JP2006281925A - 車両統合制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、エンジントルクと変速段の応答性等に相違を考慮して、それぞれの最適なタイミングでの制御が可能な車両統合制御装置の提供を目的とする。
【解決手段】 駆動源とトランスミッションとの組み合わせからなるパワートレインを搭載した車両に適用される車両統合制御装置において、運転者又は自動運転装置の要求に基づいて制御目標値F1を一次的に生成し、該制御目標値F1に基づいて、該制御目標値F1と同一の物理量次元で且つ互いに値が異なる2つの制御目標値F1EGN、F1TMを中間的に生成し、該中間的に生成したそれぞれの制御目標値F1EGN、F1TMに基づいて、駆動源及びトランスミッションそれぞれの制御に見合った物理量次元又は形式の制御目標(目標エンジントルク、目標ギア段)を最終的に生成し、該最終的に生成したそれぞれの制御目標に向けて駆動源及びトランスミッションを制御する。
【選択図】 図2
【解決手段】 駆動源とトランスミッションとの組み合わせからなるパワートレインを搭載した車両に適用される車両統合制御装置において、運転者又は自動運転装置の要求に基づいて制御目標値F1を一次的に生成し、該制御目標値F1に基づいて、該制御目標値F1と同一の物理量次元で且つ互いに値が異なる2つの制御目標値F1EGN、F1TMを中間的に生成し、該中間的に生成したそれぞれの制御目標値F1EGN、F1TMに基づいて、駆動源及びトランスミッションそれぞれの制御に見合った物理量次元又は形式の制御目標(目標エンジントルク、目標ギア段)を最終的に生成し、該最終的に生成したそれぞれの制御目標に向けて駆動源及びトランスミッションを制御する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、駆動源とトランスミッションとの組み合わせからなるパワートレインを搭載した車両に搭載され、駆動源とトランスミッションとを統合的に制御する車両統合制御装置に関する。
従来から、アクセル開度や車速等に基づいて算出した目標車軸トルクから目標エンジントルクと目標変速段を算出する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−180860号公報
ところで、エンジンとトランスミッションとを互いに関連付けられた形態で統合的に制御するには、例えばアクセル操作量に基づいて決定される同一の目標値から、それぞれの最終的な制御目標値(例えば目標エンジントルクと目標変速段)を決定する必要がある。
しかしながら、エンジントルクと変速段の応答性等に相違があるため、上述の従来技術のように、それぞれ同一の目標車軸トルクから目標エンジントルクと目標変速段を算出する構成では、個別的な最適なタイミングでの制御が困難であり、例えば、駆動力の急変を防止するために制御目標値になましを入れると、変速遅れが起き易くなる等の問題が発生する。
そこで、本発明は、エンジントルクと変速段の応答性等に相違を考慮して、それぞれの最適なタイミングでの制御が可能な車両統合制御装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一局面によれば、駆動源とトランスミッションとの組み合わせからなるパワートレインを搭載した車両に適用され、駆動源とトランスミッションとを統合的に制御する車両統合制御装置において、
運転者又は自動運転装置の要求に基づいて制御目標値を一次的に生成し、該制御目標値に基づいて、該制御目標値と同一の物理量次元で且つ互いに値が異なる2つの制御目標値を中間的に生成し、該中間的に生成したそれぞれの制御目標値に基づいて、駆動源及びトランスミッションそれぞれの制御に見合った物理量次元又は形式の制御目標を最終的に生成し、該最終的に生成したそれぞれの制御目標に向けて駆動源及びトランスミッションを制御することを特徴とする車両統合制御装置が提供される。
