JP2006281692A - 積層金型 - Google Patents

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Abstract

【課題】短期間で安価に作製することが可能な積層金型において、成形を行う際に水等の流体を流しても積層された薄板間への流体の侵入を防止し、空洞部内への水漏れを生じさせることなく、金型温度を調節して安定して成形を行うことができる積層金型を提供する。
【解決手段】本発明により、複数の薄板を積層して形成した上型及び下型を有し、同上型及び下型を型締めしたときに上型と下型との間に所望形状の空洞部が形成される積層金型であって、前記上型及び下型の空洞部面とは反対の少なくとも背面の全面に渡って、温調媒体を流通させる配管が所定の屈曲形状をもって固設されてなり、前記配管は可撓性連続配管から構成されてなる、ことを特徴とする積層金型が提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂などの材料を成形する際に使用する金型に関するものであり、特に、複数の薄板を積層して形成した積層金型に関するものである。
従来、樹脂などの材料を成形するために、アルミニウムなどの金属からなる成形用金型や、エポキシ樹脂などの樹脂からなる樹脂製成形型が使用されている。このような金型や樹脂製成形型は、一般的に上型と下型とを有し、これら上型と下型との間に形成される空洞部の形状が高精度に設計されている。従って、これらの金型や樹脂製成形型を用いて成形を行うときには、所定の形状を有する空洞部内に樹脂材料を充填して硬化させることにより、所定の形状を有する成形品を安定して得ることができる。このような金型及び樹脂製成形型は、一般的に以下のようにして作製されている。
例えば、アルミニウム製の金型を作製する場合は、一旦アルミニウムを鋳造し、得られた鋳造物をCAD等で設計された三次元データに基づいて数値制御による機械加工(NC加工)を行うことにより、所定形状の空洞部を有する金型を得ることができる。
また、金型を用いて成形を行う際には、金型の温度が成形品の品質及び成形能率に影響を及ぼすことから、金型の温度を所定の温度に調節しておくことが極めて重要である。そのため、金型には、金型温度が調節できるように、適当な温度に温調した液体を流通させる冷却孔又は温調配管が設けられている。
例えば、液体を流通させる冷却孔を金型に形成する場合には、金型の製造時にドリル等を用いて金型に冷却孔の穿孔を行うことにより形成することができる。また、金型に温調配管を形成する場合は、アルミニウムの鋳造金型を鋳造する際に鋳包み法を用いて、金型内の所定の位置に温調配管を配設しておくことにより、鋳造金型とともに温調配管を一体的に形成することができる。
さらに、金型の温度調節を行うために、例えば特開平6−8251号公報(特許文献1)には金型温調管ユニットが開示されている。この特許文献1に記載されている金型温調管ユニットは、金属製であり、温度調節用の流体を流通させる温調通腔部と、金型に面接触して取付けられる接触部とが一体に形成されている。このような温調管ユニットは、ボルトや接着剤による固着又は溶接等により温調管ユニットの接触部で金型に取付けることができる。また、金型に取り付けた温調管ユニットの温調通腔部に冷却水、温水、油等の所定温度の流体を流すことにより、金型の温度を調節することができる。
しかしながら、この特許文献1に記載されている温度調節管ユニットは金属製の長尺ユニットであるため、金型におけるユニット装着箇所が略平面状でなければ温調管ユニットの取付けを適切に行うことができないという問題があった。また、特許文献1の温調管ユニットを大型の金型に用いる場合等には、複数の温度調節管ユニットがホース等を介して連結されて金型に取り付けられる。しかしこの場合、例えば金型の使用頻度が高くなると、金型に取り付けた温度調節管ユニットとホースとの連結部から流体が漏れ易いといった不具合が生じていた。
一方、樹脂製成形型を作製する場合は、樹脂製成形型として所定形状の空洞部を形成しなければならず、成形品の形状を反映した形状を有する母型(マスターモデル)が必要となる。例えば、所定の形状を有する母型を型枠内にセットしておき、樹脂製成形型を構成する樹脂材料を、母型をセットした型枠内に流し込んで硬化させる。このようにして樹脂製成形型の上型及び下型をそれぞれ作製することにより、所定形状の空洞部を有する樹脂製成形型を得ることができる。一般的に、上記樹脂製成形型の作製に用いられる母型は、木材又は加工性の容易な樹脂材を用いてNC加工により作製することができる。
