後に、MG1によりクランクシャフト21を逆回転させることを例示することができる。
一方、エンジン自動停止時に吸気バルブタイミングを最遅角位相で停止させる手段としては、エンジン停止前に、進角側通路42と排出通路46とを連通させるようにOCV60を駆動させ、そのまま停止させること、あるいはエンジン停止時にクランクシャフト21が逆回転するおそれがある場合には、クランクシャフト21が逆回転しないようにMG1のトルクを制御することを例示することができる。また、エンジン停止後に、遅角側通路43と供給通路44とを連通させるようにOCV60を駆動させるとともに、EOPを駆動させて、遅角側油圧室41にオイルを供給させてもよい。エンジンが温間時に停止される場合には、オイル温度も高くその粘性は低いと考えられるので、低容量のEOPでも
その駆動力で遅角側油圧室41にオイルを供給させることができ、エンジン停止後であってもカムシャフトをクランクシャフトに対して相対回転させることができるからである。
以下、具体的に、図7に示すフローチャートを用いて本実施例に係るエンジン停止時吸気バルブタイミング制御について説明する。この制御ルーチンは、予めECU7のROMに記憶されているルーチンであり、一定時間の経過、あるいはクランクポジションセンサからのパルス信号の入力などをトリガとした割り込み処理としてECU7が実行するルーチンである。
先ず、ステップ(以下、単に「S」という場合もある。)101において、IGスイッチがOFFであるか否かを判別する。そして、本ステップで肯定判定された場合には、S102へ進み、吸気バルブタイミングを最進角位相に固定(進角ロック)して本ルーチンの実行を終了する。一方、S101で否定判定された場合には、S103へ進み、エンジン停止中の吸気バルブタイミングが最遅角位相となるようにする。つまり、S103へ進んだ時にすでにエンジンが停止している場合には、遅角側通路43と供給通路44とを連通させるようにOCV60を駆動させるとともに、EOPを駆動させて、遅角側油圧室41にオイルを供給させる。一方、エンジンがまだ停止していない場合には、上述したいずれかの手法を用いて吸気バルブタイミングが最遅角位相となるようにする。
そして、このようなエンジン停止時吸気バルブタイミング制御を実行することにより、IGスイッチOFF時には、進角ロックされ、エンジン自動停止時には、最遅角位相で停止されるので、次回の冷間始動時の始動性と温間始動時の低振動で静粛な始動の両立を図ることができる。
ただし、IGスイッチOFF時には、常に進角ロックされることとなり、その後のエンジン始動の際には、その時のエンジンの温度状態にかかわらず吸気バルブタイミングは最進角位相に固定されている。そのため、IGスイッチOFF後早期にシステムが起動されてエンジンが始動される場合など、次回の始動が温間始動となる場合に進角ロック状態のまま始動させるのでは、吸気圧縮力が高くなり、始動時の振動および音を小さくさせることが困難となる。
そこで、本実施例においては、以下に説明するIG−OFF後エンジン始動制御を実行する。概略としては、始動時に、水温センサが検出する温度である冷却水温が所定温度より低いか否かを判別し、肯定判定された場合には進角ロックさせたまま始動させるべくそのままクランキング開始させ、否定判定された場合にはロック機構70によるロックを解除してクランキング開始させるようにする。なお、所定温度は、始動時の振動および音と、始動性とのバランスを考慮して予め定められる温度であり、例えば、10℃と定める。
冷却水温が所定温度以上であると判定された場合にはクランキング開始前にロック機構70によるロックを解除する必要があるが、これは、EOPを駆動させることでロック解除用の圧力室および遅角側油圧室41にオイルを供給させるようにするものである。かかる場合には、オイル温度も高くその粘性は低いと考えられるので、EOP駆動のための消費電力は小さくて済む。
以下、具体的に、図8に示すフローチャートを用いて本実施例に係るIG−OFF後エンジン始動制御について説明する。この制御ルーチンは、予めECU7のROMに記憶されているルーチンであり、メインリレーがONにされた後、一定時間の経過をトリガとして、あるいはIGスイッチがONにされたことをトリガとした割り込み処理としてECU7が実行するルーチンである。