運転者又は自動運転装置の要求に基づいて制御目標値を一次的に生成し、該制御目標値に基づいて、該制御目標値と同一の物理量次元で且つ互いに値が異なる2つの制御目標値を中間的に生成し、該中間的に生成したそれぞれの制御目標値に基づいて、駆動源及びトランスミッションそれぞれの制御に見合った物理量次元又は形式の制御目標を最終的に生成し、該最終的に生成したそれぞれの制御目標に向けて駆動源及びトランスミッションを制御することを特徴とする車両統合制御装置が提供される。
本局面において、車両統合制御装置は、運転者又は自動運転装置の要求に基づいて一次的に生成される制御目標を表す信号を、駆動源を制御する駆動源制御ユニットへと伝達する第1の信号伝達系と、同信号を、トランスミッションを制御するトランスミッション制御ユニットへと伝達する第2の信号伝達系とを備えてよい。また、車両統合制御装置は、第1の信号伝達系で伝達される前記信号を、第2の信号伝達系で伝達される同信号とは異なる波形へと補正することで、前記中間的な制御目標値を生成するものであってよい。
本発明によれば、エンジントルクと変速段の応答性等に相違を考慮して、それぞれの最適なタイミングでの制御が可能な車両統合制御装置を得ることができる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
先ず、図1を参照して、本発明の車両統合制御装置が搭載されてよい車両の概要を説明する。
この車両は、前後左右にそれぞれ車輪100を備える。図1において「FL」は左前輪、「FR」は右前輪、「RL」は左後輪、「RR」は左後輪をそれぞれ示す。
この車両は、動力源としてエンジン140を備える。尚、駆動源は、エンジンに限定されず、電気モータのみやエンジンと電気モータとの組み合わせであってもよく、電気モータの動力源は、2次電池や燃料電池であってよい。
エンジン140の運転状態は、運転者によるアクセルペダル200(車両の前後運動を制御するために運転者が操作する操作部材の一例である。)の操作量に応じて電気的に制御される。エンジン140の運転状態は、また、必要に応じて、運転者によるアクセルペダル200の操作とは無関係に自動的に制御される。
このようなエンジン140の電気的な制御は、例えば、図示しないが、エンジン140の吸気マニホールド内に配置されるスロットルバルブの開度(即ち、スロットル開度)を電気的に制御することや、エンジン140の燃焼室に噴射される燃料の量を電気的に制御することや、バルブ開閉タイミングを調整するインテークカムシャフトの位相を電気的に制御することで実現することが可能である。
この車両は、左右前輪が転動輪、左右後輪が駆動輪である後輪駆動式である。そのため、エンジン140の出力軸は、トルクコンバータ220、トランスミッション240、プロペラシャフト260及びデファレンシャル280と、各後輪と共に回転するドライブシャフト300とをそれらの順に介して各後輪に連結されている。尚、トルクコンバータ220、トランスミッション240、プロペラシャフト260及びデファレンシャル280は、左右後輪に共通な動力伝達要素である。尚、車両は、後輪駆動式である必要はなく、例えば、左右前輪が駆動輪、左右後輪が転動輪である前輪駆動式であっても、全部の車輪が駆動輪となる4WD式であってもよい。
トランスミッション240は、図示しない自動変速機を備えている。この自動変速機は、エンジン140の回転速度をトランスミッション240のアウトプットシャフトの回転速度に変速する際の変速比を電気的に制御する。尚、自動変速機は、有段変速機であっても、無段階変速機(CVT)であってもよい。
車両は、運転者により回転操作されるステアリングホイール440を備えている。このステアリングホイール440には、操舵反力付与装置480により、運転者による回転操作(以下、「操舵」ともいう。)に応じた反力が操舵反力として電気的に付与される。その操舵反力は、電気的に制御可能とされている。
左右前輪の向き、即ち前輪舵角は、フロントステアリング装置500によって電気的に変化させられる。フロントステアリング装置500は、運転者によりステアリングホイール440が回転操作された角度、即ち操舵角に基づいて前輪操舵角を制御し、また、必要に応じて、その回転操作とは無関係に前輪操舵角を自動的に制御する。即ち、ステアリングホイール440と左右前輪とは機械的に絶縁されていてもよい。
左右後輪の向き、即ち後輪舵角も、前輪舵角と同様に、リアステアリング装置520によって電気的に変化させられる。