また、樹脂製成形型は、成形時に樹脂製成形型の温度が調節できるように、温調された流体を流通させるための温調配管が樹脂製成形型内に設けられている。例えば、特開平7−266340号公報(特許文献2)には、ジグザグ状の冷却パイプと、その冷却パイプの隣接した部位を連結する連結板とが埋設された樹脂製成形用型が開示されている。この特許文献2に記載されている樹脂製成形型は、上記連結板がアルミニウムや銅などの熱伝導性の良い材料で作製されているので、冷却パイプのみを埋設した場合に比べて、樹脂製成形型の冷却性能を大きく向上させることができる。
しかしながら、上記のような従来から用いられている金型及び樹脂製成形型には、以下のような問題があった。例えば金型の場合、前記のようにして作製した金型は強度や耐久性に優れているため、成形品を大量生産する場合に多く用いられている。しかし、金型は、金型自体の作製コストが高く、また金型作製に長時間を要するため、成形品の少量生産や中量生産には適していないという問題があった。
一方、樹脂製成形型は、金型に比べて安価に作製できることから、成形品の少量生産や中量生産に比較的適している。しかしながら、樹脂製成形型の場合は、母型の作製にコストがかかるために更なるコストダウンを図ることが難しい。また、樹脂製成形型を用いて成形を行う場合、樹脂製成形型は金型に比べて熱伝導率が低く、樹脂製成形型を冷却する際に時間がかかるため、成形品の生産性に劣るという欠点もあった。
そこで、上記のような金型及び樹脂製成形型における問題、特にコスト上の問題を解消するために、成形用型として積層金型を用いることが提案されている。この積層金型は、複数の金属製の薄板を積層して形成されるものであり、例えば以下のようにして作製することができる。先ず、積層金型を構成する複数の金属板を、予めCAD等で設計された三次元データに基づいてレーザなどで各金属板毎に所定の形状に機械加工する。次に、その機械加工が施された複数の金属板を接着剤やロウ付け等により層状に接合して、上型及び下型となる接合体を作製することができる。その後、得られた接合体に空洞部を形成する面を整える仕上げ加工を行うことによって、所定形状の空洞部を有する積層金型を短期間で安価に作製することができる。
また、例えば特開2002−1457号公報(特許文献3)には、積層金型を用いて成形を行う際に金型の温度が調節できるように、型内に冷却水を流通させる冷却孔を形成した積層金型の構造が示されている(特許文献3の図4等を参照)。
上記のような冷却水を流通させる冷却孔を積層金型内に形成するためには、例えば以下のような方法を用いることができる。すなわち、先ず積層金型の設計段階で冷却孔を設ける位置を予め設定しておき、各金属板を機械加工する際に、設計した三次元データに基づいて冷却孔が設けられる各金属板の所定箇所をレーザ加工により切除する。その後、得られた各金属板を積層して積層金型を作製することにより、積層金型内に所定の形状で空間が形成される。これによって、形成された空間を冷却水を流通させる冷却孔として利用することができる。
ここで、上記のような積層金型の一例として、冷却孔を有する積層金型の上型の構成を図4に示す。この図4に示した積層金型の上型21は、所定形状に機械加工された複数の金属板を積層して作製されたものであり、不図示の下型と型締めされることにより、上型と下型との間に空洞部が形成される。この上型21では、成形時に空洞部面における温度分布を均一に温度調節できるように、冷却孔22が空洞部面となる部位の形状に概ね沿うように上型21の内部に形成されている。
特開平6−8251号公報 特開平7−266340号公報 特開2002−1457号公報
しかしながら、上記のような積層金型については、以下のような問題が指摘されている。すなわち、複数の金属板を積層した積層金型は、金属板同士を接合している接着剤(又はロウ材)に隙間や気孔が多く存在している。そのため、例えば図4に示したような冷却孔22が設けられた積層金型において、冷却孔22に冷却水等の流体を流したときに、金属板間の接着剤(又はロウ材)に存在する隙間や気孔に冷却水が侵入してしまい、さらに空洞部内への水漏れを生じさせる等の問題があった。
積層金型に上記のような冷却水の侵入が生じると、金属板間に侵入した冷却水が偏在するため、金型の空洞部面における温度分布が不均一になるなどの弊害が引き起こされる。さらに、空洞部内への水漏れが生じると、空洞部内に導入した成形材料の組成が変化してしまい、所望の品質を有する成形品が安定して得られないという問題があった。