先ず、S201において、水温センサによる検出温度が所定温度より低いか否かを判別する。そして、本ステップで肯定判定された場合には、S202へ進み、そのままクランキング開始する。一方、S201で否定判定された場合には、S203へ進み、EOPを駆動させてロックを解除させ、その後S204へ進み、クランキング開始する。
このようなIG−OFF後エンジン始動制御を実行することにより、温度が−25℃以下の極冷間時などを含めた冷間始動時においては、吸気圧縮比を高めた状態で始動するので、容易に始動させることができる。一方、温間始動時には、進角ロックを解除して吸気バルブタイミングを遅角側の位相にしてクランキングするので、高めのクランキング回転数とすることができ、低振動にて静粛に始動させることができる。なお、温間始動時に、クランキング前にEOPを駆動させて、ロック解除してクランキングを行うようにしても、温間時にはオイル粘度が低いことから早期にロック解除できるので、使用者に違和感なくエンジンを始動させることができる。
なお、上記のように、エンジン停止時吸気バルブタイミング制御を実行したとしても、IGスイッチがOFFにされる時(S101で肯定判定される時)に、車両の振動などの外乱を受けることにより、進角ロックに失敗するおそれがある。そして、かかる場合には、IG−OFF後エンジン始動制御が実行されることにより、進角ロック状態ではないままでクランキングされてしまい、冷間始動性が悪化してしまう。
それゆえ、S102の処理中などに、極低回転(例えば、100rpm)でクランクシャフト21を回転させ、その時のクランクポジションセンサおよびカムポジションセンサの検出値に基づいて進角ロック状態になったかどうかを検出し、確実に進角ロック状態となるまでMG1にてクランクシャフト21を逆回転させることが好ましい。
実施例1においては、IGスイッチがOFFにされる時には、常に、ロック機構70により吸気バルブタイミングが最進角位相に固定され、次回のエンジン始動が、冷却水温が所定温度以上で行われる場合には、EOPを駆動してロックが解除された後にクランキングが開始されることとなる。
しかしながら、前記所定温度が例えば10℃と設定されている場合、例えば季節が夏であるときには、IGスイッチがOFFにされエンジンが長期間停止されたままとなっても、冷却水温が当該所定温度以上となる場合がある。このような場合にも、実施例1のようにIGスイッチがOFFにされる時に、常に進角ロックさせ、始動時に、常にロックを解除するのにEOPを駆動するのでは、EOP駆動用の電力分燃費が悪化する。
そこで、本実施例においては、外気温センサの検出温度、あるいはハイブリッド車両100に搭載されたナビゲーションシステムからの日付、地理などの情報に基づいて、次回のエンジン始動時に、進角ロックしたまま始動させることが不要と判断される場合には、IGスイッチがOFFにされる時においても、進角ロックさせないようにする。
以下、具体的に、図9に示すフローチャートを用いて本実施例に係るエンジン停止時吸気バルブタイミング制御について説明する。この制御ルーチンは、予めECU7のROMに記憶されているルーチンであり、一定時間の経過、あるいはクランクポジションセンサからのパルス信号の入力などをトリガとした割り込み処理としてECU7が実行するルーチンである。
先ず、S301において、IGスイッチがOFFにされたかどうかを判別する。そして、本ステップで肯定判定された場合には、S302へ進み、進角ロックが必要であるか否
かを判別する。その手法としては、外気温センサの検出温度が予め定められた基準温度より低いか否かを判別することにより判別することを例示することができる。あるいは、ナビゲーションシステムからの日付、地理などの情報から、次回始動時の外気温を推定し、推定温度が前記所定温度より低いか否かを判別することにより判別することを例示することができる。なお、前記基準温度は、1日の最低温度が前記所定温度以上であることを推定できる温度である30℃であることを例示することができる。そして、S302で肯定判定された場合には、S303へ進み、進角ロックさせる。