各車輪100には、その回転を抑制するために作動させられるブレーキ560が設けられている。各ブレーキ560は、運転者によるブレーキペダル580(車両の前後運動を制御するために運転者が操作する操作部材の一例である。)の操作量に応じて電気的に制御され、また、必要に応じて、自動的に各車輪100が個別に制御される。
この車両においては、各車輪100は、各サスペンション620を介して車体(図示せず)に懸架されている。各サスペンション620の懸架特性は、個別に電気的に制御可能とされている。
以上のように説明した各構成要素は、それを電気的に作動させるために作動させられる以下のアクチュエータを備えている。
(1)エンジン140を電気的に制御するためのアクチュエータ
(2)トランスミッション240を電気的に制御するためのアクチュエータ
(3)操舵反力付与装置480を電気的に制御するためのアクチュエータ
(4)フロントステアリング装置500を電気的に制御するためのアクチュエータ
(5)リアステアリング装置520を電気的に制御するためのアクチュエータ
(6)ブレーキ560を電気的に制御するためのアクチュエータ
(7)サスペンション620を電気的に制御するためのアクチュエータ。
(1)エンジン140を電気的に制御するためのアクチュエータ
(2)トランスミッション240を電気的に制御するためのアクチュエータ
(3)操舵反力付与装置480を電気的に制御するためのアクチュエータ
(4)フロントステアリング装置500を電気的に制御するためのアクチュエータ
(5)リアステアリング装置520を電気的に制御するためのアクチュエータ
(6)ブレーキ560を電気的に制御するためのアクチュエータ
(7)サスペンション620を電気的に制御するためのアクチュエータ。
尚、これらアクチュエータは、代表的なものだけを列挙したものであり、車両の仕様によっては、これらのアクチュエータの何れかが欠けることもあり、或いは、その他のアクチュエータ(例えば、ステアリングホイール440の操舵量と転舵輪の転舵量との比(ステアリングレシオ)を電気的に制御するためのアクチュエータ、アクセルペダル200の反力を電気的に制御するためのアクチュエータ等)が付加されることもあり、従って、本発明は、特にアクチュエータの構成によって限定されることはない。
図1に示すように、車両統合制御装置は、以上のように説明した各種アクチュエータに電気的に接続された状態で車両に搭載されている。車両統合制御装置は、図示しないバッテリを電力源として動作する。
図2は、本実施例の車両統合制御装置の一実施例を示すシステム構成図である。
尚、以下で登場する各マネージャ(及びモデル)は、通常的なECU(電子制御ユニット)と同様、マイクロコンピュータによって構成されており、例えば、制御プログラムを格納するROM、演算結果等を格納する読書き可能なRAM、タイマ、カウンタ、入力インターフェイス、及び出力インターフェイス等を有する装置を意味する。また、以下では、機能的に分けて各制御ユニットを例えばP-DRMやVDMなどと命名しているが、これらは必ずしも物理的に独立した構成である必要はなく、適切なソフトウェア構成により一体的に具現化されてよい。
図2に示すように、駆動系システムの初段には、駆動系のドライバ意思抽出部として機能するマネージャ(以下、Power-Train Driver Model:P-DRMという。)が配置される。駆動系システムの初段には、P-DRMと並列的に、ドライバ運転補佐・代行システム(以下、Driver Support System:DSSという。)が配置される。
P-DRMの前段には、アクセルセンサが設定される。アクセルセンサは、ドライバの意思が直接的に入力されるアクセルペダル200の操作量に応じた電気的信号を発生する。
DSSの前段には、車輪速センサが設定される。車輪速センサは、車両の各車輪100に設定され、車輪100の所定回転角毎にパルス信号を出力する。