さらに、従来の積層金型では、金型の内部に形成する冷却孔を複雑な形状で形成することが難しい。そのため、上型と下型の間に形成される空洞部の形状によっては、成形を行う際に空洞部面における温度分布を均一にすることができず、成形品の品質に偏りが生じたり、また、成形能率が安定しないといった問題が生じていた。
さらにその他に、従来の積層金型は金属板を積層して構成されているため、空洞部面、特に空洞部面の曲面部において、金属板の板厚に応じた小さな段差が形成されてしまう。そのため、積層金型を用いて成形を行った際には、得られた成形品の表面に空洞部面の面形状が転写されて段差が形成されてしまい、成形品表面の平滑性が損なわれるという不具合もあった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、短期間で安価に作製することが可能な積層金型において、成形を行う際に水等の流体を流しても積層された薄板間への流体の侵入を防止し、空洞部内への水漏れを生じさせることなく、金型温度を調節して安定して成形を行うことができる積層金型を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の積層金型は、複数の薄板を積層して形成した上型及び/又は下型を有し、上型と下型とを型締めしたときに同上型と下型の間に所望形状の空洞部が形成される積層金型であって、前記積層金型の上型及び/又は下型における空洞部面とは反対側の少なくとも空洞部面に対応する背面の全面に渡って、温調媒体を流通させる配管が所定の屈曲形状をもって固設されてなり、前記配管は可撓性連続配管から構成されてなることを最も主要な特徴とするものである。
本発明の積層金型において、前記配管は、前記積層金型の上型及び/又は下型における前記背面の一部又は全面に配管を密接させた状態で、樹脂接着剤を塗布又は含浸したガラスクロス又はガラス繊維が、同配管に沿って連続して同配管の周面を被覆するとともに前記上型及び下型の背面に接着固定されていることにより、固設されてなることが好ましい。
また、本発明の積層金型では、成形を行う際に空洞部面における温度分布を均一にするために、前記空洞部面における前記積層金型の上型及び/又は下型の肉厚が、同空洞部面の全面にわたって略等しい肉厚に設定されてなることが好ましい。さらに、前記積層金型の上型及び/又は下型の前記背面に配管の配設溝を形成し、前記配管と前記空洞部面との距離が略一定の距離となるように配管されてなることが好ましい。
さらに、本発明の積層金型は、前記空洞部面上に樹脂膜が形成されてなることが好ましい。
本発明に係る積層金型は、複数の薄板を積層して形成した上型及び/又は下型を有し、この積層金型の上型及び/又は下型における空洞部面とは反対側の少なくとも空洞部面に対応する背面の全面に渡って、温調媒体を流通させる配管(温調配管)が屈曲形状をもって固設されている。これにより、例えば成形を行う時に上記温調配管に冷却水などの温調媒体を流通させて金型温度を調節することができる。しかも、温調媒体は配管内を連続的に流れるため、従来の積層金型のように薄板間に存在する隙間や気孔に温調媒体が侵入することはなく、また空洞部内に水漏れが生じることもなくなる。このため、金型温度を適切に調節して安定して成形を行うことができる。
特に、本発明は、空洞部面の背面に固設されている配管が可撓性連続配管から構成されている。これにより、本発明では積層金型の上型及び下型の背面がどのような面形状を有していても、その面形状に沿って配管を連続的に配設することができる。また、上記温調配管が連結部のない一連の連続配管であるため、上型及び下型に固設した配管からの水漏れを生じ難くすることができる。
また本発明の積層金型は、上記温調配管が、上型及び/又は下型の背面に樹脂接着剤を塗布又は含浸したガラスクロス又はガラス繊維を用いて固設されている。これにより、積層金型の空洞部面の背面が複雑な面形状を有している場合でも、温調配管を容易にまた非常に安定した状態にて固定することができる。
さらに、本発明では、空洞部面における上型及び/又は下型の肉厚が、空洞部面全面に渡って略等しい肉厚に設定されていることにより、上型及び下型の背面に固設されている連続配管と空洞部面との間の距離を、空洞部面における配管の全長に渡って略一定とすることができる。これにより、本発明の積層金型を用いて成形を行う際に、配管に温調媒体を流通させることによって、空洞部面の全面における温度分布をほぼ均一にすることができる。