一方、S301あるいはS302で否定判定された場合には、S304へ進み、エンジン停止中の吸気バルブタイミングが最遅角位相となるようにする。そして、S305においては、進角ロック状態であるか否かを記憶する。これは、例えば、S303で進角ロック後に本ステップに進んだ場合には、進角ロックフラグをONにし、S304で吸気バルブタイミングが最遅角位相となるようにエンジンを停止させた後に本ステップに進んだ場合には、進角ロックフラグをOFFにするものであることを例示することができる。
また、以下に、具体的に、図10に示すフローチャートを用いて本実施例に係るIG−OFF後エンジン始動制御について説明する。この制御ルーチンは、予めECU7のROMに記憶されているルーチンであり、メインリレーがONにされた後、一定時間の経過をトリガとして、あるいはIGスイッチがONにされたことをトリガとした割り込み処理としてECU7が実行するルーチンである。そして本制御ルーチンは、図8に示すフローチャートに対してS201の処理とS203の処理の間にS205の処理が追加されているのみであり、その他の処理は図8と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
そして、S205においては、進角ロック状態であるか否かを判別する。これは、例えば、上述したように、進角ロック状態のときには進角ロックフラグがON、そうでないときには進角ロックフラグがOFFにされているような場合には、進角ロックフラグがONかOFFかを判別することにより、進角ロック状態であるか否かを判別することを例示することができる。
そして、本ステップで肯定判定された場合には、進角ロック状態であるので、ロックを解除すべくS203の処理を実行し、否定判定された場合には、進角ロック状態ではないので、S204へ進み、そのままクランキングを開始させる。
このようにすることで、冷間始動時の始動性を向上させることができるとともに、EOP駆動に伴う消費電力を最低限に抑制しつつ、温間始動時に低振動にて静粛に始動させることができる。
なお、上記のように、エンジン停止時吸気バルブタイミング制御を実行したとしても、IGスイッチがOFFにされた時であって、進角ロックが必要でない場合(S302で否定判定される場合)に、車両の振動などの外乱を受けることにより、吸気バルブタイミングが最遅角位相にさせることに失敗し、誤って進角ロックとなるおそれがある。そして、かかる場合には、上記の例では、S305で進角ロックフラグがOFFにされ、S205で否定判定されるので、冷却水温が前記所定温度以上である時(S201で否定判定された時)においても、進角ロック状態のままでクランキングされてしまい、振動および音が大きくなってしまう。
それゆえ、S304の処理中などに、MG1を用いて極低回転(例えば、100rpm)でクランクシャフト21を回転させ、その時のクランクポジションセンサおよびカムポジションセンサの検出値に基づいて誤って進角ロック状態になったかどうかを検出し、誤って進角ロック状態になった場合には、S305で進角ロック状態ではないと記憶する(
例えば、進角ロックフラグをOFFにする)ことが好ましい。
あるいは、上述したS205の処理の例示に代えて、MG1を用いて極低回転(例えば、100rpm)でクランクシャフト21を回転させ、その時のクランクポジションセンサおよびカムポジションセンサの検出値に基づいて進角ロック状態であるかどうかを判別するとともに、誤って進角ロック状態であった場合(そのS205で肯定判定された場合)には、その後のS203の処理中においても、MG1を用いて極低回転(例えば、100rpm)でクランクシャフト21を回転させ、その時のクランクポジションセンサおよびカムポジションセンサの検出値に基づいてロックが解除したことを確認した後に、S204に進み、クランキングを開始させるようにすることが好ましい。
このようにすることで、誤って進角ロック状態になった場合にも、確実にロックが解除された後にクランキングされるので、低振動にて静粛に始動させることができる。