P-DRMには、アクセルセンサからの信号と共に、車輪速センサからの信号が入力される。P-DRM内部の初段では、先ず、目標駆動力算出部にて、アクセルセンサ及び車輪速センサからそれぞれ入力される電気信号に基づくアクセル開度[%]及び車速No[prm]に応じた目標駆動力F1が算出される。目標駆動力F1は、先ず、例えば図3に示すような3次元マップを用いて、アクセル開度[%]と車速[prm]とをパラメータとして、目標加速度G[m/s2]を算出し、次いで、目標加速度G[m/s2]を力の物理量次元[N]に変換して目標駆動力を導出し、最後に、当該目標駆動力を、走行抵抗[N]や道路勾配に基づく登坂勾配補償量[N] により補正することで導出されてよい。
本実施例の目標駆動力算出部は、このようにして導出した目標駆動力F1[N]に基づいて、2つの目標駆動力F1EGN、F1TM[N]を生成する。2つの目標駆動力F1EGN、F1TMは、図2に示すように、それぞれ、目標駆動力算出部から2つに分流した信号線により、エンジン制御ユニット及びT/M制御ユニットへと伝達される。以下、目標駆動力F1EGN、F1TMが伝達されるルートを、それぞれ「エンジン制御系伝達ルート」と「T/M制御系伝達ルート」という。
本実施例では、このように同一の目標駆動力F1から生成される2つの目標駆動力F1EGN、F1TMが、それぞれのルートを介して、互いに同期が取れた状態で、後述するように、エンジン制御ユニット及びT/M制御ユニットへと出力され、エンジン制御及び変速制御の利用に供されることになる。これにより、互いに適切に関連付けられた状態でエンジン制御及び変速制御の2つの制御を統合的に実現することが可能となる。
また、本実施例では、同一の目標駆動力F1から、エンジン制御及び変速制御に供される2つの目標駆動力F1EGN、F1TMを生成するので、エンジン制御及び変速制御の2つの制御の関連性を維持しつつ、それぞれの制御の固有の特性に合った個別的な目標駆動力補正を行うことが可能となる。
図4は、かかる目標駆動力の補正態様の説明図である。図4(A)は、目標駆動力F1の変化態様の一例を示す。図4(B)は、目標駆動力F1(破線)をエンジン制御用に補正して得られる目標駆動力F1EGN(実線)の一例を示す。
エンジン制御では、図4(B)に示すように、駆動力伝達系の効率分(損失分)の駆動力を補償する処理、駆動力が急変してドライバビリティ(運転・操縦性)に影響を及ぼさないようになます処理、駆動力の応答遅れ分を補償する処理、駆動力伝達系の制振制御(ジャーク、ピッチやチップイン低減のための制振制御)等のための処理、等々、目標駆動力に対してエンジン制御固有の補正処理を行う必要がある。
かかる補正処理を変速制御に反映させると、エンジントルクと変速段の応答性等に相違があるため、変速制御に悪影響を及ぼしうる。例えば図4(B)に示すように目標駆動力を過渡的になましたり揺らしたりする補正を変速制御に反映させると、変速遅れや変速ハンチング(変速比の周期的な変動・乱調状態)などの問題が起きる。
これに対して、本実施例では、上述の如く、同一の目標駆動力F1から、エンジン制御用の目標駆動力F1EGNと変速制御用の目標駆動力F1TMと別々に生成するので、エンジン制御用の目標駆動力F1EGNのみに上述のような各種補正を行うことで、かかる補正を変速制御用の目標駆動力F1TMに反映させないことができる。
このようにして導出される2つの目標駆動力F1EGN、F1TMは、それぞれのルートにおいて、図2に示すように、DSSからの要求がある場合は、DSSからの要求駆動力との調停処理を受ける。
DSSは、カメラやレーダー等の周囲障害物情報、ナビゲーションシステムから得られる道路情報や周囲環境情報、ナビゲーションシステムのGPS測位装置から得られる自車位置情報、或いは、外部センタ施設との通信、車車間通信や路車間通信を介して得られる各種外部情報に基づいて、ドライバ意思に代わる適切な要求又はドライバ意思結果に対する適切な補正要求を行う。これら要求として典型的な例は、オートクルーズ制御やその類の自動又は半自動走行制御実施時にDSSから出される要求や、障害物回避等のための介入減速制御や操舵補助制御実施時にDSSから出される要求である。
このようにして必要に応じて調停を経た目標駆動力F1EGN、F1TM[N]は、パワートレーンマネージャ(以下、Power-Train
Manager:PTMという。)へと出力される。PTMは、駆動系の要求調和部として機能するマネージャである。
Manager:PTMという。)へと出力される。PTMは、駆動系の要求調和部として機能するマネージャである。