さらにまた、本発明では、上型及び下型の空洞部面における肉厚に関わらず、上型及び/又は下型の背面に配設溝を形成して、配管と空洞部面との距離が略一定となるように配管を配設することができる。これにより、成形を行う際に配管に温調媒体を流通させることによって、空洞部面の全面における温度分布をほぼ均一にすることができる。さらに、このような配設溝を設けることにより、配管を配設溝に沿って配設できるので、配管を所定位置に確実に且つ安定して設置することができる。しかも、配設溝に配管が固設されていれば、配管の位置がずれるのを防ぐことができる。
その上、本発明の積層金型においては、空洞部面上に樹脂膜が形成されている。これにより、空洞部面上に形成した樹脂膜の表面は段差のない滑らかな面となるため、同積層金型を用いて成形を行ったときに、成形品の表面に積層金型の薄板の板厚に起因する段差が転写されず、滑らかな表面を有する成形品を得ることができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
先ず、本発明の実施例1に係る積層金型について、図面を参照しながら説明する。図1は、実施例1の積層金型の構成を模式的に表す斜視図である。また図2は、同積層金型の断面を模式的に表す断面図である。
図1及び図2に示した積層金型1は、上型2及び下型3がアルミニウムからなる複数の金属薄板5を積層して形成されたものであり、この上型2と下型3とを型締めしたときに上型2と下型3との間に所望形状の空洞部4が形成されるように構成されている。この空洞部4の形状は、積層金型の設計段階で所望の形状となるように任意に設定することができる。
上記積層金型1において、上型2及び下型3を形成する複数の金属薄板5は、樹脂接着剤を用いて層状に接合されている。本発明では、各金属薄板を接合する手段は特に限定されず、例えばロウ付けや拡散接合などを利用して金属薄板の接合を行うことができるが、上記のような樹脂接着剤を用いて各金属薄板5を接着することによって、積層金型1を比較的安価に作製することができる。
この場合、樹脂接着剤として、例えば接着性や耐熱性に優れているエポキシ樹脂系接着剤を好適に用いることができる。またその他にも、この積層金型を用いて成形する成形材料の種類や成形方法等に応じて、例えばユリア樹脂系、アクリル樹脂系、及びポリイミド系等の熱硬化性樹脂接着剤や、2種以上の樹脂を混合した複合型接着剤(例えば、フェノール樹脂−エポキシ樹脂系接着剤)などのような金属間の接着性に優れている樹脂接着剤を使用することもできる。さらに本発明では、金属薄板間の接着性を高めるために、金属薄板を接合する前に、例えば金属薄板の接合面にサンドブラストを施しておくことができる。
図1及び図2に示した積層金型1において、上型2及び下型3を構成する金属薄板5は、金属薄板5同士の接合面が上型2と下型3の型締め方向Aに対して平行な方向となるように積層されている。このように金属薄板5の接合面が型締め方向Aに対して平行となるように金属薄板が積層されていることにより、例えばこの積層金型1を用いて成形を行う際に空洞部4内に高い圧力が加わる場合でも、その圧力によって上型2及び下型3に撓みが生じるのを抑制し、所定の形状を有する成形品を安定して得ることができる。
なお、本発明において、金属薄板を積層する方向は特に限定されるものではなく、例えば金属薄板の接合面が型締め方向に対して垂直となるように金属薄板を積層したり、また金属薄板の接合面が型締め方向に対して所定の角度で傾くように積層することもできる。
さらに、上記積層金型1は、上型2及び下型3の空洞部面とは反対側の背面に、温調媒体を流通させる配管(温調配管)6が所定の屈曲形状をもって固設されている。この温調配管6は、少なくとも空洞部面に対応する背面の全面に渡って固設されていれば良く、図1及び2に示したように、空洞部4が形成されていない領域の上型及び下型の背面上にも温調配管6を配設しておくこともできる。この温調配管6に流通させる温調媒体は、成形方法や成形材料の種類に応じて適宜選択することができ、例えば温調媒体として水、温水、油、エチレングリコールなどを用いることができる。
この上型2及び下型3の背面に設置される温調配管6は、アルミニウムからなるフレキシブルな(可撓な)配管で構成されており、連結部や継ぎ目のない一連の連続配管である。これにより、上型2及び下型3の背面が複雑な面形状を有している場合でも、温調配管6をその背面形状に合わせて固設することができる。また、温調配管に温調媒体となる水などの流体を流通させても、上型2及び下型3に固設した温調配管からの水漏れが生じ難い。