また、IGスイッチがOFFにされた時であって、進角ロックが必要でない場合(S302で否定判定される場合)に、車両の振動などの外乱を受けることなどにより、吸気バルブタイミングを最遅角位相にさせることに失敗し、誤って進角ロックとなることを防止するために、エンジン停止直前に、遅角側通路43と供給通路44とが連通されるようにOCV60を駆動させるとともに、EOPを駆動させてオイルを遅角側油圧室41に供給し続けるようにすることが好ましい。このようにすることで、誤って進角ロック状態になり、温間始動時にそのままクランキングされることを確実に防止することができる。
なお、シフトポジションが「P」の状態でブレーキペダルを踏みながらパワースイッチが押された場合には、メインリレーがOFFになるまでバッテリ6からインバータ5への電力供給が行われる。ただし、車両によっては、シフトポジションが「N」の状態でブレーキペダルを踏みながらパワースイッチが押された場合(IGスイッチがOFFにされた場合)には、その時にバッテリ6からインバータ5への電力供給が中止され、MG1、MG2などの高電圧系はシャットダウンとなるものがある。なお、かかる車両においても、メインリレーがOFFになるまでは、後述するEOPなどの低電圧系への電力供給は行われる。
そして、IGスイッチがOFFにされた時に吸気バルブの作動タイミングを最進角位相に固定する手段として、エンジン停止後に、MG1によりクランクシャフト21を逆回転させることを例示したが、シフトポジションが「N」の状態でIGスイッチがOFFにされた場合に、インバータ5への電力供給が中止される車両においては、IGスイッチがOFFにされた後にMG1を駆動させることができずに、進角ロックすることができない。
そこで、このような車両においては、以下に説明するエンジン停止時進角ロック制御を実行し、確実に進角ロックさせるようにすることが好ましい。このエンジン停止時進角ロック制御の概略は、シフトポジションが「N」の状態でIGスイッチがOFFにされ、エンジンが停止した後であっても進角ロックが必要な場合には、メインリレーがOFFされるまでの間に、進角側通路42と供給通路44とが連通されるようにOCV60を駆動させるとともに、EOPを駆動させて、進角ロック状態となるまで進角側油圧室40にオイルを供給し続けるようにするものである。
以下、具体的に、図11に示すフローチャートを用いて本実施例に係るエンジン停止時進角ロック制御について説明する。この制御ルーチンは、予めECU7のROMに記憶されているルーチンであり、一定時間の経過などをトリガとした割り込み処理としてECU7が実行するルーチンである。
先ず、S401において、エンジン停止かつ進角ロック要求有りかどうかを判別する。この進角ロック要求有りとは、上述した図9のS302の処理において肯定判定される場合を例示することができる。
そして、S401で肯定判定された場合には、S402へ進み、進角側通路42と供給通路44とが連通されるようにOCV60を駆動させるとともに、EOPを駆動させる。その後、S403へ進み、進角ロック状態であるか否かを判別する。これは、クランクポジションセンサおよびカムポジションセンサの検出値に基づいて進角ロック状態になったかどうかを判別するものである。
そして、S403で肯定判定された場合には、S404へ進み、OCV60とEOPの駆動を停止させる。一方、否定判定された場合には、再度S402以降の処理を実行させる。これにより、確実に進角ロック状態となるまでOCV60とEOPの駆動が継続される。
また、S401で否定判定された場合には、進角ロックさせる必要がないので、S402およびS403の処理をスキップしてS404へ進み、OCV60とEOPが駆動しないようにする。
そして、このようなエンジン停止時進角ロック制御を実行することにより、IGスイッチがOFFにされた後MG1を駆動させて進角ロックさせることが困難な場合においても、エンジンが停止した後であっても進角ロックが必要な場合には、確実に進角ロックされるので、次回冷間始動時の始動性を向上させることができる。
なお、上記は、本発明を、ハイブリッド車両におけるエンジンに適用した実施例について述べたが、エコラン運転を行う車両に適用しても、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