PTMの初段では、P-DRMから上述の如く入力される目標駆動力F1EGN、F1TM[N]が、動的安定化システム系のマネージャ(以下、Vehicle
Dynamics Manager:VDMという。)に送信(公開)される。VDMは、制動系のドライバ意思抽出部として機能するマネージャ(以下、Brake Driver Model:B-DRMという。)の後段に配置される
VDMは、車両運動調和部として機能するマネージャである。尚、車両の動的挙動を安定化させるシステムとしては、トラクションコントロールシステム(滑りやすい路面での発進や加速時に生じやすい駆動輪のムダな空転を抑制するシステム。)、滑りやすい路面に進入した時などの車両の横滑りを抑制するシステム、コーナリング時に安定限界に達した場合にスピンやコースアウトを防止すべく車体姿勢を安定させるシステム、4WDの左右後輪の駆動力差をアクティブに生成してヨーモーメントを発生させるシステムが代表例として挙げられる。
Dynamics Manager:VDMという。)に送信(公開)される。VDMは、制動系のドライバ意思抽出部として機能するマネージャ(以下、Brake Driver Model:B-DRMという。)の後段に配置される
VDMは、車両運動調和部として機能するマネージャである。尚、車両の動的挙動を安定化させるシステムとしては、トラクションコントロールシステム(滑りやすい路面での発進や加速時に生じやすい駆動輪のムダな空転を抑制するシステム。)、滑りやすい路面に進入した時などの車両の横滑りを抑制するシステム、コーナリング時に安定限界に達した場合にスピンやコースアウトを防止すべく車体姿勢を安定させるシステム、4WDの左右後輪の駆動力差をアクティブに生成してヨーモーメントを発生させるシステムが代表例として挙げられる。
尚、VDMの後段には、ブレーキ560のアクチュエータを駆動制御するブレーキ制御ユニットと並列的に、フロントステアリング装置500及びリアステアリング装置520のアクチュエータを駆動制御するステア制御ユニットや、サスペンション620のアクチュエータを駆動制御するサス制御ユニットが設定される。尚、B-DRM内部では、ブレーキセンサから入力される電気信号は、目標制動力算出部にて目標制動力に変換され、VDMを介して、ブレーキ制御ユニットへと出力される。尚、本明細書では、詳説しないが、目標制動力算出部にて算出された目標制動力は、以下で詳説する目標駆動力F1EGN、F1TMと同様又は類似する態様で、各種補正(調停)を受けながらブレーキ制御ユニットへと出力されることになる。
VDMの駆動力補正部は、上述の如く主にドライバ意思に応じて一次的に決定された目標制動力F1に対して、車両の動的挙動を安定化させる観点から2次的な補正要求を行う。即ち、VDMの駆動力補正部は、公開される目標駆動力F1EGN、F1TMに対して、必要に応じて、補正要求を行う。この際、VDMの駆動力補正部は、好ましくは、目標駆動力F1EGN、F1TMに対して増減する補正量ΔFを要求するのではなく、目標駆動力F1EGN、F1TMに代わるべき目標駆動力F1EGN、F1TMの絶対量を要求する。以下、このようにして、目標駆動力F1EGN、F1TMに基づいて生成されるVDMからの絶対量による目標駆動力を、「目標駆動力F2EGN、F2TM」とする。
目標駆動力F2EGN、F2TMは、図2に示すように、PTMに入力される。この際、目標駆動力F2EGN、F2TMは、図2に示すように、エンジン制御系伝達ルートとT/M制御系伝達ルートのそれぞれに入力され、当該入力部において、それぞれ、目標駆動力F1EGN、F1TMとの調停を受ける。この調停では、好ましくは、車両の動的挙動を安定化させることを優先させる観点から、目標駆動力F2EGN、F2TMが目標駆動力F1EGN、F1TMに対して優先して選択される。このような調停を経て導出される目標駆動力を、「目標駆動力F3EGN、F3TM」とする。