上記温調配管6は、例えばエポキシ樹脂系の樹脂接着剤を塗布又は含浸したガラスクロス7を用いることによって、上型2及び下型3の背面に安定して固設することができる。すなわち、例えば温調配管6を上型2の背面に固設する場合、先ずフレキシブルな温調配管6を上型2の背面における所定の設置位置の一部又は全面に密接させる。このように温調配管6を密接させた状態で、エポキシ樹脂系の樹脂接着剤を塗布又は含浸したガラスクロス7を用いて、このガラスクロス7を温調配管6の周面に被覆させるとともに上型2の背面にも接着固定させる。これにより、フレキシブルな温調配管6を上型2の背面の面形状に合わせて、容易に且つ安定して固設することができる。また、下型3への温調配管6の固設についても、上記上型2と同様にして行うことができる。
このようにガラスクロス7を用いて温調配管6が固定されている場合、ガラスクロス7は上型2及び下型3にも接着固定させているので、このガラスクロス7は金属薄板5が剥離するのを防止するバックアップ材として機能させることができる。さらに、温調配管6がガラスクロス7で被覆されていることにより、温調配管6と外部との熱の移動を遮断できるため、温調配管6の積層金型に対する温調効果を高めることができる。
この場合、ガラスクロス7に塗布又は含浸させる樹脂接着剤は、上記エポキシ樹脂系の接着剤に限定されず、その他にユリア樹脂系やポリイミド系等の熱硬化性樹脂接着剤、又は複合型接着剤などを使用することができる。
また、上記のように温調配管6をガラスクロス7で接着固定する場合、例えば金型の形状に合わせて温調配管の一部を細かい範囲で密接させ、比較的小さなサイズのガラスクロスを用いて少しずつ配管を接着固定していくことによって、温調配管を所定の屈曲形状をもって固設することができる。或いは、温調配管を金型の形状に合わせて設置位置の全面に密接させた後に、大きなサイズのガラスクロスによって一度に接着固定することもできる。
なお、本発明においては、フレキシブルな温調配管6を上型2及び下型3の背面に固設するために、上記樹脂接着剤を塗布又は含浸したガラスクロスを用いる代わりに、樹脂接着剤を塗布又は含浸したガラス繊維を用いて、ガラスクロスの場合と同様にしてフレキシブルな温調配管を固設することもできる。
また、実施例1の積層金型1においては、空洞部面における上型2及び下型3の肉厚が、空洞部面の全面に渡って略等しい肉厚に設定されている。このため、温調配管6と空洞部面との間の距離は、空洞部面の背面に配設された配管の全長に渡って略一定となる。これにより、例えばこの実施例1の積層金型1を用いて樹脂等の成形を行う際に、温調配管6に温調媒体を流通させることによって、空洞部面における温度分布を空洞部面全面に渡って均一にすることができる。
このとき、上型2及び下型3の空洞部面における肉厚は、10〜100mm程度、特に30〜50mm程度であることが好ましい。例えば、上型2及び下型3の肉厚が薄過ぎる場合、積層金型1を作製する際に金属薄板5を安定して積層することが難しくなる恐れがある。一方、上型2及び下型3の肉厚が必要以上に厚くなると、温調配管から空洞部面までの距離が大きくなり温度が一定になるまでの時間が長くなるなどの不利が生じるとともに、積層金型1のコストが高くなり、結果的に成形品のコストアップに繋がることが考えられる。
さらに、上記積層金型1では、上型2の空洞部面及び下型3の空洞部面のそれぞれに、エポキシ樹脂からなる樹脂膜8が形成されている。この空洞部面上に形成する樹脂膜8は、例えば、上型2及び下型3の空洞部面にプライマー処理を施した後、スプレーコーティングにより樹脂膜を形成して乾燥させ、その後樹脂膜表面を研磨することによって容易に作製することができる。
このように上型2及び下型3の空洞部面上に樹脂膜8が形成されていることにより、樹脂膜8の露出している面(樹脂膜8の表面)は滑らかな面となる。したがって、このような積層金型1を用いて成形を行うことによって、表面が段差のない滑らかな面となる成形品を得ることができる。
以上のような実施例1の積層金型1であれば、従来のブロック状の鋳造金型や樹脂製成形型に比べて短時間で安価に型の作製を行うことができる。また、積層金型1の空洞部4内に樹脂などの成形材料を導入して所定形状に成形する際に、冷却水、温水、油などの温調媒体を連続した温調配管6に安定して流通させることができる。