実施例1に係るハイブリッド車両の概略構成を示す図である。 実施例1に係るハイブリッドシステムの動力および電力の伝達経路を示す概略図である。 実施例1に係る吸・排気バルブの作動タイミングを示す図である。 バルブタイミング制御装置の概略構成を示す図である。 吸気バルブの作動タイミングを進角側の位相に変更させる際のオイルの流れを示す図である。 吸気バルブの作動タイミングを遅角側の位相に変更させる際のオイルの流れを示す図である。 実施例1に係るエンジン停止時吸気バルブタイミング制御の制御ルーチンのフローチャートである。 実施例1に係るIG−OFF後エンジン始動制御の制御ルーチンのフローチャートである。 実施例2に係るエンジン停止時吸気バルブタイミング制御の制御ルーチンのフローチャートである。 実施例2に係るIG−OFF後エンジン始動制御の制御ルーチンのフローチャートである。 エンジン停止時進角ロック制御の制御ルーチンのフローチャートである。
符号の説明
1 ハイブリッドシステム
2 エンジン
3 動力分割機構
4 減速機
5 インバータ
6 バッテリ
7 ECU
8,9 駆動輪
10 オイルパン
11,12 チェック弁
21 クランクシャフト
22 バルブタイミング制御装置
30 可変バルブタイミング機構
60 OCV
70 ロック機構
100 ハイブリッド車両
MG1 第1の電動発電機
MG2 第2の電動発電機
MOP 機械式オイルポンプ
EOP 電動式オイルポンプ

Claims (4)

  1. カムシャフトをクランクシャフトに対して相対回転させることにより、吸気バルブの作動タイミングを、最進角位相から当該最進角位相より吸気圧縮比が低くなる最遅角位相まで変更可能な可変バルブタイミング機構と、
    吸気バルブの作動タイミングを前記最進角位相にロックするロック機構と、
    を備えるエンジンのバルブタイミング制御装置において、
    イグニッションスイッチがOFFの場合にはエンジン停止時の吸気バルブの作動タイミングを前記ロック機構にて前記最進角位相にロックさせ、イグニッションスイッチがONの状態でのエンジン停止時の吸気バルブの作動タイミングを前記最遅角位相にさせることを特徴とするエンジンのバルブタイミング制御装置。
  2. クランクシャフトの回転により駆動力を得て流体を供給する機械式ポンプと、バッテリ電力により駆動力を得て流体を供給する電動式ポンプとをさらに備え、
    前記可変バルブタイミング機構は、前記機械式ポンプにて供給された流体と前記電動式ポンプにて供給された流体の圧力によりカムシャフトをクランクシャフトに対して相対回転させるものであり、
    エンジン停止および始動時には、前記電動式ポンプを駆動することにより前記可変バルブタイミング機構に流体を供給することを特徴とする請求項1に記載のエンジンのバルブタイミング制御装置。
  3. バッテリ電力により駆動力を得て流体を供給する電動式ポンプをさらに備え、
    前記可変バルブタイミング機構は、当該電動式ポンプにて供給された流体の圧力によりカムシャフトをクランクシャフトに対して相対回転させるものであり、
    イグニッションスイッチがOFFからONになりエンジンが始動する際の冷却水の温度が所定温度以上の場合は、前記電動式ポンプを駆動することにより前記ロック機構によるロックを解除した後にクランキングを開始させることを特徴とする請求項1に記載のエンジンのバルブタイミング制御装置。
  4. バッテリ電力により駆動力を得て流体を供給する電動式ポンプと、
    当該電動式ポンプにて供給された流体の圧力によりカムシャフトをクランクシャフトに対して相対回転させることにより、吸気バルブの作動タイミングを、最進角位相から当該最進角位相より吸気圧縮比が低くなる最遅角位相まで変更可能な可変バルブタイミング機構と、
    吸気バルブの作動タイミングを前記最進角位相にロックするロック機構と、
    を備えるエンジンのバルブタイミング制御装置において、
    エンジン停止時の吸気バルブの作動タイミングを前記ロック機構にて前記最進角位相にロックさせ、再度エンジンが始動する際の冷却水の温度が所定温度以上の場合は、前記電動式ポンプを駆動することにより前記ロック機構によるロックを解除した後にクランキングを開始させることを特徴とするエンジンのバルブタイミング制御装置。
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