T/M制御系伝達ルートでは、調停を経た目標駆動力F3TMは、図2に示すように、スロットル開度Pa[%]に変換された後、目標ギア段設定部に入力される。目標ギア段設定部では、所与の変速線図(スロットル開度×車速Noの変速線図)に基づいて、最終的な目標ギア段が決定される。尚、目標駆動力F3TMから、スロットル開度Pa[%]に変換するのではなく、所与の変速線図(駆動力×車速Noの変速線図)に基づいて、最終的な目標ギア段が直接的に決定されてもよい。
このようにしてPTM内部で決定された目標ギア段は、PTMの後段(下位側)に配置されたT/M制御ユニットへと出力される。T/M制御ユニットは、入力された目標ギア段を実現するようにトランスミッション240のアクチュエータを駆動制御する。
エンジン制御系伝達ルートでは、調停を経た目標駆動力F3EGNは、図2に示すように、F→Te変換部にて駆動力表現[N]からエンジントルク表現[N・m]に変換される。このようにして導出された目標エンジントルク[N・m]は、エンジントルク調停部にて、T/M制御ユニットからPTMに入力される要求エンジントルク[N・m]との調停を受ける。尚、エンジントルク調停部での調停方法は、如何なる態様であってもよく、例えばT/M制御ユニット側からの要求エンジントルク[N・m]を優先させるものであってよい。
エンジントルク調停部にて調停された目標エンジントルクは、PTMの後段に配置されたエンジン制御ユニットへと出力される。エンジン制御ユニット及びT/M制御ユニットは、PTMから入力される目標エンジントルクを実現するようにエンジン140のアクチュエータを駆動制御する。
以上の通り本実施例では、P-DRMの目標駆動力算出部にて算出された目標駆動力F1EGN、F1TMは、各種補正(調停)を受けながらエンジン制御ユニット及びT/M制御ユニットへと出力され、これら制御ユニットによるエンジン140及びトランスミッション240のアクチュエータの駆動制御により、当該目標駆動力F1EGN、F1TM(調停等を受けた場合は目標駆動力F2, F3。)が実現されることになる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上述の実施例では、図4において目標駆動力F1から目標駆動力F1EGNを生成するためのエンジン制御特有の補正処理を示しているが、目標駆動力F1TMは、目標駆動力F1に対してなんら補正を受けずにT/M制御系伝達ルートに出力されてよく(即ち目標駆動力F1TM=目標駆動力F1)、或いは、変速制御特有の補正処理を受けてから出力されてもよい。
また、上述の実施例では、電子スロットルを有するエンジン140を例示しているが、本発明は、電子スロットルを有さない原動機を動力源として用いる構成に対しても適用可能である。
140 エンジン
200 アクセルペダル
240 トランスミッション
580 ブレーキペダル
200 アクセルペダル
240 トランスミッション
580 ブレーキペダル
Claims (3)
- 駆動源とトランスミッションとの組み合わせからなるパワートレインを搭載した車両に適用され、駆動源とトランスミッションとを統合的に制御する車両統合制御装置において、
運転者又は自動運転装置の要求に基づいて制御目標値を一次的に生成し、該制御目標値に基づいて、該制御目標値と同一の物理量次元で且つ互いに値が異なる2つの制御目標値を中間的に生成し、該中間的に生成したそれぞれの制御目標値に基づいて、駆動源及びトランスミッションそれぞれの制御に見合った物理量次元又は形式の制御目標を最終的に生成し、該最終的に生成したそれぞれの制御目標に向けて駆動源及びトランスミッションを制御することを特徴とする車両統合制御装置。 - 運転者又は自動運転装置の要求に基づいて一次的に生成される制御目標を表す信号を、駆動源を制御する駆動源制御ユニットへと伝達する第1の信号伝達系と、
同信号を、トランスミッションを制御するトランスミッション制御ユニットへと伝達する第2の信号伝達系とを備える、請求項1に記載の車両統合制御装置。 - 第1の信号伝達系で伝達される前記信号を、第2の信号伝達系で伝達される同信号とは異なる波形へと補正することで、前記中間的な制御目標値を生成する、請求項2に記載の車両統合制御装置。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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