これにより、上型2及び下型3の金属薄板5間に隙間や気孔が存在していたとしても、これらの隙間や気孔に温調媒体が侵入することがないため、従来の積層金型で生じていたような空洞部内への温調媒体の漏れの問題を解消することができる。したがって、上記積層金型1を用いて成形を行うことにより、金属薄板間に温調媒体が侵入して積層金型の寸法が狂うこともなく、また空洞部内へ温調媒体が漏れて成形材料の組成が変化することもない。このため、空洞部面における温度分布を空洞部面全面に渡って均一にして、所定の形状及び所望の品質を有する成形品を安定して得ることが可能となる。
さらに、積層金型1を構成する薄板が、上記のように熱伝導率の良いアルミニウムからなる金属薄板5であれば、成形を行う際に金型の温度を短時間で調節することができる。したがって、上記積層金型1を用いて成形を行うことによって、従来の樹脂製成形型を用いる場合に比べて、成形品の生産性を大きく向上させることができる。また、このような積層金型1は、従来の樹脂製成形型よりも耐久性が高く、成形品の大量生産にも対応できるという利点を有する。
なお、上記実施例1の積層金型1が適用される成形方法は特に限定されず、例えば反応射出成形(RIM成形)、射出成形、圧縮成形、ブロー成形、注型成形などの様々な成形方法に適用することができる。特に、上記本発明の積層金型は、成形時に金型の空洞部内に大きな圧力がかからないRIM成形や注型成形を行う際に好適に用いることができる。
例えば、実施例1の積層金型1をポリウレタンのRIM成形用の型として使用することにより、金属薄板の剥離及び空洞部内への水漏れを防止し、且つ、空洞部面の温度分布を均一にできる。このため、空洞部内に導入した樹脂材料の組成を変化させずにポリウレタンを発泡成形して、所望の品質を有するウレタン発泡体を安定して得ることができる。
次に、本発明の実施例2に係る積層金型について、図3を参照しながら説明する。図3は、実施例2に係る積層金型の上型の構成を模式的に表す断面図である。
図3に示した積層金型の上型11は、複数の金属薄板12を積層して形成されており、この上型11の空洞部面にエポキシ樹脂からなる樹脂膜8が形成されている。また、この上型11は、上記実施例1とは異なり、空洞部面における上型11の肉厚が一定ではない。
さらに、実施例2の積層金型では、温調配管6を設置する位置に温調配管用の配設溝13が上型11の背面から形成されている。また、この配設溝13は、上型11の空洞部面における配設溝13の底部から空洞部面までの肉厚が略一定となるように形成されている。さらに、この配設溝13の底部には、アルミニウムからなるフレキシブルな温調配管6を密接させた状態で、樹脂接着剤を塗布又は含浸したガラス繊維14が温調配管6を被覆するとともに配設溝13の壁部に接着固定されている。これにより、温調配管6は配設溝13内に固設された状態となっている。
この温調配管用の配設溝13は、例えば以下のようにして上型11に形成することができる。すなわち、積層金型の設計段階で配設溝13の形成位置を設定しておき、その設計した三次元データに基づいて、積層金型を構成する各金属薄板12を機械加工する。その後、この加工した複数の金属薄板12を樹脂接着剤で層状に接合することによって、配設溝13を積層金型の所定の位置に容易に形成することができる。また、その他の配設溝13の形成方法としては、配設溝13を金型の設計段階では設定せずに、金属薄板12を樹脂接着剤で層状に接合した後に、その得られた積層金型にフライス盤などの機械加工で溝形成を直接行うことによって、配設溝13を所定の位置に設けることができる。
図3に示したように、上型11の空洞部面における肉厚が一定ではない場合であっても、上記のように配設溝13を形成し、この配設溝13に温調配管6を配設することによって、空洞部面における温調配管と空洞部面との距離を略一定とすることができる。これにより、成形を行う際に温調配管6に温調媒体を流通させることによって、上記実施例1と同様に、空洞部面における温度分布を均一にすることができる。
なお、配設溝13は、例えば空洞部面における上型の肉厚が一定であるような積層金型であっても形成することができる。例えば、上記配設溝13を所定の位置に設けておくことにより、温調配管6を配設する際に、温調配管6を配設溝13に沿って配置してからガラス繊維14で接着固定することができる。これにより、温調配管6を所定位置に確実に且つ安定して固設することができる。しかも、このように温調配管6が配設溝13内に固設されていることにより、例えば成形を行う際に温調配管6の位置がずれるのを防ぐことができる。
また、上記実施例2の積層金型では、配設溝13に沿って温調配管6が連続的に配設されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明では、配設溝13を溝幅を広くして形成し、この溝幅の広い配設溝13内で温調配管6を複数回屈曲させて配設することも可能である。
さらに、図3には積層金型の下型が図示されていないが、例えば実施例2における積層金型の下型も空洞部面における肉厚に関わらず、上記上型11と同様に、温調配管用の配設溝を形成して、その配設溝に温調配管を接着固定することができる。これにより、下型における温調配管と空洞部面との距離を略一定の距離とすることができる。
なお、実施例2の積層金型において、上記以外の構成については上記実施例1と同様である。このため、実施例1で用いた符合を用いることにより、その構成の説明を省略する。
従って、この実施例2の積層金型を用いて成形を行うことによって、前記実施例1と同様に、上型及び下型における積層金型の寸法の狂いや、空洞部内への温調媒体の漏れは生じないため、所定の形状及び所望の品質を有する成形品を安定して得ることが可能となる。
なお、上記実施例1及び2においては、積層金型を構成する薄板として、アルミニウムからなる金属薄板を用いる場合を説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明では、例えば、アルミニウム以外のその他の金属からなる薄板や、エポキシ樹脂などからなる樹脂薄板などを使用することができる。
また、本発明の積層金型は、樹脂の成形を行う際に好適に使用されるが、例えば金属薄板間の接合をロウ付や拡散接合で行うことによって、金属の成形にも適用することが可能となる。さらに、上記実施例1及び2では、上型及び下型の両方の型が、複数の金属薄板を積層して形成されている場合について説明している。しかしながら、本発明はこれに限定されず、例えば、上型及び下型の何れか一方が複数の金属薄板を積層して形成された成形型であり、もう一方が従来用いられているブロック状の金属製鋳造金型、又は樹脂製成形型であっても良い。
本発明の積層金型は、ポリウレタンなどの樹脂を成形する際に有効に使用することができる。
本発明の実施例1に係る積層金型の構成を模式的に表す斜視図である。 本発明の実施例1に係る積層金型の断面を模式的に表す断面図である。 本発明の実施例2に係る積層金型における上型の断面を模式的に表す断面図である。 従来の冷却孔を有する積層金型の上型の構成を模式的に表す斜視図である。
符号の説明
1 積層金型
2 上型
3 下型
4 空洞部
5 金属薄板
6 配管
7 ガラスクロス
8 樹脂膜
11 積層金型の上型
12 金属薄板
13 配設溝
14 ガラス繊維
21 積層金型の上型
22 冷却孔

Claims (5)

  1. 複数の薄板を積層して形成した上型及び/又は下型を有し、上型と下型とを型締めしたときに同上型と下型の間に所望形状の空洞部が形成される積層金型であって、
    前記積層金型の上型及び/又は下型における空洞部面とは反対側の少なくとも空洞部面に対応する背面の全面に渡って、温調媒体を流通させる配管が所定の屈曲形状をもって固設されてなり、
    前記配管は可撓性連続配管から構成されてなる、
    ことを特徴とする積層金型。
  2. 前記配管は、前記積層金型の上型及び/又は下型における前記背面の一部又は全面に配管を密接させた状態で、樹脂接着剤を塗布又は含浸したガラスクロス又はガラス繊維が、同配管に沿って連続して同配管の周面を被覆するとともに前記上型及び下型の背面に接着固定されていることにより、固設されてなることを特徴とする請求項1記載の積層金型。
  3. 前記空洞部面における前記積層金型の上型及び/又は下型の肉厚が、同空洞部面の全面にわたって略等しい肉厚に設定されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の積層金型。
  4. 前記積層金型の上型及び/又は下型の前記背面に配管の配設溝を形成し、前記配管と前記空洞部面との距離が略一定の距離となるように配管されてなることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の積層金型。
  5. 前記空洞部面上に樹脂膜が形成されてなることを特徴とする請求項1記載の積層金型。
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